データ・ポンプとは
データ・ポンプは、ソースOracle GoldenGate構成内のセカンダリExtractグループです。
データ・ポンプを構成すると、Extractプロセスは取得したすべての操作をソース・データベースの証跡ファイルに書き込みます。データ・ポンプは、ソース・データベースの証跡ファイルを読み取り、データ操作をターゲット・データベースのリモート証跡ファイルにネットワークを介して送ります。データ・ポンプの構成は、ほとんどの構成でお薦めします。データ・ポンプを使用しない場合、Extractは取得したすべての操作をリモート・ターゲット・データベース上の証跡ファイルにストリーミングします。一方で、データ・ポンプを使用する標準的な構成では、プライマリExtractグループがソース・システムの証跡に書き込みます。データ・ポンプは、この証跡を読み取り、データ操作をネットワーク経由でターゲットのリモート証跡に送信します。データ・ポンプによって、記憶域の柔軟性が向上すると同時に、プライマリExtractプロセスがTCP/IPアクティビティから分離されます。
通常、データ・ポンプでは、データのフィルタリング、マッピングおよび変換を実行できます
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データ操作の実行: データのフィルタリング、マッピングおよび変換を実行するようにデータ・ポンプを構成できます。
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データ操作の実行なし: データを操作せずにそのままの状態で単純に転送するパススルー・モードでデータ・ポンプを構成できます。パススルー・モードでは、オブジェクト定義を参照するすべての機能が回避されるため、データ・ポンプのスループットが向上します。
データ・ポンプの構成はオプションですが、ほとんどの構成にお薦めします。データ・ポンプを使用する理由として、次のことがあげられます。
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ネットワークおよびターゲットの障害に対する保護: ターゲット・システムに証跡のみが存在するOracle GoldenGateの基本構成では、Extractが継続的にメモリーに抽出するデータ操作の格納場所がソース・システム上に存在しません。ネットワークまたはターゲット・システムが使用できなくなると、Extractはメモリーを使い果して異常終了する可能性があります。これに対し、ソース・システムに証跡とデータ・ポンプがあれば、取得データをディスクに移動して、プライマリExtractの異常終了を防ぐことができます。接続が回復されると、データ・ポンプは、ソース証跡からデータを取得して1つ以上のターゲット・システムに送信します。
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データのフィルタリングまたは変換の複数フェーズによる実装。複雑なフィルタリング構成またはデータ変換構成を使用する場合、データ・ポンプを構成して、最初の変換をソース・システムまたはターゲット・システムのいずれかで(あるいは中間システムで)実行し、別のデータ・ポンプまたはReplicatグループを使用して2番目の変換を実行できます。
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多くのソースから中央ターゲットへのデータの統合。複数のソース・データベースと中央ターゲット・データベースとを同期する場合、抽出したデータ操作を各ソース・システムに格納し、それらの各システムでデータ・ポンプを使用してターゲット・システムの証跡にデータを送信できます。記憶域の負荷がソース・システムとターゲット・システムで分割されるため、複数のソースから送信されるデータに対応するためにターゲット・システムに大量の領域を用意する必要がなくなります。
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1つのソースと複数のターゲットの同期。複数のターゲット・システムにデータを送信する場合、ソース・システムで各ターゲット用のデータ・ポンプを構成できます。いずれかのターゲットに対するネットワーク接続が切断されても、他のターゲットにデータを送信できます。