20.9 コマンドライン構文およびプロパティ

クラウド移行前アドバイザ・ツール(CPAT)のプロパティを使用して、CPATコマンドライン構文で実行する必要のあるチェックおよびその他の操作を指定します。

20.9.1 移行前アドバイザ・ツールのコマンドライン構文

コマンドライン・シェル・スクリプトとして、移行前アドバイザ・ツールを実行します。

前提条件

  • ソース環境にJava Development Kit (JDK) 7以降がインストールされている必要があります。Oracleでは、Java 8 Runtime Environment (JRE)を使用することをお薦めします。

    JDK 8は、Oracle Database 12cリリース2 (12.2)以降のリリースごとにインストールされます。12.2より前のリリースでは、ターゲットOracle DatabaseのJavaリリースを使用して移行前アドバイザ・ツール(CPAT)を実行するか、ソース・データベース・サーバーにJDK 8をインストールする必要があります。

Javaファイル・パス

My Oracle Supportから最新のCPAT zipファイルを取得します。そのアプリケーション、およびそのアプリケーションのデプロイメント手順は、My Oracle Supportノート2758371.1から入手できますCPATはJavaベースのツールであるため、ツールを実行するマシンに適切なJava Runtime Environment (JRE)をインストールする必要があります。

シン・クライアントの場合、CPATは環境変数JAVA_HOMEおよびORACLE_HOMEを使用してJava Runtime Environment (JRE)を検索します。JREは、これらのパスのいずれかである必要があります。

シック・クライアントの場合、CPATはOracle Call Interface (OCI)ベースのJDBC接続文字列を使用します。このタイプの接続文字列では、CPATは通常、環境変数ORACLE_SIDORACLE_HOMEおよびLD_LIBRARY_PATHを使用してデータベースに接続します。

ノート:

CPATを実行しているユーザーに対してオペレーティング・システム認証を使用する場合のみ、ORACLE_SIDを設定する必要があります。必要であればCPATスクリプト自体でLD_LIBRARY_PATHを設定できるため、ほとんどの場合、必要な設定はORACLE_HOME環境変数のみです。

構文

移行前アドバイザ・ツールのコマンド構文では、大文字と小文字が区別されます。プロパティを渡すには、各コマンド・プロパティについて記載されているとおりに、一連の文字列またはテキスト文字列として指定します。

構文では次の書式が使用されます。characterは大文字と小文字が区別される単一の文字であり、command-stringは大文字と小文字が区別される文字列であり、valueはコマンド・プロパティで指定される入力オプションまたは値です。

Java

java -jar premigration.jar [-character [value] | --command-string [value]]

シェル・コマンド:

./premigration.sh [-character [value] | --command-string value[]

文字フラグまたはプロパティのフルネームを使用して、コマンド構文で複数のプロパティを連結できます。

20.9.2 移行前アドバイザ・ツールのコマンドライン・プロパティ

移行前アドバイザ・ツールのプロパティを確認して、Oracle Database移行シナリオのコマンド・ツリーおよびオプションを作成します。

20.9.2.1 analysisprops

移行前アドバイザ・ツールのプロパティanalysispropsでは、ソース・データベースのプロパティ・ファイルのパスおよび名前を指定します。

プロパティ 説明

プロパティ・タイプ

文字、文字列

構文

-a|--analysisprops --property-file-name

説明

移行前アドバイザ・ツールのanalysispropsプロパティでは、以前に移行前アドバイザ・ツールのコマンドライン・プロパティ--gettargetpropsの使用によってソース・データベース用に生成したプロパティ・ファイルのパスおよび名前を指定します。このプロパティ・ファイルを移行前アドバイザ・ツールで使用してデータベースのプロパティを分析します。

使用上のノート

コマンド文字列では、ソース・データベースに対してもオプション--connectString (-c)を指定し、移行するクラウド・データベースのタイプを指定するために--targetcloud (-t)を指定する必要があります。

この例では、ターゲット・インスタンスからプロパティ・ファイルpremigration_advisor_analysis.propertiesを取得し、analysispropsで使用するためそのファイルを特定します:

./premigration.sh --connectstring jdbc:oracle:oci:@ --targetcloud ATPD --sysdba \
--analysisprops premigration_advisor_analysis.properties

20.9.2.2 connectstring

移行前アドバイザ・ツールのプロパティconnectstringでは、ソース・データベース用のJDBC接続文字列を指定します。

プロパティ 説明
プロパティ・タイプ 文字、文字列
構文
-c, --connectstring connect-string [--pdbname pdb-name]
デフォルト値 なし

説明

connectstringプロパティでは、ソース・データベース用のJDBC接続文字列を指定します。接続文字列がCDB用である場合、--pdbnameスイッチ、--pdbname pdb-nameを使用してPDB名も指定する必要があります。ここで、pdb-nameはソース・データベースを含むPDBの名前です。

CPAT接続では、次のステップを実行します:

  1. primigration.shを使用してターゲット・インスタンスに接続し、そこからプロパティを取得します。この接続にはターゲット・インスタンスの接続情報が必要ですが、--targetcloudは必要ありません。このステップでは、premigration_advisor_analysisプロパティ・ファイルを作成します。connectstringが必要です。
  2. 必要に応じて、ソース・インスタンスを分析するコンピュータに接続し、そのコンピュータにpremigration_advisor_analysis.propertiesファイルをコピーします。
  3. ソース・インスタンスの接続情報を指定してpremigration.shを実行し、CPATレポートを生成します。

ターゲットに関するクラウド・サービス/ロックダウン情報を含むプロパティ・ファイルがある場合、--targetcloudは必要ありません。プロパティ・ファイルを指定しない場合、またはプロパティ・ファイルにクラウド・サービスが指定されていない場合は、最も関連性の高い情報を取得するために、--targetcloudまたは-tを使用してターゲット・クラウドを指定する必要があります。--targetcloudまたは-tを使用してターゲット・クラウドを指定しない場合、デフォルトは、PDBターゲットに既知のクラウド・サービス/ロックダウン・プロファイルが設定されていないクラウド・ターゲットです。

ノート:

ロックダウン・プロファイルによって適用される制限はPDB全体を対象とし、そのPDBのすべてのユーザー(SYSおよびSYSTEMなど)に影響します。

次の例では、PDB名はsales1で、connect-stringは接続文字列が配置される場所を示します。

premigration.sh -c connect-string --pdbname sales1

20.9.2.3 excludeschemas

移行前アドバイザ・ツールのプロパティexcludeschemasでは、移行についての分析から除外するスキーマのリストを指定します。

プロパティ 説明

プロパティ・タイプ

文字列

構文

--excludeschemas --schemaname ['schemaname' 'schemaname' ...]

ここでのschemanameは1つ以上のスキーマ名であり、スペースで区切リます。

スキーマ名では、大文字と小文字が区別されていると見なされます。たとえば、systemではなくSYSTEMを使用します。スキーマ名が小文字であるか、大文字と小文字であるか、特殊文字を含んでいる場合は、二重引用符と一重引用符を使用してスキーマ名を指定します。次に例を示します。

--excludeschemas '"MixedCase"' '"Special.Char$"'

説明

移行前アドバイザ・ツールのexcludeschemasプロパティでは、クラウドへの移行の準備状況についての分析から除外するスキーマを指定します。

使用上のノート

移行前チェックを実行しないスキーマを指定するために使用します。excludeschemasを省略しており、schemasを使用していない場合は、データベース内のすべてのスキーマが分析されます。excludeschemasプロパティは、schemasとの併用はできません。

コマンド文字列では、ソース・データベースに対してもオプション--connectString (-c)を指定し、移行するクラウド・データベースのタイプを指定するために--targetcloud (-t)を指定する必要があります。

20.9.2.4 full

移行前アドバイザ・ツール(CPAT)のプロパティfullでは、--schemasが使用されている場合でもすべてのチェックを実行することを指定します。

プロパティ 説明

プロパティ・タイプ

文字、文字列

構文

-f|--full

説明

各CPATチェックにはスコープが定義されています。チェックのスコープがINSTANCEの場合、FULLを選択して定義されたスコープをオーバーライドしないかぎり、そのチェックは実行されません。CPATのfullプロパティを指定すると、コマンド文字列にチェックのスコープを制限する--schemasが指定されている場合でも、ソース・データベースで強制的にすべてのチェックが実行されます。

使用上のノート

CPATで使用するオプションは、Oracle Data Pumpでも使用する必要があります。Oracle Data PumpをFULLモードで使用する場合は、fullプロパティを使用してCPATを実行する必要があります。Oracle Data PumpをSCHEMAモードで使用する場合は、CPATをschemaモードで実行します。

ソース・データベース・インスタンスに100のスキーマがあるが、s1、s2およびs3の3つのスキーマのみをAutonomous Transaction Processing Dedicated (ATP-D)に移行するとします。

この場合、すべてのスキーマを分析する必要はありませんが、3つのスキーマすべてに対してINSTANCE SCOPEDチェックを実行します。これを行うには、CPATを--schemas s1 s2 s3 --fullで実行します

20.9.2.5 gettargetprops

移行前アドバイザ・ツールのプロパティgettargetpropsでは、移行ターゲット・データベース・インスタンスの接続プロパティを読み取り、ソース・データベース・インスタンスに対して分析します。

プロパティ 説明

プロパティ・タイプ

文字列

構文

-g|--gettargetpropsプロパティ

説明

移行前アドバイザ・ツールのgettargetpropsプロパティでは、移行ターゲット・インスタンス用の接続パラメータをCPATで収集することを指定します。CPATで移行ターゲット・インスタンスのプロパティが収集されます。これにより、後でソース・データベース・インスタンスでそれらのプロパティを分析できるようになります。

使用上のノート

これらのプロパティは通常、移行フローでCPATを使用するツールによって設定され、これらのプロパティを使用して、移行中に特定の移行操作が実行中、または実行予定であることをCPATに指定します。--gettargetpropsスイッチおよびtargetconnectionパラメータを使用してプロパティ・ファイルを生成します

詳細は、Microsoft Windowsシステムでpremigration.sh --helpまたはpremigration.com --helpを実行します。

./premigration.sh --gettargetprops --connectstring jdbc:oracle:thin:@atpd_high?TNS_ADMIN=/path/wallet . . . 

20.9.2.6 help

移行前アドバイザ・ツールのプロパティhelpでは、コマンドライン・ヘルプ情報が出力され、終了されます。

プロパティ 説明

プロパティ・タイプ

文字列

構文

-h|--help

説明

移行前アドバイザ・ツールのhelpプロパティでは、コマンドライン・ヘルプの説明が出力され、このアドバイザが終了されます。

使用上のノート

このオプションを使用して、実行中の移行前アドバイザ・ツールのバージョンについてヘルプ情報を取得します。

premigration.sh --help

20.9.2.7 logginglevel

移行前アドバイザ・ツールのプロパティlogginglevelでは、ロギング・ファイルに記録される問題のレベルを指定します。

プロパティ 説明

プロパティ・タイプ

文字列

構文

-l|--logginglevel -[severe|warning|info|config|fine|finer|finest]

デフォルト

このプロパティをコマンド文字列に指定しない場合、デフォルトはfineです。

説明

移行前アドバイザ・ツールのlogginglevelプロパティでは、移行前アドバイザ・ツールのレポート内に記録する必要がある問題の重大度を指定します

使用上のノート

ターゲット・データベースまたはデータベースで実行するチェックのタイプを指定するために使用します。ログのプロパティ:

  • severe
  • warning
  • info
  • config
  • fine
  • finer
  • finest

20.9.2.8 maxrelevantobjects

移行前アドバイザ・ツールのプロパティmaxrelevantobjectsでは、すべてのレポートに含まれる関連オブジェクトの最大数を指定します。

プロパティ 説明

プロパティ・タイプ

文字列

構文

-M|--maxrelevantobjects maximum-relevant-objects

説明

移行前アドバイザ・ツールのmaxrelevantobjectsプロパティでは、移行前アドバイザ・レポートに表示される関連オブジェクトの最大数を指定します。TEXTレポートの場合、このプロパティはmaxtextdatarowsプロパティより優先されます。

ノート:

レポートされるオブジェクト数に制限を指定すると、レポートで公開されていなくても移行に影響するオブジェクトが存在する可能性があります。

使用上のノート

このプロパティの目的は、CPATによって生成されるレポートに制限を指定することです:

  • CPATレポートのサイズを制限します
  • CPATが使用するメモリーを制限します
  • 独自の、または機密の表、列またはその他の情報をレポートに含む可能性のあるオブジェクトを除外します。

premigration.sh  -maxrelevantobjects 5 -outfileprefix limit -targettype adws -analysisprops /usr/example/CPAT/ cloud_premigration_advisor_analysis.properties

20.9.2.9 maxtextdatarows

移行前アドバイザ・ツールのプロパティmaxtextdatarowsでは、テキスト・レポートに表示される関連オブジェクトの行数制限を指定します(JSONレポートには適用されません)。

プロパティ 説明

プロパティ・タイプ

文字列

構文

-n|--maxtextdatarows maximum-number-of-data-rows

デフォルト

データ表内のすべての行(上限なし)。

説明

移行前アドバイザ・ツールのmaxtextdatarowsプロパティでは、TEXTレポートに含まれる関連オブジェクト行の最大数を指定し、最大行数に達した後の行が表示されないことを示すメッセージが表示されます。このプロパティを設定しない場合は、すべての関連オブジェクトが含まれます(上限なし)。このプロパティは、JSONレポートには適用されません

使用上のノート

移行前アドバイザTEXTレポート・ファイルについては、プロパティ設定に競合がある場合、maxrelevantobjectsmaxtextdatarowsの設定より優先されます。

20.9.2.10 migrationmethod

移行前アドバイザ・ツールのプロパティmigrationmethodでは、Oracle Cloudへの移行に使用する方法またはツールのタイプを指定します。

プロパティ 説明

プロパティ・タイプ

文字列

構文

-m|--migrationmethod -['datapump'|'goldengate']

デフォルト

値が指定されていない場合のデフォルトはdatapumpです。

説明

移行前アドバイザ・ツールのmigrationmethodプロパティでは、クラウドへのデータベースの移行に使用する方法またはツールのタイプを指定します。その移行方法によって、ソース・データベースでどのチェックが実行されるかが変わります。ソース・データベースで検出された内容は、その移行方法と互換性がない場合は、生成されたレポートで示されます。

使用上のノート

ターゲット・データベースまたはデータベースで実行するチェックのタイプを指定するために使用します。

オプション 説明

datapump

選択したOracle Cloudデプロイメントへの移行の実行にOracle Data Pumpを使用する場合のチェックをアップグレード前アドバイザ・ツールで実行することを指定します。

goldengate

選択したOracle Cloudデプロイメントへの移行の実行にOracle GoldenGateを使用する場合のチェックをアップグレード前アドバイザ・ツールで実行することを指定します。

次の例では、connect-stringは接続文字列が配置される場所を示します。ターゲットのOracle CloudデータベースはAutonomous Transaction Processing Sharedで、選択した移行方法はOracle GoldenGateです。

premigration.cmd --connectstring some-string --targetcloud atps --username SYSTEM -migrationmethod 'goldengate'

20.9.2.11 outdir

移行前アドバイザ・ツールのプロパティoutdirでは、移行前分析ログ・ファイルおよびレポート・ファイルを生成するディレクトリ・パスを指定します。

プロパティ 説明

プロパティ・タイプ

文字列

構文

-o|--outdir directory-path

ここでのdirectory-pathは、ログ・ファイルおよびレポートのディレクトリのパスです。

説明

移行前アドバイザ・ツールのoutdirプロパティでは、ログ・ファイルおよびレポート・ファイルを作成する場所を指定します。

使用上のノート

指定したパスが絶対パスでない場合、移行前アドバイザ・ツールでは、CPAT起動元のファイル・パスの場所を基準としてそのディレクトリが指定されます。出力ファイル名を指定しなかった場合の、デフォルトのファイル名はpremigrationです。そのファイル名が存在しない場合は、CPATによって作成されます。

次の例では、connect-stringは接続文字列が配置される場所を示します。ターゲットPDBはtrend1、Oracle CloudデータベースはAutonomous Data Warehouse Dedicated、出力ディレクトリ・パスは/users/analytic/adwd-migrです。

premigration.cmd --connectstring connect-string --targetcloud adwd --username SYSTEM --pdbname trend1 -outdir /users/analytic/adwd-migr

20.9.2.12 outfileprefix

移行前アドバイザ・ツールのプロパティoutfileprefixでは、移行前アドバイザ・ツールのレポートの接頭辞を指定します。

プロパティ 説明

プロパティ・タイプ

文字列

構文

-P|--outfileprefix prefix-string

説明

移行前アドバイザ・ツールのoutfileprefixプロパティでは、ソース・データベースについて生成された出力レポートに付ける接頭辞を指定します。接頭辞がない場合の、移行前アドバイザ・ツールのレポートまたはログの標準名はpremigration_advisorです。

使用上のノート

様々なレポート出力を区別するには、接頭辞を使用します。たとえば、あるデータベースに関して、一方でOracle GoldenGateによる移行についてレポートを生成し、他方でOracle Data Pumpによる移行についてレポートを生成する場合、あるいはCDBでPDBごとに個別のレポートを生成する場合に、接頭辞の使用によってそれらのレポートを区別できます。

次の例では、接頭辞文字列はcdb4connect-stringは接続文字列が配置される場所を示し、移行ターゲットのOracle CloudデータベースはAutonomous Transaction Processing Sharedです。このコマンドのレポートは、cdb4_premigration_advisor_report.txt およびcdb4_premigration_advisor.logです。

java -jar premigration.jar -c connect-string --targetcloud atps -P cdb4

20.9.2.13 pdbname

移行前アドバイザ・ツールのプロパティpdbnameでは、CPATでレポートを生成するCDBのソースPDBの名前を指定します。

プロパティ 説明

プロパティ・タイプ

文字列

構文

-p|--pdbname pdbname

説明

接続先のPDB名です。ソース・データベースの接続文字列がCDBに対するものである場合のみ適用されます。

使用上のノート

このプロパティは、ソース・データベースの接続文字列がCDBに対するものである場合のみ使用する必要があります。

次の例では、connect-stringはソースCDB用に接続文字列が配置される場所を示します。ソースPDBはtrend4、ターゲットはOracle Cloud Autonomous Data Warehouse Dedicatedデータベースです。

premigration.cmd --connectstring connect-string --targetcloud adwd --username SYSTEM --pdbname trend4 

20.9.2.14 reportformat

移行前アドバイザリ・ツール(CPAT)のプロパティreportformatでは、CPATレポート出力の形式を指定します。

プロパティ 説明

プロパティ・タイプ

文字列

構文

-r|--reportformat -format [format format]

ここでのformatはレポート形式です。CPATでは、JSONまたはTEXT形式がサポートされます。形式が複数ある場合はスペースで区切ります。このオプションを使用しない場合、レポートのデフォルトの形式はtxtです。

説明

このリリースの時点では、移行前アドバイザ・ツールで、JSON形式またはテキスト形式でレポートを生成できます。reportformatプロパティを使用して、必要なレポート出力を指定します。

使用上のノート

生成するレポート出力のタイプを指定するために使用します。このプロパティが指定されていない場合、デフォルトはTEXTです。

ノート:

Oracleでは、テキスト・レポートとJSONレポートの両方を指定し、常にレポートとログ・ファイルを保存することをお薦めします。移行中に問題が発生した場合は、ログ・ファイル、およびテキストとJSONレポートの両方を含む問題の解決に役立つ可能性のあるすべての情報を含めることが重要です。
オプション 説明

json

アップグレード前アドバイザ・ツールでJSON形式でレポートを生成することを指定します。

text

アップグレード前アドバイザ・ツールでテキスト・ファイル形式でレポートを生成することを指定します。

次の例では、JSONおよびテキスト形式のレポート出力が、Oracle Cloud Autonomous Data Warehouse Dedicatedデータベースをターゲットとするレポートに指定されています。生成されるレポートは、premigration_advisor_report.jsonpremigration_advisor_report.txtです。


premigration.cmd --connectstring connect-string --targetcloud adwd --username SYSTEM --sqltext

20.9.2.15 schemas

移行前アドバイザ・ツールのプロパティschemasでは、移行について分析するスキーマのリストを指定します。

プロパティ 説明

プロパティ・タイプ

文字列

構文

-s|--schemas 'schemaname' ['schemaname' 'schemaname' ...]

ここでのschemanameは1つ以上のスキーマ名であり、スペースで区切リます。

説明

移行前アドバイザ・ツールのschemasプロパティでは、クラウドへの移行の準備状況をチェックするスキーマを指定します。その移行方法によって、ソース・データベースでどのチェックが実行されるかが変わります。ソース・データベースで検出された内容は、その移行方法と互換性がない場合は、生成されたレポートで示されます。

使用上のノート

レポートを、チェック実行対象のスキーマの特定のリストに制限するために使用します。スキーマ・モードでは、SCHEMAおよびUNIVERSALスコープ・チェックが実行されます。INSTANCEスコープ・チェックは実行されません。schemasを指定せず、excludeschemasを使用しない場合、デフォルトはfullプロパティを使用して実行されます。Oracleによって管理されるスキーマを除き、データベース内のすべてのスキーマが分析されます。これにより、クラウド・ターゲットに移行しないスキーマの問題がリストされているレポートを受信する可能性があります。

ノート:

CPATで使用するオプションは、Oracle Data Pumpでも使用する必要があります。Oracle Data PumpをFULLモードで使用する場合は、fullプロパティを使用してCPATを実行する必要があります。Oracle Data PumpをSCHEMAモードで使用する場合は、CPATをschemaモードで実行します。

schemasプロパティは、excludeschemas.との併用はできません。チェックするスキーマのスコープの制限は、ソース・インスタンスが複数のアプリケーションをホストしており、それぞれ異なるOracle Autonomous Databaseインスタンスに移行する場合に特に役立ちます。

ノート:

--fullプロパティを指定すると、ソース・データベースでチェックの完全セットを強制的に実行し、--schemasでチェックのスコープを制限する場合に有効になっている制限事項をオーバーライドします。

スキーマ名では、大文字と小文字が区別されていると見なされます。たとえば、systemではなくSYSTEMを使用します。スキーマ名が小文字であるか、大文字と小文字であるか、特殊文字を含んでいる場合は、二重引用符と一重引用符を使用してスキーマ名を指定します。次に例を示します。

--schemas '"MixedCase"' '"Special.Char$"'

次の例では、スキーマADMINおよびMixedCase (ターゲットがOracle Cloud Autonomous Data Warehouse Dedicatedデータベース、connect-stringがソース・データベースへの接続文字列)に対してレポートが生成されます。

premigration.cmd --connectstring connect-string --targetcloud atps --username ADMIN -s 'SYSTEM' '"MixedCase'"

20.9.2.16 sqltext

移行前アドバイザ・ツールのプロパティsqltextでは、TEXTレポートのCPATチェックに使用するSQLを表示するように指定します

プロパティ 説明

プロパティ・タイプ

文字列

構文

-S|--sqltext

説明

移行前アドバイザ・ツールのsqltextプロパティは、デフォルトをオーバーライドし、TEXTレポートのCPATチェックに対して実行されたSQLを非表示にします。このプロパティは、JSONレポートには適用されませんオプションは使用しません。

使用上のノート

CPATは、SQL文を使用してデータベースのチェックを実行します。CPATレポートは、TEXT形式とJSON形式の両方で生成できます。デフォルトでは、各チェックに対して実行されたSQLはTEXTレポートに含まれません。TEXTレポートにSQLを表示するには、このパラメータを使用します。

premigration.cmd --connectstring connect-string --targetcloud adwd --username SYSTEM --sqltext ImpModes TABLES MySchema MyTable

20.9.2.17 sysdba

移行前アドバイザ・ツールのプロパティsysdbaは、データベースへの接続時にAS SYSDBAを強制適用するために使用します。

プロパティ 説明

プロパティ・タイプ

文字、文字列

構文

-d,--sysdba

説明

移行前アドバイザ・ツールのsysdbaプロパティでは、移行前アドバイザ・ツールがソース・データベースにAS SYSDBAで接続することを指定します。

使用上のノート

オペレーティング・システム認証またはSYSユーザーを使用している場合は、--sysdbaを使用する必要があります。また、--sysdbaを使用して、SYSDBAが付与されているユーザーとして接続する必要がありますが、CPATでチェックを実行するために必要な他の権限は接続しないでください。

./premigration.sh --connectstring jdbc:oracle:oci:@ --targetcloud ATPD --sysdba --analysisprops premigration_advisor_analysis.properties

20.9.2.18 targetcloud

移行前アドバイザ・ツールのプロパティtargetcloudでは、移行先のOracle Cloudデータベースのタイプを指定します。

プロパティ 説明

プロパティ・タイプ

文字列

構文

-t | --targetcloud cloudtype

デフォルト

DEFAULTは、ロックダウン・プロファイルが不明なターゲットを示します。

説明

このオプションは、移行前アドバイザ・ツールのtargetcloudプロパティで、移行先のクラウド・データベースのタイプを指定するために使用されます。構成ファイルにおいて、この値を、チェックするデータベースごとに異なる値に設定できます。

使用上のノート

移行するクラウドのタイプを識別するために使用します。これは、ソース・データベースで実行されるチェックの種類に影響します。

オプション 説明

'ATPD'

Oracle Autonomous Database Transaction Processing専用

'ATPS'

Oracle Autonomous Database Serverless

'ADWD'

Oracle Autonomous Data Warehouse専用

'ADWS'

Oracle Autonomous Data Warehouse Serverless。

'DEFAULT'

Oracle Autonomous Database on Exadata Cloud@CustomerやOracle Autonomous Database Cloud Serviceなどのターゲットに使用します。通常、ロックダウン・プロファイルは事前定義されていません

./premigration.sh --targetcloud atps --outfileprefix ATPS_RUN_01 --outdir /path/CPAT_output --reportformat TEXT JSON ...

20.9.2.19 username

移行前アドバイザ・ツールのプロパティusernameでは、ソース・データベースへの接続時に使用するユーザー名を指定します。

プロパティ 説明

プロパティ・タイプ

文字列

構文

-u|--username user-name

説明

--usernameスイッチは、ソース・データベースに接続するユーザーにCPATを提供します。

使用上のノート

指定するユーザー名はSELECT ANY DICTIONARY権限を持ち、SYSTEM.DUM$COLUMNSおよびSYSTEM.DUM$DATABASESELECTが付与されている必要があります。ターゲット・データベースに接続する場合は、ADMINユーザーまたはPDB_DBAロールを持つ別のユーザーを使用します。

premigration --connectstring jdbc:oracle:thin:@example.oracle.com:1521/ORCLPDB1 --username ADMIN -t atps

20.9.2.20 version

移行前アドバイザ・ツールのプロパティversionでは、CPATの現在のバージョンが出力され、終了されます。

プロパティ 説明

プロパティ・タイプ

文字列

構文

-v|--version

説明

移行前アドバイザ・ツールのversionプロパティでは、移行前アドバイザ・ツールのバージョン番号およびリリースされた日付を出力できます。

使用上のノート

このオプションを使用して、実行中のアップグレード前アドバイザ・ツールのバージョンについて情報を取得します。

premigration.sh -v
Premigration Advisor Application Version: 22.10.0 (production)
Build date: 2022/10/18 10:55:43
Build hash: 53950fd
premigration.com --version
Premigration Advisor Application Version: 22.10.0 (production)
Build date: 2022/10/18 10:55:43
Build hash: 53950fd

20.9.2.21 updatecheck

移行前アドバイザ・ツールのプロパティupdatecheckでは、CPATの現在のバージョンが出力され、それより最新のバージョンがないかが確認されてから、終了されます。

プロパティ 説明

プロパティ・タイプ

文字列

構文

-U | --updatecheck

デフォルト値

なし

説明

クラウド移行前アドバイザ・ツール(CPAT)の更新されたバージョンが使用可能かどうかを確認します。新しいバージョンの場合は、yesが出力されます。新しいバージョンがない場合はnoが出力されます。チェックを完了すると、CPATが終了します。正常にチェックを実行するにはネットワーク・アクセスが必要です。

移行前アドバイザ・ツールのupdatecheckプロパティでは、Oracle Supportをチェックして、クラウド移行前アドバイザ・ツール(CPAT)の更新されたバージョンが使用可能かどうかを確認します。

使用上のノート

このプロパティを使用するには、ネットワーク接続が必要です。ネットワーク接続がない場合は、エラーCPAT-4001: Error checking for latest available version of the Cloud Premigration Advisor Toolが表示されます。ネットワークがファイアウォールの内側にある場合は、適切なHTTPSプロキシを定義してこのスイッチを使用する必要があります。

export _JAVA_OPTIONS='-Dhttps.proxyHost=www-proxy.us.oracle.com -Dhttps.proxyPort=80'
./premigration.sh --updatecheck

CPATの最新バージョンがすでにある場合は、次の出力が表示されます:

Picked up _JAVA_OPTIONS: -Dhttps.proxyHost=www-proxy.us.oracle.com -Dhttps.proxyPort=80There is no newer version available of the Cloud Premigration Advisor Tool