2 コンテンツ管理の概念について

一般管理者として、コンテンツ管理(CM)サイトを使用してサイトを構成および管理します。CMサイト、およびCMサイトとオンライン・サイトの関係を理解することから開始します。

次の各トピックでは、コンテンツ管理の概念に関する概要情報を提供します。

Oracle WebCenter Sitesの概念の概要

ビジネス・ユーザーを構成して、コンテンツ・エントリ・フォームやその他のオーサリング・ツールにリンクし、オンライン・サイトのサービスをブラウザに表示するためのパブリッシュ・システムと配信システムをユーザーに提供することについて学習します。これは、それ自体がサイトまたはサイトの集合であるWebサイトの基盤を作成するために必要です。

サイト基盤を構成すると、ユーザーはOracle WebCenter Sitesにログインし、コンテンツを作成および管理できます。入力したコンテンツは、Oracle WebCenter Sitesデータベース内の表に保存されます。配信の準備が整うと、コンテンツがデータベース表から取得され、書式設定されて、Webサイトとしてブラウザに表示されます。

Oracle WebCenter Sitesは、バックエンドとして機能できる最小単位を、CMサイトとして定義します。CMサイトは、WebCenter Sitesユーザーが、データベースに保存されるコンテンツを作成し、パブリッシュ配信システムを起動する場所です。WebCenter Sitesでは、オンライン・サイトのバックエンドに構成できるCMサイトの数またはサイトを構成する方法の数に制限はありません。

WebCenter Sites管理者は、CMサイトの構成とレプリケート、および日々の使用の管理など、業務全体でCMサイトを使用します。これらは業務における重要な部分であるため、CMサイトの定義方法、これらの構成方法、およびWebサイトとどのように関連するのかを理解する必要があります。

Webサイト

Oracle WebCenter Sitesによって強化されたオンライン・サイトは、サイト訪問者が対話するページ・セットです。オンライン・サイトは、パスワードで保護したり、誰もがアクセス可能にすることができます。プライベート・ドメイン内で厳密に運用し、企業ネットワークや部門内ネットワークなどのように排他的なサイトにすることもできます。

オンライン・サイトはCMサイトによってモデル化できます。その性質に関係なく、オンライン・サイトは、選択するモデルに応じて、単一のCMサイトまたは多数のCMサイトに由来します。すべての製品ガイドで使用されているオンライン・サイトという用語は、総称的にWebサイトを指します。

コンテンツ管理サイト

CMサイトは、Oracle WebCenter Sites内のコンテンツ管理単位です。これは、オンライン・サイトのコンテンツのソースで、オンライン・サイト全体を表すことも、そのセクションのいずれかを表すこともできます。

ノート:

今後、サイトという用語が修飾語句なしで使用される場合、これはCMサイトを意味します。

サイトは、まずオンライン・サイトの作成者および管理者を定義し、次に両者に権限と必要なコンテンツ管理ツール(コンテンツ・エントリ・フォーム、コンテンツ・レンダリング・テンプレート、ワークフロー・プロセス、スタート・メニュー・アイテム、パブリッシュ方法および配信システム)を提供するために構成する必要があるオブジェクトです。サイトの構成プロセスには、サイト・コンポーネントの作成のみでなく、コンポーネント同士のアソシエーションも含まれます。アソシエーションを作成することによって、次の図に示すようなサイトが定義されます。

図2-1 ユーザー・ロールとACL

図2-1の説明が続きます
「図2-1 ユーザー・ロールとACL」の説明

サイトは名前(これも管理者によって構成されます)で識別され、WebCenter Sitesのデータベースに格納され、権限のあるユーザーのインタフェースにリストされます。適切なロールを持つユーザーは、サイトにアクセスできます。サイト内で、ロールはOracle WebCenter Sitesインタフェースの特定の機能(スタート・メニュー・アイテムなど)に対するユーザーのアクセスを管理します。ACLはコンテンツ(データベース表)に対するユーザーの権限を管理します。(ロールによってアクセス可能となった)インタフェース機能を介して、ユーザーは(ACLで定義された)権限を作動させることができ、特定のタイプのコンテンツを作成および管理するためのデータベース表での処理が可能です。

一般に、Oracle WebCenter Sitesシステムには、それぞれが機能および構成において固有の数多くのサイトがあります。ユーザーは、WebCenter Sitesにログインする際に、作業するサイトを選択することも必要です。サイトは他のサイトから独立していることもあれば、共通のユーザー・セットがある場合には他のサイトとアセットを共有することもあります。

ノート:

このリリースで、WebCenter Sitesは、サイト作成プロセスを高速化する、サイト・ランチャと呼ばれるサイト・レプリケーション・ユーティリティを提供します。サイトを最初から作成するのではなく、必要に応じて構築済のサイトをレプリケートし、そのレプリケートを修正して、WebCenter Sites環境内で新しいサイトとしてスピンオフさせることができます。

サイトのコンポーネントがサイト固有なのではなく、これらのコンポーネントのアソシエーションがサイト固有であることを理解することが重要です。

サイト・コンポーネントは、システム規模のプールに存在するか、作成する必要のある構成です。このプールから、サイトを作成するために相互にやり取りする必要のあるコンポーネントを選択し、これらのコンポーネントを互いに関連付け、サイト名を割り当てます。コンポーネントはシステム全体であるため、再利用が可能です。つまり、あるサイトの形成に使用されるコンポーネントを別のサイトの形成に使用できます。

コンテンツ・プロバイダには、サイト・コンポーネントはサイト固有に見えることに注意してください。ただし、サイト上でコンテンツ・プロバイダが作成するアセットは、確かにそのサイトに固有です。アセットは他のサイトにコピーしたり、他のサイトと共有できます。

サイト・コンポーネントの共有およびコピーのオプションは、オンライン・サイトのモデリングおよびレプリケーションにおいて重要な役割を果します。これについては、コンテンツ管理モデルで説明します。

構成コンポーネント

CMサイトは、Oracle WebCenter Sites内のコンテンツ管理単位です。これは、オンライン・サイトのコンテンツのソースで、オンライン・サイト全体を表すことも、そのセクションのいずれかを表すこともできます。

次の表にサイト・コンポーネントをリストします。そのほとんどが必須です。オプションのコンポーネントは、ビジネス・ニーズやユーザーの好みによって異なります。開発者がコードベースのコンポーネントを担当し、管理者がその他すべてのコンポーネントを担当します。

サイト・コンポーネントは一般に複雑な構造で、特にデータ・モデルは複雑です。これについては、後続の項で説明します。データ・モデリングの詳細は、『Oracle WebCenter Sitesでの開発』データ・モデルの構築に関する項を参照してください。

表2-1 サイト・コンポーネント

コンポーネント 必須 作成者

CMサイト定義

はい WebCenter Sites管理者
データ・モデル はい 開発者

ユーザー

はい WebCenter Sites
ロール はい WebCenter Sites管理者
スタート・メニュー・アイテム はい WebCenter Sites
ワークフロー・プロセス いいえ WebCenter Sites管理者
パブリッシュ・システム はい WebCenter Sites
ユーザー・インタフェース・オプション いいえ WebCenter Sites

これらのサイト・コンポーネントの詳細は、次の各項を参照してください。

コンテンツ管理サイト定義

CMサイト定義は、CMサイトのコンポーネントです。これは、サイト名とオプションの説明で構成され、どちらも管理者によって指定されます。サイト名は、オンライン・サイト、ビジネス・トピック、部門の業務またはその他のタイプのコンテンツを表すことができます。いずれの場合でも、サイト名によって、サイト内のユーザーが開発および保守を担当するビジネス・テーマが設定されます。

サイト名を指定すると、WebCenter Sitesは、Adminインタフェース内のサイトを表すノードを作成します。さらに、サイトにコンポーネントをリンクするため、デフォルト・サブ・ノードを追加します。アセット・タイプ・サブ・ノードはサイトへのデータ・モデルのリンク用、ユーザー・サブ・ノードはサイトへのユーザーのリンク用です。

コンテンツ・プロバイダにとって、サイトは表示制御メカニズムです。サイトによって、権限のあるユーザーは、WebCenter Sitesインストール内の特定のコンテンツにアクセスできます。サイトが適切に構成されている場合、その名前はコンテンツ・プロバイダのインタフェースに表示され、コンテンツ・プロバイダはそのサイトを選択し、ロールおよび権限に従ってサイト内を移動できます。

データ・モデル

データ・モデルはサイトのコンポーネントです。これは、アセット・タイプ(データベース表)と、コンテンツ・プロバイダが使用するため開発者によりコード化されたアセット・タイプ定義のセットで構成されます。開発者がコンテンツ・プロバイダに可能なかぎり幅広いコンテンツ管理オプションを備えられるように、WebCenter Sitesでは3種類のアセット・タイプをサポートしています。

  • コンテンツ・アセット・タイプ: コンテンツ用にデザインごとに構造化されたリポジトリで、サイト定義で設定されたビジネス・テーマを反映しています。たとえば、「社会的な出来事」というサイトを定義した場合、適したコンテンツ・アセット・タイプは、サイト名が意味するテーマにふさわしいものであるため、「厳選された歴史上の瞬間」、「20世紀最大の出来事」などになります。

    開発者は、アセット・タイプからアセット・タイプ定義をコード化します。これらはコンテンツ・エントリ・フォームとしてWebCenter Sitesインタフェースで表示され、そのフィールドで、オンライン・サイトに配信する情報(または、必要に応じて内部で使用するために保存する情報)を入力するようにユーザーに要求します。フィールドのセットはアセット・タイプを定義し、ユーザーのフィールド・エントリはアセット(アセット・タイプのインスタンス)を定義します。

  • デザイン・アセット・タイプ: テンプレート・アセットをコード化するために開発者によって使用され、コンテンツ・アセットをレンダリングします。(プレゼンテーション・コードをコンテンツと区別するため、テンプレート・アセットはコンテンツ・アセットと区別します。)

  • 管理アセット・タイプ: コンテンツ・プロバイダがそのコンテンツを管理するために役立つ簡単な検索やデータベース問合せなどのツールを作成するため、開発者によって使用されます。

通常、開発者は作成したアセット・タイプをテストしてから管理者に渡し、管理者が(アセット・タイプ・ノードから)これらをサイト定義にリンクして、サイト構成プロセスの別のステップを実行できるようにします。

ノート:

Oracle WebCenter Sitesは多くのデフォルト・アセット・タイプを提供し、開発者が独自のアセット・タイプを作成できるようにします。アセット・タイプ、その定義およびアセット自体は、WebCenter Sitesデータベースに表または表エントリとして格納され、このガイドでは大まかにコンテンツと呼ばれます。

『Oracle WebCenter Sitesでの開発』データ・モデルの構築に関する項を参照してください。管理者はこのガイドを読んで、アセット・タイプの基本を理解することをお薦めします。

ユーザーとその表レベルの権限

ユーザーはサイト・コンポーネントです。このガイドでは、しばしばコンテンツ・プロバイダと呼ばれ、開発者のデータ・モデルを使用してコンテンツを作成および管理します。

コンテンツ・プロバイダは対象分野の専門家です。次のような場合があります。

  • オンライン・コンテンツの作成者。コピーライターやデザイナがこのグループに入ります。

  • レビューア。他のユーザーが送信してきたコンテンツを確認して編集し、その品質を保証します。コンテンツ・レビューアには、送られてきたコピーやデザインをレビューおよび修正するアート・ディレクタやエディタなどが含まれます。

  • コンテンツ・パブリッシャ。コンテンツがオンライン・サイトに配信される準備が整っていることを確認し、コンテンツの配信を承認します。チーフ・エディタがコンテンツ・パブリッシャとなる場合もあります。これらのユーザーは、Contributorインタフェースからアセットを、オンデマンドでパブリッシュする権限を持っていることがあります。

  • コンテンツ・マネージャ。作成、レビューおよびパブリッシュ・プロセスを監督します。

各コンテンツ・プロバイダは、ユーザー・アカウントによりWebCenter Sitesに識別される必要があります。ユーザー・アカウントは、ユーザー名、パスワードおよびOracle WebCenter Sitesのセキュリティ・システムの基盤であるアクセス制御リスト(ACL)で構成されます。

ACLはデータベース表に対する権限のセットです。同じACLが表とユーザーの両方に割り当てられると、権限(読取り、書込みなど)が付与されます。ACLが表とユーザーで共通ではない場合、表に対する権限はユーザーに付与されません。

たとえば、SystemUsersというシステム表には、ユーザー・アカウント情報が含まれています。表には、SiteGod、UserReaderおよびUserEditorの3つのACLが割り当てられています。ユーザーにACL (この例ではUserReader)が割り当てられていると、ユーザーは表を読み取ることができます。同じユーザーに2つ目のACL、UserEditorが割り当てられていると、そのユーザーは表を編集することもできます。ユーザーにどのACLも割り当てられていない場合、そのユーザーに表に対する権限は付与されません。

ACLはユーザーに表を操作する権限を与えますが、ユーザーに表を操作する手段を与えるわけではないことに注意してください。たとえば、前のシナリオで、ユーザーの表の読取りおよび編集の権限は、Oracle WebCenter Sitesインタフェースの表示および編集の機能を使用する権限に変換されます。ただし、同じロールがユーザーと機能の両方に割り当てられていなければ、その機能はユーザーに表示されません。

一般に、WebCenter Sitesは次の2つのレベルでACLを使用します。

  • システム・セキュリティ・レベル: 認証機能を提供し、ハッカーがWebCenter Sites環境に入れないようにします。

  • インタフェース・レベル: データベース表に対するユーザー権限を制御し、権限を作動させるインタフェース機能を(表示ではなく)使用できるかどうかを制御します。

WebCenter Sitesは多くのデフォルトのシステムACLを用意しており、これらを事前にシステム表に割り当てます。必要に応じて、ACLを再利用することも、独自に構成してカスタム表に割り当てることもできます。ACLの詳細は、ACLおよびロールの使用システム・デフォルトを参照してください。

ユーザーおよびロール

ACLがユーザーにデータベース表での操作権限を与える一方で、ロールはユーザーにデータベース表での操作手段を提供します。ロールは、ユーザーがサイトへのアクセス権を持つかどうか、および「編集」、「削除」、「ワークフローの開始」などのインタフェース機能をユーザーのインタフェースに表示するかどうかを決定します。これらの機能が表示されない場合、(ACLで指定された)データベース表に対するユーザーの権限を作動させることはできず、ユーザーは表での操作ができないままです。ロールは、作成者や編集者などのユーザー・グループも定義します。これらは、サイト、サイトのコンテンツ、付随アイテム(コンテンツを作成および検索するためのスタート・メニューなど)およびワークフロー・プロセスに対するグループの権限(したがってユーザーの権限)を記述するために使用されます。

ロールはACLと同様に実装されます。つまり、ユーザーのインタフェースに機能が表示されるようにするには、機能とユーザーに同じロールを割り当てる必要があります。説明のため、前のシナリオをもう一度使用します。ここでユーザーは、UserReaderおよびUserEditorのACLにより、SystemUser表への編集権限を与えられています。これらの権限を実行するには、ユーザーはOracle WebCenter Sitesインタフェースの「編集」機能へのアクセス権が必要です。「編集」は、「一般的な管理」ツリーの、「管理」ノードの下にあります。ただし、「Admin」ノードを表示するには、ユーザーにそのタブと同じロールが割り当てられている必要があります。デフォルトでは、このタブにはGeneralAdminロールが割り当てられています。同じロールをユーザーにも割り当てる必要があります。

図2-3 ユーザー・ロール

図2-3の説明が続きます
「図2-3 ユーザー・ロール」の説明

要約すると、ユーザーは、表のACLと「Admin」ノードのロールの両方が割り当てられている場合にのみ、データベース表へのフル・アクセス権を取得します。実際には、このシナリオのように、ロールとACLが互換的に割り当てられる必要があります。ロールの割当ては、ACL割当てにより付与される権限をサポートする必要があります。

図2-4 ユーザー・ロールとACL

図2-4の説明が続きます
「図2-4 ユーザー・ロールとACL」の説明

サイト・ユーザーへのインタフェース機能の表示のほかに、ロールは、サイトでの役割に応じてユーザーをグループ化する方法を提供します。類似した役割を持つユーザーには、同じロールを割り当てることができます。たとえば、管理ユーザーは、「管理」ノードへのアクセス権を持っている必要があります。すべての管理者にGeneralAdminロールを割り当てて、「管理」ノードへのアクセス権を付与することができます。

WebCenter Sitesはいくつかのデフォルトのシステム・ロールを定義し、これらはすべて、Oracle WebCenter Sitesインタフェース内の様々な機能に事前に割り当てられます。WebCenter Sitesでは、独自のロールを構成し、割り当てることもできます。ロール名を選択する際は、サイトにおけるユーザーの役割を考慮し、それに従ってロール名を選択します。(データベース表にマップされている) ACLと異なり、ロールはサイトおよびサイト上の機能にマップされる(つまり、ロールはユーザーごと、サイトごとに割り当てる必要がある)ことに注意してください。

ノート:

ACLとは異なり、ロールは、別のコンテンツ・プロバイダをワークフロー・プロセスに参加させるため、コンテンツ・プロバイダに公開されます。

スタート・メニュー

スタート・メニューはサイト・コンポーネントです。メニュー上のアイテムは、サイトで使用するアセット・タイプをユーザーと結び付ける方法を提供します。この結合はロールによって行われます。

WebCenter Sitesでは、ユーザーがサイトでアセットを作成できるようにする「新規」と、ユーザーがサイトでアセットを検索および編集できるようにする「検索」という2つのスタート・メニューが定義されています。

スタート・メニュー・アイテムは、次を指定します。

  • スタート・メニュー・アイテムが適用されるサイト

  • サイト上のユーザーが使用できるアセット・タイプ

  • これらのタイプのアセットの作成または検索が可能なロール

  • ロールが参加できるワークフロー・プロセス(ある場合)

つまり、スタート・メニュー・アイテムは、サイトで特定のタイプのアセットを作成および検索できるロールや、そのロールが参加できるワークフロー・プロセスを決定します。

WebCenter Sitesは自動的にスタート・メニュー・アイテムを作成しますが、管理者が独自に構成することも可能です。

ワークフロー・プロセス

ワークフロー・プロセスはオプションの構成で、ビジネス・ニーズがある場合のみ必要とされ、コンテンツ・プロバイダ間のコラボレーションを規制するために使用されます。

ワークフロー・プロセスは、権限のあるユーザーが専門知識を補完し合うようにして、コンテンツ・アセットの作成から始まる一連の処理を実行し、アセットのレビューを推進して、最終的にアセットの承認に至らせます。承認されると、アセットはユーザーにより配信システムにパブリッシュされ、コンテンツとしてオンライン・サイトに配信されます。

ワークフローが構成されると、これらを、新しく作成されたアセットが保存されたときに自動的に開始されるプロセスとして、スタート・メニュー・アイテムに指定できます。ワークフロー・プロセスは、スタート・メニュー・アイテムから外し、必要に応じてユーザーにより起動されるようにすることもできます。ワークフロー・プロセスの詳細は、ワークフロー・プロセスの作成と管理を参照してください。

パブリッシュ・システム

パブリッシュ・システムはサイト・コンポーネントです。パブリッシュ・システムは、ユーザーに、サイトおよびそのコンテンツをシステムから別のシステムに移行する手段を提供します。構成できるパブリッシュ方法には、リアルタイム、サーバーへのミラーリング、ディスクへのエクスポート、およびXMLへのエクスポートがあります。サイトの構造(つまり、データベース・スキーマ)は、サーバーへのミラーリングまたはリアルタイムのいずれかのパブリッシュ方法で移行されます。コンテンツ自体は、管理者の裁量でパブリッシュできます。

ユーザー・インタフェース・オプション

WebCenter Sitesは、ユーザーがコンテンツを操作できるオプションのインタフェースをサポートしています。

このオプションのインタフェースはOracle WebCenter Sites: ContributorインタフェースのWebモードで、レンダリングされたページでのコンテンツの直接編集をサポートします。Webモードが有効の場合、ユーザーは、パブリッシュ後にWebサイト上でコンテンツがどのように表示されるかを参照しながら、コンテンツを迅速に編集できます。

コンテンツ管理モデル

管理者として、Oracle WebCenter Sitesインタフェースでオンライン・サイトをモデル化する方法(単一のサイトとしてモデル化するか、サイトのセットとしてモデル化するか)を決定する必要があります。単独かコラボレータとともにかを問わず、この決定を下す場合には、オンライン・サイトのサイズ、およびそのコンテンツの性質を考慮してください。

次の各トピックではコンテンツ管理モデルについて説明します。コンテンツ管理モデルは次から選択できます。

1:1モデル

1:1モデルは、オンライン・サイトを直接単一のCMサイトにマップします。CMサイトはオンライン・サイトの唯一のソースです。

1:1モデルは、コンテンツが限定的かつ均一で数人のユーザーによって管理される小さなオンライン・サイトで効果的に機能します。ただし、エンタープライズレベルのサイトの場合は、ページがしばしば数百万に達し、対象分野、コンテンツ、プレゼンテーションおよびスコープが大きく異なります。大きなサイトを編成するには、タスクの複雑さに対応できるモデルが必要となります。

1:nモデル

1:nモデルは、オンライン・サイトを複数のCMサイトにマップします。オンライン・サイトの各セクションは、論理セクションか物理セクションかに関係なく、そのソースとして特定のCMサイトにマップします。CMサイトは、互いに独立して機能させることも、コンポーネントおよびコンテンツを共有することにより互いに重複させることもできます。

たとえば、あるカタログ・サイトで、家庭用品に関するデータを入力するコンテンツ・コントリビュータは、園芸用品に関するデータを入力することはありません。したがって、家庭用品と園芸用品を表すには、2つの別個のサイトが使用されます。同様に、ライターが互いに独立して作業を行うパブリケーション・サイトでは、スポーツ・ライターはスポーツ・ニュース・セクションを表示するサイトを持ち、ファイナンシャル・ライターは金融関係のニュース・セクションを表示する別のサイトを持ちます。各デザインにおいて、2つのサイトが1つのオンライン・サイトに寄与します。

1:nモデルでは、各サイトが固有で、独自のコンテンツ・タイプ、テンプレート、コンテンツ・プロバイダ、ロール、ワークフロー・プロセスおよびパブリッシュ・メカニズムを持っています。各サイトは、対応するオンライン・セクションのコンテンツのソースです。

1:nモデルを使用する場合、管理者はサイトを互いに独立するように構成することも、コンポーネントやコンテンツを共有することで互いに重複するように構成することもできます。独立モデルは、特定のコンテンツを他のコンテンツから分離する必要がある場合に役立ちます。たとえば、コンテンツの機密性が高く、特定のコンテンツ・プロバイダのみが処理する必要がある場合や、コンテンツが異質であるため、別の専門家が処理する必要がある場合などがこれに当たります。

一方、サイトの重複は、関連の薄いコンテンツ・プロバイダ(異なる部署または事業部門など)間でのコラボレーションをサポートするために使用されます。

たとえば、次の使用例を考えてみます。成長しつつある登山専門のE-Businessでは、登山関連のニュースを発信し、写真アルバムを公開しています。用具一式の販売やFAQの回答も行っています。そのオンライン・サイトは、ニュース、写真、用具およびFAQの4つのセクションに明確に分割されています。しかし、多くの場合、ニュースと写真のセクションは写真のコンテンツを共有します。このシナリオでは、選択肢の1つとして、ニュース、写真、用具およびFAQの4つのサイトを、ニュースと写真がコンテンツを共有するように作成する方法があります。(別の選択肢として、ニュースと写真、用具、FAQの3つの独立したサイトを作成する方法もあります。)

x:nモデル

x:nモデルは、複数のオンライン・サイトを複数のCMサイトにマップします。3つのモデルの中では、このモデルが最も複雑ですが、エンタープライズレベルのE-Businessでは、最もメリットが大きくなります。

このモデルでは、コンテンツ・アセットは特定のサイトでローカライズされ、デザイン・アセットと管理アセットはそれらが共有されるその他すべてのサイトとは別のサイトで構成されます。このタイプのデザインでは、管理者がコンテンツをプレゼンテーションおよびビジネス・ロジックから分離できます。

ノート:

管理者やその他のユーザーがサイトおよびそのオンライン・サイトとの関係を理解できるように、Oracle WebCenter Sitesでは、avisportsおよびFirstSiteIIという名前のサンプル・サイトを用意しています。各サンプル・サイトは、そのオンライン・サイトに1:1でマップしています。サンプル・サイトがインストールされている場合、Oracle WebCenter Sitesへのログインのログイン手順に従って、このサイトにログインできます。

Oracle WebCenter Sites環境

Oracle WebCenter Sitesでは、独立したWebCenter Sitesシステムではなく、環境を提供します。開発者およびユーザーとコラボレートして、サイトを構成できます。エンタープライズレベルの環境は通常、WebCenter Sitesによって支えられている、開発、管理、配信およびテストの4種類のシステムで構成されています。これらのシステムは、独自のデータベースで実行され、特定の時点で他のシステムと対話します。

管理者は、これらのシステムすべてを必要に応じて使用します。テストは、一般的に大規模な組織が品質の向上のためにインストールするオプションのシステムです。コラボレータは、開発者です。開発者は、開発システムのみで管理者や管理者がコラボレータとして指名するユーザーともに作業します。この項では、考えられるシステムとそれぞれのシステムでの管理者の役割をまとめます。

図2-8 Oracle WebCenter Sites環境

図2-8の説明が続きます
「図2-8 Oracle WebCenter Sites環境」の説明

ノート:

WebCenter Sites環境でのシステムの名前は、このガイドで使用している名前とは異なる場合があります。一般に、管理システムはステージング、配信システムは本番、テスト・システムはQAまたはQAテストとも呼ばれます。

  • 開発システムは、オンライン・サイトのフレームワーク(CMサイトで使用されるデータ・モデルおよびデータ・プレゼンテーション・テンプレート)の計画および作成を担当します。

  • 管理システムはステージング領域であり、サイト・コンポーネント(データ・モデル以外)の構成、コンポーネント(データ・モデルを含む)のサイトへのアセンブル、ユーザーに対するサイトの有効化、およびサイトにおけるユーザーの日々のアクティビティの管理を処理します。ユーザーの担当は、オンライン・サイトへの配信に向けたコンテンツの開発と管理です。

  • 配信システムは本番領域で、オンライン・サイトのコンテンツを管理システムから受け取り、対象読者にこれを提供します。

  • テスト・システムでは、運用を開始する前に、QAが管理システムおよび配信システムとオンライン・サイト自体をテストします。テスト・システムがない場合は、開発システムがテスト・システムの役割も果たします。