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Oracle® Fusion Middleware Oracle Business Intelligenceエンタープライズ・デプロイメント・ガイド
12c (12.2.1.4.0)
E96110-02
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14 エンタープライズ・デプロイメントでのサーバー全体の移行とサービスの移行の使用

Oracle WebLogic Serverの移行フレームワークでは、サーバー全体の移行とサービスの移行をサポートしています。次の各項では、Oracle Fusion Middlewareエンタープライズ・トポロジでのこれらの機能の使用方法について説明します。

14.1 エンタープライズ・デプロイメントでのサーバー全体の移行と自動サービス移行について

Oracle WebLogic Serverは、可用性の高い環境にとって不可欠な要素である移行フレームワークを備えています。次の項では、エンタープライズ・デプロイメントでこのフレームワークを効果的に使用する方法を詳しく説明します。

14.1.1 サーバー全体の移行とサービスの移行の違いの理解

Oracle WebLogic Serverの移行フレームワークでは、次の2つの種類の自動移行をサポートしています。

  • サーバー全体の移行。障害発生時に、管理対象サーバー・インスタンスが別の物理システムに移行されます。

    サーバー全体の移行では、別の物理マシン上で、サーバー・インスタンスとそのすべてのサービスが自動的に再起動されます。サーバー移行が構成されているクラスタに属するサーバーで問題が発生すると、そのサーバーは、クラスタのメンバーをホストする他のマシンで再起動されます。

    このためには、サーバーはリスニング・アドレスとして浮動IPを使用する必要があり、必要なリソース(トランザクション・ログとJMS永続ストア)が候補マシンで利用できなければなりません。

    Oracle WebLogic Serverクラスタの管理のサーバー全体の移行を参照してください。

  • サービスの移行。特定のサービスが、クラスタ内の別の管理対象サーバーに移行されます。

    サービスの移行を理解するには、固定サービスを理解することが重要です。

    WebLogic Serverクラスタでは、ほとんどのサブシステム・サービスがクラスタ内のすべてのサーバー・インスタンスで均一にホストされます。これにより、サーバー間の透過的なフェイルオーバーが可能になります。対照的に、JMS関連サービスやJTAトランザクション・リカバリ・サービス、ユーザー定義のシングルトン・サービスなどの固定サービスは、クラスタ内の個々のサーバー・インスタンスにホストされます。WebLogic Serverの移行フレームワークは、これらのサービスに対して、フェイルオーバーではなく、サービスの移行による障害回復をサポートしています。

    『Oracle WebLogic Serverクラスタの管理』のサービスの移行フレームワークの理解に関する項を参照してください。

14.1.2 エンタープライズ・デプロイメントでサーバー全体の移行またはサービスの移行を使用する意味

エンタープライズ・デプロイメントでサーバー全体の移行(WSM)または自動サービス移行(ASM)を使用する場合、インフラストラクチャと構成要件の点で次の意味があります。

それは次のとおりです。

  • サーバーによって使用されるリソースは、元のシステムからもフェイルオーバー・システムからもアクセスできる必要があります

    初期状態では、リソースには元のサーバーまたはサービスからアクセスできます。サーバーまたはサービスが、フェイルオーバーになって別のシステムで再起動される場合、同じリソース(外部リソース、データベースおよびストア)をフェイルオーバー・システムで使用できる必要があります。そうでない場合、サービスで同じ操作は再開できません。このような理由から、サーバー全体の移行とサービスの移行の両方で、WebLogicクラスタのすべてのメンバーが、同一のトランザクションとJMS永続ストア(ファイルベースかデータベースベースかを問わない)にアクセスできる必要があります。

    Oracleで使用できるJDBCストアは、Oracleデータベースの一貫性、データ保護および高可用性の機能を活用して、クラスタのすべてのサーバーでリソースを利用できるようにします。あるいは、共有記憶域を使用できます。データベースまたは共有記憶域で永続ストアを適切に構成する際には、フェイルオーバー(サーバー全体の移行またはサービスの移行)が発生した場合に、手動操作を必要とせずにフェイルオーバー・システムが同じストアにアクセスできる必要があります。

  • リース・データソース

    サーバー移行とサービス移行(静的クラスタまたは動的クラスタでの)のどちらでも、サーバーが有効タイムスタンプを格納する際に使用するリース・データソースの構成が必要です。このタイムスタンプは、サーバーまたはサービスの状態を判定するためのもので、サーバー移行とサービス移行の正しい動作(サーバーまたはサービスを停止とマークしてフェイルオーバーを発動する)に不可欠です。

    注意:

    HAの目的でコンセンサス・リーシングを使用するのは、お薦めできません。

  • 仮想IPアドレス

    サーバー全体の移行の場合、共有記憶域のほかに、サーバーごとの仮想IPアドレス(VIP)の入手と割当ても必要になります。このIPにマップに対応しており、関係するサーバーのリスニング・アドレスとして使用されます。管理対象サーバーが他のマシンにフェイルオーバーすると、ノード・マネージャによって、フェイルオーバー・ノードでVIPが有効になります。サービスの移行には、VIPは必要ありません。

どの移行でも、管理対象サーバーを完全再起動する必要があるため、サービス移行よりフェイルオーバー時のレイテンシは大きくなります。表14-1に、様々な観点をまとめます。

表14-1 WSMとASMの様々な観点

クラスタの保護 フェイルオーバー時間 キャパシティ・プランニング 信頼性 共有記憶域/DB 管理対象ごとのVIP

WSM

4–5分

完全なサーバー稼働

DBリース

 

はい

 

はい

 

ASM

30秒

 

メモリー/CPU単位のサービス

 

DBリース

 

はい

 

いいえ

 

14.1.3 サーバー全体の移行とサービスの移行が必要となる製品およびコンポーネントの理解

この表は、推奨されるベスト・プラクティスを示していることに注意してください。サーバー全体の移行または自動サーバー移行をサポートするコンポーネントでこれらの機能を使用できなくなるわけではありません。

コンポーネント サーバー全体の移行(WSM) 自動サービス移行(ASM)

Oracle Business Intelligence Publisher

はい

いいえ

14.2 リース用のGridLinkデータ・ソースの作成

サーバー全体の移行および自動サービス移行では、リーシング表のデータ・ソースが必要です。リーシング表は、リポジトリ作成ユーティリティ(RCU)によって、Oracle WebLogic Serverスキーマの一部として自動的に作成される表領域です。

注意:

データ・ソース連結を実行し、接続の使用を削減するには、データベース・リースにWLSSchemaDatasourceを現状のまま再利用できます。このデータ・ソースはFMW1221_WLS_RUNTIMEスキーマを使用して構成済であり、このスキーマにリース表が格納されています。

エンタープライズ・デプロイメントでは、GridLinkのデータ・ソースを作成する必要があります。

  1. Oracle WebLogic Server管理コンソールにログインします。
  2. 「チェンジ・センター」「ロックして編集」をクリックします(まだこれを実行していない場合のみ)。
  3. 「ドメイン構造」ツリーで「サービス」を開き、「データ・ソース」を選択します。
  4. データ・ソースの概要ページで、「新規」をクリックして「GridLinkデータ・ソース」を選択し、次の内容を入力します。
    • 「名前」フィールドに、データ・ソースの論理名を入力します。たとえば、Leasingと入力します。

    • JNDIの名前を入力します。たとえば、jdbc/leasingです。

    • 「データベース・ドライバ」には、Oracle Driver (Thin) for GridLink Connections Versions: Anyを選択します。

    • 「次」をクリックします。

  5. 「トランザクション・オプション」ページで、「グローバル・トランザクションのサポート」チェック・ボックスを選択解除して「次へ」をクリックします。
  6. 「GridLinkデータ・ソース接続プロパティのオプション」画面で、「個別のリスナー情報の入力」を選択し、「次へ」をクリックします。
  7. 次の接続プロパティを入力します。
    • サービス名: データベースのサービス名を小文字で入力します。GridLinkデータ・ソースには、Oracle RACのサービス名を入力します。次に例を示します。

      biedg.example.com

    • ホスト名とポート: RACデータベースのSCANアドレスとポートを、コロンで区切って入力します。次に例を示します。

      db-scan.example.com:1521
      

      「追加」をクリックして、フィールドの下のリスト・ボックスにホスト名とポートを追加します。

      図14-1 RACデータベースのSCANアドレスの指定

      図14-1の説明が続きます
      「図14-1 RACデータベースのSCANアドレスの指定」の説明

      SCANアドレスは、TCPプロトコルを使用してデータベース内の適切なパラメータを問い合せると、確認できます。

      SQL>show parameter remote_listener;
      
      NAME                 TYPE        VALUE
       
      --------------------------------------------------
       
      remote_listener     string      db-scan.example.com

      注意:

      Oracle Database 11gリリース1 (11.1)の場合は、各データベース・インスタンス・リスナーの仮想IPとポートを使用します。例:

      dbhost1-vip.mycompany.com (port 1521) 

      および

      dbhost2-vip.mycompany.com (1521)
      

      Oracle Database 10gの場合は、マルチ・データ・ソースを使用してOracle RACデータベースに接続します。マルチ・データ・ソースの構成の詳細は、「Oracle RACでのマルチ・データ・ソースの使用」を参照してください。

    • データベース・ユーザー名: 次のように入力します。

      FMW1221_WLS_RUNTIME

      この例では、FMW1221は、初期Enterprise Managerドメインを構成する準備をしたときに、スキーマの作成で使用した接頭辞です。

      前のバージョンのOracle Fusion Middlewareでは、移行リース表のユーザーおよび表領域を手動で作成する必要がありました。Fusion Middleware 12c (12.2.1)では、リポジトリ作成ユーティリティ(RCU)でWLSスキーマを作成すると、リーシング表が自動的に作成されます。

    • パスワード: RCUでWLSスキーマを作成したときに使用したパスワードを入力します。

    • パスワードの確認: もう一度パスワードを入力し、「次へ」をクリックします。

  8. 「GridLinkデータベース接続のテスト」ページで、接続パラメータを確認して、「すべてのリスナーのテスト」をクリックします。

    接続が成功したときに表示される通知の一例を示します。

    Connection test for jdbc:oracle:thin:@(DESCRIPTION=(ADDRESS_LIST=(ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=db-scan.example.com)
    (PORT=1521)))(CONNECT_DATA=(SERVICE_NAME=biedg.example.com))) succeeded.
    

    「次」をクリックします。

  9. 「ONSクライアント構成」ページで、次の手順を実行します。
    • 「FANの有効化」を選択してOracle FANイベントに登録し、それらのイベントを処理できるようにします。

    • 「ONSホストとポート」フィールドにSCANアドレスを入力して、「追加」をクリックします。

      この値は、RACデータベースのONSホストおよびONSリモート・ポートである必要があります。データベースのONSリモート・ポートを検索するために、データベース・ホストで次のコマンドを使用できます。

      [orcl@db-scan1 ~]$ srvctl config nodeapps -s
       
      ONS exists: Local port 6100, remote port 6200, EM port 2016
      
    • 「次」をクリックします。

    注意:

    Oracle Database 11gリリース1 (11.1)の場合は、各データベースのONSサービスのホスト名とポートを使用します。次に例を示します。

    custdbhost1.example.com (port 6200)
    

    および

    custdbhost2.example.com (6200)
    
  10. 「ONSクライアント構成のテスト」ページで、接続パラメータを確認して、「すべてのONSノードのテスト」をクリックします。

    接続が成功したときに表示される通知の一例を示します。

    Connection test for db-scan.example.com:6200 succeeded.

    「次」をクリックします。

  11. 「ターゲットの選択」ページで、サーバー全体の移行または自動サービス移行を構成するクラスタを選択し、「クラスタのすべてのサーバー」を選択します。
  12. 「終了」をクリックします。
  13. 「変更のアクティブ化」をクリックします。

14.3 エンタープライズ・デプロイメント用のサーバー全体の移行の構成

サーバー全体の移行または自動サービス移行用にドメインを準備した後、クラスタ内の特定の管理対象サーバーに対してサーバー全体の移行を構成できます。

注意:

前述のように、移行を成功させるには、サーバーがリスニング・アドレスとして浮動IPと一致するホスト名を使用する必要があります。リスニング・アドレスは、構成ウィザードで直接指定したり、管理コンソールで更新したりできます。

14.3.1 ノード・マネージャのプロパティ・ファイルを編集してサーバー全体の移行を有効化

この項では、サーバーが実行されている2つのノード上のノード・マネージャのプロパティ・ファイルを編集します。

  1. 次のファイルを探してテキスト・エディタで開きます。
    MSERVER_HOME/nodemanager/nodmeanager.properties
    
  2. nodemanager.propertiesファイルのStartScriptEnabledプロパティをtrueに設定していない場合はtrueに設定します。

    これは、ノード・マネージャが管理対象サーバーを起動するために必要です。

  3. 次のプロパティをnodemanager.propertiesファイルに追加して、サーバー移行が正常に動作するようにします。
    • Interface

      Interface=eth0
      

      このプロパティは浮動IP (eth0など)のインタフェース名を指定します。

      注意:

      サブ・インタフェース(eth0:1eth0:2など)を指定しないでください。このインタフェースは、:0または:1なしに使用されます。

      ノード・マネージャのスクリプトは、別の:X対応のIPを移動して、追加または削除するものを決定します。たとえば、Linux環境で有効な値は、構成済のインタフェースの数に応じて、eth0eth1eth2eth3ethnとなります。

    • NetMask

      NetMask=255.255.255.0
      

      このプロパティでは、インタフェースの浮動IPのネット・マスクを指定します。

    • UseMACBroadcast

      UseMACBroadcast=true
      

      このプロパティは、ARPパケットの送信時にノードのMACアドレスを使用するかどうか、言い換えれば、arpingコマンドで-bフラグを使用するかどうかを指定します。

  4. ノード・マネージャを再起動します。
  5. これらのプロパティが適用されていることをノード・マネージャの出力(ノード・マネージャが起動したシェル)で確認します。それ以外の場合、移行中に問題が発生する可能性があります。出力は次のようになります。
    ...
    SecureListener=true
    LogCount=1
    eth0=*,NetMask=255.255.255.0
    ...

14.3.2 wlsifconfig.shスクリプトの環境とスーパーユーザー権限の設定

この項では、wlsifconfig.shスクリプトの環境とスーパーユーザー権限を設定します。このスクリプトは、移行中に、IPアドレスをマシンからマシンに転送するために使用します。通常スーパーユーザーのみが利用可能なifconfigの実行が可能でなければなりません。

wlsifconfig.shスクリプトの詳細は、『Oracle WebLogic Serverクラスタの管理』のサーバー全体の自動移行の構成に関する項を参照してください。

wlsifconfig.shスクリプトを実行するためにシステムを準備する手順は、次の項を参照してください。

14.3.2.1 wlsifconfig.shスクリプトのPATH環境変数の設定

次の表に記載されているコマンドは、各ホスト・コンピュータのPATH環境変数に必ず含めてください。

ファイル ディレクトリの場所

wlsifconfig.sh

MSERVER_HOME/bin/server_migration

wlscontrol.sh

WL_HOME/common/bin

nodemanager.domains

MSERVER_HOME/nodemanager

14.3.2.2 wlsifconfig.shスクリプトに対する権限の付与

オペレーティング・システム・ユーザー(oracle)にパスワード制限のないsudo権限を付与し、さらに/sbin/ifconfig/sbin/arpingバイナリの実行権限を付与します。

注意:

セキュリティ上の理由から、sudoを、wlsifconfig.shスクリプトの実行に必要なコマンドのサブセットに限定する必要があります。

この必須の構成タスクを実行するためのsudo権限とsystem権限については、必要に応じてシステム管理者に問い合せてください。

/etc/sudoers内の次のエントリ例では、ifconfigarpingを実行するために、oracleに対してsudo実行権限を付与しています。

Defaults:oracle !requiretty
oracle ALL=NOPASSWD: /sbin/ifconfig,/sbin/arping

14.3.3 サーバー移行ターゲットの構成

クラスタ内の移行を構成する手順は次のとおりです。

  1. Oracle WebLogic Server管理コンソールにサインインします。

  2. 「ドメイン構造」ウィンドウで、「環境」を開き、「クラスタ」を選択します。「クラスタのサマリー」ページが表示されます。

  3. 移行を構成するクラスタを、表の「名前」列でクリックします。

  4. 「移行」タブをクリックします。

  5. 「ロックして編集」をクリックします。

  6. 「移行基盤」に「データベース」を選択します。「自動移行に使用するデータ・ソース」としてドロップダウン・リストからリースを選択します。

  7. 「移行可能サーバーの候補マシン」の「使用可能」フィールドでクラスタ内の管理対象サーバーを選択し、右矢印をクリックして「選択済み」に移動します。

  8. 「保存」をクリックします。

  9. サーバー移行の候補となるマシンを設定します。管理対象サーバーすべてについてこのタスクを次のように実行する必要があります。

    1. Oracle WebLogic Server管理コンソールの「ドメイン構造」ウィンドウで、「環境」を開き、「サーバー」を選択します。

    2. 移行を構成するサーバーを選択します。

    3. 「移行」タブをクリックします。

    4. 「サーバーの自動移行を有効化」を選択し、「保存」をクリックします。

      これにより、ノード・マネージャはターゲット・ノード上の障害発生サーバーを自動的に起動できます。

      アプリケーションとリソースのターゲット設定の詳細は、「Oracle RACでのマルチ・データ・ソースの使用」を参照してください。

    5. 「移行の構成」セクションにある「使用可能」フィールドで、移行先のマシンを選択し、右向き矢印をクリックします。

      この手順では、現在のホストを使用できない場合に管理対象サーバーのフェイルオーバー先となるホストを識別します。たとえば、HOST1の管理対象サーバーの場合はHOST2を選択し、HOST2の管理対象サーバーの場合はHOST1を選択します。

    ヒント:

    「サーバーの概要」ページの「この表のカスタマイズ」をクリックし、「現在のマシン」を「使用可能」ウィンドウから「選択済み」ウィンドウへ移動すると、サーバーを実行しているマシンを確認できます。このサーバーが自動的に移行すると、構成と異なる内容になります。

  10. 「変更のアクティブ化」をクリックします。

  11. 管理サーバーと、サーバー移行が構成されたサーバーを再起動します。

14.3.4 サーバー全体の移行のテスト

この項の手順を実行して、サーバー全体の自動移行が適切に機能していることを確認します。

ノード1からテストする手順は次のとおりです。

  1. 管理対象サーバーのプロセスを停止します。

    kill -9 pid
    

    pidには、管理対象サーバーのプロセスIDを指定します。次のコマンドを実行すると、ノード内のpidを確認できます。

  2. ノード・マネージャのコンソール(killコマンドを実行したターミナル・ウィンドウ)を確認します。管理対象サーバーの浮動IPが無効になっていることを示すメッセージが表示されているはずです。

  3. ノード・マネージャが管理対象サーバーの2回目の再起動を試行するのを待ちます。ノード・マネージャは30秒間待機してからこの再起動を試行します。

  4. ノード・マネージャがサーバーを再起動し、サーバーが実行中状態になる前に、関連するプロセスを再度強制終了します。

    サーバーが再びローカルで再起動されないことを示すメッセージがノード・マネージャによってログに記録されるようになります。

    注意:

    必要な再起動回数は、次の構成ファイルのRestartMaxパラメータで設定されます。

    デフォルト値はRestartMax=2です。

ノード2からテストする手順は次のとおりです。

  1. ローカルのノード・マネージャのコンソールを確認します。ノード1で最後に管理対象サーバーの再起動が試行されてから30秒経過した後、ノード2のノード・マネージャによって、管理対象サーバーの浮動IPが有効になっていること、またこのノードでサーバーが再起動されていることが表示されます。

  2. 同じIPアドレスを使用して、製品URLにアクセスします。URLが正常な場合は、移行が成功したことを示します。

管理コンソールからの検証

Oracle WebLogic Server管理コンソールを使用して、移行を検証することもできます。

  1. 管理コンソールにログインします。
  2. 左側のコンソールで、「ドメイン」をクリックします。
  3. 「監視」タブをクリックし、「移行」サブタブをクリックします。

    「移行の状態」の表に、移行の状態に関する情報が表示されます。

注意:

サーバーの移行後、そのサーバーを元のマシンにフェイルバックするには、Oracle WebLogic管理コンソールから管理対象サーバーを停止し、再起動します。適切なノード・マネージャが、もともと割り当てられていたマシン上の管理対象サーバーを起動します。

14.4 エンタープライズ・デプロイメント内での自動サービス移行の構成

エンタープライズ・デプロイメント内の特定のサービスに対して自動サービス移行を構成することが必要になる場合があります。

注意:

現在、Oracle Business Intelligenceは自動サービス移行をサポートしていません。ここに記載されている情報は、自動サービス移行をサポートするその他のFusion Middleware製品をデプロイしているユーザーを対象としています。

14.4.1 エンタープライズ・デプロイメント・クラスタのリーシング・メカニズムとデータ・ソースの設定

自動サービス移行を構成する前に、自動サービス移行機能によって使用されるリース・メカニズムおよびデータ・ソースを確認する必要があります。静的クラスタおよび動的クラスタの両方に対してリース・メカニズムおよびデータ・ソースを構成する必要があります。

注意:

データ・ソースの集計と接続使用状況の緩和を達成するために、データベース・リースと場合と同じようにWLSSchemaDatasourceデータ・ソースを再利用できます。このデータ・ソースはFMW1221_WLS_RUNTIMEスキーマを使用して構成済であり、このスキーマにリース表が格納されています。

次の手順は、WLSSChemaDatasourceまたは「リース用のGridLinkデータ・ソースの作成」の説明に従って作成したカスタム・データソースを再利用することによってリース・データ・ソースが構成されていることを前提としています。

  1. Oracle WebLogic Server管理コンソールにログインします。
  2. 「ロックして編集」をクリックします。
  3. 「ドメイン構造」ウィンドウで、「環境」を開き、「クラスタ」を選択します。
    「クラスタのサマリー」ページが表示されます。
  4. 表の「名前」列で、移行を構成するクラスタをクリックします。
  5. 「移行」タブをクリックします。
  6. 「移行基盤」ドロップダウン・メニューで「データベース」が選択されていることを確認します。
  7. 「自動移行に使用するデータ・ソース」ドロップダウン・メニューから、「リース用のGridLinkデータ・ソースの作成」で作成したリーシング・データ・ソースを選択します。データ・ソース集計の場合は、WLSSchemaDatasourceを選択します。
  8. 「保存」をクリックします。
  9. 変更をアクティブ化します。
  10. 管理対象サーバーを再起動して、変更内容を有効にします。同じ構成変更セッションでASMの他の部分も構成している場合は、再起動を最後の1回のみにすることで、ダウンタイムを短くできます。

データベース・リースの構成が完了したら、静的クラスタまたは動的クラスタでのサービス移行の構成を続けます。

14.4.2 静的クラスタに対する自動サービス移行の構成

「エンタープライズ・デプロイメント・クラスタに対するリース・メカニズムおよびデータ・ソースの設定」での説明に従ってクラスタのリースを構成すると、エンタープライズ・デプロイメントで特定のサービスについて自動サービス移行を構成できます。次の項では、静的クラスタに対して自動サービス移行を構成して検証する方法について説明します。

14.4.2.1 クラスタ内の管理対象サーバーの移行設定の変更

クラスタのリーシング・メカニズムとデータ・ソースを設定した後に、サービス移行に対して構成する管理対象サーバーのJTAの自動移行を有効にすることができます。このトピックは、エンタープライズ・デプロイメントの一部としてJTAサービスをデプロイしている場合にのみ適用されます。

クラスタ内の管理対象サーバーの移行設定を変更する手順は次のとおりです。
  1. 管理コンソールにログインしていない場合は、ログインして、「ロックして編集」をクリックします。
  2. 「ドメイン構造」ペインの「環境」ノードを開き、「サーバー」をクリックします。
    「サーバーのサマリー」ページが表示されます。
  3. 表の「名前」列で、変更するサーバーの名前をクリックします。
    選択したサーバーの設定ページが開き、「構成」タブがデフォルトで表示されます。
  4. 「移行」タブをクリックします。
  5. 「JTA移行ポリシー」ドロップダウン・メニューから「障害リカバリ」を選択します。
  6. ページの「JTA候補サーバー」セクションで、「使用可能」リスト・ボックスの管理対象サーバーを選択し、「移動」ボタンをクリックして、「選択済み」リスト・ボックスに移動します。
  7. このページの「JMSサービスの候補サーバー」セクションで、「使用可能」リスト・ボックスの管理対象サーバーを選択し、移動ボタンをクリックして、「選択済み」リスト・ボックスに移します。
  8. 「保存」をクリックします。
  9. 変更が有効になるように、管理対象サーバーと管理サーバーを再起動します。同じ構成変更セッションでASMの他の部分も構成している場合は、再起動を最後の1回のみにすることで、ダウンタイムを短くできます。

14.4.2.2 サービス移行ポリシーの選択について

自動サービス移行を構成する場合は、クラスタごとにサービス移行ポリシーを選択します。このトピックでは、サービス移行ポリシーを選択する際のガイドラインと考慮事項を説明します。

たとえば、シングルトンを実行するか、またはパス・サービスを使用する製品やコンポーネントには、必ず1回の自動移行ポリシーが役立ちます。このポリシーでは、候補サーバーのリストにある管理対象サーバーが1つ以上動作している場合、この移行可能ターゲットでホストされるサービスは、サーバーが失敗するか管理者によって(正常または強制的に)シャットダウンされた場合に、クラスタ内のいずれかの場所でアクティブ化されます。これにより、起動時に複数の同種サービスが1つのサーバーに存在する場合があります。

このポリシーを使用する場合は、クラスタの起動を監視して、各サーバーで実行されているサーバーを識別する必要があります。その後、必要に応じて手動のフェイルバックを実行して、バランスの取れた構成にシステムを配置できます。

その他のFusion Middlewareコンポーネントには、障害回復サービスの自動移行ポリシーの方が適しています。

Business Intelligence Publisherの場合は、「サービスの手動での移行のみ」ポリシーを選択します。

『Oracle WebLogic Serverクラスタの管理』の手動および自動サービス移行のポリシーに関する項を参照してください。

14.4.2.3 クラスタ内の各管理対象サーバーのサービス移行ポリシーの設定

クラスタ内の各サーバーの移行設定を変更した後、WebLogic管理コンソールを使用して、サービスを識別し、クラスタ内の各管理対象サーバーの移行ポリシーを設定できます。
  1. まだ行っていない場合、管理コンソールにログインして「ロックして編集」をクリックします。
  2. 「ドメイン構造」ペインで、「環境」「クラスタ」「移行可能なターゲット」の順に展開します。
  3. クラスタで最初の管理対象サーバーの名前をクリックします。
  4. 「移行」タブをクリックします。
  5. 「サービス移行ポリシー」ドロップダウン・メニューからクラスタ用の適切なポリシーを選択します。
  6. 「保存」をクリックします。
  7. クラスタの他の管理対象サーバーそれぞれについて、手順2から6までを繰り返します。
  8. 変更をアクティブ化します。
  9. 管理対象サーバーを再起動して、変更内容を有効にします。同じ構成変更セッションでASMの他の部分も構成している場合は、再起動を最後の1回のみにすることで、ダウンタイムを短くできます。

14.4.2.4 静的クラスタでの自動サービス移行の検証

クラスタおよび管理対象サーバーの自動サービス移行を構成した後に、次のように構成を検証します。
  1. 管理コンソールにログインしていない場合は、ログインします。
  2. 「ドメイン構造」ペインで、「環境」「クラスタ」の順に開きます。
  3. 「移行可能なターゲット」をクリックします。
  4. 「制御」タブをクリックします。
    コンソールに移行可能なターゲットおよびその現在のホスト・サーバーのリストが表示されます。
  5. 「移行可能なターゲット」表で、移行可能なターゲットのいずれか1つの行を選択します。
  6. 「現在のホスト・サーバー」列の値に注意してください。
  7. オペレーティング・システムのコマンド行を使用して、最初の管理対象サーバーを停止します。

    次のコマンドを使用して、管理対象サーバー・プロセスを終了し、クラッシュ・シナリオをシミュレートします。

    kill -9 pid
    

    この例では、pidを、管理対象サーバーのプロセスID (PID)に置き換えます。次のUNIXコマンドを実行すると、PIDを確認できます。

    ps -ef | grep managed_server_name
    

    注意:

    プロセスの停止後、管理対象サーバーを自動的に起動するように構成されている場合があります。この場合、再度kill –9コマンドを使用して、2番目のプロセスを強制終了する必要があります。

  8. ノード・マネージャが動作しているターミナル・ウィンドウ(コンソール)を確認します。

    選択した管理対象サーバーでエラーが発生したことを示すメッセージが表示されます。メッセージは次のようになります。

    <INFO> <domain_name> <server_name> 
    <The server 'server_name' with process id 4668 is no longer alive; waiting for the process to die.>
    <INFO> <domain_name> <server_name> 
    <Server failed during startup. It may be retried according to the auto restart configuration.>
    <INFO> <domain_name> <server_name>
    <Server failed but will not be restarted because the maximum number of restart attempts has been exceeded.>
  9. Oracle WebLogic Server管理コンソールに戻り、移行可能なターゲットの表をリフレッシュし、移行可能なターゲットがクラスタ内の残りの実行中の管理対象サーバーに転送されていることを確認します。
    • 強制終了したプロセスの現在のホスト・サーバーが更新され、別のホストに移行されたことが表示されていることを確認します。
    • プロセスの「最後の移行のステータス」列の値が「成功」であることを確認します。
  10. 現在サービスをホストしている管理対象サーバーのログ・ファイルを開いて確認し、JTAエラーまたはJMSエラーを探します。

    注意:

    JMSテストの場合は、宛先からメッセージ数を取得し、移行可能ターゲットにスタック・メッセージがないことを確認することをお薦めします。

    たとえば、共通分散宛先(UDD)の場合は次のとおりです。

    1. 管理コンソールのJMSサブデプロイメント・モジュールにアクセスします。

      「ドメイン構造」ペインで、「サービス」「メッセージング」「JMSモジュール」の順に選択します。

    2. 「JMSモジュール」をクリックします。

    3. 「リソースのサマリー」表で、「宛先」をクリックしてから「モニタリング」タブをクリックします。

    4. 「メッセージ総数」「保留メッセージ数」の値を確認します。表に表示されていない値がある場合は、「表のカスタマイズ」をクリックしてその列を表に追加します。

14.4.2.5 自動サービス移行後のサービスのフェイルバック

自動サービス移行が発生した場合、Oracle WebLogic Serverでは、サーバーがオンラインに戻りクラスタに再度参加するときに、サービスが元のサーバーにフェイルバックすることはサポートされません。

そのため、フェイルオーバー中に、自動サービス移行によって特定のJMSサービスがバックアップ・サーバーに移行されたあとは、元のサーバーがオンラインに戻っても、サービスが元のサーバーに移行されることはありません。かわりに、サービスを元のサーバーに手動で移行する必要があります。

サービスを元のサーバーにフェイルバックするには、次の手順を実行します。

  1. まだ行っていない場合は、管理コンソールの「チェンジ・センター」で、「ロックして編集」をクリックします。

  2. 「ドメイン構造」ツリーで、「環境」「クラスタ」の順に開き、「移行可能なターゲット」を選択します。

  3. 1つ以上の移行可能なターゲットを一度に移行するには、「移行可能なターゲットのサマリー」ページで次を実行します。

    1. 「制御」タブをクリックします。

    2. チェック・ボックスを使用して、移行する1つまたは複数の移行可能なターゲットを選択します。

    3. 「移行」をクリックします。

    4. 「新しいホスト・サーバー」ドロップダウンを使用して、元の管理対象サーバーを選択します。

    5. 「OK」をクリックします。

      JMS関連サービスを移行するリクエストが発行されます。「移行可能なターゲット」表の「最後の移行のステータス」列に、リクエストされた移行が成功したのか、失敗したのかが示されます。

    6. 移行が成功したら、編集ロックを解放します。

14.4.3 動的クラスタの自動サービス移行の構成

「エンタープライズ・デプロイメント・クラスタに対するリース・メカニズムおよびデータ・ソースの設定」の説明に従ってクラスタのリースを構成すると、サービス移行の構成を続行できます。

動的クラスタは、クラスタ全体がサービスのターゲットになるため、サービス移行の構成が簡単になります。ただし、カスタム永続ストア・レベルとJTAサービスに対する移行ポリシーを構成する必要はあります。これらのポリシーによって、ぞれぞれJMSサービスとJTAサービスの移行動作が決まります。

14.4.3.1 動的クラスタに対するサービス移行ポリシーの選択について

動的クラスタに対してサービス移行を構成するとき、永続ストアごとにサービス移行ポリシーを選択します。この項では、サービス移行ポリシーを選択する際のガイドラインと考慮事項を示します。次のオプションを使用できます。

  • オフ: 障害の発生した永続ストア・インスタンスおよび関連サービスの再起動の機能を含む、クラスタのターゲットとして指定されたJMSサービス・オブジェクトの移行および再起動サポートを無効にします。このポリシーをシングルトン移行ポリシーと組み合せることはできません。

  • 失敗時: サブシステム・サービスまたはWebLogic Serverインスタンスの失敗時に、インスタンスの自動フェイルバックおよびロード・バランシングを含む、インスタンスの自動移行および再起動を有効にします。

  • 常時: 「失敗時」と同じように動作し、正常な停止または部分クラスタの開始の場合でも、自動的にインスタンスを移行します。

シングルトンを実行する、またはPathサービスを使用する製品やコンポーネントでは、「常時」ポリシーのメリットがあります。このポリシーでは、1つ以上の管理対象サーバーが実行中の場合に、サーバーで障害が発生した、あるいは管理者によって(正常または強制的に)シャットダウンされた場合に、インスタンスがどこかでアクティブなままになります。このタイプの障害またはシャットダウンにより、複数の同種のサービスが起動時に1つのサーバー上で終了することがあります。

その他のFusion Middlewareコンポーネントでは、「失敗時」ポリシーのほうが適しています。

これらのガイドラインに基づき、Oracle SOA Suiteエンタープライズ・トポロジには次のポリシーが推奨されます。

  • SOA_Cluster: 失敗時

  • OSB_Cluster: 失敗時

  • MFT_Cluster: 失敗時

高可用性のためのJMS構成の詳細は、「簡略化されたJMSクラスタと高可用性の構成」を参照してください。

14.4.3.2 永続ストアに関する移行設定の変更

各クラスタについて移行ポリシーを選択すると、クラスタの永続ストアを指定し、WebLogic管理コンソールを使用して各クラスタの移行ポリシーを設定できます。
  1. ログインしていない場合は管理コンソールにログインし、「ロックして編集」をクリックします。
  2. 「ドメイン構造」ペインで、「環境」「サービス」の順に開き、「永続ストア」をクリックします。
  3. 変更する「永続ストア」の名前をクリックします。

    注意:

    JDBC永続ストアを使用すると、余分な未使用のファイル・ストアが自動的に作成されますが、クラスタをターゲットとしたものではありません。こうしたファイル・ストアは無視してください。

  4. 「高可用性」タブをクリックします。
  5. 「移行ポリシー」ドロップダウン・メニューで、クラスタに適したポリシーを選択します。「動的クラスタに対するサービス移行ポリシーの選択について」を参照してください。
  6. 「保存」をクリックします。
  7. クラスタの永続ストアごとに手順2から6を繰り返します。
  8. 「変更のアクティブ化」をクリックします。
  9. 管理対象サーバーを再起動して、変更内容を有効にします。同じ構成変更セッションでサービス移行の他の部分も構成している場合は、再起動を最後の1回のみにすることで、ダウンタイムを短くできます。

14.4.3.3 JTAサービスに関する移行設定の変更

動的クラスタのいずれかのメンバーで障害またはシャットダウンが発生した場合にクラスタのメンバーがXAログを再開できるように、各サーバーのJTAサービスについて、適切な移行ポリシーを設定する必要があります。動的クラスタのサーバーに対し移行ポリシーを設定するには、次の手順を実行します。
  1. ADMINVHN:7001/emにアクセスし、必要な資格証明を使用してFMW Controlコンソールにログインします。
  2. 右上隅にあるロック・アイコンをクリックし、「ロックして編集」をクリックします。
  3. 左側のターゲット・ナビゲーション・ツリーで、該当するドメインをクリックします。
  4. 「WebLogicドメイン」「環境」「サーバー・テンプレート」をクリックします。
  5. 該当するテンプレートをクリックして、「移行」タブをクリックします。
  6. 「JTA移行ポリシー」ドロップダウン・リストから、サービスに必要な移行ポリシーを選択します。各SOAコンポーネントに必要な設定は次のとおりです。(インストールされている環境によっては、表示されないものもあります。)
    • SOA_Cluster: 障害リカバリ

    • OSB_Cluster: 障害リカバリ

    • MFT_Cluster: 障害リカバリ

  7. 「保存」をクリックします。
  8. 右上隅にあるロック・アイコンをクリックし、「変更のアクティブ化」をクリックします。
  9. 変更が有効になるように、管理対象サーバーと管理サーバーを再起動します。

14.4.3.4 動的クラスタでの自動サービス移行の検証

動的クラスタのサービス移行を構成した後で、次のように構成を検証します。
  1. ログインしていない場合は管理コンソールにログインします。
  2. 「ドメイン構造」ペインで、「環境」「クラスタ」の順に選択します。
  3. クラスタ内で、サービス移行を確認するクラスタをクリックします。
  4. 「モニタリング」タブ、「ヘルス」の順にクリックします。
    コンソールに、クラスタのサーバーとその状態のリストが表示されます。
  5. 各管理対象サーバーを開き、その永続ストアが正常であることを確認します。
  6. 「ドメイン構造」ペインで、「環境」「サービス」「メッセージング」「JMSサーバー」の順に選択します。
  7. クラスタのJMSサーバーをいずれかクリックし、「モニタリング」タブをクリックします。

    2つのインスタンス(動的サーバーごとに1つ)が表示され、各インスタンスが動的サーバーの1つで稼働していることを確認します。

  8. オペレーティング・システムのコマンド行を使用して、最初の管理対象サーバーを停止します。次のコマンドを使用して、管理対象サーバー・プロセスを終了し、クラッシュ・シナリオをシミュレートします。
    kill -9 pid
    この例では、pidを、管理対象サーバーのプロセスID (PID)に置き換えます。次のUNIXコマンドを実行すると、PIDを確認できます。
    ps -ef | grep managed_server_name

    注意:

    最初にプロセスを停止した後で自動的に起動するように、管理対象サーバーを構成することができます。この場合、再度kill –9コマンドを使用して、2番目のプロセスを強制終了する必要があります。

  9. ノード・マネージャが動作しているターミナル・ウィンドウ(コンソール)を確認します。
    選択した管理対象サーバーでエラーが発生したことを示すメッセージが表示されます。次のようなメッセージが表示されます。
    <INFO> <domain_name> <server_name>
    <The server 'server_name' with process id 4668 is no longer alive; waiting for the process to die.>
    <INFO> <domain_name> <server_name>
    <Server failed during startup. It may be retried according to the auto restart configuration.>
    <INFO> <domain_name> <server_name>
    <Server failed but will not be restarted because the maximum number of restart attempts has been exceeded.>
  10. Oracle WebLogic Server管理コンソールに戻り、「クラスタ」「モニタリング」「ヘルス」の表をリフレッシュします。まだ稼働している残りの管理対象サーバーで、永続ストアが実行されていることを確認します。
  11. 「ドメイン構造」ペインで、「環境」「サービス」「メッセージング」「JMSサーバー」の順に選択します。
  12. クラスタのJMSサーバーをいずれかクリックし、「モニタリング」タブをクリックします。

    まだ稼働している残りの管理対象サーバーで、2つのインスタンスが引き続き稼働していることを確認します。

  13. 現在サービスをホストしている管理対象サーバーのログ・ファイルを開いて確認します。JTAまたはJMSエラーがないかどうか確認します。

    注意:

    JMSテストの場合、宛先からメッセージ・カウントを取得し、移行可能なターゲットにメッセージがスタックしていないことを確認することが推奨されます。たとえば、共通分散宛先(UDD)の場合は次のとおりです。

    1. 管理コンソールでJMSサブデプロイメント・モジュールにアクセスします。

    2. 「ドメイン構造」ペインで、「サービス」「メッセージング」「JMSモジュール」を選択します。

    3. 「JMSモジュール」をクリックします。

    4. 「リソースのサマリー」表で、「宛先」をクリックしてから「モニタリング」タブをクリックします。「メッセージ総数」「保留メッセージ数」の値を確認します。

    表に表示されていない値がある場合は、「表のカスタマイズ」をクリックしてその列を表に追加します。

  14. ログを確認します。残りのサーバーで、次のようなメッセージが表示されます。
    <Info> <Cluster> <soahost1> <WLS_SOA1> <[STANDBY] ExecuteThread: 
    '43' for queue: 'weblogic.kernel.Default (self-tuning)'> <<WLS Kernel>> 
    <> <49c99f17-a5d6-487d-a710-65eef0262ebc-0000063c> <1489481002608> 
    <[severity-value: 64] [rid: 0] [partition-id: 0] [partition-name: DOMAIN] > <BEA-000189> 
    <The Singleton Service UMSJMSJDBCStore_auto_1_WLS_SOA2 is now active on this server.>
    
    <Info> <Cluster> <soahost1> <WLS_SOA1> <[STANDBY] ExecuteThread: 
    '43' for queue: 'weblogic.kernel.Default (self-tuning)'> <<WLS Kernel>> 
    <> <49c99f17-a5d6-487d-a710-65eef0262ebc-0000063c> <1489481002609> 
    <[severity-value: 64] [rid: 0] [partition-id: 0] [partition-name: DOMAIN] > <BEA-003130> 
    <UMSJMSJDBCStore_auto_1_WLS_SOA2 successfully activated on server WLS_SOA1.>

    詳細は、次のフラグを使用してデバッグできます。

    -Dweblogic.debug.DebugSingletonServices=true -
    Dweblogic.debug.DebugServerMigration=true

14.4.3.5 自動サービス移行後のサービスのフェイルバック

動的クラスタリングでは、分散インスタンスが優先サーバーから移行される場合、優先サーバーが再起動されるときにフェイル・バックを試みます。そのため、フェイルオーバー中に、サービス移行プロセスによって特定の永続ストアがバックアップ・サーバーに移行された後は、元のサーバーがオンラインに戻っても、サービスが元のサーバーに移行されることはありません。