アップグレード前のチェックリスト

アップグレード前のチェックリストは、アップグレードを成功させて停止時間を少なくするために、アップグレードを開始する前に実行できるタスクを識別します。

アップグレードはサーバーの停止中に実行されます。チェックリストは、アップグレード前の重要な(かつ時間がかかる)タスクを識別するためのものであり、これをアップグレード前に実行することで停止時間を短縮できます。アップグレード・プロセスを開始する前の準備を十分行うほど、オフライン時間を減らすことができます。

ノート:

実行するアップグレード前の手順は、既存のシステムの構成、アップグレードするコンポーネントおよびアップグレードと構成プロセスの結果として作成される環境によって異なります。各自の構成またはユースケースに当てはまるタスクのみを完了してください。

表2-1 Oracle Fusion Middleware 12cにアップグレードする前に実行するタスク

タスク 説明

必須

既存の環境の完全なバックアップを作成します。

アップグレード対象のスキーマが含まれているシステムに不可欠なファイルとデータベースをすべてバックアップします。アップグレードに失敗した場合は、アップグレード前の環境をリストアして、アップグレードを再開する必要があります。

「完全なバックアップの作成」を参照してください。

  • スキーマ・バージョン・レジストリ表がバックアップに含まれていることを確認します。「スキーマ・バージョン・レジストリ表のバックアップ」を参照してください。

  • 既存のドメインの起動スクリプトを変更した場合、アップグレード中はそれらを一時ディレクトリ(既存のドメイン以外)の場所にコピーし、アップグレード後に再デプロイする必要があります。

オプション

使用する本番環境を、アップグレードのテスト用プラットフォームとしてクローンします。

システム・ファイルの完全なバックアップを作成することに加え、本番環境のクローンを作成することをお薦めします。この環境は、アップグレードをテストするために使用されます。

「本番環境のクローニング」を参照してください。

必須

サポートされているハードウェアおよびソフトウェア構成上で、製品をインストールおよびアップグレードしていることを確認します。

サポートされている最新のオペレーティング・システムを使用できない場合はアップグレードしないでください。サポート対象のすべての構成と同様、こうした要件を守れない場合は、アップグレードが失敗する可能性があります。

ハードウェアとソフトウェア(オペレーティング・システムも含む)の構成が最新の動作保証および要件のドキュメントでサポートされていることを確認してください。また、12c製品のディストリビューションをインストールする前に、サポート対象バージョンのJDKを使用していることを確認してください。

動作保証要件は頻繁に更新されるため、この情報は、アップグレードの開始直前に確認することをお薦めします。

アップグレードの前に、コンポーネントに最新のパッチが適用されていることを確認します。

動作保証とシステム要件の確認に関する項を参照してください。

32ビット・オペレーティング・システムの場合にのみ必須

アップグレードする前に、64ビット・オペレーティング・システムに移行します。

これは、現在サポート対象外の32ビット・オペレーティング・システムを実行している場合にのみ必要になります。

オプション

強化された暗号化(AES 256)を使用している場合は、セキュリティ・ポリシー・ファイルを更新します。

Fusion Middleware 12cで使用されているセキュリティ・アルゴリズムには、JDK用の追加のポリシー・ファイルが必要になるものがあります。

強化された暗号化(AES 256など)を使用する予定がある場合は、アップグレードの前に、必要な最新のファイルをJDKに適用することをお薦めします。

「強化された暗号化(AES 256)を使用する場合のポリシー・ファイルの更新」を参照してください。

オプション

アップグレードする前に期限切れまたは未使用のデータをパージします。

パフォーマンスを最適化するために、アップグレードした環境では使用されないデータとオブジェクトはパージすることをお薦めします。

「未使用データのパージ」を参照してください。

Oracle Databaseユーザーの場合にのみ必須

エディション・ベースの再定義(EBR)に対応したスキーマをアップグレードする前に、データベース・サーバーに接続して、12c (12.2.1.3.0)のデータベース・サーバー上でエディションを作成する必要があります。
エディション・ベースの再定義(EBR)データベースを使用している場合は、アップグレードを開始する前にエディションを作成する必要があります。

「エディション・ベースの再定義のためのサーバー上でのエディションの作成」を参照してください。

オプション

Upgrade Assistantを実行するために非SYSDBAユーザーを作成します。

Upgrade Assistantを実行するには、FMWユーザーを作成することをお薦めします。ユーザーFMWは、システムの管理者権限がなくてもUpgrade Assistantを実行できます。

「Upgrade Assistantを実行するための非SYSDBAユーザーの作成」を参照してください。

オプション

開始前に、現在ドメインで使用されているスキーマを特定します。

アップグレードの開始前に、アップグレード前のドメインに存在しているスキーマを把握しておくことが重要です。スキーマ所有者の名前とパスワード、および各スキーマのバージョンを知っている必要があります。