A 非対話型インストールでのレスポンス・ファイルの使用方法

次のトピックでは、レスポンス・ファイルを使用してOracle製品をインストールおよび構成する方法について説明します。

A.1 概要

Oracle Universal Installerの起動時にレスポンス・ファイルを指定することで、Oracleソフトウェアのインストールおよび構成の全部または一部を自動化できます。Oracle Universal Installerは、レスポンス・ファイル内に含まれる値を使用して、次のようにOracle Universal Installerのプロンプトの一部または全部に応答します。

  • すべてのプロンプトに対する応答をレスポンス・ファイルに組み込み、Oracle Universal Installerの起動時に-silentオプションを指定すると、Oracle Universal Installerはサイレント・モードで実行されます。サイレント・モードによるインストールでは、画面は一切表示されません。かわりに、起動時に使用した端末に進捗情報が表示されます。

  • レスポンス・ファイルにプロンプトの一部または全部に対する応答を含め、-silentオプションを省略すると、Oracle Universal Installerは抑止モードで実行されます。抑止モードによるインストール中は、Oracle Universal Installerにより、必要な情報をすべて指定しなかった画面のみが表示されます。レスポンス・ファイルの変数またはコマンドライン・オプションを使用して、情報を入力する必要のない「ようこそ」画面や「サマリー」画面などの他のインストーラ画面も抑止できます。

次の表で、サイレント・モードまたは抑止モードでOracle Universal Installerを実行する場合のいくつかの理由について説明します。

モード 用途

サイレント

次の場合はサイレント・モードを使用します。

  • 無人インストールを実行する場合。無人インストールは、atなどのオペレーティング・システム・ユーティリティを使用してスケジュールできます。

  • ユーザーとの対話なしで複数のシステムに同様のインストールを複数実行する場合

  • X Window Systemソフトウェアがインストールされていないシステムにソフトウェアをインストールする場合

Oracle Universal Installerでは、起動に使用した端末に進捗情報が表示されますが、Oracle Universal Installerの画面は表示されません。

抑制

抑止モードは、Oracle Universal Installerのプロンプトの全部ではなく一部にデフォルトの応答を指定して、複数のシステムに同様のOracleソフトウェア・インストールを行う場合に使用します。

特定のインストーラ画面に必要な情報をレスポンス・ファイルに指定しないと、Oracle Universal Installerによりその画面が表示されます。必要な情報をすべて指定した画面は表示されません。

A.1.1 インストールの概要

Oracle Universal Installerをサイレント・モードまたは抑止モードで使用してOracle製品をインストールおよび構成するには、次のステップを実行します。

  1. oraInst.locファイルを作成します。
  2. レスポンス・ファイルを準備します。
  3. サイレント・モードまたは抑止モードでOracle Universal Installerを実行します。

このステップについては、次の項で説明します。

A.2 oraInst.locファイルの作成

Oracle Universal Installerを使用して、サイレント・モードまたは抑止モードでOracle製品をインストールする場合、oraInst.locファイルがなければ手動で作成する必要があります。このファイルでは、Oracle Inventory Directoryの位置を指定します。このディレクトリには、Oracle Universal InstallerによりシステムにインストールされたOracle製品のインベントリが作成されます。

ノート:

以前にシステムにOracleソフトウェアをインストールしたことがある場合、通常、oraInst.locファイルはすでに存在します。ファイルが存在する場合、改めて作成する必要はありません。

oraInst.locファイルを作成するステップは、次のとおりです。

  1. ユーザーをrootに切り替えます。
  2. Solaris (SPARC)で、/var/opt/oracleディレクトリを作成します(存在しない場合)。
    # mkdir /var/opt/oracle
    
  3. オペレーティング・システムに応じて、次のようにディレクトリを変更します。

    AIX:

    # cd /etc
    

    Solaris (SPARC):

    # cd /var/opt/oracle
    
  4. 次のコマンドを入力して、oraInst.locファイルの適切な所有者、グループおよび権限を設定します。
    # chown oracle:oinstall oraInst.loc
    # chmod 664 oraInst.loc

A.3 レスポンス・ファイルの準備

この項では、サイレント・モードまたは抑止モードによるインストール時に使用されるレスポンス・ファイルの準備方法について説明します。

A.3.1 レスポンス・ファイル・テンプレートの編集

Oracleには、製品、インストール・タイプおよび構成ツールごとに、レスポンス・ファイルのテンプレートが用意されています。Oracle Database Gatewayのレスポンス・ファイルtg.rspnetca.rspは、メディアのresponseディレクトリにあります。

ノート:

ハード・ディスクにソフトウェアをコピーしている場合、レスポンス・ファイルはDisk1/responseディレクトリにあります。

レスポンス・ファイルを準備するには:

  1. レスポンス・ファイル・ディレクトリからシステム上のディレクトリに、レスポンス・ファイルをコピーします。
    $ cp /directory_path/response/response_file.rsp local_directory
    

    この例では、directory_pathがCD-ROMのマウント・ポイント・ディレクトリまたはDVDのディレクトリです。ソフトウェアをハード・ドライブにコピーした場合は、responseディレクトリのファイルを編集することもできます。

  2. テキスト・エディタでレスポンス・ファイルを開きます。
    $ vi /local_dir/response_file.rsp
    
  3. ファイルに記載された説明に従って、ファイルを編集します。

    ノート:

    レスポンス・ファイルを適切に構成しないと、Oracle Universal Installerまたはコンフィギュレーション・アシスタントは正常に動作しません。サイレント・モード・インストールの失敗に関するトラブルシューティングの詳細は、「サイレント・モード・インストールでのレスポンス・ファイルのエラー処理」を参照してください。

  4. ファイルの権限を700に変更します。
    $ chmod 700 /local_dir/response_file.rsp
    

A.3.2 レスポンス・ファイルの記録

この方法は、カスタム・インストールまたはソフトウェアのみのインストールに対して非常に効果的です。

Oracle Universal Installerを対話型モードで使用してレスポンス・ファイルを記録し、そのファイルを編集してサイレント・モードまたは抑止モードによるインストールを実行するのに使用できます。レスポンス・ファイルを記録する場合、そのままインストールを完了するか、システムへのソフトウェアのコピーが始まる前に「サマリー」ページでOracle Universal Installerを終了することができます。

新規レスポンス・ファイルを記録するには:

  1. 各トピックにリストされているインストール前のタスクを完了します。

    Oracle Universal Installerを実行してレスポンス・ファイルを記録する場合、ソフトウェアのインストール要件が満たされているかどうかを確認するためにシステムがチェックされます。そのため、必要なインストール前のタスクをすべて完了し、インストールを完了させてレスポンス・ファイルを記録することをお薦めします。

  2. 現在のシステムに以前にOracleソフトウェアをインストールしたことがない場合、前述の項の手順に従ってoraInst.locファイルを作成します。
  3. Oracleソフトウェア所有者ユーザー(通常はoracle)が、Oracle Universal Installerの実行時に指定するOracleホームのパスに対する作成または書込み権限を持っていることを確認します。
  4. レスポンス・ファイルを記録するため、次のようなコマンドを入力してOracle Universal Installerを起動します。

    ノート:

    レスポンス・ファイルのパスを相対パスで指定しないでください。相対パスを指定すると、Oracle Universal Installerの実行に失敗します。

    $ /directory_path/runInstaller -record -destinationFile filename
    

    前述の例では次のようになります。

    • directory_pathは、CD-ROMのマウント・ポイント・ディレクトリ、DVDのディレクトリのパス、またはハード・ディスク上のDisk1ディレクトリのパスです

    • -recordパラメータでは、入力した応答をレスポンス・ファイルに記録するよう指定します。

    • filenameは記録するレスポンス・ファイルのフルパスと名前です

  5. 各インストーラ画面で、必要な情報を指定します。
  6. Oracle Universal Installerにより「サマリー」画面が表示されたら、次のいずれかを実行します。
    • 「インストール」をクリックしてレスポンス・ファイルを作成し、インストールを続行します。

    • 「取消」「はい」をクリックしてレスポンス・ファイルを作成しますが、ソフトウェアはインストールせずにOracle Universal Installerを終了します。

    レスポンス・ファイルは、-destinationFileオプションを使用して指定された場所に保存されます。

  7. インストールを完了しなかった場合、Oracleホーム・ディレクトリを削除します(このディレクトリは、Oracle Universal Installerが「ファイルの場所の指定」画面に指定されたパスを使用して作成したものです)。
  8. 記録したレスポンス・ファイルを別のシステムで使用する前に、テキスト・エディタを使用してファイルを編集し、必要な変更を加えます。

    編集時には、ファイル内のコメントをガイドとして使用してください。

A.4 サイレント・モードまたは抑止モードでのOracle Universal Installerの実行

サイレント・モードまたは抑止モードでOracle Universal Installerを実行するには、次のステップを実行します。

  1. 各トピックにリストされているインストール前のタスクを完了します。
  2. Oracleソフトウェア所有者ユーザー(通常はoracle)としてログインします。
  3. サイレント・モードまたは抑止モードでOracle Universal Installerを起動するため、次のようなコマンドを入力します。
    $ $ /directory_path/runInstaller -silent -noconfig -responseFile filename
    

    ノート:

    レスポンス・ファイルのパスを相対パスで指定しないでください。相対パスを指定すると、Oracle Universal Installerの実行に失敗します。

    この例では、次のようになります。

    • directory_pathは、インストール・メディアのマウント・ポイント・ディレクトリ、DVDのディレクトリのパス、またはハード・ディスク上のDisk1ディレクトリのパスです。

    • -silentは、サイレント・モードでOracle Universal Installerを実行することを示します。

    • -noconfigを指定すると、インストール中にコンフィギュレーション・アシスタントは実行されず、ソフトウェアのみのインストールが実行されます。

    • filenameは構成済のインストール・レスポンス・ファイルのフルパスと名前です。

    ノート:

    runInstallerコマンドのその他のオプションの詳細を参照するには、次のコマンドを入力します。

    $ /directory_path/runInstaller -help