5 DB2 z/OSデータベースのためのOracle GoldenGateのインストール

DB2 z/OSデータベース用にOracle GoldenGateをインストールするための要件と方法について学習します。

トピック:

システム・サービス

UNIX System Services (USS)は、Extractサポート・モジュールの実行可能ファイルをインストールするために必要な場合にのみアクティブ化します。

Oracle GoldenGateでは、シスプレックス・データ共有がサポートされます。

メモリーの要件

Oracle GoldenGateは、ローカル・システムに次のメモリー・リソースを必要とします。

リモート・システム上

Oracle GoldenGateに必要なメモリーの量は、処理されるデータの量、実行されるOracle GoldenGateプロセスの数、Oracle GoldenGateで使用可能なRAMの量、およびオペレーティング・システムでRAMを開放する必要がある場合(通常はロー・ウォーターマークに達した場合)にRAMのページを一時的に格納するためにOracle GoldenGateで使用可能なディスク領域の量に応じて異なります。このRAMからディスクへの一時的な格納は、一般にスワッピングまたはページングと呼ばれます。プラットフォームによっては、スワップ領域という用語は、スワップ・パーティション、スワップ・ファイルまたは共有メモリー・セグメント(IBM iプラットフォーム)と呼ばれます。

最近のサーバーには、Oracle GoldenGateを実行するために十分なRAMとスワップ領域、メモリー管理システムが備わっています。ただし、Oracle GoldenGateで使用できるRAMの量を増やすと、Oracle GoldenGateのパフォーマンスおよびシステム全般のパフォーマンスが大幅に向上する場合があります。

通常のOracle GoldenGateインストールでは、RAMページからディスクへのスワッピングが過度に発生しないよう数GBのRAMが指定されます。RAMの競合が多いほど、多くのスワップ領域が使用されます。

ディスクへのスワッピングが過度に発生する場合、コミット・レコードを受信するまで各オープン・トランザクションのデータを格納する必要があるため、特にExtractプロセスにパフォーマンスの問題が生じます。Oracle GoldenGateがデータベースと同じシステムで稼働する場合、使用可能なRAMの量は、両方のパフォーマンスにとって非常に重要になります。

RAMとスワップの使用量は、Oracle GoldenGateプロセスではなく、オペレーティング・システムによって制御されます。Oracle GoldenGateキャッシュ・マネージャは、オペレーティング・システムのメモリー管理機能を利用して、Oracle GoldenGateプロセスを持続的かつ効率的に機能させます。ほとんどの場合、ユーザーは、デフォルトのOracle GoldenGateメモリー管理構成を変更する必要はありません。

Oracle GoldenGateのメモリー要件の評価の詳細は、『Oracle GoldenGateリファレンス』CACHEMGRパラメータに関する項を参照してください。

DB2ホスト・システム上

ログ・バッファのサイズに応じて起動されるOracle GoldenGateログ・リーダー(oggreadx)ごとにおおよそ10MBから50MBの仮想メモリーを割り当てます。リモート・システムのExtractプロセスごとに1つ起動されます。最大ログ・バッファ・サイズを調整するには、Extractパラメータ・ファイルでTRANLOGOPTIONS BUFSIZEパラメータを使用します。

Extractログ・リーダー・コンポーネントのワークロード・マネージャ(WLM)環境を設定する場合は、環境に応じてNUMTCBを10-40の範囲に設定することをお薦めします。これは、次に示すIBMの一般的なガイドラインに基づいています。

lhttps://www.ibm.com/support/knowledgecenter/en/SSEPEK_11.0.0/perf/src/tpc/db2z_assignprocfunc2wlmappenv.html

DB2 z/OSのディスク要件

DB2ホスト・システム上

(ストアド・プロシージャをインストールしている場合にのみ適用されます。)zFS (zSeriesファイル・システム)または階層ファイル・システムボリュームを割り当てます。Oracle GoldenGateダウンロード・ファイルのサイズを確認するには、インストレーション・イメージを展開した後、リモートDB2システム上でzOSPrograms.zipのサイズを調べます。

DB2 z/OSのオペレーティング・システム権限

リモート・ホストでは、Oracle GoldenGate製品ディレクトリのサブディレクトリでchmod +rwコマンドを使用する権限が必要です。

表5-1に、Oracle GoldenGateを使用するために必要なその他のオペレーティング・システム権限を示します。

表5-1 オペレーティング・システム権限

DB2 z/OSユーザー権限 Extract ストアド・プロシージャ Replicat

リモートDB2サブシステムにCONNECTします。

X

X

X

インストール先オペレーティング・システムの選択

Oracle GoldenGate for DB2 for z/OSはzLinux、AIXまたはIntel Linuxシステムでリモートで動作します。データをキャプチャするには、Oracle GoldenGateがDB2ログ・データを読み取れるように、DB2インスタンスを含む小さいコンポーネントをDB2 z/OSシステムにインストールする必要があります。

Oracle GoldenGateをリモートzLinux、AIXまたはLinuxシステムにインストールするには、z/OSシステム上のDB2に接続するために次のオプションを使用できます。

  • DB2 Connect v10.5以降

  • IBM Data Server Driver for ODBC and CLI v10.5以降

  • IBM Data Server Client v10.5以降

  • IBM Data Server Runtime Client v10.5以降

次のことを考慮してください。

  • ExtractはOpen Database Connectivity (ODBC)を使用して、z/OSシステムのDB2サブシステムに接続します。その他のドライバのいずれかがまだインストールされていない場合、IBM Data Server Driver for ODBC and CLIがもっとも軽量のドライバであるため、ほとんどの構成の場合にお薦めします。ただし、他のドライバも適しています。

  • DB2のログ・データをキャプチャするには、ログ・リーダー・コンポーネントがz/OSシステムのライブラリ(PDSE)にインストールされている必要があります。ロード・ライブラリ(PDS)はサポートされません。ライブラリはAuthorized Program Facility (APF)の必要があり、インストールによりシステムを保護するために役立ちます。APF承認プログラムは、承認されたSystem Facility (APF)にアクセスできます。SQLを介してログ・リーダー・コンポーネントがリモート・システムからコールされますが、これはAPF承認であるため、承認されたワークロード・マネージャ(WLM)環境も使用してこれらのプログラムが実行されます。デフォルトのDB2が提供するWLM環境では承認されたワークロードを実行できないためです。

  • Oracle GoldenGate配信には、現在、キャプチャに設定されている以上の特別な要件は必要ありません。このOracle GoldenGateリリースは完全なリモート配布であり、以前のOracle GoldenGate DB2リモート製品は個別には出荷されなくなったためです。ただし、このリリースのOracle GoldenGate for DB2 z/OSではWindowsはサポートされません。それでも、Windowsからz/OSへの配信が必要な場合は、現在でもOracle GoldenGate DB2 Remote 12.2を入手できます。

  • 一部のインストール手順を除いてUNIX System Services (USS)は前のリリースとは異なり不要になりました。

  • Windowsのみ: WindowsからDB2ターゲットにデータを適用するには、Oracle GoldenGate DB2 Remote v12.2を使用する必要があります。このシナリオではキャプチャはサポートされません。

  • DB2ターゲット・システムへのリモート配信用にOracle GoldenGate DB2 Remoteをリモートのシステムにインストールします。この構成では、Replicatは、DB2 Connectに含まれているODBC APIを使用してターゲットDB2データベースに接続します。この構成では、リモート・システムにDB2 LUWがインストールされている必要があります。

    ノート:

    DB2 for z/OSに対してサポートされるOracle GoldenGateの機能はすべて、DB2Connectによってサポートされます。また、ASCII文字データは、DB2 Connectによって自動的にEBCDICに変換されます。

  • Oracle GoldenGateはzLinux、AIXおよびIntelベースのLinuxにインストールできますが、最適なパフォーマンスを実現できるのは、ご使用のz/OSシステムまでのネットワーク・レイテンシがもっとも小さいシステムです。ワイド・エリア・ネットワークで実行することはできますが、ネットワーク・レイテンシが大きくなるためにパフォーマンスが低下します。DB2が実行されているz/OSシステムと同じ物理ハードウェアでzLinuxパーティションを使用し、パーティション間にHiperSocketsまたはVLANを使用することをお薦めします。それ以外では、同じマシン・ルーム内でOSAアダプタで接続されたシステムが次善の選択肢です。または、システム間で高速のイーサネット接続を利用できる場合は、それでも問題ありません。

DB2Connectを使用したDB2 z/OSへのリモート配信の使用

  1. 中間システムとして、DB2 for LUWデータベースに対してOracle GoldenGateでサポートされているプラットフォームを選択します。これは、Oracle GoldenGateがインストールされるシステムです。

  2. ReplicatプロセスでDB2 Connectドライバを使用できるよう、選択したリモート・システムにDB2 for LUWをインストールして実行します。

  3. 次のDB2コマンドを使用して、リモート・システムのDB2 for LUWデータベースでDB2ターゲット・ノードを登録します。

    catalog tcpip node db2_node_name remote DNS_name server DB2_port-number
  4. 次のDB2コマンドを使用して、中間システムのDB2 for LUWカタログにターゲットDB2ノードを追加します。

    catalog db database_name as database_alias at node db_node_name 

これらのコマンドの詳細は、IBM DB2 LUWのドキュメントを参照してください。

DB2 z/OSへのExtractコンポーネントのインストール

次のステップに従って、Oracle GoldenGate for DB2 z/OSのExtractに必要なコンポーネントをインストールします。
Oracle GoldenGate DB2 z/OSオブジェクトに必要な最小ハードウェア・プラットフォームはz10、最小OSリリースは1.12、最小DB2リリースは10.1です。
  1. ライブラリ(PDSE)がz/OSシステムに存在し、このライブラリが承認されたライブラリ・リストに含まれている必要があります。このライブラリはOracle GoldenGateオブジェクトが配置される場所です。
  2. APF承認のWLM環境が存在し、前述のステップのPDSEを参照する必要があります。WLM環境のNUMTCBは、ストアド・プロシージャの場合、10から40にすることをお薦めします。これは、データベースに対して同時に実行されているExtractの最大数およびそれぞれが必要なスループットに依存します。NUMTCBの選択に柔軟性を持たせたい場合、WLMの起動JCLで指定します(ただし、作成パネルでは指定しないでください)。
  3. WLMアプリケーション環境およびストアド・プロシージャの作成のためのセキュリティを設定するには、次の手順を実行します。
    1. (オプション)ストアド・プロシージャを実行できるWLM確立アドレス空間を指定します。このステップを実行しないと、どのWLM確立アドレス空間でもストアド・プロシージャを実行できます。
    2. 特定のWLMアドレス空間にプロシージャを作成するために、ユーザーへアクセス権を付与します。
    3. 特定のスキーマにプロシージャを作成するために、ユーザーへアクセス権を付与します。該当するスキーマのためにCREATINオプションでGRANT文を使用します。
    4. 特定のコレクションにプロシージャのパッケージを作成するために、ユーザーへアクセス権を付与します。該当するコレクションのためにCREATEオプションでGRANT文を使用します。 
    5. アクセス権を付与してWLM環境を該当するユーザーに対してリフレッシュします。
  4. WLMアプリケーションに環境のJCL起動プロシージャの実行に使用するIDにRRSAFを使用する権限があることを確認します。DB2 WLMアドレス空間の1つが起動されるたびに、RRSAFを使用してDB2に接続します。DB2 11 for z/OSインストレーションおよび移行のガイドを参照してください
  5. Oracle GoldenGate for DB2 z/OSのLinuxまたはUNIXインストールの場合、zOSPrograms.zipというZIPファイルがあります。zOSPrograms.zipzOSPrograms.tarに解凍し、zOSPrograms.tarをバイナリ・モードでDB2 z/OSシステムのHFSディレクトリにコピーします。
  6. DB2 z/OSシステムでUSSまたはOMVSを使用して、ディレクトリをzOSPrograms.tarを含むディレクトリに変更します。
  7. tar -xovf zOSPrograms.tarコマンドを使用して、オブジェクトをリストアします。

    ノート:

    このコマンドでは、コピー先は、二重引用符、スラッシュ、一重引用符、承認されたPDSE名、一重引用符、二重引用符で示されています。-Xは大文字のXで、小文字のxではありません

  8. オブジェクトを承認されたPDSEにコピーします。cp –X ogg[ir][ab][0-9]* “//’authorized_PDSE_name’”を使用します(authorized_PDSE_nameは、Oracle GoldenGateオブジェクト用のAPF承認PDSEの名前です)。
  9. 好みのSQLツールを使用してSQLプロシージャを作成し、Oracle GoldenGateがExtractプロセスをコールできるようにする必要があります。Oracle GoldenGateストアド・プロシージャは、レプリケーションのために使用するユーザーのみに対する権限を付与する必要があります。

    Oracle GoldenGateインストール・ディレクトリ内にSQLスクリプトのサンプルがあります。このスクリプトには、DB2 for z/OSインスタンスにストアド・プロシージャを設定するSQL文が含まれています。demo_db2_setupb_os390.sqlスクリプトはDB2 v11.1以上用です。DB2 for z/OSインスタンスに接続できる任意のプラットフォームで任意のSQLツールを使用して実行できます。このスクリプトは、Extractで使用しているDB2インスタンスで実行する必要があります。リモート・インストール・ディレクトリで提供されているスクリプトはASCII形式ですが、同じスクリプトがDB2 z/OSシステムのzOSPrograms.tarではEBCDIC形式でリストアされ、これは、SPUFIなどのネイティブのDB2 z/OSツールを介して使用する場合に適しています。

    スクリプトを実行する前に次の2行を編集する必要があります。

    • OUT BUFFER BLOB行を変更して、Extractで使用されている最大のTRANLOGOPTIONS BUFSIZE値と等しいかそれ以上の値にします。OracleではBLOBサイズを必要以上に大きくすることはお薦めしません

    • WLM ENVIRONMENT行を変更して、ご使用のWLM環境の正しい名前を使用します。

ノート:

oggifi0001スキーマ名はTRANLOGOPTIONS REMOTESCHEMA schemanameパラメータを使用して構成できます。プロシージャ名は構成できません。外部名がPDSEに格納されたオブジェクトのプログラム名と一致し、WLM環境を変更するメンバーがOracle GoldenGateストアド・プロシージャに対して設定されたWLM環境の名前と一致する必要があります

ノート:

OUT BUFFER BLOBサイズは、TRANLOGOPTIONS BUFSIZEの値より小さくならないように指定してください。バッファBLOBをTRANLOGOPTIONS BUFSIZE値と等しい値に設定することによって、z/OSシステムで使用されるメモリー・リソースを制限できます。バッファの正確な値はExtractによって処理されている作業負荷に大きく依存するため、負荷が大きい場合はバッファを大きくして、Extractがアプリケーションに対応できるようにする必要があります。