1 サーバー管理の概要

Oracle Stream Analyticsサーバー管理タスクには、ドメインの作成およびドメイン、サーバーおよびアプリケーションの管理が含まれます。このガイドでは、これらのタスクを実行するためにコマンドラインから実行するサーバー管理ツールについて説明します。

Oracle Stream Analytics Visualizerも使用できます。Visualizerは、Oracle Stream Analyticsサーバーおよびドメインの管理、Oracle Stream Analyticsのアプリケーションおよびセキュリティの側面の表示、開発、構成および監視が可能なブラウザ・ベースのツールです。

この章の内容は次のとおりです。

このガイドで説明するOracle Stream Analytics APIの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Stream Analyticsビジュアライザの使用』も参照してください。

1.1 サーバー提供サービス

Oracle Stream Analyticsサーバーは、Oracle Stream Analyticsアプリケーションをデプロイする論理的に関連付けられたリソースとサービスで構成されます。

サービスは次のとおりです。

  • ネットワークI/O: サーバー/クライアントのインターネット・プロトコル(IP)ポート・アクセス、IPv4/IPv6のサポート、および各種ブロック/非ブロック・ネットワークI/Oプロバイダ。

  • セキュリティ: SSL、パスワード・ストアおよび認証と認可プロバイダなどのセキュリティ・サービス。

  • Jetty HTTPパブリッシュ/サブスクライブ・サーバー: Webクライアントがチャネルにサブスクライブし、HTTPを介してこれらのチャネルに非同期メッセージをパブリッシュすることを有効化します。

  • Java Management Extensions (JMX): プログラムからOracle Stream Analyticsサーバーおよびアプリケーション動作のアクセス。

  • JDBCデータソース: イベントの記録および再生に必要なイベントを格納するためのリレーショナル・データベースへのアクセス、およびOracle CQL問合せのイベント・ソースとしての表へのアクセスを有効化します。

  • HTTPパブリッシュ/サブスクライブ・サーバー: Oracle Stream Analytics Visualizerおよび独自のWeb 2.0アプリケーションなどのサブスクライブされたクライアントへのイベント・メッセージの転送します。

  • ロギング: サーバーおよびアプリケーション操作の監視およびトラブルシューティング。

1.2 サーバー・ドメイン

Oracle Stream Analyticsドメインは、1つ以上のサーバーのセットの管理ユニットです。

次の2種類のドメインがあります。

  • スタンドアロンサーバー・ドメイン: 単一のサーバーを含むドメインです。これは構成ウィザードによって作成されるデフォルト・タイプのドメインであり、マルチサーバー・ドメインの開始点です。「スタンドアロンサーバー・ドメイン」を参照してください。

  • マルチサーバー・ドメイン: 同じユニキャスト・アドレス、ユニキャスト・ポート、マルチキャスト・アドレス、マルチキャスト・ポート、ドメインおよびセキュリティ・プロバイダを共有する複数のサーバーを含むドメインです。マルチキャスト・アドレス、マルチキャスト・ポートおよびドメインは、ドメイン内のサーバーごとにconfig.xmlファイルで構成されます。マルチサーバー・ドメイン内にサーバー・グループを作成でき、指定したサーバー・グループ内の各サーバーにアプリケーションをデプロイできます。マルチサーバー・ドメイン内のサーバーは、同一コンピュータ上または別々のコンピュータ上に置くことができます。

1.3 サーバー・ライフ・サイクル

Oracle Stream Analyticsサーバーのライフ・サイクルにおける状態は、それ自体に固有です。これらはOSGiバンドルの状態ではありません。

図1-1は、Oracle Stream Analyticsサーバー・ライフ・サイクルの状態図を示しています。この図では、状態名(STARTINGRUNNINGおよびSHUTTING_DOWN)は、ServerRuntimeMBean.getStateメソッドの戻り値に対応します。このような状態はOracle Stream Analytics専用です。

図1-1 サーバー・ライフ・サイクル状態図

図1-1の説明が続きます
「図1-1 サーバー・ライフ・サイクル状態図」の説明

1.3.1 サーバー起動アクション

Oracle Stream Analyticsサーバーを起動した後、次のアクションを行います。

  1. コア・エンジン・バンドルを起動します。
  2. Oracle Stream Analyticsバンドルおよび拡張機能ライブラリを起動します。
  3. MBeanを登録します。
  4. このときOracle Stream Analyticsサーバーの状態はSTARTINGです。
  5. アプリケーション・ライブラリを起動してから、アプリケーション・バンドルを起動します。
  6. このときOracle Stream Analyticsサーバーの状態はRUNNINGです。

1.3.2 サーバー停止アクション

Oracle Stream Analyticsサーバーを停止した後、次のアクションを行います。

  1. Oracle Stream Analyticsサーバーの状態はSHUTTING_DOWNです。
  2. ServerRuntimeMBeanを登録解除します。

    Oracle Stream Analyticsサーバーには状態が割り当てられません。

  3. Oracle Stream Analyticsバンドルをシャットダウンします。
  4. アプリケーション・バンドルを停止します。
  5. コア・エンジン・バンドルを停止します。

1.4 サーバー構成

サーバーを構成し、そのサーバーにデプロイされたアプリケーションを構成し、タスクを静的または動的に実行できます。静的な構成にはXMLファイルの編集が含まれます。動的な構成には、管理bean (MBeans)の操作が含まれます。

Oracle Stream Analytics Visualizer、wlevs.Adminコマンドライン・ツール、またはJMX APIを使用してプログラム的に実行することができます。

静的な構成

Jettyの構成などのサーバー構成タスクは静的でのみ実行できます。

サーバーを静的に構成するには、次の手順を実行します。

  1. Oracle Stream Analyticsサーバーを停止します。

  2. Oracle Stream Analyticsサーバーのドメイン・ディレクトリにあるconfig.xmlファイルを編集します

  3. Oracle Stream Analyticsサーバーを起動します。

動的な構成

一部のサーバー構成タスクは、JMXおよびMBeanを使用して動的に実行できます。この場合、変更を有効にするにはサーバーを手動で停止および起動する必要はありません。

アプリケーションをデプロイした後、Oracle Stream Analyticsサーバーがアプリケーションまたはコンポーネントに対して自動的に作成するMBeanを操作して、アプリケーションまたは個々のコンポーネントの構成を動的に変更することができます。一般的なタスクとして、Oracle Stream Analytics Visualizer、wlevs.Adminコマンドライン・ユーティリティまたはJMXを使用し、デプロイされたアプリケーションのプロセッサに対してOracle CQLルールを動的に構成します。

関連情報

1.4.1 サーバー構成ファイル

すべてのサーバー・ファイルは、単一のサーバー・ディレクトリに含まれます。メイン・サーバーの構成ファイルはconfig.xmlです。このファイルでサーバー・サービスを構成し、サーバーが属するドメインを指定します。

デフォルトでは、サーバー・ドメインは構成ウィザードによって/Oracle/Middleware/my_oep/user_projects/domainsディレクトリに作成されます。次のリストで、各ドメインの重要なサーバー・ファイルおよびディレクトリについて説明します。

  • deployments.xml: このドメインのOracle Stream Analyticsインスタンスに現在デプロイされている、OSGiバンドルとしてパッケージ化されたアプリケーションのリストを含むXMLファイルです。アプリケーションをデプロイするとき、このファイルは手動で更新しません。かわりに、デプロイヤ・ツールを使用します。

  • startwlevs.cmd: Oracle Stream Analyticsサーバーのインスタンスを起動するコマンド・ファイル。UNIXではstartwlevs.shが同等です。

  • stopwlevs.cmd: Oracle Stream Analyticsサーバーのインスタンスを停止するコマンド・ファイル。UNIXではstopwlevs.shが同等です。

  • config/config.xml: Oracle Stream Analyticsサーバー・インスタンスに対する構成サービスを記述したXMLファイルです。サービスにはロギング、デバッグ、Jetty WebサービスおよびJDBCデータ・ソースがあります。

  • config/security*: ドメインのセキュリティを構成するファイルです。

  • config/atnstore.txt: ドメインに構成されているユーザーおよびユーザー・グループを記載したファイルです。

1.4.2 config.xmlファイルの編集

Oracle Stream Analyticsサーバーを構成する最も効率的でエラーの発生が少ない方法は、「サーバー管理ツール」で説明されているように、1つ以上のOracle Stream Analytics管理ツールを使用する方法です。Oracle Stream Analyticsサーバーのconfig.xmlファイルを編集して、Oracle Stream Analyticsサーバーの構成を実行することもできます。

注意:

config.xmlファイルを手動で更新し、Oracle Stream Analyticsサーバーの構成を変更した場合、変更を有効にするにはサーバーを再起動する必要があります。

config.xmlファイルを使用して、次のサーバー・オブジェクトおよび機能を構成できます。参照先の項では、追加または更新する必要がある要素を正確に記述しています。

次の例に、これらのサービスのいくつかの構成を含むconfig.xmlの例を示します。

<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<!--Sample XML file generated by XMLSpy v2007 sp2 (http://www.altova.com)-->
<n1:config
  xsi:schemaLocation="http://www.bea.com/ns/wlevs/config/server wlevs_server_config.xsd"
  xmlns:n1="http://www.bea.com/ns/wlevs/config/server"
  xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance">
   <netio>
     <name>NetIO</name>
     <port>9002</port>
   </netio>
   <netio>
     <name>sslNetIo</name>
     <ssl-config-bean-name>sslConfig</ssl-config-bean-name>
     <port>9003</port>
   </netio>
   <work-manager>
     <name>JettyWorkManager</name>
     <min-threads-constraint>5</min-threads-constraint>
     <max-threads-constraint>10</max-threads-constraint>
   </work-manager>
   <jetty>
     <name>JettyServer</name>
     <network-io-name>NetIO</network-io-name>
     <work-manager-name>JettyWorkManager</work-manager-name>
     <secure-network-io-name>sslNetIo</secure-network-io-name>
   </jetty>
   <rmi>
     <name>RMI</name>
     <http-service-name>JettyServer</http-service-name>
   </rmi>
   <jndi-context>
     <name>JNDI</name>
   </jndi-context>
   <exported-jndi-context>
     <name>exportedJndi</name>
     <rmi-service-name>RMI</rmi-service-name>
   </exported-jndi-context>
   <jmx>
     <rmi-service-name>RMI</rmi-service-name>
     <jndi-service-name>JNDI</jndi-service-name>
   </jmx>
   <ssl>
     <name>sslConfig</name>
     <key-store>./ssl/evsidentity.jks</key-store>
     <key-store-pass>
        <password>{Salted-3DES}j4XEtuXmmvEl4M/NInwq0A==</password>
     </key-store-pass>
     <key-store-alias>evsidentity</key-store-alias>
     <key-manager-algorithm>SunX509</key-manager-algorithm>
     <ssl-protocol>TLS</ssl-protocol>
     <enforce-fips>false</enforce-fips>
     <need-client-auth>false</need-client-auth>
   </ssl>
   <http-pubsub>
     <name>pubsub</name>
     <path>/pubsub</path>
     <pub-sub-bean>
        <server-config>
          <name>/pubsub</name>
          <supported-transport>
             <types>
                <element>long-polling</element>
             </types>
          </supported-transport>
          <publish-without-connect-allowed>true</publish-without-connect-allowed>
        </server-config>
        <channels>
           <element>
              <channel-pattern>/evsmonitor</channel-pattern>
           </element>
           <element>
              <channel-pattern>/evsalert</channel-pattern>
           </element>
           <element>
              <channel-pattern>/evsdomainchange</channel-pattern>
          </element>
        </channels>
     </pub-sub-bean>
   </http-pubsub>
   <cluster>
     <server-name>productionServer</server-name>
   </cluster>
   <domain>
     <name>oep_domain</name>
   </domain>

1.4.3 構成履歴の管理

サーバーにアプリケーションをデプロイするとき、サーバーによってアプリケーションの構成履歴が作成されます。アプリケーションで行うすべての構成変更はこの履歴に記録されます。Oracle Stream Analytics Visualizerまたはwlevs.Adminツールでこれらの変更の表示およびロールバック(undo)ができます。

1.4.4 サーバーのbootclasspathの構成

-Xbootclasspathコマンドを使用して、ブートストラップ・クラスおよびリソースの検索パスを設定します。たとえば、このコマンドを使用して、サーバー構成ファイル(config.xml)による設定を超えたサーバー依存関係を満たすことができます。また、このコマンドを使用して、アプリケーション・インポート文により設定されライブラリおよびライブラリ拡張ディレクトリで検出されるものを超えたアプリケーションとアプリケーション・ライブラリの依存関係も満たすことができます。

bootclasspathを構成するには、次の手順を実行します。

  1. bootclasspathを構成するドメインのサーバー・ディレクトリに、ディレクトリを変更します。

    その場所を次に示します。

    /Oracle/Middleware/my_oep/user_projects/domains/<domainname>/ <server_name>

  2. サーバー・ディレクトリで、起動スクリプト(エディタのオペレーティング・システムに応じてstartwlevs.shまたはstartwlevs.cmd)を開きます。
  3. 次の行を探します。
    "$JAVA_HOME/bin/java" $JVM_ARGS $JVM_D64 $DEBUG_ARGS -Dwlevs.home="$USER_INSTALL_DIR" -jar "${USER_INSTALL_DIR}/bin/wlevs.jar" $ARGS
    /wlevs.jar
    
  4. 使用するネイティブ・ライブラリのフル・パス名を-Xbootclasspath/aオプションに設定します。

    たとえば、Oracle Stream Analyticsサーバー・ディレクトリ%USER_INSTALL_DIR%\binにあるネイティブ・ライブラリmynativelibを使用する場合、次のように起動スクリプトでjavaコマンドを更新します。

    この例は、読みやすくするために分割しています。コマンド全体を1行にする必要があります。

    %JAVA_HOME%\bin\java -Dwlevs.home=%USER_INSTALL_DIR% -Dbea.home=%BEA_HOME%  
    -Xbootclasspath/a:\Oracle\Middlware\my_oep\oep\bin\mynativelib.jar 
    -jar "%USER_INSTALL_DIR%\bin\wlevs.jar" 
    -disablesecurity %1 %2 %3 %4 %5 %6 
    
  5. Oracle Stream Analyticsが実行中の場合は、新規のjavaオプションとデータ・ソース情報を読み込むために再起動します。「サーバーの起動と停止」を参照してください。

1.5 サーバー管理ツール

この項では、Oracle Stream Analyticsサーバー、ドメインおよびアプリケーションを管理するために使用可能なサーバー管理ツールについて説明します。

  • 構成ウィザード。Oracle Stream Analyticsサーバーとドメインを作成および更新するためにグラフィカルに呼び出すことができるJavaアプリケーションです。12.1.3リリースでは、構成ウィザードによってOracle Database構成のみを生成できます。「スタンドアロンサーバー・ドメイン」を参照してください。

  • wlevs.Adminコマンドライン・ユーティリティ。多様なOracle Stream Analyticsサーバー、ドメインおよびアプリケーション管理タスクを実行するためにローカルまたはリモートで呼び出すことができるJavaアプリケーションです。「wlevs.Adminコマンドライン・リファレンスについて」を参照してください。

  • デプロイヤ・コマンドライン・ユーティリティ。アプリケーションのデプロイメントとアプリケーション管理タスクを実行するためにローカルまたはリモートで呼出し可能なJavaアプリケーションです。「デプロイヤ・コマンドライン・リファレンス」を参照してください。

  • セキュリティ管理ユーティリティ。「セキュリティ・ユーティリティ・コマンドライン・リファレンス」を参照してください。

  • JMX。標準ベースのインタフェースのセットであり、JMXおよび管理bean (MBean)を使用したサーバー、ドメインおよびアプリケーション管理タスクの実行を可能にします。「JMX」を参照してください。

1.6 サーバー管理タスク

サーバー管理タスクには、サーバーとドメインの作成および更新、サーバーの構成、起動および停止、アプリケーションのデプロイおよび管理が含まれます。

サーバーとドメインの作成

Oracle Stream Analyticsプラットフォームの設定における主な管理タスクは、サーバー・ドメインの作成および構成です。Oracle Stream Analyticsは、スタンドアロンサーバー・ドメインおよびマルチサーバー・ドメインをサポートします。

詳細は、次を参照してください。

サーバーとドメインの更新

Oracle Stream Analyticsサーバーとドメインを作成したら、それを更新して、構成またはサーバー・グループ・メンバーシップを変更することができます。次を参照してください。

サーバーの構成

Oracle Stream Analyticsサーバーとドメインを作成したら、提供される様々なサービスを構成する必要があります。次を参照してください。

サーバーの起動と停止

少なくとも1つのサーバーとともにOracle Stream Analyticsドメインを作成した後、アプリケーションをデプロイして実行を開始できるようにサーバー・インスタンスを起動します。アップグレード時と構成変更の後、Oracle Stream Analyticsサーバーを停止および起動する必要があります。次を参照してください。

注意:

Windowsオペレーティング・システムの場合、起動したコマンド・プロンプトの「閉じる」ボタンをクリックしてOracle Stream Analyticsサーバーを停止しないでください。stopwlevs.cmdスクリプトまたはCtrl-Cを使用すると、Oracle Stream Analyticsサーバーはいつでも停止します。

サーバーへのアプリケーションのデプロイ

Oracle Stream Analyticsサーバーおよびドメインの作成と構成が完了したら、Oracle Stream Analyticsアプリケーションをデプロイできます。次を参照してください。

アプリケーション、サーバーおよびドメインの管理

Oracle Stream Analyticsサーバーとドメイン上にアプリケーションをデプロイしたら、パフォーマンス監視やアップグレードなどのタスクを実行するためにアプリケーションを管理する必要があります。次を参照してください。