2.14 ワークスペースの作成

ユーザーはワークスペースという作業用の共有領域にサインインして、Oracle Application Expressにアクセスします。管理者は、手動でワークスペースを作成することも、自動化されたアプローチを利用することもでき、その場合ユーザーがログイン・ページでリンクをクリックします。

2.14.1 ワークスペースの概要

ワークスペースでは、オブジェクト、データおよびアプリケーションをプライベートに保持しながら、同一のOracle Application Expressのインストール内で複数のユーザーが作業できます。各ワークスペースには、一意の数値IDおよび名前が含まれます。

ワークスペースに変更を加えるためには、ワークスペース管理者がサービスまたは変更リクエストをインスタンス管理者に送信する必要があります。変更リクエストの承認または新しいワークスペースの割当てを行うことができるのはインスタンス管理者のみです。

2.14.2 ワークスペースの作成方法の指定の概要

インスタンス管理者は、特定のOracle Application Expressインスタンスでのワークスペースの割当て(または作成)プロセスの動作方法を決定できます。

プロビジョニングの動作方法を決定するには、インスタンス管理者は、「インスタンスの設定」ページでオプションを選択します。

  • 手動: インスタンス管理者が新しいワークスペースを作成し、ワークスペース管理者にログイン情報を通知します。

  • リクエスト - ユーザーがセルフ・サービス方式で直接ワークスペースをリクエストします。ユーザーはログイン・ページのリンクをクリックしてリクエスト・フォームにアクセスします。ワークスペース・リクエストが承認されると、該当するログイン情報が電子メールで自動的にユーザーに送信されます。

  • 電子メールの検証でのリクエスト - ユーザーがログイン・ページでリンクをクリックしてワークスペースを直接リクエストし、リクエスト・フォームにアクセスします。各ユーザーは、検証リンクを含む電子メールを最初に受信します。ユーザーが検証リンクをクリックすると、リクエストが処理されます。ユーザーは、この後サインイン・ページを使用してワークスペースにアクセスできます。

注意:

ログイン・ページのリンクを使用してユーザーがワークスペースをリクエストできるようにするには、プロビジョニング・ステータスを「リクエスト」または電子メールの検証でのリクエストにする必要があります。割当てステータスが「手動」に設定されている場合、ログイン・ページにリンクが表示されません。

2.14.3 プロビジョニング・モードの選択

プロビジョニングの動作方法を決定するには、インスタンス管理者はプロビジョニング・モードを選択します。

プロビジョニング・モードを選択するには、次の手順を実行します。

  1. Oracle Application Express管理サービスにサインインします。
  2. 「インスタンスの管理」をクリックします。
  3. 「インスタンスの設定」で、「インスタンスの設定」をクリックします。
  4. 「セルフ・サービス」で、プロビジョニング・ステータスを選択します。
    • 手動: インスタンス管理者が新しいワークスペースを手動で作成し、ワークスペース管理者にログイン情報を通知します。
    • リクエスト - ユーザーがセルフ・サービス方式で直接ワークスペースをリクエストします。このオプションを選択することにより、ログイン・ページにユーザーがワークスペースをリクエストできるリンクが表示されます。ユーザーがワークスペースをリクエストすると、各リクエストは承認用のキューに送信されます。リクエストが承認されると、ユーザーにログイン資格証明(ワークスペース名、ユーザー名およびパスワード)を含む電子メールが送信されます。
    • 電子メールの検証でのリクエスト - ユーザーがサインイン・ページでリンクをクリックしてワークスペースを直接リクエストし、リクエスト・フォームにアクセスします。各ユーザーは、検証リンクを含む電子メールを最初に受信します。ユーザーが検証リンクをクリックすると、リクエストが処理されます。ユーザーは、この後サインイン・ページを使用してワークスペースにアクセスできます。

    注意:

    ログイン・ページのリンクを使用してユーザーがワークスペースをリクエストできるようにするには、プロビジョニング・ステータスを「リクエスト」または電子メールの検証でのリクエストにする必要があります。割当てステータスが「手動」に設定されている場合、ログイン・ページにリンクが表示されません。

  5. 「リクエスト」または「電子メールの検証でのリクエスト」を選択した場合は、次のステップを実行します。
    • 検証コードが必要: リクエスト処理時に検証コードを表示して必要とするかどうかを決定します。「はい」または「いいえ」を選択します。
    • 通知の電子メール・アドレス - 新しいワークスペースリクエストとワークスペース変更リクエストについて、通知の電子メール・メッセージを受信する電子メール・アドレスを入力します。指定しない場合、ワークスペースリクエストを通知する電子メール・メッセージは送信されません。
  6. 「変更の適用」をクリックします。

ヒント:

「電子メールの検証でのリクエスト」を選択すると、ワークスペース・プロビジョニングを無効にしたり、ユーザーにメッセージを送信できます。電子メール・プロビジョニングの無効化を参照してください。

2.14.4 Oracle-Managed Filesがワークスペース割当てに及ぼす影響

インスタンス管理者が新しいスキーマを使用してワークスペースを新規に作成する場合、新しい表領域およびデータ・ファイルがそのスキーマに作成されます。Oracle-Managed Filesが有効な場合、新しい表領域のデータ・ファイルを管理します。

Oracle Managed Filesを使用すると、Oracle Databaseの管理が簡単になり、データベースを構成するオペレーティング・システム・ファイルをデータベース管理者(DBA)が直接管理する必要がなくなります。DBAは、Oracle Managed Filesを使用して、ファイル名ではなくデータベース・オブジェクトごとに操作を指定します。新しい表領域のデータファイルには、Oracle Managed Filesの表記規則に従って名前が付けられます。また、それらのファイルの配置は、データベース初期化パラメータDB_CREATE_FILE_DESTによって決定されます。

Oracle Managed Filesを有効にしていない場合は、Oracle Application Expressがインストールされた表領域の最初のデータファイルと同じディレクトリにデータファイルが作成されます。

参照:

Oracle Database管理者ガイドOracle Managed Filesの使用

2.14.5 ワークスペースの手動作成

インスタンス管理者は、完全開発環境またはランタイム環境のいずれかで手動でワークスペースをプロビジョニングできます。

2.14.5.1 完全開発環境でのワークスペースの手動作成

インスタンス管理者はワークスペースの作成ウィザードを実行して、完全開発環境でワークスペースを手動で作成できます。

ワークスペースを手動で作成するには、次の手順を実行します。

  1. Oracle Application Express管理サービスにサインインします。
  2. 「ワークスペースの管理」をクリックします。
  3. 「ワークスペース・アクション」で、「ワークスペースの作成」をクリックします。
    ワークスペースの作成ウィザードが表示されます。
  4. 「ワークスペースの指定」で、次のステップを実行します。
    1. ワークスペース名: 一意のワークスペース名を入力します。
    2. 「ワークスペースID」: 新しいワークスペースIDを自動的に生成させるために、「ワークスペースID」は空白のままにしておきます。ワークスペースIDは、100000より大きい正の整数にする必要があります。
    3. ワークスペースの説明: ワークスペースの説明を入力します。
    4. 「次」をクリックします。
  5. 「スキーマの指定」で、既存のスキーマを再利用するか、新しく作成するかを指定します。

    既存のスキーマを使用する場合

    1. 「既存のスキーマを再利用」 - 「はい」を選択します。

    2. 「スキーマ名」 - リストからスキーマを選択します。

    3. スキーマの情報レポートの情報を調べます。レポートに「推奨される追加権限」が表示される場合、アプリケーションの解析対象スキーマとして使用した場合の権限エラーを回避するために、これらの権限をスキーマに付与することを検討してください。

    4. 「次」をクリックします。

    新しいスキーマを作成する場合

    1. 「既存のスキーマを再利用」- 「いいえ」を選択します。

    2. 「スキーマ名」 - リストからスキーマを選択します。

    3. スキーマ・パスワード - パスワードを入力します。

    4. 領域割当て制限(MB) - 新しいスキーマを作成する場合、そのスキーマに関連付ける表領域の最大サイズを選択します。この制限は、後から調整できます。

    5. 「次」をクリックします。

  6. 「管理者の指定」で、ワークスペース管理者の情報を入力して、「次へ」をクリックします。
  7. 選択内容を確認して、「ワークスペースの作成」をクリックします。

2.14.5.2 ランタイム環境でのワークスペースの手動作成

インスタンス管理者はSQL*Plusを起動し、次のSQL文を実行して、ランタイム環境でワークスペースを手動で作成できます。

ランタイム環境にワークスペースを追加するには、次の手順を実行します。

  1. SQL*Plusを起動して、SYSとしてOracle Application Expressがインストールされているデータベースに接続します。次に例を示します。
    • Windowsの場合:

      SYSTEM_DRIVE:\ sqlplus /nolog
      SQL> CONNECT SYS as SYSDBA
      Enter password: SYS_password
      
    • UNIXおよびLinuxの場合:

      $ sqlplus /nolog
      SQL> CONNECT SYS as SYSDBA
      Enter password: SYS_password
      
  2. 次の文を実行します。
    ALTER SESSION SET CURRENT_SCHEMA = APEX_190100
    
  3. 次の例に、ADD_WORKSPACEプロシージャを使用して、HRおよびOE用の追加のスキーマ・マッピングとともにSCOTTというプライマリ・スキーマを使用するMY_WORKSPACEという新しいワークスペースを追加する方法を示します。
    BEGIN
        APEX_INSTANCE_ADMIN.ADD_WORKSPACE (
            p_workspace_id => 8675309,
            p_workspace => 'MY_WORKSPACE',
            p_primary_schema => 'SCOTT',
            p_additional_schemas => 'SCOTT' );
    END;
    

参照:

Oracle Application Express APIリファレンスの「ADD_WORKSPACEプロシージャ」

2.14.6 複数のワークスペースの作成

複数のワークスペースの作成ウィザードを実行して、複数のワークスペースをプロビジョニングします

複数のワークスペースを作成するには、次の手順を実行します。

  1. Oracle Application Express管理サービスにサインインします。
  2. 「ワークスペースの管理」をクリックします。
  3. 「ワークスペース・アクション」で、「複数のワークスペースの作成」をクリックします。

    「複数のワークスペースの作成」ウィザードが表示されます。

  4. 「ワークスペースのプロビジョニングに以下を使用」で、次のいずれかを選択します。
    • システム生成のワークスペース名

    • 固定の接頭辞と整数連番の接尾辞が付いたワークスペース名

    • ワークスペース名として電子メール・ドメイン名を使用し、重複に対しては整数連番の接尾辞を指定

    次に何が表示されるかは、選択したオプションによって異なります。

    ヒント:

    特定のフィールドの詳細は、フィールドレベル・ヘルプを参照してください。

  5. 「システム生成のワークスペース名」を選択した場合、次を指定します。
    1. ワークスペース数
    2. サンプル・アプリケーションのインストール
    3. サンプルWebシートのインストール
    4. サンプルのEMP表とDEPT表のインストール
    5. 領域割当て制限(MB)
    6. リソース・マネージャ・コンシューマ・グループ
    7. ワークスペースの自動パージを許可
    8. ワークスペースの説明
  6. 「固定の接頭辞と整数連番の接尾辞が付いたワークスペース名」を選択した場合、次を指定します。
    1. ワークスペース接頭辞
    2. ワークスペース数
    3. サンプル・アプリケーションのインストール
    4. サンプルWebシートのインストール
    5. サンプルのEMP表とDEPT表のインストール
    6. 領域割当て制限(MB)
    7. リソース・マネージャ・コンシューマ・グループ
    8. ワークスペースの自動パージを許可
    9. ワークスペースの説明
  7. 「ワークスペース名として電子メール・ドメイン名を使用し、重複に対しては整数連番の接尾辞を指定」を選択した場合、次を指定します。
    1. サンプル・アプリケーションのインストール
    2. サンプルWebシートのインストール
    3. サンプルのEMP表とDEPT表のインストール
    4. 領域割当て制限(MB)
    5. リソース・マネージャ・コンシューマ・グループ
    6. ワークスペースの自動パージを許可
    7. 電子メール・アドレス(電子メール・アドレスを含むテキストがあればカット・アンド・ペースト)(必須の値)
    8. ワークスペースの説明
  8. 「次」をクリックします。
  9. 選択した項目を確認して、「ワークスペースのプロビジョニング」をクリックします。