Oracle® Fusion Middleware Oracle Business Intelligenceエンタープライズ・デプロイメント・ガイド 12c (12.2.1.4.0) E96110-02 |
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この項では、エンタープライズ・デプロイメント環境で実行する必要性が見込まれる構成および管理タスクについて説明します。
ホスト・コンピュータで障害が発生した場合は、管理サーバーを別のホストにフェイルオーバーできます。次の項では、BIHOST1およびBIHOST2から管理サーバーのフェイルオーバーおよびフェイルバックを検証する手順について説明します。
前提条件:
管理サーバーを、localhostまたは他の任意のホストのアドレスではなく、ADMINVHN上でリスニングするように構成します。
ADMINVHN仮想IPアドレスの詳細は、「エンタープライズ・デプロイメント用の必須IPアドレスの予約」を参照してください。
この手順では、管理サーバーのドメイン・ホーム(ASERVER_HOME)が両方のホスト・コンピュータにマウントされていることを前提にしています。これにより、管理サーバーのドメイン構成ファイルと永続ストアが、共有記憶域デバイスに保存されるようになります。
管理サーバーはBIHOST1からBIHOST2にフェイルオーバーし、これら2つのノードには次のIPが割り当てられています。
BIHOST1: 100.200.140.165
BIHOST2: 100.200.140.205
ADMINVHN : 100.200.140.206。これは管理サーバーを実行している場所の仮想IPであり、仮想サブ・インタフェース(eth0:1など)に割り当てられ、BIHOST1とBIHOST2で使用できます。
Oracle WebLogic ServerとOracle Fusion Middlewareのコンポーネントが、このガイドの個々の構成の章で示すように、BIHOST2にインストールされています。
具体的には、両方のホスト・コンピュータは、まったく同じパスを使用してOracleホームのバイナリ・ファイルを参照します。
次の手順は、管理サーバーを別のノード(BIHOST2)にフェイルオーバーする方法を示します。フェイルオーバー後でも、管理サーバーは引き続き同じOracle WebLogic Serverマシン(物理マシンではなく論理マシン)を使用することに注意してください。
この手順では、エンタープライズ・トポロジに対してドメインごとのノード・マネージャを構成していることが前提となります。「標準的なエンタープライズ・デプロイメントのノード・マネージャ構成について」を参照してください
管理サーバーを別のホストにフェイルオーバーするには:
管理サーバーを停止します。
管理サーバー・ドメイン・ディレクトリ(ASERVER_HOME)のノード・マネージャを停止します。
ADMINVHN仮想IPアドレスを第2ホストに移行します。
次のコマンドをBIHOST1上でrootとして実行し、仮想IPアドレスをそのCIDRでチェックします。
ip addr show dev ethX
ここで、X
はADMINVHNで現在使用されているインタフェースです。
ip addr show dev eth0
BIHOST1で次のコマンドをroot権限で実行します(X:YはADMINVHNで現在使用しているインタフェース)。
ip addr del ADMINVHN/CIDR dev ethX
:Y
ここで、X
:Y
はADMINVHNで現在使用されているインタフェースです。
ip addr del 100.200.140.206/24 dev eth0:1
BIHOST2で次のコマンドをルートとして実行します。
ip addr add ADMINVHN/CIDR dev ethX label ethX:Y
ここで、X
:Y
はADMINVHNで現在使用されているインタフェースです。
ip addr add 100.200.140.206/24 dev eth0 label eth0:1
注意:
使用するネットマスクとインタフェースを表すCIDRは、BIHOST2で使用可能なネットワーク構成と一致している必要があります。
特に冗長結合インタフェースを持つシステムの場合、ネットワーク・インタフェースのデバイス名がX以外のものである場合があります。
次の例のように、arping
を使用してルーティング表を更新します。
arping -b -A -c 3 -I eth0 100.200.140.206
BIHOST2上の管理サーバー・ドメイン・ホームのノード・マネージャを起動します。
BIHOST2で管理サーバーを起動します。
次の方法でBIHOST2上の管理サーバーにアクセスできることをテストします。
次のURLを使用してOracle WebLogic Server管理コンソールにアクセスできることを確認します。
http://ADMINVHN:7001/console
次のURLを使用して、Fusion Middleware Controlのコンポーネントにアクセスできることを確認し、そのステータスを検証します。
http://ADMINVHN:7001/em
親トピック: 管理サーバーの手動フェイルオーバーの検証
AdminServerにアクセスするようにWeb層を構成している場合、管理サーバーの手動フェイルオーバーを実行した後で、標準の管理URLを使用して管理サーバーにアクセスできるかどうかを確認することが重要です。
ロード・バランサから次のURLにアクセスして、BIHOST2で実行している管理サーバーにアクセスできることを確認します。
http://admin.example.com/console
このURLによって、WebLogic Server管理コンソールが表示されます。
http://admin.example.com/em
このURLによって、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlが表示されます。
親トピック: 管理サーバーの手動フェイルオーバーの検証
単一のエンタープライズ・デプロイメント・ドメイン内で各製品を効率的に管理するには、特定の管理ロールまたはグループを必要とする製品を理解することに加え、製品固有の管理ロールをエンタープライズ・デプロイメント管理グループに追加する方法を理解することが必要です。
各エンタープライズ・デプロイメントは複数の製品で構成されています。製品の一部には、各製品への管理アクセスの制御に使用される、特定の管理ユーザー、ロールまたはグループが存在します。
ただし、複数の製品で構成されているエンタープライズ・デプロイメントでは、単一のLDAPベースの認可プロバイダと、単一の管理ユーザーおよびグループを使用して、デプロイメントのあらゆる側面に対するアクセスを制御できます。「新しいLDAPオーセンティケータの作成と新しいエンタープライズ・デプロイメント管理者ユーザーおよび管理者グループのプロビジョニング」を参照してください。
単一のエンタープライズ・デプロイメント・ドメイン内で各製品を効率的に管理できるようにするには、特定の管理ロールまたはグループを必要とする製品を理解すること、単一の共通エンタープライズ・デプロイメントの管理グループに特定の製品管理ロールを追加する方法を知ること、さらに必要な場合は、必須の製品固有の管理グループにエンタープライズ・デプロイメントの管理ユーザーを追加する方法を知ることが必要になります。
詳細な情報は、次のトピックを参照してください
製品固有の管理グループを持つ製品では、次の手順を使用して、エンタープライズ・デプロイメントの管理ユーザー(weblogic_bi
)をグループに追加します。これにより、Enterprise Managerの管理者ユーザーを使用して製品を管理できるようになります。
親トピック: エンタープライズ・デプロイメントの管理用のロールの構成
管理サーバーの手動フェイルオーバーをテストして、フェイルオーバー後に管理URLにアクセスできることを検証した後、管理サーバーをその元のホストに移行できます。
親トピック: 管理サーバーの手動フェイルオーバーの検証
中間層とハードウェア・ロード・バランサ間のSSL通信を有効化する方法を理解することは重要です。
注意:
次の手順は、ハードウェア・ロード・バランサにSSLが構成されており、その結果システムのフロント・エンド・アドレスが保護されている場合に使用できます。
エンタープライズ・デプロイメントには、中間層で実行されているソフトウェアが、ハードウェア・ロード・バランサのフロントエンドSSLアドレスにアクセスしなければならないシナリオがあります。このシナリオでは、ロード・バランサと起動サーバー間で、適切なSSLハンドシェイクが行われる必要があります。中間層の管理サーバーと管理対象サーバーが適切なSSL構成を使用して起動されていない場合は、このハンドシェイクを実行できません。
この項では、BIHOST1に自己署名証明書を作成する手順について説明します。各ホストのネットワーク名または別名を使用してすべてのアプリケーション層ホストの証明書を作成します。
キーストアおよびトラスト・キーストアを保持するディレクトリは、すべてのノードからアクセスできる共有記憶域に配置して、サーバーが(手動またはサーバー移行により)フェイルオーバーしたときにフェイルオーバー・ノードから適切な証明書にアクセスできるようにする必要があります。様々な目的(HTTPを起動するためのSSL設定など)で使用される証明書には、中央ストアまたは共有ストアを使用することをお薦めします。KEYSTORE_HOMEロケーションに置かれるファイル・システムの仕様は、「エンタープライズ・デプロイメントの推奨ディレクトリ構造について」を参照してください。
かわりに信頼できるCA証明書を使用する方法は、『Oracle WebLogic Serverセキュリティの管理』のアイデンティティとトラストの構成に関する情報を参照してください。
パスワードについて
このマニュアルで使用するパスワードは、あくまでも例にすぎません。本番環境ではセキュアなパスワードを使用してください。たとえば、大文字と小文字の両方および数字を含むパスワードを使用します。
自己署名証明書を作成する手順は次のとおりです。
この項では、BIHOST1.example.com
でアイデンティティ・キーストアを作成する方法について説明します。
前の項では、証明書とキーを作成して、それを共有記憶域に配置しました。この項では、すべてのホストおよびADMINVHNに対して前に作成した証明書と秘密鍵が新しいアイデンティティ・ストアにインポートされます。インポートする証明書とキーの各組合せに対して異なる別名を使用してください。
注意:
アイデンティティ・ストアは、utils.ImportPrivateKey
ユーティリティを使用して証明書および対応する鍵をインポートすることで作成されます(存在していない場合)。
SSLハンドシェイクが適切に動作するには、ロード・バランサの証明書をWLSサーバーのトラスト・ストアに追加する必要があります。ロード・バランサの証明書を追加するには、次の手順を実行します。
注意:
WLSサーバー・トラスト・ストアにロード・バランサ証明書を追加する必要があるのは、自己署名証明書の場合のみです。サードパーティの認証局が発行したロード・バランサ証明書の場合は、ルートの公開証明書と中間証明書をトラスト・ストアにインポートする必要があります。
setDomainEnv.sh
スクリプトは、Oracle WebLogic Serverによって提供され、ドメイン内の管理サーバーと管理対象サーバーの起動に使用されます。各サーバーが更新済のトラスト・ストアにアクセスできるようにするには、エンタープライズ・デプロイメント内の各ドメイン・ホーム・ディレクトリのsetDomainEnv.sh
スクリプトを次のように編集します。カスタム・キーストアを使用するようにノード・マネージャを構成するには、すべてのノード内のASERVER_HOME
/nodemanager
ディレクトリとMSERVER_HOME
/nodemanager
ディレクトリの両方にあるnodemanager.properties
ファイルの最後に次の行を追加します。
KeyStores=CustomIdentityAndCustomTrust CustomIdentityKeyStoreFileName=Identity KeyStore CustomIdentityKeyStorePassPhrase=Identity KeyStore Passwd CustomIdentityAlias=Identity Key Store Alias CustomIdentityPrivateKeyPassPhrase=Private Key used when creating Certificate
ノード・マネージャのリスニング・アドレスのCustomIdentityAlias
には必ず正しい値を使用してください。たとえば、utils.ImportPrivateKeyユーティリティを使用したアイデンティティ・キーストアの作成に関する項の手順に従って、BIHOST1 MSERVER_HOMEで別名BIHOST1を使用し、BIHOST1のASERVER_HOMEで別名ADMINVHNを使用します。
Example for BIHOST1: KeyStores=CustomIdentityAndCustomTrust CustomIdentityKeyStoreFileName=KEYSTORE_HOME/appIdentityKeyStore.jks CustomIdentityKeyStorePassPhrase=password CustomIdentityAlias=BIHOST1 CustomIdentityPrivateKeyPassPhrase=password
nodemanager.properties
ファイルのパスフレーズ・エントリは、ノード・マネージャの起動時に暗号化されます。セキュリティ上の理由から、nodemanager.properties
ファイルのエントリが暗号化されていない状態になる時間は最小限に抑えてください。ファイルを編集した後、できるだけ速やかにノード・マネージャを再起動し、エントリを暗号化します。
注意:
この構成の実行後、ドメインを拡張するたびにCustomIdentityAlias
を修正する必要があります。解凍操作によって、ドメイン構成が書き込まれるときにCustomIdentityAlias
が管理サーバーの値に置き換えられます。Oracle Business Intelligenceエンタープライズ・デプロイメントの必要なディレクトリと構成データを確実にバックアップするために、次に記載するガイドラインに従うことをお薦めします。
注意:
この項で示す静的なランタイム・アーティファクトの一部は、Network Attached Storage (NAS)からホストされています。可能な場合は、これらのボリュームをアプリケーション・サーバーではなく直接NASファイラからバックアップおよびリカバリします。
Oracle Fusion Middleware製品のバックアップとリカバリの一般情報は、『Oracle Fusion Middlewareの管理』の次の項を参照してください。
環境のバックアップ
環境のリカバリ
表13-1は、一般的なOracle Business Intelligenceエンタープライズ・デプロイメントのバックアップ対象である静的アーティファクトを示しています。
表13-1 Oracle Business Intelligenceエンタープライズ・デプロイメントのバックアップ対象である静的アーティファクト
タイプ | ホスト | 層 |
---|---|---|
データベースOracleホーム |
DBHOST1およびDBHOST2 |
データ層 |
Oracle Fusion Middleware Oracleホーム |
WEBHOST1およびWEBHOST2 |
Web層 |
Oracle Fusion Middleware Oracleホーム |
BIHOST1およびBIHOST2 (またはNASファイラ) |
アプリケーション層 |
インストール関連ファイル |
WEBHOST1、WEHOST2および共有記憶域 |
N/A |
表13-2は、一般的なOracle Business Intelligenceエンタープライズ・デプロイメントのバックアップ対象であるランタイム・アーティファクトを示しています。
表13-2 Oracle Business Intelligenceエンタープライズ・デプロイメントのバックアップ対象であるランタイム・アーティファクト
タイプ | ホスト | 層 |
---|---|---|
管理サーバーのドメイン・ホーム(ASERVER_HOME) |
BIHOST1 (またはNASファイラ) |
アプリケーション層 |
アプリケーション・ホーム(APPLICATION_HOME) |
BIHOST1 (またはNASファイラ) |
アプリケーション層 |
Oracle RACデータベース |
DBHOST1およびDBHOST2 |
データ層 |
スクリプトとカスタマイズ |
ホスト当たり |
アプリケーション層 |
デプロイメント・プラン・ホーム(DEPLOY_PLAN_HOME) |
BIHOST1 (またはNASファイラ) |
アプリケーション層 |
OHS/OTD構成ディレクトリ |
WEBHOST1およびWEBHOST2 |
Web層 |
シングルトン・データ・ディレクトリ(SDD) |
BIHOST1 (またはNASファイラ) |
アプリケーション層 |
永続ストアは、永続性を必要とするWebLogic Serverのサブシステムおよびサービスに対し、組込みの高性能なストレージ・ソリューションを提供します。
たとえば、JMSサブシステムは永続JMSメッセージおよび恒久サブスクライバを格納し、JTAトランザクション・ログ(TLOG)はサーバーによって調整されているが完了していない可能性があるコミットされたトランザクションに関する情報を格納します。永続ストアは、ファイルベースのストアまたはJDBC対応データベースの永続性をサポートします。永続ストアの高可用性は、サーバーまたはサービス移行によって提供されます。サーバーまたはサービス移行では、WebLogicクラスタのすべてのメンバーが、同一のトランザクションおよびJMS永続ストアにアクセスできる必要があります(永続ストアがファイル・ベースかデータベース・ベースかにかかわらず)。
エンタープライズ・デプロイメントの場合、トランザクション・ログ(TLOG)とJMSにはJDBC永続ストアを使用することをお薦めします。
この項では、JDBCとファイル永続ストアを比較して利点を分析し、サポートされるデータベースで永続ストアを構成する手順を説明します。JDBCストアではなくファイル永続ストアを使用する場合に、これを構成する手順も、この項で説明します。
永続ストアを利用するFMW製品およびコンポーネントを決定するには、WebLogic Serverコンソールの「ドメイン構造」ナビゲーションで、ドメイン名 > 「サービス」 > 「永続ストアを使用します。リストには、ストア、ストア・タイプ(FileStoreおよびJDBC)、およびストアのターゲットが示されます。リストされている中でMDSに関連するストアについてはこの章では扱わず、考慮されません。
コンポーネント/製品 | JMSストア | TLOGストア |
---|---|---|
B2B |
あり |
あり |
BAM |
あり |
あり |
BPM |
あり |
あり |
ESS |
なし |
なし |
HC |
あり |
あり |
Insight |
あり |
あり |
MFT |
あり |
あり |
OSB |
あり |
あり |
SOA |
あり |
あり |
WSM |
なし |
なし |
コンポーネント/製品 | JMSストア | TLOGストア |
---|---|---|
OAM |
なし |
なし |
OIM |
あり |
あり |
Oracle Fusion MiddlewareではOracle WebLogic Serverトランザクション・ログ(TLOG)とJMSに対して、データベース・ベースとファイル・ベース両方の永続ストアをサポートしています。環境の永続ストア戦略を決定する前に、各アプローチのメリットとデメリットを検討してください。
注意:
選択するストレージ方法に関係なく、トランザクションの整合性および一貫性を確保するために、JMSとTLOGの両方に同じタイプのストアを使用することをお薦めします。
TLOGおよびJMSデータをOracleデータベースに格納する場合、データベースの複製機能と高可用性機能を利用できます。たとえば、Oracle Data Guardを使用するとサイト間の同期が簡単になります。これは、Oracle Fusion Middlewareを障害回復構成でデプロイする場合に特に重要です。
また、TLOGおよびJMSデータをデータベースに格納すると、そのデータについて共有記憶域内の特定の場所を指定する必要がありません。ただし、エンタープライズ・デプロイメントの他の観点からも共有記憶域が必要であることに注意してください。たとえば、管理サーバー構成(管理サーバーのフェイルオーバーをサポートするため)、デプロイメント・プラン、ファイルおよびFTPアダプタ制御や処理ファイルなどのアダプタ・アーティファクトには必要です。
TLOGおよびJMSストアを共有記憶域デバイスに格納する場合、適切な複製およびバックアップ戦略を使用してデータ損失ゼロを保証することで、このデータを保護できます。また、システム・パフォーマンスも向上する可能性があります。ただし、ファイル・システムの保護機能はOracle Databaseによって提供される保護機能ほど優れていません。
データベース・ベースのTLOGおよびJMSストアを使用する場合のパフォーマンスへの影響の詳細は、「TLOGおよびJMS永続ストアへのパフォーマンスの考慮事項」を参照してください。
親トピック: JDBC永続ストアとファイル永続ストアの比較
トランザクション・ログとJMSの永続ストアの格納方法を選択する際の重要な考慮事項の1つは、パフォーマンスに対する潜在的な影響です。この項では、TLOGおよびJMSにJDBC永続ストアを使用する場合のパフォーマンスへの影響を明らかにするのに役立つ、ガイドラインや詳細をいくつか示します。
トランザクション・ログとJMSストアのパフォーマンスへの影響
トランザクション・ログの場合、ログは本質的に一時的であるため、JDBCストアの使用による影響は比較的小さくて済みます。通常、システム内の他のデータベース操作と比較した場合、影響はほとんどありません。
一方、JMSデータベース・ストアは、アプリケーションでのJMS使用率が高い場合にパフォーマンスに大きな影響を及ぼすことがあります。
パフォーマンスに影響を与える要素
カスタム宛先にJMS DBストアを使用する場合、複数の要素がパフォーマンスに影響を与えます。主なものは、次のとおりです。
関与するカスタム宛先とそのタイプ
永続化されるペイロード
SOAシステムの同時実行性(宛先のコンシューマおよびプロデューサ)
上述のいずれかの影響に応じて、次の領域に様々な設定を構成し、パフォーマンスを向上させることができます。
JMS表に使用されるデータ型のタイプ(RAWの使用対LOBの使用)
JMS表のセグメント定義(索引および表レベルでのパーティション)
JMSトピックの影響
システムでトピックが集中的に使用されている場合、同時実行性が高まるにつれて、Oracle RACデータベースのパフォーマンス低下はキューの場合よりも大きくなります。OracleがJMSに対して実施したテストでは、様々なペイロード・サイズおよび様々な同時実行性での平均パフォーマンス低下率は、キューの場合は30%未満でした。トピックの場合、影響は40%を超えていました。データベース・ストアを使用するかどうかを決定する際、リカバリの観点からこれらの宛先の重要性を検討してください。
データ型およびペイロード・サイズの影響
ペイロードで使用するためにRAWデータ型またはSecureFiles LOBデータ型を選択するときは、永続化するペイロードのサイズを考慮します。たとえば、ペイロード・サイズの範囲が100bから20kの場合、SecureFiles LOBデータ型で必要とされるデータベース時間の量はRAWデータ型よりも若干多くなります。
具体的に言うと、ペイロード・サイズが約4kに達すると、SecureFilesはより多くのデータベース時間を必要とするようになります。これは、4kでは書込みが行外になるためです。約20kのペイロード・サイズで、SecureFilesデータはより効率的になり始めます。ペイロード・サイズが20kを超えると、RAWデータ型に設定されたペイロードのデータベース時間は悪化します。
SecureFilesのもう1つの利点は、500kを超えた時点からペイロードが増加してもデータベース時間が安定化し始める点です。すなわち、その時点で、(SecureFilesにとって)データが500k、1MBまたは2MBのいずれのペイロードを格納しているかは関係なくなります。書込みが非同期化され、すべてのケースで競合が同じになるためです。
ペイロード・サイズが50kに達するまで、キューのスループットに対する同時実行性(プロデューサおよびコンシューマ)の影響はRAWでもSecureFilesでも同じです。ペイロードが小さい場合、同時実行性が変化してもその影響はほぼ同じですが、RAWの方がスケーラビリティがやや優れています。ペイロードが50kを超える場合、SecureFilesの方がスケーラビリティが優れています。
同時実行性、ワーカー・スレッド、データベースのパーティション化の影響
永続ストアに定義された同時実行性とワーカー・スレッドは、索引レベルおよびグローバル・キャッシュ・レベルでRACデータベースの競合の原因になることがあります。1つの単一サーバーで複数のワーカー・スレッドを有効にする場合、または複数のOracle WebLogic Serverクラスタを使用する場合、リバース索引を使用することで様々なことを改善できます。ただし、Oracle Databaseのパーティション化オプションを使用できる場合、かわりにグローバル・ハッシュ・パーティション索引を使用する必要があります。これにより、索引の競合およびグローバル・キャッシュ・バッファ待機が減少し、アプリケーションのレスポンス時間が改善されます。パーティション化はどのケースでも適切に機能しますが、リバース索引で大幅な改善が認められない場合もあります。
親トピック: JDBC永続ストアとファイル永続ストアの比較
この項では、トランザクション・ログ(TLOG)およびJMSにJDBC永続ストアを使用するためのガイドラインを説明します。サポートされているデータベースで永続ストアを構成するための手順も説明します。
<PREFIX>_WLS
表領域およびWLSSchemaDatasource
を再利用します。あるいは、データベースでユーザーと表領域を作成し、データ・ソースが作成済であることを必要な各管理対象サーバーにTLOGストアを割り当てる前に確認します。データ・ソースの結合および接続の使用を減らすには、JMSおよびTLOG永続ストアの両方に単独接続プールを使用します。
作業負荷が高くない場合、およびWLSSchemaDatasource
プール・サイズの増加を考慮する場合は、TLOGおよびJMS永続ストアに対してWLSSchemaDatasource
をそのまま再利用することをお薦めします。データ・ソースを再利用すると、同じスキーマと表領域が必然的に使用され、PREFIX_WLS
表領域のPREFIX_WLS_RUNTIME
スキーマがTLOGおよびJMSメッセージの両方に対して使用されます。
プールでJMSメッセージを保持するための接続が使用できない場合、データ・ソースで強度の競合が発生すると永続ストアでエラーが発生する可能性があります。
プールでトランザクション・ログ更新のための接続が使用できない場合、データ・ソースで強度の競合が発生すると、トランザクションで問題が発生する可能性があります。
これらのケースでは、TLOGとストアに対して個別のデータ・ソース、および異なるストアに対して個別のデータ・ソースを使用します。PREFIX_WLS_RUNTIME
スキーマの再利用も可能ですが、競合の問題を解決するには、同じスキーマに対して個別のカスタム・データ・ソースを構成します。
ここでは、トランザクション・ログ用にデータベースベースの永続ストアを構成する方法を説明します。
注意:
手順1と2はオプションです。データ・ソース連結および接続の使用を削減するには、PREFIX_WLS
表領域およびWLSSchemaDatasource
を、「TLOGおよびJMSデータ・ソース結合の推奨事項」に従って再利用します。
次の項では、JMSにデータベース・ベースの永続ストアを構成する方法について説明します。
注意:
手順1と2はオプションです。データ・ソース連結および接続の使用を削減するには、PREFIX_WLS
表領域およびWLSSchemaDatasource
を、「TLOGおよびJMSデータ・ソース結合の推奨事項」に従って再利用します。
JMSおよびTLOGにデータベース・ベースの永続ストアを構成する前に、TLOG永続ストアとJMS永続ストアにそれぞれ1つずつ、2つのデータ・ソースを作成する必要があります。
エンタープライズ・デプロイメントでは、TLOGおよびJMSストアにGridLinkデータ・ソースを使用する必要があります。GridLinkデータ・ソースを作成する手順は次のとおりです。
データ・ソース集計を完了するには、TLOG永続ストアの<PREFIX>_WLS
表領域およびWLSSchemaDatasource
を再利用します。あるいは、データベースでユーザーと表領域を作成し、データ・ソースが作成済であることを必要な各管理対象サーバーにTLOGストアを割り当てる前に確認します。
<PREFIX>_WLS
表領域が使用されます。データベースでJMSの表領域とユーザーを作成し、JMSデータ・ソースを作成し、JDBCストアを作成した後で、JMS永続ストアを必須のJMSサーバーそれぞれに割り当てることができます。
Oracle WebLogic Serverでは、トランザクション・ログを使用してシステムのクラッシュやネットワーク障害からリカバリします。
静的クラスタ内の各管理対象サーバーにデフォルト永続ストアの場所を設定するには、次の手順を実行します。
Oracle WebLogic Server管理コンソールにログインします。
ADMINVHN:7001/console
注意:
Web層がすでに構成されている場合は、http://admin.example.com/console
を使用します。
「チェンジ・センター」セクションで、「ロックして編集」をクリックします。
クラスタ内の管理対象サーバーごとに、次を実行します。
「ドメイン構造」ウィンドウで、「環境」ノードを開いて「サーバー」ノードをクリックします。
「サーバーのサマリー」ページが表示されます。
表の「名前」列で、サーバーの名前(ハイパーリンクとして表示)をクリックします。
選択したサーバーの設定ページが開き、「構成」タブがデフォルトで表示されます。
「構成」タブで、「サービス」タブをクリックします。
ページの「デフォルト・ストア」セクションに、デフォルトの永続ストアがデータファイルを格納するフォルダのパスを入力します。
エンタープライズ・デプロイメントでは、ORACLE_RUNTIMEディレクトリの場所を使用します。このサブディレクトリは、クラスタのトランザクション・ログにとって中心的な共有場所の役割を果たします。「このガイドで使用するファイル・システムとディレクトリ変数」を参照してください。
次に例を示します。
ORACLE_RUNTIME/domain_name/cluster_name/tlogs
この例では、ORACLE_RUNTIMEを、ご使用の環境の変数値に置き換えます。domain_nameを、ドメインに割り当てた名前に置き換えます。cluster_nameを、先ほど作成したクラスタ名で置き換えます。
「保存」をクリックします。
SOA_Cluster内のすべてのサーバーについて、手順3を実行します。
「変更のアクティブ化」をクリックします。
注意:
構成手順の後半で、トランザクション・ログの場所と作成について検証します。
親トピック: 共有フォルダでのTLOGファイル永続ストアの構成
動的クラスタの場合、デフォルトの永続ストアの場所を設定するには、サーバー・テンプレートを更新します。
Oracle WebLogic Server管理コンソールにログインします。
ADMINVHN:7001/console
注意:
Web層がすでに構成されている場合は、http://admin.example.com/console
を使用します。
「チェンジ・センター」セクションで、「ロックして編集」をクリックします。
クラスタのサーバー・テンプレートに移動します。
「ドメイン構造」ウィンドウで、「環境」および「クラスタ」ノードを開いて「サーバー・テンプレート」ノードをクリックします。
「サーバー・テンプレートのサマリー」ページが表示されます。
表の「名前」列で、サーバー・テンプレートの名前(ハイパーリンクとして表示)をクリックします。
選択したサーバー・テンプレートの設定ページが開き、「構成」タブがデフォルトで表示されます。
「構成」タブで、「サービス」タブをクリックします。
ページの「デフォルト・ストア」セクションに、デフォルトの永続ストアがデータファイルを格納するフォルダのパスを入力します。
エンタープライズ・デプロイメントでは、ORACLE_RUNTIMEディレクトリの場所を使用します。このサブディレクトリは、クラスタのトランザクション・ログにとって中心的な共有場所の役割を果たします。「このガイドで使用するファイル・システムとディレクトリ変数」を参照してください。
次に例を示します。
ORACLE_RUNTIME/domain_name/cluster_name/tlogs
この例では、ORACLE_RUNTIMEを、ご使用の環境の変数値に置き換えます。domain_nameを、ドメインに割り当てた名前に置き換えます。cluster_nameを、先ほど作成したクラスタ名で置き換えます。
「保存」をクリックします。
「変更のアクティブ化」をクリックします。
注意:
構成手順の後半で、トランザクション・ログの場所と作成について検証します。
親トピック: 共有フォルダでのTLOGファイル永続ストアの構成
WLS_SERVER_TYPE1およびWLS_SERVER_TYPE2管理対象サーバーが稼働したら、「静的クラスタを使用する共有フォルダのTLOGファイル永続ストアの構成」で実行した手順に基づいて、次のトランザクション・ログ・ディレクトリとトランザクション・ログが想定どおりに作成されていることを確認します。
ORACLE_RUNTIME/domain_name/OSB_Cluster/tlogs
_WLS_WLS_SERVER_TYPE1000000.DAT
_WLS_WLS_SERVER_TYPE2000000.DAT
親トピック: 共有フォルダでのTLOGファイル永続ストアの構成
デフォルトでは、Webサービスの永続性にはWebLogic Serverデフォルト永続ストアが使用されます。このストアはWebサービスに対して高パフォーマンスの記憶域ソリューションを提供します。
信頼性のあるメッセージング
接続
セキュア通信
メッセージ・バッファリング
デフォルト・ストアではなく、JDBC永続ストアをWebLogic ServerのWebサービスで使用することもできます。Webサービスの永続性の詳細は、Webサービスの永続性の管理を参照してください。
Oracle Business Intelligenceエンタープライズ・デプロイメントの必要なディレクトリと構成データを確実にバックアップするために、次に記載するガイドラインに従うことをお薦めします。
注意:
この項で示す静的なランタイム・アーティファクトの一部は、Network Attached Storage (NAS)からホストされています。可能な場合は、これらのボリュームをアプリケーション・サーバーではなく直接NASファイラからバックアップおよびリカバリします。
Oracle Fusion Middleware製品のバックアップとリカバリの一般情報は、『Oracle Fusion Middlewareの管理』の次の項を参照してください。
環境のバックアップ
環境のリカバリ
表13-1は、一般的なOracle Business Intelligenceエンタープライズ・デプロイメントのバックアップ対象である静的アーティファクトを示しています。
表13-3 Oracle Business Intelligenceエンタープライズ・デプロイメントのバックアップ対象である静的アーティファクト
タイプ | ホスト | 層 |
---|---|---|
データベースOracleホーム |
DBHOST1およびDBHOST2 |
データ層 |
Oracle Fusion Middleware Oracleホーム |
WEBHOST1およびWEBHOST2 |
Web層 |
Oracle Fusion Middleware Oracleホーム |
BIHOST1およびBIHOST2 (またはNASファイラ) |
アプリケーション層 |
インストール関連ファイル |
WEBHOST1、WEHOST2および共有記憶域 |
N/A |
表13-2は、一般的なOracle Business Intelligenceエンタープライズ・デプロイメントのバックアップ対象であるランタイム・アーティファクトを示しています。
表13-4 Oracle Business Intelligenceエンタープライズ・デプロイメントのバックアップ対象であるランタイム・アーティファクト
タイプ | ホスト | 層 |
---|---|---|
管理サーバーのドメイン・ホーム(ASERVER_HOME) |
BIHOST1 (またはNASファイラ) |
アプリケーション層 |
アプリケーション・ホーム(APPLICATION_HOME) |
BIHOST1 (またはNASファイラ) |
アプリケーション層 |
Oracle RACデータベース |
DBHOST1およびDBHOST2 |
データ層 |
スクリプトとカスタマイズ |
ホスト当たり |
アプリケーション層 |
デプロイメント・プラン・ホーム(DEPLOY_PLAN_HOME) |
BIHOST1 (またはNASファイラ) |
アプリケーション層 |
OHS/OTD構成ディレクトリ |
WEBHOST1およびWEBHOST2 |
Web層 |
シングルトン・データ・ディレクトリ(SDD) |
BIHOST1 (またはNASファイラ) |
アプリケーション層 |
Oracle SOA SuiteサーバーをホストするOracle WebLogic Serverクラスタについて、フロントエンドHTTPのホストとポートを設定する必要があります。これらの値は、ドメインのプロパティを指定する際に構成ウィザードで指定できます。ただし、Oracle Business Intelligenceエンタープライズ・デプロイメントの一部にSOAクラスタを追加する場合、このタスクはSOA管理対象サーバーの検証後に実行することをお薦めします。
Weblogic Server管理コンソールでフロントエンド・ホストおよびポートを設定する手順は次のとおりです。