4 ユニバーサルWindowsプラットフォーム用の開発ツールの設定

この章では、ユニバーサルWindowsプラットフォーム用の開発ツールを設定および構成する方法について説明します。JDeveloperで開発したMAFアプリケーションをユニバーサルWindowsプラットフォームにデプロイできるように、必要なSDKとともにVisual Studioをインストールし、PFXファイルを作成してインストールします。

この章の内容は次のとおりです。

Visual Studioのインストール

必要なWindows 10 SDKとともにVisual Studio 2017をインストールします。

Visual Studioインストーラでは、アプリケーションをUWPにデプロイできるようにするWindows SDKもインストールできます。他にも、次のコンポーネントをインストールする必要があります。

  • MSBuild 15.0 (Visual Studio 2017とともに自動的にインストールされます)

  • ユニバーサルWindowsプラットフォームの開発ツール(Visual Studio 2017のインストール時に利用できるワークロード)

  • Windows 10 SDK 10.0.10586.0 (Visual Studio 2017のインストール時に利用できるオプション・コンポーネント)

  • Windows 10 SDK 10.0.14393.0 (Visual Studio 2017のインストール時に利用できるオプション・コンポーネント)

Visual Studio 2017をインストールするには、次の手順を実行します。
  1. x86アーキテクチャを備えており、Windows 10オペレーティング・システム(バージョン1511以上)が動作しているコンピュータに、MAFおよびJDeveloper (12.2.1.3.0)がインストールされていることを確認します。
  2. https://www.visualstudio.com/downloads/で提供されているVisual Studio 2017のエディションをダウンロードします。
    必要なVisual Studioエディション(Community、ProfessionalまたはEnterprise)を選択します。すべてのエディションで、MAFアプリケーションを開発してUWPにデプロイするために必要なソフトウェアが提供されます。Visual Studio Communityエディションを使用するための資格要件に関する情報は、Visual Studio Communityの製品ページを参照してください。
  3. Visual Studio 2017のインストール中に、次のオプションを選択します。
    1. 「ユニバーサル Windows プラットフォーム開発」ワークロードを選択します。
    2. 「個別のコンポーネント」で使用可能な「Windows 10 SDK (10.0.10586.0)」「Windows 10 SDK (10.0.14393.0)」を選択します。

      注意:

      既存のMAFとVisual Studio 2015インストールから移行する場合は、すでに必要なWindows 10 SDKがインストールされている可能性があります。Visual Studio 2017の新規インストールを実行する場合は、これらのWindows 10 SDKをインストールする必要があります。

      図4-1 Visual Studioのインストール 2017

      図4-1の説明が続きます
      「図4-1 Visual Studio 2017のインストール」の説明

      Windows 10 SDKの情報は、https://developer.microsoft.com/en-us/windows/downloads/sdk-archiveを参照してください。

MAFアプリケーション用のPFXファイルの作成

UWPにデプロイされたMAFアプリケーションは、個人情報交換(PFX)ファイルを使用してデジタル署名されている必要があります。

PowerShellコンソール(管理者権限)でMicrosoftのNew-SelfSignedCertificate コマンドレットを使用して、PFXファイルを作成します。

PFXファイルを作成するには:
  1. 「スタート」をクリックして、「PowerShell」と入力し、「Windows PowerShell」を右クリックして「管理者として実行」をクリックします。
    PS C:\windows\system32>プロンプトが表示されます。
  2. 必要に応じて-Subjectパラメータの値を変更し、次のコマンドを実行します。
    New-SelfSignedCertificate -CertStoreLocation cert:\localmachine\my -Subject 'CN=Example,OU=MAF,O=Oracle,C=US' -KeyAlgorithm RSA -KeyLength 2048 
    -Provider 'Microsoft Enhanced RSA and AES Cryptographic Provider' -KeyExportPolicy Exportable -KeyUsage DigitalSignature 
    -Type Custom -TextExtension @('2.5.29.37={text}1.3.6.1.5.5.7.3.3,1.3.6.1.4.1.311.10.3.13','2.5.29.19={text}CA=False')
    コマンドの内容は次のとおりです。
    • -CertStoreLocation: 新しい証明書を保存する証明書ストアを指定します。

    • -Subject: 新しい証明書のサブジェクトに表示される文字列を指定します。

    • -KeyAlgorithm: 非対称証明書鍵の作成に使用されるアルゴリズムを指定します。

    • -KeyLength: 証明書鍵の長さ(ビット単位)を指定します。

    • -Provider: コマンドレットが証明書の作成に使用する、KSPまたはCSPの名前を指定します。

    • -KeyExportPolicy: 秘密鍵のエクスポートを管理するポリシーを指定します。

    • -KeyUsage: 証明書の拡張鍵使用法で設定される鍵使用法を指定します。

    • -Type: コマンドレットが作成する証明書の種類を指定します。

    • -TextExtension: コマンドレットが新しい証明書に含める証明書の拡張(文字列)の配列を指定します。

    パラメータの詳細は、Microsoftのドキュメントを参照してください。

    成功すると、コマンドはサムプリントIDと証明書のサブジェクトを出力します。出力の例を次に示します。

    PSParentPath: Microsoft.PowerShell.Security\Certificate::LocalMachine\my
    
    Thumbprint                                Subject
    ----------                                -------
    EA8DA38619D6FF49C9BBE51651DDD6950EF767AE  CN=Example, OU=MAF, O=Oracle, C=US
  3. 次のコマンドを入力します。
    $pwd = ConvertTo-SecureString -String '<password>' -Force -AsPlainText

    コマンドの<password>を適切なパスワードに置き換えます。

  4. 次のコマンドを入力して、PFXファイルを作成します。
    Export-PfxCertificate -cert cert:\localMachine\my\<thumbprint ID> -FilePath <path> -Password $pwd

    コマンドの内容は次のとおりです。

    • <thumbprint ID>を、コンソールに出力する値(たとえば、EA8DA38619D6FF49C9BBE51651DDD6950EF767AE)に変更します

    • <path>を優先するパス(c:\someDir\MyPFX.pfxなど)に変更します。

  5. 指定したパスに移動し、PFXファイルが作成されたかどうかを確認します。

Windows 10でのPFXファイルのインストール

個人情報交換(PFX)ファイルをコンピュータ上の証明書ストアにインストールします。これにより、証明書をアプリケーション署名に使用できます。

ソフトウェア発行者の証明書(SPC)とその秘密鍵および公開鍵が、アプリケーションの署名に使用され、個人情報交換(.pfx)ファイルに格納されます。PFXファイルは、証明書ストアにコピーまたはインストールする必要があり、ここで、オペレーティング・システムによってすべての証明書が保持されます。

注意:

インストールは、特定のコンピュータのすべてのPFXファイルに対し、手動で1回実行する必要があります。
証明書ストアにPFXファイルをインストールするには:
  1. .pfxファイルを見つけてダブルクリックし、「証明書のインポート ウィザード」でファイルを開きます。
  2. 「ストアの場所」として「現在のユーザー」を選択し、「次へ」をクリックします。
    ローカル・コンピュータ・ストアにPFXをインストールする場合は、「Windows User Access Control」ダイアログが開きます。「このアプリが PC に変更を加えることを許可しますか?」と表示されたら、「はい」をクリックします。
  3. 「ファイル名」フィールドに必要な名前が表示されていることを確認し、「次へ」をクリックします。

    注意:

    ファイルのデフォルトの場所は、ダブルクリックしたファイルの場所です。
  4. 必要に応じて、秘密鍵のパスワードを入力します。
  5. 「Included all extended properties」を選択し、「次へ」をクリックします。
  6. 「証明書をすべて次のストアに配置する」を選択して「参照」をクリックします。
  7. 「証明書ストアの選択」で、ストアの場所に一致する証明書ストア「個人用」を選択し、「OK」をクリックします。
  8. 「次へ」をクリックしてから、「証明書のインポート ウィザードの完了」「完了」をクリックして証明書をインポートします。
    この手順では、「個人用」証明書ストアにPFXファイルがインストールされます。
  9. 再度証明書のインポート ウィザードを実行して、「現在のユーザー」の場所、「信頼されたユーザー」の証明書ストアの順に選択します。
  10. さらにもう一度証明書のインポート ウィザードを実行して、「ローカル コンピューター」の場所、「信頼されたユーザー」の証明書ストアの順に選択します。

MAFでのUWP設定の指定

Windows SDKの場所やPFXファイル情報などのUWP固有の設定を構成し、アプリケーションをパッケージ化してUWPプラットフォームにデプロイします。

MAFによってサポートされるプラットフォームにアプリケーションをパッケージ化してデプロイするには、プラットフォームの名前とプラットフォーム固有のツールおよびデータを含むディレクトリの名前をJDeveloperが認識している必要があります。便宜上、MAFによりJDeveloperプリファレンスにこれらの設定が移入されます。各プラットフォーム固有のページで、プラットフォームSDK (Android、iOSまたはWindows)のプリファレンスがホストされます。ここには、MAFがAndroid、iOSまたはWindowsプロジェクトのコンパイルおよびデプロイのために必要とするパスなどの情報が集められています。

UWPプラットフォーム用の環境を構成するには、次の手順を実行します。

  1. Microsoft Visual Studio 2017のインストール時に、必要なWindows SDKがインストールされたことを確認します。
  2. JDeveloperで、「ツール」「プリファレンス」をクリックします。
  3. 「プリファレンス」ダイアログで、「モバイル・アプリケーション・フレームワーク」「Windowsプラットフォーム」をクリックします。
  4. Windows SDKファイル(MSBuildバージョン15.0)の場所を指定します。
  5. 証明書(PFXファイル)の場所およびパスワードを指定します。
    同じPFXファイルを使用すると、コンピュータ上でリリース・モードおよびデバッグ・モードでアプリケーションを実行できます。組織内の他のデバイスにアプリケーションを配布して実行する場合、内部CAなどの信頼できる機関から発行された証明書を使用することをお薦めします。

Windows 10での開発者モードの有効化

Windows 10開発コンピュータで開発者モードを有効にして、アプリケーションをサイドロードし、デバッグ・モードで実行します。

Windows 10では、信頼されたソースからUWPアプリケーションが実行されます。インポートした証明書は自己署名なので、デフォルトでは実行されません。MAFアプリケーションを開発してUWPにデプロイするには、ご使用のWindows 10コンピュータで開発者モードを有効にする必要があります。開発者モードは次の理由で必要です。

  • 非公式のソースからアプリケーションをサイドロード(インストールおよび実行)するため。

  • デバッグ・モードでアプリケーションを実行するため。

開発者モードを有効にするには:
  1. Windowsキーを押して、「設定」を検索し、表示される結果から「Settings - Modern application」を選択します。
  2. 「更新とセキュリティ」を選択し、「開発者向け」を選択して、「開発者モード」をクリックします。

    注意:

    Visual Studioでアプリケーションを作成した場合は、開発者モードを有効にするよう求めるダイアログが表示されます。
  3. MAFでのUWP設定の指定の説明に従って、JDeveloperでWindowsプラットフォームの設定を構成します。

Windows環境設定のテスト

MAFサンプル・アプリケーションをデプロイして、正常にWindows環境を設定したことをテストします。

次のように、環境設定をテストできます。
  1. JDeveloperで、HelloWorldサンプル・アプリケーションを開きます。

    『Oracle Mobile Application Frameworkでのモバイル・アプリケーションの開発』MAFサンプル・アプリケーションに関する項を参照してください。

  2. メイン・メニューから「アプリケーション」を選択し、「デプロイ」を選択します。

    『Oracle Mobile Application Frameworkでのモバイル・アプリケーションの開発』モバイル・アプリケーションのデプロイに関する項を参照してください。

  3. ドロップダウン・メニューから、Windowsプラットフォームのデプロイメント・プロファイルを選択します。
  4. 「デプロイ」ダイアログの「アプリケーションのローカル・マシンへのデプロイ」を選択します。
  5. 「デプロイ」ダイアログで「次へ」をクリックし、「サマリー」ページの内容を確認した後、「終了」をクリックします。

『Oracle Mobile Application Frameworkでのモバイル・アプリケーションの開発』モバイル・アプリケーションのデプロイに関する項を参照してください。

デプロイメントに成功すると(数分かかる場合があります)、アプリケーションをデプロイしたデバイスにHelloWorldアプリケーションの起動画面が表示され、デフォルトのアプリケーション機能が表示されます。