3 Oracle GoldenGate Studioのアップグレードの実行

以前の12cリリースから12c (12.2.1.4.0)へのOracle GoldenGate Studioのアップグレードは、インプレースで実行されます(つまり、アップグレード操作は既存の12cドメインで実行されます)。

アップグレード・ステップの概要は、次のとおりです。

Oracle GoldenGate Studioのアップグレード・プロセスについて

Oracle GoldenGate Studioのアップグレード・プロセスの概要に関するフローチャートとロードマップを確認します。

既存のドメインをアップグレードするために実行するステップは、ドメインがどのように構成されているか、およびどのコンポーネントをアップグレードするかによって異なります。各自のデプロイメントに該当するステップにのみ従ってください。

図3-1 Oracle GoldenGate Studioのアップグレード・プロセスのフローチャート

図3-1の説明が続きます
「図3-1 Oracle GoldenGate Studioのアップグレード・プロセスのフローチャート」の説明
次の表に、Oracle GoldenGate Studio 12c (12.2.1.4.0)にアップグレードするために実行する必要のあるステップの概要を示します。

表3-1 Oracle GoldenGate Studioをアップグレードするためのタスク

タスク 説明

必須

このガイドの概要に関するトピックを再確認して、アップグレード前のタスクを完了します(まだ実行していない場合)。

アップグレード前タスクには、本番環境のクローニング、システム要件や動作保証の確認、未使用データのパージ、非SYSDBAユーザーの作成などがあります。

アップグレード前タスクの完全なリストは、「Oracle GoldenGate Studioのアップグレードの準備」を参照してください。

必須

既存の12cリポジトリへの接続を閉じます。

アップグレード・プロセスを開始する前に、12c (12.2.1.4.0)リポジトリへの接続を閉じます。

必須

Oracle GoldenGate Studio 12c (12.2.1.4.0)ディストリビューションをダウンロードして新しいOracleホームにインストールします。

製品のディストリビューションをインストールするには、「Oracle GoldenGate Studioのインストール」を参照してください。

必須

Upgrade Assistantを使用して既存のスキーマをアップグレードします。

12c (12.2.1.x)のインストール時に作成したスキーマは、12c (12.2.1.4.0)でサポートされます。そのため、スキーマを再作成する必要はありません。

リポジトリ・スキーマは、すべてUpgrade Assistantを使用してアップグレードする必要があります。「Oracle Fusion Middleware Upgrade Assistantを使用した製品スキーマのアップグレード」を参照してください。

必須

12c (12.2.1.4.0)リポジトリに接続してアップグレードを確認します。

アップグレード・プロセスは完了です。これで、12c (12.2.1.4.0)インスタンスを検証して、以前の12c環境と12c (12.2.1.4.0)を比較し、新しくアップグレードされた環境でデータおよび構成設定が一貫性を保持しているかどうかを確認できます。

Oracle GoldenGate Studioのインストール

アップグレードを開始する前に、Oracle GoldenGate Studio 12c (12.2.1.4.0)ディストリビューションをターゲット・システムにダウンロードし、Oracle Universal Installerを使用してインストールします。

Oracle GoldenGate Studioをインストールするには、次の手順を実行します。
  1. ターゲット・システムにサインインします。
  2. Oracle Technology NetworkまたはOracle Software Delivery Cloudから次のものをターゲット・システムにダウンロードします。
    • Oracle GoldenGate Studio (fmw_12.2.1.4.0_oggstudio.jar)

      注意:

      jarファイルが2つある場合、2つともダウンロードしてください。
  3. 12c (12.2.1.4.0)製品のディストリビューションをダウンロードしたディレクトリに移動します。
  4. 次のコマンドを入力して、インストール・プログラムを起動します。
    (UNIX) JDK_HOME/bin/java -jar fmw_12.2.1.4.0_oggstudio.jar
    (Windows) JDK_HOME\bin\java -jar fmw_12.2.1.4.0_oggstudio.jar
  5. UNIXオペレーティング・システムでは、このホストにOracle製品を初めてインストールする場合に、「インストール・インベントリの設定」画面が表示されます。
    中央インベントリを作成する場所を指定します。この画面で選択したオペレーティング・システム・グループ名に対して中央インベントリの場所への書込み権限が付与されていることを確認し、「次へ」をクリックします。

    注意:

    「インストール・インベントリの設定」画面は、Windowsオペレーティング・システムでは表示されません。
  6. 「ようこそ」画面で、情報をレビューしてすべての前提条件を満たしていることを確認します。「次へ」をクリックします。
  7. 「自動更新」画面で、オプションを選択します。
    • この時点でソフトウェアの更新をシステムで確認しないようにする場合は、「自動更新をスキップ」を選択します。

    • パッチ・ファイルをダウンロードした場合は、「ディレクトリからパッチを選択」を選択して、ローカル・ディレクトリに移動します。

    • My Oracle Supportアカウントを持っている場合にソフトウェアの更新を自動でダウンロードするには、「My Oracle Supportで更新を検索」を選択します。Oracle Supportの資格証明を入力して、「検索」をクリックします。インストーラがMy Oracle Supportにアクセスするようにプロキシ・サーバーを構成するには、「プロキシ設定」をクリックします。「接続のテスト」をクリックして接続をテストします。

    「次へ」をクリックします。
  8. 「インストールの場所」画面でOracleホーム・ディレクトリの場所を指定し、「次へ」をクリックします。
    Oracle Fusion Middlewareディレクトリ構造の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Fusion Middlewareのインストールのプランニング』インストールおよび構成のためのディレクトリの理解に関する項を参照してください。
  9. 「インストール・タイプ」画面で、「完全インストール」を選択し、「次へ」をクリックします。
  10. 「前提条件チェック」画面では、ホスト・コンピュータを分析して、特定のオペレーティング・システムの前提条件を満たしているか確認します。
    確認されたタスクのリストを表示するには、「正常なタスクの表示」を選択します。ログの詳細を表示するには、「ログの表示」を選択します。前提条件のチェックが失敗すると、エラー・メッセージが画面の下方に表示されます。エラーを修正し、「再実行」をクリックして再試行します。エラー・メッセージや警告メッセージを無視してインストールを続けるには、「スキップ」をクリックします(非推奨)。
  11. 「インストールの概要」画面で、選択したインストール・オプションを確認します。
    これらのオプションをレスポンス・ファイルに保存する場合は、「レスポンス・ファイルの保存」をクリックし、レスポンス・ファイルの場所と名前を入力します。レスポンス・ファイルには、入力したすべての情報が収集して格納され、後で(コマンドラインから)サイレント・インストールを実行するために使用できます。

    「インストール」をクリックしてインストールを開始します。

  12. 「インストールの進行状況」画面で、プログレス・バーが100%完了になったら、「終了」をクリックしてインストーラを閉じるか、「次へ」をクリックしてサマリーを表示します。
  13. 「インストール完了」画面に、インストールの場所とインストールされた機能セットが表示されます。情報を確認し、「終了」をクリックしてインストーラを閉じます。
新しいバージョンのOracle GoldenGate Studioのインストール後、キャッシュ・ディレクトリを削除します。詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle GoldenGate Studioのインストール以前のインストールと同じシステムでのクリーンな再インストールの実行を参照してください。

製品スキーマのアップグレード

サーバーとプロセスの停止後に、Upgrade Assistantを使用して、サポートされている製品スキーマをOracle Fusion Middlewareの現在のリリースにアップグレードします。

アップグレード・アシスタントを使用すると、個別に選択したスキーマまたはドメインに関連付けられているすべてのスキーマをアップグレードできます。選択したオプションによって、表示されるアップグレード・アシスタントの画面は異なります。

アップグレード・アシスタントの起動

Upgrade Assistantを実行して、製品のスキーマ、ドメイン・コンポーネント構成、またはスタンドアロンのシステム・コンポーネントを12c (12.2.1.4.0)にアップグレードします。一度に1つのドメインのアップグレードを完了して、アップグレード・アシスタントを非SYSDBAユーザーとして実行することをお薦めします。

Upgrade Assistantを起動するには、次の手順に従います。

注意:

Upgrade Assistantを起動する前に、JVMの文字エンコーディングが、Upgrade Assistantが実行されるプラットフォームでUTF-8に設定されていることを確認してください。文字エンコーディングがUTF-8に設定されていないと、名前にUnicode文字を含むファイルをダウンロードできません。これにより、アップグレードに失敗する可能性があります。

  1. oracle_common/upgrade/binディレクトリに移動します。
    • (UNIX) NEW_ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/bin
    • (Windows) NEW_ORACLE_HOME\oracle_common\upgrade\bin
  2. Upgrade Assistantを起動します。
    • (UNIX) ./ua
    • (Windows) ua.bat

コマンドラインに指定可能なその他のパラメータ(ロギングのパラメータなど)の詳細は、次を参照してください。

Upgrade Assistantのパラメータ

コマンドラインからアップグレード・アシスタントを起動するときに、追加のパラメータを指定できます。

表3-2 Upgrade Assistantコマンドライン・パラメータ

パラメータ 必須/オプション 説明

-readiness

準備状況チェックの場合は必須

注意: 準備状況チェックはスタンドアロン・インストール上で実行できません(WebLogic Serverの管理対象でありません)。

アップグレードの準備状況チェックを実行します(実際のアップグレードは実行しません)。

スキーマと構成がチェックされます。

-examineパラメータを指定した場合は、このパラメータを指定しないでください。

-threads

オプション

スキーマの同時アップグレードまたはスキーマの準備状況チェックに使用可能なスレッドの数を特定します。

値は、1 - 8の正の整数である必要があります。デフォルトは4です。

-response

サイレント・アップグレードまたはサイレント準備状況チェックの場合は必須

アップグレード・アシスタントがGUIモードで実行されているときに入力したデータから生成されるレスポンス・ファイルに保存されている入力を使用して、アップグレード・アシスタントを実行します。このパラメータを使用すると、アップグレード・アシスタントはサイレント・モード(アップグレード・アシスタントの画面表示なし)で実行されます。

-examine

オプション

調査フェーズを実行しますが、実際のアップグレードは実行しません。

-readinessパラメータを指定した場合、このパラメータを指定しないでください。

-logLevel attribute

オプション

次のいずれかの属性を指定して、ログイン・レベルを設定します。

  • TRACE

  • NOTIFICATION

  • WARNING

  • ERROR

  • INCIDENT_ERROR

デフォルトのロギング・レベルはNOTIFICATIONです。

-logLevel TRACE属性を設定して、より多くのログが記録されるようにすることを検討してください。これは、アップグレードの失敗をトラブルシューティングする際に役立ちます。-logLevel TRACEが使用されると、Upgrade Assistantのログ・ファイルは非常に大きくなる可能性があります。

-logDir location

オプション

アップグレード・ログ・ファイルと一時ファイルのデフォルトの場所を設定します。Upgrade Assistantによってログ・ファイルおよび一時ファイルが作成される、既存の書込み可能なディレクトリを指定する必要があります。

デフォルトの場所は次のとおりです。

(UNIX)

NEW_ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/logs
NEW_ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/temp

(Windows)

NEW_ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/logs
NEW_ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/temp

-help

オプション

すべてのコマンドライン・オプションを表示します。

Upgrade Assistantを使用したスキーマのアップグレード

Upgrade Assistantの各画面を通じて、製品スキーマをアップグレードします。

注意:

Upgrade Assistantを起動する前に、管理サーバーと管理対象サーバーが停止していることを確認してください。
Upgrade Assistantを使用して、製品スキーマをアップグレードするには:
  1. 「ようこそ」画面で、Upgrade Assistantの概要と、重要なアップグレード前タスクに関する情報を確認します。「次へ」をクリックします。

    注意:

    Upgrade Assistantの画面の詳細は、画面上の「ヘルプ」をクリックしてください。
  2. 「選択したスキーマ」画面で、「個別に選択されたスキーマ」を選択します。このオプションにより、アップグレードに含めるスキーマのみを選択できます。「次」をクリックします。
  3. 「使用可能なコンポーネント」画面で、「Oracle GoldenGate Studio」を選択し、「次」をクリックします。
  4. 「前提条件」画面で、すべてのチェック・ボックスを選択して、前提条件を満たしていることを確認します。「次へ」をクリックします。

    注意:

    アップグレード・アシスタントでは前提条件が満たされているかどうかを確認できません。
  5. OGGSTUDIOスキーマ画面で、アップグレードする必要のあるリポジトリの接続資格証明を指定します。
    サービス名と、OGGSTUDIOスキーマを含むデータベースのデータベース管理者アカウント(DBA)のユーザー名およびパスワードを指定し、「接続」をクリックします。

    注意:

    データベース・ユーザー名としてSYSDBAを使用しないでください。

  6. 選択したスキーマのスキーマ・ユーザー名とパスワードを指定します。
    「データベースへの接続が正常に完了しました」というメッセージが表示されたら、「次」をクリックします。
  7. Studioオプション画面で、「トポロジおよびセキュリティ・メタデータのアップグレード」および「AES-128暗号化アルゴリズムの使用」を選択します。「次」をクリックします。

    注意:

    「AES-128暗号化アルゴリズムの使用」を選択しない場合、アップグレードではAES-256暗号化アルゴリズムが使用されます。

  8. 「OGG Studioスーパーバイザ」画面で、アップグレードするOGGリポジトリのスーパーバイザ資格証明を指定し、「次」をクリックします。
  9. 「調査」画面で、各スキーマを調査したUpgrade Assistantのステータスを確認して、スキーマのアップグレードの準備が整っていることを検証します。ステータスが「調査が終了しました。」になっている場合は、「次」をクリックします。
    調査フェーズが失敗した場合は、「調査失敗」ダイアログの「いいえ」をクリックして、アップグレードをキャンセルすることをお薦めします。「ログの表示」をクリックしてエラーの原因を確認し、共通するアップグレード・エラーの解決に関する情報を『Oracle Fusion Middleware Upgrade Assistantによるアップグレード』アップグレードのトラブルシューティングに関する項で参照します。

    注意:

    • 確認フェーズ中に検出された問題を、アップグレードを進めずに解決した場合は、バックアップからリストアを再び行わずにUpgrade Assistantを開始できます。ただし、「調査失敗」ダイアログ・ボックスで「はい」をクリックして続行した場合は、Upgrade Assistantを再起動する前に、アップグレード前の環境をバックアップからリストアする必要があります。

    • 調査プロセスを取り消してもスキーマまたは構成データに影響はありませんが、将来のアップグレード・セッションでは、Upgrade Assistantが収集した情報を再収集する必要があります。

  10. 「アップグレード・サマリー」画面に、アップグレードまたは作成されるスキーマがリストされます。
    正しいソース・バージョンとターゲット・バージョンが、アップグレード対象の各スキーマにリストされていることを確認します。
    後でUpgrade Assistantをレスポンス(またはサイレント)モードで再び実行するためにこれらのオプションをレスポンス・ファイルに保存する場合は、「レスポンス・ファイルの保存」をクリックして、レスポンス・ファイルの場所および名前を指定します。サイレント・アップグレードは、Upgrade Assistantとまったく同じ機能を実行しますが、データを手動で再入力する必要はありません。
    「次へ」をクリックします。
  11. 「アップグレードの進行状況」画面で、アップグレードのステータスを監視します。

    注意:

    アップグレード・アシスタントにはアップグレードを実行するための十分な時間を与えてください。やむを得ない場合を除き、アップグレード操作は取り消さないでください。これを行うと、環境が不安定になる可能性があります。
    正しくアップグレードされていないスキーマがある場合は、Upgrade Assistantのログ・ファイルで情報を確認します。

    注意:

    この画面のプログレス・バーには、現在のアップグレード手順の進行状況が表示されます。アップグレードの残り時間を示すものではありません。

    「次へ」をクリックします。

  12. アップグレードが成功した場合: 「アップグレード成功」画面で、「閉じる」をクリックし、アップグレードを完了してウィザードを閉じます。

    アップグレードが失敗した場合: 「アップグレード失敗」画面で、「ログの表示」をクリックし、エラーを表示してトラブルシューティングします。ログは、NEW_ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/logsにあります。

    注意:

    アップグレードが失敗した場合は、バックアップからアップグレード前の環境をリストアし、問題を修正してから、Upgrade Assistantを再起動する必要があります。

スキーマのアップグレードの確認

すべてのアップグレード・ステップを完了したら、schema_version_registryのスキーマ・バージョンが適切に更新されていることをチェックして、アップグレードの成功を検証します。

Oracle Databaseを使用する場合、Oracle DBAを持つユーザーとしてデータベースに接続し、SQL*Plusから次を実行して現行のバージョン番号を取得します。

SET LINE 120
COLUMN MRC_NAME FORMAT A14
COLUMN COMP_ID FORMAT A20
COLUMN VERSION FORMAT A12
COLUMN STATUS FORMAT A9
COLUMN UPGRADED FORMAT A8
SELECT MRC_NAME, COMP_ID, OWNER, VERSION, STATUS, UPGRADED FROM SCHEMA_VERSION_REGISTRY ORDER BY MRC_NAME, COMP_ID ;

問合せ結果について:

  • VERSION列の数値が、そのスキーマの最新のバージョン番号に一致していることを確認します。たとえば、スキーマ・バージョン番号が12.2.1.4.0であることを確認します。

    注意:

    ただし、すべてのスキーマ・バージョンが更新されるわけではありません。一部のスキーマではこのリリースへのアップグレードが必要なく、アップグレード前のバージョン番号が保持されます。

  • STATUSフィールドは、スキーマのパッチ適用操作中はUPGRADINGまたはUPGRADEDのどちらかになり、パッチ適用操作が完了するとVALIDになります。

  • ステータスが「INVALID」と表示された場合は、ステータスの更新が失敗しています。ログ・ファイルを調べて、失敗した理由を判定する必要があります。

  • IAU_APPENDIAU_VIEWERが所有するシノニム・オブジェクトは、INVALIDと表示されますが、失敗を意味するものではありません。

    これらは、シノニムの作成後にターゲット・オブジェクトが変更されるため無効になります。シノニム・オブジェクトは、アクセスされるときに有効になります。これに該当するINVALIDオブジェクトは、無視しても問題ありません。