1.3 以前のリリースのOracle Application Expressからのアップグレード
Oracle Application Expressをアップグレードすると、新しいスキーマに新しいデータベース・オブジェクトが作成され、アプリケーションのメタデータが新しいリリースに移行されます。
Oracle Application Expressリリース18.2x以下をご使用の場合は、このマニュアルに記載されているどのインストール例に従っても、Oracle Application Expressインスタンスがリリース19.1にアップグレードされ、新しいスキーマにOracle Application Express 19.1のデータベース・オブジェクトが作成され、アプリケーションのメタデータが新しいリリースに移行されます。
- リリース番号の規則について
Oracle Application Expressの新規リリースは、カレンダ年に対応しています。 - サンプル・アップグレード・シナリオ
一般的なアップグレード・シナリオには、以前のリリースからのアップグレード、およびOracle Application Expressを含んでいるOracle Databaseリリースのインストールが含まれます。 - Oracle Application Expressリリース・バージョンの確認
Oracle Application Expressリリース・バージョンはワークスペースのホームページで参照できます。 - Oracle REST Data Servicesのバージョンの判定について
Oracle REST Data ServicesのバージョンはApplication Expressのバージョン情報ページで参照できます。 - Oracle Databaseと同梱されているOracle Application Expressリリースのインストールについて
Oracle Databaseリリースに同梱されているOracle Application Expressリリースについて理解します。 - 既存のアプリケーションのアップグレードについて
Oracle Application Expressの新しいリリースをインストールすると、インストール・プロセスにより、既存のアプリケーションが最新のリリースに更新されます。 - アプリケーション互換性モードの指定について
各アプリケーション内のアプリケーション定義で互換性モードを指定できます。 - テスト要件について
Oracle Application Expressアップグレード時の、適切な回帰テストの量の判定は、アップグレードするアプリケーションの複雑さ、サイズおよび数に依存します。 - 環境のクリーンアップについて
すべての環境で最新リリースへのOracle Application Expressのアップグレードが成功したら、環境をクリーンアップする必要があります。 - 元のリリースに戻す
Oracle Application Expressの元のリリースに戻すことができます。
1.3.1 リリース番号の規則について
Oracle Application Expressの新規リリースは、カレンダ年に対応しています。
この規則は、2018年にApplication Express 18.1および18.2で導入されました。
また、Application Expressでは完全リリースしか提供されなくなり、パッチ・セット・リリース(5.1.1など)は提供されなくなりました。パッチ・セットのリリースを消去すると、既存のインストールを更新する際の停止時間が短縮されます。Application Expressアーキテクチャでは、必要に応じて開発者がリリースを元に戻すこともできます。
大きい欠陥については、今後もパッチ・セットの例外(PSE)が提供される場合があります。PSEの詳細は、Oracle Application Expressの既知の問題を参照してください。
1.3.2 サンプル・アップグレード・シナリオ
一般的なアップグレード・シナリオには、以前のリリースからのアップグレード、およびOracle Application Expressを含んでいるOracle Databaseリリースのインストールが含まれます。
表1-1に、一般的なアップグレード・シナリオをリストします。
表1-1 サンプル・アップグレード・シナリオ
アップグレード・シナリオ | アクション |
---|---|
以前のOracle Application Expressリリースからのアップグレード |
「ダウンロード」ページから最新のファイルをダウンロードします。 |
Oracle Application Expressを含むOracle Databaseのインストール。 |
「ダウンロード」ページから最新のファイルをダウンロードします。 |
1.3.3 Oracle Application Expressリリース・バージョンの確認
Oracle Application Expressリリース・バージョンはワークスペースのホームページで参照できます。
Oracle Application Expressのどのリリースを現在実行しているかを判定するには、次のステップを実行します。
1.3.4 Oracle REST Data Servicesのバージョンの判定について
Oracle REST Data ServicesのバージョンはApplication Expressのバージョン情報ページで参照できます。
「Application Expressについて」ページにアクセスするには、「ヘルプ」メニューに移動し、「バージョン情報」を選択します。「CGI環境」セクションの下でAPEX_LISTENER_VERSION
を見つけます。APEX_LISTENER_VERSION
が表示されない場合、Oracle Application ExpressインスタンスはWebリスナーにORDSを使用していません。
1.3.5 Oracle Databaseと同梱されているOracle Application Expressリリースのインストールについて
Oracle Databaseリリースに同梱されているOracle Application Expressリリースについて理解します。
Oracle Application Expressは、次のOracle Databaseリリースに同梱されています。
-
Oracle Database 11gリリース1 (11.1) - Oracle Application Expressリリース3.0。
-
Oracle Database 11gリリース2 (11.2) - Oracle Application Expressリリース3.2。
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Oracle Database 12cリリース1 (12.1) - Oracle Application Express リリース4.2。
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Oracle Database 12cリリース2 (12.2)- Oracle Application Expressリリース5.0。
-
Oracle Database 18c - Oracle Application Expressリリース5.1。
Oracle Databaseのリリースの頻度はOracle Application Expressよりも少ないです。したがって、Oracle Technology Networkにある最新のOracle Application Expressリリースに更新することをお薦めします。詳細は、ご使用の環境の適切なWebリスナーに関するインストール手順を参照してください。
注意:
データベースに同梱されているリリースからOracle Application Expressをアップグレードする場合は、Oracleホーム・ディレクトリ(たとえば、/u01/app/oracle/product/18.0.0/dbhome_1/apex
)内のOracle Application Expressファイルはいずれも変更しないでください。
1.3.6 既存のアプリケーションのアップグレードについて
Oracle Application Expressの新しいリリースをインストールすると、インストール・プロセスにより、既存のアプリケーションが最新のリリースに更新されます。
アップグレード・プロセスは、アプリケーション・ユーザー・インタフェースやアプリケーション・コンポーネントを変更しないように設計されています。結果として、ユーザー・インタフェースに影響する可能性があるアプリケーション・コンポーネントは、アップグレード・プロセスでは変更されません。これらのコンポーネントを手動で検討し、更新する、または現状のまま残すのは、開発者の担当範囲です。既存の機能に影響を与える場合があるコンポーネントの例には、対話モード・レポート、チャート、一部の検証などに追加された新しい機能などがあります。
ヒント:
カスタムXMLを使用するチャートは手動で更新する必要があります。そうしない場合、カスタムXMLは失われます。
参照:
『Oracle Application Expressアプリケーション・ビルダー・ユーザーズ・ガイド』のアプリケーション整合性のチェックのためのアドバイザの実行
1.3.7 アプリケーション互換性モードの指定について
各アプリケーション内のアプリケーション定義で互換性モードを指定できます。
各アプリケーション内では、「アプリケーション定義」で互換性モードを指定することもできます。アプリケーション互換性モードを変更すると、一部のランタイム動作も変更されます。互換性モード・オプションには、「4.1前」、「4.1」、「4.2」、「5.0」、「5.1/18.1」、「18.2」および「19.1」があります。
参照:
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『Oracle Application Expressアプリケーション・ビルダー・ユーザーズ・ガイド』の「アプリケーション属性の編集」
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『Oracle Application Expressアプリケーション・ビルダー・ユーザーズ・ガイド』のプロパティに関する項
1.3.8 テスト要件について
Oracle Application Expressアップグレード時の、適切な回帰テストの量の判定は、アップグレードするアプリケーションの複雑さ、サイズおよび数に依存します。
複雑なページ、特に大きなJavaScriptや、広範なPL/SQLの計算またはプロセスを統合しているページの大部分を含める必要があります。開発者は、「アプリケーションのアップグレード」または「アドバイザ」に基づいて手動で更新するページが回帰テストにも含まれていることを確認する必要があります。残りのページをすべて回帰テストに含める必要はありません。レポート、チャートおよびフォームを含む様々なページ・タイプを適切に代表する内容を含めることをお薦めします。アプリケーションの互換性モードがアップグレード後に変更された場合は、必ず回帰テストに含める必要があります。
エンド・ユーザーが中断されるリスクを最小にするにはアップグレードされたアプリケーションの回帰テストは必須ですが、長期間かからないようにすることが重要です。一般原則:
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ステップ1: 先に開発環境をアップグレードします。開発者がアプリケーションを検討して、必要に応じて初期更新できるようにします。
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ステップ2: QA/テスト環境をアップグレードします。
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ステップ3: アプリケーションを、この環境に組み込まれた開発からアップグレードします。
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ステップ4: 本番環境をアップグレードします。
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ステップ5: アップグレードされたアプリケーションをこの環境に組み込みます。
1.3.9 環境のクリーンアップについて
すべての環境で最新リリースへのOracle Application Expressのアップグレードが成功したら、環境をクリーンアップする必要があります。
新しいリリースでの開発を開始したら、以前のリリースに関連付けられたOracle Application Expressスキーマは削除できます。以前のリリースが別の表領域にインストールされた場合、固有の表領域を単純に削除できます。以前のOracle Application Expressスキーマは、数週間残してから、開発、テストおよび本番環境から削除することをお薦めします。このクリーンアップ・プロセスによりディスク領域が解放され、SQL DeveloperやSQL*Plusなどのツールを使用して古いスキーマにアクセスするユーザーをゼロにできます。