16 アプリケーションでのビジネス・データの追跡
Oracle Business Process Management (Oracle BPM)がサポートする各種のビジネス・データの概要を取得します。
16.1 キー・パフォーマンス・インジケータ(KPI)の使用
Oracle BPMを使用して、BPMまたはビジネス・アーキテクチャ(BA)プロジェクト内でキー・パフォーマンス・インジケータ(KPI)を定義できます。KPIは、組織内の特定のアクティビティまたはプロセスを評価します。
KPIを1つ以上定義することで、プロセスの要件に適合しているかどうかの判定が可能になります。
16.1.1 キー・パフォーマンス・インジケータの概要
KPIは、組織内の特定のアクティビティまたはプロセスを評価します。KPIを1つ以上定義することで、プロセスの要件に適合しているかどうかの判定が可能になります。Oracle BPMで、KPIが定義するものは、次のとおりです。
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ビジネス・インジケータ内で定義されるメジャー、カウンタおよび実行時間
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しきい値
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可視化
たとえば、営業組織では、処理した総受注数を追跡するKPIを定義できます。1か月の目標受注数が1000の場合、メジャーが1000と定義されます。受注が1000未満である場合、KPIを赤で表示し(危険)、1000以上の範囲については緑で表示するように構成できます。
16.1.1.1 KPIのライフサイクル
KPIは、デザインタイムにOracle Business Process Composerを使用して作成できます。KPIは、BPMプロジェクトとBAプロジェクトの両方で使用できます。次のように、それぞれに独自の考慮事項があります。
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ビジネス・アーキテクチャ: KPIはBAプロジェクトで作成および構成できます。
プロジェクトを公開するときに、BAプロジェクトの他のコンポーネントとともにKPIがOracle Business Activity Monitoring (Oracle BAM)リポジトリに格納されます。BA内のKPIは公開後、BAレポートおよびOracle BAMダッシュボードで使用できます。
KPIは、ビジネス・アーキテクチャ階層のすべてのレベル、つまり、目的、戦略、バリュー・チェーン・モデル、バリュー・チェーンのステップで定義できます。バリュー・チェーンのステップがBusiness Process Model and Notation (BPMN)プロセスによって定義されている場合は、KPIをプロセス・レベルでも定義できます。Oracle BPMプロセスのKPIは、戦略にロールアップできます。
BAプロジェクトでのKPIの作成方法の詳細は、「キー・パフォーマンス・インジケータ(KPI)の使用」を参照してください。
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BPMプロジェクト: BPMプロジェクト内でもKPIを作成および構成できます。
BPMプロジェクト内で定義されるKPIには、BPMNプロセスに定義されるメジャーまたはビジネス・インジケータが組み込まれます。BPMプロジェクトをデプロイするときに、KPIもランタイム環境にデプロイされます。KPIは、BPMプロジェクトのデプロイ時にOracle BAMで作成されます。Oracle BAMのプロセス分析によって、ランタイム・データが照合され、Oracle BAMデータ・オブジェクトに格納されます。これらのKPIは、Oracle BAMのKPIウォッチリストに添付したり、BAロールアップKPIの一部として使用したりできます。実績値の計算は、ビジネス・プロセス・データ・オブジェクトに基づいてOracle BAMで実行されます。
16.1.1.2 キー・パフォーマンス・インジケータのタイプ
Oracle BPMでは、様々なタイプのKPIがサポートされます。
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外部KPI: Oracle BAMにインポートされたデータに基づいて値を定義します。
データは、
ORACLE_BUSINESSARCHITECTRURE_ENTITY_DATA
データ・オブジェクトにインポートされます。このインポートされたデータは、指定の日付範囲内のKPIの実績値の計算に使用されます。この計算値がKPIに定義されたしきい値と比較されます。 -
手動KPI: ユーザーがデザインタイムに値を明示的に入力できます。
ビジネス・アーキテクチャおよびOracle BAMは、KPIの値に関する計算を実行しません。その値が、このKPIのしきい値と比較されます。
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ロールアップKPI: 2つのエンティティ間の親子関係を定義します。
ロールアップKPIは、複数の子KPIで構成されます。親の値は、子KPIの値に基づいて計算されます。これらの値がロールアップKPIに定義されたしきい値と比較されます。
16.2 ビジネス・インジケータおよびカウンタ・マークの使用
ビジネス・インジケータは、プロセスのKPIの値の格納に使用するプロジェクト・データ・オブジェクトです。カウンタ・マークを使用すると、プロセスに対して定義したカウンタ・ビジネス・インジケータの値を更新できます。
この項では、Oracle Business Process Composerを使用してビジネス・インジケータおよびカウンタ・マークを作成する方法について説明します。
16.2.1 ビジネス・インジケータおよびカウンタの概要
ビジネス・インジケータは、プロセスのKPIの値の格納に使用するプロジェクト・データ・オブジェクトです。Oracle BPMでは、各種のデータ・オブジェクトを使用してビジネス・インジケータを作成できますが、Oracle Business Process Composer内では、属性、カウンタ、ディメンションおよびメジャーとして使用されるビジネス・インジケータのみを作成できます。
カウンタは、インスタンスが特定のアクティビティを完了した回数を追跡します。カウンタはカウンタ・マークとともに使用する必要があります。カウンタ変数の値は常に1で、実際の値は格納されません。インスタンスがアクティビティを完了した回数を示す値は、プロセス分析データベースで直接更新されます。カウンタ・ビジネス・インジケータの値を監視するには、そのカウンタ・ビジネス・インジケータを追跡するように構成されたカウンタ・マークに基づいて、ダッシュボードを作成する必要があります。
16.2.2 カウンタ・マークの概要
カウンタ・マークを使用すると、プロセスに対して定義したカウンタ・ビジネス・インジケータの値を更新できます。1つのカウンタ・マークで複数のカウンタ・マーク・ビジネス・インジケータを更新できます。カウンタ・マークが定義されているアクティビティにトークンが到達すると、Oracle BPMサービス・エンジンによって、プロセス分析データベース内の関連するカウンタの値が更新されます。Oracle BPMサービス・エンジンがカウンタ・ビジネス・インジケータを更新するたびに、1単位が現在の値に追加されます。
ノート:
カウンタ変数の実際の値はプロセス分析データベースに格納されます。カウンタ変数のデフォルト値は変更されないため、プロセスでカウンタ変数を使用して計算を実行しないでください。カウンタ変数の値は常に1です。
カウンタ・マークは次の目的で使用できます。
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監査: インスタンスが完了したアクティビティの数とその他のパフォーマンス測定を組み合せた情報は、プロセスを監査するために重要です。
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パフォーマンスの問題の識別: カウンタを使用して、プロセス内のパフォーマンスの問題を特定できます。
インスタンスが予期したパスと異なるパスを経由しているか、アクティビティ内のループの実行時間が適正な時間を超えているため、プロセスの実行時間が予期した時間より長くなる場合があります。このような状況は、実際に完了したアクティビティの数と予期した数を比較して識別できます。
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インスタンスが経由するプロセス・パスの識別: 異なるカウンタ・ビジネス・インジケータを使用して、対応するパスをマークできます。
インスタンスがプロセスの最後に到達したとき、インスタンスが経由したパスは、完了したアクティビティの最大数を示します。
通常は、監視対象のプロセス・パスごとに1つのカウンタ・ビジネス・インジケータを定義します。次に、そのプロセス・パスに含まれるすべてのアクティビティにカウンタ・マークを追加します。最後に、アクティビティが含まれるパスに対応するカウンタ・ビジネス・インジケータを、カウンタ・マークに関連付けます。
16.2.3 新しいカウンタ・マークをプロセスに追加する方法
新しいカウンタ・マークをプロセス内のアクティビティやタスクに追加できます。
新しいカウンタ・マークをプロセスに追加する手順は、次のとおりです。
16.3 測定マークを使用したプロセス・パフォーマンスの測定
測定マークを使用して、プロセス・パフォーマンスを測定できます。測定マークを使用すると、プロセス内の特定の位置またはプロセスの特定のセクションにおいて、タイプがメジャーのビジネス・インジケータを測定できます。
測定マークおよびプロセス分析データベースの使用の詳細は、Oracle Business Process Management Studioを使用したビジネス・プロセスの作成のプロセス分析の使用に関する項を参照してください。
測定マークによって、プロセス分析データベースに次のデータが保存されます。
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プロセスのデフォルト測定の値
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該当する測定マークに関連付けられている測定ビジネス・インジケータの値
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プロセスに定義されているディメンションの値
1つの測定マークを使用して、複数の測定ビジネス・インジケータを測定できます。
BPMNサービス・エンジンでは、測定ビジネス・インジケータの値が保存されるときに、プロセスに定義されたディメンションの値も保存されます。後でプロセスを監視するダッシュボードを構築するときに、これらのディメンションを使用して値を様々なカテゴリにグループ化できます。たとえば、承認されたローン申請の地域別合計数を表示することなどができます。
定義できる測定マークのタイプは次のとおりです。
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単一測定
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間隔の開始
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間隔の停止