非CDB Oracle Databaseのアップグレード・シナリオ
非CDB Oracle Databaseのアップグレード・シナリオおよび手順を理解するには、これらのトピックを参照してください
ノート:
Oracle Database 12cリリース1 (12.1)以上では、非CDBアーキテクチャは非推奨です。今後のリリースでサポートが終了する可能性があります。マルチテナント・アーキテクチャを使用してデプロイされたOracle Databaseは、デフォルトの構成オプションです。Oracle Database 12cリリース1 (12.1.0.1)より前のすべてのOracle Databaseリリースでは、非CDBアーキテクチャを使用します。
注意:
COMPATIBLE初期化パラメータを12.1.0.2に設定した後は、データベースをダウングレードできません。プラガブル・データベース(PDB)のダウングレードは、互換性が12.1.0.1に設定されている場合にのみ可能です。ダウングレードには、追加の制限事項があります。
アップグレードまたはダウングレードを開始する前に、ソース・データベースとターゲット・データベースを最新の四半期リリース更新(Update)、リリース更新リビジョン(Revision)、バンドル・パッチまたはパッチ・セット更新(BPまたはPSU)にアップグレードすることをお薦めします。
- 非CDB Oracle Databaseのアップグレードの概要
Oracle Database Upgrade Assistant (DBUA)または手動アップグレード手順を使用して、非CDB Oracle Databaseをアップグレードできます。 - 非CDBアーキテクチャのOracle Databaseの手動アップグレード
この手順では、非CDBアーキテクチャのOracle Databaseをアップグレードするためのステップを示します。 - 非CDBのOracle DatabaseからCDB上のPDBへのアップグレード
以前のリリースの非CDBアーキテクチャのOracle Databaseをアップグレードしてプラガブル・データベース(PDB)にし、そのPDBをコンテナ・データベース(CDB)に接続するには、この手順を使用します。 - 高速ホーム・プロビジョニングを使用した非CDBのOracle Databaseのアップグレード
Oracle Database 12cリリース2 (12.2)以上では、高速ホーム・プロビジョニング(RHP)を使用して以前のリリースの非CDB Oracle Databaseをアップグレードできるようになりました。 - WindowsでOracle Databaseをアップグレードする際にORADIMを使用するための変数
WindowsシステムでOracle DatabaseをアップグレードするためにORADIMユーティリティを使用する場合、これらの変数を参照してください。
親トピック: Oracle Databaseのアップグレード
非CDB Oracle Databaseのアップグレードについて
Oracle Database Upgrade Assistant (DBUA)または手動アップグレード手順を使用して、非CDB Oracle Databaseをアップグレードできます。
非CDBアーキテクチャのOracle Databaseでは、マルチテナント・アーキテクチャを使用できず、プラガブル・データベース(PDB)が含まれません。データベースをアップグレードするには、Oracle Database Upgrade Assistant (DBUA)を使用するか、手動アップグレードを実行します。
非CDBアーキテクチャのOracle Databaseの手動アップグレード
この手順では、非CDBアーキテクチャのOracle Databaseをアップグレードするためのステップを示します。
ノート:
Oracle Database 12cリリース1 (12.1)以降では、非CDBアーキテクチャは非推奨です。今後のリリースでサポートが終了する可能性があります。
この手順を使用する前に、次のステップを実行してください。
-
Oracle Databaseソフトウェアをインストールします
-
新しいOracleホームを準備します。
-
アップグレード前情報ツールの実行
ステップ:
-
アップグレード前情報ツールをまだ実行していない場合、実行します。次に進む前に、アップグレード前情報ツールの出力を確認して、出力に記載されているすべての問題を修正します。
たとえば、LinuxまたはUnixシステムで次のように指定します。
$ORACLE_HOME/jdk/bin/java -jar /opt/oracle/product/18.0.0/rdbms/admin/preupgrade.jar FILE TEXT
-
適切なバックアップ計画が準備されていることを確認します。
-
新しいOracleホームをまだ準備していない場合、準備します。
-
(条件付き) Oracle RAC環境の場合のみ、次のコマンドを入力して、CLUSTER_DATABASEの初期化パラメータ値をFALSEに設定します。
ALTER SYSTEM SET CLUSTER_DATABASE=FALSE SCOPE=SPFILE;
-
データベースを停止します。次に例を示します。
SQL> SHUTDOWN IMMEDIATE
-
ご使用のオペレーティング・システムがWindowsの場合、次のステップを実行します。
-
アップグレードするデータベースのOracleサービス
OracleServiceSID
を停止します(SID
はインスタンスの名前です)。たとえば、SID
がORCL
の場合、コマンド・プロンプトで次のように入力します。C:\> NET STOP OracleServiceORCL
-
コマンド・プロンプトで、
ORADIM
を使用してOracleサービスを削除します。ORADIM
の構文およびコマンドの完全なリストは、ご使用のプラットフォームのガイドを参照してください。たとえば、
SID
がORCL
の場合、次のコマンドを入力します。C:\> ORADIM -DELETE -SID ORCL
-
コマンド・プロンプトで新しいOracle Databaseリリースの
ORADIM
コマンドを使用して、新しいリリースのOracle Databaseのサービスを作成します。次の構文を使用します。
SID
はデータベースSID、PASSWORD
はシステム・パスワード、USERS
は最大ユーザー数に設定する値、ORACLE_HOME
はOracleホームです。C:\> ORADIM -NEW -SID SID -SYSPWD PASSWORD -MAXUSERS USERS -STARTMODE AUTO -PFILE ORACLE_HOME\DATABASE\INITSID.ORA
ほとんどのOracle Databaseサービスは、Oracleソフトウェア・インストール所有者の権限を使用してシステムにログオンします。サービスは、このユーザーの権限を使用して実行されます。
ORADIM
コマンドによって、このユーザー・アカウントのパスワードの入力を求められます。ORADIM
を使用して、他のオプションを指定できます。次の例で、
SID
がORCL
、password
(SYSPWD
)がTWxy5791
、ユーザーの最大数(MAXUSERS
)が10、およびOracleホーム・パスがC:\ORACLE\PRODUCT\18.0.0\DB
の場合、次のコマンドを入力します。C:\> ORADIM -NEW -SID ORCL -SYSPWD TWxy5791 -MAXUSERS 10 -STARTMODE AUTO -PFILE C:\ORACLE\PRODUCT\18.0.0\DB\DATABASE\INITORCL.ORA
ORADIM
によって、ORACLE_HOME\database
ディレクトリにログが書き込まれます。ノート:
Oracleホームのユーザー・アカウントを使用してOracleホームを所有する場合、ORADIMコマンドによって、そのユーザーの名前とパスワードを求められます。
-
-
ご使用のオペレーティング・システムがLinuxまたはUNIXの場合は、次の内容を確認します。
-
ORACLE_SID
が正しく設定されていること。 -
oratab
ファイルが新しいOracleホームを指していること -
次の環境変数が新しいOracle Databaseディレクトリを指していること
-
ORACLE_HOME
-
PATH
-
-
クライアントで
$ORACLE_HOME
環境変数を設定するために使用するどのスクリプトも、新しいOracleホームを指している必要があります。
ノート:
Oracle Real Application Clustersデータベースをアップグレードする場合、Oracle Real Application Clustersデータベースでインスタンスが構成されているすべてのOracle Grid Infrastructureノードでこれらのチェックを実行してください。
-
-
新しいOracle DatabaseリリースのOracleインストール所有者としてシステムにログインします。
-
新しいOracleホーム・ディレクトリのadminディレクトリから、新しいOracleホームでSQL*Plusを起動します。
次に例を示します。
$ cd $ORACLE_HOME/rdbms/admin $ pwd /u01/app/oracle/product/18.0.0/dbhome_1/rdbms/admin $ sqlplus
-
SPFILE.ORAまたはINIT.ORAファイルを古いOracleホームから新しいOracleホームにコピーします。
-
SYSDBA権限を持つアカウントを使用して、アップグレードするデータベースに接続します。
SQL> connect / as sysdba
-
アップグレード・モードで非CDB Oracle Databaseを起動します。
SQL> startup upgrade
サポートが終了した初期化パラメータを示すエラーが表示された場合は、そのサポートが終了した初期化パラメータをノートにとり、アップグレードを継続します。次回、データベースを停止したときに、そのサポートが終了した初期化パラメータを削除します。
ノート:
UPGRADE
モードでデータベースを起動すると、以前のOracle Databaseリリースに基づいてデータベースがオープンされます。また、AS SYSDBA
セッションへのログインの制限、システム・トリガーの無効化、およびアップグレードの環境を準備するその他の操作も実行されます。 -
SQL*Plusを終了します。
次に例を示します。
SQL> EXIT
-
アップグレードに必要なアップグレード・オプションを使用して、パラレル・アップグレード・ユーティリティ(
catctl.pl
)スクリプトを実行します。Oracle_home/bin
にあるdbupgrade
シェル・コマンドを使用し、パラレル・アップグレード・ユーティリティをコマンドライン・シェル・コマンドとして実行できます。PATH環境変数を設定してOracle_home/bin
を含めると、コマンドを直接コマンドラインから実行できます。次に例を示します。$ dbupgrade -d /u01/app/oracle/12.2.0/dbhome_1
ノート:
-
パラレル・アップグレード・ユーティリティ・コマンドを実行する場合は、
-d
オプションを使用してターゲットOracleホームのファイル・パスを指定します。-l
オプションを使用して、スプール・ログ・ファイルに使用するディレクトリを指定します。
-
-
アップグレードが成功した後、データベースは停止します。インスタンスを再起動して、通常の操作用にシステム・パラメータを再初期化します。次に例を示します。
SQL> STARTUP
このようにデータベースが停止してから再起動することで、すべてのキャッシュがフラッシュされ、バッファがクリアされて、その他のハウスキーピング・アクティビティが実行されます。これらの操作は、アップグレードしたOracle Databaseソフトウェアの整合性と一貫性を保証するための重要な最終ステップです。
ノート:
データベースを起動したときに、サポートが終了した初期化パラメータがリストされているメッセージが表示された場合は、再起動の前にサポートが終了した初期化パラメータをパラメータ・ファイルから削除します。ファイルを編集してパラメータを削除するために、必要に応じて
SPFILE
をPFILE
に変換します。 -
catcon.pl
を実行してutlrp
.sqlを起動し、残りの無効なオブジェクトをすべて再コンパイルします。次に例を示します。
$ORACLE_HOME/perl/bin/perl catcon.pl -n 1 -e -b utlrp -d '''.''' utlrp.sql
-b utlrp
を使用してコマンドを実行しているため、ログ・ファイルutlrp0.log
はスクリプトが実行されるときに生成されます。ログ・ファイルには再コンパイルの結果が含まれています。 -
postupgrade_fixups.sql
を実行します。次に例を示します。SQL> @postupgrade_fixups.sql
ノート:
スクリプトを別の場所に配置するように指定しなかった場合、スクリプトはデフォルトのパス
Oracle_base/cfgtoollogs/SID/preupgrade
に配置されます。Oracle_base
はOracleベースのホーム・パスで、SID
は一意のデータベース名です。 -
utlu122s.sql
を実行します。スクリプトは、すべての問題が修正されたことを検証します。次に例を示します。
SQL> @$ORACLE_HOME/rdbms/admin/utllu122s.sql
スクリプトを実行すると、アップグレードの結果を示すログ・ファイル
utlu122s0.log
が生成されます。upg_summary.log
でアップグレード・レポートを確認することもできますデータベースの状態に関する情報を確認するには、アップグレードの完了後、いつでも必要な回数だけ
utlu122s.sql
を実行します。utlu122s.sql
スクリプトがエラーを返したり、ステータスがVALID
ではないコンポーネントを表示した場合や、コンポーネントに対してリストされたバージョンが最新のリリースではない場合、このガイドのトラブルシューティングに関する項を参照してください。 -
DBMS_DST
PL/SQLパッケージを使用してタイムゾーン・ファイルをアップグレードし、タイムゾーン・データファイルを最新の状態にします。アップグレード後にタイムゾーン・データ・ファイルを調整することもできます。 -
SQL*Plusを終了します
次に例を示します。
SQL> EXIT
-
(条件付き) Oracle Real Application Clustersデータベースをアップグレードする場合、次のコマンド構文を使用して、Oracle Clusterwareのデータベース構成をアップグレードします。
srvctl upgrade database -db db-unique-name -oraclehome oraclehome
この構文例で、
db-unique-name
は(インスタンス名ではなく)データベース名であり、oraclehome
は、データベースがアップグレードされるOracleホームの場所です。SRVCTL
ユーティリティでは、以前のリリースで使用される短いコマンドライン・インタフェース(CLI)オプションに加えて、GNUスタイルの長いオプションがサポートされています。 -
(条件付き) Oracle RAC環境の場合のみ、すべてのノードをアップグレードした後に、次のコマンドを入力してCLUSTER_DATABASEの初期化パラメータ値をTRUEに設定し、データベースを起動します(
db_unique_name
はOracle RACデータベースの名前)。ALTER SYSTEM SET CLUSTER_DATABASE=TRUE SCOPE=SPFILE; srvctl start database -db db_unique_name
これで、データベースがアップグレードされました。アップグレード後の手順を完了する準備が整いました。
注意:
古いOracleソフトウェアを保持している場合、古いソフトウェアを使用してアップグレードしたデータベースを起動しないでください。必ず新しいOracle Databaseホームで起動コマンドを使用してOracle Databaseを起動します。
古いOracle環境を削除する前に、その環境のデータファイルをすべて新しいOracle Database環境に再配置してください。
参照:
データファイルの再配置の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください
非CDBのOracle DatabaseからCDB上のPDBへのアップグレード
以前のリリースの非CDBアーキテクチャのOracle Databaseをプラガブル・データベース(PDB)にし、そのPDBをコンテナ・データベース(CDB)に接続してアップグレードするには、この手順を使用します。
DBUAまたはパラレル・アップグレード・ユーティリティを使用して以前のリリースのOracle Databaseをアップグレードし、その後、アップグレードしたそのデータベースをプラガブル・データベース(PDB)にできます。それから、アップグレードしたデータベースをマルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)に接続します。
この手順は、次の条件を前提としています。
-
使用しているオペレーティング・システムのOracle Databaseドキュメントで説明されているアップグレード前手順をすべて完了していること。
-
以前のデータベースとアップグレードしたデータベースが同じシステムにあること。
-
データ・ファイルはアップグレード前とアップグレード後で同じ場所に残っていること。
データファイルを別の場所にコピーした場合(Oracle ASMとともに格納している場合など)、ステップ8のパラメータ
SOURCE_FILE_NAME_CONVERT
を指定する必要があります。
-
新しいOracle Database 18cソフトウェアをインストールします。
-
このガイドの説明に従ってデータベースをアップグレードします。
-
COMPATIBLEパラメータを18.0.0に設定します(アップグレード・プロセスでそのように設定していない場合)。
-
次のSQLコマンドを使用して、データベースが読取り専用モードであることを確認します。
SQL> startup mount SQL> alter database open read only;
-
切断されたPDBを接続するための前提条件を満たしていることを確認します。
-
PDB用のXMLファイルを作成します。XMLファイルのルート名は、PDBの名前に一致させます。次の構文例で、pathの値はXMLが保存される場所、myPDB.xmlはプラガブル・データベース・ファイルの名前です。ファイルを置く場所は選択できます。
SQL> exec DBMS_PDB.DESCRIBE('path/myPDB.xml');
たとえばpathが
/home/oracle
、myPDBがsalespdb
の場合は次のようになります。SQL> exec DBMS_PDB.DESCRIBE('/home/oracle/salespdb.xml');
-
次のコマンドを使用して、古い(アップグレード元の)Oracleホームを停止します。
SQL> SHUTDOWN IMMEDIATE
-
ディレクトリを新しいOracleホームに変更し、DBMS_PDB.CHECK_PLUG_COMPATIBILITY関数を実行します。
このファンクションを実行する場合は、次のパラメータを設定します。
-
pdb_descr_file
: このパラメータをXMLファイルへのフルパスに設定します。 -
pdb_name
: 新しいPDBの名前を指定します。このパラメータを省略した場合は、XMLファイル内のPDB名が使用されます。
たとえば、
/disk1/usr/salespdb.xml
ファイルで記述されているPDBが現在のCDBと互換性があるかどうかを確認するには、新しいOracleホームから次のPL/SQLブロックを実行します。sqlplus / as sysdba SQL> set serveroutput on SQL> r 1 DECLARE 2 compatible CONSTANT VARCHAR2(3) := 3 CASE DBMS_PDB.CHECK_PLUG_COMPATIBILITY( 4 pdb_descr_file => '/home/oracle/ORAOP2.xml', 5 pdb_name => 'SALESPDB') 6 WHEN TRUE THEN 'YES' 7 ELSE 'NO' 8 END; 9 BEGIN 10 DBMS_OUTPUT.PUT_LINE(compatible); 11* END; YES PL/SQL procedure successfully completed.
出力がYESの場合はPDBに互換性があり、次のステップに進むことができます。
出力がNOの場合はPDBに互換性がなく、PDB_PLUG_IN_VIOLATIONSビューをチェックして、互換性がない理由を確認できます。
-
-
次のコマンド構文を使用してプラガブル・データベースを作成し、このデータベースをCDBに接続します。
SQL> CREATE PLUGGABLE DATABASE SALESPDB USING 'pathmyPDB.xml' NOCOPY TEMPFILE REUSE;
次の例はプラガブル・データベース
salespdb
を作成するコマンドを示しています。SQL> CREATE PLUGGABLE DATABASE salespdb USING '/home/oracle/salespdb.xml' NOCOPY TEMPFILE REUSE;
PDBには任意の名前を使用できますが、使用する名前はこのCDBで一意である必要があります。
TEMPFILE REUSE
は、既存のTEMP
表領域を再利用できることを指定します。このSQLコマンドが完了すると、次のメッセージが表示されます。
Pluggable database created.
アップグレードしたデータベースはPDBになり、CDBに配置できる状態です。
注意:
NOCOPYオプションを使用する前に、有効なバックアップをとっておくことを強くお薦めします。なんらかの理由でこのコマンドが失敗した場合、データベースが損傷してリカバリ不能になることがあります。
-
次のコマンドを使用して、PDBに接続します。
SQL> ALTER SESSION set container=salespdb;
-
ディクショナリをPDBタイプに変換します。
admin
ディレクトリからnoncdb_to_pdb.sql
スクリプトを実行します。このスクリプトは、PDBを初めてオープンする前に実行する必要があります。次に例を示します。
@$ORACLE_HOME/rdbms/admin/noncdb_to_pdb.sql
ノート:
このスクリプトのランタイムは、変換が必要な新しいPDBディクショナリのオブジェクトの数とタイプに応じて異なり、数分から1時間を超えることもあります。
-
読取り/書込みモードで新しいPDBを起動します。Oracle Databaseで新しいPDBをCDBに統合するには、PDBを読取り/書込みモードでオープンする必要があります。
たとえば、すでにPDBコンテナを
salespdb
に設定してあるので、次のコマンドを入力してPDBを起動します。SQL> STARTUP
-
RMAN (リカバリ・マネージャ)を使用してPDBをバックアップします。
ARCHIVELOGとPDBに変換する前にデータベースからとったバックアップはもう使用できないため、RMANを使用してPDBのバックアップを実行することを強くお薦めします。
注意:
リカバリができるよう、即時バックアップを実行する必要があります。
高速ホーム・プロビジョニングを使用した非CDBのOracle Databaseのアップグレード
Oracle Database 12cリリース2 (12.2)以上では、高速ホーム・プロビジョニング(RHP)を使用して以前のリリースの非CDB Oracle Databaseをアップグレードできるようになりました。
高速ホーム・プロビジョニングを使用してデータベースをアップグレードするには、新しいOracle Databaseリリースのコピーを作成し、コマンドrhpctl upgrade database
を使用して以前のリリースのOracle Databaseをアップグレードします。このアップグレードはアウトオブプレース・アップグレードです。アップグレードが完了した後、リスナーと他の初期化変数が新しいOracleホームを指すように設定されます。
このステップの概要では、高速ホーム・プロビジョニングを使用した非CDB Oracle Database 11gリリース2 (11.2.0.3)のアップグレード方法を説明します。
-
新しいOracle Databaseリリースをインストールします。
-
標準運用環境(SOE)の仕様に合わせてデータベースへのパッチ適用、テスト、構成を行います。
-
SOEリリースのOracle DatabaseホームからRHPゴールド・イメージを作成します。
-
アップグレード対象のデータベースがあるサーバー上で新しいOracle Grid Infrastructureリリースへのアップグレードを実行します。このアップグレードは高速ホーム・プロビジョニングを使用して実行できます。(ノート: ご使用のOracle Grid Infrastrauctureソフトウェアは常にOracle Databaseソフトウェアと同じか、それより新しいリリースである必要があります。)
-
アップグレード対象のリリース11.2.0.3のOracle Databaseがあるサーバーに新しいリリースのOracle Database RHPゴールド・イメージのコピーをデプロイします。
-
高速ホーム・プロビジョニングのコマンド
rhpctl upgrade database
を実行します。このコマンドは、新しいリリースのRHPゴールド・イメージを使用して、以前のリリースのデータベースをアップグレードします。新しいリリースのOracle Databaseゴールド・イメージを使用してプロビジョニングされたサーバー上の1つ、複数、またはすべてのOracle Database 11.2.0.3インスタンスをアップグレードできます。
例3-6 非CDB 11.2.0.3からCDB上の12.2.0.1 PDBへのアップグレード
次の例はOracle Database 11gリリース2 (11.2.0.3)からOracle Database 12cリリース2 (12.2.0.1)へのアップグレードのコマンドおよび画面出力を示しています。
[Wed Jun 01 02:19:43][gridusr@example.com:/u01/app/grid/bin]$ date;./rhpctl add workingcopy -workingcopy db12c -image db12c -oraclebase /u01/app/oraInventory -user dbusr -node node3 -root -path /u01/app/rachome/122/dbhome_1 -storagetype LOCAL
Wed Jun 1 03:15:03 PDT 2016
Enter user "root" password:
server17.example.com: Storing metadata in repository for working copy "db12c" ...
server17.example.com: Connecting to node node3 ...
server17.example.com: Starting transfer for remote copy ...
server17.example.com: Starting clone operation...
server17.example.com: Using inventory file /etc/oraInst.loc to clone ...
server13: Starting Oracle Universal Installer...
server13:
server13: Checking Temp space: must be greater than 500 MB. Actual 13485 MB Passed
server13: Checking swap space: must be greater than 500 MB. Actual 13653 MB Passed
server13: Preparing to launch Oracle Universal Installer from /tmp/OraInstall2016-06-01_10-20-22AM. Please wait ...You can find the log of this install session at:
server13: /u01/app/rachome/oraInventory/logs/cloneActions2016-06-01_10-20-22AM.log
server13: .................................................. 5% Done.
server13: .................................................. 10% Done.
server13: .................................................. 15% Done.
server13: .................................................. 20% Done.
server13: .................................................. 25% Done.
server13: .................................................. 30% Done.
server13: .................................................. 35% Done.
server13: .................................................. 40% Done.
server13: .................................................. 45% Done.
server13: .................................................. 50% Done.
server13: .................................................. 55% Done.
server13: .................................................. 60% Done.
server13: .................................................. 65% Done.
server13: .................................................. 70% Done.
server13: .................................................. 75% Done.
server13: .................................................. 80% Done.
server13: .................................................. 85% Done.
server13: ..........
server13: Copy files in progress.
server13:
server13: Copy files successful.
server13:
server13: Link binaries in progress.
server13:
server13: Link binaries successful.
server13:
server13: Setup files in progress.
server13:
server13: Setup files successful.
server13:
server13: Setup Inventory in progress.
server13:
server13: Setup Inventory successful.
server13:
server13: Finish Setup successful.
server13: The cloning of db12c was successful.
server13: Please check '/u01/app/rachome/oraInventory/logs/cloneActions2016-06-01_10-20-22AM.log' for more details.
server13:
server13: Setup Oracle Base in progress.
server13:
server13: Setup Oracle Base successful.
server13: .................................................. 95% Done.
server13:
server13: As a root user, execute the following script(s):
server13: 1. /u01/app/rachome/122/dbhome_1/root.sh
server13:
server13:
server13:
server13: .................................................. 100% Done.
server17.example.com: Successfully executed clone operation.
server17.example.com: Executing root script on nodes server13.
server13: Check /u01/app/rachome/122/dbhome_1/install/root_node3_2016-06-01_10-22-13-284882809.log for the output of root script
server17.example.com: Successfully executed root script on nodes server13.
server17.example.com: Working copy creation completed.
[crsusr@rwsdcvm17 bin]$ date;./rhpctl upgrade database -sourcehome /u01/app/rachome/dbusr/product/11.2.0/dbhome_1 -destwc wc1db12c -dbname t2db -root -targetnode node33Wed Jun 1 05:38:52 PDT 2016
Enter user "root" password:
server17.example.com: Connecting to node node3 ...
server17.example.com: Starting to upgrade database from path "/u01/app/rachome/dbusr/product/11.2.0/dbhome_1" to path "/u01/app/rachome/122/dbhome_2" on node "node3"
server13: Logs directory: /u01/app/oraInventory/cfgtoollogs/dbua/upgrade2016-06-01_12-38-46-PM
server13: Preupgrade generated files:
server13: /u01/app/oraInventory/cfgtoollogs/dbua/upgrade2016-06-01_12-38-46-PM/t2db/preupgrade.log
server13: /u01/app/oraInventory/cfgtoollogs/dbua/upgrade2016-06-01_12-38-46-PM/t2db/preupgrade_fixups.sql
server13: /u01/app/oraInventory/cfgtoollogs/dbua/upgrade2016-06-01_12-38-46-PM/t2db/postupgrade_fixups.sql
server13: Gathering Dictionary Statistics
server13: 12% complete
server13: Pre Upgrade Step
server13: 15% complete
server13: 25% complete
server13: Configure Database in 12.2.0.1.0 Oracle Home
server13: 37% complete
server13: Database Components Upgrade
server13: 37% complete
server13: 38% complete
server13: 38% complete
server13: 38% complete
server13: 38% complete
server13: 39% complete
server13: 39% complete
server13: 39% complete
server13: 39% complete
server13: 40% complete
server13: 40% complete
server13: 40% complete
server13: 40% complete
server13: 41% complete
server13: 41% complete
server13: 41% complete
server13: 41% complete
server13: 42% complete
server13: 42% complete
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server13: 43% complete
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server13: 46% complete
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server13: 47% complete
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server13: 48% complete
server13: 48% complete
server13: 48% complete
server13: 48% complete
server13: 49% complete
server13: 49% complete
server13: 49% complete
server13: 49% complete
server13: 50% complete
server13: Recompile Invalid Objects
server13: 62% complete
server13: Timezone Upgrade
server13: 75% complete
server13: Executing Post Upgrade Tasks
server13: 76% complete
server13: 77% complete
server13: 87% complete
server13: Generate Summary
server13: Database upgrade has been completed successfully, and the database is ready to use.
server13: 100% complete
server17.example.com: Completed the upgrade database operation
[Wed Jun 01 07:51:58][dbusr@server13:/u01/app/rachome/122/dbhome_2/bin][1]$ export ORACLE_HOME=/u01/app/rachome/122/dbhome_2
[Wed Jun 01 07:52:38][dbusr@node3:/u01/app/rachome/122/dbhome_2/bin][0]$ export ORACLE_SID=t2db
[Wed Jun 01 07:52:59][dbusr@node3:/u01/app/rachome/122/dbhome_2/bin][0]$ ./sqlplus / as sysdba
SQL*Plus: Release 12.2.0.1.0 Production on Wed Jun 1 07:53:19 2016
Copyright (c) 1982, 2016, Oracle. All rights reserved.
Connected to:
Oracle Database 12c Enterprise Edition Release 12.2.0.1.0 - 64bit Production
SQL>
WindowsでOracle Databaseをアップグレードする際にORADIMを使用するための変数
WindowsシステムでOracle DatabaseをアップグレードするためにORADIMユーティリティを使用する場合、これらの変数を参照してください。
Windowsプラットフォームでは、ORADIM
によって、Windowsデータベースおよびサービスの管理作業を手動で実行するためのコマンドライン・インタフェースが提供されています。Database Configuration Assistant (DBCA)では、同じ作業を実行するためのグラフィカル・ユーザー・インタフェースが提供されています。Oracle Databaseのアップグレード時に知っておく必要のあるORADIMの変数には、アップグレード対象のデータベースのSID、新しいOracleホームの場所および新しいデータベース・インスタンスのパスワードが含まれます。また、ORADIM
によって、ORACLE_HOME\database
ディレクトリにログが書き込まれます。
次の表に、アップグレード時にORADIM
を使用するための変数を示します。
表3-3 ORADIMの変数および機能
ORADIM変数 | 説明 |
---|---|
SID | アップグレードするデータベースのSIDと同じSID名 |
PASSWORD |
新しいOracle Database 12cデータベース・インスタンスのパスワード。これは、 Oracle Database 12cのデフォルトのセキュリティ設定では、パスワードは8文字以上である必要があります。 |
USERS |
新しいOracle Database 12cデータベース・インスタンスのパスワード。これは、 Oracle Database 12cのデフォルトのセキュリティ設定では、パスワードは8文字以上である必要があります。 |
ORACLE_HOME |
Oracle Database 12cのOracleホームの場所。 |
参照:
ORADIMを使用したデータベース・インスタンスの管理の詳細は、Oracle Databaseプラットフォーム・ガイドfor Microsoft Windowsを参照してください。
セキュリティ設定の詳細は、『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』を参照してください。
初期化パラメータの起動時の指定および初期化パラメータ・ファイルの詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください