PXEブート・ロードの構成

PXEブート・ローダーを構成する手順は、ブート・サーバー用に使用されるシステムのタイプによって異なります。

重要:

サポートする予定のインストールには、正しいカーネルおよびRAMディスク・イメージを使用する必要があります。たとえば、Btrfs rootパーティションを持つシステムをインストールする場合は、UEK Boot ISOを使用して、システムがBtrfsサポートでインストールできるように適切なカーネルおよびイメージを取得する必要があります。

BIOSベースのPXEクライアント用に構成する方法

  1. pxelinux.0ブート・ローダーを含むsyslinuxパッケージをインストールします。
    sudo dnf install syslinux -y
  2. TFTPサーバー・ディレクトリの下にpxelinux/pxelinux.cfgディレクトリを作成します。
    sudo mkdir -p /var/lib/tftpboot/pxelinux/pxelinux.cfg
  3. ブート・ローダー・ファイルをpxelinuxサブディレクトリにコピーします。
    sudo cp /usr/share/syslinux/pxelinux.0 /var/lib/tftpboot/pxelinux
  4. NFS共有ディレクトリから、インストール・カーネル(vmlinuz)およびRAMディスク・イメージ・ファイル(initrd.img)をpxelinuxサブディレクトリにコピーします。
    sudo cp /var/nfs-exports/ISOs/ol8/vmlinuz /var/lib/tftpboot/pxelinux/vmlinuz
    sudo cp /var/nfs-exports/ISOs/ol8/initrd.img /var/lib/tftpboot/pxelinux/initrd.img
  5. ブート・ローダーをメニューとして表示するためのモジュールを、ブート・ローダー・ディレクトリにコピーします。
    sudo cp /usr/share/syslinux/*.c32 /var/lib/tftpboot/pxelinux
  6. pxelinux.cfgサブディレクトリで、エントリを作成してブート構成ファイルに追加します。
    このファイルには、pxe.confなどの任意の名前を割り当てることができます。次の例では、このファイル内の標準的なエントリを示します。
    DEFAULT menu.c32
    TIMEOUT 400
    ONTIMEOUT BootLocal
    PROMPT 0
    MENU INCLUDE pxelinux.cfg/pxe.conf
    NOESCAPE 1
    LABEL BootLocal
        localboot 0
        TEXT HELP
        Boot to local hard disk
        ENDTEXT
    
    LABEL OL8
        MENU LABEL OL8 
        kernel vmlinuz
        append initrd=initrd.img inst.repo=/var/nfs-exports/ISOs/ol8/ \
        inst.ks.sendmac inst.ks=/var/nfs-exports/ISOs/ksfiles/kstart-file
        TEXT HELP
        Install Oracle Linux 8   
        ENDTEXT

    ブート・ローダーは、これらのエントリに基づいて、TIMEOUT期間中にユーザーの介入がなかった場合に自動的にローカル・ドライブからブートを試みます。OSがインストールされていない場合、ブート・ローダーはネットワークからブートし、インストール・プロセスを開始します。

    このリストでは、構成ファイル内で使用されるいくつかのディレクティブを説明します:

    • DEFAULTにより、ブート・ローダー・メニューを表示するために使用するモジュールを特定します。

      基本的なテキスト表示の場合は、menu.c32モジュールで十分です。ただし、画像や色などのグラフィカル表示用のディレクティブを追加するには、かわりにvesamenu.c32モジュールを指定します。

    • TIMEOUTにより、ブート・ローダーが後続のディレクティブに従ってクライアントをブートするまでの期間をtimeout/10秒単位で指定します。次のディレクティブ(ontimeout)により、待機期間を過ぎたときのアクションを指定します。

    • PROMPTにより、デフォルトでboot:プロンプトを表示するかどうかを決定します。PROMPTが1に設定されている場合は、boot:プロンプトが表示されます。PROMPTが0に設定されている場合は、ユーザーがコンソールで[Shift]または[Alt]キーを押さないかぎり、boot:プロンプトは表示されません。

    • MENU INCLUDEにより、作成したブート構成を特定します。

    • kernelにより、カーネル実行可能ファイルの名前を定義します。

    • appendにより、カーネルのロード時に追加するパラメータ(RAMディスク・イメージの名前やファイルの場所など)を定義します。なお、ご使用のシステムからインターネットにアクセスできる場合は、Oracle Linux yumサーバーにあるBaseOSリポジトリを指すようにinst.repo変数を設定できます。たとえば、x86_64プラットフォーム・システムの場合は、inst.repohttps://yum.oracle.com/repo/OracleLinux/OL8/baseos/latest/x86_64に設定できます。

      重要:

      カーネルとRAMディスク・イメージのファイルのパスは、ブート・ローダーが含まれるサブディレクトリ(pxelinuxなど)からの相対パスであるとみなされます。pxelinux/OL8などのサブディレクトリにvmlinuzおよびinitrd.imgファイルを配置する場合は、必ず正しい相対パスを指定してください。

UEFIベースのPXEクライアント用に構成する方法

  1. grub2-efiおよびshimパッケージをダウンロードします:
    mkdir /tmp/boot_rpms
    sudo dnf download shim grub2-efi --downloaddir=/tmp/boot_rpms
  2. パッケージの場所に移動し、その内容を展開します:
    cd /tmp/boot_rpms
    sudo rpm2cpio grub2-efi-version.rpm | cpio -idmv 
    sudo rpm2cpio shim-version.rpm | cpio -idmv
  3. TFTPサーバー・ディレクトリの下に、efiなどのサブディレクトリを作成します:
    sudo mkdir -p /var/lib/tftpboot/efi
  4. ブート・ローダーおよびその他の関連ファイルをefiサブディレクトリにコピーします:
    sudo cp /tmp/boot_rpms/boot/efi/EFI/redhat/grubx64.efi /var/lib/tftpboot/efi
    sudo cp /tmp/boot_rpms/boot/efi/EFI/redhat/shim*.efi /var/lib/tftpboot/efi
    sudo cp /tmp/boot_rpms/boot/efi/EFI/redhat/MokManager.efi /var/lib/tftpboot/efi

    ノート:

    クライアントでセキュア・ブートをサポートするには、shim.efiおよびMokManager.efiファイルが必要です。MokManager.efiには、EFIバイナリへの署名に使用するキーを管理するためのユーティリティが備えられています。その後、/etc/dnsmasq.confファイル内でUEFIベースのクライアント用にdhcp-bootを設定するときに、パススルー・ブート・ローダーとして、shim.efiを指定します。dnsmasqの構成方法を参照してください。

  5. NFS共有ディレクトリから、インストール・カーネル(vmlinuz)およびRAMディスク・イメージ・ファイル(initrd.img)をefiサブディレクトリにコピーします。
    sudo cp /var/nfs-exports/ISOs/ol8/vmlinuz -O /var/lib/tftpboot/efi/vmlinuz
    sudo cp /var/nfs-exports/ISOs/ol8/initrd.img /var/lib/tftpboot/efi/initrd.img
  6. efiサブディレクトリで、エントリを作成してから、それをgrub.cfgブート・ローダー構成ファイルに追加します。

    この構成ファイルには、ネットワークからのブートおよびローカルでブートするためのオプションが含まれています。クライアントが、ネットワークからブートされてインストール・プロセスを開始します。その後、インストール終了時にクライアントが再起動されると、システムがローカル・ドライブからブートされます。

    次の例では、このファイル内の標準的なエントリを示します。

    set default 0
    set timeout=10
    
    menuentry 'ol8 localboot' {
    echo "Booting from local disk"
    set root=(hd0,gpt1)
    chainloader efi/shim.efi
    boot
    }
    
    menuentry 'ol8' {
      echo "Loading vmlinuz"
      linuxefi vmlinuz inst.repo=/var/nfs-exports/ISOs/ol8/ inst.ks.sendmac \
      inst.ks=/var/nfs-exports/ISOs/ksfiles/kstart-file
      echo "Loading /initrd.img"
      initrdefi initrd.img
      echo "Booting installation kernel"
    }

    注意:

    ブート・ローダー構成は、UEFIベースのシステム間で共通ではありません。ディスク・レイアウトが異なるなどの違いがあるため、特定のブート・ローダー設定がすべてのシステムに共通に適用されるわけではありません。前述の例では、ブート・ローダーを構成する方法を1つのみ示しています。設定するシステムに適したブート・ローダー構成を作成する必要があります。

    • linuxefiは、カーネル実行可能ファイルの名前を定義し、カーネルのロード時に追加するパラメータ(インストール・パッケージの場所やファイルの場所など)を定義します。

    • initrdefiにより、RAMディスク・イメージの名前を定義します。

    重要:

    カーネルとRAMディスク・イメージのファイルのパスは、ブート・ローダーが含まれるサブディレクトリ(efiなど)からの相対パスであるとみなされます。efi/OL8などのサブディレクトリにvmlinuzおよびinitrd.imgファイルを配置する場合は、必ず正しい相対パスを指定してください。