9 エンタープライズ・デプロイメント用のデータベースの準備
エンタープライズ・デプロイメント用にデータベースを準備するには、データベースが特定の要件を満たしていることを確認し、データベース・サービスを作成し、データベースのラージ・オブジェクトに対してSecureFilesを使用して、データベース・バックアップ戦略を策定する必要があります。
この章では、データベース要件、データベース・サービスの作成、およびデータベース・バックアップ戦略に関する情報を提供します。
- エンタープライズ・デプロイメント用のデータベースの準備の概要
Oracle Fusion Middlewareエンタープライズ・デプロイメントの一環として、サポートされているデータベースを構成する方法を理解することが重要です。 - データベース要件について
エンタープライズ・デプロイメント・トポロジを構成する前に、次の項で説明されている要件をデータベースが満たしていることを検証する必要があります。 - データベース・サービスの作成
複数のOracle Fusion Middleware製品が同じデータベースを共有する場合は、個別の専用のデータベース・サービスに接続するように、各製品を構成する必要があります。このサービスは、デフォルトとデータベース・サービスとは別である必要があります。デフォルトと異なるサービス名を使用する場合は、障害時リカバリとマルチデータセンター・トポロジのために、ロールベースのデータベース・サービスを作成できます。 - Oracleデータベースでのラージ・オブジェクト(LOB)に対するSecureFilesの使用
SecureFilesは、Oracle Database 11gリリース1で導入された新しいLOB記憶域アーキテクチャです。Oracle Fusion Middlewareスキーマ、特にOracle SOA SuiteスキーマにはSecureFilesの使用をお薦めします。 - データベース・バックアップ戦略について
エンタープライズ・デプロイメントのインストールおよび構成の重要なポイントでデータベースのバックアップを実行すると、構成ステップの後半で問題が発生しても、迅速に回復することができます。 - Oracle SOA Suiteへのデータベース増分管理戦略の導入
Oracle SOA Suiteを含むOracleエンタープライズ・デプロイメントでは、Oracle SOA Suiteデータベースの増分管理など、データベース管理者にかかわる課題がいくつか存在します。データベース管理の重要性を軽視すると、データベースが本番環境に移行したときに問題が発生する可能性があります。
親トピック: エンタープライズ・デプロイメントの準備
エンタープライズ・デプロイメント用のデータベースの準備の概要
Oracle Fusion Middlewareエンタープライズ・デプロイメントの一環として、サポートされているデータベースを構成する方法を理解することが重要です。
ほとんどのOracle Fusion Middleware製品では、サポートされているデータベースに特定の一連のスキーマがインストールされている必要があります。これらのスキーマは、Oracle Fusion Middlewareのリポジトリ作成ユーティリティ(RCU)を使用してインストールします。
エンタープライズ・デプロイメントでは、Oracle Fusion Middleware製品スキーマに高可用性Real Application Clusters (Oracle RAC)データベースをお薦めします。
親トピック: エンタープライズ・デプロイメント用のデータベースの準備
データベース要件について
エンタープライズ・デプロイメント・トポロジを構成する前に、次の項で説明されている要件をデータベースが満たしていることを検証する必要があります。
親トピック: エンタープライズ・デプロイメント用のデータベースの準備
サポートされているデータベース・バージョン
次の情報を利用して、Oracle Fusion Middlewareの各リリースでサポートされているデータベース、および現在稼働中のOracleデータベースのバージョンを確認してください。
-
動作保証済のデータベースの全リストは、Oracle Fusion Middlewareのサポートされるシステム構成のページを参照してください。
-
データベースのリリースを確認するには、
PRODUCT_COMPONENT_VERSION
ビューに問い合せます。SQL> SELECT VERSION FROM SYS.PRODUCT_COMPONENT_VERSION WHERE PRODUCT LIKE 'Oracle%';
Oracle Fusion Middlewareでは、データベースがAL32UTF8文字セットに対応している必要があります。データベースのドキュメントを参照して、データベースで選択できる文字セットについて調べてください。
FMW 12.1.3プラガブル・データベース(PDB)もOracle Fusion Middlewareスキーマでサポートされているため、『相互運用性および互換性の理解』のサポートされているデータベースとの相互運用性に関する項を参照してください。
エンタープライズ・デプロイメントでは、Oracle RACデータベースへの接続にGridLinkデータ・ソースを使用することをお薦めします。
ノート:
GridLinkデータ・ソースおよびSCANの使用方法の詳細は、『Oracle WebLogic Server JDBCデータ・ソースの管理』の「アクティブなGridLinkデータ・ソースの使用方法」を参照してください。
アクティブなGridLinkには、有効なWebLogic Suiteライセンスも含め、特有のライセンス要件があります。Oracle Oracle WebLogic Serverデータ・シートを参照してください。
親トピック: データベース要件について
その他のデータベース・ソフトウェア要件
エンタープライズ・トポロジでは、RACデータベースの2つのインスタンスをホストする2つのデータベース・ホスト・コンピュータがデータ層にあります。これらのホストは、DBHOST1およびDBHOST2と呼ばれます。
エンタープライズ・トポロジをインストールまたは構成する前に、次のソフトウェアがDBHOST1とDBHOST2にインストール済であり使用可能であることを確認する必要があります。
-
Oracle Clusterware
『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイドfor Linux』のOracle Grid Infrastructureのインストールに関する項を参照してください。
-
Oracle Real Application Cluster
Oracle Real Application Clustersインストレーション・ガイドfor Linux and UNIXで、Oracle RACおよびOracle RAC One Nodeのインストールを参照してください。
-
Oracle RACデータベース・インスタンス間の時間同期
データベース・インスタンスのクロックは、サーバー移行で構成されたFusion Middlewareクラスタ内のサーバーで使用されている場合、同期化されている必要があります。
-
自動ストレージ管理(オプション)
『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』のOracle Automatic Storage Managementの概要に関する項を参照してください。
親トピック: データベース要件について
エンタープライズ・デプロイメントのPROCESSESデータベース初期化パラメータの設定
表9-1に、いくつかの標準的なOracle SOA Suiteエンタープライズ・トポロジと、各トポロジでPROCESSES初期化パラメータの設定時に使用する必要がある値を示します。
この情報は、Oracle RACデータベースをエンタープライズ・デプロイメント用に構成するときの指針として利用してください。
表9-1 必要な初期化パラメータ
構成 | パラメータ | 必須値(クラシック値) | 必須値(参照構成ドメイン) | パラメータ・クラス |
---|---|---|---|---|
SOA |
300以上 |
600以上 |
静的 |
|
BAM |
|
200以上 |
* |
静的 |
SOAおよびBAM |
|
500以上 |
- |
静的 |
SOAおよびOSB |
|
800以上 |
1200以上 |
静的 |
* BAMは参照構成トポロジをサポートしていません。
SQL*Plusを使用して初期化パラメータの値をチェックするには、SHOW PARAMETER
コマンドを次のように使用します。
パラメータ値の変更に使用する方法は、パラメータが静的であるか動的であるかと、データベースがパラメータ・ファイルとサーバー・パラメータ・ファイルのどちらを使用するかによって異なります。
ノート:
パラメータ値の変更の詳細は、Oracle Database管理者ガイドで初期化パラメータ値の変更を参照してください。参照構成トポロジのデータベース・パラメータの詳細は、『Oracle SOA SuiteおよびOracle Business Process Management Suiteの管理』の構成済参照構成ドメイン設定に関する項のデータベース設定に関する項を参照してください。
親トピック: データベース要件について
データベース・サービスの作成
複数のOracle Fusion Middleware製品が同じデータベースを共有する場合は、個別の専用のデータベース・サービスに接続するように、各製品を構成する必要があります。このサービスは、デフォルトとデータベース・サービスとは別である必要があります。デフォルトと異なるサービス名を使用する場合は、障害時リカバリとマルチデータセンター・トポロジのために、ロールベースのデータベース・サービスを作成できます。
ノート:
この項に示す手順は、Oracle Database 19cリリースを対象としています。これ以外のサポートされているデータベースをご使用の場合は、該当するドキュメント・ライブラリで最新のリリース別の情報を参照してください。
サービスを使用したOracleデータベースへの接続の詳細は、Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイドの動的なデータベース・サービスを使用したOracleデータベースへの接続に関する項を参照してください。
また、データベース・サービスはデフォルトのデータベース・サービスとは別のものにしてください。Oracle Database 19cデータベースのデータベース・サービスを作成および管理する完全な手順は、Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイドの動的データベース・サービスによる自動ワークロード管理の概要に関する項を参照してください。
ランタイム接続のロード・バランシングでは、ロード・バランシングを有効にする各サービスのサービス・レベルの目標を使用してOracle RACロード・バランシング・アドバイザを構成する必要があります。
SERVICE_TIME
またはTHROUGHPUT
について、Oracle RACロード・バランシング・アドバイザを構成できます。接続ロード・バランシングの目標をSHORTに設定します。
srvctl
ユーティリティを使用してOracle Databaseサービスを作成および変更します。
データベース・サービスを作成および変更するには:
親トピック: エンタープライズ・デプロイメント用のデータベースの準備
Oracleデータベースでのラージ・オブジェクト(LOB)に対するSecureFilesの使用
SecureFilesは、Oracle Database 11gリリース1で導入された新しいLOB記憶域アーキテクチャです。Oracle Fusion Middlewareスキーマ、特にOracle SOA SuiteスキーマにはSecureFilesの使用をお薦めします。
Oracle Database 11gリリース1以降、新しいLOB記憶域アーキテクチャであるSecureFilesが導入されました。Oracle Fusion Middlewareスキーマ、特にOracle SOA SuiteスキーマにはSecureFilesの使用をお薦めします。Oracle Database SecureFilesおよびラージ・オブジェクト開発者ガイドのOracle SecureFiles LOBの使用に関する項を参照してください。
db_securefile
システム・パラメータは、SecureFiles使用ポリシーを制御します。このパラメータは動的に変更できます。SecureFilesを使用するには次のオプションがあります。
-
PERMITTED
: 12cより前のデフォルト設定。SECUREFILEキーワードが使用されている場合に、SecureFile LOB記憶域を許可します。デフォルトの記憶方式はBasicFileです。 -
PREFERRED
: 12c以降のデフォルト設定で、LOB記憶域がBasicFileにデフォルト設定されるすべての場合にSecureFile LOB記憶域を使用します。 -
FORCE
: すべての(新規) LOBをSecureFilesとして作成します。 -
ALWAYS
: LOBをSecureFilesとして作成しようと試みますが、作成できない場合(ASSMが無効の場合)はBasicFilesに戻します。 -
IGNORE
: SecureFilesを作成する試行を無視します。 -
NEVER
: 新しいSecureFilesの作成を許可しません。
Oracle 12c Database以降でSecureFilesを使用するためのデフォルト設定はPREFERREDです。これは、LOBまたは親LOB (LOBがパーティションまたはサブパーティション内にある場合)でBasicFiles LOBが明示的に指定されていなければ、データベースがSecureFiles LOBの作成を試みることを意味します。Oracle Fusion MiddlewareスキーマではBasicFilesを明示的に指定しません。つまり、Oracle 12cデータベース以上のバージョンにインストールされている場合、Oracle Fusion Middleware LOBはデフォルトでSecureFilesになります。
sql> alter system set db_securefile=ALWAYS scope=both;
参照構成ドメインのデータベース設定の詳細は、『Oracle SOA SuiteおよびOracle Business Process Management Suiteの管理』のデータベース設定に関する項を参照してください。
Oracle 11gデータベースの場合、リポジトリ作成ユーティリティ(RCU)でOracle Fusion Middlewareスキーマを作成する前に、db_securefileパラメータをFORCE
に設定することをお薦めします。
SecureFilesセグメントは、表領域を自動セグメント領域管理(ASSM)によって管理する必要があります。つまり、ASSMが無効になっていると、SecureFilesでのLOB作成が失敗します。ただし、Oracle Fusion Middlewareの表領域は、デフォルトではASSMが有効な状態で作成されます。したがって、デフォルトの構成では、Oracle Fusion Middlewareスキーマに対してSecureFilesを有効にするために何かを変更する必要はありません。
親トピック: エンタープライズ・デプロイメント用のデータベースの準備
データベース・バックアップ戦略について
エンタープライズ・デプロイメントのインストールおよび構成の重要なポイントでデータベースのバックアップを実行すると、構成ステップの後半で問題が発生しても、迅速に回復することができます。
エンタープライズ・デプロイメントのインストールおよび構成の重要な点として、現在の環境をバックアップすることをお薦めします。たとえば、製品ソフトウェアをインストールし、特定のOracle Fusion Middleware製品のスキーマを作成した後で、データベース・バックアップを実行してください。バックアップを実行すれば、後の構成ステップで何か問題が発生しても、すばやくリカバリを実行できます。
この目的のために独自のデータベース・バックアップ戦略を使用することも、オペレーティング・システムのツールやRMANを使用して単純にバックアップすることもできます。
特にOracle Automatic Storage Managementを使用してデータベースを作成した場合は、Oracle Recovery Managerの使用をお薦めします。可能な場合、オペレーティング・システムのツール(tarなど)を使用してコールド・バックアップも実行できます。
親トピック: エンタープライズ・デプロイメント用のデータベースの準備
Oracle SOA Suiteへのデータベース増分管理戦略の導入
Oracle SOA Suiteを含むOracleエンタープライズ・デプロイメントでは、Oracle SOA Suiteデータベースの増分管理など、データベース管理者にかかわる課題がいくつか存在します。データベース管理の重要性を軽視すると、データベースが本番環境に移行したときに問題が発生する可能性があります。
容量、テストおよび監視のための適切な戦略および計画の決定の詳細は、『Oracle SOA SuiteおよびOracle Business Process Management Suiteの管理』のデータベース増分の管理に関する項を参照してください。
親トピック: エンタープライズ・デプロイメント用のデータベースの準備