9 「Oracle GoldenGate構成のその他の考慮事項」
内容は次のとおりです。
- ソース表とターゲット表での行の一意性の保証
Oracle GoldenGateでは、レプリケートされた更新および削除に対して正しいターゲット行を見つけるために、ソース表とターゲット表に一意の行識別子が必要です。 - Oracle順序のサポートのインストール
Oracle順序をサポートするには、いくつかのデータベース・プロシージャをインストールする必要があります。 - 特別なデータ型の処理
様々なOracleデータ型に対する特別な構成要件について説明します - 他のデータベース・プロパティの処理
この項では、Oracle GoldenGateに影響する可能性のあるデータベース・プロパティと、その状態の解決または回避に使用できるパラメータについて説明します。 - チェックポイント頻度の制御
TRANLOGOPTIONS
パラメータのCHECKPOINTRETENTIONTIME
オプションでは、統合モードのExtractがチェックポイントを自動的にパージするまで保持する日数を制御します。 - Replicatトランザクションの除外
双方向構成では、トランザクションをマークするようにReplicatを構成する必要があり、また、Replicatトランザクションを除外するようにExtractを構成して、ソースに伝播されないようにする必要があります。 - Oracle GoldenGateの拡張構成オプション
ビジネス・ニーズにあわせて、拡張オプションでOracle GoldenGateを構成する必要が生じる場合があります。
ソース表とターゲット表での行の一意性の保証
Oracle GoldenGateでは、レプリケートされた更新および削除に対して正しいターゲット行を見つけるために、ソース表とターゲット表に一意の行識別子が必要です。
TABLE
文またはMAP
文で、KEYCOLS
句を使用しない場合には、ロギングされる制約数およびタイプに応じて、Oracle GoldenGateにより、使用される行識別子が次の優先順位で選択されます(「ロギング・プロパティの構成」を参照)。
-
拡張(32K)
VARCHAR2/NVARCHAR2
列が含まれない場合は、主キー。非表示列を含まない主キー。 -
一意キー。非表示列を含まない一意キー。
非統合Replicatの場合、一意キーの選択は次のとおりです。
-
仮想列、UDT、ファンクション・ベース列、NULL値可能列、および拡張(32K)
VARCHAR2/NVARCHAR2
列がない英数字順で最初の一意キー。表示されない索引の一部である列を含むキーをサポートするには、Oracle GoldenGateGLOBALS
ファイルでALLOWINVISIBLEINDEXKEYS
パラメータを使用する必要があります。 -
仮想列、UDT、拡張(32K)
VARCHAR2/NVARCHAR2
列、ファンクション・ベース列はないが、Null値可能列がある英数字順で最初の一意キー。表示されない索引の一部である列を含むキーをサポートするには、Oracle GoldenGateGLOBALS
ファイルでALLOWINVISIBLEINDEXKEYS
パラメータを使用する必要があります。
-
-
前のどのキー型も存在しない場合(表に定義されているその他のキー型が存在する可能性があっても)、Oracle GoldenGateによって、一意なキーでデータベースを使用できるすべての列の擬似キー(仮想列、UDT、ファンクション・ベース列、拡張(32K)
VARCHAR2/NVARCHAR2
列、およびOracle GoldenGateユーザーによって、Oracle GoldenGate構成から明示的に除外されている列を除く)が作成されます。前述の制限事項によって除外されないかぎり、非表示列は擬似キーで使用できます。
注意:
表に使用可能な他のキーがない場合や、表にキーがまったくない場合、Oracle GoldenGateは該当するメッセージをレポート・ファイルに記録します。すべての列からキーを作成すると、ソース・システムのOracle GoldenGateのパフォーマンスが低下します。ターゲットでは、このキーはReplicatであまり効率的でないより大きいWHERE
句が使用される原因となります。
表に適切なキーがない場合、あるいは既存のキーを使用しない場合は、表に一意の値が常に含まれる列があれば、代替キーを定義できます。ExtractのTABLE
パラメータおよびReplicatのMAP
パラメータ内にKEYCOLS
句を含めることで、この代替キーを定義します。指定したキーにより、Oracle GoldenGateで検出される既存の主キーまたは一意キーはオーバーライドされます。詳細は、『Oracle GoldenGateリファレンス』を参照してください。
親トピック: Oracle GoldenGate構成のその他の考慮事項
Oracle順序のサポートのインストール
Oracle順序をサポートするには、いくつかのデータベース・プロシージャをインストールする必要があります。
これらのプロシージャは、Oracle GoldenGateプロセスを初めて起動した直後(通常、初期データ同期手順を実行するとき)に発行するOracle GoldenGate FLUSH SEQUENCE
コマンドをサポートします。
Oracle順序オブジェクトのインストール手順
ソース・システムおよびターゲット・システムで、手順を実行します。
親トピック: Oracle GoldenGate構成のその他の考慮事項
特別なデータ型の処理
異なるOracleデータ型に対する特別な構成要件について説明します。
この項は、特に断りのないかぎり、Extractがクラシック・キャプチャ・モードで動作する場合も統合キャプチャ・モードで動作する場合も該当します。
親トピック: Oracle GoldenGate構成のその他の考慮事項
マルチバイト・キャラクタ型
マルチバイト・キャラクタは、サポートされている文字セットの一部としてサポートされます。Oracleソース・データベースのセマンティクス設定がBYTE
で、Oracleターゲットの設定がCHAR
の場合、構成でReplicatパラメータSOURCEDEFS
を使用し、DEFGEN
ユーティリティによって生成された定義ファイルをターゲットに配置します。これらの手順は、ソースおよびターゲットのデータ定義が同一であるかどうかにかかわらず、セマンティクス内の差異のサポートに必要です。Replicatでは、定義ファイルを参照して固定サイズの文字列のサイズ上限を決定します。
キャラクタ・セットのサポートの詳細は、『Oracle GoldenGateの管理』を参照してください。
SOURCEDEFS
およびDEFGEN
ユーティリティの詳細は、『Oracle GoldenGateの管理』を参照してください。
親トピック: 特別なデータ型の処理
Oracle Spatialオブジェクト
SDO_GEORASTER
オブジェクト型の列が1つ以上含まれている表をOracleソースからOracleターゲットにレプリケートするには、それらが正しく処理されるよう、次の手順に従ってOracle GoldenGateを構成します。
ターゲットのGeoRaster表のアクティブなトリガーによって生じるラスター表のエラーを処理する適切な方法は、DISCARD
を指定してREPERROR
を使用し、エラーをトリガーした、カスケードされた削除を破棄します。ターゲットのGeoRaster表のトリガーによって、ラスター・データ表に対して削除が実行されるため、レプリケートされた削除は不要です。
MAP geo.st_rdt, TARGET geo.st_rdt, REPERROR (-1403, DISCARD) ;
エラー処理の監査証跡を保持する必要がある場合は、REPERROR
とEXCEPTION
を使用して例外処理を呼び出します。この場合、例外表を作成して、次のようにソースのラスター・ターゲット表に2回マップします。
-
1回目は実際のターゲットのラスター・データ表(1403エラーを処理する
REPERROR
を使用)。 -
2回目は例外表で、
COLMAP
句を使用して1403エラーとその他の関連する情報をキャプチャします。
例外表の使用の詳細は、Oracle GoldenGateの管理for Windows and UNIXを参照してください。
REPERROR
オプションの詳細は、『Oracle GoldenGateリファレンス』を参照してください。
親トピック: 特別なデータ型の処理
ラージ・オブジェクト(LOB)
クラシックと統合の両方のキャプチャ・モードでのLOBに対する構成ガイドラインは、次のとおりです。
-
可能な場合、行外にラージ・オブジェクトを保存します。
-
(統合キャプチャのみ該当)統合キャプチャでは、REDOログからLOBがキャプチャされます。LOBドキュメントに対する
UPDATE
操作では、LOBの変更された部分のみが記録されます。変更された部分のみが記録される場合にLOBドキュメント全体の証跡への書込みを強制するには、Extractパラメータ・ファイルでFETCHPARTIALLOB
オプションを指定してTRANLOGOPTIONS
パラメータを使用します。Extractは、ログマイニング・サーバーから部分的なLOBコンテンツを受信すると、部分的なLOBを処理するのではなく、LOBイメージ全体をフェッチします。Oracle以外のターゲットにレプリケートする場合、またはLOBイメージ全体が必要なその他の場合にこのオプションを使用します。
親トピック: 特別なデータ型の処理
XML
Oracle GoldenGate制約内でXMLを使用するためのツールは、次のとおりです。
-
クラシックと統合の両キャプチャ・モードで、XMLスキーマへの変更のキャプチャはサポートされませんが、スキーマを展開して、再同期をしなくてもそのレプリケーションを再開できます(「XMLスキーマの変更のサポート」を参照)。
-
(統合キャプチャのみ該当)統合キャプチャでは、REDOログからXMLがキャプチャされます。XMLドキュメントの
UPDATE
操作では、OBJECT RELATIONAL
またはBINARY
として格納されている場合、XMLの変更された部分のみが記録されます。変更された部分のみが記録される場合にXMLドキュメント全体の証跡への書込みを強制するには、Extractパラメータ・ファイルでFETCHPARTIALXML
オプションを指定してTRANLOGOPTIONS
パラメータを使用します。Extractは、ログマイニング・サーバーから部分的なXMLコンテンツを受信すると、部分的なXMLを処理するのではなく、XMLドキュメント全体をフェッチします。Oracle以外のターゲットにレプリケートする場合、またはXMLイメージ全体が必要なその他の場合にこのオプションを使用します。
親トピック: 特別なデータ型の処理
ユーザー定義型
Oracle Databaseがリリース12.0.0.0.0以上と互換性がある場合、統合ExtractはREDOからデータをキャプチャします(フェッチなし)。詳細は、「フラッシュバック問合せの設定」を参照してください。
NCHAR
、NVARCHAR2
またはNCLOB
属性のユーザー定義型を含むソース・データをOracleターゲットにレプリケートする場合は、Replicatパラメータ・ファイルのHAVEUDTWITHNCHAR
パラメータを使用します。この型のデータが証跡で検出される場合は、HAVEUDTWITHNCHAR
によって、ReplicatがAL32UTF8
でOracleターゲットに接続されます(これは、これらの属性のいずれかがユーザー定義のデータ型に含まれる場合に必要です)。HAVEUDTWITHNCHAR
は、NLS_LANG
がターゲットでAL32UTF8
に設定される場合でも必要です。デフォルトのReplicatは、NLS_LANG
を無視し、データベースのネイティブ・キャラクタ・セットでOracle Databaseに接続します。ReplicatはOracle Call InterfaceのOCIString
オブジェクトを使用していますが、これはNCHAR
、NVARCHAR2
またはNCLOB
属性をサポートしないため、ReplicatがそれらをCHAR
としてバインドする必要があります。このような状況では、AL32UTF8
のターゲットに接続することでデータの損失を防ぎます。HAVEUDTWITHNCHAR
は、パラメータ・ファイルのUSERID
またはUSERIDALIAS
パラメータの前に存在する必要があります。
親トピック: 特別なデータ型の処理
他のデータベース・プロパティの処理
この項では、Oracle GoldenGateに影響する可能性のあるデータベース・プロパティと、その状態の解決または回避に使用できるパラメータについて説明します。
次の表でリストされるのは、データベース・プロパティおよび関連する問題点/解決策です。
データベース・プロパティ | 問題点/解決策 |
---|---|
時間隔パーティション化がある表 |
時間隔パーティション化がある表をサポートするには、 |
仮想列のある表 |
仮想列は記録されません。また、Oracleで仮想列に対するDMLは許可されません。ただし、次のようにして、このデータをキャプチャし、仮想列ではないターゲット列にマップできます。 Extractの Replicatの |
本質的に更新可能なビューを持つ表 |
本質的に更新可能なビューにレプリケートするには、関連付けの対象のソース表とターゲット表をマップする |
異なる場所にあるREDOログまたはアーカイブ |
|
|
|
順序 |
順序のDDL( 順序値のみをレプリケートするには、Extractパラメータ・ファイルで |
親トピック: Oracle GoldenGate構成のその他の考慮事項
チェックポイント頻度の制御
TRANLOGOPTIONS
パラメータのCHECKPOINTRETENTIONTIME
オプションでは、統合モードのExtractがチェックポイントを自動的にパージするまで保持する日数を制御します。
部分的な日数は、10進値を使用して指定されます。たとえば、8.25は8日と6時間を指定します。デフォルトは7日です。このパラメータの詳細は、『Oracle GoldenGateリファレンス』を参照してください。
親トピック: Oracle GoldenGate構成のその他の考慮事項
Replicatトランザクションの除外
双方向構成では、トランザクションをマークするようにReplicatを構成する必要があり、また、Replicatトランザクションを除外するようにExtractを構成して、ソースに伝播されないようにする必要があります。
これを実行するには、次の2つの方法があります。
方法1
OracleからOracleの実装にのみ有効です。
Extractがクラシックまたは統合モード(Replicatは統合また非統合モードのいずれかが可能)の場合は、次のパラメータを使用します。
-
Replicatのパラメータ・ファイルで、
DBOPTIONS
をSETTAG
オプションとともに使用します。インバウンド・サーバーは、指定した値のタグ(これらのトランザクションをREDOストリーム内で識別)をそのReplicatのトランザクションに付けます。SETTAG
のデフォルト値は00です。 -
クラシックまたは統合Extractパラメータ・ファイルで
EXCLUDETAG
オプションを指定してTRANLOGOPTIONS
パラメータを使用します。Extractに関連付けられたログマイニング・サーバーは、SETTAG
値のタグが付いたREDOを除外します。複数のEXCLUDETAG
文を使用して、必要に応じて異なるタグ値を除外できます。OracleからOracleの場合は、これが推奨される方法です。
方法2
あらゆる実装(Oracleまたは異種データベース構成)に有効です。
あるいは、Extractがクラシック・キャプチャ・モードまたは統合キャプチャ・モードの場合は、EXCLUDEUSER
またはEXCLUDEUSERID
オプションを指定してTRANLOGOPTIONS
パラメータを使用し、ユーザー名またはIDに基づいて、ReplicatのDDLおよびDMLトランザクションを無視することもできます。複数のEXCLUDEUSER
文を使用できます。指定されたユーザーは、GETREPLICATES
またはIGNOREREPLICATES
パラメータのルールの対象になります。
詳細は、『Oracle GoldenGateリファレンス』を参照してください。
親トピック: Oracle GoldenGate構成のその他の考慮事項
Oracle GoldenGateの拡張構成オプション
ビジネス・ニーズに合せて、拡張オプションでOracle GoldenGateを構成する必要が生じる場合があります。
次を参照してください。
-
特定のレプリケーション・トポロジを実現するためのその他の構成のガイドラインについては、『Oracle GoldenGateの管理』を参照してください。このガイドには、次の構成に関する手順が含まれています。
-
ライブ・レポートでのOracle GoldenGateの使用
-
リアルタイム・データ分散でのOracle GoldenGateの使用
-
リアルタイム・データ・ウェアハウスのためのOracle GoldenGateの構成
-
ライブ・スタンバイ・データベース管理のためのOracle GoldenGateの使用
-
アクティブ/ アクティブ型高可用性のためのOracle GoldenGateの使用
ガイドには、次の点に関する情報も含まれています。
-
Oracle GoldenGateのアーキテクチャ
-
Oracle GoldenGateのコマンド
-
Oracle GoldenGateの初期ロード方式
-
セキュリティの構成
-
カスタマイズ機能の使用
-
データ・フィルタリングと操作の構成
-
-
ソースまたはターゲットのいずれかのデータベースがOracle以外の場合、そのデータベース用のOracle GoldenGateインストレーションおよびセットアップ・ガイドのインストールと構成の手順に従い、その他の情報については、Oracle GoldenGateの管理とリファレンスのドキュメントを参照してください。
親トピック: Oracle GoldenGate構成のその他の考慮事項