2 19cリリース更新の新機能

この章では、Oracle Database 19cリリース更新(RU)の新機能について説明します。

リリース更新19.4の機能

19.4リリース更新には、新機能はありません。

リリース更新19.5の機能

19.5リリース更新には、新機能はありません。

リリース更新19.6の機能

19.6リリース更新には、新機能はありません。

リリース更新19.7の機能

SQLマクロ(SQM)

SQLマクロ(SQM)を作成して、共通のSQL式および文を、他のSQL文で使用できる再利用可能なパラメータ化された構造体にくくり出すことができます。Oracle Databaseリリース19c, バージョン19.7以降、SQL表マクロがサポートされています。SQL表マクロは、通常FROM句で使用される式で、多相(パラメータ化)ビューのように機能します。

SQLマクロにより、開発者の生産性が高まり、コラボレーション開発が簡略化され、コード品質が向上します。

リリース更新19.8の機能

Database In-Memoryベース・レベル

Database In-Memoryは、Enterprise Editionのオプションです。Database In-Memoryには、新しいベース・レベル機能が追加されました。これにより、ライセンス・トラッキングがトリガーされることなく、最大16GBの列ストアのDatabase In-Memoryを使用できます。

この機能により、オプションのライセンスを取得しなくても、Database In-Memoryを使用できます。ベース・レベルを使用する場合、列ストアは16GBに制限されます。これにより、ライセンスの問題を心配することなく、Database In-Memoryの価値を確認できます。

CellMemoryレベル

INMEMORY_FORCE=CELLMEMORY_LEVELINMEMORY_SIZE=0を設定することで、IM列ストアを有効にすることなくCellMemory機能を使用できます。

この機能により、IM列ストアを有効にした際のオーバーヘッドを発生させることなく、CellMemoryを使用できます。

リリース更新19.9の機能

Oracle Grid Infrastructureのホームの切替え

-switchGridHomeオプションをgridSetup.shとともに使用すると、Oracle Grid Infrastructureホーム間で切り替えることができます。

Oracle Grid Infrastructureにパッチを適用してアップグレードするために、-switchGridHomeオプションを使用できます。-switchGridHomeオプションを使用して、ソースOracle Grid Infrastructureホームからパッチ適用済のOracle Grid Infrastructureホームに切り替えます。すべてのOracle ClusterwareおよびOracle Restartサービスは、パッチ適用対象のOracle Grid Infrastructureホームから自動的に開始されます。

DBMS_CRYPTO非対称キー操作のサポート

このリリース以降、DBMS_CRYPTO PL/SQLパッケージでは、対称キー操作に対する既存のサポートに加えて、非対称キー操作がサポートされています。

非対称キー操作のサポートを実装するために、次のプロシージャがDBMS_CRYPTOパッケージに追加されています。
  • PKENCRYPT
  • PKDECRYPT
  • SIGN
  • VERIFY

リリース更新19.10の機能

単一のデータベース・クライアントで複数のKerberosプリンシパルを使用する機能

このリリース以降では、Oracle DatabaseクライアントのKerberos認証を構成するときに、単一のOracle Databaseクライアントで複数のKerberosプリンシパルを指定できます。

この機能を有効にするには、クライアントのユーザーごとに個別の資格証明キャッシュを作成してから、接続文字列を使用してユーザーを指定する必要があります。

以前のリリースでは、Oracle Databaseクライアントごとに1つのKerberosプリンシパルに制限されていました。

DBMS_CLOUDパッケージ

オブジェクト・ストア内のデータを操作するための中核となるメカニズムが2つ(新しいDBMS_CLOUDパッケージの一部として、または外部表を手動で定義して)用意されています。

DBMS_CLOUDを使用すると、利点がもたらされ、DDLを超えてOracle Autonomous Databaseと完全に互換性のある追加機能が提供されます。手動で外部表を作成するよりも、新しいDBMS_CLOUDパッケージを利用することをお薦めします。

データベース常駐接続プーリング(DRCP)の新しいデータベース初期化パラメータ

データベース常駐接続プーリング(DRCP)を構成するための新しいデータベース初期化パラメータMIN_AUTH_SERVERSおよびMAX_AUTH_SERVERSが追加されました。

MIN_AUTH_SERVERSMAX_AUTH_SERVERSを使用すると、DRCPのセッション認証を処理するために使用するプロセスの数を最適な使用状況になるように構成できます。

Oracle Blockchain Table

ブロックチェーン表は、挿入操作のみできる追加専用の表です。行の削除は、禁止または時間に基づいて制限されます。ブロックチェーン表内の行は、特殊なシーケンシングおよび連鎖のアルゴリズムによって改ざん防止状態になっています。ユーザーは、行が改ざんされていないことを確認できます。行メタデータの一部であるハッシュ値は、行の連鎖および検証に使用されます。

ブロックチェーン表は、参加者がOracle Databaseプロバイダを信頼していても、データが改ざんされていないことを検証する手段を求めている場合のブロックチェーン・アプリケーションを実装するために使用できます。この参加者とは、Oracle Databaseプロバイダを信頼して検証可能な改ざん耐性のあるトランザクションのブロックチェーンを維持する、各種のデータベース・ユーザーのことです。すべての参加者には、ブロックチェーン表にデータを挿入する権限が必要です。ブロックチェーン表の内容はアプリケーション単位で定義および管理され、いくつかの追加メタデータ・フィールドがOracle Databaseによって管理されます。検証可能な暗号化保護のデータ管理を実践している信頼できるプロバイダの活用により、このようなアプリケーションでは分散合意の要件を回避できます。これにより、分散ピア・ツー・ピア・ブロックチェーンの大部分の保護を実現するだけでなく、分散合意を使用するピア・ツー・ピア・ブロックチェーンと比較したときに、スループットの大幅な向上とトランザクション待機時間の短縮も実現します。

Linux for ARMでのOracle Instant Clientのサポート

Oracle Database 19cリリース更新(19.10)以降、Oracle Instant ClientはLinux for ARM (aarch64)で使用できます。

Oracle Technology Network (OTN)のOracle Instant Clientダウンロード・ページからzipファイルまたはRPMをダウンロードすることにより、Oracle Instant Clientをインストールできます。

Oracle Autonomous DatabaseのPDBごとの取得のサポート

個々のPDBの変更を安全に取得してOracle Autonomous Databaseにレプリケートするために、Oracle GoldenGateを使用してPDBごとの取得を提供できるようになりました。

マルチテナント・アーキテクチャOracle Databaseの個々のPDBに接続するためのローカル・ユーザー資格証明を指定し、そのPDBのみからOracle Autonomous Databaseにデータをレプリケートできるようになりました。PDBをOracle Autonomous Databaseにレプリケートするために、マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)上のすべてのPDBへのアクセス権を持つ共通ユーザーを作成する必要がなくなりました。かわりに、取得するソースPDBに事前定義済の権限セットを持つローカル・ユーザーをプロビジョニングできるようになりました。すべてのLogMinerおよび取得処理はこのPDBでのみ実行され、この特定のPDBからのデータのみが取得されてOracle GoldenGate証跡に書き込まれます。この機能の一部として、V$LOGMNR_CONTENTSの動作は、PDBに接続するか、CDB$ROOTに接続するかによって変ります。

FIPS 140.2用のMicro Edition Suite (MES)のサポートの更新

このリリース以降、Oracle DatabaseはFIPS 140.2用のMicro Edition Suite (MES)バージョン4.5をサポートします。

Micro Edition Suite (MES)バージョン4.5の更新には、RSA BSAFE MESライブラリ内の4つの新しいCVE、FIPS 140.2で必要なルールのサポート、Crypto Foundationからの更新されたNZ/ZTライブラリへのアクセスが含まれます。

この拡張により、Oracle Database FIPS 140.2構成では、最新のRSA BSAFE MESライブラリの新機能およびセキュリティの向上を活用できます。

リリース更新19.11の機能

アプリケーション・コンティニュイティ保護チェック

アプリケーション・コンティニュイティ保護チェック(ACCHK)は、アプリケーション・コンティニュイティを使用する各アプリケーションの保護レベルに関するガイダンスを提供し、必要に応じて保護の向上を支援します。

ACCHKは、どのアプリケーション構成が保護されているかを識別して、最大保護のためにどの構成を使用するかや、アプリケーション構成の保護レベルを上げる方法に関する情報に基づいた決定を行うのに役立ちます。ACCHKは、失敗したフェイルオーバーの診断も提供します。

不変表

不変表は、既存のデータを変更できない挿入専用の表です。行の削除は、禁止または行の挿入時間に基づいて制限されます。

不変表は、部内者による不正な変更からデータを保護します。これには、部内者資格証明へのアクセス権を持つデータベース管理者または侵害されたユーザーが含まれます。不変表は、人的エラーによって発生する可能性のある偶発的なデータ変更も防ぎます。

データベース常駐接続プーリング(DRCP)の新しいデータベース初期化パラメータ

データベース常駐接続プーリング(DRCP)を構成するための新しいデータベース初期化パラメータDRCP_DEDICATED_OPTが追加されました。

DRCPを使用すると、ブローカへのアプリケーション接続の数が最大プール・サイズより少ないときに、専用の最適化によってDRCPが専用サーバーのように動作します。この最適化により、DRCPはアプリケーション接続とDRCPサーバー・プロセスの間の対応が1対1になるようにしようとします。この傾向は、その時点で該当するプロセスがデータベースの処理を実行していない場合でも同じになります。DRCP_DEDICATED_OPTNOに設定すると、この最適化がオフになり、不要な場合はプールが最大サイズにまで大きくなる傾向を抑えます。これにより、文の実行の同時実行性が低いときにはDRCPサーバー・プロセスの数が少なくなるため、データベース・ホストのメモリー使用量が減少します。

Oracle Fleet Patching and ProvisioningのZipコピー・イメージ転送

Oracle Grid Infrastructure 19cリリース更新(19.11)以降、Oracle FPPでは、ゴールド・イメージをターゲット・ホストに転送せずにインストールできます。ゴールド・イメージは、共有ファイル・システム(NFS)またはターゲット・ホストのどちらかで、zipファイルとして入手できます。

Zipコピー・イメージ転送機能により、Oracle FPPサーバーとターゲットの間の、帯域幅が低いか待機時間が長いネットワークを使用するデプロイメントについて、エラーおよびタイムアウトを回避できます。これにより、様々なデータ・センターでのデプロイメントが可能になります。

関連トピック

リリース更新19.12の機能

アプリケーションの段階的データベース・パスワード・ロールオーバー

このリリース更新以降、管理者が停止時間をスケジュールしなくても、アプリケーションのデータベース・パスワードを変更できます。

これを行うために、データベース管理者は、このリリースで新しく追加されたPASSWORD_ROLLOVER_TIMEパスワード・プロファイル・パラメータにゼロ以外の制限を持つプロファイルをアプリケーション・スキーマに関連付けることができます。これにより、PASSWORD_ROLLOVER_TIME制限で指定された期間、古いパスワードを有効なままにしながら、アプリケーション・ユーザーのデータベース・パスワードを変更できます。ロールオーバー期間中、アプリケーション・インスタンスは古いパスワードまたは新しいパスワードのいずれかを使用してデータベース・サーバーに接続できます。ロールオーバー時間が経過すると、新しいパスワードのみが許可されます。

この拡張の前は、管理者は通常、アプリケーション・データベースのパスワードのローテーション中にアプリケーションを停止していました。これは、パスワードの更新にデータベース側とアプリケーション側の両方での変更が必要なためです。段階的なデータベース・パスワード・ロールオーバーの拡張により、アプリケーションで新しいパスワードが構成されるまで、アプリケーションは古いパスワードを引き続き使用できます。

CREATE PROFILEおよびALTER PROFILE文の新しい句PASSWORD_ROLLOVER_TIMEに加えて、ALTER USER文には新しい句EXPIRE PASSWORD ROLLOVER PERIODがあります。DBA_USERSおよびUSER_USERSデータ・ディクショナリ・ビューのACCOUNT_STATUS列には、ロールオーバー・ステータスを示す値を示す新しいステータスがいくつかあります。

PMEMデバイスのOracle Memory Speedサポート

Oracle DatabaseをOracle Memory Speed (OMS)ファイル・システムとともに使用し、データ・センターにおいて永続メモリー(PMEM)デバイスの能力を安全に最大限まで活用することをお薦めします。

PMEMを補助デバイスとして使用すると、OMSでは、XFSベースのDAX対応ファイル・システムでホストされているメモリー・マップ済ファイルを使用して、I/O操作を実行できます。XFSなどのDAX対応ファイル・システムを使用して、PMEMデバイスをファイルとしてエクスポートする必要があります。

リリース更新19.13の機能

19.13リリース更新には、新機能はありません。

リリース更新19.14の機能

19.14リリース更新には、新機能はありません。

リリース更新19.15の機能

19.15リリース更新には、新機能はありません。

リリース更新19.16の機能

Oracle Database環境とのIdentity and Access Management統合の拡張機能

Oracle Databaseリリース19.16で利用可能になるのは、Identity and Access Management (IAM)ユーザーとOracle Database環境の統合に対する拡張機能です。

  • その他のOracle Database環境: サポートされているOracle Database環境の完全なリストは次のとおりです。
    • Oracle Autonomous Database on Dedicated Exadata Infrastructure
    • 共有Exadataインフラストラクチャ上のOracle Autonomous Database
    • Oracle Base Database Service
  • IAMユーザー名とパスワードを使用してIAMトークンを取得する機能: IAMのユーザー名とパスワードまたはセキュアな外部パスワード・ストア(SEPS)を使用したトークンの取得は、データベース・アクセスのパスワード検証方法を使用するよりも安全です。

関連トピック

ハイブリッド障害時リカバリ構成でのOracle Data GuardのREDO復号化

Oracle Databaseリリース19.16では、クラウド・データベースがTDEで暗号化され、オンプレミス・データベースがそうではないハイブリッド・クラウド障害時リカバリ構成において、Oracle Data Guardを使用してREDO操作を復号化できるようになりました。

ハイブリッド障害時リカバリは、多くの場合、クラウドを迅速に導入する方法の1つとみなされます。オンプレミス・データベースがまだTDEで暗号化されていない場合でも障害時リカバリをすばやく構成できるようにすることで、ハイブリッド障害時リカバリ環境の構成に必要なステップが削減されるとともに、転送プロセス中も確実にREDOデータが暗号化されたままになります。

この機能を有効にするために、Oracle DatabaseにはTABLESPACE_ENCRYPTION初期化パラメータが導入され、これを使用して、オンプレミス環境およびOracle Cloud Infrastructure (OCI)環境についてプライマリ・データベースとスタンバイ・データベースの両方の表領域の自動暗号化を制御できます。たとえば、オンプレミス・データベースは暗号化せずに、OCIデータベースは暗号化することができます。

関連トピック

リリース更新19.17の機能

19.17リリース更新には、新機能はありません。

リリース更新19.18の機能

リリース更新(RU)に含まれるすべてのタイム・ゾーン・ファイル(DST)

Oracle Database 19c RU 19.18.0以降では、使用可能なすべてのDSTパッチがRUとともにインストールされ、Oracle_home/oracore/zoneinfoディレクトリにデプロイされます。DSTパッチをインストールしても、データベースの操作には影響しません。ただし、RUとともにパッチをインストールすると、データベースのタイムゾーン・バージョンを簡単に調整できます(そのようにする必要がある場合)。たとえば、トランスポータブル表領域またはフル・トランスポータブル・エクスポート/インポートを使用している場合は、ソース・データベースとターゲット・データベースで同じ文字セットとタイム・ゾーン設定が使用されていることを確認する必要があります。この変更により、宛先データベースをデフォルトとは異なるタイムゾーン・ファイル・バージョンを使用するように簡単に変更できます。

デフォルトでは、AutoUpgradeはデータベースのタイム・ゾーンを最新の使用可能なレベルに変更します。タイム・ゾーンをアップグレードしない場合は、AutoUpgrade構成ファイル内のローカル・パラメータtimezone_upgを明示的にnoに設定する必要があります。たとえば:

upg1.timezone_upg=no

古いデータベース・タイムゾーン・ファイルを使用する場合は、データベース環境変数ORA_TZFILEを古い方のタイムゾーン・ファイルに設定します。タイム・ゾーン・ファイルは、Oracle_home/oracore/zoneinfoにあります。環境変数ORA_TZFILEを使用して、最も番号の大きいタイムゾーン・ファイルを使用するというデフォルトをオーバーライドできます。

関連トピック

リリース更新19.19の機能

19.19リリース更新には、新機能はありません。

リリース更新19.20の機能

インメモリー適格性テスト

多くのワークロードにはデータベース・インメモリーが有効ですが、そうでないワークロードもあります。インメモリー適格性ツールは、指定のワークロードに対してデータベース・インメモリー機能の効果があるかどうかを判別し、この機能の使用について、その適格性を評価します。適格性は、ワークロードにおける分析アクティビティの割合で判別されます。データベース・インメモリーを実装する予定の場合は、このツールを使用すると、分析アクティビティが少なくデータベース・インメモリーを使用しても実質的なメリットを見込めない不適格なデータベースを迅速に特定し除外できます。それにより、ワークロードに強力な分析アクティビティがより多く含まれているため効果が大きいデータベースを、データベース・インメモリー導入の対象にできます。ワークロードにおける分析アクティビティの割合が大きければ大きいほど、データベース・インメモリーによって得られる効果が高くなります。

関連トピック

リリース更新19.21の機能

AutoUpgradeによるデータベース・アップグレード時のData Guard操作の自動化

Oracle Data Guard構成でデータベースをアップグレードするために必要なステップがAutoUpgradeによって自動化されます。Oracle Database 19cでは、Data Guard操作は完全には自動化されないことに注意してください。Oracleでは、プライマリ・データベースのアップグレードおよびスタンバイ・データベースへのREDO適用の停止のみがサポートされます。

AutoUpgradeが自動化するステップには、Data Guard Brokerの無効化と再有効化(存在する場合)、およびアップグレードの実行中のログ・ファイル・トランスポートの遅延が含まれます。データベース・アップグレードのコンテキストでこれらのOracle Data Guard操作を自動化すると、手動またはスクリプト化されたステップが不要になり、それ以外の場合は自分で実行する必要があります。これにより、Oracle Data Guard構成のデータベースのアップグレードを簡単に自動化できます。この機能は、アップグレード・プロジェクトの一環として何百ものデータベースをアップグレードできるハイエンド環境でのアップグレードの自動化に特に役立ちます。

関連トピック

AutoUpgradeによるOracle RACデータベースのアップグレードに必要なステップの自動化

Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)データベースのアップグレードに必要なすべてのステップがAutoUpgradeによって自動化されます。

AutoUpgradeにより、これまでは手動またはスクリプトで実行する必要があったステップが自動化されます。AutoUpgradeで自動化されるステップには、複数のノードでインスタンスを停止および再起動するためのSRVCTLコマンド、CLUSTER_DATABASEの処理、初期化パラメータ・ファイルの更新およびサービスの再起動(該当する場合)が含まれます。

この機能により、手動エラーの可能性が減少し、DBAが定期的なメンテナンスとアップグレードの操作を実行するために必要な作業も減少します。

関連トピック

『Oracle® Databaseデータベース・アップグレード・ガイド』

AutoUpgradeによる非CDBからPDBへのアップグレードおよび変換の自動化

Oracle Database 21cへのアップグレードを簡略化するために、AutoUpgradeでは、データベースのアップグレードの一環としてデータベースを非CDBからPDBに変換するステップを自動化します。

Oracle Database 21cには、マルチテナント・アーキテクチャが必要です。このリリースでは、非CDBからPDBへのアップグレードにOracle Database 12cリリース2 (12.2)以上のリリースのAutoUpgradeを使用できます。AutoUpgradeの自動化機能を使用すると、アップグレードに必要なDBAの労力と、手動プロセスでの誤字に関連するリスクの両方が軽減されます。

関連トピック

AutoUpgradeによる切断/接続アップグレードを使用したPDBのアップグレードの自動化

AutoUpgradeにより、PDBをCDBから切断して新しいバージョンのCDBに接続し、その新しいターゲット・バージョンにPDBをアップグレードする処理が自動化されます。

アップグレードの簡略化プロセスの一環として、切断/接続を使用したプラガブル・データベース(PDB)のアップグレードが可能です。この切断/接続では、ターゲット・リリースのコンテナ・データベース(CDB)にPDBを接続するときにアップグレードが実施されます。この機能により、AutoUpgradeがデータベース・アップグレード・プロセス全体を自動化できる別のシナリオが追加されます。

関連トピック

AutoUpgradeリリース更新(RU)のアップグレード

AutoUpgradeでは、AutoUpgradeを使用してOracleホームのリリース更新のホーム外パッチ適用を実行するオプションをサポートしています。

AutoUpgradeを使用したOracle Databaseのホーム外パッチ適用の場合、AutoUpgradeは、パッチを適用するソース・データベースを新しいOracle DatabaseのOracleホームに移動し、選択したリリース更新を使用してそのターゲットOracleホームのデータベース・バイナリにパッチを適用します。このオプションを使用すると、計画アップグレードの一部としてまたはパッチ計画の一部として、データベースを新しいOracleホームに移動する任意の時点で、AutoUpgradeを使用できます。パッチ操作では、AutoUpgradeは次のワークフローを使用してパッチを実行します:

  1. AutoUpgradeは、ソース・データベースとターゲットのOracle Databaseが同じベース・リリースであることを認識します。
  2. AutoUpgradeは、アップグレード・ステップをスキップします。
  3. AutoUpgradeは、リリース更新を使用してターゲット・データベースにパッチを適用します。

関連トピック

システム・リソースに基づくAutoUpgradeによるパラレル化の設定

AutoUpgradeは、システム・リソースを自動的に評価し、同時に実行できるアップグレード・ジョブの数をインテリジェントに決定します。

AutoUpgradeは、CPU_COUNT値およびシステム・プロセス・パラメータを使用して、使用可能なシステム・リソースを決定し、一度に実行できるアップグレードの数と各アップグレードのパラレル・スレッド数の両方を調整します。安全なしきい値を超えるアップグレードは、システム・リソースが使用可能になったときに実行できるようにキューに入れられます。

関連トピック

TDEを使用したデータベースへのキーストア・アクセスによるアップグレードのAutoUpgradeサポート

AutoUpgradeは、キーストア生成を有効にすることで、透過的データ暗号化(TDE)を使用するデータベースのサポートを強化します。

AutoUpgradeでは、AutoUpgradeによって生成および保守される外部キー・マネージャにパスワードを提供できるようになりました。この構成では、AutoUpgradeによって、TDE対応データベースの無人操作または自動操作がサポートされます。AutoUpgradeは、キーストア・パスワードを要求せずにソース・データベース・キーストアをオープンし、ターゲット・データベースをTDE外部キーストアに登録してキー管理を行うことで、ターゲット・データベースを自動的に起動できます。

関連トピック

AutoUpgradeによる別のシステムへの切断/接続アップグレード

Oracle DatabaseのAutoUpgrade切断/接続メソッドを使用して、あるシステムからPDBを切断し、別のシステムに接続してアップグレードできるようになりました。

以前のリリースでは、AutoUpgradeは同じサーバーでの切断/接続/アップグレードをサポートしていましたが、あるサーバーからPDBを切断して別のシステムに接続し、PDBをアップグレードすることはできませんでした。この機能を使用して、クラウドへの移行を含め、単一の操作でPDBを移行およびアップグレードできるようになりました。

関連トピック

AutoUpgradeとのFPP統合

AutoUpgradeとのフリート・パッチ適用およびプロビジョニング(FPP)統合により、Oracle Databaseのアップグレードを自動化および簡略化するための新しいツールが提供されます。

この機能により、Oracle Database AutoUpgradeの柔軟性が高まり、アップグレード・フロー・メカニズムをより適切に制御でき、進捗バーおよび追加要素を表示することで操作性が向上します。複数のデータベースを同時にアップグレードできます。

関連トピック

Oracle DatabaseによるAutoUpgradeを使用したデータベース・アップグレードの自動化

Oracle Database AutoUpgradeを使用すると、人間が操作しなくてもあらゆることを1つのコマンドで単一の構成ファイルを使用して、1つ以上のデータベースをアップグレードできるようになります。

AutoUpgradeにより、単一のコマンドおよび単一の構成ファイルを使用して、コマンドラインで1つ以上のOracle Databaseインスタンスをアップグレードできます。AutoUpgradeでは、アップグレード前タスクの実行、必要に応じた自動修正の実行、データベース・アップグレードの実行を行い、アップグレード後タスクを完了して終了します。これには、自動再試行とフォールバック、将来の時刻用にアップグレードをスケジュールするオプション、そして必要に応じて初期化パラメータを設定、変更または削除する機能が含まれます。AutoUpgradeを使用すると、1つのコマンドで多数のデータベースをアップグレードでき、手間のかかるアップグレード・ソリューションが不要になるため、時間および費用を節約できます。

関連トピック

AutoUpgradeのREST API

Oracle DatabaseのアップグレードにAutoUpgradeを安全かつ確実にリモート使用するために、AutoUpgradeでREST API (ORDSおよびOCI)が提供されるようになりました。

Oracle REST Data Services (ORDS)データベースAPIは、Oracle REST Data Servicesに埋め込まれているデータベース管理およびモニタリングREST APIです。Oracle Cloud Infrastructure (OCI) REST APIは、OCI署名バージョン1のセキュリティ・ポリシーを使用するようにRESTアダプタ接続を構成することで有効化されます。これらの機能を使用し、SSHを介してAutoUpgradeアップグレードをリモートで実行できます。

関連トピック

リリース更新19.22.0.0の機能

スクランブル・デキューおよびデキュー・フロー制御の有効化

キュー・レベル・パラメータを使用して、スクランブルおよびフロー制御機能を有効または無効にできます。

  • 同時デキューを異なるブロックまたはバッファに分散するには、次のキュー・パラメータを使用してスクランブル・デキューを有効にします。
    DBMS_AQADM.SET_QUEUE_PARAMETER('<schema_name>.<queue_name>', 'CQ_SCRAMBLED_DEQ', 1);

    スクランブル・デキューを無効にするには、次のキューパラメータを使用します。

    DBMS_AQADM.UNSET_QUEUE_PARAMETER('<schema_name>.<queue_name>', 'CQ_SCRAMBLED_DEQ');
  • キューでデキュー選択を実行して更新する同時セッションの数を内部的に制限するには、次のキュー・パラメータを使用してデキュー・フロー制御を有効にします。
    DBMS_AQADM.SET_QUEUE_PARAMETER('<schema_name>.<queue_name>', 'CQ_DEQ_FLOWCONTROL', N);

    ここで、Nは、コア・デキュー作業を同時に実行できる内部デキュー・セッションの数です。これにより、待機と競合が発生します。Nは、実際の外部デキュー・セッションの数より小さくする必要があります。

    デキュー・フロー制御を無効にするには、次のキュー・パラメータを使用します。

    DBMS_AQADM.UNSET_QUEUE_PARAMETER('MY_QUEUE', 'CQ_DEQ_FLOWCONTROL');

これらの新しいパラメータを使用すると、同時デキューを異なるブロックまたはバッファに分散して、バッファ・ビジー待機の競合を減らし、行ロックの競合やバッファ・ビジー待機の競合を回避できるようになりました。

サプリメンタル・ロギングが有効な場合の拡張されたオンラインDDL機能

サプリメンタル・ロギングが有効になっている場合、多くのDDL操作はブロックする操作でした。最小限のサプリメンタル・ロギングが有効になっている場合、OGG_ONLINE_DDL初期化パラメータを使用して、以前はブロックしていたいくつかのDDL操作でこの制限を解除できます。それらのコマンドは次のとおりです:

  • ALTER TABLE ADD COLUMN
  • ALTER TABLE SET COLUMN UNUSED
  • ALTER TABLE ADD CONSTRAINT ENABLE NOVALIDATE
  • ALTER TABLE DROP CONSTRAINT

ブロックしないDDL操作は、ブロックするDDL操作が成功するためのアイドル時間ウィンドウを保証できないミッションクリティカルな環境では非常に重要です。サプリメンタル・ロギングはGoldenGateレプリケーションをサポートするための重要な要件であるため、お客様はブロックしないDDLまたはGoldenGateの使用のどちらを選択するかというジレンマに陥ります。サプリメンタル・ロギングが有効な場合に、より多くのブロックしないDDL操作を有効にすると、そのような決定をしなくて済みます。お客様は、ブロックしないDDL操作とGoldenGateの利点を活用できます。

関連トピック

リリース更新19.23.0.0の機能

無効化時のセッション終了

セッションの状態が無効化されたときに強制的にハード・セッションを終了するには、SESSION_EXIT_ON_PACKAGE_STATE_ERRORをtrueに設定します。

状態無効化後にセッションを終了すると、アプリケーションが無効な状態の処理を誤ったときに発生する可能性のあるエラーを回避できます。

関連トピック

リリース更新19.24の機能

19.24リリース更新には、新機能はありません。

リリース更新19.25の機能

19.25リリース更新には、新機能はありません。

リリース更新19.26の機能

19.26リリース更新には、新機能はありません。

リリース更新19.27の機能

19.27リリース更新には、新機能はありません。