13 Inbound Refineryを追加するためのドメインの拡張

エンタープライズ・デプロイメント・ドメインを拡張してInbound Refineryソフトウェアを含めるために、特定のタスクを実行する必要があります。

Inbound Refineryを追加するためのドメインの拡張の概要

Inbound Refineryは、Oracle WebCenter Content Serverがドキュメント変換を行う際に必要になります。

実際のInbound Refinery管理対象サーバーの数は、要件によって異なります。可用性の理由から、少なくとも2つのInbound Refinery管理対象サーバーを別々のマシン上にインストールおよび構成することをお薦めします。参照用Oracle WebCenter Contentエンタープライズ・デプロイメント・トポロジにおいて、Inbound RefineryはContent Serverと同一のマシンに構成されます。

このエンタープライズ・デプロイメント・トポロジにInbound Refineryを追加してドメインを拡張するためのプロセスで複数の管理対象サーバーを作成しても、各Inbound Refineryインスタンスは完全に独立しています。Inbound Refineryはクラスタでは実行されません。

Inbound Refineryでの動的クラスタのサポート

WebCenter Content Inbound Refineryコンポーネントでは、動的クラスタがサポートされていません。静的に構成されたクラスタに関する手順のみ示します。

Inbound Refineryを使用するためのドメインの拡張

この項では、Inbound Refineryソフトウェアを含めて既存のエンタープライズ・デプロイメント・ドメインを拡張する手順を説明します。

構成ウィザードの起動

既存のエンタープライズ・デプロイメント・ドメインを拡張するための最初のステップとして構成ウィザードを起動します。

注意:

ドメインで起動スクリプトに直接カスタマイズを追加した場合、それらは構成ウィザードによって上書きされます。ドメイン内のすべてのサーバーに適用するサーバー起動パラメータをカスタマイズするために、setUserOverridesLate.shという名前のファイルを作成して、WebLogic Serverのクラスパスへのカスタム・ライブラリの追加、サーバーを実行するための追加のJavaコマンド行オプションの指定、追加の環境変数の指定などを実施するように構成できます。このファイルに追加したカスタマイズは、ドメインのアップグレード操作時に保持され、packコマンドとunpackコマンドの使用時にリモート・サーバーに継承されます。

このエンタープライズ・デプロイメント・ガイドでのsetUserOverridesLateスクリプトの使用の詳細は、「setUserOverridesLateスクリプトを使用したサーバー・パラメータのカスタマイズ」を参照してください。

構成ウィザードを起動する手順は次のとおりです。

  1. WebLogic Serverコンソールで、このドメイン拡張によって変更するすべての管理対象サーバーを停止します。影響を受けない管理対象サーバーはオンラインのままです。
  2. 変更するすべての管理対象サーバーについて、管理対象サーバーのシャットダウンが完了していることを確認します。
  3. すべての管理対象サーバーが安定した状態になったら、管理サーバーを停止します。
  4. 次のディレクトリに移動し、WebLogic Server構成ウィザードを起動します。
    cd ORACLE_HOME/oracle_common/common/bin
    ./config.sh

ドメインを拡張するために構成ウィザード画面へ移動

トポロジのドメインを更新して構成するには、この項の手順に従います。

注意:

この項で説明する手順を使用して、既存のドメインを拡張することもできます。この手順の説明では要件が満たされない場合は、その要件に応じた選択を行うか、サポート・ドキュメントで追加の詳細を参照してください。

ドメインを作成して構成するためのタスクは次のとおりです。

タスク1   ドメイン・タイプとドメイン・ホームの場所の選択

「構成タイプ」画面で、「既存ドメインの更新」を選択します。

「ドメインの場所」フィールドで、ASERVER_HOME変数の値を選択します。これは、作成した初期管理サーバー・ドメイン・ホームの完全なパスを表します。

ディレクトリの場所の変数の詳細は、「このガイドで使用するファイル・システムとディレクトリ変数」を参照してください。

ヒント:

この画面に示されるその他のオプションの詳細は、構成ウィザードを使用したWebLogicドメインの作成「構成タイプ」に関する項を参照してください。

「次へ」をクリックします。

タスク2   構成テンプレートの選択

「テンプレート」画面で「製品テンプレートを使用してドメインを更新」が選択されていることを確認した後に、次のテンプレートを選択します。

  • Oracle Universal Content Management - Inbound Refinery - 12.2.1.3.0 [wccontent]

    Infrastructureテンプレート、WebCenter PortalテンプレートおよびWebCenter Contentテンプレートは、初期ドメインの作成および更新に使用されたため、すでに選択されています。

ヒント:

この画面に示されるオプションの詳細は、構成ウィザードを使用したWebLogicドメインの作成「テンプレート」に関する項を参照してください。

「次へ」をクリックします。

タスク3   GridLink Oracle RACデータベース接続の詳細情報の指定

「GridLink Oracle RACコンポーネント・スキーマ」画面で「次へ」をクリックします。

タスク4   JDBC接続のテスト

「次へ」をクリックして、続行します。

タスク5   拡張構成の選択

トポロジのドメイン構成を完了するには、「拡張構成」画面で次のオプションを選択する必要があります。

トポロジ

「次へ」をクリックします。

タスク6   管理対象サーバーの構成

「管理対象サーバー」画面で、サーバーのリストに新しい管理対象サーバーが表示されます。

次のタスクを実行して、デフォルトの管理対象サーバーを変更して2つ目の管理対象サーバーを作成します。

  1. デフォルトの管理対象サーバーの名前をWLS_IBR1に変更します。

  2. 「追加」をクリックして新しい管理対象サーバーを作成し、そのサーバーにWLS_IBR2と名前を付けます。

    ヒント:

    ここで推奨するサーバー名がこのドキュメント全体で使用されます。別の名前を選択した場合は、必要に応じて置き換えてください。

  3. 次の表の情報を使用して、各管理対象サーバーの残りの列を入力します。

表13-1 各Oracle Inbound Refineryサーバーで必要な値

サーバー名 リスニング・アドレス リスニング・ポート SSLの有効化 SSLリスニング・ポート サーバー・グループ

WLS_IBR1

WCCHOST1

16250

いいえ

無効

IBR-MGD-SVR

WLS_IBR2

WCCHOST2

16250

いいえ

無効

IBR-MGD-SVR

ヒント:

「管理対象サーバー」画面のオプションの詳細は、『構成ウィザードによるWebLogicドメインの作成』管理対象サーバーに関する項を参照してください。

「次へ」をクリックします。

タスク7   クラスタの構成

このタスクでは、Oracle Inbound Refineryソフトウェアのターゲットにすることができる管理対象サーバーのクラスタを作成します。

「クラスタ」画面を使用して、新しいクラスタを作成します。

  1. 「追加」ボタンをクリックします。

  2. 「クラスタ名」フィールドでIBR_Serversを指定します。

  3. 「動的サーバー・グループ」ドロップダウン・リストで、「未指定」を選択します。

  4. 「次へ」をクリックして次の画面に進みます。

注意:

デフォルトでは、クラスタ内のサーバー・インスタンスは、ユニキャストを使用して相互に通信します。マルチキャストを使用するようにクラスタの通信を変更する場合は、『Oracle WebLogic Serverクラスタの管理』ユニキャストまたはマルチキャストを選択する際の考慮事項に関する項を参照してください。

ヒント:

この画面に示されるオプションの詳細は、構成ウィザードを使用したWebLogicドメインの作成「クラスタ」に関する項を参照してください。

タスク8   サーバー・テンプレートの割当て

「次へ」をクリックして次の画面に進みます。

タスク9   動的サーバーの構成
IBR_Servers静的(構成済)クラスタについて、すべての動的サーバー・オプションが無効になっており、選択されていないことを確認します。
  1. この画面の「動的クラスタ」「計算済リスニング・ポート」および「計算済マシン名」チェック・ボックスの選択が解除されていることを確認します。

  2. 「サーバー・テンプレート」「未指定」が選択されていることを確認します。

  3. 「次へ」をクリックします。

タスク10   クラスタへの管理対象サーバーの割当て

「サーバーのクラスタへの割当」画面を使用して、WLS_IBR1およびWLS_IBR2を新規クラスタIBR_Serversに割り当てます。

  1. 「クラスタ」ペインで、サーバーを割り当てるクラスタ(ここではIBR_Servers)を選択します。

  2. 「サーバー」ペインで、次のいずれかの操作を実行して、WLS_IBR1をIBR_Serversに割り当てます。

    • WLS_IBR1管理対象サーバーを1回クリックして選択し、右矢印をクリックして「クラスタ」ペインで選択されているクラスタの下に移動します。

    • WLS_IBR1をダブルクリックして、クラスタ・ペインで選択されているクラスタの下に移動します。

  3. 同じ手順を繰り返して、WLS_IBR2IBR_Serversに割り当てます。

    ヒント:

    この画面に示されるオプションの詳細は、構成ウィザードを使用したWebLogicドメインの作成「サーバーのクラスタへの割当」に関する項を参照してください。

  4. 「次へ」をクリックします。

タスク11   Coherenceクラスタの構成

「Coherenceクラスタ」画面を使用して、ドメインに自動的に追加されるCoherenceクラスタを構成します。ポート番号値は、初期Infrastructureドメインの作成中に定義されているため、9991のままにします。

注意:

Coherenceライセンス情報については、Oracle Fusion Middlewareライセンス情報Oracle Coherenceに関する項を参照してください。

「次へ」をクリックします。

タスク12 既存のマシンの検証

「Unixマシン」タブで、初期インフラストラクチャ・ドメインの作成時に作成したマシンの名前を確認します。

「次へ」をクリックします。

タスク13   マシンへのサーバーの割当て

「サーバーのマシンへの割当」画面を使用して、作成したばかりのOracle Inbound Refinery管理対象サーバーを、ドメイン内の対応するマシンに割り当てます。

WLS_IBR1をWCCHOST1、WLS_IBR2をWCCHOST2に割り当てます。

ヒント:

この画面に示されるオプションの詳細は、構成ウィザードを使用したWebLogicドメインの作成「サーバーのマシンへの割当」に関する項を参照してください。

「次へ」をクリックします。

タスク14   仮想ターゲットの確認

「次へ」をクリックして次の画面に進みます。

タスク15   パーティションの確認

「次へ」をクリックして次の画面に進みます。

タスク16   構成の仕様の確認とドメインの構成

「構成サマリー」画面には、ドメインに関する詳細な構成情報が表示されます。この画面に示された各項目の詳細を調べて、情報に間違いがないことを確認します。

変更が必要な場合は、「戻る」ボタンを使用するか、ナビゲーション・ペインで画面を選択することで任意の画面に戻れます。

「更新」をクリックして、ドメインの拡張を実行します。

ヒント:

この画面のオプションの詳細は、『構成ウィザードによるWebLogicドメインの作成』構成サマリーに関する項を参照してください。

タスク17   ドメイン・ホームと管理サーバーURLのメモ

「構成に成功しました」画面には、構成したばかりのドメインについて、次の項目が表示されます。

  • ドメインの場所

  • 管理サーバーURL

どちらの項目も後で必要になるため、メモしておく必要があります。ドメインの場所は、ノード・マネージャと管理サーバーの起動に使用するスクリプトへのアクセスで必要になります。また、URLは管理サーバーへのアクセスで必要になります。

「終了」をクリックして、構成ウィザードを閉じます。

タスク18   管理サーバーの起動

管理サーバーを起動して、ドメインに行った変更が適用されたことを確認します。

Inbound Refinery用の構成後タスクおよび検証タスクの実行

Inbound Refineryソフトウェアを含めてドメインを拡張した後、次の構成後タスクと検証タスクを行うことを考慮してください。

Inbound Refineryのドメイン構成の更新の伝搬

起動スクリプトとクラスパス構成を管理サーバーのドメイン・ディレクトリから管理対象サーバーのドメイン・ディレクトリに伝播します。Inbound Refinery管理対象サーバーにドメイン構成を伝播する手順は次のとおりです。
  1. 管理対象サーバーのドメイン・ディレクトリと管理対象サーバーのapplicationsディレクトリのコピーを作成します。
  2. 次のpackコマンドをWCCHOST1で実行し、テンプレート・パックを作成します。
    cd ORACLE_COMMON_HOME/common/bin
    
    ./pack.sh -managed=true -domain=ASERVER_HOME -template=edgdomaintemplateExtIBR.jar -template_name=edgdomain_templateIBR
  3. 次のunpackコマンドをWCCHOST1で実行して、前のステップで作成したテンプレートをWLS_IBR1ドメイン・ディレクトリに伝幡します。
    cd ORACLE_COMMON_HOME/common/bin
    
    ./unpack.sh -domain=MSERVER_HOME -template=edgdomaintemplateExtIBR.jar -app_dir=APPLICATION_HOME -overwrite_domain=true
  4. 次のコマンドをWCCHOST1で実行し、ステップ1で作成したテンプレート・パックをWCCHOST2にコピーします。
    scp edgdomaintemplateIBR.jar oracle@WCCHOST2:ORACLE_COMMON_HOME/common/bin
  5. unpackコマンドをWCCHOST2で実行して、伝播されたテンプレートをWLS_IBR1ドメイン・ディレクトリに解凍します。
    cd ORACLE_COMMON_HOME/common/bin
    
    ./unpack.sh -domain=MSERVER_HOME -template=edgdomaintemplateExtIBR.jar -app_dir=APPLICATION_HOME -overwrite_domain=true

ドメイン解凍後のNodeManager構成の更新

ドメインの拡張時に、MSERVER_HOMEnodemanager.propertiesファイルがASERVER_HOMEnodemanager.propertiesファイルの一部の値で上書きされることがあります。具体的には、ListenAddressまたはCustomIdentityAlias (あるいはその両方)の値がリセットされる場合があります。

注意:

各ホストのMSERVER_HOME/nodemanager/nodemanager.propertiesファイルについて、次のことを実行します。
  1. 正しいListenAddressパラメータ値を確認して、必要な場合は値を再設定します。
    grep ListenAddress MSERVER_HOME/nodemanager/nodemanager.properties
  2. 次のコマンドの参照として、ドメイン構成ファイルから構成済アイデンティティ別名のリストを確認します。
    grep server-private-key-alias ASERVER_HOME/config/config.xml | sort | uniq

    注意:

    動的クラスタの使用時には、このリストにADMINVHNとワイルドカードの証明書アイデンティティ別名のみが表示されます。

    次の手順でnodemanger.properties CustomIdentityAliasプロパティを更新するときには、適切なホスト固有の証明書アイデンティティ別名を使用してください。

  3. 現在のnodemanager.properties CustomIdentityAliasパラメータの値がホストの別名と一致していることを確認します。
    grep CustomIdentityAlias MSERVER_HOME/nodemanager/nodemanager.properties
  4. 必要に応じて、CustomIdentityAliasパラメータ値を、現在のホストに適した正しい別名文字列に再設定します。
  5. nodemanagerプロセスを再起動します。
    kill `ps -eaf | grep weblogic.NodeManager | grep MSERVER_HOME | grep -v grep | awk '{print $2}' `
    nohup MSERVER_HOME/bin/startNodeManager.sh > MSERVER_HOME/nodemanager/nodemanager.out 2>&1 &

注意:

CustomIdentityAliasパラメータの詳細は、「カスタム・キーストアを使用するためのノード・マネージャの構成」を参照してください。

Inbound Refinery管理対象サーバーの起動

WCCHOST1でWLS_IBR1管理対象サーバーを起動する手順は次のとおりです。
  1. 次のURLでOracle WebLogic Server管理コンソールにweblogic_wcpユーザーとしてログインします。
    http://admin.example.com/console
  2. 次の手順に従い、管理コンソールを使用してWLS_IBR1管理対象サーバーを起動します。
    1. 左側の「ドメイン構造」ツリーの「環境」ノードを開きます。
    2. 「サーバー」をクリックします。
    3. 「サマリー」ページまたは「サーバー」ページで、「制御」タブをクリックします。
    4. 表の「サーバー」列からWLS_IBR1を選択します。
    5. 「起動」をクリックします。
  3. 管理コンソールでサーバーの状態がRunningとして報告されていることを確認します。
    • サーバーのステータスが「起動しています」または「再開中です」である場合は、「起動済み」になるまで待ちます。
    • 管理」や「失敗」などの別のステータスが表示される場合は、サーバーの出力ログ・ファイルを調べ、エラーがないか確認します。
  4. 前述のステップを繰り返し、WCCHOST2でWLS_IBR2管理対象サーバーを起動します。

Inbound Refinery管理対象サーバーの構成

Inbound Refinery管理対象サーバーの構成を初期化するには、その管理対象サーバーに一度だけHTTP経由でアクセスする必要があります。これは、管理対象サーバーのリスニング・アドレスで直接実行できます。Inbound RefineryインスタンスはHTTPサーバーの後方に配置する必要があります。

Inbound Refineryインスタンスへのすべての後続のアクセスは、ソケット・リスナーを介して行われます。このリスナーは、次の項で構成する着信ソケット接続アドレス・セキュリティ・フィルタによって保護されます。

すべてのInbound Refineryインスタンスを使用して各コンテンツ・サーバー・インスタンスを構成することをお薦めします。コンテンツ・サーバーの構成プロセスは、Inbound Refineryインスタンスをプロバイダとして追加することです。また、一部のインストール後のステップをInbound Refineryで実行する必要があります。

次の項では、各Inbound Refineryインスタンスのインストール後の構成手順について説明します。

Inbound Refineryの設定の構成

Inbound Refinery管理対象サーバーを起動した後、インストール後の構成画面で各サーバーの設定を構成します。

各Inbound Refineryインスタンスの設定を構成するステップは次のとおりです。
  1. Oracle WebCenter Content Inbound Refinery構成での必要に応じて、IBRサーバーごとに、ORACLE_RUNTIME共有ファイルシステムに一意のIBRディレクトリを作成します。Oracle WebCenter Content Inbound Refinery構成では、各IBRインスタンスのランタイム・ファイルに対して一意かつ個別のディレクトリが必要です。EDGアーキテクチャでは、すべてのランタイム・ファイルベース・データ記憶域に対して、一貫してORACLE_RUNTIME共有ファイルシステムを使用することをお薦めします。Oracle WebCenter Content Inbound Refineryランタイム・ファイル記憶域の推奨されるベース・パスは、ORACLE_RUNTIME/domain_name/IBR_Servers/です。

    注意:

    IBRサーバーは、インスタンス間でファイルベース・データを共有しません。コンテンツ・サーバー・インスタンスとは異なり、IBRデータの共有ファイルシステムを実装するための製品固有の要件はありません。IBRデータに共有ファイルシステムを使用するのは、一貫したアーキテクチャと効率的なDRレプリケーションを実現するためです。
    各IBR管理対象サーバーに必要な一意のサブディレクトリを作成するには、次のコマンドを実行します。
    mkdir -p ORACLE_RUNTIME/domain_name/IBR_Servers/ibr1/vault 
    mkdir -p ORACLE_RUNTIME/domain_name/IBR_Servers/ibr1/weblayout 
    mkdir -p ORACLE_RUNTIME/domain_name/IBR_Servers/ibr1/data/users/profiles  
    mkdir -p ORACLE_RUNTIME/domain_name/IBR_Servers/ibr2/vault 
    mkdir -p ORACLE_RUNTIME/domain_name/IBR_Servers/ibr2/weblayout 
    mkdir -p ORACLE_RUNTIME/domain_name/IBR_Servers/ibr2/data/users/profiles
  2. WCCHOSTごとに、次のURLからInbound Refineryのインストール後の構成画面にアクセスします。
    http://WCCHOSTN:16250/ibr/
  3. 「構成」画面で、「Inbound Refineryのインスタンス識別子: name」を確認します。このインスタンスの残りの構成設定を次のように設定します。

    注意:

    Inbound Refineryインスタンスおよび関連するランタイム・ファイル・リポジトリ・ディレクトリは、それぞれが一意であり、互いに無関係です。この項で各インスタンスの対応する構成設定で作成した、固有のディレクトリ・パスを使用します。Inbound Refineryのインスタンス・フォルダ: これをORACLE_RUNTIME/domain_name/IBR_Servers/ibrNに設定します
    • Inbound Refineryのインスタンス・フォルダ: これをORACLE_RUNTIME/domain_name/IBR_Servers/ibrNに設定します

      例: /u01/oracle/runtime/wcpedg_domain/IBR_Servers/ibr1

    • ネイティブ・ファイル・リポジトリの場所: これをORACLE_RUNTIME/domain_name/IBR_Servers/ibrN/vaultに設定します

      例: /u01/oracle/runtime/wcpedg_domain/IBR_Servers/ibr1/vault

    • Webレイアウト・フォルダ: これをORACLE_RUNTIME/domain_name/IBR_Servers/ibrN/weblayoutに設定します

      例: /u01/oracle/runtime/wcpedg_domain/IBR_Servers/ibr1/weblayout

    • ユーザー・プロファイル・フォルダ: これを ORACLE_RUNTIME/domain_name/IBR_Servers/ibrN/data/users/profilesに設定します

      例: /u01/oracle/runtime/wcpedg_domain/IBR_Servers/ibr1/data/users/profiles

    • 受信ソケット接続アドレス・セキュリティ・フィルタ:: ローカル・ホストとサーバーIPアドレスのパイプ区切りのリストです。

      127.0.0.1|0:0:0:0:0:0:0:1|WCCHOST1-IP|WCCHOST2-IP|WEBHOST1-IP|WEBHOST2-IP

      この設定によってコンテンツ・サーバーからアクセスできるようになります。WCCHOST1-IPおよびWCCHOST2-IPの値は、Inbound Refineryにジョブを送信するコンテンツ・サーバーのインスタンスが1つ以上あるマシンのIPアドレスである必要がありますが、必ずしもInbound RefineryのIPアドレスとは限りません。(ただし、このエンタープライズ・デプロイメント・ガイドで使用される参照トポロジでは、これらのIPアドレスは同じです。)

      「ソケット接続アドレス・セキュリティ・フィルタを着信中」フィールドの値にはワイルドカードを指定できます(例: 192.0.2.*)。

      この値は、後で/u02/oracle/runtime/wcpedg_domain/IBR_Servers/ibrN/config/config.cfgファイルのSocketHostAddressSecurityFilterを設定し、Inbound Refinery管理対象サーバーを再起動すると、変更できます。

      http://WCCHOST1:16250/ibr/ではNが1、http://WCCHOST2:16250/ibr/ではNが2

    • サーバーのソケット・ポート: 5555のように、使用されていないポート番号を入力します。この値は、トップレベルのサービスを呼び出すためのポートの番号です。

      このポート番号は、後でOracle WebCenter Contentの構成時に必要となるため、書き留めておいてください。

      このフィールド値を変更すると、 /u01/oracle/runtime/wcpedg_domain/IBR_Servers/ibrN/config/config.cfgIntradocServerPortエントリが変更されます

      http://WCCHOST1:16250/ibr/ではNが1、http://WCCHOST2:16250/ibr/ではNが2

    • コンテンツ・サーバーのインスタンス名: Inbound Refineryサーバーのインスタンス名を指定します。

      デフォルト値を受け入れることも、より便利な名前に変更することもできます。このサーバー名は、後でOracle WebCenter Contentの構成時に必要となるため、書き留めておいてください。

    構成ページの他のすべてのフィールドはそのままにします。

    「送信」をクリックすると、次のメッセージが表示されます。

    インストール後の構成が完了しました。このノードを再起動してください。
  4. WebLogic Server管理コンソールを使用して、Inbound Refinery管理対象サーバーを再起動します。
  5. 各Inbound Refineryインスタンスに対して個別のコンテンツ・フォルダ名を使用して、前述のステップを実行します。

Inbound Refineryにジョブを送信して変換するためのコンテンツ・サーバーの設定

Oracle WebCenter Content ServerからInbound Refineryにジョブを送信して変換を実施できるようにするには、次の項の説明に従って、Inbound Refinery管理対象サーバーごとに設定タスクを事前に実行する必要があります。

送信プロバイダの作成

コンテンツ・サーバーからInbound Refineryにファイルを送信して変換を実施するには、「Inbound Refinery変換ジョブの処理」オプションを事前に選択して、コンテンツ・サーバーから各Inbound Refineryへの送信プロバイダを設定する必要があります。

各Inbound Refineryインスタンスの送信プロバイダを作成する手順は次のとおりです。
  1. 次のURLからコンテンツ・サーバーにログインします。
    http://WCCHOST1:16200/cs/
  2. 「管理」トレイまたはメニューを開いて、「プロバイダ」を選択します。
  3. 「プロバイダ」ページの「新規プロバイダの作成」表で、「送信」行の「追加」をクリックします。
  4. 次の値をフィールドに入力します。
    • プロバイダ名: 空白が含まれない短縮名。「インスタンス名」と同じ値を使用することをお薦めします。

    • プロバイダの説明: テキスト文字列。

    • サーバー・ホスト名: Inbound Refineryインスタンスが実行されているホスト・マシンの名前。たとえば、WCCHOST1など。

    • HTTPサーバー・アドレス: Inbound Refineryインスタンスのアドレス。たとえば、WCCHOST1: 16250など。

    • サーバー・ポート: 「Inbound Refineryの設定の構成」で指定されている「サーバーのソケット・ポート」フィールドの値。たとえば、5555など。これは、Inbound Refineryconfig.cfgファイルのIntradocServerPort値です。

    • インスタンス名: 「Inbound Refineryの設定の構成」で指定されているInbound Refineryのサーバー・インスタンス名。これは、Inbound Refineryconfig.cfgファイルのIDC_Name値です。

    • 相対Webルート: Inbound RefineryインスタンスのWebルート。たとえば、/ibr/など

  5. 「変換オプション」で、「Inbound Refinery変換ジョブの処理」を選択します。

    「Inbound Refineryの読取り専用モード」は選択しないでください。

  6. 「追加」をクリックします。
  7. WebLogic Server管理コンソールを使用して、Inbound Refinery管理対象サーバーとOracle WebCenter Content Server (WebCenter Content管理対象サーバー)を再起動します。
  8. 「プロバイダ」ページに戻り、プロバイダの「接続状態」の値が「良好」であることを確認します。

    値が「良好」でない場合は、前述のエントリをすべて正しく入力したことを再確認し、コンテンツ・サーバーとInbound Refineryのインスタンスが相互にpingできることを確認します。

  9. 2番目のIBRサーバーに対してステップ1~8を実行します。
プロバイダの設定の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Contentのマネージング』のContent ServerとRefineryの通信の構成に関する項を参照してください。
コンテンツ・サーバーでのInbound Refinery用のコンポーネントの有効化

変換タイプによっては、コンテンツ・サーバーでヘルパー・コンポーネントを有効にする必要があります。ドキュメント変換にInbound Refineryを使用するコンテンツ・サーバーのインスタンスでは、InboundRefinerySupportコンポーネントを常に有効にする必要があります。新しいコンテンツ・サーバーのインストールではデフォルトで有効になっています。

コンテンツ・サーバーでInbound Refineryコンポーネントを有効にする手順は次のとおりです。
  1. 次のURLからコンテンツ・サーバーにログインします。
    https://wcp.example.com/cs
  2. 「管理」トレイまたはメニューから、「管理サーバー」「コンポーネント・マネージャ」を選択します。
  3. 「コンポーネント・マネージャ」ページで、「Inbound Refinery」を選択し、「Inbound Refinery」で有効にするコンポーネント(XMLConverterSupportなど)を選択したら、「更新」をクリックします。
  4. 両方のコンテンツ・サーバーを再起動するために、WebLogic Server管理コンソールを使用してWebCenter Content管理対象サーバーを再起動します。
変換するファイル形式の選択

変換のためにInbound Refineryに送信するファイルをコンテンツ・サーバーに指定するには、ファイル形式を選択する必要があります。

変換するファイル形式を選択するには、次の手順を実行します。
  1. 次のURLからコンテンツ・サーバーにログインします。
    https://wcp.example.com/cs/
  2. 「管理」トレイまたはメニューを開いて「リファイナリ管理」「ファイル形式ウィザード」の順に選択し、「ファイル形式ウィザード」ページを開きます。

    このページでは、どのファイル形式をコンテンツ・サーバーにチェックインした場合に、そのファイル形式をInbound Refineryに送信して変換を実施するかを指定します。

  3. Microsoft Wordドキュメントのdocdotdocxおよびdotxなど、変換が必要なフォーマットを選択します。
  4. 「更新」をクリックします。
また、構成マネージャでファイル形式を選択することもできます。構成マネージャでは、ウィザードでは示されないファイル形式など、さらにきめ細かく制御できます。『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Contentのマネージメント』のファイル・タイプの管理に関する項を参照してください。

Inbound Refinery管理対象サーバーの構成の検証

作成したInbound Refinery管理対象サーバーが正しく構成されているかどうかを確認するには、コンテンツ・サーバーにログインし、変換に有効と認識された拡張子を持つファイルが正しく変換されることを確認して、構成を検証します。

たとえば、変換するフォーマットとしてdocxを選択した場合は、拡張子が.docxのMicrosoft Word文書をPDFフォーマットに変換できます。

チェックインとチェックアウトの手順の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Contentの使用』のドキュメントのアップロードおよびファイルのチェックアウトとダウンロードに関する項を参照してください。

変換プロセスの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Contentのマネージング』のRefineryにジョブを送信するためのコンテンツ・サーバーの構成に関する項を参照してください。

構成のバックアップ

ベスト・プラクティスとして、ドメインの拡張が正常に完了した後や別の論理ポイントでバックアップを作成することをお薦めします。ここまでのインストールが正常に行われたことを確認したら、バックアップを作成します。これは、後のステップで問題が発生した場合に即座にリストアするための迅速なバックアップになります。

バックアップ先はローカル・ディスクです。エンタープライズ・デプロイメント設定が完了すると、このバックアップは破棄できます。エンタープライズ・デプロイメント設定が完了したら、バックアップとリカバリの通常のデプロイメント固有プロセスを開始できます。

構成をバックアップする方法の詳細は、「エンタープライズ・デプロイメントのバックアップとリカバリの実行」を参照してください。