8 制御グループを使用したリソースの管理
制御グループは、cgroups
と呼ばれ、リソース割当てのためにプロセス(PID
)を階層グループに編成するOracle Linuxカーネル機能です。たとえば、CPU時間を150:100:50の比率で割り当てる必要がある3つのプロセス・セットを特定した場合は、3つのcgroups
を作成し、それぞれに比率の3つの値のいずれかに対応するCPUの重みを割り当て、各cgroup
に適切なプロセスを割り当てることができます。
デフォルトでは、systemd
は次のものに対してcgroup
を作成します:
-
ホストに設定された各
systemd
サービス。たとえば、サーバーには、
NetworkManager
サービスによって所有されるプロセスをグループ化する制御グループNetworkManager.service
と、firewalld
サービスによって所有されるプロセスをグループ化する制御グループfirewalld.service
などがあります。 -
ホストの各ユーザー(
UID
)。
cgroup
機能は/sys/fs/cgroup
に仮想ファイル・システムとしてマウントされています。各cgroupには、/sys/fs/cgroup
ファイル・システム内の対応するディレクトリがあります。たとえば、管理するサービスに対してsystemd
によって作成されたcgroup
は、次のサンプル・コード・ブロックに示すように、コマンドls -l /sys/fs/cgroup/system.slice | grep ".service"
を実行して表示できます:
ls -l /sys/fs/cgroup/system.slice | grep ".service"
...root root 0 Mar 22 10:47 atd.service
...root root 0 Mar 22 10:47 auditd.service
...root root 0 Mar 22 10:47 chronyd.service
...root root 0 Mar 22 10:47 crond.service
...root root 0 Mar 22 10:47 dbus-broker.service
...root root 0 Mar 22 10:47 dtprobed.service
...root root 0 Mar 22 10:47 firewalld.service
...root root 0 Mar 22 10:47 httpd.service
...
また、/sys/fs/cgroup
仮想ファイル・システムの下にディレクトリを作成し、システム要件に従ってプロセスID (PID
)を別のcgroups
に割り当てることで、カスタムcgroups
を作成することもできます。ただし、/sys/fs/cgroup
でcgroup
を手動で作成するかわりに、systemd
を使用してcgroup
を構成することをお薦めします。cgroups
をsystemd
で管理する推奨方法については、『Oracle Linux 8: systemdでのシステムの管理』を参照してください。
ノート:
systemd
を使用して、cgroup
を構成します。
このトピックでは、/sys/fs/cgroup
ファイル・システムでcgroup
ディレクトリを手動で作成し、systemd
がアクセスを提供するカーネルcgroup
機能のバックグラウンド知識を提供します。systemd
を使用してcgroups
を構成することをお薦めします。
Oracle Linuxには、次の2つのタイプの制御グループがあります:
- 制御グループ・バージョン1 (
cgroups v1
) -
これらのグループは、リソースごとのコントローラ階層を提供します。CPU、メモリー、I/Oなどの各リソースには、独自の制御グループ階層があります。このグループの短所は、異なるプロセス階層に属する可能性のあるグループ間でリソース使用を適切に調整することが困難なことです。
- 制御グループ・バージョン2 (
cgroups v2
) -
これらのグループは、すべてのリソース・コントローラがマウントされる単一の制御グループ階層を提供します。この階層では、異なるリソース・コントローラ間でのリソース使用をより適切に調整できます。このバージョンは、柔軟性が高すぎてシステム利用者間のリソース利用の適切な調整を妨げていた
cgroups v1
の改良版です。
どちらのバージョンもOracle Linuxに存在します。ただし、デフォルトでは、cgroups v1
機能が有効になっており、Oracle Linux 8システムにマウントされています。
両方のバージョンの制御グループの詳細は、cgroups(7)
およびsysfs(5)
のマニュアル・ページを参照してください。