2 Oracle Traffic Directorのインストール

Oracle Traffic Directorをインストールするには、その前提条件と手順を理解する必要があります。

この項では、次の項目について説明します。

Oracle Traffic Directorのインストールの前提条件

Oracle Traffic Directorのインストールに必要な必須の構成とパッケージがあります。

次の表に、様々なプラットフォームにOracle Traffic Directorをインストールする場合の前提条件を示します。

表2-1 OTDをインストールするための前提条件

プラットフォーム 前提条件

Exalogic用のOracle Linux 6

OTDインストール用の前提条件パッケージは次のとおりです。
  • compat-glibc-2.3.4-x86_64以上

  • binutils-2.20.51.0.2-5.11.el6-x86_64以上

  • compat-libcap1-1.10-1-x86_64以上

  • compat-libstdc++-33-3.2.3-69.el6-x86_64以上

  • compat-libstdc++-33-3.2.3-69.el6-i686以上

  • libgcc-4.4.4-13.el6-i686以上

  • libgcc-4.4.4-13.el6-x86_64以上

  • libstdc++-4.4.4-13.el6-x86_64以上

  • libstdc++-4.4.4-13.el6-x86_64以上

  • libstdc++-devel-4.4.4-13.el6-x86_64以上

  • sysstat-9.0.4-11.el6-x86_64以上

  • gcc-4.4.4-13.el6-x86_64以上

  • gcc-c++-4.4.4-13.el6-x86_64以上

  • glibc-2.12-1.7.el6-i686以上

  • glibc-2.12-1.7.el6-x86_64以上

  • glibc-devel-2.12-1.7.el6-x86_64以上

  • glibc-devel-2.12-1.7.el6以上

  • libaio-0.3.107-10.el6-x86_64以上

  • libaio-devel-0.3.107-10.el6-x86_64以上

その他のハードウェア用のOracle Linux 6または7

OTDインストール用の前提条件パッケージは次のとおりです。
  • binutils-2.20.51.0.2-5.11.el6-x86_64以上

  • compat-libcap1-1.10-1-x86_64以上

  • compat-libstdc++-33-3.2.3-69.el6-x86_64以上

  • compat-libstdc++-33-3.2.3-69.el6-i686以上

  • libgcc-4.4.4-13.el6-i686以上

  • libgcc-4.4.4-13.el6-x86_64以上

  • libstdc++-4.4.4-13.el6-x86_64以上

  • libstdc++-4.4.4-13.el6-x86_64以上

  • libstdc++-devel-4.4.4-13.el6-x86_64以上

  • sysstat-9.0.4-11.el6-x86_64以上

  • gcc-4.4.4-13.el6-x86_64以上

  • gcc-c++-4.4.4-13.el6-x86_64以上

  • glibc-2.12-1.7.el6-i686以上

  • glibc-2.12-1.7.el6-x86_64以上

  • glibc-devel-2.12-1.7.el6-x86_64以上

  • glibc-devel-2.12-1.7.el6以上

  • libaio-0.3.107-10.el6-x86_64以上

  • libaio-devel-0.3.107-10.el6-x86_64以上

Windows

OTDをインストールする前にMicrosoft Visual C++ 12ランタイム・ライブラリを個別にインストールする必要があります。次のリンクをクリックすると、Visual Studio 2013用のVisual C++再頒布可能パッケージをダウンロードできます。

https://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=40784

AIX

次のAPARが必要です。
  • 6100-08 - AIX APAR IV23241を使用

  • 7100-02 - AIX APAR IV23727を使用

コロケート・ドメインでのOracle Traffic Directorインストールの前提条件

Oracle WebLogic Serverとのコロケート・ドメインにOracle Traffic Directorをインストールするには、次の追加の前提条件が必要です。Oracle Traffic Directorは、Fusion Middleware ControlまたはWLSTコマンドの使用のいずれかにより管理できます。この構成において、Oracle Traffic DirectorはFusion Middleware Controlを介して管理されます。

  • Oracle WebLogic Server (fmw_12.2.1.x.0_infrastructure_generic.jar)

  • Java SE Development Kit 8

ノート:

Oracle WebLogic Serverのインストールの詳細は、Oracle WebLogic ServerおよびCoherenceのインストールと構成を参照してください。管理タスクの実行の詳細は、「Oracle WebLogic Serverの管理」および「Oracle Traffic Directorの管理」を参照してください。カスタムOracle Traffic Director WLSTコマンドの一覧は、「Oracle Traffic Director WLSTコマンド・リファレンス」を参照してください。

コロケート・ドメインの推奨される構成は、制限されたJRFテンプレートを使用し、データベースは必要としない構成です。完全JRFテンプレートをかわりに使用する場合、次に示す要件が追加になります。

  • Oracle Database (制限されたJRFテンプレートがない場合、インストールを正常に実行するには、Oracle Traffic Directorドメインの作成において、稼働しているOracleデータベースが必要です。)

  • ドメイン・リポジトリ

インストール手順

コロケートとスタンドアロンの2つのタイプのインストールがあります。組織の要件に応じて、Oracle Traffic Directorをスタンドアロン・モードまたはWebLogic Serverとのコロケート・ドメインでインストールできます。また、グラフィカル・ユーザー・インタフェースまたはサイレント・モードを使用してインストールを完了することもできます。

次に、各種プラットフォームのインストーラの名前を示します。
  • Linux: fmw_12.2.1.3.0_otd_linux64.bin

  • Windows: fmw_12.2.1.3.0_otd_win64.exe

  • AIX: fmw_12.2.1.3.0_otd_aix_ppc64.bin

  • Solaris Sparc: fmw_12.2.1.3.0_otd_solaris_sparc64.bin

  • Solaris x64: fmw_12.2.1.3.0_otd_intelsolaris.bin

この章の構成は、次のとおりです。

グラフィカル・モードでのスタンドアロンまたはコロケートのOracle Traffic Directorのインストール

スタンドアロンおよびコロケートのOTDはいずれもグラフィカル・モードでインストールできます。

ノート:

コロケートOTDをインストールするには、まずWebLogic Server (fmw_12.2.1.3.0_infrastructure_generic.jar)をインストールする必要があります。Oracle WebLogic Serverのインストールの詳細は、Oracle WebLogic ServerおよびCoherenceのインストールと構成を参照してください。カスタムOracle Traffic Director WLSTコマンドの一覧は、「Oracle Traffic Director WLSTコマンド・リファレンス」を参照してください。

ノート:

Weblogicサーバーのインストールにより、共通のインフラストラクチャがOTDで利用できるようになったため、コロケート・モードでのFMW制御またはWLSTコマンドの使用によるOTDの管理が可能になります。これらの管理オプションは、スタンドアロン・モードのインストールでは使用できません。

グラフィカル・モードでOracle Traffic Directorをインストールするには、次のステップを実行します。

  1. ターゲットのシステムにサインインします。
  2. Oracle Technology NetworkまたはOracle Software Delivery Cloudから次のものをターゲット・システムにダウンロードします。
    (UNIX: fmw_12.2.1.3.0_otd_linux64.bin)、(Windows: setup_fmw_12.2.1.3.0_otd_win64.exe)、(SPARC: ./fmw_12.2.1.3.0_otd_solaris_sparc64.bin)、(Solaris x64: ./fmw_12.2.1.3.0_otd_intelsolaris.bin)、(AIX: ./fmw_12.2.1.3.0_otd_aix_ppc64.bin)
  3. 12c (12.2.1.3.0)製品のディストリビューションをダウンロードしたディレクトリに移動します。
  4. 次のコマンドを入力して、インストール・プログラムを起動します。
    (UNIX) ./fmw_12.2.1.3.0_otd_linux64.bin
    (Windows) fmw_12.2.1.3.0_otd_win64.cmd
    (SPARC) ./fmw_12.2.1.3.0_otd_solaris_sparc64.bin
    (Solaris x64) ./fmw_12.2.1.3.0_otd_intelsolaris.bin
    (AIX) ./fmw_12.2.1.3.0_otd_aix_ppc64.bin
  5. インストール・ウィザードの画面上の指示と手順に従ってください。表2-2に、各画面の概要と必要なアクションを示します。

    個々の画面の詳細は、画面で「ヘルプ」ボタンをクリックしてください。

    表2-2 インストール・ウィザードの画面

    画面 説明および必要なアクション

    インストール・インベントリの設定

    UNIXオペレーティング・システムでは、このホストにOracle製品を初めてインストールする場合に、この画面が表示されます。中央インベントリを作成する場所を指定します。この画面で選択したオペレーティング・システム・グループ名には、中央インベントリの場所への書込み権限があることを確認してください。

    中央インベントリの詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle Universal Installerによるソフトウェアのインストールで、「Oracle中央インベントリについて」を参照してください。

    Windowsオペレーティング・システムでは、この画面は表示されません。

    ようこそ

    情報を参照してすべての前提条件が満たされていることを確認し、「終了」をクリックします。

    自動更新

    この製品の自動更新を受け取るかどうかを選択します。

    インストールの場所

    この画面を使用してOracleホーム・ディレクトリの位置を指定します。

    Oracleホームは、Oracle製品のソフトウェア・バイナリが格納されているディレクトリです。ランタイム・プロセスからこのディレクトリに書き込むことはできないので注意してください。

    WebLogic ServerドメインにOracle Traffic Directorの標準的なインストール・トポロジを使用してインストールを行っている場合、既存のOracle Fusion Middleware InfrastructureのOracleホームへのパスを入力する必要があります。

    スタンドアロン・ドメインにOracle Traffic Directorの標準的なインストール・トポロジを使用してインストールを行っている場合、Oracleホーム・ディレクトリを任意に指定できます。ただしこのソフトウェアを確実に、新規のOracleホームにインストールしてください。

    Oracle Fusion Middlewareディレクトリ構造の詳細は、Oracle Fusion Middlewareのインストールのプランニングで、「推奨ディレクトリ構造について」を参照してください。

    インストール・タイプ

    この画面を使用してインストールのタイプと、それに従ってインストールされる製品および機能を選択します。

    Oracle Traffic Directorをスタンドアロン・ドメインにインストールしているか、Oracle Traffic Directorを同じ場所に配置されたドメインのリモート・ノードにインストールしている場合には、「スタンドアロンOTD(WebLogic Serverとは切り離して管理)」を選択します。

    Oracle Traffic Directorを管理サーバー・ノードのWebLogic Serverドメインにインストールしている場合には、「同じ場所に配置されたOTD(WebLogic Server経由で管理)」を選択します。

    JDKの選択

    この画面では、インストールに使用するJDKのバージョンを選択できます。

    前提条件チェック

    前提条件が満たされているか確認するために、ホスト・コンピュータがインストーラによって分析されます。前提条件チェックの結果が画面に表示されます。

    前提条件チェックが失敗した場合は、エラーまたは警告メッセージが表示されます。

    • エラーを修正し、「再実行」をクリックします。たとえば、「Oracle Traffic Directorのインストールの前提条件」に示されている必須パッケージのいずれかがシステムにない場合は、そのパッケージをインストールします。

    • エラーや警告を無視してインストールを続行する場合は、「スキップ」をクリックします。

    • 前提条件のチェック・プロセスを中止するには、「停止」をクリックします。

    「次へ」をクリックして、続行します。

    インストールの概要

    この画面には、前に指定したOracleホーム・ディレクトリが表示されます。また、インストールに使用されるディスク領域と使用可能な空き領域も示されます。

    この画面の情報を確認します。

    Oracleホーム・ディレクトリを変更するには、「戻る」ボタン、または左側のナビゲーション・ペインで「インストール場所」リンクをクリックします。

    インストール・ウィザードでこれまで指定した設定をテキスト・ファイル(レスポンス・ファイル)に保存するには、「保存」をクリックします。必要な場合は、このレスポンス・ファイルを使用して、同じインストールをコマンドラインから実行できます。

    「インストール」をクリックして、インストール・プロセスを続行します。

    サイレント・インストールやコマンド行インストールの詳細は、Oracle Universal Installerによるソフトウェアのインストールのサイレント・モードでのOracle Universal Installerの使用を参照してください。

    インストールの進行状況

    この画面には、インストール・プロセスの進捗状況とステータスが表示されます。

    インストールを取り消す場合は、「取消」をクリックします。インストールを取り消す前にシステムにコピーされたファイルは、システムにそのまま残ります。これらは手作業で削除する必要があります。

    「次へ」をクリックして、続行します。

    インストール完了

    この画面には、「インストールの場所およびインストールされた機能セットが表示されます。情報を確認し、「終了」をクリックしてインストーラを閉じます。

サイレント・モードでのコロケートまたはスタンドアロンのOracle Traffic Directorのインストール

この項では、コマンドラインでインストール・オプションを指定して、サイレント・モードでコロケートまたはスタンドアロンのOracle Traffic Directorをインストールする方法を説明します。

Oracle Traffic Directorをインストールするホストで、中央インベントリ・ディレクトリがまだ使用可能でない場合は、サイレント・インストールを始める前にoraInst.locファイルを作成する必要があります。詳細は、『Oracle Universal Installerによるソフトウェアのインストール』UNIXオペレーティング・システムでのOracle中央インベントリの場所に関する項を参照してください。

ExaLogicでは、ORACLE_HOMEに指定するパスは、計算ノード内にローカル・マウントされたNFS共有である必要があります。

ノート:

Oracle Traffic Directorでサイレント・インストールを実行する間は、ignoreSysPrereqsオプションを使用するとインストールが失敗するため、使用しないでください。

  1. ターゲットのシステムにサインインします。
  2. Oracle Technology NetworkまたはOracle Software Delivery Cloudから次のものをターゲット・システムにダウンロードします。
    (UNIX: fmw_12.2.1.3.0_otd_platform_linux64.bin)、(Windows: setup_fmw_12.2.1.3.0_otd_platform_win64.exe)
  3. 12c (12.2.1.3.0)製品のディストリビューションをダウンロードしたディレクトリに移動します。
  4. Oracle Traffic Directorをインストールするための前提条件に示された前提条件が満たされていることを確認します。
  5. コロケートまたはスタンドアロンのOTDに対して次のコマンドを実行します。

    コロケートOTD:

    ./xxx.bin -silent ORACLE_HOME=$ORACLE_HOME DECLINE_SECURITY_UPDATES=true INSTALL_TYPE="Collocated OTD (Managed through WebLogic server)" -invPtrLoc testhome/oraInventory/inv.txt

    スタンドアロンOTD:

    xxx.bin -silent ORACLE_HOME=$ORACLE_HOME DECLINE_SECURITY_UPDATES=true INSTALL_TYPE="Standalone OTD (Managed independently of WebLogic server)" -invPtrLoc /scratch/oraInventory/inv.txt

    ノート:

    前述のコマンドは、Linuxの.binファイルを表示します。ただし、プラットフォーム固有のファイル名については、「インストール手順」を参照してください

    runInstallerコマンドの詳細は、Oracle Universal Installerによるソフトウェアのインストールで、サイレント・モードでのOracle Universal Installerの実行に関する項を参照してください。

インストールの問題のトラブルシューティング

インストール中に起きる可能性がある既知の問題を理解しておく必要があります。それを修正するには、トラブルシューティングの手順に従ってください。

Oracle Traffic Directorのインストール中にエラーが発生した場合は、次の作業を実行します。

  • システムが「Oracle Traffic Directorをインストールするための前提条件」で指定されている要件を満たしていることを確認します

  • インストール・ウィザードの使用中に、いずれかのインストール画面で誤った情報を入力した場合は、「戻る」をクリックしてその画面まで戻り、正しい情報を入力してインストールを続行します

  • インストーラによるファイルのコピーまたはリンク中にエラーが発生した場合は、次の手順を実行してください。

    1. エラーを記録し、インストール・ログ・ファイルを確認します。詳細は、「インストール・ログの確認」を参照してください。

    2. 次のコマンドを入力して、失敗したインストールを削除します。ORACLE_HOME/oui/bin/deinstall.sh

    3. エラーの原因となった問題を修正します。

    4. インストール処理を再開します。