3 Androidプラットフォーム用の開発ツールの設定

この章では、Androidプラットフォーム用の開発ツールを設定および構成する方法について説明します。JDeveloperで開発したMAFアプリケーションを構成済のAndroidデバイスまたはエミュレータにデプロイできるように、Android SDKおよびエミュレータ・アクセラレータをインストールします。

この章の内容は次のとおりです。

Android SDKのインストール

MAFアプリケーションをAndroidデバイスにデプロイするためにAndroid SDKをインストールします。

GoogleのAndroid開発用のIDEであるAndroid Studioでは、そのインストールにAndroid SDKが含まれ、SDKプラットフォームの管理を簡略化するウィザード・オプションと必要なツールが提供されます。

Android Studioとそれに含まれるAndroid SDKを、https://developer.android.com/studio/index.htmlからインストール・ファイルをダウンロードすることで、インストールします。Android開発者のWebサイトでは、Windows、MacおよびLinuxでのインストール手順が提供されています。https://developer.android.com/studio/install.htmlを参照してください。

Android SDKでは、次のものが提供されます。
  • アプリケーションをビルドして.APKファイル(アプリケーションをAndroidデバイスにインストールするファイル・タイプ)にパッケージ化するツール

  • 物理的なAndroidデバイスにアクセスできない場合にアプリケーションをテストできるAndroid仮想デバイス(AVD)を作成するエミュレータ

  • Androidデバイスを持っていない場合に、USBケーブルを使用して開発マシンを物理的なAndroidデバイスに接続するOEM USBドライバ(開発マシンからAndroidデバイスへのアプリケーションのデプロイを可能にします)

MAFでのAndroid設定の指定

Android SDK、ビルド・ツールの場所、署名情報などのAndroid固有の設定を構成し、アプリケーションをパッケージ化してAndroidプラットフォームにデプロイします。

Androidプラットフォームの場合、GUIまたはコマンドラインを使用してプリファレンスを指定できます。

GUIの使用

Androidプラットフォーム用の環境を構成するには、次の手順を実行します。

  1. Android SDKがインストールされていることを確認します。
  2. JDeveloperで、「ツール」をクリックしてから「プリファレンス」をクリックします。
  3. 「プリファレンス」ダイアログで、「モバイル・アプリケーション・フレームワーク」をクリックし、「Androidプラットフォーム」をクリックします。
  4. コンピュータ上のAndroid SDKの場所を指定します。
  5. コンピュータ上のAndroidビルド・ツールの場所を指定します。
  6. 署名資格証明に関する情報を指定します。
    キーおよびキーストアの詳細は、Oracle Mobile Application Frameworkでのモバイル・アプリケーションの開発AndroidプラットフォームにデプロイするMAFアプリケーションの署名方法を参照してください。

    図3-1 Androidプラットフォームのプリファレンスの構成

    図3-1の説明が続きます
    「図3-1 Androidプラットフォームのプリファレンスの構成」の説明

コマンドラインの使用

JDeveloperの起動時に起動パラメータを指定して、Android SDKの場所など、MAFアプリケーションの開発に必要なMAFプリファレンスを設定できます。

コマンド行から起動パラメータ付きでJDeveloperを起動するには、-J-Dオプションを使用します。例に示すように、すべての文字列を二重引用符で囲む必要があります。

次の例は、Android SDKの場所をオーバーライドする方法を示しています。

jdeveloper.exe -J-Doracle.adfmf.framework.dt.preferences.PlatformSDKsPrefs.androidPlatformDir="C:\<my_Android_SDK_path>"

コマンド行からAndroidのプリファレンスを設定するために使用できる起動パラメータは次のとおりです。

  • oracle.adfmf.framework.dt.preferences.PlatformSDKsPrefs.androidSdkDir

  • oracle.adfmf.framework.dt.preferences.PlatformSDKsPrefs.androidBuildToolsDir

  • oracle.adfmf.framework.dt.preferences.PlatformSDKsPrefs.androidReleaseSigningKeystorePath

  • oracle.adfmf.framework.dt.preferences.PlatformSDKsPrefs.androidReleaseSigningKeystorePath

エミュレータ・アクセラレータのインストール

エミュレータ・アクセラレータをインストールすることで、AVDをレンダリングするエミュレータのパフォーマンスを向上させることができます。

インストールされると、エミュレータ・アクセラレータは、エミュレータと、開発マシンから追加のリソースを割り当てることでそれがエミュレートするAVDのパフォーマンスを高速化します。アクセラレータのインストール時に量を指定します。インストールされると、次の図に示すように、アクセラレータはSDK ManagerのSDKツール・リストに表示され、Android Studioから起動することができます。Intel x86 Emulator Accelerator (HAXM)は使用可能なエミュレータ・アクセラレータの1つのタイプです。

図3-2 エミュレータ・アクセラレータのインストール

図3-2の説明が続きます
「図3-2 エミュレータ・アクセラレータのインストール」の説明

ダウンロードするエミュレータ・アクセラレータの更新サイトが、前述の図に示したSDK更新サイト・タブで選択されていることを確認してください。ダウンロードしたら、インストーラを実行します。https://developer.android.com/studio/run/emulator-acceleration.html#accel-vmを参照してください。

Android仮想デバイスの作成

Android仮想デバイス(AVD)はAndroidデバイスを開発コンピュータにレプリケートします。これはテストの際、特に、1つまたは限られた範囲の物理的なAndroidデバイスにしかアクセスできない場合に、有用なオプションです。

「ツール」「Android」「AVD Manager」の順にクリックしてAndroid Studioから起動したAVD Managerは、すぐに使用できる仮想デバイスのレンジを持ちます。NexusやPixel XLレンジといった、Google自体により開発されたデバイスのほとんどが含まれています。Googleによって、AVDの管理方法を説明するドキュメントが維持されています(https://developer.android.com/studio/run/managing-avds.htmlを参照)。

Samsungなどのその他のAndroidデバイス・ベンダーは、AVDをユーザーが作成するのに使用できる仕様を自社のWebサイトで提供しています。

AVDを作成する手順:

  1. Android Studioで、「ツール」「Android」「AVD Manager」の順に選択して、Android Virtual Device Managerを起動します。

  2. 仮想デバイス画面で、仮想デバイスの作成をクリックします。

  3. 「ハードウェアの選択」画面で、Pixelなどの電話デバイスを選択し、「次」をクリックします。

  4. 「システム・イメージ」画面で、推奨されるシステム・イメージのいずれかに対して「ダウンロード」をクリックします。条件に同意してダウンロードを完了します。

  5. ダウンロードが完了した後で、このリストからシステム・イメージを選択し、「次」をクリックします。

  6. 次の画面では、すべての構成の設定は変更せずに、「終了」をクリックします。

  7. 仮想デバイス画面で、作成したデバイスを選択し、エミュレータでこのAVDを起動するをクリックします。

開発マシンからアプリケーションをインストールするためのAndroidデバイスの設定

Androidデバイスを構成し、USBケーブルを使用して開発マシンに接続することで、開発マシンからAndroidデバイスに直接アプリケーションをインストールできます。

Androidデバイスを設定する手順:

  1. デバイスをUSBケーブルを使用して開発マシンに接続します。

    Windowsで開発中の場合、デバイスに応じた適切なUSBドライバをインストールする必要がある場合があります。ドライバのインストールについては、OEM USBドライバのドキュメントを参照してください。

  2. 「設定」 > 「開発者オプション」に移動して、デバイスでのUSBデバッグを有効にします。

    注意:

    開発者オプションはデフォルトでは非表示です。使用可能にするには、「設定」 > 電話についてに移動し、 and tap ビルド番号を7回タップします。前の画面に戻って「開発者オプション」を探します。

Android環境設定のテスト

MAFサンプル・アプリケーションをデプロイして、正常にAndroid環境を設定したことをテストします。

次のように、環境設定をテストできます。
  1. JDeveloperで、HelloWorldサンプル・アプリケーションを開きます。

    『Oracle Mobile Application Frameworkでのモバイル・アプリケーションの開発』MAFサンプル・アプリケーションに関する項を参照してください。

  2. メイン・メニューから「アプリケーション」を選択し、「デプロイ」を選択します。

    『Oracle Mobile Application Frameworkでのモバイル・アプリケーションの開発』モバイル・アプリケーションのデプロイに関する項を参照してください。

  3. ドロップダウン・メニューから、Androidプラットフォームのデプロイメント・プロファイルを選択します。
  4. 「デプロイ」ダイアログの「アプリケーションのエミュレータへのデプロイ」を選択します。
    Androidデバイス・エミュレータを使用した環境設定のテストは、アプリケーションの署名を必要としないためお薦めします。デプロイメントを開始する前に、エミュレータが稼働していることを確認してください。

    図3-3 Androidに対するデプロイメント・アクションの選択

    図3-3の説明が続きます
    「図3-3 Androidに対するデプロイメント・アクションの選択」の説明
  5. 「デプロイ」ダイアログで「次へ」をクリックし、「サマリー」ページの内容を確認した後、「終了」をクリックします。

『Oracle Mobile Application Frameworkでのモバイル・アプリケーションの開発』モバイル・アプリケーションのデプロイに関する項を参照してください。

デプロイメントに成功すると(数分かかる場合があります)、アプリケーションをデプロイしたデバイスにHelloWorldアプリケーションの起動画面が表示され、デフォルトのアプリケーション機能が表示されます。