B エンジニアド・システムにOracle Traffic Directorをインストールするための要件

この付録では、Oracle Traffic Directorをインストールする前にエンジニアド・システムを構成するために必要な追加手順について説明します。

この付録の内容は次のとおりです。

Oracle Traffic Directorをインストールする前のExalogicにおける共有ストレージの構成

この項では、Oracle Traffic Directorをインストールする前に、ExalogicのZFSアプライアンスで共有ストレージを構成する方法を説明します。

この項で説明する設定は、Exalogic内のトラフィックを監視し形成するアプリケーションレベルのトラフィック管理機能を求めている場合に理想的です。これを実現するために、2つの計算ノードが割り当てられ、ここで受信トラフィックが適切にスクリーニングされ、いずれかのバックエンド・アプリケーション・サーバーにルーティングされます。このシナリオでは、Web層として動作するOracle Traffic Directorは通常2つの計算ノードにホストされ、アプリケーション層はその他の計算ノードに置かれます。Web層およびアプリケーション層のトラフィックは、ここでは物理レベルおよびネットワーク・レベルの両方で分離されます。

ノート:

Exalogic (Solaris)では、Oracle Traffic Directorをグローバル・ゾーンにインストールした場合のみ、高可用性を得られるように構成できます。また、すべての管理ノードがグローバル・ゾーンで実行されている必要があります。

この項では、次の項について説明します。

Exalogicの共有ストレージの概要

Exalogic環境では、すべての計算ノードがInfiniBandファブリックにより共有ストレージ・アレイ(ZFSストレージ・アプライアンス)に接続されます。共有ストレージ・アレイはすべてのアプリケーションのインストールおよび構成に使用され、ネットワーク・ファイル・システム(NFS)によりこれらの各計算ノード内にローカル・マウントされます。

ExalogicにOracle Traffic Directorをインストールする前に、まず新規プロジェクトおよび共有を作成してから、これらの共有をローカル・マウントする必要があります。

Oracle Traffic Directorのインストールでは、Oracle Traffic Directorをホストする共有が計算ノードに対して一意になるようにすることをお薦めします。たとえば、高可用性を得るためにOracle Traffic Directorが2つの計算ノードにインストールされている場合、次のインストール・レイアウトにすることをお薦めします。

  • ストレージ・アレイ内にprimaryという共有を作成し、この共有を片方の計算ノード内にローカル・マウントします。

  • ストレージ・アレイ内にsecondaryという共有を作成し、この共有をもう1つの計算ノード内にローカル・マウントします。

プロジェクトおよび共有の作成

高可用性を得るためにOracle Traffic Directorを構成する場合、管理サーバーおよび管理ノードには、インスタンス・ルート・ディレクトリ内にrootアクセス権が必要です。同様に、ZFS共有場所はrootユーザーがこの共有場所に読み書きできるよう適切に構成する必要があります。このためには、ZFSコンソール内でNFS例外としてroot accessを有効にします。

次のステップを実行して、rootアクセス権ありで共有を作成およびマウントします。

ノート:

各ノードにOracle Traffic Directorをインストールすることをお薦めします。これは、Oracle Traffic Directorのパッチ適用中にアプリケーションの停止時間がなくなるようにするためです。

  1. 新規プロジェクトを作成してそのプロジェクト内に新規共有を作成するか、既存のプロジェクト内に新規共有を作成します。
  2. ZFSストレージ・アプライアンスにサインインします。
  3. 作成した共有が、Oracle Traffic Directorをホストする計算ノードに対するrootアクセスを許可するよう構成されていることを確認してください。これには次の操作を行います。
    • ZFS共有ストレージ管理コンソールの使用:

      ZFS共有ストレージ管理コンソールのNFS例外セクションで、Oracle Traffic Director構成をホストする共有にrootアクセスを許可する適切なNFS例外があることを確認してください。

      さらに、プロジェクトの設定ページの「プロパティ」セクションで、次のオプションの選択を解除します。:

      • 読取り時のアクセス時間の更新

      • 所有権の変更の制限

      これらのオプションの使用方法は、次のガイドを参照してください。

      • Oracle Exalogic Elastic Cloud Machine所有者ガイド

      • Oracle Exalogic Elastic Cloud管理者ガイド

    • CLIの使用

      次のコマンドを入力します。

      sharenfs ="sec=sys,rw=@<ip-address-1>/<network-prefix-bits>,root=@<ip-address-2>/<network-prefix-bits>"
      
      • Exalogic物理構成では、ip-address-1およびip-address-2は計算ノードのBOND0 IPアドレスとなります。

      • Exalogic仮想構成では、ip-address-1およびip-address-2IPoIB-vServer-shared-storageネットワークのvServerのIPアドレスとなります。

      :

      set sharenfs="sec=sys,rw=@196.168.10.0/24,root=@192.168.10.1/24"
      

      ノート:

      • BOND0およびBOND1という用語は、それぞれOracle Linuxオペレーティング・システムのIP over InfiniBand (IPoIB)およびEthernet over InfiniBand (EoIB)のデフォルト・インタフェースを指します。

      • Oracle Solarisは、IPマルチパス(IPMP)テクノロジを使用して、同じIPMPグループ名で構成された同一システム上の1つ以上の物理インタフェースからなるIPMPグループをサポートしています。このテクノロジは、Oracle Linuxの結合インタフェースと同じ機能を提供します。IPMPグループに任意の名前を付けることができます。このガイドでは、用語にOracle Linuxとの一貫性を持たせるために、BOND0およびBOND1をサンプル名として使用しています。

      rootアクセス権なしで作成された共有の場合、次のコマンドを実行します。これにより、Oracle Traffic Directorをホストする計算ノード内のrootユーザーは、管理サーバーおよび管理ノードを起動できるようになります。

      <ZFS-SharedStorage> shares
      <ZFS-SharedStorage> select <Project-used-for-OTD>
      <ZFS-SharedStorage> get sharenfs
      <ZFS-SharedStorage> set sharenfs ="sec=sys,rw=@<<ip-address-1>/<network-prefix-bits>,root=@<ip-address-2>/<network-prefix-bits>"
      <ZFS-SharedStorage> commit

共有のマウント

適切な権限ありで共有を作成した後、要件に基づいて共有をマウントします。

作成するマウント・ポイントは、Oracle Traffic Directorがインストールされる場所です。詳細は、Oracle Traffic Directorのインストールを参照してください。

Oracle Traffic DirectorをインストールするためのOracle SuperClusterにおけるゾーンの構成および作成

この項では、グローバル・ゾーンおよび非グローバル・ゾーンについて説明し、さらにOracle SuperClusterにOracle Traffic Directorをインストールするための様々なオプションについて説明します。

この章で説明する設定は、Oracle SuperCluster内のトラフィックを監視し形成するアプリケーションレベルのトラフィック管理機能を求めている場合に理想的です。Oracle SuperClusterでは、2つのゾーン(グローバルまたは非グローバル)が割り当てられ、ここで受信トラフィックがスクリーニングされ、いずれかのバックエンド・アプリケーション・サーバーにルーティングされます。このシナリオでは、Oracle Traffic Director (Web層)は通常2つのゾーンでホストされ、アプリケーション層はその他のゾーンに置かれます。

この項では、次の項について説明します。

Oracle SuperClusterにおけるOracle Traffic Directorのインストールの概要

Oracle SuperClusterにOracle Traffic Directorをインストールする前に、次の点について考慮する必要があります。

  • Oracle Traffic Directorを正常に実行するためには、Oracle VM Server for SPARC (以前は論理ドメインと呼ばれていたもの)など、Solaris 11.1を実行するアプリケーション・ドメインが必要です。

  • Oracle VM Server for SPARCでは、Oracle Traffic Directorをグローバル・ゾーンまたは非グローバル・ゾーンのいずれかにインストールできます。

    グローバル・ゾーンはデフォルト・オペレーティング・システムで、すべてのプロセスを制御できます。グローバル・ゾーンは、他のゾーンが構成されていないときでも常に存在します。グローバル・ゾーンはシステム全体の管理制御にも使用されます。

    非グローバル・ゾーンは、ゾーンとも呼ばれ、グローバル・ゾーンの内部に構成されます。各ゾーンは、アプリケーションの実行に使用できる独立したOS環境です。あるゾーンで実行中のアプリケーションおよびプロセスは、別のゾーンで実行中のアプリケーションやプロセスに影響を与えません。

    グローバル・ゾーンおよび非グローバル・ゾーンの詳細は、Oracle Solaris 11.1の管理: Oracle Solaris Zones、Oracle Solaris 10 Zonesおよびリソース管理(http://docs.oracle.com/cd/E26502_01/html/E29024/zone.html)のOracle Solaris Zonesに関する項を参照してください。

  • グローバル・ゾーンまたは非グローバル・ゾーンを選択する際に考慮する1つの重要な要素は、Oracle Traffic Directorはグローバル・ゾーンにインストールした場合のみ高可用性を得る目的で構成できるということです。また、すべての管理ノードがグローバル・ゾーンで実行されている必要があります。

    ノート:

    VRRPの構成およびその後のフェイルオーバー・グループの構成は、グローバル・ゾーンで、権限を持つユーザーにのみサポートされます。これは、Solaris VRRPの制約によるものです。詳細は、Oracle Solaris 11.1ネットワーク・パフォーマンスの管理ガイド(http://docs.oracle.com/cd/E26502_01/html/E28993/gkmfl.html)のVRRPの制約に関する項を参照してください。

Oracle SuperClusterにおけるOracle Traffic Directorのインストール

Oracle Traffic Directorは、グローバル・ゾーンまたは非グローバル・ゾーンにインストールできます。Oracle Traffic Directorの高可用性機能を利用するには、グローバル・ゾーンにインストールする必要があることに注意してください。

ノート:

Oracle Traffic Directorの高可用性を得るための構成のもう1つのオプションは、Oracle Solaris Clusterをインストールすることです。詳細は、Oracle Solaris Clusterデータ・サービス計画および管理ガイド(http://docs.oracle.com/cd/E29086_01/html/E29475/index.html)を参照してください。.

Oracle Traffic Directorのインストールでは、Oracle Traffic Directorをホストするゾーン(グローバルまたは非グローバル)が一意になるようにすることをお薦めします。Oracle Traffic Directorを非グローバル・ゾーンにインストールするためには、適切なディスクおよびネットワーク情報を使用して構成する必要があることに注意してください。

Oracle Traffic DirectorをOracle SuperClusterにインストールするステップは、次のとおりです。

  1. 新規ゾーンを、グローバルまたは非グローバルのいずれかで構成および作成します。ゾーンの利用の詳細は、http://docs.oracle.com/cd/E26502_01/html/E29024/zone.htmlのOracle Solaris Zonesに関する項を参照してください。
  2. Oracle Traffic Directorをゾーンにダウンロードし、インストールします。インストールの詳細は、「Oracle Traffic Directorのインストール」を参照してください。