2 PackおよびUnpackコマンド・リファレンス
pack
コマンドとunpack
コマンドには、独自の構文とパラメータがあります。これらのコマンドは、ORACLE_HOME
/oracle_common/common/bin
ディレクトリにあります。 この章の内容は次のとおりです。
- packコマンド
pack
コマンドにより、WebLogicドメイン全体またはWebLogicドメインのサブセットのスナップショットを含むテンプレート(.jar
アーカイブ・ファイル)を作成できます。 - Unpackコマンド
unpack
コマンドでは、リモート・システムの管理対象サーバー・ドメイン・ディレクトリに使用されるフルWebLogicドメインまたはドメインのサブセットを作成できます。
Packコマンド
pack
コマンドにより、WebLogicドメイン全体またはWebLogicドメインのサブセットのスナップショットを含むテンプレート(.jar
アーカイブ・ファイル)を作成できます。
WebLogicドメインのサブセットを含むテンプレートを使用して、リモート・マシン上に管理対象サーバー・ドメインのディレクトリ階層を作成できます。
次の各項では、pack
コマンドを使用して作成するドメインおよび管理対象サーバーのテンプレートに組み込まれる、ファイルおよびディレクトリについて説明します。
- ドメイン・テンプレートに組み込まれているファイルおよびディレクトリ
- セキュリティ・プロバイダ・データの新しいドメインへの移植
- 管理対象サーバー・テンプレートに組み込まれているファイルおよびディレクトリ
- ノード・マネージャの構成
- Packコマンドの構文
- Packコマンドのパラメータ
- Packコマンドの例
親トピック: PackおよびUnpackコマンド・リファレンス
ドメイン・テンプレートに組み込まれているファイルおよびディレクトリ
次の例外を除いて、ソースWebLogicドメインのすべてのファイルとディレクトリが組み込まれます。
-
サーバーの起動時に作成される一時ファイル
-
サーバー・ディレクトリ
-
WebLogicドメインの作成時に自動的に作成されるセキュリティ・ディレクトリ内のファイル。
DefaultAuthenticatorInit.ldiftおよびXACMLRoleMapperInit.ldift
など -
永続ファイル・ストア(ドメインに配置されている場合も含む)。JMS用に定義されたか他のファイル・システム用に定義されたかにかかわらず、ファイル・ストアは除外されます。ファイル・ストアがドメイン内に配置されている場合、空のファイル・ストア・ディレクトリがターゲット・システムに作成されます。
ドメイン・ディレクトリ内のファイルに加え、外部ディレクトリに配置されたデプロイメント・プランもpack
で作成されたテンプレートに組み込まれます。これらのリソースはunpack
によって、次のドメイン内の標準の場所にコピーされます。
domain_home
/config/deployments/
deployment_name
/plan
ノート:
ドメイン内にすでに存在するプランは再配置されません。
外部ディレクトリには、Oracleホーム・ディレクトリ、ドメイン・ホーム、およびORACLE_HOME/oracle_common/common/lib/internalpaths.txt
ファイルで定義されている場所以外のディレクトリが含まれます。
ユーザー、グループ、ロールなど、WebLogic Server管理コンソールまたはその他のオンライン・ツールを使用して、追加のセキュリティ・データを構成した場合、そのセキュリティ・データはLDAPサーバーに格納されており、テンプレートには組み込まれません。最初にデータをエクスポートしてからターゲットWebLogicドメインにインポートする必要があります。
親トピック: Packコマンド
セキュリティ・プロバイダ・データの新しいドメインへの移植
pack
コマンドは、オフライン・コマンドであるため、組込みLDAPデータなどのセキュリティ・プロバイダ・データをドメイン・テンプレートにエクスポートしません。unpack
を使用して新しいドメインを作成後、手動でセキュリティ・プロバイダ・データを新しいドメインに移植する必要があります。そのように行うには:
- 必要に応じて、元のドメインの管理サーバーを起動し、元のドメインの管理コンソールにサインインします。
- Oracle WebLogic Server管理コンソール・オンライン・ヘルプのセキュリティ・プロバイダからのデータのエクスポートに関する項の説明に従い、元のドメインからデータをエクスポートします。
- 必要に応じて、新しいドメインの管理サーバーを起動し、新しいドメインの管理コンソールにサインインします。
- Oracle WebLogic Server管理コンソール・オンライン・ヘルプのセキュリティ・プロバイダへのデータのインポートに関する項の説明に従い、新しいドメインにデータをインポートします。
親トピック: Packコマンド
管理対象サーバー・テンプレートに組み込まれているファイルおよびディレクトリ
次のファイルとディレクトリは、デフォルトで組み込まれます。
-
次の拡張子を持つ、ルート・ディレクトリのすべてのファイル:
.cmd
、.sh
、.xml
、.properties
および.ini
-
WebLogicドメインのSSL構成に定義されている、拡張子
.pem
を持つファイル -
config.xml
を除き、config
ディレクトリにあるすべてのファイルとサブディレクトリ -
bin
ディレクトリノート:
bin
ディレクトリ内のすべてのファイルをテンプレートに圧縮せず、自動生成されないファイルのみを圧縮してください。自動生成されるファイルは解凍プロセス中に再作成され、変更内容が失われる可能性があります。ファイル・リスト全体を確認するには、次のコマンドを使用します:
$DOMAIN_HOME/init-info/startscript.xml
-
lib
ディレクトリ
次のファイルとディレクトリは、デフォルトでは管理対象サーバー・テンプレートに組み込まれません。
-
アプリケーションと特定のアプリケーション初期化ファイル
-
config.xml
ファイル -
サーバーの起動時に作成される一時ファイル
-
サーバー・ディレクトリ
-
WebLogicドメインの作成時に自動的に作成されるセキュリティ・ディレクトリ内のファイル。
DefaultAuthenticatorInit.ldift
およびXACMLRoleMapperInit.ldift
など
ドメイン内のサーバーの特定の名前やポートが指定されているかどうかにかかわらず、あらゆるドメインのパックが可能です。その後、任意のシステム上にドメインをアンパックできますが、config.xml
ファイルで特定のシステムおよびポートを使用するように定義されているサーバーは、他のシステムでは動作しません。したがって、該当するノードおよびシステム上でサーバーを正常に起動するには、すべてのサーバーの各リモート・ノード上に同一のテンプレートをアンパックする必要があります。
親トピック: Packコマンド
ノード・マネージャの構成
pack
コマンドとunpack
コマンドでは、管理対象モードでも管理対象外モードでも、ノード・マネージャ構成が維持されません。デフォルトでは、アンパックされたドメインでは、ノード・マネージャ・タイプがデフォルトで常にPerDomainNodeManager
に設定されます。
元のドメインのノード・マネージャ・タイプがCustomLocationNodeManager
であった場合、ドメインをアンパックするときにunpack
コマンドで-nodeManagerType
および-nodeManagerHome
パラメータを使用して、構成を保持する必要があります。
元のドメインのノード・マネージャ・タイプがManualNodeManagerSetup
であった場合は、各リモート・システム上にドメインをアンパックした後に、ノード・マネージャを手動で再構成する必要があります。
元のドメインでManualNodeManagerSetup
構成が使用されていた場合、ノード・マネージャの構成情報は、pack
で作成されるテンプレートから切り捨てられます。ドメインをアンパックするときには、-nodeManagerType
パラメータを使用してManualNodeManagerSetup
を指定します。ドメインのアンパック後は、ノード・マネージャを手動で構成する必要があります。
ノード・マネージャ・タイプについては、『Oracle WebLogic Serverノード・マネージャの管理』のデフォルトのノード・マネージャの構成に関する項を参照してください。
ノード・マネージャ資格証明は、パックされたドメインからアンパックされたドメインへコピーされます。これらの資格証明は、config.xmlファイルに格納されます。
親トピック: Packコマンド
Packコマンドの構文
pack -domain=domain -template=template -template_name="template_name" [-template_author="author"] [-template_desc="description"] [-managed=true|false] [-log=log_file] [-log=log_file] [-log_priority=log_priority]
親トピック: Packコマンド
Packコマンドのパラメータ
表2-1は、pack
コマンドのパラメータ一覧です。
表2-1 Packコマンドのパラメータ
パラメータ | 必須またはオプション | 説明 |
---|---|---|
|
必須 |
テンプレートの作成元WebLogicドメインの絶対パスまたは相対パス。 |
|
必須 |
作成されるテンプレートのフル・パスまたは相対パス。テンプレート・ファイル名には、 ノート: |
|
必須 |
テンプレートを表す名前。このパラメータの値にスペースが含まれている場合にのみ、引用符で囲む必要があります。 |
|
オプション |
テンプレートの作成者の名前。このパラメータの値にスペースが含まれている場合にのみ、引用符で囲む必要があります。 |
|
オプション |
テンプレートの説明。このパラメータの値にスペースが含まれている場合にのみ、引用符で囲む必要があります。 |
|
オプション |
リモート・システムに管理対象サーバーを作成するためにテンプレートを使用するかどうかを指定します。デフォルトは、 ノート: WebLogic Server 12.1.2と同様、WLSTの |
|
オプション |
ログ・ファイルの名前。 |
|
オプション |
ログ・ファイルの優先度の設定。log4j優先度文字列を使用します。 有効なlog4j優先度文字列は、 |
親トピック: Packコマンド
Packコマンドの例
C:/oracle/user_projects/domains
ディレクトリに配置するmydomain
という既存のWebLogicドメインを元にテンプレートJARファイルを作成するには、次のコマンドを実行します。
pack -domain=C:/oracle/user_projects/domains/mydomain -template=C:/oracle/user_templates/mydomain.jar -template_name="My WebLogic Domain"
mydomain.jar
というテンプレートが、C:/oracle/user_templates
ディレクトリに作成されます。テンプレートの名前は、My WebLogic Domain
です。
親トピック: Packコマンド
Unpackコマンド
unpack
コマンドでは、リモート・システムの管理対象サーバー・ドメイン・ディレクトリに使用されるフルWebLogicドメインまたはドメインのサブセットを作成できます。
unpack
は、現在のインストール内容と互換性のあるテンプレートのみと併用する必要があります。現在のインストール・バイナリが、unpack
コマンドを実行するシステムに存在している必要があります。以下のものをテンプレートとして使用できます。
-
現在のインストールとパッケージ化されたドメイン・テンプレート
-
ドメイン・テンプレート・ビルダーまたはWLSTを使用して作成されたドメイン・テンプレート
-
pack
コマンドを使用して作成されたドメイン・テンプレート -
pack
コマンドを使用して作成された管理対象サーバー・テンプレート
ドメイン・テンプレートでunpack
コマンドを使用すると、テンプレートに定義されているアプリケーション・ファイルとリソース・ファイルすべてを含むWebLogicドメインが作成されます。また、起動スクリプトおよび特定のセキュリティ・ファイルと構成ファイルも作成されます。
ノート:
ソース・ドメインは、ドメイン用に定義した管理者ユーザー名と管理者パスワードの両方を持つ必要があります。そうでない場合、unpack
コマンドの実行時にはエラーが表示されます。unpackコマンドのwalletDir
オプションによって指定されるウォレットで、ソース・ドメインの管理者パスワードを定義できます。
管理対象サーバー・テンプレートでunpack
コマンドを使用すると、以下を含む管理対象サーバー・ドメイン・ディレクトリが作成されます。
-
WebLogicドメイン内の各管理対象サーバー用にカスタマイズされた起動スクリプト
-
config_bootstrap.xml
ファイル(テンプレート内のconfig.xml
ファイルに基づく) -
nm_password.properties
ファイル -
SerializedSystemIni.dat
ファイル
管理対象サーバー・ドメイン・ディレクトリのエントリは、NM_HOME
/nodemanager.domains
ファイルにも作成されます。NM_HOME
は、リモート・システム上の製品インストールのためのノード・マネージャのホーム・ディレクトリです。このディレクトリの場所は、ノード・マネージャ・タイプによって異なります。ノード・マネージャ・タイプおよびノード・マネージャ・ホームの詳細は、表2-2を参照してください。
ノート:
デフォルトでは、アプリケーション・ファイルはpack
コマンドを使用して作成された管理対象サーバー・テンプレートには含まれません。管理対象サーバー・テンプレートの作成元のWebLogicドメインにアプリケーションが、external_stage
モードによりデプロイされた場合、unpack
コマンドを使用して作成する管理対象サーバー・ドメイン・ディレクトリには、外部でステージングされたアプリケーションは一切含まれません。管理対象サーバーを起動する前に、外部でステージングされたアプリケーション・ファイルにアクセス可能であることを確認する必要があります。
デプロイメント・ステージング・モードの詳細は、『Oracle WebLogic Serverへのアプリケーションのデプロイ』のステージング・モードによるデプロイメント・ファイルのコピーの制御に関する項を参照してください。
Unpackコマンドの構文
unpack [-initialize] -template=template -domain=domain [-walletDir=directory] [-user_name=username] [-password=password] [-app_dir=application_directory] [-nodemanager_type=type] [-nodemanager_home=nodemanager_home_directory] [-java_home=java_home_directory] [-server_start_mode=dev|prod] [-overwrite_domain] [-log=log_file] [-log_priority=log_priority]
親トピック: Unpackコマンド
Unpackコマンドのパラメータ
表2-2は、unpack
コマンドで使用可能なパラメータの一覧です。
表2-2 Unpackコマンドのパラメータ
パラメータ | 必須またはオプション | 説明 |
---|---|---|
|
オプション |
このパラメータは、Fusion Middleware製品がインストールされているWebLogicドメインにのみ適用されます。 ノート: このパラメータを このパラメータが このパラメータが このパラメータが サービス表の詳細は、『Oracle Fusion Middlewareの管理』のサービス表の理解に関する項を参照してください。 |
|
必須 |
WebLogicドメインの作成元テンプレートのフル・パスまたは相対パスおよび名前。 |
|
必須 |
作成するWebLogicドメインの絶対または相対パス。 |
|
オプション |
管理者ユーザー・アカウントのパスワードを含むウォレット・ファイルのディレクトリ。このディレクトリは、
アンパックするドメインに異なる管理者ユーザーを作成する場合は、次の手順を実行します。
ノート: 別の管理者ユーザーを使用するかどうかにかかわらず、 |
|
オプション |
テンプレートで、または 管理ユーザーがテンプレートに定義されていない場合は、 デフォルトの管理者とパスワードが現在テンプレートに定義されている場合は、 ユーザー名は一意にする必要があります。WebLogic認証プロバイダ(デフォルト認証)では、ユーザー名の大文字と小文字は区別されません。ユーザー名にタブまたは次の文字を含めないようにしてください。
さらに、ユーザー名の最初の文字に次の文字を使用することはできません。
ノート: 先行する無効な文字を使用してユーザーを作成すると、WebLogicドメインが破損する可能性があります。 有効なパスワードは8文字以上の文字列です。 ノート: このパラメータは、管理対象サーバー・テンプレートを使用してWebLogicドメインを作成する場合には使用されません。 |
|
オプション |
このパラメータは非推奨です。セキュリティの向上のため、
有効なパスワードは8文字以上の文字列で、大文字と小文字が区別されます。 ノート: 管理対象オプションを使用して作成されたテンプレートをアンパックする場合、パスワードは変更できません。 |
|
オプション |
テンプレートに定義されているアプリケーションを格納するために使用されるディレクトリのフルパス。 ノート: テンプレートに、製品インストール・ディレクトリ外で、別のアプリケーション・ディレクトリにあるアプリケーションが含まれる場合、そのアプリケーションをテンプレートからコピーするかどうかを、このオプションに指定します。テンプレートに、このようなアプリケーションが含まれない場合は、 |
|
オプション |
作成中のドメインに、ノード・マネージャ・タイプを設定します。次のいずれかのタイプを指定します。
デフォルト値は |
|
条件付き |
指定したノード・マネージャ・タイプが 指定したノード・マネージャ・タイプが |
|
オプション |
Javaホーム・ディレクトリのフルパス。設定した場合は、WebLogicドメインの管理サーバーによって使用されるデフォルトのJava仮想マシン(JVM)が識別されます。 このパラメータは、管理対象サーバー・テンプレートを基にWebLogicドメインを作成する場合には使用できません。 |
|
オプション |
管理サーバーの起動モード: ノート: アンパックされたドメインを本番モードで動作させる場合、このパラメータを このパラメータは、管理対象サーバー・テンプレートを使用してWebLogicドメインを作成する場合には使用できません。
|
|
オプション |
指定したドメイン・ディレクトリがすでに存在し、空でない場合、ディレクトリにあるファイルが警告なしに自動的に上書きされます。ローカル・カスタマイズのマージまたは保持は試行されません。 ノート: ドメイン生成を開始した後システム・エラーが発生した場合に、ドメイン・ディレクトリは不明な状態にあります。 |
|
オプション |
ログ・ファイルの名前。 |
|
オプション |
ログ・ファイルの優先度の設定。log4j優先度文字列を使用します。 有効なlog4j優先度文字列は、 |
親トピック: Unpackコマンド
Unpackコマンドの例
C:/oracle/user_templates
ディレクトリにあるmydomain.jar
テンプレートを使用してC:/oracle/user_projects/domains
ディレクトリにmynewdomain
というWebLogicドメインを作成するには、次のコマンドを実行します。
unpack -template=C:/oracle/user_templates/mydomain.jar -domain=C:/oracle/user_projects/domains/mynewdomain
親トピック: Unpackコマンド