2 サンプル・スキーマのインストール
Oracle Database 12cリリース2以降では、最新バージョンのサンプル・スキーマのスクリプトをGitHub (https://github.com/oracle/db-sample-schemas/releases/latest)で入手できます。
HRスキーマは、Oracle Databaseの完全インストール中に、手動でインストールすることも、dbca
オプションを使用してデータベースを作成するときに自動的にインストールすることもできます。他のすべてのサンプル・スキーマは、GitHubで入手できるスクリプトを使用して手動でインストールする必要があります。
この章のトピックは、次のとおりです:
注意:
Oracle Databaseサンプル・スキーマをインストールすると、ユーザー名HR
、OE
、PM
、SH
、IX
およびBI
を使用するインストール済のスキーマが削除されます。
この項で説明するインストール・スクリプトを実行すると、前述のスキーマのいずれかに含まれたデータが失われます。個人用や仕事用のデータやアプリケーションには、サンプル・スキーマを使用しないでください。これらのサンプル・スキーマは、デモンストレーションを目的として作成されています。
2.1 HRスキーマのみのインストール
この項では、次の項目について説明します。
2.1.1 Database Configuration Assistantを使用したHRスキーマのインストール
データベースにHR
スキーマをインストールする場合は、sample schemas
オプションを選択します。
インストール処理の最後に、作成されたアカウントとそのロック状態を示すダイアログ・ボックスが表示されます。デフォルトでは、サンプル・スキーマがロックされ、パスワードは期限切れになります。ロックされたアカウントを使用するには、アカウントのロックを解除し、パスワードをリセットする必要があります。インストール処理のこの時点で、アカウントのロックを解除できます。また、インストールの完了後に、ALTER USER ... ACCOUNT UNLOCK
文を使用してスキーマのロックを解除し、パスワードをリセットすることもできます。次に例を示します。
ALTER USER hr ACCOUNT UNLOCK IDENTIFIED BY Password
;
関連項目:
セキュアなパスワードの作成に関するガイドラインについては、『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』のパスワードを保護するためのガイドラインに関する項を参照してください。
2.1.2 HRスキーマの手動インストール
Human Resource (HR
)スキーマの作成に必要なすべてのスクリプトは、$ORACLE_HOME
/demo/schema/human_resources
にあります。
すべてのオブジェクトの作成およびデータのロードに必要なスクリプトは、hr_main.sql
のみです。次のステップでは、インストール・プロセスの概要を示します。
-
AS SYSDBA
権限を使用してSYS
およびconnect
としてSQL*Plusにログインします。sqlplus connect sys as sysdba Enter password:
password
-
hr_main.sql
スクリプトを実行するには、次のコマンドを使用します。SQL> @?/demo/schema/human_resources/hr_main.sql
-
HR
のセキュアなパスワードを入力しますspecify password for HR as parameter 1: Enter value for 1:
適切な表領域を入力します。たとえば、
HR
のデフォルトの表領域としてusers
と入力します。specify default tablespace for HR as parameter 2: Enter value for 2:
-
HR
の一時表領域としてtemp
と入力します。specify temporary tablespace for HR as parameter 3: Enter value for 3:
-
SYS
のパスワードを入力します。specify password for SYS as parameter 4: Enter value for 4:
-
ログ・ディレクトリのディレクトリ・パス(
$ORACLE_HOME
/demo/schema/log/
など)を入力しますspecify log path as parameter 5: Enter value for 5:
スクリプトhr_main.sql
が正常に実行され、スキーマHR
がインストールされた後で、ユーザーHR
として接続されます。スキーマが作成されたことを確認するには、次のコマンドを使用します。
SQL> SELECT table_name FROM user_tables;
hr_main.sql
を実行すると、次の作業が実行されます。
- インストール済の
HR
スキーマがすべて削除されます。 - ユーザー
HR
を作成して、必要な権限を付与します HR
として接続します- スキーマ・オブジェクトを作成して移入するスクリプトを実行します。
スクリプトとその機能の一覧については、「HRサンプル・スキーマのスクリプトおよびオブジェクト」を参照してください。
スキーマの拡張機能として、オプションでhr_dn_c.sql
およびhr_dn_d.sql
の2つのスクリプトが提供されています。スキーマHR
でOracle Internet Directoryのディレクトリ機能を使用できるようにするには、hr_dn_c.sql
スクリプトを実行します。スキーマHR
の初期設定に戻る場合は、スクリプトhr_dn_d.sql
を使用してスクリプトhr_dn_c.sql
の結果を元に戻します。
スクリプトhr_drop.sql
を使用して、スキーマHR
を削除できます。
関連項目:
パスワードの最小要件については、『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』を参照してください。
2.2 GitHubからのサンプル・スキーマのインストール
Oracle Database 12cリリース2以降では、$ORACLE_HOME/demo/schema/human_resources
ディレクトリにあるのは、HR
サンプル・スキーマのSQLスクリプトのみです。OE、OC、PM
およびSH
のスキーマなどの HR
以外のサンプル・スキーマを使用する場合は、GitHubリポジトリからダウンロードする必要があります。
-
最新バージョンのサンプル・スキーマのインストール・スクリプトを見つけるため、GitHub Webサイトhttps://github.com/oracle/db-sample-schemas/releases/latestに移動します
たとえば、12.2.0.1バージョンのスクリプトが必要な場合は、https://github.com/oracle/db-sample-schemas/releases/tag/v12.2.0.1に移動します
-
GitHubリポジトリをクローニングするか、GitHubからZIPバンドルをダウンロードしてファイルを抽出します。
-
ファイルを解凍します。
-
zipファイルに含まれているREADMEのスキーマを作成する手順に従います。
この項には次のトピックが含まれます:
2.2.1 サンプル・スキーマのリセット
サンプル・スキーマを初期状態にリセットするには、SQL*Plusのコマンドライン・インタフェースから次の構文を使用します。
sqlplus system/systempw@connect_string @mksample systempw syspw hrpw oepw pmpw ixpw shpw bipw users temp /your/path/to/log/ connect_string
mksample
スクリプトは、11パラメータをとります。SYSTEM
およびSYS
用のパスワードと、スキーマHR
、OE
、PM
、IX
およびSH
用のパスワードを指定します。一時表領域およびデフォルトの表領域を指定し、ログ・ファイル・ディレクトリ名の末尾にはスラッシュをつけます。
mksample
スクリプトは、複数のログ・ファイルを生成します。
-
mkverify.log
: サンプル・スキーマ作成ログ・ファイル -
hr_main.log
:HR
スキーマ作成ログ・ファイル -
oe_oc_main.log
:OE
スキーマ作成ログ・ファイル -
pm_main.log
:PM
スキーマ作成ログ・ファイル -
pm_p_lob.log
:PM.PRINT_MEDIA
用に生成されるSQL*Loaderログファイル。 -
ix_main.log
:IX
スキーマ作成ログ・ファイル -
sh_main.log
:SH
スキーマ作成ログ・ファイル -
cust.log
:SH.CUSTOMERS
用に生成されるSQL*Loaderログ・ファイル -
prod.log
:SH.PRODUCTS
用に生成されるSQL*Loaderログ・ファイル -
promo.log
:SH.PROMOTIONS
用に生成されるSQL*Loaderログ・ファイル -
sales.log
:SH.SALES
用に生成されるSQL*Loaderログ・ファイル -
sales_ext.log
:SH.COSTS
用に生成される外部表ログ・ファイル
多くの場合、サンプル・スキーマを初めてインストールすることと、インストール済のバージョンを上書きして再インストールすることは、同じ作業です。*_main.sql
スクリプトによって、スキーマ・ユーザーとそのすべてのオブジェクトが削除されます。
2.2.2 サンプル・スキーマのアンインストール
インストールしたサンプル・スキーマを削除する必要がある場合は、SQL* Plusコマンドラインでスクリプトdrop_sch.sql
を実行します。このスクリプトは、Oracle Databaseに付属しています。
このスクリプトでは、次のパラメータが使用されます。
-
systempwd
-
SYSTEM
-
connect_string
systempwd
はSYSTEM
ユーザーのパスワードで、connect_string
はデータベースの接続文字列です。
例2-1 サンプル・スキーマのアンインストール方法
sqlplus system/systempw@connect_string @drop_sch.sql