プライマリ・コンテンツに移動
Oracle Secure Backupリファレンス
リリース12.2
E94562-01
目次へ移動
目次
索引へ移動
索引

前
次

6 データセット言語

この章では、データセット・ファイルで使用される言語について説明します。データセット・ファイルとは、Oracle Secure Backupのバックアップ対象となるデータを記述するテキスト・ファイルです。

この章は、次の項目が含まれます。

関連項目:

6.1 データセット言語の概要

Oracle Secure Backupのデータセット言語により、バックアップするファイルシステム・データを定義するための簡単なテキストベースの手段が提供されます。この言語の特徴は次のとおりです。

  • コメントは、シャープ記号(#)に続けてどこにでも指定できる。

  • データセット文は、次の構文を使用する。

    statement-name [ statement-argument ]
    

    statement-nameプレースホルダは、1つのデータセット文を表します。データセット文については、データセット文を参照してください。

  • 文によっては、ネストしたブロックを始めることができる。ブロック内の文は、ブロックを始めた文に対してのみ適用されます。ネストしたブロックの文は、次の形式になります。

    statement-name [ statement-argument ] {
          statement-name [ statement-argument ]
          ...
    }
    
  • エスケープ文字は、バックスラッシュ(\)で表され、どこにでも指定でき、この次の文字に特別な意味を持たせないようにできる。

  • 空白行を無視する。

例6-1は、brhost2上の各ディレクトリをバックアップするように記述したデータセット・ファイルのサンプルです。

例6-1 データセットのサンプル

#
# A sample dataset file
#  
exclude name *.backup                    # never back up directories or files 
exclude name *~                          # matching *.backup and *~
 
include host brhost2 {                   # back up host brhost2
    include path /usr1/home {            # back up /usr1/home on brhost2,
        exclude path peter               # skip subdirectory peter (relative path)
        exclude path /usr1/home/dinesh   # also skip subdir dinesh (absolute path)
    }
    include path /usr2/home              # also back up /usr2/home, including
}                                        # all subdirectories

6.2 データセット・ファイルの例

この項では、データセット・ファイルの例を示します。

この項には次のトピックが含まれます:

6.2.1 複数ホスト上の複数パスのバックアップ

例6-2に、バックアップする4つのホスト・システムを記述した複合データセット・ファイルを示します。/home/usrおよび/usr2の各ディレクトリ内にあるすべてのファイルとそれらのディレクトリ内のサブディレクトリにあるすべてのファイルがバックアップされるように指定しています。

/usr/tmpディレクトリのファイルはすべてデータセットから除外されます。coreという名前のファイルと.bakで終わる名前のファイルも、その存在する場所に関係なく、データセットから除外されます。

例6-2 複数ホスト上の複数パスのバックアップ

include host brhost1
include host brhost2
include host brhost3
include host brhost4
 
include path /home
include path /usr
include path /usr/usr2
 
exclude path /usr/tmp
exclude name core
exclude name *.bak

6.2.2 データセット・ファイル内へのデータセット・ファイルのインクルード

データセット・ファイルには、別のデータセット・ファイルのコンテンツを論理的にインクルードできます。include dataset文を使用すると、参照によって別のデータセット・ファイルのコンテンツをインクルードできます。

例6-3に示すcommon-exclusions.dsという名前のデータセット・ファイルのサンプルについて考えてみます。

これらの除外をデータセット・ファイルで使用するには、例6-4に示す文を使用します。

これらの除外を特定のパスのみに適用するには、例6-5に示すようにinclude datasetディレクティブを中カッコで囲んで指定します。

例6-3 common-exclusions.ds

exclude name core
exclude name *~
exclude name *.tmp
exclude name *.temp

例6-4 データセット・ファイルのインクルード

include dataset common-exclusions.ds

例6-5 パスへの除外の適用

include path /home/root            # do not exclude here
include path /home/frank {         # do exclude here
      include dataset common-exclusions.ds
}

6.2.3 バックアップの有効範囲の定義

バックアップの有効範囲を定義するには、インクルードのルールに使用する中カッコを使用できます。例6-6では、すべてのサーバーのパス/usr1および/usr2と、brhost3のみの/usr3および/usr4がバックアップされます。なお、中カッコ内のルール間の順序は、ルールに影響しません。

追加の中カッコを使用して、ルールの有効範囲をさらに詳細に指定できます。例6-7では、brhost3のみの/usr4から.junkで終わるファイルを除外するように、例6-6を変更しています。

例6-6 中カッコを使用した有効範囲の制限

# Common trees backed up on all servers:
include path /usr1
include path /usr2
 
# Servers to back up; on brhost3, we also back up usr3 & usr4, too:
include host brhost1
include host brhost2
include host brhost3 {
      include path /usr3
      include path /usr4
}

例6-7 ルール・セットの有効範囲の絞込み

# Common trees backed up on all servers:
include path /usr1
include path /usr2
 
# Servers to back up; on brhost3, back up /usr3 and /usr4, but exclude *.junk 
# files in /usr4 only:
include host brhost1
include host brhost2
include host brhost3 {
      include path /usr3
      include path /usr4 {
            exclude name *.junk
      }
 }

6.3 下位互換性

ワイルドカード・パターンをexclude pathまたはexclude name文に指定すると、リリース10.3より後のOracle Secure Backupのリリースでは、パス・セパレータを考慮しながらパターン・マッチングが試行されます。たとえば、パターンsrc/*.plを指定すると、src/a.plは除外されますが、src/tmp/b.plは除外されません。

旧リリースのOracle Secure Backupでの除外文のワイルドカード・パターン・マッチングでは、パス・セパレータは考慮されませんでした。たとえば、同じパターンsrc/*.plを指定すると、src/a.plsrc/tmp/b.plも除外されます。

Oracle Secure Backupを旧リリースからリリース10.3以上にアップグレードした場合、既存のexclude pathおよびexclude name文は引き続き使用できます。旧リリースのOracle Secure Backupでバックアップから除外されたファイルおよびディレクトリの一部は、現在では除外されません。このため、バックアップ・ファイルは若干大きくなりますが、これまでどおりデータはすべてバックアップされます。

6.4 データセット文

データセットの記述には、次のタイプの文を指定できます。

関連項目:

これらの文を使用して記述するファイルの例については、データセット・ファイルの例を参照してください。

6.4.1 after backup

用途

after backup文は、バックアップの完了後にコンピュータの実行可能ファイルまたは解析済プログラムを実行するようにOracle Secure Backupに指示する場合に使用します。before backup文を使用することで、バックアップを始める前に、after backupと同じか異なるプログラムを実行することもできます。これらの文は、データベース・サーバーをシャット・ダウンして再起動するときや、バックアップの開始または終了をユーザーに通知するときなどに役に立ちます。

デフォルトでは、指定した実行可能ファイルが存在しないか失敗した場合、つまりゼロ以外の終了コードが戻された場合、バックアップ・ジョブは停止され、ジョブは失敗したとみなされます。

使用方法

複数のデータセット・ジョブの実行中、セットに含まれるすべてのジョブにこの文を適用できます。また、適用しなくても構いません。すべてのジョブにafter backupを使用するには、構文の先頭に文を使用します。次に、例を示します。
after backup "/bin/sh /tmp/a.sh" 
include host brhost1 { 
include path /tmp/backup 
} 
include host brhost2 { 
include path /tmp/backup 
} 
他方、ジョブ・セット内の単一のジョブにafter backup文を使用するには、その特定のデータセット・ジョブの構文内に文を含めます。次に、例を示します。
include host brhost1 { 
include path /tmp/backup 
after backup "/bin/sh /tmp/a.sh" 
} 
include host brhost2 { 
include path /tmp/backup 
} 

構文

after backup::=
after backup [ optional ] pathname

pathnameプレースホルダは、クライアント・ホスト上で実行するプログラムの名前を表します。ネットワーク・データ管理プロトコル(NDMP)データ・サービスを使用するバックアップの場合、プログラムは管理サーバー上で実行されます。

optionalキーワードを使用すると、Oracle Secure Backupでは、起動したプログラムから戻された状態や、このプログラムを起動できないことが無視されます。

例6-8 after backup文

この例では、ディレクトリ/usr2のバックアップ後に、ホストbrhost2上でプログラム/etc/local/nfyに引数/usr2 is being savedを渡すように、Oracle Secure Backupに指示しています。

include host fserver {
      include path /usr2
      after backup "/etc/local/nfy '/usr2 backup complete'"
}

Oracle Secure Backupでは、任意の指定内容に次の引数を自動的に追加します。

  • トークンafter

  • クライアントの名前

  • バックアップするディレクトリまたはファイルの名前

  • バックアップ操作の終了ステータス(ファイルOSB_HOME/samples/obexit.hに記載されている数値)

つまり、この例では、次のとおり自分で入力したかのようにbrhost2上でnfyプログラムが実行されます。

/usr/local/nfy '/usr2 backup complete' after brhost2 /usr2 exit-code

6.4.2 before backup

用途

before backup文は、バックアップの開始前にコンピュータの実行可能ファイルまたは解析済プログラムを実行するようにOracle Secure Backupに指示する場合に使用します。この文は、after backup文と対応しています。

デフォルトでは、指定した実行可能ファイルが存在しないか失敗した場合、つまりゼロ以外の終了コードが戻された場合に、バックアップ・ジョブは開始されず、ジョブは失敗したとみなされます。

使用方法

複数のデータセット・ジョブを同時に実行する際、セットに含まれるすべてのジョブにこの文を適用できます。また、適用しなくても構いません。すべてのジョブにbefore backupを使用するには、構文の先頭に文を使用します。次に、例を示します。
before backup "/bin/sh /tmp/a.sh" 
include host brhost1 { 
include path /tmp/backup 
} 
include host brhost2 { 
include path /tmp/backup 
} 
他方、ジョブ・セット内の単一のジョブにbefore backup文を使用するには、その特定のデータセット・ジョブの構文内に文を含めます。次に、例を示します。
include host brhost1 { 
include path /tmp/backup 
before backup "/bin/sh /tmp/a.sh" 
} 
include host brhost2 { 
include path /tmp/backup 
} 

構文

pathnameプレースホルダは、クライアント・ホスト上で実行するプログラムの名前を表します。ネットワーク・データ管理プロトコル(NDMP)データ・サービスを使用するバックアップの場合、プログラムは管理サーバー上で実行されます。

before backup::=
before backup [ optional ] pathname

optionalキーワードを使用すると、Oracle Secure Backupでは、起動したプログラムから戻された状態や、このプログラムを起動できないことが無視されます。

例6-9 before backup文

この例では、ディレクトリ/usr2のバックアップ前に、ホストbrhost2上でプログラム/etc/local/nfyに引数/usr2 is being savedを渡すように、Oracle Secure Backupに指示しています。

include host brhost2 {
      include path /usr2
      before backup "/etc/local/nfy '/usr2 is being saved'"
 }

Oracle Secure Backupでは、任意の指定内容に次の引数を自動的に追加します。

  • トークンbefore

  • クライアントの名前

  • バックアップするディレクトリまたはファイルの名前

つまり、この例では、次のとおり自分で入力したかのようにbrhost2上でnfyプログラムが実行されます。

/usr/local/nfy '/usr2 is being saved' before brhost2 /usr2

6.4.3 cross all mountpoints

用途

cross all mountpoints文は、ローカル・マウント・ポイントおよびリモート・マウント・ポイントを横断する場合に使用します。ローカル・マウント・ポイントは、ローカル・ファイルシステムをマウントするものです。リモート・マウント・ポイントは、ネットワークを介してアクセスされるファイルシステムのローカル・マウントです。デフォルトでは、ファイルシステム・バックアップはマウント・ポイントを横断しません。

/home/usr1/loc_dataでローカル・ファイルシステムをマウントし、/home/usr1/rem_dataはネットワーク・ホスト上のファイルシステムに対するネットワーク・ファイルシステム(NFS)マウント・ポイントであると仮定します。cross all mountpointsを使用すると、ローカル、マウント済の区別なく、このディレクトリ内のすべてのファイルが/home/usr1のバックアップに含まれるように指定できます。

構文

cross all mountpoints::=
cross all mountpoints

例6-10 グローバル・ホストのインクルード

この例では、ホストbrhost1およびbrhost2の上にあるすべてのローカル・マウント・ポイントおよびリモート・マウント・ポイントを横断しています。

cross all mountpoints
include host brhost1 {
      include path /home/usr1
}
include host brhost2 {
      include path /home/usr2
}

例6-11 グローバル・パスのインクルード

この例では、ホストbrhost1のパスに含まれるローカルおよびリモートのすべてのマウント・ポイントを横断していますが、brhost2のパスに含まれるマウント・ポイントは横断していません。

include host brhost1 {
      cross all mountpoints
      include path /home/usr1
}
include host brhost2 {
      include path /home/usr2
}

例6-12 ローカル・パスのインクルード

この例では、brhost1/home/usr1パスに含まれるローカルおよびリモートのすべてのマウント・ポイントを横断していますが、/home/usr2パスに含まれるマウント・ポイントは横断していません。

include host brhost1 {
      include path /home/usr1 {
            cross all mountpoints
      }
      include path /home/usr2
}

6.4.4 cross local mountpoints

用途

cross local mountpoints文は、ローカル(リモートではなく)のマウント・ポイントを横断する場合に使用します。

/home/usr1/loc_dataでローカル・ファイルシステムをマウントし、/home/usr1/rem_dataはネットワーク・ホスト上のファイルシステムに対するネットワーク・ファイルシステム(NFS)マウント・ポイントであると仮定します。cross local mountpointsを使用すると、/home/usr1のバックアップに、/home/usr1/loc_data内のファイルは含まれるようにし、/home/usr1/rem_data内のファイルは含まれないように指定できます。

構文

cross local mountpoints::=
cross local mountpoints

例6-13 グローバル・ホストのインクルード

この例では、ホストbrhost1およびbrhost2のファイルシステムのローカル・マウント・ポイントのみを横断しています。

cross local mountpoints
include host brhost1 {
      include path /home/usr1
}
include host brhost2 {
      include path /home/usr2
}

例6-14 グローバル・パスのインクルード

この例では、ホストbrhost1/home/usr1パスに含まれるローカル・マウント・ポイントを横断していますが、brhost2/home/usr2パスに含まれるマウント・ポイントは横断していません。

include host brhost1 {
      cross local mountpoints
      include path /home/usr1
}
include host brhost2 {
      include path /home/usr2
}

例6-15 ローカル・パスのインクルード

この例では、brhost1/home/usr1パスに含まれるローカルマウント・ポイントを横断していますが、/home/usr2パスに含まれるマウント・ポイントは横断していません。

include host brhost1 {
      include path /home/usr1 {
            cross local mountpoints
      }
      include path /home/usr2
}

6.4.5 cross remote mountpoints

用途

cross remote mountpoints文は、リモート(ローカルではなく)のマウント・ポイントを横断する場合に使用します。

/home/usr1/loc_dataはローカル・ファイルシステムのマウント・ポイントで、/home/usr1/rem_dataはネットワーク・ホスト上のファイルシステムに対するネットワーク・ファイルシステム(NFS)マウント・ポイントであると仮定します。cross remote mountpointsを使用すると、/home/usr1のバックアップに、/home/usr1/rem_data内のファイルは含まれるようにし、/home/usr1/loc_data内のファイルは含まれないように指定できます。

構文

cross remote mountpoints::=
cross remote mountpoints

例6-16 グローバル・ホストのインクルード

この例では、ホストbrhost1およびbrhost2のファイルシステムのリモート・マウント・ポイントのみを横断しています。

cross remote mountpoints
include host brhost1 {
      include path /home/usr1
}
include host brhost2 {
      include path /home/usr2
}

例6-17 グローバル・パスのインクルード

この例では、brhost1/home/usr1パスに含まれるリモート・マウント・ポイントのみを横断しています。

include host brhost1 {
      cross remote mountpoints brhost3
      include path /home/usr1
}
include host brhost2 {
      include path /home/usr2
}

例6-18 ローカル・パスのインクルード

この例では、/home/usr1パスに含まれるリモート・マウント・ポイントのみと/home/usr2パスに含まれるローカル・マウント・ポイントのみを横断しています。

include host brhost1 {
      include path /home/usr1 {
            cross remote mountpoints
      }
      include path /home/usr2 {
            cross local mountpoints
      }
}

6.4.6 exclude dir

用途

exclude dir文は、バックアップから除外するディレクトリ(1つまたはセット)を指定する場合に使用します。それは、指定したパターンと一致するファイルを除外しないexclude nameとは異なります。

構文

exclude dir::=
exclude dir pattern

意味

pattern

除外するディレクトリ(1つまたはセット)を指定します。patternプレースホルダにはパスのセパレータを挿入しなくでください。それは、UNIXスタイルのワイルドカードの構文表現ベースのパターン・マッチングに対応しています。

6.4.7 exclude file

用途

exclude file文は、ファイルのディレクトリの場所に関係なく、バックアップから除外するファイルシステム・オブジェクトをファイル名により指定する場合に使用します。それは、指定したパターンと一致するディレクトリを除外しないexclude nameとは異なります。

構文

exclude file::=
exclude file pattern

意味

pattern

除外するファイル(1つまたはセット)を指定します。patternプレースホルダにはパスのセパレータを挿入しなくでください。それは、UNIXスタイルのワイルドカードの構文表現ベースのパターン・マッチングに対応しています。

6.4.8 exclude name

用途

exclude name文は、バックアップから除外するファイルシステム・オブジェクトを、一致するパスの右端にあるコンポーネント名(リーフ名)か、一致する相対パスまたはパターンのいずれかにより指定する場合に使用します。

関連項目:

下位互換性

構文

exclude name::=
exclude name  { leafname | relative_pathname }

意味

leafname

Oracle Secure Backupでは、各ファイルシステム・オブジェクトのコンポーネント名を指定のleafnameと比較します。一致する場合、そのファイルシステム・オブジェクトはバックアップされません。そのオブジェクトがディレクトリの場合は、ディレクトリのコンテンツがバックアップされません。

leafname*?[または]の特殊文字がエスケープされずに含まれる場合は、Oracle Secure Backupスタイルのワイルドカード表現として解釈されます。leafnameでこれらの文字が使用されている場合は、名前が一致するかどうかを判断するために、文字列比較ではなくワイルドカード比較が行われます。

relative_pathname

Oracle Secure Backupでは、各ファイルシステム・オブジェクトのコンポーネント名を現行のinclude pathを基準とした指定のrelative_pathnameと比較します。一致する場合、そのファイルシステム・オブジェクトはバックアップされません。relative_pathnameがディレクトリを参照している場合は、ディレクトリのコンテンツがバックアップされません。

relative_pathname*?[または]の特殊文字がエスケープされずに含まれる場合は、Oracle Secure Backupスタイルのワイルドカード表現として解釈されます。relative_pathnameでこれらの文字が使用されている場合は、名前が一致するかどうかを判断するために、文字列比較ではなくワイルドカード比較が行われます。

例6-19 exclude name文

ディレクトリ・ツリーに次のファイルおよびディレクトリが存在するとします。

/src
/src/abc
/src/abc/a.pl
/src/tmp
/src/tmp/g.pl
/src/tmp/src/d.plaf
/src/tmp/src/a.pldir
/src/tmp/src/a.pldir/a.pl
/src/tmp/src/a.pldir/s.tmp
/src/tmp/src/a.pl
/src/a.pl
/src/b.pl

データセットは、次の内容で作成します。

exclude name d
exclude name *.tmp

データセット文は、dという名前のファイルやディレクトリを除外し、また名前が.tmpで終わるファイルを除外します。想定されたディレクトリ・ツリーに対し、次のディレクトリやファイルがバックアップ操作から除外されます。

/src/tmp/src/d.plaf
/src/tmp/src/a.pldir/s.tmp

6.4.9 exclude oracle database files

用途

exclude oracle database files文は、Recovery Manager(RMAN)によって通常バックアップされるOracleデータベース関連のファイル、またはバックアップが推奨されないファイルをすべて除外する場合に使用します。Oracle Secure Backupでは、除外されるファイルが既存のRMANバックアップ計画に含まれているかどうかに関係なく、そのファイルを除外します。

Oracle Secure Backupで除外するファイルのタイプは次のとおりです。

  • データファイル(本番ファイルおよび本番ファイルのイメージ・コピー)

  • 制御ファイル

  • オンラインREDOログおよびアーカイブ済REDOログ

  • フラッシュバック・ログ

  • 変更トラッキング・ファイル

  • バックアップ・ピース

  • 一時ファイル

注意:

RMANを使用したデータベースのバックアップをスケジュールするには、Oracle Enterprise Managerジョブ・スケジューラを使用し、ファイルシステム・バックアップをスケジュールするには、Oracle Secure Backupジョブ・スケジューラを使用します。つまり、Oracleデータベース・ホストをOracle Secure Backupでバックアップするには、Enterprise ManagerとOracle Secure Backupの両方でスケジュールを設定する必要があります。Oracle Secure Backupのスケジュールでexclude oracle files文を使用すると、Oracleデータベース関連のファイルが2回バックアップされることがなくなります。

構文

exclude oracle database files::=
exclude oracle database files

例6-20 exclude oracle database files文

このデータセット・ファイルでは、ホストbrhost2のバックアップからOracleデータベース関連のファイルを除外しています。

exclude name *.backup
exclude name *~
include host brhost2 {
      exclude oracle database files
      exclude path /usr1/home
}

6.4.10 exclude path

用途

exclude path文は、バックアップから除外するファイルシステム・オブジェクトのパス名またはワイルドカード・パターンを指定する場合に使用します。

関連項目:

下位互換性

構文

exclude path::=
exclude path
   (absolute-path | relative-path)

意味

absolute-path

パスあるいはパターン一致するサブディレクトリまたはサブディレクトリ内のファイルを、ファイルシステムのルートを基準として相対的に指定します。絶対パスは、Windowsプラットフォームではドライブ文字の\で、UNIXでは/で始まります。

relative-path

パスまたはパターン一致するサブディレクトリまたはサブディレクトリ内のファイルを、現行のinclude pathを基準として相対的に指定します。

例6-21 exclude path文

ホストosblin1上に次のバックアップ対象のディレクトリおよびファイルのセットがあるとします。

/src
/src/abc
/src/abc/a.tmp
/src/tmp
/src/tmp/g.pl
/src/tmp/src/d.tmp1
/src/tmp/src/a.tmprary
/src/tmp/src/a.pldir/a.tmp
/src/tmp/src/d.tmp-out
/src/tmp/src/a.
/src/a.pl
/src/b.pl
/misc
/misc/yesterday.tmp
/misc/tmpsql.out

次のデータセットは、osblin1上の/ディレクトリのバックアップを指定していますが、/src/tmp内のファイルと、/srcディレクトリの任意のレベルにおいて拡張子が.tmpのファイルをスキップしています。

include host osblin1 {
      include path / {
            exclude path src/tmp
            exclude name *.tmp
      }
}

6.4.11 include catalog

用途

include catalog文は、Oracle Secure Backupカタログのリストアに必要な管理サーバー上のすべてのデータをバックアップするようにOracle Secure Backupに指示する場合に使用します。このディレクティブは、データセット・パーサーによって、必要なすべてのファイルおよびデータベースのリストに内部展開されます。

このディレクティブは、別のデータセットにインクルードできます。ただし、定義上、管理サーバー・ホストにしか適用できないため、include hostブロック内では使用できません。

include pathexclude pathおよびexclude nameの各ディレクティブをinclude catalogディレクティブ直下のブロック・デリミタ内にリストすることで、管理サーバー・ホストの別のファイルおよびパスをinclude catalogでバックアップするファイルに追加できます。他のディレクティブはinclude catalogブロック内で使用できません。

カタログのバックアップは、常に全体バックアップとして作成され、増分バックアップとして作成されることはありません。増分バックアップからのリストアはカタログのコンテンツなしでは難しいため、全体バックアップとしてカタログのバックアップを作成する方が信頼性は高くなります。

カタログをリカバリする状況によっては、暗号化キーが格納されているウォレットを使用できないことがあります。そのため、展開されたcatalogディレクティブとその子は、スケジューラにより別個のジョブで処理され、各ジョブはストレージの暗号化ポリシーが無効の状態で実行されます。

一時パスフレーズによる暗号化は、ウォレットに依存しないため、このバックアップの保護に使用できます。

include pathディレクティブを使用して機密コンテンツが含まれる別のファイルをカタログのバックアップに追加する場合は、一時パスフレーズによる暗号化を使用してこれらのファイルが含まれるバックアップを保護することを検討してください。

注意:

クラウド・ストレージ・デバイスに書き込まれるカタログのバックアップは暗号化されません。一時パスフレーズによる暗号化を使用して、カタログをクラウド・ストレージ・デバイスにバックアップできます。

構文

include catalog::=
include catalog 
     [ { directive... } ] 

意味

include catalog

後で行われるカタログのリカバリに必要なすべてのデータをインクルードします。

directive

カタログ・バックアップ用にバックアップされるデータに追加するためのinclude pathディレクティブを指定します。カタログ・バックアップ用にバックアップされるデータから除外するには、exclude pathおよびexclude nameディレクティブを使用します。

例6-22 追加ファイルが記述されたinclude catalogディレクティブ

この例では、admin/default_rulesディレクトリのすべてのデータセット・ファイルがインクルードされます。

include catalog {
     include path /home/adminuser
   }

6.4.12 include dataset

用途

include dataset文は、別のデータセット・ファイルを読み取り、include dataset文を論理的にそのコンテンツに置換するように、Oracle Secure Backupに指示する場合に使用します。この文は、ほとんどのプログラミング言語に見られるinclude文に似ています。

構文

include dataset::=
include dataset dataset_file_name

dataset_file_nameプレースホルダは、1つのデータセット・ファイルまたはデータセット・ディレクトリの名前を表します。データセット・ディレクトリの名前を指定すると、そのディレクトリの各メンバーがインクルードされます。

例6-23 include dataset文

この例では、admin/default_rulesディレクトリのすべてのデータセット・ファイルがインクルードされます。

include dataset admin/default_rules

6.4.13 include host

用途

include host文は、バックアップするクライアント・ホストの名前を指定する場合に使用します。include host文は、データセット・ファイルinclude pathおよびinclude dataset文の前に追加することをお薦めします。

データセット・ファイルが使用可能であるためには、データセット・ファイル自体かまたはそれにインクルードされるデータセット・ファイルの中に、最低1つのhost文が存在する必要があります。

include host文は、次のいずれかの形式を取ります。

構文1

include host::=
include host hostname

構文2

include host::=
include host hostname {statements_that_apply_to_hostname}

hostnameプレースホルダは、Webツールのインタフェースか、あるいはmkhostコマンドまたはrenhostコマンドを使用して以前に定義したクライアントの名前を表します。

例6-24 include path文

この例では、ホストbrhost2をインクルードしています。

include host brhost2

6.4.14 include path

用途

include path文は、バックアップするファイルシステム・オブジェクトの名前を指定する場合に使用します。

バックアップ・パスは、バックアップするファイルシステムのパスの最大長を超えて指定することはできません。また、どのような場合でも260文字(Windowsシステム)または1024文字(それ以外のシステム)を超えることはできません。

WindowsおよびLinux/UNIXのどちらのパス名にも標準のワイルドカード(*?[、および])を含めることができます。パス名にこれらのワイルドカード文字のいずれかが含まれている場合、これらの文字を特別に解釈されないように、各文字の前にバックスラッシュ(\)文字を置く必要があります。

不明瞭化ウォレットへの未認可アクセスによるリスクを減らすため、Oracle Secure Backupでは、デフォルトで、不明瞭化ウォレットをバックアップしません。ただし、ファイル名と完全パスをデータセットのinclude path文に明示的にリストすれば、不明瞭化ウォレットをバックアップできます。例6-30に、データセットに不明瞭化ウォレットを格納する方法を示します。Oracle Secure Backupの暗号化バックアップに含まれている場合は、不明瞭化ウォレットもバックアップされます。

Oracle Secure Backupの暗号化バックアップ時に、cwallet.ssoファイルが保存されているディレクトリがデータセットにインクルードされている場合、不明瞭化ウォレットはバックアップされます。たとえば、次のinclude path文が含まれているデータセットの暗号化バックアップでは、ウォレット・ディレクトリのコンテンツと、このディレクトリに保存されている不明瞭化ウォレットがバックアップされます。

include path /usr/local/apps/wallet

構文

include path::=
include path absolute-pathname

absolute-pathnameプレースホルダは、バックアップするファイルシステム・オブジェクトのパス名を表し、ファイルシステムのルートで始まります。スペースを含むパス名は、一重引用符または二重引用符で囲みます。

注意:

ワイルドカード文字を使用してバックアップに不明瞭化ウォレットをインクルードすることはできません。たとえば、次の文では不明瞭化ウォレットをデータセットに追加できません。

include path /usr/local/apps/wallet/cwallet.*

例6-25 Windowsでのinclude path文

この例に、Windowsシステムでのinclude path文を示します。パスは、スペースを含んでいるため、二重引用符で囲まれています。

include path "C:\Documents and Settings"

例6-26 Linux/UNIXでのinclude path文

LinuxおよびUNIXシステムの場合は、include path文にテープ・ドライブ指定文字や引用符を使用することはできません。この例に、LinuxまたはUNIXシステムでのinclude path文を示します。

include path /space        { # include the local root directory
    exclude name core        # but no core files (for UNIX)
    exclude name *~          # and no emacs backup files
}
include path /etc

例6-27 include host文

include host文の中にinclude path文をネストできます。この例に示すデータセット文について考えてみます。

Oracle Secure Backupでは、データセット・ファイル内の各include path文が解析され、各include host文に適用されます。つまり、brhost2およびbrhost3のホストごとに/homeディレクトリおよび/projectディレクトリがバックアップされます。

include host brhost2
include host brhost3
include path /home
include path /project

例6-28 include host文およびinclude path文が記述されたデータセット・ファイル

この例では、ホストbrhost2/homeとホストbrhost3/projectがバックアップされます。この例の文は、例6-29の文と同じ結果になります。

include host brhost2 {
      include path /home
      include path /project
}
include host brhost3 {
      include path /home
      include path /project
}

例6-29 include host文およびinclude path文が記述されたデータセット・ファイル

この例の文は、例6-28の文と同じ結果になります。

include host brhost2 {
      include path /home
}
include host brhost3 {
      include path /project
}

複数のホストまたはパスを常にバックアップする場合にのみ、データセット・ファイルに複数のホストまたはパスを記述してください。Oracle Secure Backupのスケジューラおよびオンデマンド・バックアップ機能では、各バックアップ・ジョブを定義する際、パス名ではなくデータセット・ファイル名を使用します。

例6-30 不明瞭化ウォレットを非暗号化バックアップでバックアップするためのデータセット・ファイル

この例は、不明瞭化ウォレットを非暗号化バックアップの一部としてインクルードするために使用するデータセットを示しています。不明瞭化ウォレットcwallet.sso/usr/local/apps/walletディレクトリに格納されています。次のデータセットには、不明瞭化ウォレットと/usr/local/apps/walletディレクトリのコンテンツがインクルードされます。

include host brhost2 {
      include path /usr/local/apps/wallet
      include path /usr/local/apps/wallet/cwallet.sso
}

cwallet.sso/usr/local/apps/walletに含まれていますが、非暗号化バックアップにインクルードされるのは、include path文で明示的にリストされている場合のみです。

6.4.15 setenv NDMP

用途

データセットの作成または変更時にネットワーク・データ管理プロトコル(NDMP)環境変数の名前/値ペアを設定するには、setenv NDMP文を使用します。setenv文ごとに1つの環境変数を設定できます。これらの環境変数は、このデータセットのバックアップ中にNDMPファイラに渡されます。

構文

setenv NDMP ::=
setenv NDMP:variable-name variable-value

setenv文を使用している場合は、各NDMP環境変数に、接頭辞としてNDMP:があることを確認します。

例6-31 データセットへのNDMP値の追加

この例では、setenv NDMP文を使用して、ホストNDMP_HOST1上のファイルをバックアップするデータセットのNDMP変数値を追加します。

include host NDMP_HOST1
{
include path PATH1
setenv NDMP:DMP_NAME test_name1
setenv NDMP:UPDATE y
setenv NDMP:ZFS_FORCE y
}