2 メッセージング・ブリッジの理解
この章の内容は次のとおりです。
メッセージング・ブリッジとは
WebLogicメッセージング・ブリッジとは、複数のWebLogic JMS実装間で相互運用できるようにするための転送メカニズムです。メッセージング・ブリッジはJMSと他のメッセージング製品の相互運用も可能にします。
メッセージング・ブリッジを使用すると、以下の範囲に渡るメッセージング・アプリケーションを統合できます。
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WebLogic JMSの2つの実装(WebLogic Serverのリリースが異なる場合を含む)。
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別々のWebLogicドメインにあるWebLogic JMSの複数の実装。
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WebLogic JMSとサード・パーティのJMS製品(MQSeriesなど)。
メッセージング・ブリッジ・インスタンスでは、対になったソース宛先とターゲット宛先の間でメッセージを転送します。これらの宛先は、ソース・ブリッジ宛先と対象ブリッジ宛先の対にマップされます。メッセージング・ブリッジにより、ソース・ブリッジ宛先からメッセージが読み取られ、ターゲット・ブリッジ宛先に転送されます。WebLogic JMSおよびサード・パーティのJMS製品間については、WebLogic Serverに用意されているJava EEコネクタ・アーキテクチャ(JCA)準拠のリソース・アダプタを使用して、ソース宛先およびターゲット宛先と通信します。図2-1を参照してください。
ノート:
WebLogic Server 12.2.1以降、メッセージング・ブリッジ構成が簡略化されました。ブリッジ・アダプタを明示的に構成しデプロイする必要はありません。かわりに、メッセージング・ブリッジでは、ブリッジをデフォルト・アダプタのJNDI名(eis.jms.WLSConnectionFactoryJNDINoTX
またはeis.jms.WLSConnectionFactoryJNDIXA
)で構成した場合に自動的にデプロイされる内部アダプタを使用します。また、これらの内部アダプタの接続容量は、より大規模です。
デフォルト・アダプタのJNDI名で明示的に構成したレガシー・アダプタはデプロイすることはできますが、メッセージング・ブリッジにより無視されます。レガシー・アダプタ・デプロイは、WebLogic Server 12.2.1にアップグレードした後に、構成から削除できます。
Oracle WebLogic Server JMSアプリケーションの開発の説明に従って、ソース・ブリッジおよびターゲット・ブリッジの宛先には、キュー、トピックまたは分散宛先のいずれかを指定できます。メッセージ・フィルタ、トランザクション・セマンティクス、接続の再試行ポリシー、高可用性オプションなどのサービス品質(QOS)を任意で指定することもできます。メッセージング・ブリッジを構成すると、ブリッジのトラフィックを必要に応じて一時的に中断する、構成したすべてのブリッジの状態をモニターする、といった管理タスクをWebLogic Server管理コンソールから簡単に行えます。
メッセージング・ブリッジのコンポーネント
以下の節では、メッセージング・ブリッジを使用するために必要なリソースについて説明します。
リソース・アダプタ
メッセージング・ブリッジではJCAリソース・アダプタを使用して、構成済のソースJMS宛先およびターゲットJMS宛先と通信します。ブリッジでソースJMS宛先およびターゲットJMS宛先と通信できるようにするには、サポートされているリソース・アダプタをそれぞれの宛先に関連付けます。アダプタのJNDI名は、リソース・アダプタのデプロイメント記述子の一部として構成されています。表2-1を参照してください。
ノート:
WebLogic Server 12.2.1以降、メッセージング・ブリッジ構成が簡略化されました。ブリッジ・アダプタを明示的に構成しデプロイする必要はありません。かわりに、メッセージング・ブリッジでは、ブリッジをデフォルト・アダプタのJNDI名(eis.jms.WLSConnectionFactoryJNDINoTX
またはeis.jms.WLSConnectionFactoryJNDIXA
)で構成した場合に自動的にデプロイされる内部アダプタを使用します。また、これらの内部アダプタの接続容量は、より大規模です。
デフォルト・アダプタのJNDI名で明示的に構成したレガシー・アダプタはデプロイすることはできますが、メッセージング・ブリッジにより無視されます。レガシー・アダプタ・デプロイは、WebLogic Server 12.2.1にアップグレードした後に、構成から削除できます。
メッセージング・ブリッジでデプロイメント記述子のパラメータを変更して組込みアダプタを使用する必要がある場合、アダプタを明示的にデプロイする必要があります。この場合、変更したアダプタはデフォルト以外のJNDI名でデプロイする必要があり、メッセージング・ブリッジ・アダプタのJNDI名属性はデフォルト以外の名前と一致するように構成する必要があります。
展開形式または.rar
ファイルの形で、様々なタイプのJMS宛先用リソース・アダプタが用意されています。展開形式では、リソース・アダプタのデプロイメント記述子のパラメータ(たとえば、ブリッジ・インスタンスで利用可能な接続の最大数を指定する、接続ファクトリのmax-capacity
など)を簡単に変更できます。
ノート:
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WebLogic Server 12.2.1リリース以降、ブリッジ・アダプタ用の展開された
.rar
形式は、インストール・キットに含まれていません。これに対して、2つの解決策があります。
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明示的アダプタ・デプロイメントを削除し、内部的にデプロイされたアダプタを使用します。内部アダプタにより、元の
.rar
ファイルよりも高い最大容量
が接続ファクトリに設定されます。 -
明示的にアダプタをデプロイしたい場合、
.rar
ファイルの内の1つを使用するか、展開された形式を.rar
ファイル上のjar -xf
で生成します。
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展開形式でリソース・アダプタのデプロイメント記述子を変更しても、
.rar
ファイルにパッケージされている記述子は更新されません。「接続ファクトリ数の指定」を参照してください。
サポートされているリソース・アダプタは、WL_HOME
\server\lib
ディレクトリにあります。次の表2-1でこれらのアダプタについて説明します。
表2-1 メッセージング・ブリッジ・リソース・アダプタとJNDI名
アダプタ | JNDI名 | 説明 |
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トランザクション・セマンティクスに
ノート: このアダプタをデプロイする前に、「複数のWebLogicドメインの相互運用の構成」を参照して具体的なトランザクションの構成要件とガイドラインを確認してください。 |
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トランザクション・セマンティクスは提供されません。必要なQOSが「最大1回」または「重複可」の場合に使用します。必要なQOSが「最大1回」の場合、 ノート: 非トランザクション・セッションで使用される確認応答モードの詳細は、Oracle WebLogic Server JMSアプリケーションの開発のWebLogic JMSの理解を参照してください。 |
ソース・ブリッジ宛先とターゲット・ブリッジ宛先
メッセージング・ブリッジは、ブリッジ宛先にマップされる2つの実際の宛先を接続します: メッセージの受信元であるソース宛先と、メッセージの送信先であるターゲット宛先です。
JMSメッセージング製品(WebLogic JMS実装またはサード・パーティのJMSプロバイダ)の場合、メッセージング・ブリッジにマップする実際のソースJMS宛先および対象JMS宛先ごとにJMSブリッジ宛先のインスタンスを構成します。JMSブリッジ宛先のインスタンスでは、WebLogicドメイン内のブリッジのソース宛先およびターゲット宛先に対してユニークな名前が付けられます。また、特定の宛先との通信に使われるアダプタの名前、そのアダプタに渡すプロパティ情報(「接続URL」、「接続ファクトリのJNDI名」など)も定義され、任意でユーザー名やパスワードを指定することもできます。Oracle WebLogic Server管理コンソール・ヘルプのJMSブリッジ宛先の作成を参照してください。参照:
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具体的な構成要件とガイドラインについては、「WebLogic Serverの別のリリースとの相互運用」または「外部プロバイダとの相互運用」。
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サード・パーティ製JMSプロバイダのブリッジ宛先を構成する場合、外部JMSサーバー機能を使用すると複数のソース宛先またはターゲット宛先を速やかに構成できます。Oracle WebLogic Server JMSリソースの管理で、サード・パーティJMSプロバイダにアクセスする外部サーバー・リソースの構成を参照してください。
メッセージング・ブリッジ・インスタンス
メッセージング・ブリッジ・インスタンスは、構成済みのソース・ブリッジ宛先およびターゲット・ブリッジ宛先と通信します。ソース宛先とターゲット宛先との各マッピングに対して、メッセージング・ブリッジ・インスタンスを構成する必要があります。これは、ターゲット宛先が別のWebLogic JMS実装であっても、サード・パーティ製JMSプロバイダであっても同様です。各メッセージング・ブリッジ・インスタンスは、マッピングするソース宛先とターゲット宛先、メッセージ・フィルタリング・セレクタ、サービスの品質(QOS)、トランザクション・セマンティクスおよび各種再接続パラメータを定義します。Oracle WebLogic Server管理コンソール・オンライン・ヘルプのメッセージング・ブリッジ・インスタンスの作成を参照してください。
ターゲット宛先以外がJMSメッセージ製品以外の場合は、メッセージング・ブリッジのインスタンスを構成する必要があることに注意してください。
メッセージング・ブリッジの構成と管理
次の各項では、WebLogic Server管理コンソールを使用してメッセージング・ブリッジを構成および管理する方法について説明します。
メッセージング・ブリッジ・インスタンスの作成
メッセージング・ブリッジの作成手順には以下のタスクがあります。
- ソース・ブリッジ宛先とターゲット・ブリッジ宛先を作成します。
- リソース・アダプタをデプロイします。
- メッセージング・ブリッジ・インスタンスを作成します。
- 必要な高可用性パラメータを作成します。「高可用性のためのメッセージング・ブリッジの構成」を参照してください
- メッセージング・ブリッジの対象を指定します。
WebLogic Server管理コンソールを使用すると、適切なリソース・アダプタをデプロイし、一部の属性値を設定して、メッセージング・ブリッジを作成できます。使用する環境に合うように、メッセージング・ブリッジの設定変更が必要な場合もあります。Oracle WebLogic Server管理コンソール・オンライン・ヘルプのメッセージング・ブリッジ・インスタンスの作成を参照してください。
ノート:
メッセージング・ブリッジのターゲット宛先を異種混在クラスタや動的クラスタにすることはできません。
メッセージング・ブリッジ・インスタンスの管理
WebLogic Server管理コンソールを使用したメッセージング・ブリッジの管理で通常必要になるタスクは次のとおりです。
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ドメインに構成されているすべてのメッセージング・ブリッジの状態のモニター。Oracle WebLogic Server管理コンソール・ヘルプのメッセージング・ブリッジ・インスタンスのモニターを参照してください。
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アクティブなメッセージング・ブリッジの中断と再起動。Oracle WebLogic Server管理コンソール・オンライン・ヘルプのメッセージング・ブリッジの中断と再起動を参照してください。
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メッセージング・ブリッジのデフォルトの実行スレッド・プール・サイズの構成。Oracle WebLogic Server管理コンソール・オンライン・ヘルプで、メッセージング・ブリッジの実行スレッド・プール・サイズの構成を参照してください。
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リソース・アダプタのデプロイ。Oracle WebLogic Server管理コンソール・オンライン・ヘルプのリソース・アダプタのデプロイを参照してください。
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セキュリティの信頼関係の作成。Oracle WebLogic Server JTAアプリケーションの開発で、ドメイン間およびドメイン内トランザクションのセキュアな通信の構成を参照してください。
高可用性のためのメッセージング・ブリッジの構成
メッセージング・ブリッジはクラスタをターゲットに設定して、高可用性および動的スケーラビリティを構成できます。
メッセージング・ブリッジの分散ポリシー・プロパティをDistributedに設定すると、各クラスタ・メンバーにブリッジのインスタンスが1つ作成されて起動します。分散ポリシーをSingletonに設定すると、ブリッジの単一インスタンスのみがクラスタで起動します。Oracle WebLogic Server JMSリソースの管理で、JMSサービスの分散ポリシーの定義を参照してください。
ブリッジでは、移行ポリシーをOn-FailureまたはOffに設定する必要があります。移行ポリシーをAlwaysで構成しようとすると、検証エラーのログが出力されます。ブリッジには、失敗した操作を再試行するメカニズムが組み込まれています。このため、ブリッジではrestart-in-place設定が無視されます。『Oracle WebLogic Server JMSリソースの管理』のJMSサービスの移行ポリシーの定義に関する項を参照してください。