3 JD Edwards EnterpriseOne
この章の内容は次のとおりです。
3.1 概要
JD Edwards (JDE) EnterpriseOneは、ビジネス価値、標準ベースのテクノロジおよび業界での豊富な経験を結合し、総所有コストの低いビジネス・ソリューションを実現する、包括的なERPソフトウェアの統合アプリケーション・スイートです。
3.1.1 概念
Oracle Data IntegratorのJDEナレッジ・モジュールは、次のような目的で、JDE EnterpriseOneの成熟したデータベースレベルの統合メソッドを使用しています。
-
JDE EnterpriseOneデータ構造のリバース・エンジニアリング
-
JDE EnterpriseOneからのデータの読取り(ダイレクト・データベース統合)
-
JDEアプリケーションへのZ表によるデータの書込み(インタフェース表の統合)
3.1.2 ナレッジ・モジュール
Oracle Data Integratorには、JDE EnterpriseOneデータを処理するためのナレッジ・モジュールが用意されています。これらのリストを次の表に示します。これらの特定のJDE KMでは、Oracle Data IntegratorによるJDE EnterpriseOneプラットフォームと任意のデータベース・アプリケーションとの接続性および統合を提供しています。
表3-1 JDEナレッジ・モジュール
ナレッジ・モジュール | 説明 |
---|---|
RKM JDE EnterpriseOne Oracle |
Oracle DatabaseにインストールされたJDE EnterpriseOneからの表やインタフェース表など、アプリケーションのオブジェクトのメタデータをリバース・エンジニアリングします。 |
RKM JDE EnterpriseOne SQL Server |
SQL ServerにインストールされたJDE EnterpriseOneからの表やインタフェース表など、アプリケーションのオブジェクトのメタデータをリバース・エンジニアリングします。 |
RKM JDE EnterpriseOne DB2 UDB |
IBM DB2 UDBデータベースにインストールされたJDE EnterpriseOneからの表やインタフェース表など、アプリケーションのオブジェクトのメタデータをリバース・エンジニアリングします。 |
RKM JDE EnterpriseOne DB2 AS400 |
IBM DB2 for iSeriesサーバーにインストールされたJDE EnterpriseOneからの表やインタフェース表など、アプリケーションのオブジェクトのメタデータをリバース・エンジニアリングします。 |
IKM JDE EnterpriseOne Control Append (UBE) |
任意のソースからのデータをJDE EnterpriseOneに統合します。制御追加モードでEnterpriseOne Z表のデータを統合します。
|
3.2 インストールおよび構成
JDE EnterpriseOneデータでの作業を開始する前に、この項の情報を必ず読んでください。
3.2.1 システム要件および動作要件
インストールを実行する前に、システム要件および動作保証のドキュメントを読み、インストールする製品の最小インストール要件を環境が満たしていることを確認します。
サポートされているプラットフォームおよびバージョンのリストには、次のOracle Technical Network (OTN)からアクセスできます。
http://www.oracle.com/technetwork/middleware/data-integrator/overview/index.html
3.2.2 テクノロジ固有の要件
IKM JDE EnterpriseOne Control Append (UBE)を使用するには、RunUBEユーティリティがインストールされているJDEサーバーに、Oracle Data Integratorのランタイム・エージェントがインストールされている必要があります。
RKM JDE EnterpriseOne DB2 UDBを使用して表およびZ表をリバース・エンジニアリングするには、IBM DB2 UDBデータベースが別のDB2データベースに格納されているデータにアクセスできる必要があります。次のステップでは、DB2ファミリ・データソースへのアクセスを構成する方法について説明します。
3.3 トポロジの設定
このステップでは、データ・サーバーおよび、JDEデータの格納に使用される物理スキーマと論理スキーマを、Oracle Data Integratorで宣言します。
3.3.1 データ・サーバーの作成
基盤となるテクノロジにより、JDE表は、Oracleスキーマ、Microsoft SQL Serverデータベース、IBM DB2 UDBスキーマまたはIBM DB2 for iSeriesライブラリに格納できます。
JDE表をホストするテクノロジのデータ・サーバーを作成します。詳細は、『Oracle Data Integrator接続およびナレッジ・モジュール・ガイド』の次の項を参照してください。
このデータ・サーバーは、JDEデータを格納するインスタンス、スキーマ、データベースまたはライブラリ(後続の項では、すべてのテクノロジに対してスキーマという用語が使用されます)を指している必要があります。
3.3.2 物理スキーマの作成
「データ・サーバーの作成」で作成したデータ・サーバーの下に物理スキーマを作成します。『Oracle Data Integratorの管理』の物理スキーマの作成に関する項の説明に従って、標準の手順を使用します。
このスキーマは、リバース・エンジニアリングを行うJDE表を含むスキーマを指している必要があります。
ノート:
JDE表を格納するスキーマは、物理スキーマ定義で作業スキーマとして定義しないでください。また、このスキーマは、マッピングのステージング領域として使用しないでください。
『Oracle Data Integratorの管理』の論理スキーマの作成に関する項の説明に従って、標準の手順を使用してこの物理スキーマ用の論理スキーマを作成し、特定のコンテキストで関連付けます。
3.4 統合プロジェクトの設定
JDEの機能を使用してプロジェクトを設定するには、標準の手順に従います。『Oracle Data Integratorでの統合プロジェクトの開発』の統合プロジェクトの作成に関する項を参照してください。
次のKMをOracle Data Integratorプロジェクトにインポートします。
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IKM JDE EnterpriseOne Control Append (UBE)
-
JDE表をホストするテクノロジに応じて、次のいずれかをインポートします。
-
RKM JDE EnterpriseOne Oracle
-
RKM JDE EnterpriseOne SQL Server
-
RKM JDE EnterpriseOne DB2 UDB
-
RKM JDE EnterpriseOne DB2 AS400
-
これらの特定のJDE KMに加えて、JDE表をホストするテクノロジの標準LKMをインポートします。利用できるKMのリストは、『Oracle Data Integrator接続およびナレッジ・モジュール・ガイド』の次の項を参照してください。
3.5 モデルの作成およびリバースエンジニアリング
この項では、次の項目について説明します。
3.5.1 モデルの作成
『Oracle Data Integratorでの統合プロジェクトの開発』のモデルの作成に関する項の説明に従い、標準の手順を使用して、JDE表をホストするテクノロジに基づくモデル、およびJDE接続の構成時に作成された論理スキーマに基づくモデルを作成します。
ノート:
Oracle Data Integratorで定義されるJDE EnterpriseOneテクノロジはありません。JDEデータをホストするOracle Databaseに対応する論理スキーマでデータ・モデルが作成されます。
3.5.2 JDE表のリバース・エンジニアリング
JDE RKMはJDE表のリバース・エンジニアリングを行うことができます。これらのRKMは、表やインタフェース表など、JDEオブジェクトからメタデータを取得します。
JDE RKMを使用してJDE表のカスタマイズされたリバースエンジニアリングを実行するには、『Oracle Data Integratorでの統合プロジェクトの開発』のモデルのリバースエンジニアリングに関する項の説明に従って、通常の手順を使用します。この項では、JDE表固有のフィールドのみについて説明します。
リバース・エンジニアリング・プロセスによって、モジュールごとにグループ化されたデータストアが返されます。これらのデータストアをマッピングのソースまたはターゲットとして使用できます。
3.6 マッピングの設計
JDEのデータ表はマッピングのソースとして使用できます。JDE Z表は、マッピングのターゲットとして使用できます。
マッピング用に選択したKMによって、このマッピングの機能およびパフォーマンスが決まります。この項に示す推奨事項は、JDEデータのロードおよび統合に関連する様々な状況でのKMの選択に役立ちます。
3.6.1 JDE EnterpriseOneからのデータのロード
RKM JDE EnterpriseOne <database>を使用してリバース・エンジニアリングを実行すると、JDEデータ表をマッピングのソースとして使用し、JDEアプリケーションからデータを抽出して他のシステム(データ・ウェアハウス、他のデータベースなど)に統合できます。
この状況でJDE EnterpriseOneをソースとして使用することは、マッピングでソースとしてOracle、Microsoft SQL Server、DB2/400またはIBM DB2 UDBデータストアを使用することと同じです。汎用SQL、Oracle Database、Microsoft SQL Server、IBM DB2 for iSeriesおよびIBM DB2 UDBのKMをこの目的で使用することもできます。詳細は、『Oracle Data Integrator接続およびナレッジ・モジュール・ガイド』の次の章を参照してください。
3.6.2 JDE EnterpriseOneへのデータの統合
RKM JDE EnterpriseOne <database>を使用してリバース・エンジニアリングを実行すると、JDE Z表をマッピングのターゲットとして使用し、IKM JDE EnterpriseOne Control Append (UBE)により任意のシステムからのデータをJDEアプリケーションにロードできます。
JDE EnterpriseOneへのデータの統合は、次の2つのフェーズで実行されます。
-
最初のフェーズでは、RunUBEコマンドをコールすることなく、いくつかのマッピングを使用して、データがZ表のセットに統合されます。これらのマッピングでは、JDE_RUNUBEオプションを
No
に設定して、IKM JDE EnterpriseOne Control Append (UBE)を使用できます。 -
2番目のフェーズでは、RunUBEコマンドが起動され、Z表からのデータがJDE EnterpriseOneに統合されます。これは、一般的に、最後に要求されるZ表をロードするマッピングで行われます。このマッピングでは、JDE_RUNUBEオプションを
Yes
に設定してIKM JDE EnterpriseOne Control Append (UBE)を使用します。
これらのマッピングはパッケージに並べる必要があります。
Oracle Data Integratorでは、自動的にRunUBEコマンドをコールしてJDEに書き込むことができます。IKMでのRunUBEコールの有効化は、JDEへの移入に必要なすべてのZ表をロードした後でのみ行ってください。IKM JDE EnterpriseOne Control Append(UBE)により、RunUBEコマンドがコールされるとともにZ表のロードが可能となります。
JDEをターゲットにするマッピングを作成するには:
-
Z表をターゲット・データストアとしてマッピングを作成します。
-
通常どおり結合、フィルタおよびマッピングを作成します。
-
「フロー」タブで、IKM JDE EnterpriseOne Control Append (UBE)を選択します。
-
標準のKMオプション(INSERT、COMMIT、FLOW_CONTROL)を設定します。
-
このマッピングでRunUBEコマンドを起動する場合、KMオプションは次のように指定します。
-
JDE_RUNUBEオプションを
Yes
に設定します。 -
RunUBEコマンドが実行されるJDE_DIRECTORYを指定します。
-
パスワード・ファイルを作成する場合、次の表に示すとおり、パスワード関連オプションを設定します。
表3-3 パスワード関連KMオプション
オプション 値 ノート JDE_CREATE_PWD_FILE
あり
UNIXまたはiSeries環境でRunUBEのセキュリティを向上させるため、RunUBEコマンドの実行時に、システムはJDE_PWD_FILEオプションで指定されたテキスト・ファイルを読み取り、このテキスト・ファイルに示されているJD Edwards EnterpriseOneユーザーIDとパスワードを使用します。
JDE_PWD_FILE
パスワード・セキュリティ・ファイルの絶対パス
このファイルには、JDE_USER_IDおよびJDE_PWDオプションで指定されたユーザーIDとパスワードが含まれています。
JDE_DELETE_PWD_FILE
E|D
パスワード・ファイルを削除する場合は、
D
と入力します。パスワード・ファイルを保持する場合は、
F
と入力します。このコマンドの実行でパスワード・ファイルを削除する場合でも、このファイルはサーバー・ファイル・システム上のセキュアな場所に保管しておく必要があります。
JDE_USER_ID
JDE EnterpriseOneユーザーID
このユーザーにはレポートを実行する権限が必要です。
JDE_PWD
JDE EnterpriseOneパスワード
ユーザーIDに対応するEnterpriseOneのパスワードです。
-
次の表に示すように、RunUBEコマンドのパラメータを設定します。
表3-4 RunUBEコマンド関連KMオプション
オプション 値 ノート JDE_ENVIRONMENT
JDE EnterpriseOne環境
JDE_ROLE
JDE EnterpriseOneロール
JDE_REPORT
処理するレポートのシステム名
例: フラット・ファイルの場合、
APS Outbound Processor (R34A400)
およびAPS Inbound Processor (R34A410)
、XMLファイルの場合、APS SCBM 2.0 Outbound Processor (R34A700)
およびAPS Master Inbound Processor (R34A820)
JDE_VERSION
処理するレポートのバージョンの名前
たとえば、
XJDE0001
です。バージョン名は必ず入力してください。レポートのテンプレートは実行できません。JDE_JOB_QUEUE
バッチ・ジョブのルーティング先のジョブ・キューの名前
たとえば、
QBATCH
ですJDE_PROCESSING_MODE
処理モード
バッチ処理を使用する場合は、
B
と入力します。この場合、システムはジョブ制御ステータス・マスター表(F986110)を使用して、レポートにキュー内の場所を割り当てます。インタラクティブ・モードを使用する場合は、
I
と入力します。このモードでは、JDE EnterpriseOneキューイング・メカニズム外で即座にレポートが実行されます。JDE_HOLD_CODE
保持コード
ジョブの完了後すぐにプリンタに出力を送る場合は、
P
と入力します。処理したファイルを印刷せずに保持する場合は、
H
と入力します。ジョブはサーバーの使用プログラム(P986116)を使用して後で印刷できます。このプログラムは、システム管理ツール・メニュー(GH9011)からアクセスできます。JDE_SAVE_CODE
保存コード
処理の完了後にファイルを保存する場合は、
S
と入力します。削除オプション(
D
)は今後の使用のために予約されています。現在、削除オプションは無効です。
-
IKM JDE EnterpriseOne Control Append (UBE)の制限
-
ターゲット表が別の表(外部キー)によって参照されている場合、TRUNCATEオプションは機能しません。
-
RECYCLE_ERRORSオプションを使用する際には、マッピングに更新キーが設定されている必要があります。
-
このモジュールをジャーナル化されたソース表と組み合せて使用する場合、ソースの削除を含めないようデータが自動的にフィルタ処理されます。
-
FLOW_CONTROLおよびSTATIC_CONTROLオプションは、無効なデータを分離するためにチェック・ナレッジ・モジュールをコールします(CKMが設定されていない場合、エラーが発生します)。マッピングでTEMPORARYターゲット・データストアにデータが移入される場合は、両方のオプションをNoに設定する必要があります。
-
RunUBEコマンドはJDEサーバーで実行する必要があります。
-
Oracle Data Integratorランタイム・エージェントは、このサーバーにインストールする必要があります。
-
RunUBEコマンドが起動されたかどうかの情報以外に、RunUBEコマンドはプログラムの実行に関する詳細を示しません。プログラムの実行の詳細を把握するには、JDEサーバーで作成されたログ・ファイルを確認するか、JDEアプリケーションに接続してジョブ・ステータスの表示アプリケーション(アプリケーション =
P986110
、フォーム =W986116A
)を検索します。