比較:最長共通句率

「最長共通句率」比較では、2つの文字列/文字配列の値を比較し、両方の値に共通する最長の単語の連続(スペースで区切られた)を判断して、それを単語数が多い方または少ない方の値の単語数に関連付けることにより、2つの値が一致しているかどうかを判断します。

「最長共通句率」比較は、値に多数の単語が含まれ、値の中の単語の順序が重要である場合に、2つの値が相互にどの程度近いかを判断するのに役立ちます。たとえば、会社名を照合する場合、正式名称内のいくつかの単語は、その名称をシステムに入力する際に除外されていることが多くあります。このため、意味のある単語の連続が含まれるが、一方の値にはその他の単語があまり多く含まれない場合、一致を識別するのに役立ちます。たとえば、「T D Waterhouse UK」と「Price Waterhouse UK」の最長共通句は2で、「Price Waterhouse」と「Price Waterhouse UK」も同様です。これに対して、最長共通句率は文字数を考慮するため、「T D Waterhouse UK」と「Price Waterhouse UK」はスコア50%で一致しますが、「Price Waterhouse」と「Price Waterhouse UK」は67%になり、より高い一致になります。

この比較では、結果バンドの使用がサポートされています。

次の表に、構成オプションを示します。

オプション タイプ 説明 デフォルト値

データなしのペアを照合

はい/いいえ

このオプションは、識別子の2つのデータなし(Null、または空白文字のみを含む)値を比較した際に、比較結果を判断します。

「いいえ」に設定した場合、データなし値と別のデータなし値を比較した際、「データなし」の比較結果が返されます。

「はい」に設定した場合、データなし値と別のデータなし値を比較した際、0の比較結果が返されます。「データなし」結果が返されるのは、データなし値と移入値を比較した場合のみです。

いいえ

大文字/小文字を区別しない

はい/いいえ

値を比較する際に、大文字/小文字を区別しないかどうかを設定します。

はい

より短い入力に関連付け

はい/いいえ

このオプションでは、2つの値の最長共通句を、2つの値のうち長い方または短い方のどちらに関連付けるかを決定します。

「はい」に設定した場合、比較では2つの値の最長共通句を、2つの値のうち短い方(単語数が)に関連付けます。これにより、「T D Waterhouse UK」と「Price Waterhouse UK」のLCPPは67%になります。

「いいえ」に設定した場合、最長共通部分文字列は比較対象の2つの値のうち長い方に関連付けられます。そのため、「T D Waterhouse UK」と「Price Waterhouse UK」の照合結果は50%にしかなりません。

いいえ

文字エラーの許容範囲

整数

このオプションは、単語を相互に比較する際に許容される文字編集の回数を指定します。文字編集距離が指定された数値以下の単語はすべて、同じとみなされます。

たとえば、1に設定した場合、「95 Charnwood Court, Mile End, Parnham, Middlesex」と「95 Charwood Court, Mile End, Parnam, Middlesex」はこの許容範囲を考慮するとすべての単語が相互に一致するため、最長共通句率は100%になります。

0

数の許容範囲を無視

はい/いいえ

このオプションを使用すると、すべてが数値で構成される単語に対して、文字エラーの許容範囲を無視できます。

たとえば、「はい」に設定して、文字エラーの許容範囲を1にした場合、数値95と96は異なるとみなされるため、1文字しか違わないにもかかわらず、「95 Charnwood Court, Mile End, Parnham, Middlesex」と「96 Charnwood Court, Mile End, Parnam, Middlesex」の最長共通句率は86%になります。

「いいえ」に設定した場合、数値は他の単語と同様に処理されるため、前述の例では95と96は同じとみなされ、最長共通句率は100%になります。

はい

許容範囲値をパーセンテージ値で処理

はい/いいえ

これを使用すると、文字エラーの許容範囲を、単語長(文字数)に対するパーセントとして処理できます。たとえば、1つの単語で5文字ごとに1つの文字エラーを許容するには、20%の値を使用します。

このオプションは、短い単語が1文字異なるだけで同じと処理されることを防ぐ一方で、長い単語では入力ミスとして許容できるようにする場合に役立ちます。たとえば、「Parnham」と「Parnam」は同じとみなしますが、「Bath」と「Batt」は別として処理されます。

「はい」に設定した場合、単語に差異があるが同じとみなすために、「文字エラーの許容範囲」オプションは、1つの単語内で差異を許容できる文字数の最大パーセントとして入力する必要があります。たとえば、Trueに設定した場合、文字エラーの許容範囲を20%とすると、ParnamとParnhamは同じとみなされます。これは、これらの編集距離が1であり、かつ、ワード長が7文字を超える場合は、1文字の一致エラーの割合が14%となり、20%のしきい値を下回るためです。一方、BathとBattという値は文字の一致エラーの割合が25% (4文字のうち1つがエラー)であるため、同じとはみなされません。

「いいえ」に設定した場合、「文字エラーの許容範囲」オプションは単語間の文字編集の許容範囲として処理されます。

いいえ

この例では、「最長共通句率」比較を使用して、会社名の一致候補を識別します。

次のオプションを指定します。

  • データなしのペアを照合= いいえ

  • 大文字/小文字を区別しない = はい

  • より短い入力に関連付け= いいえ

  • 文字エラーの許容範囲 = 1

  • 許容範囲値をパーセンテージ値で処理= いいえ

  • 数の許容範囲を無視= はい

結果例

次の表に、前述の構成を使用した比較結果をいくつか示します。

表1-49 結果例: 最長共通句率

値A 値B 比較結果

Oracle Limited

ORACLES LIMITED

100%

Accounting Software and Services Ltd

Accounting Software and Services Ltd (E-Retail)

83%

The 365 Corporation

The 364 Corporation

33%

Barclays Bank International

Barrclays Bank

67%

Barclays

Barclays Bank

50%

Oracle Professional Services Ltd

Oracle Proffessional Services

75%

Marks and Spencer Financials

Marks and Spencer

75%

Marks and Spencer Head Office

Marks and Spencer

60%