7 Oracle Real Application Clustersデータベース用のOracle Grid Infrastructureのプロビジョニング
この章では、クラスタ環境用のOracle Grid InfrastructureおよびOracle Real Application Clusters (Oracle RAC)を自動的、反復可能で、信頼できる方法で一括デプロイする方法について説明します。この章の具体的な内容は次のとおりです。
Oracle RACデータベースのグリッド・インフラストラクチャのプロビジョニングの概要
この項では、この章に取り組むための手引きとして、Oracle Grid InfrastructureおよびOracle RACのプロビジョニング・ステップの概要を説明します。この項は、Oracle Grid InfrastructureおよびOracle RACのプロビジョニングを成功させるために必要な一連の処理を理解するためのドキュメント・マップと考えてください。各ステップの参照リンクをクリックすると、詳細情報が説明されている関連セクションが表示されます。
表7-1 Oracle Grid InfrastructureおよびOracle RAC Databaseのプロビジョニングの概要
ステップ | 説明 | 参照リンク |
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ステップ1 |
Oracle RACトポロジの理解 Cloud ControlによりプロビジョニングされたOracle Real Application Clustersデータベース・トポロジについて理解します。 |
トポロジの詳細は、Oracle Real Application Clustersデータベース・トポロジおよびOracle Flex ClusterおよびFlex ASMを参照してください。 |
ステップ2 |
ユースケースの選択 ここでは、Oracle Grid InfrastructureおよびOracle RACのプロビジョニングのユースケースのいくつかを説明します。ご自身の要件に最適なユースケースを選択してください。 |
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ステップ3 |
前提条件の確認 デプロイメント・プロシージャを実行する前に、プロビジョニング環境の設定、必須パッチの適用およびOracleソフトウェア・ライブラリの設定などの前提条件を満たす必要があります。 |
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ステップ4 |
デプロイメント・プロシージャの実行 デプロイメント・プロシージャを実行してOracle Grid InfrastructureおよびOracle RACを正常にプロビジョニングします。 |
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Oracle Real Application Clustersデータベース・トポロジ
Oracle Enterprise Manager Cloud Controlを使用すると、プロビジョニング・プロファイルを使用してOracle RACデータベースのゴールド・イメージ・ベースのデプロイを標準化し、デザイナ・ロールでロック・ダウンを入力し、コンプライアンス標準をデータベースに関連付けることができます。図7-1に、Cloud Controlを使用してプロビジョニングできる一般的なOracle RACデータベース・トポロジを示します。
図7-1 Oracle RACデータベース・トポロジ

このトポロジは、グリッド・インフラストラクチャ、クラスタASM、およびポリシー管理型Oracle RACデータベースを使用したNノード設定を示します。ASMディスク・アレイはクラスタ設定で完全に共有されます。グリッド・インフラストラクチャでは、Oracle Cluster Registry (OCR)および投票ディスク(ハートビート)に、QUORUMという名前のASMディスクグループを使用します。Oracle RACデータベースでは、DATAという名前の別のディスクグループを使用します。ここにはデータベースのデータファイルが保存されます。ノードは、ノード間の高速内部ネットワークによりクラスタ操作が促進され、パブリック・ネットワークが外部接続に使用されるように、マルチホーム化されています。ネットワークは、パブリック、プライベート、およびノードとASMディスク・アレイ間の記憶域ネットワークです。
Oracle Flex ClusterおよびFlex ASM
Oracle Flex Clusters
Oracle Flex Cluster構成でインストールされるOracle Grid Infrastructureは、スケーラブルで動的、強固なノード・ネットワークです。Oracle Flex Clusterは、多数のノードを持つOracle Real Application Clusters (Oracle RAC)データベースなどの様々なアプリケーションにプラットフォームを提供します。Oracle Flex Clusterでは、高可用性のために調整および自動化が必要な他のサービス・デプロイメントのプラットフォームも提供されます。
Oracle Flex Cluster内のすべてのノードは、単一のOracle Grid Infrastructureクラスタに属します。このアーキテクチャでは、様々なサービス・レベル、負荷、障害のレスポンス、およびリカバリに対処するために、アプリケーション・ニーズに基づいてリソースのデプロイメントに対するポリシー決定が集中管理されます。
Oracle Flexクラスタには、ハブおよびスポーク・アーキテクチャに配置される2つのタイプのノード(ハブ・ノードおよびリーフ・ノード)が含まれます。Oracle Flex Cluster内のハブ・ノードの最大数は64です。リーフ・ノードの数は、さらに多くできます。ハブ・ノードおよびリーフ・ノードでは、様々なタイプのアプリケーションをホストできます。
ハブ・ノードは、接続が強固であり、共有ストレージに直接アクセスできる点で、Oracle Clusterwareの標準クラスタ構成におけるOracle Grid Infrastructureノードに類似しています。Oracle Flex Cluster構成では、Oracle Grid Infrastructureに関係なく共有ストレージをリーフ・ノードに提供できます。
リーフ・ノードは、共有記憶域への直接アクセスが必要なく、かわりにハブ・ノードを介してデータを要求する点が、標準のOracle Grid Infrastructureノードと異なります。ハブ・ノードは、クラスタ・メンバー・ノードとしてリーフ・ノードを一切必要とせずにOracle Flex Cluster構成で実行できますが、リーフ・ノードは最低1つのハブ・ノードを含むクラスタのメンバーである必要があります。
Oracle Flex ASM
Oracle Flex ASMを使用すると、データベース・サーバーとは異なる物理サーバーでOracle ASMインスタンスを実行できます。このデプロイでは、システム全体におけるOracle ASMのフットプリントを削減しながら、Oracle ASMインスタンスの大規模なクラスタでより多くのデータベース・クライアントをサポートできます。
Oracle Flex ClusterおよびFlex ASMの詳細は、次のリンクを参照してください。
Oracle Real Application Clustersデータベースを使用したグリッド・インフラストラクチャのプロビジョニングとOracle Automatic Storage Managementを使用したデータベースの構成
この項では、Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)データベースを使用してグリッド・インフラストラクチャをプロビジョニングし、Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)を使用してデータベースを構成する方法について説明します。
この項の具体的な内容は次のとおりです。
Oracle RACデータベースを使用してグリッド・インフラストラクチャをプロビジョニングするための前提条件
デプロイメント・プロシージャを実行する前に、「データベース・プロビジョニングの設定」に示す前提条件を満たしている必要があります。
Oracle RACデータベースを使用してグリッド・インフラストラクチャをプロビジョニングする手順
Oracle RACデータベースを使用してグリッド・インフラストラクチャをプロビジョニングし、Oracle ASMを使用してデータベースを構成するには、次のステップを実行します。
注意:
デプロイメント・プロシージャが失敗した場合、「ログ・ファイルの確認」で説明しているログ・ファイルを確認します。
グリッド・インフラストラクチャ・ソフトウェア位置のパスの前提条件
Oracle Grid InfrastructureバイナリをデプロイするためのOracle Grid Infrastructureホームのディレクトリ・パスを指定する場合、次の要件を満たしてください。これらの要件は、GI構成によりGIホームおよびすべての親ディレクトリの所有権がrootの所有に変更されるために提案されています。
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既存のOracleホーム外のパスに作成する必要があります。
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ユーザー・ホーム・ディレクトリには作成できません。
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すべてのファイルをrootが所有できるパス内のサブディレクトリとして作成するか、一意のパス内に作成します。
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インストール前に、Oracle Grid Infrastructureのインストール所有者(通常、すべてのOracleソフトウェアを対象とした単一インストール所有者の場合は
oracle
。ロールベースのOracleインストール所有者の場合はgrid)によって所有され、権限755に設定される必要があります。
既存のクラスタ上のファイル・システムを使用したOracle Real Application Clustersデータベースのプロビジョニング
この項では、ファイル・システムを使用して既存のクラスタにOracle Real Application Clusters (Oracle RAC)データベースをプロビジョニングする方法について説明します。この項の具体的な内容は次のとおりです。
ファイル・システムを使用して既存のクラスタにOracle RACデータベースをプロビジョニングするための前提条件
デプロイメント・プロシージャを実行する前に、「データベース・プロビジョニングの設定」に示す前提条件を満たしている必要があります。
ASMまたはファイル・システムを使用して既存のクラスタにOracle RACをプロビジョニングする手順
既存のクラスタ上のファイル・システムを使用してOracle RACデータベースをプロビジョニングするには、次のステップに従ってください。
注意:
デプロイメント・プロシージャが失敗した場合、「ログ・ファイルの確認」で説明しているログ・ファイルを確認します。
新規クラスタ上のファイル・システムを使用したOracle Real Application Clustersデータベースのプロビジョニング
この項では、ファイル・システムを使用して既存のクラスタにOracle Real Application Clusters (Oracle RAC)データベースをプロビジョニングする方法について説明します。この項の具体的な内容は次のとおりです。
ファイル・システムを使用して新規のクラスタにOracle RACデータベースをプロビジョニングするための前提条件
デプロイメント・プロシージャを実行する前に、「データベース・プロビジョニングの設定」に示す前提条件を満たしている必要があります。
ファイル・システムを使用して新規のクラスタにOracle RACデータベースをプロビジョニングする手順
注意:
デプロイメント・プロシージャが失敗した場合、「ログ・ファイルの確認」で説明しているログ・ファイルを確認します。