4 DB2 for iデータベースのためのOracle GoldenGateのインストール

DB2 for iデータベース用にOracle GoldenGateをインストールする方法を学習します。

DB2 for i用Oracle GoldenGateをDB2 for iソース・システムで直接実行し、レプリケーション用トランザクション・ジャーナルからターゲット・システムへデータを取得します。ターゲットDB2 for iにデータを適用するには、Oracle GoldenGateをDB2 for iターゲット・システムで直接実行するか、リモートのWindowsまたはLinuxシステムで実行します。リモート・システムにインストールした場合は、ReplicatがODBC接続を使用してデータを配信するため、Oracle GoldenGateソフトウェアはDB2 for iターゲットにはインストールしません。

ノート:

DB2 for iプラットフォームでは、1つ以上のジャーナルを使用してトランザクション変更データのレコードが保持されます。ベースとなるOracle GoldenGateの管理ドキュメントやリファレンス内の用語との一貫性を保つため、ジャーナルという語を使用する必要性がない場合、ログまたはトランザクション・ログという語をジャーナルという語と区別せずに使用します。

トピック:

ディスクの要件

この項では、Oracle GoldenGateのディスク要件を概説します。

  • Oracle GoldenGateダウンロード・ファイルのサイズを確認するには、Oracle Software Delivery Cloudから選択したビルドをダウンロードする前に、「サイズ」列を表示します。表示される値は、圧縮形式でのファイルのサイズです。ディスクで解凍した後のOracle GoldenGateインストール・ディレクトリのサイズは、それより大幅に大きくなります。

  • 仮想メモリー用に十分なディスク領域を使用可能にします。Oracle GoldenGateキャッシュ・マネージャによって設定されるデフォルトは、64ビット・システムでは64GBです。メモリー管理の詳細は、「メモリー要件」を参照してください。

  • Oracle GoldenGateの証跡(作業データが含まれているファイル)をホストするシステム上の追加の1GBのディスク領域。証跡によって消費される領域は処理されるデータ量に応じて異なるため、これとは多少異なる容量が必要となる場合があります。『Oracle GoldenGateの管理』で証跡のサイズ設定のガイドラインを参照してください。

メモリーの要件

Oracle GoldenGateに必要なメモリー量は、処理されるデータ量、実行するOracle GoldenGateプロセス数、Oracle GoldenGateで使用できる主記憶域(RAMまたは物理メモリー)の量、使用可能な物理メモリーを超えるトランザクション・データのキャッシュにOracle GoldenGateで使用できる補助記憶域(共有メモリー・セグメントとして使用可能なディスク領域)の量によって異なります。

Oracle GoldenGateによって使用される主記憶域の量は、Oracle GoldenGateプロセスではなく、オペレーティング・システムによって制御されます。Oracle GoldenGateキャッシュ・マネージャは、オペレーティング・システムのメモリー管理機能を利用して、Oracle GoldenGateプロセスを持続的かつ効率的に機能させます。

DB2 for iプラットフォームでは、Oracle GoldenGateキャッシュ・マネージャに十分な共有メモリー・セグメントを用意するために、PASE_MAXSHR64環境変数に推奨される設定値は513 (128GB)以上です。DB2 for iネイティブのOracle GoldenGateコマンドを使用する場合は、PASE_MAXSHR64を設定してキャッシュ・マネージャに128GBの共有メモリー・セグメントを自動的に用意します。DB2 for iネイティブ・コマンドを使用しない場合は、DB2 for i PASEセッションを開始する前にこの環境変数を設定できます。Oracle GoldenGateのメモリー要件の評価の詳細は、『Oracle GoldenGateリファレンス』CACHEMGRパラメータに関する項を参照してください。

ノート:

PASE_MAXSHR64が設定されていない場合、仮想メモリーが推奨量より少ないことを示す警告メッセージが表示される場合があります。トランザクションが非常に大規模で長時間の場合や同時トランザクションの数が非常に多い場合以外、このメッセージは無視してもかまいません。

Oracle GoldenGateセキュリティ権限

この項では、Oracle GoldenGateがソースDB2 for iシステムおよびWindowsまたはLinuxターゲット・システムで必要とするセキュリティ権限について概説します。

Oracle GoldenGateセキュリティ権限

サブディレクトリを作成する処理やプログラムを実行する処理を実行するため、Oracle GoldenGateをインストールするユーザーに、Oracle GoldenGateのインストール・ディレクトリに対する読取りと書込みの権限が必要です。Windowsシステムでは、Oracle GoldenGateをインストールするユーザーは管理者としてログインする必要があります。

Manager、ReplicatおよびCollector (プログラム名は"server")がアクティブです。Managerは、他のプロセスを制御し、受信データを受け取るCollectorと対話します。Replicatは、ODBCを介してターゲットDB2 for iデータベースにデータを適用します。

Oracle GoldenGateプロセスに、Oracle GoldenGate専用のユーザー・アカウントを割り当てます。他のプログラムでは使用できません。1つのユーザー・アカウントをすべてのOracle GoldenGateプロセスで使用できます。このアカウントには、Oracle GoldenGateインストール・ディレクトリ内のファイルおよびディレクトリの読取り、書込みおよび削除権限が必要です。

Extractユーザー・プロファイルに必要な権限がない場合、Extractは次のエラーを記録して停止します。

[SC=-1224:SQL1224N A database agent could not be started to service a request, or was terminated as a result of a database system shutdown or a force command.SQL STATE 55032: The CONNECT statement is invalid, because the database manager was stopped after this application was started]

ユーザー・プロファイルは、パラメータ・ファイルを構成するときに、USERIDパラメータで指定する必要があります。また、データベースを操作するGGSCIコマンドを発行する前に、DBLOGINコマンドで指定する必要があります。

DB2 for iソース・システムでのOracle GoldenGateセキュリティ権限

サブディレクトリを作成する処理やプログラムを実行する処理を実行するため、Oracle GoldenGateをインストールするユーザーに、Oracle GoldenGateのインストール・ディレクトリに対する読取りと書込みの権限が必要です。このユーザーにはRSTOBJコマンドに対する権限も必要です。また、必要に応じてライブラリを作成できる必要があります。インストールを簡単にするために、製品をインストールするユーザーは*ALLOBJ権限を保有することをお薦めします。

DB2 for iソース・システムでは、ManagerおよびExtractプロセスがアクティブです。異なるターゲット・システムにデータをレプリケートする場合、DEFGENユーティリティもアクティブです。DB2 for iターゲット・システムでは、リモートのWindowsまたはLinuxシステムにReplicatをインストールしないかぎり、Replicatプロセスはアクティブです。どちらのシステムでもプロセスはすべて双方向構成で実行されます。

Oracle GoldenGateプロセスに、Oracle GoldenGate専用のユーザー・プロファイル・アカウントを割り当てます。他のプログラムでは使用できません。1つのユーザー・プロファイルをすべてのOracle GoldenGateプロセスで使用できます。このプロファイルでは、Oracle GoldenGateによる操作対象のオブジェクトにのみ権限を付与します。特定の変更データがOracle GoldenGateからアクセスできない場合、そのデータは、Oracle GoldenGateユーザー・プロファイルからアクセス可能なジャーナルには含めないでください。すべてのOracle GoldenGateプロセスに、Oracle GoldenGateインストール・ディレクトリ内のファイルおよびディレクトリの読取り、書込みおよび削除権限が必要です。

Managerプロセスには、他のすべてのOracle GoldenGateプロセスを制御する権限が必要です(DB2 for i *JOBCTL権限)。

Extractユーザー・プロファイルがアクセスする必要のあるシステム上のすべてのオブジェクトには、*USE権限を割り当てます。Replicatユーザー・プロファイルがアクセスする必要のあるシステム上のすべてのオブジェクトには、*CHANGE権限を割り当てます。これを行うには、*ALLOBJ権限をユーザーに付与するか、ユーザーがアクセスする必要のあるオブジェクト(FILELIBRARYおよびJOURNALオブジェクト)に個別の権限を設定します。これには、SQLカタログが含まれるQSYS2ライブラリ内のオブジェクトが含まれます。これらの権限は、5250端末セッションを介したネイティブDB2 for iインタフェース、またはIBM社から入手できるDB2 for i Operations Navigator製品を使用して付与する必要があります。

ExtractおよびReplicatのデータベース・ユーザー・プロファイルは、パラメータ・ファイルを構成するときに、USERIDパラメータで指定する必要があります。また、データベースを操作するGGSCIコマンドを発行する前に、DBLOGINコマンドで指定する必要があります。

一般的な要件

  • Portable Application Solution Environment (PASE)がシステムにインストールされている必要があります。

  • OpenSSHのシステムへのインストールをお薦めします。OpenSSHは、IBM Portable Utilitiesライセンス付きプログラムに含まれており、これを使用すると、SSH端末からシステムへ他のLinuxシステムと同様にアクセスできます。

  • 次の各表に、Oracle GoldenGateのリリースで必要なIBM DB2 for iのプログラム一時修正(PTF)の詳細をまとめます。

    IBM i6.1のグループPTF レベル 名前 ノート

    SF99610

    13058

    累積PTF

    その他の必須PTF: 5761SS1、SI51061

    コマンドによる確認: DSPPTF LICPGM(5761SS1) SELECT(SI51061)

    SF99601

    30

    DB2 for i

    .

    SF99609

    153

    グループHIPER

    .

    SF99354

    15

    TCP/IP

    .

    SF99562

    24

    JAVA

    Javaエージェントではプロダクト5761JV1オプション12 (Java SE 6 64ビット)が必要です。

    IBM i7.1のグループPTF レベル 名前 ノート

    SF99710

    15142

    累積PTF

    その他の必須PTF: 5770SS1、SI51060

    コマンドによる確認: DSPPTF LICPGM(5770SS1) SELECT(SI51060)

    SF99707 11 Technology refresh

    .

    SF99701

    26

    DB2 for i

    .

    SF99709

    99

    グループHIPER

    .

    SF99367

    7

    TCP/IP

    .

    SF99572

    12

    JAVA

    Javaエージェントではプロダクト5761JV1オプション12 (Java SE 6 64ビット)が必要です。

    IBM i7.2のグループPTF レベル 名前 ノート

    SF99720

    16127

    累積PTF

    その他の必須PTF: 5761SS1、SI51061、コマンドによる確認: DSPPTF LICPGM(5761SS1) SELECT(SI51061)

    SF99717

    4

    Technology refresh

    .

    SF99702

    12

    DB2 for i

    .

    SF99719 67 グループHIPER

    .

    SF99767

    2

    TCP/IP

    .

    SF99716

    9

    JAVA

    Javaエージェントではプロダクト5761JV1オプション12 (Java SE 6 64ビット)が必要です。

    これらの必須PTFのレベルは、12cリリースのOracle GoldenGateがテストされる対象となったレベルです。グループPTFレベルを確認するには、5250端末セッションからWRKPTFGRPコマンドを使用し、前述の表に記載されているコマンドで特定のPTFを確認する必要があります。特定の必須以外のPTFは、少なくとも一時的に適用する必要があります。

DB2 for iのためのインストール

次のステップに従って、DB2 for iシステム用にOracle GoldenGateをインストールします。

ノート:

インストールを実行するユーザー・プロファイルには、RSTOBJコマンドに対する権限が必要です。

  1. Oracle GoldenGateをインストールするシステム上に、Oracle GoldenGate用のディレクトリを作成します。
    - MKDIR DIR('/GoldenGate')
    
  2. Oracle GoldenGate用のディレクトリはインストール・システム上に作成できます。またはこのステップの後半で実行するインストール・スクリプトを使用して作成することもできます。
    - CRTLIB LIB(goldengate) TEXT('Oracle GoldenGate Product Library') ASP(1)
  3. システムにダウンロード・ファイルを解凍します。
  4. 結果のtarファイルをそのシステムからDB2 for iインストール・システム上に作成したフォルダにFTPします。
    ftp IBMi_IP_address 
    .
    User (system:(none)):userid 
    . 
    331 Enter password. 
    . Password: password . 
    230 userid logged on. . 
    ftp> bin 
    . 
    ftp> cd goldengate 
    . 
    ftp> put install_file 
    . 
    ftp> quit 
    
  5. (ライブラリを作成した場合) 5250端末セッションから、現行ライブラリをOracle GoldenGateライブラリに変更します。
    CHGCURLIB Oracle_GoldenGate_ library
  6. QP2TERM端末セッションを実行します。
    - CALL QP2TERM
    
  7. tarファイルからインストール・オブジェクトを解凍します。
    tar -xf tar_file 
    
  8. Oracle GoldenGateディレクトリで、シェル・スクリプトggos400installを実行します。
    ggos400install -l goldengate

    デフォルトでは、現行ライブラリ(これまでのステップで設定)に必須オブジェクトがインストールされますが、 -cオプションを使用してライブラリを作成することもできます。その他のオプションも使用可能です。

    ノート:

    Oracle GoldenGateディレクトリごとに別個のOracle GoldenGateライブラリが必要です。インストール・スクリプトでは、この条件をチェックして別のインストールで使用されているのと同じライブラリにインストールされないようにします。これは、Oracle GoldenGateインストールとOGGPRCJRN *SRVPGMオブジェクト間の不一致を回避するためです。

    構文:

    ./ggos400install [-h] [-f] [-u userid] [[-a aspname] | [-n aspnum]] [-c|-l library name]
     

    オプション:

    • -h: この使用方法のヘルプを表示します。

    • -f: 新しいインストール・ライブラリに強制的に変更します。この引数は、既存のインストールにのみ影響します。

    • -u userid: インストールを所有するユーザーIDを指定します。

    • -a aspname: オブジェクトがリストアされるASPの名前を指定します。aspnameを指定しないと、システムASPとみなされます。このオプションは、-nと組み合せて使用することはできません。

    • -n aspnum: オブジェクトがリストアされるユーザーASPの数を指定します。このオプションは、-aと組み合せて使用することはできません。

    • -c library: オブジェクトがリストアされるライブラリの名前を指定します。ライブラリが作成されます。

    • -l library: オブジェクトがリストアされるライブラリの名前を指定します。ライブラリは存在している必要があります。新しいインストール用のライブラリを指定しないと、インストーラを実行しているユーザーの現行ライブラリの使用が試行されます。既存のインストール用のライブラリを指定しないと、oggprcjrn.srvpgmリンクで設定されているライブラリの使用が試行されます。

    ノート:

    Oracle GoldenGateを再インストールする場合は、ggos400installを再度実行する必要があります。再インストール時、ggos400installは前の構成を認識するため、引数は不要です。oggprcjrn.srvpgmリンクを変更または削除した場合は、リンクで指定したOracle GoldenGateインストール・ライブラリを使用してggos400installを再度実行する必要があります。

  9. QP2TERMを終了します。
    - F3

    ノート:

    DB2 for iシステムでは、Oracle GoldenGateインストール・ディレクトリ内に作業ディレクトリを作成する必要はありません。ggos400installスクリプトによってこのタスクは実行されます。

  10. DB2 for iデータベース・サーバーにOracle GoldenGateをインストールします。すべてのプラットフォームに対するインストールを参照してください。