手動によるOracle Databaseのアップグレード後にのみ行う作業
DBUAを使用せずに手動でデータベースをアップグレードした場合、アップグレードの完了後に、ここに記載されている作業を実行する必要があります。
- Oracle付属アカウントのパスワードの変更
これらの作業を実行して、新しいOracleユーザー・アカウントを保護することをお薦めします。 - サーバー・パラメータ・ファイルへの初期化パラメータ・ファイルの移行
現在、従来の初期化パラメータ・ファイルを使用している場合、この手順を使用して、サーバー・パラメータ・ファイルに移行します。 - Oracle Textファイルを特定し、新しいOracleホームにコピーする
Oracle Textをアップグレードするには、この手順を使用して必要なファイルを特定し、それを既存のOracleホームから新しいリリースのOracleホームにコピーします。このタスクはOracle Databaseをアップグレードした後で実行します。 - Oracle Clusterware構成のアップグレード
Oracle Clusterwareを使用している場合は、データベースのOracle Clusterwareキーをアップグレードする必要があります。 - 新しいリリース用の初期化パラメータ・ファイルの調整
アップグレード後に初期化パラメータをチェックするには、これらのトピックを参照してください。 - アップグレード後のOracle RACでのCLUSTER_DATABASE初期化パラメータの設定
Oracle RACデータベース・インスタンスを手動でアップグレードする場合は、CLUSTER_DATABASE初期化パラメータを変更して、ノードを新しいリリースのクラスタに再度参加させる必要があります。
親トピック: Oracle Databaseのアップグレード後の作業
Oracle付属アカウントのパスワードの変更
これらの作業を実行して、新しいOracleユーザー・アカウントを保護することをお薦めします。
アップグレード元のリリースによっては、データベースに新しいOracleユーザー・アカウントが含まれる場合があります。SYS
およびSYSTEM
以外のすべてのOracle付属アカウントは、ロックしてパスワードを期限切れにし、アカウントのロックを解除したときに新しいパスワードが要求されるようにすることをお薦めします。
ノート:
Oracle Database 12cのデフォルトのセキュリティ設定が適用されている場合、パスワードは8文字以上にする必要があり、welcome
やoracle
などのパスワードは使用できません。
参照:
パスワード要件については、『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』を参照してください
次のSQL文を発行して、すべてのアカウントの状態を確認できます。
SQL> SELECT username, account_status FROM dba_users ORDER BY username;
次のSQL文を発行して、パスワードをロックまたは期限切れにします。
SQL> ALTER USER username PASSWORD EXPIRE ACCOUNT LOCK;
サーバー・パラメータ・ファイルへの初期化パラメータ・ファイルの移行
現在、従来の初期化パラメータ・ファイルを使用している場合、この手順を使用して、サーバー・パラメータ・ファイルに移行します。
-
初期化パラメータ・ファイルがクライアント・コンピュータ上にある場合は、クライアント・コンピュータからサーバー・コンピュータに転送します。
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CREATE SPFILE
文を使用して、サーバー・パラメータ・ファイルを作成します。この文は、初期化パラメータ・ファイルを読み取り、サーバー・パラメータ・ファイルを作成します。CREATE SPFILE
文を発行するために、データベースを起動する必要はありません。 -
新しく作成されたサーバー・パラメータ・ファイルを使用して、インスタンスを起動します。
ノート:
Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)を使用している場合は、すべてのインスタンス固有の初期化パラメータ・ファイルを単一の初期化パラメータ・ファイルに結合する必要があります。クラスタ・データベースでサーバー・パラメータ・ファイルを使用するために必要な各手順を完了してください。
Oracle Textファイルを特定し、新しいOracleホームにコピーする
Oracle Textをアップグレードするには、この手順を使用して必要なファイルを特定し、それを既存のOracleホームから新しいリリースのOracleホームにコピーします。このタスクはOracle Databaseをアップグレードした後で実行します。
一部のOracle Text機能は、ユーザーが構成したOracleホーム下のファイルを使用します。新しいOracle Databaseリリースへの手動アップグレードの後、または、Oracleホームを変更するすべてのプロセスの後に、これらのファイルを手動で特定し、移動する必要があります。これらのファイルにはユーザー・フィルタ、メール・フィルタ構成ファイルおよびナレッジ・ベース拡張ファイルなどが含まれます。これらのファイルを特定したら、既存のOracleホームから新しいOracleホームにコピーします。
Oracle Clusterware構成のアップグレード
Oracle Clusterwareを使用している場合は、データベースのOracle Clusterwareキーをアップグレードする必要があります。
Oracle Database 12cのsrvctl
を実行してデータベースをアップグレードします。たとえば:
ORACLE_HOME/bin/srvctl upgrade database -db name -o ORACLE_HOME
新しいリリース用の初期化パラメータ・ファイルの調整
アップグレード後に初期化パラメータをチェックするには、これらのトピックを参照してください。
Oracle Databaseの新しいリリースごとに新しい初期化パラメータが導入され、非推奨となったり、サポートが終了した初期化パラメータもあります。ご使用のシステムに有効な可能性のある新しい初期化パラメータを使用するために、これらの変更に対してパラメータ・ファイルを調整する必要があります。また、DBUAを使用しないで手動アップグレードを実行した場合、tnsnames.ora
ファイルには新しい構成情報と設定が自動的に移入されません。したがって、手動でtnsnames.ora
を更新し、local_listener
およびremote_listener
パラメータ参照を調節する必要があります(これらを解決する必要がある場合)。
- アップグレード後のCOMPATIBLE初期化パラメータの設定
テストの後に、COMPATIBLE初期化パラメータを、新しいデータベースに必要な互換性レベルに設定できます。 - アップグレード後のTNSNAMES.ORAおよびLISTENERパラメータの調整
手動アップグレードの実行後、tnsnames.ora
のlocal_listener
およびremote_listener
を解決する必要がある場合、それらのパラメータを手動で調整する必要があります。
参照:
-
新しい初期化パラメータのリストおよび各パラメータの詳細は、Oracle Databaseリファレンスの「このリリースでの変更」を参照してください
アップグレード後のCOMPATIBLE初期化パラメータの設定
テストの後に、COMPATIBLE初期化パラメータを、新しいデータベースに必要な互換性レベルに設定できます。
COMPATIBLE初期化パラメータは、ご使用のデータベースの互換レベルを制御します。使用しているデータベースをダウングレードする機能をもう必要としないことが確実な場合にのみ、COMPATIBLE初期化パラメータをより高い値に設定してください。
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COMPATIBLE初期化パラメータ値を増やす前に、データベースのバックアップを取ります(オプション)。
COMPATIBLE初期化パラメータを高くすると、現在のデータベースが以前のリリースのOracle Databaseとの互換性を失う可能性があります。バックアップによって、必要時に以前のリリースに確実に戻ることができます。
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サーバー・パラメータ・ファイルを使用している場合は、次のステップを実行します。
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COMPATIBLE初期化パラメータの値を設定または変更するには、サーバーのパラメータ・ファイルを更新します。
たとえば、COMPATIBLE初期化パラメータを
12.2.0
に設定するには、次の文を入力します。SQL> ALTER SYSTEM SET COMPATIBLE = '12.2.0' SCOPE=SPFILE;
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インスタンスを停止し、再起動します。
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初期化パラメータ・ファイルを使用している場合は、次のステップを実行します。
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インスタンスが実行中の場合は、停止します。
たとえば:
SQL> SHUTDOWN IMMEDIATE
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COMPATIBLE初期化パラメータの値を設定または変更するには、初期化パラメータ・ファイルを編集します。
たとえば、COMPATIBLE初期化パラメータを
for Oracle Database release 12.2
に設定するには、初期化パラメータ・ファイルに次を入力します。COMPATIBLE = 12.2.0
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STARTUP
を使用してインスタンスを起動します。
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ノート:
ASMディスク・グループを使用している場合、ディスク・グループの互換性属性は、init.ora
のデータベース互換性パラメータの値以下である必要があります。
参照:
バックアップの実行の詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。
親トピック: 新しいリリース用の初期化パラメータ・ファイルの調整
アップグレード後のTNSNAMES.ORAおよびLISTENERパラメータの調整
手動アップグレードの実行後、tnsnames.ora
のlocal_listener
およびremote_listener
を解決する必要がある場合、それらのパラメータを手動で調整する必要があります。
Oracleの自動アップグレード・ユーティリティは、自動アップグレード中にネットワーク・ネーミングおよびリスナーに対する変更を実行します。ただし、手動アップグレードでは、tnsnames.ora
もリスナーも変更されません。
親トピック: 新しいリリース用の初期化パラメータ・ファイルの調整
アップグレード後のOracle RACでのCLUSTER_DATABASE初期化パラメータの設定
Oracle RACデータベース・インスタンスを手動でアップグレードする場合は、CLUSTER_DATABASE初期化パラメータを変更して、ノードを新しいリリースのクラスタに再度参加させる必要があります。
クラスタ・メンバー・ノードのアップグレードでは、クラスタ・データベースをアップグレードする前にCLUSTER_DATABASE
初期化パラメータをfalse
に設定します。
アップグレードの完了後に、このパラメータをtrue
に設定して、ノードを新しいリリースのクラスタに再度参加させることができるようにする必要があります。
ノート:
Database Upgrade Assistant (DBUA)を使用してアップグレードを実行する場合は、DBUAによってこの作業が自動的に行われます。