Oracle Instant Client共有ライブラリへのパッチ適用

完全なOracle Database Clientインストールに基づくOracle Instant Client共有ライブラリにパッチを適用する方法を学習します。

パッチ適用プロセスの一環として、Oracle Instant Clientのパッケージおよびライブラリを再構築する必要があります。

ノート:

Oracle Instant Clientへのパッチ適用は、Linux for Arm (aarch64)ではサポートされていません。

Oracle Instant Clientへのパッチ適用

Oracle Instant Clientにパッチを適用するには、次のステップを実行します。

  1. パッチを適用するために、Oracleホームに基づく完全なOracle Database Client管理インストールを完了します。
  2. OPatchユーティリティを使用して、完全なOracle Database Client管理インストールにパッチを適用します。
  3. データ共有ライブラリ、zipファイルおよびRPMファイルを再生成します。
  4. データ共有ライブラリ、zipファイルおよびRPMファイルをターゲット・システムにコピーし、Oracle Instant Clientディレクトリに解凍します。

OPatchユーティリティによって、ORACLE_HOMEインストールのパッチ適用情報がlibclntsh.soに格納されます。このパッチ適用情報は、genezi -vコマンドを使用して取得できます。

Oracle Instant Clientのデプロイメント・システムにgeneziユーティリティがない場合は、$ORACLE_HOME/binディレクトリからそれをコピーできます。

Oracle Instant Clientのパッケージおよびライブラリの再構築について

データ共有ライブラリ、zipファイルおよびRPMファイルを作成するために、別々のmakefileターゲットが個々にまたは一括して使用されます。

データ共有ライブラリを再生成するには、コンパイラとリンカーの両方が必要で、これらはすべてのインストールで使用可能というわけではありません。

再生成されたOracle Instant Clientバイナリには、ライブラリおよびファイルを再生成するOracle Client管理者ホームにインストールされたOracle Instant Clientファイルのみが含まれます。そのため、再生成環境で使用可能なエラー・メッセージ、文字セット・エンコーディングおよびタイムゾーン・ファイルは、データ共有ライブラリにパッケージされているもののみです。エラー・メッセージ、文字セット・エンコーディングおよびタイムゾーン・ファイルは、Oracle Client Administratorホームのインストールで選択された各国語に依存します。

ノート:

データ共有ライブラリ、zipファイルおよびRPMファイルの再生成は、Microsoft Windowsでは使用できません。

データ共有ライブラリの再生成

Oracle Instant Clientデータ共有ライブラリlibociei.soおよびlibociicus.soを再生成する方法を学習します。

完全なOracle Database Clientの管理者インストールで次のコマンドを使用すると、Oracle Call Interface (OCI) Oracle Instant Clientデータ共有ライブラリlibociei.soおよびlibociicus.soを再生成できます。
  1. ORACLE_HOMEをソフトウェア・インストール・ディレクトリに設定します。たとえば:
    $ export ORACLE_HOME=/home/user/product/19.0.0/client_1/
  2. LD_LIBRARY_PATHをライブラリ・ディレクトリに設定します。たとえば:
    $ export LD_LIBRARY_PATH=$ORACLE_HOME/lib
  3. 次のディレクトリを作成します。
    $ mkdir -p $ORACLE_HOME/rdbms/install/instantclient/light
  4. Oracleホーム・ディレクトリで、/rdbms/libディレクトリに移動します。
    $ cd $ORACLE_HOME/rdbms/lib
  5. libociei.soを再生成するには:
    $ make -f ins_rdbms.mk igenlibociei

    生成されたファイルは、$ORACLE_HOME/instantclient/libociei.soにあります。

  6. libociicus.soを再生成するには:
    $ make -f ins_rdbms.mk igenlibociicus

    生成されたファイルは、$ORACLE_HOME/instantclient/light/libociicus.soにあります。

  7. libociei.solibociicus.soの両方を再生成するには:
    $ make -f ins_rdbms.mk igenliboci

zipファイルおよびRPMファイルの再生成

様々なOracle Instant Clientパッケージ用のzipファイルおよびRPMファイルを再生成する方法を学習します。

zipファイルおよびRPMファイルを再生成する前に、rpm-buildパッケージをインストールします。

Oracle Linux 7の場合:

$ sudo yum install rpm-build

Oracle Linux 8以降の場合:

$ sudo dnf install rpm-build

表6-8 zipファイルおよびRPMファイルを再生成するコマンド

パッケージ名 コマンド

すべてのパッケージ

$ cd $ORACLE_HOME/rdbms/lib
$ make -f ins_rdbms.mk ic_all_zip

Basic

$ cd $ORACLE_HOME/rdbms/lib
$ make -f ins_rdbms.mk ic_basic_zip

Basic Light

$ cd $ORACLE_HOME/rdbms/lib
$ make -f ins_rdbms.mk ic_basiclite_zip

JDBC

$ cd $ORACLE_HOME/rdbms/lib
$ make -f ins_rdbms.mk ic_jdbc_zip

ODBC

$ cd $ORACLE_HOME/rdbms/lib
$ make -f ins_rdbms.mk ic_odbc_zip

SQL*Plus

$ cd $ORACLE_HOME/rdbms/lib
$ make -f ins_rdbms.mk ic_sqlplus_zip

ツール

$ cd $ORACLE_HOME/rdbms/lib
$ make -f ins_rdbms.mk ic_tools_zip

SDK

$ cd $ORACLE_HOME/rdbms/lib
$ make -f ins_rdbms.mk ic_sdk_zip

プリコンパイラ

$ cd $ORACLE_HOME/rdbms/lib
$ make -f ins_rdbms.mk ic_precomp_zip
新しいzipファイルおよびRPMファイルは、$ORACLE_HOME/rdbms/install/instantclientディレクトリの下に生成されます。