7 Oracle Forms and Reportsのアクセシビリティ機能とヒント

このトピックには、Oracle Forms and Reportsのアクセシビリティ機能に関する情報のリンクおよび関連情報が記載されています。

内容は次のとおりです。

Oracle Reportsのアクセシビリティ機能とヒント

Oracle Reportsで使用可能な機能とオプションによって、アクセシビリティ対応エンタープライズ・レポートを作成できます。特定の方法でレポートを設計して、レポート出力のアクセシビリティを強化することもできます。

Oracle Formsのアクセシビリティ機能とヒント

Oracle Formsのアクセシビリティ機能と情報について取り上げます。

内容は次のとおりです。

Formsの実行とアクセシビリティ機能

この項では、Formsの実行中にアクセシビリティ機能を構成して使用する方法を説明します。Oracle Forms 12cを使用して開発されたWebで実行される画面を、ユーザーが操作していることを前提とします。

  • 汎用ルック・アンド・フィールを使用してオペレーティング・システムで設定された任意のカラー・スキーム、またはOracle Look and Feelの複数の事前定義されたスキームのうち1つを使用して、Formsを実行します

  • ハードコードされた色をオフにします

  • オペレーティング・システムのフォント・サイズをDPIで指定し、フォームのすべてのアイテムの全体的なサイズに反映させます。

  • ZoomText、MAGicまたはSuperNovaなど、Javaをサポートする画面拡大表示を使用します。

  • キーボードのみでFormsを実行します。

  • アクセス・キーを使用してメニュー・アイテム、プッシュ・ボタン、ラジオ・ボタン、チェック・ボックスをアクティブ化します。

  • List Tab Pages機能(通常は[F2]にマップされる)を起動して、タブ・ページを切り替えます。

  • Keyboard Helpに表示されるFormsのキーストローク・マッピングを変更します。

  • 固定キー、トグル・キーなど、オペレーティング・システムのアクセシビリティ機能を使用します。

  • Dragon Naturally Speakingなどの音声認識プログラムを使用して、命令を与えてデータを入力します。

  • JAWSまたはSuperNovaなど、Javaをサポートするスクリーン・リーダーとともにFormsを実行します。

  • 1つのウィンドウにすべてのアイテムとプッシュ・ボタンを表示するOracle E-Business Suiteの機能を使用します。

  • Key-F9機能 -- プロンプト/値の値リスト(LOV) (通常は[Ctrl]+[Shift]+[F9]にマップされる)。

  • Key-F8機能 -- LOVのアクション(通常は[Ctrl]+[Shift]+[F8]にマップされる)。

  • フォームのパーソナライズと呼ばれるOracle E-Business Suiteの機能を使用して、音声プロンプトを変更します。

  • オペレーティング・システムのアクセシビリティ機能のSoundSentryをオンにして、システムで音声が発せられるときに、視覚的な警告を生成します。

この項の内容は、次のとおりです。

Oracle Formsでのスクリーン・リーダーおよびJava Access Bridgeの使用

Oracle FormsはJava Access Bridgeをサポートしているため、Javaをサポートするスクリーン・リーダーの支援技術と統合できます。

デフォルトでは、Java Access Bridgeは有効にされていません。Java Access Bridgeを有効にする方法は、Javaアクセシビリティ・ガイドを参照してください。Oracle Forms、Java Runtime Environment (JRE)およびJava対応スクリーン・リーダーが連携して動作するには、Java Access Bridgeを有効にする必要があります。

キーボードのみを使用する方法は、次を参照してください。

キーボード・アクセス

Oracle E-Business Suiteの機能

アクションおよび値のLOV

Oracle E-Business Suiteに組み込まれた機能により、ユーザーが現在の画面をLOV (値リスト)と呼ばれる圧縮されたテキストのみのポップアップ・ウィンドウ形式で見ることができます。ナビゲーションが不可能なためフォーカスを取得できないフィールドの場合は、スクリーン・リーダーで値とプロンプトを読み上げることはできません。これに対処するため、Oracle E-Business Suiteには特別なコードが用意され、現在のウィンドウのすべてのフィールドに加えて、ウィンドウのナビゲーション不可能なフィールドも特殊なLOVによって表現します。LOVには、キーボードでナビゲーションできないため、スクリーン・リーダーでは簡単に認識できない表示アイテムの値が含まれます。このような特殊なテキストのみのポップアップ・ウィンドウによって、スクリーン・リーダーのユーザーが現在のウィンドウのすべてのウィジェットを素早く識別できます(ただし、複数行のブロックの場合は現在の行のみ)。

アクションLOVはKEY-F8機能によって起動されますが、これは現在のウィンドウのすべてのプッシュ・ボタンのリストです。値LOVはKEY-F9機能によって起動されますが、これはテキスト・アイテム、ラジオ・ボタン、チェック・ボックス、ポップリストなど、現在のウィンドウのその他すべてのウィジェットのリストです。LOVの各行がスクリーン・リーダーによって読み上げられます。LOVはアルファベット順です。両方のLOVによって、ラジオ・ボタン、チェック・ボックスおよびプッシュ・ボタンのアクセス・キーも表示されます。アクションLOVまたは値LOVから値を選択しても、フォーカスはそのフィールドまたはボタンには移動しません。

LOVに表示されるアクセス・キーは、翻訳のために中カッコで囲まれています。たとえば、アクセス・キーのcは{C}と表示され、スクリーン・リーダーはこのテキストをbrace C brace (中カッコC中カッコ)と読み上げます。これを「brace C brace」ではなく「Alt C」と読み上げる方法があるかどうかは、スクリーン・リーダーのメーカーにご確認ください。

KEY-Fn機能はキーボードの[Fn]ボタンとはかぎらないため、注意してください。機能の現在のキー・マッピングは「キーボード・ヘルプ」ウィンドウに示されます。通常、KEY-Fn機能はOracle Terminalリソース・ファイルによって[Ctrl]+[Shift]+[Fn]にマップされます。

アクションおよび値LOV用のOracle Forms汎用コードを使用して、Oracle E-Business Suite以外の開発者が同じような機能をコーディングできます。このコードはご要望に応じて提供されます。

フォームのパーソナライズ

Oracle E-Business Suiteユーザーが音声プロンプトを使用しない場合は、フォームのパーソナライズと呼ばれる強力な機能を活用できます。フォームのパーソナライズ機能を使用して、プロパティの変更、ビルトインの実行、メッセージの表示、メニュー項目の追加など、Formsベースの画面の動作を宣言的に変更できます。
アクセシビリティをサポートするFormsランタイム・オプション

Formsを実行する際のアクセシビリティ機能の使用に関する情報を取り上げます。

ルック・アンド・フィールのカラー・スキーム

Oracle FormsはOracle Look and Feelまたは汎用ルック・アンド・フィールを使用して実行できます。Oracle Look and Feelには、各アイテムの新しいルック・アンド・フィールおよび事前定義されたカラー・スキームのセットが含まれています。汎用ルック・アンド・フィールは、現在のオペレーティング・システムのネイティブ・インタフェースとカラー・スキームに厳密に従います。ルック・アンド・フィールの選択はアクセシビリティ機能に影響します。一般的には、Oracle Look and Feelのほうがアクセシビリティが高くなります。汎用ルック・アンド・フィールを使用してアプリケーションの全体的な色を制御し、コントラストを上げるか下げる必要があるのは、弱視のユーザーのみです。

ユーザーがオペレーティング・システムに用意されたスキームを使用して必要な色を設定し、URLでlookAndFeel=genericを指定すると、設定した色がOracle Formsで使用されます。

  • ルック・アンド・フィールを指定するには、フォームを起動するときにパラメータlookAndFeel=をgenericまたはoracleに設定します

  • Oracle Look and Feelを使用する場合は、次のようにカラー・スキームを指定できます。

    colorScheme= teal、titanium、red、khaki、blue、oliveまたはpurpleのいずれか。

    lookAndFeelをgenericに設定した場合、colorSchemeパラメータは影響しません。

読取り専用フィールド

Oracle Formsは、入力できないフィールド(読取り専用フィールド)が自動的に濃いグレーで表示される機能をサポートします。この機能をオフにするには、URLでreadOnlyBackground=falseと指定します。

フォント・サイズ

フォント・サイズなどのオペレーティング・システムの設定は、フォームのすべてのアイテムの全体的なサイズに影響します。通常はフォント・サイズはハードコードされるため、一般に、これはフォーム内のフォント・サイズを調整する唯一の方法です。

Microsoft Windowsオペレーティング・システムのフォント・サイズ変更の手順:

  1. Windowsの「コントロール パネル」→「フォント」→「フォント サイズの変更」→「カスタム テキスト サイズの設定 (DPI)」→「200%」の順に選択します。

  2. コンピュータを再起動します。

  3. Formsを起動すると、大きなフォントが表示されます。

Oracle E-Business Suiteの機能

プロファイル: Javaルック・アンド・フィールおよびJavaカラー・スキーム

Oracle E-Business Suiteの場合、Oracle Forms画面をOracle E-Business Suite Professionalユーザー・インタフェースまたは他のセルフサービス画面で実行するアクションによって起動できます。これらの画面を実行するために、Javaルック・アンド・フィールおよびJavaカラー・スキームのプロファイルの情報を使用してURLが生成されます。
  • ルック・アンド・フィールを指定するには、Javaルック・アンド・フィール・プロファイルをgenericまたはoracleに設定します。

  • Oracle Look and Feelを使用する場合は、Javaカラー・スキーム・プロファイルを次のように指定できます。teal、titanium、red、khaki、blue、oliveまたはpurple。

  • Javaルック・アンド・フィールをgenericに設定した場合は、Javaカラー・スキーム・プロファイルは影響しません。

プロファイル: FND: Indicator Colors

Oracle E-Business Suiteではデフォルトで次のように表示されます。

  • 必須フィールドは黄色

  • 問合せ可能フィールドは、問合せ入力モードのときは異なる色で表示される

  • 入力不可のフィールド(読取り専用フィールド)はグレー

Oracle E-Business Suite Professionalユーザー・インタフェースを介してOracle Formsを実行するときに、これらの機能をオフにするには、プロファイルFND: Indicator ColorsをNoに設定します。

拡大表示および音声認識と統合するためのFormsの構成

Formを構成して、拡大表示および音声認識と統合できます。

拡大表示

Oracle FormsはJava Access Bridgeをサポートするため、AiSquaredのZoomTextなど、Javaをサポートする拡大表示技術と統合できます。次を参照してください。

Ai Squared Help Center

音声認識

Dragon Naturally SpeakingはJavaをサポートするため、ソフトウェアを構成するために特別な操作などは必要ありません。
Formsのキーボード・ナビゲーション

Oracle Forms内で使用されるすべてのアイテムは、キーボードの使用について、オペレーティング・システムの標準規定に従います。

Microsoft Windowsオペレーティング・システムの場合は、[Alt]+ <文字>を使用してアクセス・キーでアイテムをアクティブ化し、[Alt]+[↓]でポップリストを開き、[Alt]でメニューにフォーカスを移動します。Oracle Formsは固定キーなど、オペレーティング・システムのアクセシビリティ機能を継承します。タブを切り替えるには、各タブ・レベルでのアクセス・キーの使用に加えて、タブ・ページのリスト機能(通常は[F2])を起動します。

「キーボード・ヘルプ」ウィンドウに、次のブロックへ移動、レコード・クリアなど、通常のFormsの操作を実行するためのキーストロークが表示されます。このウィンドウは[Ctrl]+[K]を押していつでも表示できます。キーボードのマッピングは次のようにカスタマイズできます。

  • システム管理者が中間層にあるOracle Formsリソース・ファイル(通常はfmrweb.resと呼ばれる)を見つける必要があります

  • このファイルのコピーを作成して適切な名前を付け、元のファイルと同じディレクトリに格納してください。

  • テキスト・エディタで新しいファイルを開き、必要なキーストローク・マッピングの変更を行います。ファイルの最上部のコメントに、マッピングを実行する方法がわかりやすく記載されています。

  • この新しいマッピング・ファイルを実行するには、URLにterm=fileを含めます。fileではファイル名に加えて完全なパスも指定します。

スクリーン・リーダーを実行するユーザーは、多くの場合、変更済のキーボード・マッピング・ファイルを必要とするか、支援技術のキーストロークの変更を必要とするでしょう。これは、一部のデフォルト機能のマッピングが競合する可能性があるためです。

表7-1 Microsoft Windowsの一般的なデフォルトのFormsキーストローク

アクション キーストローク

Formsキーのリスト

[Ctrl]+[K]

次のフィールドへ

[Tab]

前のフィールドへ

[Shift]+[Tab]

次のブロックへ

[Shift]+[PageDown]

前のブロックへ

[Shift]+[PageUp]

アクションLOV

[Ctrl]+[Shift]+[F8]

値LOV

[Ctrl]+[Shift]+[F9]

ウィンドウのデフォルト・プッシュ・ボタンをアクティブ化(ある場合)

[Enter] ボタンにフォーカスして[Enter]キーを押すと、そのボタンがアクティブになります。ボタン(またはメニュー・アイテム)にフォーカスしていない場合は、[Enter]を押すとデフォルト・ボタン(ある場合)がアクティブになります。

レコードの保存(コミット)

[Ctrl]+[S]

レコード・クリア

F6

レコードの作成

スクリーン・リーダーで標準キーストロークが使用される場合があります。その場合、異なるターミナル・リソース・ファイルを使用して[Ctrl]+[↓]を別の項目にマッピングするか、単にプルダウン・メニューを使用する必要があります。

ウィンドウを閉じる

[Ctrl]+[F4]

タブ・ページのリスト

F2

メニューのアクティブ化

[Alt]を押してから、[↑]/[↓]および[←]/[→]矢印キーで移動

プッシュ・ボタン、ラジオ・ボタン、チェック・ボックスおよび最上部のメニュー・アイテムのアクティブ化

[Alt]+アクセス・キー

ポップリストを開く/閉じるの切替え

[Alt]+[↑]/[↓]矢印キー

現在のプッシュ・ボタンのアクティブ化、チェック・ボックスのはい/いいえの切替え

[Space]

ラジオ・グループ内のラジオ・ボタンを循環して選択

[←]/[→]矢印キー+[Space]

行の先頭へ移動

[Home]

行の末尾へ移動

[End]

行の末尾まで選択(キーストロークがない場合)

[Shift]+[End]/[Shift]+[Insert]+[End]

音声アクティブ化のヒント

Dragon Naturally Speaking (DNS)の[Tab]キー・コマンドを使用しているときに、フォーム内でスタックする場合があります。その場合は、DNSマウス・コマンドを使用してみてください。たとえば、マウス・グリッドまたはマウス移動と矢印キーを使用して、フォーム内の別の位置に移動します。フォームにフレームがある場合は、次のフレームまたは前のフレームへ移動するDNSコマンドを使用できます。

ときにはDNSのキーを押すコマンドが機能しない場合があります(たとえば、[Alt]+[C]または[Ctrl]+[O]を押す)。その場合は、DNSのマウス・コマンドを使用して、カーソルをボタン上またはドロップダウン・リスト上に移動し、マウス・クリックまたは[Enter]キーを押すコマンドでボタンをアクティブにしてみてください。DNSの[Ctrl]+[L]を押すコマンドは、ドロップダウン・ボックスの場合はほぼ必ず機能します(しばしば、省略記号を含むボックスで示されます)。

ボタンには代替テキストはありません。これはHTMLではありません。ラベルです。ボタンのアクセス・キーがある場合、[Alt]+<文字>を押すコマンドを使用できます。アクセス・キーがない場合は、ボタンにフォーカスが移動するまで繰り返し「タブ」といってから、[Enter]を押すコマンドを使用します。

DNSが音声コマンドを受け付けなくなった場合は、DNSのマウス・コマンドを使用してみてください。たとえば、上に移動および下に移動、さらに[Enter]を押すコマンドで、ツリーのブランチを展開します。タブ・コマンドも機能します。

DNSのマウスを上、下、左、右に移動するコマンド、マウスを上にドラッグするコマンドなどが役立ちます。これらのコマンドを使用して、フォームのスクロールバーを制御できます。

Oracle E-Business Suiteの機能

プロファイル: Formsキーボード・マッピング・ファイル

Oracle E-Business SuiteにはFormsキーボード・マッピング・ファイルのプロファイルが用意されています。新しいマッピング・ファイルを実行するには、プロファイルのファイル名に加えて完全なパスを指定します。Oracle E-Business Suite Professionalユーザー・インタフェースを介してOracle Formsを実行する際に、新しいマッピング・ファイルが使用されます。

値リスト

Oracle E-Business Suiteには、LOVを持つ各フィールドの隣にアイコン・ボタンを表示する機能があります。LOVは、キーボードで値リスト機能(通常は[Ctrl]+[L])を押して起動することもできます。

タブ・ページ

Oracle E-Business Suiteのタブは、キーボードのタブ・ページのリスト機能を使用する場合のみ変更可能です。翻訳の問題により、個々のタブ・ラベルにはアクセス・キーはありません。

Formsランタイム・パラメータ

設定可能な多数のランタイム・パラメータがあります。次を参照してください。

パラメータの管理

アクセシビリティ機能をサポートするFormsの構築

Oracle Forms Builder 12cは、アクセシビリティをサポートするために設計された様々な機能をサポートします。この項に記載された情報に基づいてコーディングされた場合、Oracle Forms 12cランタイムはアクセシビリティ対応になります。

アクセシビリティの目的をサポートするためには、Formsが次の機能を持っている必要があります。

  • スクリーン・リーダーはユーザーが耳で聞くために、各アイテムの値とプロンプトにアクセスできる必要があります。ここではこれを音声プロンプトと呼びます。

  • ユーザーがマウスやその他のポインタ・デバイスを操作する必要がないように、キーボードのみですべての機能にアクセスできる必要があります。

  • 弱視のユーザーがすべてのコンテンツを判別できるように、ユーザーがすべての色の使用を制御できる必要があります。

  • ユーザーが設定された時間内に応答する必要がないように、時限機能に依存しないようにします。

  • 点滅やアニメーションの使用は避けます。使用する場合はこれらを無効にするモードを用意します。

  • Oracle Formsには、次のように、これらのアクセシビリティ要件を満たすために十分な属性が用意されています。

  • アイテムがフォーカスを受け取ると、Oracle Formsはアイテムの現在値、音声プロンプトおよび他の属性をスクリーン・リーダーに渡します。

  • すべてのアイテムがキーボードから操作可能で、アイテムに移動したり、アクセス・キーを使用してアイテムを起動できます。

  • すべてのアイテムについて設計時の色としてautomaticを指定可能で、実行時にユーザーのコントロール・パネル設定から適切な色が選択されます。

時限応答とアニメーションに関しては、単純に画面設計から除外することをお薦めします。

組込みベルをエラーの唯一のインジケータとして使用することは許容されます。通常、オペレーティング・システムには、SoundSentryなど、音に関するなんらかのアクセシビリティ・オプションが用意されており、システムが音声を発するときに視覚的な警告も表示されます。

フォーム内でコーディングされたBeanAreasの場合、Javaコードに応じて適切に前述の原則を拡張する必要があります。

この項の内容は、次のとおりです。

スクリーン・リーダーによる読上げ

スクリーン・リーダーで音声プロンプトを使用できるように、Oracle Forms内では、すべてのアイテムにヒント・テキスト、プロンプト、ラベルまたはツールチップ・テキストが追加されている必要があります。画面上の物理的位置などの他の手がかりがないため、スクリーン・リーダーのユーザーには音声プロンプトが一意であることが重要です。

さらに、スクリーン・リーダーのユーザーには次に示すすべての機能が必要です。

キーボード・アクセス

プロンプト

Oracle Formsでは次の優先順序で音声プロンプトが認識されます。

  1. ヒント・テキスト

  2. プロンプト

  3. ラベル

  4. ツールチップ・テキスト

ヒント・テキストから始めて、NULLでない最初の属性(先頭と末尾のスペースは削除)が音声プロンプトとして解釈され、スクリーン・リーダーに送られます。これらの属性のすべてが各アイテムで使用可能だとはかぎりません。使用できない場合はその属性が単にスキップされます。

ノート:

ヒント・テキストを使用する場合、「ヒントの自動表示」プロパティは「いいえ」に設定してください。そうでない場合、ユーザーが製品を操作する際に、追加されたヒント・テキストがメッセージ行に表示され、スクリーン・リーダーによって再度読み上げられます。

表示項目

表示項目はキーボードでナビゲーション可能ではありませんが、テキストのみの形式でポップアップ・ウィンドウにプロンプトと値を表示できるため、Oracle E-Business Suiteで使用されます。

各アイテム・タイプに使用可能な属性

次の表は、各アイテムに使用可能な属性(使用可能)、各アイテムに優先的に使用される属性(優先)、および使用できない属性(使用不可)を示しています。

表7-2 アイテムの属性

アイテム ヒント・テキスト プロンプト ラベル ツールチップ・テキスト

テキスト・アイテム

使用可能

優先

使用不可

使用可能

チェック・ボックス

使用可能

優先

優先

使用可能

ポップリスト

使用可能

優先

使用不可

使用可能

表示項目

使用不可

優先

使用不可

使用可能

ラジオ・グループ

優先

使用不可

使用不可

使用可能

ラジオ・ボタン

使用不可

優先

優先

使用不可

ボタン(テキスト)

使用可能

使用可能

優先

使用可能

ボタン(アイコン)

使用可能

使用可能

使用可能

優先

ツリー

使用可能

優先

使用不可

使用可能

特殊なケースのプロンプト

明白なプロンプト

一般に画面上の物理的位置からフィールドの目的が明白にわかるため、プロンプトが表示されないフィールドがあります。

一意でないプロンプト

関連オブジェクト名など、一意でないプロンプトまたはそれ自体では意味がないプロンプトを持つフィールドもあります。

このようなすべてのフィールドには画面上のプロンプト用のプロンプト属性を使用し、さらに音声プロンプト用のヒント・テキストを付ける必要があります。

マトリックス・レイアウト

もう1つの一般的な構造としてマトリックス形式のフィールドがあります。この場合、ボイラープレート(グラフィック・テキスト)とプロンプトを使用して画面上のフィールドにラベルを付ける必要があります。各フィールドに行および列のプロンプトを組み合せたヒント・テキストが必要です。複数行ブロックの場合は、WHEN-NEW-ITEM-INSTANCEトリガーでヒント・テキストを動的に変更し、現在のレコードのプロンプトを反映する必要があります。

プロンプトを模倣する表示項目の使用

動的プロンプトを模倣する表示項目を利用する方法は避けてください。ただし、次のように絶対に必要な場合は除きます。

  • 特殊な特徴を示す必要があるプロンプト。たとえば、ベベルなど(実際のプロンプト属性にこのようなプロパティはありません)。

  • 表示項目に必要なクリッピング動作。つまり、表示項目の幅を越えてテキストを表示しない場合(実際のプロンプト属性にwidthプロパティはありません)。

  • 複数行のプロンプトが必要な場合(プロンプト属性は複数行テキストをサポートしますが、開発者が適切な位置に復帰改行文字を挿入する必要があり、翻訳後にこれが保持されない可能性があります。逆に、ボイラープレートまたは表示項目の場合は自動的にテキストを折り返すことができます)。

表示項目を画面上の動的プロンプトに使用する必要がある場合は、関連するフィールドにヒント・テキストを追加し、スクリーン・リーダーが音声プロンプトにアクセスできるようにしてください。

ただし、この目的で表示項目を使用する場合は、KEY-CLRFRMトリガーにフィールドに再移入するためのコードが必要です。コードがない場合、ユーザーがフォーム・クリアを実行すると値が消えます。

グラフィック・テキスト

グラフィック・テキスト(ボイラープレート・テキストとも呼ばれる)は使用しないでください。画面上のグラフィック・テキストには、可能なかぎりプロンプトおよびラベル属性で対応してください。グラフィック・テキストを使用する必要がある場合は、関連するアイテムにフォーカスしたときにスクリーン・リーダーで読上げ可能な同様のテキストを含むヒント・テキストを付ける必要があります。

追加属性

Oracle Formsでは、音声プロンプトの後に属性を追加して、スクリーン・リーダーで特定のアイテムについての追加属性を読み上げると便利な場合があります。

表7-3 音声プロンプトの後でスクリーン・リーダーが読み上げる追加情報

アイテム 属性 プロンプトに追加するテキスト

テキスト・アイテム

必須

必須

テキスト・アイテム

値リスト

値リスト

テキスト・アイテム

必須、値リスト

必須、値リスト

複数行アイテム

複数行

複数行

ラジオ・ボタン

グループ内のラジオ・ボタンの数

n個のうちn個

メニュー・アイテム

割り当てられるニーモニック・キー

ニーモニックx

タブ・ページ

タブ・ページ

タブ・ページ

キーボード・アクセス

この項では、メニュー、ツールバー機能およびコンポーネントへのキーボードによるアクセスをサポートするFormsを構築する方法を説明します。

キーボード・アクセスをサポートするには、次に従う必要があります。
  • ラジオ・ボタン、チェック・ボックスおよびプッシュ・ボタンにアクセス・キー(ニーモニック)を定義する必要があります。

  • キーボードのタブ移動の順序は論理的である必要があります(通常、左から右、上から下)。

  • キーボードのタブ移動の順序は、ウィンドウ内のすべてではなくてもほとんどのアイテムを循環する必要があります。

  • ユーザーが、キーボードのみでアプリケーションのすべてのブロックおよびウィンドウ間をナビゲートできる必要があります。

  • スクロールバー以外にも、レコード間の移動またはキャンバスのスクロールのための手段が必要です。

  • タブ・ページを切り替えるためのタブ・ページのリスト機能(通常は[F2]にマップされる)によって、タブ・ページの最初のナビゲーション可能なアイテムにフォーカスが移動する必要があります。

アクセス・キー

現在、アイテムにフォーカスされていない場合でも、操作者がアクセス・キーを使用して、キーの組合せを押してアイテムを選択または実行できる必要があります。たとえば、アクセス・キーがOで「開く」というラベルが付いたボタンは、[Alt]+[O]を押したときに常にアクティブ化できる必要があります。アクセス・キーはメニュー・アイテム、プッシュ・ボタン、チェック・ボックス、ラジオ・ボタンおよびタブ・ページに適用できます。プルダウン・メニューの最上位レベルで使用されるキー(「ファイル」のF、「編集」のEなど)を含め、ウィンドウ内のすべてのアクセス・キーが一意の必要があります。

アクセラレータ

アクセラレータは、「印刷」の場合の[Ctrl]+[P]など、頻繁に実行するアクションのキーボード・ショートカットです。キーボード・ショートカットで特定のキーストロークの組合せを使用することで、メニューを開かずに、対応するメニュー・アイテムと同じ機能を実行できます。[Alt]+[F]を押してから[S]を押して「ファイル」→「保存」をアクティブにするかわりに、[Ctrl]+[S]を押すだけで同じ機能を実行できます。アクセラレータ・キーは望ましい機能ですが必須ではありません。これは実行時にキーボード・ヘルプに表示されます。

アクセス・キーを使用しない例外

次に示す例外を除き、プッシュ・ボタン、チェック・ボックス、タブ、メニュー・アイテムおよびラジオ・ボタンにはアクセス・キーが必要です。

  • キーボードでナビゲーション可能な場合(この場合でもアクセス・キーの使用をお薦めします)。

  • アクセス・キーが多数あって、一意の文字を選択するのが難しい場合(この場合、アクセス・キーがなくてもナビゲーション可能な必要があります)。

  • 製品の機能に必須ではない場合。

  • チェック・ボックスとラジオ・ボタンについては、複数行ブロックに含まれていて、ラベル属性ではなくプロンプトを使用する場合(この場合、アクセス・キーをレンダリングできません)。

ラベル

ラベル・プロパティを持つすべてのアイテムにアクセス・キーが必要なわけではありません。アイテムにナビゲーションできる場合(つまり、キーボードのタブ移動の順序に含まれている場合)、アクセス・キーは必要ありません。ただし、アクセス・キーを追加すればすべてのユーザーにメリットがあるため、追加することを強くお薦めします。Microsoft Windowsのユーザー・インタフェースのガイドラインでは、「OK」および「キャンセル」ボタンにはアクセス・キーを付けないよう指定されています。

メニュー・アイテム

必須ではありませんが、少なくとも、メニュー・アイテムの最上位項目にはアクセス・キーが必要です。メニューはキーボードで[Alt]を押して放すことで、常に呼び出せる必要があります。これによってフォーカスをメニューに移動し、矢印キーを使用してメニュー間を移動できます。

アイコン・ボタン

アイコン・ボタン(アイコン・プロパティがYesに設定されたプッシュ・ボタン)にはアクセス・キーを追加できません。したがって、起動される機能は、他の場所でアクセス可能な方法(プルダウン・メニューなど)でレプリケートする必要があります。

チェック・ボックスとラジオ・ボタン

  • 単一行ブロックの場合は、チェック・ボックスの音声プロンプトはほぼ常にラベル属性です。複数行ブロックの場合は、一般にプロンプトのインスタンスが1つのみであるため、プロンプト属性はアイテムの画面上のプロンプトおよび音声プロンプトの両方として機能する必要があり、ラベルはNULLの必要があります。

  • ラジオ・ボタンの場合は、ラジオ・グループのヒント・テキストを使用して音声プロンプトを格納します。単一行ブロックの場合は、各ボタンのラベル属性がとして機能します。複数行ブロックの場合は、一般にプロンプトのインスタンスが1つのみであるため、プロンプト属性はアイテムの画面上のプロンプトおよび値の両方として機能する必要があり、ラベルはNULLの必要があります。

  • ラベルを利用できる場合は、アクセス・キーを追加することを強くお薦めしますが、ウィジェットがナビゲーション可能なかぎり必須ではありません。ウィジェットがナビゲーション可能でない場合は、マウスの使用が唯一のアクティブ化手段になるため、アクセス・キーが必要です。

Oracle E-Business Business Suiteの機能

  • ラジオ・グループ、ラジオ・ボタン、プッシュ・ボタンおよびチェック・ボックスは、適切なFNDプロパティ・クラスでサブクラス化する必要があります。このようなクラスはPluggable Java Component (PJC)を指定し、アクセス・キーの一意性を保証します。実行時に、指定した文字が、プルダウン・メニューを含めウィンドウ内ですでに使用されている場合は、別の文字が自動的に選択されます。この機能は、翻訳されるアプリケーションの場合に役立ちます。翻訳者が自身の変更結果を実行時に確認できない環境で作業しており、翻訳者が一意のアクセス・キーを設定することが難しい場合があるためです。

  • タブ、ポップアップ・メニュー・アイテム、および動的にラベルが付けられるプルダウン・メニュー・アイテムの場合、翻訳後に一意であることが保証できないため、アクセス・キーを追加しないでください。他のアイテムに使用されるPJCメカニズムは、これらには使用できません。

  • アクセス・キーは&Printのようにラベル内で指定する必要があります。別個のアクセス・キー・プロパティは使用しないでください。

  • 1つのウィンドウに1つのデフォルト・ボタンが必要です。このボタンの機能はユーザーが実行する可能性が最も高い機能です。デフォルト・ボタンは必ずモーダル・ウィンドウに配置します(一般的には「OK」)。「OK」と「キャンセル」を除き、ダイアログ・ウィンドウ内のすべてのプッシュ・ボタンにアクセス・キーが必要です。デフォルト・ボタンでない場合は「OK」にアクセス・キーが必要で、「ウィンドウを閉じる」と同じ機能を実行しない場合は「キャンセル」にもアクセス・キーが必要です。

ブロック

すべてのブロックがキーボードでナビゲーション可能な必要があります。通常、ブロック間のナビゲーションは次ナビゲート・ブロックおよび前ナビゲート・ブロック・プロパティで制御されるか、KEY-NEXT-BLOCKおよびKEY-PREVIOUS-BLOCKトリガーで制御されるか、あるいはその両方で制御されます。

タブ・ページ

WHEN-TAB-PAGE-CHANGEDトリガーを正しくコーディングしなければ、ユーザーがタブ・ページのリスト機能(通常は[F2]にマッピングされる)を押してタブ・ページを切り替えるときに、フォーカスが最初のナビゲーション可能アイテムに移動しません。カーソルは異なるアイテムに自動的には移動しません。カーソルを移動するには、WHEN-TAB-PAGE-CHANGEDトリガーにGO_ITEM文を含めるためのコードが必要です。これは、ユーザーがカーソルを移動せずに他のタブ・ページを表示するための本来の機能であるため、アイテムのナビゲーションと検証が開始されます。

次に、フォーム・レベルのWHEN-TAB-PAGE-CHANGEDトリガーのサンプルを示します。
DECLARE
	tp_name VARCHAR2(30);
	tp_label VARCHAR2(30);

BEGIN 
	tp_name := :SYSTEM.TAB_NEW_PAGE;
	tp_label := GET_TAB_PAGE_PROPERTY(tp_nm, label);

IF tp_lbl = 'NAME' THEN
	GO_ITEM('FIRST_NAME'); -- or GO_BLOCK(...)
ELSIF tp_lbl = 'ADDRESS' THEN
	GO_ITEM('ADDRESS_LINE_1');
END IF;
END;

メニュー

カスタム・メニューを作成する際にウィンドウ・メニュー項目を含めます。デフォルトではウィンドウ・メニュー項目は含まれません。この項目によって、アプリケーション内で現在開いているウィンドウをキーボードで切り替えることができます。

色の選択の柔軟性

視覚に障害のあるユーザーのために、Oracle Formsにはフィールドとコンポーネントのカラー・コーディングのオプションが用意されています。

カラー・コーディング以外にも、情報伝達またはアクションを示す方法が必要です。また、これはハードコードしないでください。フィールドにカラー・コーディングが必要な場合は、ユーザーがこの機能をオフにできるようにするか、様々な色から選択できるようにします。

automaticという色

Oracle Formsにはautomaticという特殊な色があります。これは基本的にはdo-the-right-thing (適切なことを実行する)属性です。たとえば、テキスト・アイテムのテキストの色と背景色に適用すると、Oracle Look and Feelで実行するときにはテキストが黒になり、背景色が白になります。同じアイテムを汎用ルック・アンド・フィールで実行するときには、現在のシステム色の設定に応じて異なる色で表示される可能性があります。この柔軟性により、視覚に障害がある場合でも、各ユーザーがそれに応じて色を制御できます。

ただし、Oracle Forms Layout Editorはautomaticという色を完全には認識できないため、設計時にアイテムが予期しない色で表示される可能性があります。ランタイムJavaエンジンのみがこの色を完全に解釈して適用できます。

Oracle E-Business Suiteの機能

Oracle E-Business Suiteはこの章に記載されたすべてのガイドラインに従っていますが、さらに追加の要件と機能にも対応しています。これらは複数言語への翻訳の必要性、およびOracle Application Object Library (FND)製品に組み込まれた追加のアクセシビリティ・サポートから生じたものです。Oracle E-Business Suiteの拡張機能をコーディングする場合、前述の内容に加えてこれらのルールに従うことをお薦めします。次を参照してください。

ウィンドウ、ブロックおよび領域の動作の制御

アクセシビリティをサポートする機能を使用したFormsのテスト

アクセシビリティをサポートする特定の機能をFormsのテストに利用できます。

テストを支援するために、Oracle E-Business Suiteには screen reader simulationモードが用意されています。ACCESS_READER_MODE環境変数をERROR_REPORTINGの値に設定してから、Webリスナーを開始すると、フォーカスが音声プロンプトのないアイテムに移動したときに、自動的にエラー・メッセージが発行されます。このモードを使用して、実際にスクリーン・リーダーをインストールして実行しなくても各フォームを検証できます。ただし、これは実際のテストに完全に取ってかわるものではありません。この機能は各フィールドに対して起動されるフォーム・レベルのWHEN-NEW-ITEM-INSTANCEトリガーに依存します。

アクションおよび値LOV用およびスクリーン・リーダー・シミュレーション・モード用のOracle Forms汎用コードも使用できます。

Oracle Formsの支援技術の最小要件

支援技術はOracle Formsで実行するための要件を満たしている必要があります。

  • オペレーティング・システム: Microsoft Windows

  • Oracle Forms Developer 12c

  • Microsoft Internet Explorer 5.5以上

  • separateFrame=trueでのFormsの実行

  • Java Runtime Environment (JRE)ネイティブ・プラグイン

  • Java Access Bridge 2.0.2以降

ノート:

  • Dolphin OceanicのSupernova Professional 8.03以上。

  • Oracle E-Business Suiteは、FormsアプレットのUIがそれ自体のウィンドウに表示されるseparateframe=trueのみをサポートします。Forms製品は、ウィンドウのサイズを調整する標準アプレット・タグを使用したhtmlページへのアプレットUIの埋込みをサポートしますが、これはスクリーン・リーダーでは機能しません。

  • Oracleは支援技術ベンダーと密接に連携して、現在までに認識されているアクセシビリティの問題の解決に取り組んでいます。詳細は、次を参照してください。

    Oracleサポート