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Oracle® Enterprise Manager Microsoft Systems Center Operations Manager (SCOM) Event Connectorユーザーズ・ガイド
for Enterprise Manager Cloud Control 13c リリース3
F21012-01
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3 Microsoft SCOMイベント・コネクタの構成

この章では、メインの「管理コネクタの構成」ページの2つのサブページを構成する方法について説明した後、構成プロセスを完了するためのその他の作業の実行方法について説明します。

この章では、以下のトピックについて説明します。

注意:

特に明記しないかぎり、次の手順はSCOM 2012コネクタおよびSCOM 2007コネクタに適用されます。SCOM 2007コネクタに固有の手順は、Microsoft SCOM 2007コネクタに使用できます。

3.1 コネクタ・インスタンスの作成

SCOMコネクタをEnterprise Managerにインストールした後は、このコネクタ・タイプの1つ以上のインスタンスを作成する必要があります。コネクタ・インスタンスは、SCOMシステムのコネクタ名、Webサービス・エンドポイント、ユーザー名/パスワードなどの特定の詳細を使用して構成されたコネクタ・インスタンスを示します。

たとえば、同じコネクタ・タイプの複数のコネクタ・インスタンスがサポートされているため、Enterprise Managerを使用して複数のSCOMシステムを柔軟に構成できます。つまり、データ・センターで2つの異なるSCOMインスタンス(本番ターゲット用とテスト・ターゲット用)が構成され、本番ターゲットからのイベントを一方のSCOMインスタンスに送信し、テスト・ターゲットからのイベントをもう一方のSCOMインスタンスに送信する必要がある場合、このシナリオがサポートされています。

別の例として、Enterprise Managerがモニターする本番データベースとテスト・データベースを確保し、2つの異なるSCOMシステム(本番ターゲット用に1つ、テスト・ターゲット用に1つ)に対して2つの異なるコネクタ・インスタンスを作成して、本番ターゲットからのイベントが一方のSCOMインスタンスに送信され、テスト・ターゲットからのイベントがもう一方のSCOMインスタンスに送信されるようにできます。各インスタンスは個別のイベント・ルールに関連付けることができます。この設定を使用すると、様々なターゲットから生成されたEnterprise Managerイベントを適切なSCOMシステムに転送できます。

次のステップに従って、コネクタ・インスタンスを作成します。

  1. Enterprise Managerコンソールで「設定」をクリックします
  2. ペインで「拡張性」を選択します。
  3. 左側のペインで「管理コネクタ」を選択します。
  4. 「コネクタの作成」ドロップダウン・リストから適切なSCOMコネクタ・タイプを選択し、「実行」をクリックします。
  5. 次の画面でコネクタの名前と説明を入力し、「OK」をクリックします。
  6. 「コネクタ設定」ページに、コネクタ・インスタンスが構成されていないものとして表示されます。図3-1は、構成されていないSCOM 2012コネクタ・インスタンスを示しています。

図3-1 構成されていないSCOM 2012コネクタ・インスタンス


構成されていないSCOM 2012コネクタ・インスタンス

3.2 コネクタの構成

コネクタを構成するには、次のステップを実行します。

  1. スーパー管理者として、Enterprise Managerコンソールから「設定」をクリックします。
  2. 「拡張性」をクリックし、「管理コネクタ」を選択します。「管理コネクタ」ページが表示され、作成されたすべてのコネクタ・インスタンスのリストが表示されます。

    注意:

    緑色のチェック・マークが付いたステータス列は、コネクタがすでに構成されていることを示します。

  3. SCOMコネクタの名前をクリックします。
    図3-2に示すような「管理コネクタの構成」ページの「一般」タブが表示されます。
  4. 必要な設定を行います。詳細は、一般設定の指定を参照してください。
  5. 「OK」をクリックします。
    「管理コネクタ」ページが再度表示されます。SCOMコネクタ行の「構成済」列にマークが付きます。

    注意:

    SCOMとEnterprise Manager間の接続を確立するためのプロトコルとしてHTTPSを選択した場合は、SSLを使用するためのEnterprise Managerの構成に指定されているステップを実行したことを確認してください。

図3-2 「管理コネクタの構成」ページの「一般」タブ


「管理コネクタの構成」ページの「一般」タブのスクリーンショットの例

3.3 コネクタの操作モード

注意:

これらのモードは、SCOM 2012コネクタにのみ適用されます。

SCOM APIでは、SCOM 2012でアラートの重大度を変更できません。この制限のため、コネクタには2つの操作モードがあります。

更新のみの操作モードでコネクタが動作している場合は、Enterprise Managerでイベント重大度の変更が発生するたびに更新される単一のアラートが作成されます。Enterprise Managerでイベント重大度が変更されるたびに、更新された情報を格納するSCOM 2012のアラート履歴ログに新しいエントリが追加されます。アラートの重大度はSCOM 2012では変更されないままとなります。これはデフォルトの操作モードです。

更新時作成の操作モードでコネクタが動作している場合は、Enterprise Managerに関連付けられたイベントに重大度の変更が発生するたびにSCOM 2012に新しいアラートが作成されます。新しいアラートの重大度は正しく、説明およびタイトルのフィールドには最新の情報が表示されます。Enterprise Managerでイベントがクリアされると、SCOM 2012の関連するアラートすべてがクローズされます。

更新のみモードから更新時作成モードに切り替えるには、updateEvent操作に対して代替テンプレートを定義する必要があります。更新のみモードから更新時作成モードに切り替える手順は、代替テンプレートへの切替えを参照してください。

3.3.1 代替テンプレートへの切替え

デフォルトの更新のみモードから更新時作成モードに切り替えるために、コネクタには代替テンプレートが定義されており、updateEvent操作用にインストールする必要があります。デフォルトでは、Enterprise Managerから新しいイベント重大度が送信されると、代替テンプレートによって履歴ログ情報が同期されます。つまり、新しいアラートの履歴ログには、作成された元のアラートのエントリと、その時点までに発生した各更新のエントリが含まれています。また、元のアラートの履歴ログには、元の作成エントリと各更新のエントリが含まれています。図3-3に、デフォルトの同期機能が有効な場合の新しいアラートの履歴ログの例を示します。

ログの同期が必要ない場合、代替テンプレートには同期機能を無効にするために変更できるフラグがあります。機能が無効になっていると、元のアラートには元の作成に関する情報のみが含まれ、更新エントリは含まれません。また、作成された新しいアラートには、そのアラートに関連付けられている更新の単一のエントリが含まれるようになります。図3-4に、同期機能が無効になっている場合の新規アラートの履歴ログの例を示します。

テンプレートを切り替えるには、次の手順を実行します。

  1. Enterprise ManagerからデフォルトのテンプレートXSLTファイルをエクスポートします。テンプレート・ファイルのエクスポートの説明に従って、デフォルトのテンプレート・ファイルのコピーを取得します。
  2. 同期機能を無効にする場合は、次のサブステップを実行します。それ以外の場合は、次のステップにスキップします。
    1. テキスト・エディタでupdateEvent_request_2012_alt.xslファイルを開きます。
    2. syncHistoryフラグをtrueからfalseに変更します。
    3. 変更を保存して終了します。

    次に、変更前と変更後のフラグの表示例を示します。

    syncHistory前

    <xsl:variable name="syncHistory">true</xsl:variable>

    syncHistory後

    <xsl:variable name="syncHistory">false</xsl:variable>
  3. 最後のステップとして、updateEvent操作に使用する代替テンプレートを登録します。代替テンプレートを登録するには、次のステップを実行します。
    1. テキスト・エディタでupdateEvent_request_2012_alt.xslファイルを開きます。
    2. テンプレートの内容をコピーします。
    3. Enterprise Manager Cloud Controlコンソールで、SCOM 2012コネクタ構成ページの「Template」タブに移動します。
    4. 「Update Event Request」テンプレートを選択し、「Edit」をクリックします。
    5. 代替テンプレートの内容を既存のテンプレートの内容に貼り付け、「Save」をクリックします。

図3-3 同期機能が有効になっている履歴ログ(デフォルト値)


同期機能が有効になっている履歴ログ(デフォルト値)

図3-4 同期機能が無効になっている履歴ログ(デフォルト値)


同期機能が無効になっている履歴ログ(デフォルト値)

3.4 コネクタの有効化と無効化

システムからコネクタを再構成または削除することなく、コネクタ・インスタンスを有効または無効にできます。

コネクタを選択して「有効化」または「無効化」のいずれかをクリックすることで、「管理コネクタ」ページからコネクタを有効または無効にできます。コネクタを無効にすると、ステータス列の下に赤い十字アイコンが表示されます。デフォルトでは、コネクタ・インスタンスは構成されるとすぐに有効になります。

注意:

イベントの転送には、有効なコネクタのみを使用できます。

3.5 一般設定の指定

次の各項では、様々な構成項目の指定方法について説明します。

3.5.1 接続設定

SCOMコネクタは、Microsoft SCOM Webサービスのインストールの説明に従ってインストールされたSCOM Webサービスを介してMicrosoft SCOMと通信します。フィールドはすべて必須です。

Webサービス・エンドポイント - SCOM Webサービスとの対話を必要とするイベント操作を実行するときに使用するURL。Webサービスでは、実行される操作に応じて2つの異なるURLを使用します。1つのURLは、Microsoft SCOMへのSCOMエージェントの登録(setup、initializeおよびuninitialize操作)に使用され、次の値にデフォルト設定されます。

http://[Hostname]:8080/services/SCOM/SCOMService

もう1つのURLは、SCOMでのアラート情報の作成または更新(createEventおよびupdateEvent操作)に使用され、次の値にデフォルト設定されます。

http://[Hostname]:8080/services/SCOM/EventService

SCOM Webサービスを設定する際にHTTPが使用されたか、HTTPSが使用されたかに基づいて、操作のURLを変更します。

  • HTTPの場合:

    • URLの[Hostname]を、SCOM Webサービスがインストールされているシステムのホスト名またはIPアドレスに置き換えます。

  • HTTPSの場合:

    • プロトコルをhttpからhttpsに変更します。

    • URLの[Hostname]を、SCOM Webサービスがインストールされているシステムのホスト名またはIPアドレスに置き換えます。

    • ポート番号を8080から8443に変更します。

SCOM Web Service Username - Webサービスのインストールに関する適切な項(UNIXでのMicrosoft SCOM WebサービスのインストールおよびWindowsでのMicrosoft SCOM Webサービスのインストール)のステップ9で、SCOM Webサービスにアクセスするために構成したユーザー名。

SCOM Web Service Password - Webサービスのインストールに関する適切な項(UNIXでのMicrosoft SCOM WebサービスのインストールおよびWindowsでのMicrosoft SCOM Webサービスのインストール)のステップ10で、SCOM Webサービスにアクセスするために構成したパスワード。

例3-1 構成されたURL

scomwsというホスト名のシステムにSCOM Webサービスがインストールされている場合は、createEventおよびupdateEvent操作に対して、次のURLが構成されます。

HTTPの場合:

http://scomws:8080/services/SCOM/EventService

HTTPSの場合:

https://scomws:8443/services/SCOM/EventService

3.5.2 再試行

「再試行」オプションを有効または無効にしたり、その間隔値を構成できます。「コネクタ構成」ページで使用できる「再試行」セクションでは、失敗した操作を、構成可能な有効期限内に再試行する必要があるかどうかを指定できます。

「再試行」オプションを有効にすると、リクエストが最初に失敗した場合に作成または更新のリクエストを再送信するかどうかを指定し、再試行を中止するまでの時間(0より大きい)を指定できます。Enterprise Managerでは、リクエストが成功するか再試行間隔の有効期限が切れるまで、5分ごとに再試行します。

デフォルトでは、「再試行」は無効になっています。この設定はSCOMコネクタが処理するすべてのイベントに適用されます。再試行間隔には時間数を任意の整数値で使用できます。たとえば、12などを指定できます。

3.6 テンプレート・ファイルのエクスポート

Webサービス・インストール・ファイルは、エージェント・インストール・ファイルのエクスポートで抽出されたzipファイルに含まれています。インストール・ファイルを抽出するには、次のステップを実行します。

  1. zipファイルをエクスポートしたマシンでコマンド・ウィンドウを開き、そのzipファイルがある一時ディレクトリに移動します。
  2. 次のコマンドを使用して、zipファイルからコネクタ・インストールjarファイルを抽出します。
    unzip *.zip archives/*connector.jar
  3. 次のコマンドを使用して、コネクタjarファイルからテンプレートを抽出します。
    • SCOM 2012の場合:
      $JAVA_HOME/bin/jar xf archives/*.jar createEvent_request_2012.xsl updateEvent_request_2012.xsl updateEvent_request_2012_alt.xsl
    • SCOM 2007 R2の場合:
      $JAVA_HOME/bin/jar xf archives/*.jar createEvent_request_R2.xsl updateEvent_request.xsl
    • SCOM 2007 pre-R2の場合:
      $JAVA_HOME/bin/jar xf archives/*.jar createEvent_request_preR2.xsl updateEvent_request.xsl

    注意:

    コネクタ・ファイルがあるシステムにJDKがインストールされていない場合は、jarファイルの内容を抽出できません。JDKがインストールされているシステムにjarファイルをコピーして内容を抽出した後に、そのテンプレート・ファイルを転送する必要があります。

3.7 Microsoft SCOMイベント・コネクタの削除

コネクタを選択して「削除」をクリックすることで、「管理コネクタ」ページからコネクタを削除できます。コネクタを削除すると、関連付けられているすべてのイベント・ルールでは、イベントを転送する構成が解除されます。イベント・コネクタへの参照もイベント・ルールから削除されます。

また、削除されたコネクタがそのコネクタ・タイプの唯一のコネクタ・インスタンスである場合は、対応するコネクタ・タイプも削除されます。

3.8 Microsoft SCOMイベント・コネクタのテスト

次のステップを実行して、コネクタが正しく構成されていることを確認します。

  1. スーパー管理者権限があるアカウントを使用してOracle Enterprise Managerコンソールにログインします。
  2. Enterprise Managerコンソールで、ドロップダウン・メニューから「設定」「拡張性」「管理コネクタ」の順にクリックします。
    「管理コネクタ」ページが表示されます。
  3. SCOMコネクタの名前をクリックします。
    「管理コネクタの構成」ページの「一般」タブが表示されます。
  4. createEventまたはupdateEvent操作用に指定されたURLを選択してコピーします。
  5. Oracle Enterprise Managerサーバーがインストールされているシステムで、インターネット・ブラウザを開きます。
  6. アドレス・ウィンドウに、ステップ4でコピーしたURLを入力します。URLの最後に?wsdl を追加します。URLは、次の例のようになります。
    http://[Hostname]:8080/services/SCOM/EventService?wsdl

    [Hostname]は、SCOM Webサービスがインストールされている実際のホスト名またはIPアドレスです。

WSDLがロードされている場合は、コネクタがSCOMへのイベント情報送信用に正しく構成されているかどうかが確認されます。