20.1 クラウド移行前アドバイザ・ツールとは

クラウド移行前アドバイザ・ツール(CPAT)は、Oracle Database内のデータベース・メタデータを分析する移行アシスタントであり、Oracle Cloud内のOracle Autonomous Databaseにデータを移動する際に役立つ情報を提供します。

クラウド移行前アドバイザ・ツール(CPAT)は、Oracle Cloudまたはオンプレミス内のOracle Databaseへの正常な移行を計画するために役立つように用意されています。ソース・データベースとデータベース・ターゲットおよび選択した移行方法との互換性を分析し、潜在的な非互換性に対する一連のアクションを提案します。CPATでは、様々な移行ツールについて考慮する情報が提供されます。

クラウド移行前アドバイザ・ツールの実行には、ソース・データベースへの変更は必要ありません。ユーザーの追加、ロールの付与、またはパッケージのロードは必要ありません。

クラウド移行前アドバイザ・ツールのしくみ

クラウド移行前アドバイザ・ツールでは、ソース・データベース・メタデータに対するチェックが実行され、移行についての情報が提供されます。実際の移行は実行されません。その情報を移行計画の一環で使用します。CPATは、Java 7以降のリリースを使用して実行され、Java 8 Java Runtime Environment (JRE)が推奨されます。

ノート:

CPATをインストールして実行しても、Oracle Databaseは変更されません。CPATは、ユーザーやパッケージを作成したり、ロールや権限の付与を必要としません。データベースはREAD ONLYとして処理されます。

チェックにより、データベース、データベース・オブジェクト、ユーザーまたはコンポーネントについてプログラム的に判断できます。チェックは、特定のOracle Cloudデータベース・デプロイメント・オプションに移動するためのデータベースおよびデータベース・スキーマの適合性を判断することを目的としています。例: Oracle Data Pumpなどの特定の移行方法を使用するOracle Autonomous Database on Shared Exadata Infrastructure (ADB-S)。

ソース・データベースとは、Oracle Autonomous Databaseへの移行の適切性についての分析対象となるデータベースです。ターゲットとは、特定のOracle Autonomous Database、またはCPATの実行時に選択できる一般的なOracle Autonomous Databaseデプロイメント・オプションです。

CPATは、Javaコマンドライン・ツールとして、またはSQLclを使用してSQLコマンドライン・ツールとして実行することで起動します。次に、ソース・データベースとOracle Autonomous Databaseターゲットを指定するか、他のOracle Cloud Infrastructure (OCI)ターゲット・データベース(Exadata Cloud@Customer、Exadata Cloud Service、オンプレミス・データベースなど)にDEFAULTを指定します。ソース・データベースおよびスキーマの内容に対して多数のチェックが実行されます。これらのチェックは、選択したターゲット、およびユーザーが意図した移行オプションに基づきます。

ソース・データベースのチェックが完了すると、検出された内容を示すレポートが生成されます。レポートには、合格「レビュー推奨」「レビュー必須」または「アクション必須」など、各チェックの要約情報と詳細(チェックの結果を含む)の両方が含まれています。また、移行に関連する可能性があるソース・データベース内の追加メタデータも識別されます。

チェック結果は、まとめられて、レポートに表示されます。レポートには、マシン可読レポート(JSON)、判読可能な形式(プレーン・テキスト)があります。これらのレポートは、Oracle Zero Downtime Migration (ZDM) Cloud ServiceやOracle Cloud Infrastructure (OCI) Database Migration Serviceなどの他のOracle移行製品および機能で直接使用することもできます。

移行前アドバイザ・ツールのプロパティ

コマンドラインでプロパティを指定して分析チェックの情報を指定することにより、CPATの実行方法および実行するチェックを指定できます。

クラウド移行前アドバイザ・ツールのレポート

CPATでは、特定の移行コマンドの使用、特定のデータベース・パラメータの設定、ソース・インスタンスまたはターゲット・インスタンスでのSQLスクリプトの実行など、関連するアクションが推奨されます。ターゲット・デプロイメント・オプションおよび実際のデータベース・ターゲットでチェックを実行できるため、ソース・データベースまたはターゲット・データベースで何かを完了する必要がある場合、レポートでは「ターゲット」ではなく「場所」という用語を使用します。レポートで特定のパラメータおよびコマンドの使用が提案された場合は、レポート内のガイダンスに従うことをお薦めします。