11 エンタープライズ・デプロイメント用のOracle HTTP Serverの構成

Web層を構成する場合、Oracle HTTP ServerまたはOracle Traffic Directorの使用を選択できます。Oracle HTTP Serverを選択して使用する場合、各Web層ホストにOracle HTTP Serverをインストールし、各ホストでOracle HTTPスタンドアロン・ドメインを構成する必要があります。

Web層のOracle HTTP Serverインスタンスによって、HTTPリクエストがハードウェア・ロード・バランサからアプリケーション層の特定の管理対象サーバーに転送されます。

Oracle HTTP Serverを構成する前に、「Web層の理解」を確認してください。

注意:

Oracle Managed File Transferを構成する予定の場合、TCPを介してFTPおよびSFTPリクエストをルーティングするようにOracle Traffic Directorを構成する必要があります。

Oracle HTTP Serverドメインについて

エンタープライズ・デプロイメントでは、各Oracle HTTP Serverインスタンスは別個のホストおよび独自のスタンドアロン・ドメイン内に構成されます。これにより、実行および管理に必要な構成およびリソースを最小限に抑えた簡易な構成が可能になります。

注意:

Oracle Fusion Middlewareでは、動作保証されたJava Development Kit (JDK)がシステムにインストールされており、Web層のホストでJAVA_HOMEが設定されている必要があります。

Web層でのOracle HTTP Serverインスタンスのロールおよび構成の詳細は、「Web層の理解」を参照してください。

Oracle HTTP Serverの構成時に使用される変数

この章のタスクを実行する際には、この項にリストされているディレクトリ変数を参照します。

いくつかのディレクトリ変数の値については、「このガイドで使用するファイル・システムとディレクトリ変数」に定義されています。

  • WEB_ORACLE_HOME

  • WEB_DOMAIN_HOME

  • JAVA _HOME

さらに、次の仮想IP (VIP)アドレスとホスト名を参照します。

  • ADMINVHN

  • WEBHOST1

  • WEBHOST2

WEBHOST1へのOracle HTTP Serverのインストール

Web層にOracle HTTP Serverソフトウェアをインストールする手順を理解することが重要です。

サポートされているJDKのインストール

Oracle Fusion Middlewareでは、動作保証されたJava Development Kit (JDK)がシステムにインストールされている必要があります。

JDKソフトウェアの検索とダウンロード

動作保証されているJDKを調べるには、Oracle Fusion Middlewareのサポートされるシステム構成ページで、ご使用のリリース向けの動作保証ドキュメントを参照してください。

現在のOracle Fusion MiddlewareリリースのOracle JDKを特定したら、Oracle Technology Networkの次の場所からOracle JDKをダウンロードできます。

http://www.oracle.com/technetwork/java/index.html

Java SE JDKのダウンロードに必ず移動してください。

JDKソフトウェアのインストール

Oracle Fusion Middlewareでは、動作保証されたJava Development Kit (JDK)をシステムにインストールする必要があります。

Web層の各ホスト・コンピュータのローカル記憶域デバイスに、JDKをインストールする必要があります。DMZに配置されるWeb層ホスト・コンピュータは、アプリケーション層の共有記憶域に必ずしもアクセスできるとはかぎりません。

JDKソフトウェアの推奨場所の詳細は、「エンタープライズ・デプロイメント用の推奨ディレクトリ構造の理解」を参照してください。

次の例では、JDK 1.8.0_131の最新バージョンをインストールする方法について説明します。

  1. ディレクトリを、JDKアーカイブ・ファイルをダウンロードした場所に変更します。
    cd download_dir
  2. JDKホーム・ディレクトリにアーカイブを解凍してから、次のコマンドを実行します。
    tar -xzvf jdk-8u131-linux-x64.tar.gz
    ここに記載されたJDKバージョンは、このドキュメントの発行時点のものです。サポートされている最新のJDKについては、Oracle Fusion Middlewareのシステム要件と仕様で現在のOracle Fusion Middlewareリリースを参照してください。
  3. JDKディレクトリを、ディレクトリ構造内の推奨される場所に移動します。
    例:
    mv ./jdk1.8.0_131 /u02/oracle/products/jdk
  4. ホスト・コンピュータでJavaを実行するためのJAVA_HOMEおよびPATH環境変数を定義します。
    例:
    export JAVA_HOME=/u02/oracle/products/jdk
    export PATH=$JAVA_HOME/bin:$PATH
  5. 次のコマンドを実行して、適切なjava実行可能ファイルがそのパスにあり、環境変数が適切に設定されていることを確認します。
    java -version
    出力のJavaバージョンは「1.8.0_131」と表示されます。
  6. Web層ホストごとにステップ1から5を繰り返してください。たとえば、WEBHOST1およびWEBHOST2です。

WEBHOST1でのインストーラの起動

インストール・プログラムを起動するには、次のステップを実行します。

  1. WEBHOST1にログインします。
  2. インストール・プログラムをダウンロードしたディレクトリに移動します。
  3. 次のコマンドを入力してインストール・プログラムを起動します。

    ./fmw_12.2.1.3.0_ohs_linux64.bin

    インストール・プログラムが表示されると、インストールを開始する準備ができています。

Oracle HTTP Serverのインストール画面のナビゲート

次の表に、インストール・プログラムで表示される順序で画面をリストします。

インストール画面に関して詳細な情報が必要な場合は、画面名をクリックしてください。

表11-1 Oracle HTTP Serverインストール画面

画面 説明

インストール・インベントリの設定

UNIXオペレーティング・システムでは、このホストにOracle製品を初めてインストールする場合に、この画面が表示されます。中央インベントリを作成する場所を指定します。この画面で選択したオペレーティング・システムのグループ名に、中央インベントリの場所への書込み権限があることを確認します。

『Oracle Universal Installerによるソフトウェアのインストール』Oracleセントラル・インベントリに関する項を参照してください。

注意:

製品ディレクトリ内に、中央インベントリ・ディレクトリを構成することをお薦めします。例: /u02/oracle/products/oraInventory

インストーラが完了したら、oraInventoryからrootとしてcreateCentralinventory.shスクリプトを実行することが必要になる場合もあります。

ようこそ

製品のインストーラの紹介画面です。

自動更新

この画面を使用して、使用可能なパッチをMy Oracle Supportで自動的に検索するか、組織のためにすでにダウンロードされているパッチを、ローカル・ディレクトリで自動的に検索します。

インストールの場所

この画面を使用してOracleホーム・ディレクトリの位置を指定します。

エンタープライズ・デプロイメントのためには、表7-3に示すWEB_ORACLE_HOME変数の値を入力します。

インストール・タイプ

「スタンドアロンHTTPサーバー(WebLogic Serverとは別に管理される)」を選択します。

このインストール・タイプでは、他の既存のOracle WebLogic Serverドメインとは別個にOracle HTTP Serverインスタンスを構成できます。

JDKの選択

JDKホームの値として、JDKソフトウェアのインストール時に設定したJAVA_HOMEの値を入力します。

前提条件のチェック

この画面では、ご使用のシステムが最小要件を満たしていることを検証します。

警告またはエラー・メッセージが表示された場合、ホスト・コンピュータおよび必須ソフトウェアが「ホスト・コンピュータのハードウェア要件」および「エンタープライズ・デプロイメント・トポロジのオペレーティング・システム要件」に示すシステム要件および動作保証情報を満たしていることを確認してください。

インストール・サマリー

この画面を使用して、選択したインストール・オプションを検証できます。これらのオプションをレスポンス・ファイルに保存する場合は、「レスポンス・ファイルの保存」をクリックし、レスポンス・ファイルの場所と名前を指定します。レスポンス・ファイルは、今後、サイレント・インストールを実行する場合に使用できます。

『Oracle Universal Installerによるソフトウェアのインストール』で、サイレント・モードにおけるOracle Universal Installerの使用方法に関する項を参照してください。

インストールの進行状況

この画面では、インストールの進行状況を参照できます。

インストール完了

インストールが完了すると、この画面が表示されます。この画面に表示される情報を確認してから、「終了」をクリックしてインストーラを終了します。

Oracle HTTP Serverインストールの確認

WEB_ORACLE_HOMEフォルダの内容を検証して、Oracle HTTP Serverのインストールが正常に完了していることを確認してください。

次のコマンドを実行し、インストールしたフォルダ構造を次のリストと比較します。

ls --format=single-column WEB_ORACLE_HOME

Oracle HTTP Server Oracleホーム内の次のファイルとディレクトリがリストされます。

bin
cdata
cfgtoollogs
crs
css
cv
has
install
inventory
jlib
ldap
lib
network
nls
ohs
OPatch
oracle_common
oracore
oraInst.loc
oui
perl
plsql
plugins
precomp
QOpatch
racg
rdbms
slax
sqlplus
srvm
webgate
wlserver
xdk

WEBHOST1でのOracle HTTP Serverドメインの作成

次の項では、最初のWeb層ホストで新しいOracle HTTP Serverスタンドアロン・ドメインを作成する方法について説明します。

WEBHOST1での構成ウィザードの起動

構成ウィザードを起動するには、次のディレクトリに移動し、次のようにWebLogic Server構成ウィザードを起動します。

cd WEB_ORACLE_HOME/oracle_common/common/bin
./config.sh

Oracle HTTP Serverドメインの構成ウィザード画面のナビゲート

各Web層ホストでOracle HTTP Serverインスタンスのスタンドアロン・ドメインを作成することをお薦めします。

次の項では、新しいスタンドアロンOracle HTTP Serverドメインを作成する方法について説明します。

タスク1   ドメイン・タイプとドメイン・ホームの場所の選択

「構成タイプ」画面で、「新規ドメインの作成」を選択します。

「ドメインの場所」フィールドに、WEB_DOMAIN_HOME変数に割り当てられている値を入力します。

次の点に注意してください。

  • 構成ウィザードにより、ここで指定した新しいディレクトリが作成されます。

  • WebサーバーがDMZ外部の記憶域デバイスと依存関係を持たないように、ディレクトリはローカル記憶域に作成します。

注意:

タスク2   構成テンプレートの選択

「テンプレート」画面で、Oracle HTTP Server (スタンドアロン) - 12.2.1.3.0 [ohs]を選択します。

ヒント:

この画面に示されるオプションの詳細は、Oracle Fusion Middleware構成ウィザードによるWebLogicドメインの作成テンプレートに関する項を参照してください。

タスク3   Web層ドメインのJDKの選択。

Oracle HTTP Serverをインストールする前に/u02/oracle/products/jdkディレクトリにインストールしたOracle HotSpot JDKを選択します。

タスク4   システム・コンポーネントの構成

「システム・コンポーネント」画面で、1つのOracle HTTP Serverインスタンスを構成します。この画面では、デフォルトで1つのインスタンスが定義されています。作成する必要のあるインスタンスは、これ1つのみです。

  1. 「システム・コンポーネント」フィールドのデフォルトのインスタンス名は、ohs1です。WEBHOST1を構成する際は、このデフォルト名を使用します。

  2. 「コンポーネント・タイプ」フィールドで、OHSが選択されていることを確認します。

  3. アプリケーションが応答しない場合は、「再起動間隔秒数」フィールドを使用して、アプリケーションが応答しない場合に再起動を試行するまでの待機秒数を指定します。

  4. 「再起動遅延秒数」フィールドを使用して、再起動を再度試行する前に待機する秒数を指定します。

タスク5   OHSサーバーの構成

「OHSサーバー」画面を使用して、ドメイン内のOHSサーバーを構成します。

  1. 「システム・コンポーネント」ドロップダウン・メニューから、ohs1を選択します。

  2. 「リスニング・アドレス」フィールドにWEBHOST1と入力します。

    残りのフィールドはすべて事前に移入されていますが、組織での必要に応じて値を変更できます。『Oracle Fusion Middleware構成ウィザードによるWebLogicドメインの作成』で、OHSサーバーに関する項を参照してください。

  3. 「サーバー名」フィールドで、リスニング・アドレスとリスニング・ポートの値を確認します。

    正しくは次のようになります。

    http://WEBHOST1:7777
タスク6   ノード・マネージャの構成

ノード・マネージャのタイプとして「ドメインごとのデフォルトの場所」を選択して、ノード・マネージャのユーザー名とパスワードを指定します。

注意:

この画面に示されるオプションの詳細は、『構成ウィザードによるWebLogicドメインの作成』ノード・マネージャに関する項を参照してください。

ノード・マネージャの構成については、『Oracle WebLogic Serverノード・マネージャの管理』複数マシンでのノード・マネージャの構成に関する項を参照してください。

タスク7   構成の仕様の確認とドメインの構成

「構成サマリー」画面には、これから作成するドメインの構成情報の詳細が含まれています。この画面に示された各項目の詳細を調べて、情報に間違いがないことを確認します。

変更が必要な場合は、「戻る」ボタンを使用するか、ナビゲーション・ペインで画面を選択することで、任意の画面に戻れます。

ドメイン作成は、「作成」をクリックするまでは開始されません。

終了したら、「構成の進行状況」画面で「次へ」をクリックします。

ヒント:

この画面のオプションの詳細は、『構成ウィザードによるWebLogicドメインの作成』構成サマリーに関する項を参照してください。

タスク8   ドメイン・ホームのメモ

「構成に成功しました」画面には、ドメイン・ホームの場所が表示されます。

ここに表示された情報は、サーバーの起動時および管理サーバーへのアクセス時に必要になるため、メモします。

「終了」をクリックして、構成ウィザードを閉じます。

WEBHOST2でのOracle HTTP Serverドメインのインストールおよび構成

WEBHOST1でOracle HTTP Serverをインストールしてドメインを構成したら、同じタスクをWEBHOST2でも実行する必要があります。

  1. 「WEBHOST1へのOracle HTTP Serverのインストール」の手順を使用して、WEBHOST2にログインし、Oracle HTTP Serverをインストールします。

  2. 「WEBHOST1でのWeb層ドメインの作成」の手順を使用して、WEBHOST2上に新しいスタンドアロン・ドメインを構成します。

    WEBHOST2上のインスタンスにohs2という名前を使用して、各例におけるWEBHOST1の出現箇所をすべてWEBHOST2に置き換え、ohs1の出現箇所をすべてohs2に置き換えるようにしてください。

WEBHOST1およびWEBHOST2でのノード・マネージャおよびOracle HTTP Serverインスタンスの起動

WEBHOST1およびWEBHOST2でOracle HTTP Serverインスタンスを起動する方法を理解することが重要です。

WEBHOST1およびWEBHOST2でのノード・マネージャの起動

Oracle HTTP Serverインスタンスを起動する前に、WEBHOST1およびWEBHOST2でノード・マネージャを起動する必要があります。

  1. WEBHOST1にログインし、次のディレクトリに移動します。
    WEB_DOMAIN_HOME/bin
    
  2. 出力ファイル例としてnohupおよびnodemanager.outを使用することで、次の項で示すように、ノード・マネージャを起動します。
    nohup WEB_DOMAIN_HOME/bin/startNodeManager.sh > WEB_DOMAIN_HOME/nodemanager/nodemanager.out 2>&1 &
    
  3. WEBHOST2にログインし、ステップ1および2を実行します。

Oracle WebLogic Serverノード・マネージャの管理ノード・マネージャの高度な構成を参照。

Oracle HTTP Serverインスタンスの起動

Oracle HTTP Serverインスタンスを起動するには:

  1. WEBHOST1上の次のディレクトリに移動します。
    WEB_DOMAIN_HOME/bin

    WEB_DOMAIN_HOMEディレクトリの場所の詳細は、「このガイドで使用するファイル・システムとディレクトリ変数」を参照してください。

  2. 次のコマンドを入力します。
    ./startComponent.sh ohs1

    注意:

    Oracle HTTP Serverを起動するたびに、ノード・マネージャのパスワードを求められます。この動作が不要な場合は、Oracle HTTP Serverを初めて起動するときに、次のコマンドを使用します。

    ./startComponent.sh ohs1 storeUserConfig

    今度は、ノード・マネージャのパスワードを入力すると、暗号化されて保存されます。Oracle HTTP Serverを以降に起動および停止する際には、ノード・マネージャのパスワードの入力は必要ありません。

  3. プロンプトが表示されたら、ノード・マネージャ・パスワードを入力します。
  4. WEBHOST2上のohs2インスタンスごとに、ステップ1から3を繰り返します。『Oracle HTTP Serverの管理』の、Oracle HTTP Serverの管理に関する項を参照してください。

リクエストをアプリケーション層にルーティングするようにOracle HTTP Serverを構成

Webサーバー・インスタンスがリクエストをドメインのサーバーにルーティングするように、Oracle HTTP Server構成ファイルを更新する方法を理解することが重要です。

エンタープライズ・デプロイメント用のOracle HTTP Server構成について

次の各項では、エンタープライズ・デプロイメントでのOracle HTTP Server構成ファイルに必要な変更について概要を説明します。

Oracle HTTP Server仮想ホストの目的

このガイドの参照用トポロジでは、ハードウェア・ロード・バランサで一連の仮想サーバーを定義することが必要になります。これにより、Oracle HTTP Serverインスタンスの構成ファイルに<VirtualHost>ディレクティブを追加して、(ロード・バランサ仮想サーバーにマップされた)個別の仮想ホストへのリクエストを認識するようにOracle HTTP Serverを構成できます。

各Oracle HTTP Server仮想ホストについては、ロード・バランサからOracle HTTP Serverインスタンスを経由してOracle WebLogic Serverドメイン内の該当する管理サーバーまたは管理対象サーバーにリクエストをルーティングする特定のURL (またはコンテキスト文字列)のセットを定義します。

<VirtualHost>ディレクティブのWebLogicClusterパラメータについて

Oracle HTTP Serverの<VirtualHost>ディレクティブのキー・パラメータは、Oracle HTTP ServerのWebLogicプロキシ・プラグインの一部であるWebLogicClusterパラメータです。エンタープライズ・デプロイメント用にOracle HTTP Serverを構成する場合は、Oracle HTTP Server構成ファイルにこのパラメータを追加するときに次の情報を考慮してください。

WebLogicClusterパラメータで指定したサーバーは、起動時のプラグインに対してのみ重要な役割を持ちます。このノードのリストには、実行しているクラスタ・メンバーを1つ以上記述しておく必要があります。記述しておかないと、このプラグインで他のクラスタ・メンバーを検出できません。Oracle HTTP Serverを起動するときには、リストされたクラスタ・メンバーが実行されている必要があります。Oracle WebLogic Serverとこのプラグインの連携により、クラスタに発生した新規のクラスタ・メンバー、失敗したクラスタ・メンバーおよびリカバリしたクラスタ・メンバーを反映してサーバーのリストが自動的に更新されます。

次に例を示します。

  • 例1: 2つのノードで構成したクラスタに3番目のメンバーを追加する場合、そのメンバーを追加するために構成を更新する必要はありません。3番目のメンバーは、実行時に自動的に検出されます。

  • 例2: クラスタは3つのノードで構成されていても、構成に記述されているノードはそのうちの2つのみであるとします。Oracle HTTP Serverを起動するときにこの2つのノードが両方とも停止していると、プラグインはクラスタを検出できません。Oracle HTTP Serverを起動するときは、リストに記述したノードを1つ以上実行している必要があります。

    クラスタのメンバーをすべてリストに記述した場合は、Oracle HTTP Serverの起動時にそのうちの1つ以上を実行しておくことで、クラスタに確実に到達できます。

Oracle HTTP Server構成ファイルの推奨構造

httpd.confファイルに複数の仮想ホスト定義を追加するのではなく、デプロイする製品に必要な各仮想サーバーに対して、より小さくより具体的な別個の構成ファイルを作成することをお薦めします。そうすることで、すでに大きなhttpd.confファイルに追加のコンテンツを移入するのを回避できます。また、構成の問題のトラブルシューティングが容易になることがあります。

たとえば、通常のOracle Fusion Middleware Infrastructureドメインでは、admin_vh.confという名前の特定の構成ファイルを追加できます。この構成ファイルには、管理サーバー仮想ホスト(ADMINVHN)の仮想ホスト定義が含まれています。

仮想ホスト構成ファイルを追加するためのhttpd.confファイルの変更

次のタスクを実行して、エンタープライズ・トポロジに必要な追加の仮想ホストのhttpd.confファイルを準備します。

  1. WEBHOST1にログインします。

  2. ドメイン・ディレクトリで最初のOracle HTTP Serverインスタンス(ohs1)のhttpd.confファイルを見つけます。

    cd WEB_DOMAIN_HOME/config/fmwconfig/components/OHS/ohs1/
    
  3. httpd.confファイルが次のように正しく構成されていることを確認します。

    1. 次のコマンドを実行して、ServerNameパラメータが正しく設定され、現在のWEBHOSTn用の正しい値が代入されていることを確認します。

      grep "ServerName http" httpd.conf   
      ServerName http://WEBHOST1:7777 
    2. 次のコマンドを実行して、moduleconfサブディレクトリからすべての*.confファイルをインクルードするinclude文があることを確認します。

      grep moduleconf httpd.conf   
      IncludeOptional "moduleconf/*.conf"
    3. いずれかの検証で結果が返されなかった場合、またはコメント・アウトされた結果が返された場合は、httpd.confファイルをテキスト・エディタで開き、正しい場所に必要な変更を加えます。

      # 
      # ServerName gives the name and port that the server uses to identify itself. 
      # This can often be determined automatically, but we recommend you specify 
      # it explicitly to prevent problems during startup. 
      # 
      # If your host doesn't have a registered DNS name, enter its IP address here. 
      # 
      ServerName http://WEBHOST1:7777 
      #  and at the end of the file:  
      # Include the admin virtual host (Proxy Virtual Host) related configuration 
      include "admin.conf"  
      IncludeOptional "moduleconf/*.conf"
    4. httpd.confファイルを保存します。

  4. WEBHOST2にログインし、ステップ2および3httpd.confファイルに対して実行します(必要に応じてWEBHOST1またはohs1のオカレンスをWEBHOST2またはohs2に置き換えてください)。

仮想ホスト構成ファイルの作成

仮想ホスト構成ファイルを作成するには:

注意:

仮想ホスト構成ファイルを作成する前に、「Oracle HTTP Server仮想ホストの目的」に説明されているとおりにロード・バランサで仮想サーバーが構成されていることを確認します。
  1. WEBHOST1にログインし、ディレクトリを最初のOracle HTTP Serverインスタンス(ohs1)の構成ディレクトリに変更します。
    cd WEB_DOMAIN_HOME/config/fmwconfig/components/OHS/ohs1/moduleconf
    
  2. admin_vh.confファイルを作成し、次のディレクティブを追加します。
    <VirtualHost WEBHOST1:7777>
        ServerName admin.example.com:80
        ServerAdmin you@your.address
        RewriteEngine On
        RewriteOptions inherit
    </VirtualHost>
    
  3. soainternal_vh.confファイルを作成し、次のディレクティブを追加します。
    <VirtualHost WEBHOST1:7777>
        ServerName soainternal.example.com:80
        ServerAdmin you@your.address
        RewriteEngine On
        RewriteOptions inherit
    </VirtualHost>
    
  4. ohs1インスタンスを再起動します。
    1. ディレクトリを次の場所に変更します。
      cd WEB_DOMAIN_HOME/bin
    2. 次のコマンドを入力し、インスタンスを停止して起動します。求められたら、ノード・マネージャ・パスワードを入力します。
      ./stopComponent.sh ohs1
      ./startComponent.sh ohs1
  5. WEBHOST2でadmin_vh.confファイルおよびsoainternal_vh.confファイルを2つ目のOracle HTTP Serverインスタンス(ohs2)の構成ディレクトリにコピーします。
    WEB_DOMAIN_HOME/config/fmwconfig/components/OHS/ohs2/moduleconf
    
  6. admin_vh.confファイルおよびsoainternal_vh.confファイルを編集して、<VirtualHost>ディレクティブ内のWEBHOST1からの参照をWEBHOST2からの参照に変更します。
  7. ohs2インスタンスを再起動します。
    1. ディレクトリを次の場所に変更します。
      cd WEB_DOMAIN_HOME/bin
    2. 次のコマンドを入力し、インスタンスを停止して起動します。
      ./stopComponent.sh ohs2
      ./startComponent.sh ohs2

ロード・バランサでの仮想サーバー構成の検証

ロード・バランサから次のURLにアクセスして、ロード・バランサとOracle HTTP Serverが正しく構成されていることを確認します。これらのURLは、Oracle HTTP Server 12cの初期Webページを示しています。

  • http://admin.example.com/index.html

  • http://soainternal.example.com/index.html

管理サーバーおよびOracle Web Services Managerへのルーティングの構成

Oracle HTTP Serverが管理サーバーと、WLS_WSM管理対象サーバーが含まれているWSM-PM_Clusterにルーティングできるようにするには、一連の<Location>ディレクティブを追加して、WebLogicClusterパラメータをクラスタ内のノードのリストに追加する必要があります。

WebLogicClusterパラメータを設定する手順は次のとおりです。

  1. WEBHOST1にログインし、ディレクトリを次の場所に変更します。
    cd WEB_DOMAIN_HOME/config/fmwconfig/components/OHS/ohs1/moduleconf/
    
  2. 次のディレクティブをadmin_vh.confファイルの<VirtualHost>タグ内に追加します。
    # Admin Server and EM
    <Location /console>
        WLSRequest ON
        WebLogicHost ADMINVHN
        WeblogicPort 7001
    </Location>
    
    <Location /consolehelp>
        WLSRequest ON
        WebLogicHost ADMINVHN
        WeblogicPort 7001
    </Location>
    
    <Location /em>
        WLSRequest ON
        WebLogicHost ADMINVHN
        WeblogicPort 7001
    </Location>
    

    admin_vh.confファイルは、例1「admin_vh.confファイル」のように表示されます。

  3. 次のディレクティブをsoainternal_vh.confファイルの<VirtualHost>タグ内に追加します。

    注意:

    静的または動的クラスタへの割当てに従って、適切なポート番号を構成します。「計算済リスニング・ポート」オプションが選択された動的クラスタの場合、自動的に作成される動的管理対象サーバーごとに増分でポート番号が割り当てられます。

    部分的に停止した場合の初期接続を保証するためにWebLogicClusterディレクトリで必要なのは、十分な数の冗長なserver:portの組合せだけです。クラスタ・メンバーの実際の総リストは、指定された任意のノードとの最初の接続時に自動的に取得されます。

    # WSM-PM
    <Location /wsm-pm>
        WLSRequest ON
        WebLogicCluster SOAHOST1:7010,SOAHOST2:7010
        WLProxySSL OFF
        WLProxySSLPassThrough OFF
    </Location>
    

    soainternal_vh.confファイルは、例2「soainternal_vh.confファイル」のように表示されます。

    この例のWebLogicClusterパラメータの詳細は、「<VirtualHost>ディレクティブのWebLogicClusterパラメータについて」を参照してください。

  4. ohs1インスタンスを再起動します。
    1. ディレクトリを次の場所に変更します。
      cd WEB_DOMAIN_HOME/bin
    2. 次のコマンドを入力し、インスタンスを停止して起動します。
      ./stopComponent.sh ohs1
      ./startComponent.sh ohs1
  5. WEBHOST2でadmin_vh.confファイルおよびsoainternal_vh.confファイルを2つ目のOracle HTTP Serverインスタンス(ohs2)の構成ディレクトリにコピーします。
    WEB_DOMAIN_HOME/config/fmwconfig/components/OHS/ohs2/moduleconf/
    
  6. WEBHOST2でadmin_vh.confファイルを編集し、<VirtualHost>ディレクティブ参照をWEBHOST1:7777からWEBHOST2:7777に変更します。
  7. WEBHOST2でsoainternal_vh.confファイルを編集し、<VirtualHost>ディレクティブ参照をWEBHOST1:7777からWEBHOST2:7777に変更します。
  8. ohs2インスタンスを再起動します。
    1. ディレクトリを次の場所に変更します。
      cd WEB_DOMAIN_HOME/bin
    2. 次のコマンドを入力し、インスタンスを停止して起動します。
      ./stopComponent.sh ohs2
      ./startComponent.sh ohs2
例1   admin_vh.confファイル
<VirtualHost WEBHOST1:7777>
    ServerName admin.example.com:80
    ServerAdmin you@your.address
    RewriteEngine On
    RewriteOptions inherit

# Admin Server and EM
<Location /console>
    WLSRequest ON
    WebLogicHost ADMINVHN
    WeblogicPort 7001
</Location>

<Location /consolehelp>
    WLSRequest ON
    WebLogicHost ADMINVHN
    WeblogicPort 7001
</Location>

<Location /em>
    WLSRequest ON
    WebLogicHost ADMINVHN
    WeblogicPort 7001
</Location>
</VirtualHost>
例2   soainternal_vh.confファイル

このファイルの内容:

<VirtualHost WEBHOST1:7777>
    ServerName soainternal.example.com:80
    ServerAdmin you@your.address
    RewriteEngine On
    RewriteOptions inherit

# WSM-PM
<Location /wsm-pm>
    WLSRequest ON
    WebLogicCluster SOAHOST1:7010,SOAHOST2:7010
    WLProxySSL OFF     
    WLProxySSLPassThrough OFF
</Location>
</VirtualHost>

管理コンソールおよび管理サーバーへのアクセスの確認

この章で行った変更を確認する手順は、次のとおりです。

  1. ハードウェア・ロード・バランサへの次のURLを使用してOracle WebLogic Server管理コンソールを表示し、Oracle WebLogic Server管理者資格証明を使用してログインします。

    http://admin.example.com/console
    

    これによって、ロード・バランサ上のadmin.example.com仮想ホストがWeb層のOracle HTTP Serverインスタンスにリクエストをルーティングでき、さらに、このOracle HTTP ServerインスタンスがOracle WebLogic Server管理コンソールのリクエストをアプリケーション層の管理サーバーにルーティングできることが検証されます。

  2. 同様に、類似したURLを使用してFusion Middleware Controlにアクセスできます。

    http://admin.example.com/em