A.1 11gと12cの違い

次の項では、Oracle Internet Directoryリリース11と12cリリース2(12.2.1.3.0)の主な違いについて説明します。

A.1.1 インスタンス作成およびプロセス管理の概要

11gと12cのOracle Internet Directoryでのインスタンス作成の違いについて説明します。

この項では、次の項目について説明します。

A.1.1.1 11g Oracle Internet Directoryインスタンスの作成

11g リリース1では、インスタンスを作成する手順が変更されました。Oracle Internet Directoryインスタンスの構成情報は、インスタンス固有の構成エントリに格納されています。

インスタンス固有の構成エントリは次の形式の識別名を持ちます。
cn=componentname,cn=osdldapd,cn=subconfigsubentry

componentnameは、Type=OIDのOracle Fusion Middlewareシステム・コンポーネントの名前(oid1など)です。インスタンス固有の構成エントリは手動で作成しません。かわりに、Type=OIDのOracle Fusion Middlewareコンポーネントを作成します。Oracle Internet Directoryコンポーネントを作成すると、インスタンス固有の構成エントリが自動的に生成されます。

ノート:

configset0のエントリは11gにありますが、読取り専用であり、新規のインスタンス固有の構成エントリの生成時にデフォルトの属性値を格納するために使用されます。

最初のOracle Internet Directoryシステム・コンポーネントは、インストール時に作成されます。最初のOracle Internet Directoryシステム・コンポーネント(デフォルトではoid1)は、デフォルトではOracleインスタンス名asinst_1を使用してインストール時に作成されます。このコンポーネントに対応する構成エントリはcn=oid1,cn=osdldapd,cn=subconfigsubentryです。Oracle Internet Directoryインスタンスの追加作成には、次の2つの方法を使用します。

  • opmnctl createcomponentを使用して、Type=OIDの別のコンポーネントを追加します。次に例を示します。

    opmnctl createcomponent -componentType OID \
       -componentName componentName -Db_info "DBHostName:Port:DBSvcName" \
       -Namespace "dc=domain" 
  • oidctl addを使用して、Type=OIDの既存のコンポーネント内にOracle Internet Directoryインスタンスを追加します。「OIDCTLを使用したOracle Internet Directoryサーバー・インスタンスの作成と起動」を参照してください

推奨される方法は、opmnctlを使用してシステム・コンポーネントを追加することです。opmnctlを使用したコンポーネントの追加によってインスタンスを作成する場合、インスタンスの停止および起動にはopmnctlまたはOracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを使用し、oidctlは使用しません。第8.3.7項「opmnctlを使用したOracle Internet Directoryサーバーの起動」および第8.2.2項「Fusion Middleware Controlを使用したOracle Internet Directoryサーバーの起動」を参照してください。

インスタンスの構成属性は、Fusion Middleware Control、LDAPツールまたはOracle Directory Services Managerを使用して更新できます。第9章「システム構成属性の管理」を参照してください。

opmnctlを使用してoid2というコンポーネント名のシステム・コンポーネントを追加すると、componentname=oid2の追加インスタンスが特定のOracleインスタンス(デフォルトではasinst_1)内に構成されます。このOracle Internet Directoryのインスタンスは、ias-component=oid2を指定したopmnctlコマンドまたはFusion Middleware Controlを使用して起動および停止できます。このインスタンスのインスタンス固有の構成エントリはcn=oid2,cn=osdldapd,cn=subconfigsubentryで、このエントリの構成属性を更新してインスタンスをカスタマイズできます。インスタンス固有の構成属性の詳細は、第9.1.3項「インスタンス固有の構成エントリの属性」を参照してください。

ノート:

WebLogicドメインの一部としてではなく、スタンドアロン・サーバーとしてOracle Internet Directoryが稼働している場合、oidctl を使用してインスタンスを作成できます。oidctlを使用してインスタンスを作成した場合、oidmonおよびoidctlを使用してインスタンスを停止および起動する必要があります。oidctlを使用して作成したOracle Internet Directoryインスタンスは、WebLogicサーバーに登録できないため、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを使用してインスタンスを管理できません。付録B「OIDCTLを使用したOracle Internet Directoryインスタンスの管理」を参照してください。

11gのレプリケーション・サーバー

インスタンスでレプリケーションを初めて開始する場合、oidctlまたはOracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを使用します。その後は、opmnctlでコンポーネントの停止および起動時にレプリケーションを停止および起動します。管理目的でOracle Internet Directoryレプリケーション・サーバーを停止および起動する必要がある場合、oidctlまたはOracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを使用します。

11gのOIDMON

11gリリース1では、OIDMONがOracle Internet Directoryのすべてのプロセス(ディスパッチャ、ディレクトリ・サーバーおよびレプリケーション・サーバー)のステータスをモニターしてOPMNにレポートします。OIDMONのこのモニタリングにより、Fusion Middleware ControlはOracle Internet Directoryのステータスを正確にレポートできます。

A.1.1.2 12c Oracle Internet Directoryインスタンスの作成

11gリリース1 (11.1.1.0.0)から、インスタンスを作成する手順が変更されました。Oracle Internet Directoryインスタンスの構成情報は、次の書式の識別名を持つインスタンス固有の構成エントリに格納されています

cn=componentname,cn=osdldapd,cn=subconfigsubentry

componentnameは、Type=OIDOracle Fusion Middlewareシステム・コンポーネントの名前(oid1など)です。インスタンス固有の構成エントリは手動で作成しません。かわりに、Type=OIDOracle Fusion Middlewareコンポーネントを作成します。Oracle Internet Directoryコンポーネントを作成すると、インスタンス固有の構成エントリが自動的に生成されます。

ノート:

configset0のエントリは読取り専用であり、新規のインスタンス固有の構成エントリの生成時にデフォルトの属性値を格納するために使用されます。

最初のOracle Internet Directoryシステム・コンポーネントは、インストール時に作成されます。最初のOracle Internet Directoryシステム・コンポーネント(デフォルトではoid1)は、デフォルトではOracleインスタンス名asinst_1を使用してインストール時に作成されます。このコンポーネントに対応する構成エントリはcn=oid1,cn=osdldapd,cn=subconfigsubentryです。Oracle Internet Directoryインスタンスの追加作成には、次の2つの方法を使用します。

推奨される方法は、oid_createInstanceを使用してシステム・コンポーネントを追加することです。WLSTコマンドのoid_createInstanceを使用してコンポーネントを追加してインスタンスを作成する場合は、oidctlではなく、WLSTまたはOracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを使用して、インスタンスを停止および起動する必要があります。「WLSTコマンドstart()を使用したOracle Internet Directoryサーバーの起動」および「Fusion Middleware Controlを使用したOracle Internet Directoryサーバーの起動」を参照してください。

インスタンスの構成属性は、Fusion Middleware Control、LDAPツールまたはOracle Directory Services Managerを使用して更新できます。「システム構成属性の管理」を参照してください。

oid_createInstanceを使用してoid2というコンポーネント名のシステム・コンポーネントを追加すると、componentname=oid2の追加インスタンスが特定のOracleインスタンス(デフォルトではasinst_1)内に構成されます。このOracle Internet Directoryインスタンスは、ias-component=oid2またはFusion Middleware Controlを使用し、$DOMAIN_HOME/bin/startComponent.sh <instance-name>または$DOMAIN_HOME/bin/stopComponent.sh <instance-name>のうち該当するコマンドを使用して、起動および停止できます。このインスタンスのインスタンス固有の構成エントリはcn=oid2,cn=osdldapd,cn=subconfigsubentryで、このエントリの構成属性を更新してインスタンスをカスタマイズできます。インスタンス固有の構成属性の詳細は、「インスタンス固有の構成エントリの属性」を参照してください。

ノート:

WebLogicドメインの一部としてではなく、スタンドアロン・サーバーとしてOracle Internet Directoryが稼働している場合、oidctlを使用してインスタンスを作成できます。oidctlを使用してインスタンスを作成した場合、oidmonおよびoidctlを使用してインスタンスを停止および起動する必要があります。oidctlを使用して作成したOracle Internet Directoryインスタンスは、WebLogicサーバーに登録できないため、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを使用してインスタンスを管理できません。「OIDCTLを使用したOracle Internet Directoryインスタンスの管理」を参照してください。

A.1.1.3 11gレプリケーション・サーバーの起動および停止

インスタンスでレプリケーションを初めて開始する場合、oidctlまたはOracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを使用します。その後は、ノード・マネージャでコンポーネントの停止および起動時にレプリケーションを停止および起動します。管理目的でOracle Internet Directoryレプリケーション・サーバーを停止および起動する必要がある場合、oidctlまたはOracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを使用します。

A.1.1.4 11g OIDMONによるOracle Internet DirectoryプロセスのステータスのモニタリングおよびOPMNへのレポートについて

11gリリース1 (11.1.1.0.0)では、OIDMONがOracle Internet Directoryのすべてのプロセス(ディスパッチャ、ディレクトリ・サーバーおよびレプリケーション・サーバー)のステータスをモニターしてOPMNにレポートします。OIDMONのこのモニタリングにより、Fusion Middleware ControlOracle Internet Directoryのステータスを正確にレポートできます。

A.1.2 SSLおよび非SSLポートの割当てについて

Oracle Internet Directoryのインストール時、Oracle Identity Management 11gインストーラは特定のステップに従ってSSLおよび非SSLポートを割り当てます。まず、非SSLポートとして3060の使用を試みます。そのポートが使用できない場合、3061から3070の範囲のポートを試し、次に13060から13070の範囲のポートを試します。同様に、SSLポートとして3131を試し、次に3132から3141のポート、その後13131から13141のポートを試します。

Oracle Internet Directoryで特権ポートを使用する場合、staticports.iniを使用してインストール中にデフォルトを無視できます。(『Oracle Identity Managementのインストールと構成』を参照してください。)インストール後にポート番号をリセットすることもできます。「Oracle Internet Directoryの特権ポートでの実行の有効化」を参照してください。

ノート:

Oracle Internet Directoryの旧バージョンから11gリリース1 (11.1.1.0.0)へアップグレードする場合、旧バージョンのポート番号が保持されます。

A.1.3 12cの構成ファイルおよびログ・ファイルで変更されたパス名

Oracle Fusion Middleware 12cリリース2では、更新可能なファイルはDOMAIN_HOME下にインストールされ、製品バイナリの大半はORACLE_HOME下に格納されます。その結果、大部分の構成ファイルとログ・ファイルのパス名が11gと異なります。

表A-1に例を示します。

表A-1 変更されたパス名の例

ファイル名 11gリリース1での場所 12cリリース2での場所

Orclpwdlldap1

OidpwdrSID

ORACLE_INSTANCE/OID/admin

$DOMAIN_HOME/config/fmwconfig/components/OID/admin

Tnsnames.ora

ORACLE_HOME/config

$DOMAIN_HOME/config/fmwconfig/components/OID/config

Oidldapd*.log

oidmon*.log

ORACLE_HOME/diagnostics/logs/OID/componentName

$DOMAIN_HOME/servers/OID/logs/componentInstance

bulkload.log

bulkdelte.log

catalog.log

ORACLE_HOME/diagnostics/logs/OID/tools

$DOMAIN_HOME/tools/OID

bulkload中間ファイル

ORACLE_INSTANCE/OID/load

$DOMAIN_HOME/tools/OID/load

opmnctl

ORACLE_INSTANCE/bin

opmnctl (12cではサポートされません)

opmn.xmll

ORACLE_INSTANCE/config/OPMN/opmn

opmn (12cではサポートされません)

wlst.sh

該当なし

$ORACLE_HOME/oracle_common/common/bin

startWeblogic.sh

$DOMAIN_HOME/bin

$DOMAIN_HOME/bin

startNodeManager.sh

該当なし

$DOMAIN_HOME/bin

startComponent.sh

該当なし

$DOMAIN_HOME/bin

stopComponent.sh

該当なし

$DOMAIN_HOME/bin

A.1.4 Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを使用した監査フレームワークの構成について

リリース11gリリース1 (11.1.1.0.0)では、Oracle Internet DirectoryはOracle Fusion Middlewareと統合された監査フレームワークを使用します。監査は、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware ControlまたはWebLogic Scripting Tool wlstを使用して構成できます。

属性orclAudFilterPresetは、NoneLowMediumAllまたはCustomに設定できます。

「監査の管理」を参照してください

A.1.5 更新されたサーバー・チェーン

11g以降、サーバー・チェーンで、Microsoft Active DirectoryおよびSun Java System Directory Server (以前のSunONE iPlanet)に加えてNovell eDirectoryがサポートされるようになりました。

mapUIDtoADAttributeshowExternalGroupEntriesshowExternalUserEntriesおよびaddOrcluserv2ToADUsers属性は、Oracle Internet Directory 10g (10.1.4.0.1)から追加されています。

A.1.6 LDAPベースのレプリケーションの設定および管理について

コマンド行を使用してLDAPベースのレプリケーションを設定および管理できます。

LDAPベースのレプリケーションをマルチマスター・ディレクトリ・レプリケーション・グループに使用できます。

A.1.7 Javaコンテナについて

Oracle Directory Services ManagerOracle Directory Integration Platformは、WebLogicサーバーで実行されるJavaコンポーネントです。

CプログラムのOracle Internet Directory LDAPサーバーおよびレプリケーション・サーバーはシステム・コンポーネントで、この変更による影響を受けません。Javaサーバー・プラグインはoidldapdサーバー自体の内部にあるJVMで実行されます。これは、Java Native Interface(JNI)を使用して実装されます。

関連項目: