Tuxedo の相互運用性
相互運用性と共存
以下の節では、Oracle Tuxedo 10g リリース 3 (10.3) と、Oracle Tuxedo ソフトウェアの旧リリース、Oracle WebLogic Enterprise、およびサード パーティ製品との相互運用性について説明します。
相互運用性の定義
ここで定義する相互運用性とは、Oracle Tuxedo ソフトウェアの現在のリリースがネットワーク上で Oracle Tuxedo 10g リリース 3 (10.3) 以前のソフトウェアまたは Oracle WebLogic Enterprise release 5.1 ソフトウェアと通信できることです。また、ドメイン内の相互運用性とドメイン間の相互運用性とは、次のことを意味しています。
ドメイン内の相互運用性
複数のマシンで構成されている Oracle Tuxedo ドメイン (アプリケーション) での、Oracle Tuxedo 10g リリース 3 (10.3) ソフトウェアを実行しているマシンと、Oracle Tuxedo 10.0 以前のソフトウェアまたは Oracle WebLogic Enterprise 5.1 ソフトウェアを実行しているマシンとの相互運用性。複数マシンのドメイン コンフィグレーションでは、マシンは Tuxedo ブリッジ プロセスを通じて会話します。
Tuxedo 10.0 以前のシステム ソフトウェアを実行する複数のマシンで構成された Tuxedo ドメインでは、マスタ マシン (およびマスタ バックアップ) がそのドメインで最上位リリースの Tuxedo システム ソフトウェアを実行しなければならない。したがって、この Tuxedo ドメインは、「Oracle Tuxedo 10g リリース 3 (10.3) ソフトウェアを実行する Oracle Tuxedo ドメイン」と見なされます。
ドメイン間の相互運用性
Oracle Tuxedo 10g リリース 3 (10.3) ソフトウェアを実行している Oracle Tuxedo ドメインと、Oracle Tuxedo 10.0 以前のソフトウェアまたは Oracle WebLogic Enterprise 5.1 ソフトウェアを実行しているドメインとの相互運用性。複数ドメイン (Domains) コンフィグレーションでは、ドメインは Tuxedo ドメイン ゲートウェイ プロセスを通じて会話します。
ドメイン内の相互運用性
次の 2 つのドメイン内グループでは、メッセージ交換とプロトコルの互換性が存在します。
Oracle Tuxedo 10g リリース 3 (10.3) は、Tuxedo 10.0、9.1、9.0、8.1、および 6.5 と同じドメイン内で共存できます。Oracle Tuxedo 10g リリース 3 (10.3) は、Tuxedo 10.0、9.1、9.0、8.1 および WebLogic Enterprise 5.1 と同じドメイン内で共存できます。
どちらの環境でも、アプリケーション クライアントとアプリケーション サーバ間のトランザクション コンテキスト (トランザクション状態情報) とセキュリティ コンテキスト (ユーザ ID) の伝達が完全にサポートされます。また、どちらの環境でも管理が完全にサポートされます。
ドメイン間の相互運用性
次の 3 つのドメイン間グループでは、メッセージ交換とプロトコルの互換性が存在します。
それぞれのシナリオでは、あるドメイン内のマシンで実行されている Tuxedo ドメイン (TDomain) ゲートウェイ プロセスは、ほかのドメイン内のマシンで実行されている TDomain ゲートウェイ プロセスとネットワークで通信します。次の TDomain ゲートウェイ プロセスのペアの通信がサポートされています。
表 1-1 TDomain ゲートウェイ プロセスの通信
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通信先の TDomain プロセスが存在するリリース
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Oracle Tuxedo 10 g リリース 3 (10.3)
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Oracle Tuxedo 10 g リリース 3 (10.3)
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Oracle WebLogic Enterprise 5.1
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Oracle WebLogic Enterprise 5.1
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もちろん、TDomain プロセスのペアの通信で利用できるドメイン間機能は、Tuxedo の旧リリースまたは WebLogic Enterprise ソフトウェアで実行される TDomain プロセスの機能に制限されます。
これらすべてのシナリオでは、ドメイン間の管理、トランザクション コンテキストの伝達、およびセキュリティ コンテキストの伝達が完全にサポートされています。ただし、あるドメイン内のマスタ マシンで Tuxedo 6.5 ソフトウェアが実行されており、ほかのドメインのマシンで WebLogic Enterprise 5.1 ソフトウェアが実行されている場合を除きます。これらの例外では、管理とトランザクション コンテキストの伝達がサポートされますが、セキュリティ コンテキストの伝達はサポートされません。
Oracle Tuxedo 10g リリース 3 (10.3) は、Tuxedo 10.0、9.1、9.0、8.1 CORBA ドメインと WebLogic Enterprise 5.1 CORBA ドメインとのドメイン間の相互運用性をサポートしています。この機能には、CORBA C++ ファクトリをドメイン境界にまたがって宣言する機能が含まれます。
Tuxedo 6.5 とそれ以外の Tuxedo リリース (6.5、8.0、8.1、9.0、9.1、10.0、および 10g リリース 3 (10.3)) とのドメイン間のトランザクション型の要求の場合は、以下のパッチ レベルのアップグレードを適用する必要があります。
Tuxedo 6.5 の場合、最低限 446 のパッチ レベル
Tuxedo 8.1 の場合、最低限 090 のパッチ レベル
9.0
Tuxedo 9.1 General Available バージョンを受け付け可能であること
Tuxedo 10.0 General Available バージョンを受け付け可能であること
Tuxedo 10gR3 General Available バージョンを受け付け可能であること
これにより、相互運用している全ドメインの同時パッチ アップグレードの要件が導入されました。ただし、時間差でパッチのアップグレードを実行するアプリケーションの場合、この同時アップグレード要件によって、実際面の問題が起こる可能性があります。こうした実際面での問題を軽減するために、TM_GWT_OLDSECCHECK
が GWTDOMAIN
に導入されています。これは、相互運用しているドメインが最低限、前述のパッチ レベルになるまで使用する必要があります。相互運用中の全ドメインがアップグレードされると、この環境変数は、すべてのドメインから消去できます。
クライアント サーバの相互運用性
ユーザの移行をサポートするために、Oracle Tuxedo 10g リリース 3 (10.3) では次のクライアント サーバの相互運用性がサポートされています。
表 1-2 クライアント サーバの相互運用性
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Oracle Tuxedo 10 g リリース 3 (10.3) ATMI サーバ
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Tuxedo 6.5、8.1、9.0、9.1、および 10.0 で実行される ATMI クライアント
WebLogic Enterprise release 5.1 で実行される ATMI クライアント
Jolt 1.2、1.2.1、8.1、9.0、9.1、および 10.0 で (Jolt サーバ 10g リリース 3 (10.3) を介して) 実行される Jolt クライアント
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Oracle Tuxedo 10.0 ATMI サーバ
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Tuxedo 6.5、8.1、9.0、および 9.1 で実行される ATMI クライアント
WebLogic Enterprise release 5.1 で実行される ATMI クライアント
Jolt 1.2、1.2.1、8.1、9.0、および 9.1 で (Jolt サーバ 10.0 を介して) 実行される Jolt クライアント
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Oracle Tuxedo 9.1 ATMI サーバ
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Tuxedo 6.5、8.1、および 9.0 で実行される ATMI クライアント
WebLogic Enterprise release 5.1 で実行される ATMI クライアント
Jolt 1.2、1.2.1、8.1、および 9.0 で (Jolt サーバ 9.1 を介して) 実行される Jolt クライアント
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Oracle Tuxedo 9.0 ATMI サーバ
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Tuxedo 6.5 および 8.1 で実行される ATMI クライアント
WebLogic Enterprise release 5.1 で実行される ATMI クライアント
Jolt 1.2、1.2.1、および 8.1 で (Jolt サーバ 9.0 を介して) 実行される Jolt クライアント
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Oracle Tuxedo 8.1 ATMI サーバ
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Tuxedo 6.5 で実行される ATMI クライアント
WebLogic Enterprise release 5.1 で実行される ATMI クライアント
Jolt 1.2 および 1.2.1 で実行される Jolt クライアント
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Oracle Tuxedo 10 g リリース 3 (10.3) CORBA サーバ
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Tuxedo 8.1、9.0、9.1、および 10.0 で実行される CORBA クライアント
WebLogic Enterprise 5.1 で実行される CORBA クライアント
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Oracle Tuxedo 10.0 CORBA サーバ
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Tuxedo 8.1、9.0、および 9.1 で実行される CORBA クライアント
WebLogic Enterprise 5.1 で実行される CORBA クライアント
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Oracle Tuxedo 9.1 CORBA サーバ
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Tuxedo 8.1 および 9.0 で実行される CORBA クライアント
WebLogic Enterprise 5.1 で実行される CORBA クライアント
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Oracle Tuxedo 9.0 CORBA サーバ
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Tuxedo 8.1 で実行される CORBA クライアント
WebLogic Enterprise 5.1 で実行される CORBA クライアント
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Oracle Tuxedo 8.1 CORBA サーバ
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WebLogic Enterprise 5.1 で実行される CORBA クライアント
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Oracle Tuxedo 10 g リリース 3 (10.3) ATMI クライアント
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Tuxedo 6.5、8.1、9.0、9.1、および 10.0 で実行される ATMI サーバ
WebLogic Enterprise 5.1 で実行される ATMI サーバ
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Oracle Tuxedo 10.0 ATMI クライアント
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Tuxedo 6.5、8.1、9.0、および 9.1 で実行される ATMI サーバ
WebLogic Enterprise 5.1 で実行される ATMI サーバ
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Oracle Tuxedo 9.1 ATMI クライアント
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Tuxedo 6.5、8.1、および 9.0 で実行される ATMI サーバ
WebLogic Enterprise 5.1 で実行される ATMI サーバ
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Oracle Tuxedo 9.0 ATMI クライアント
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Tuxedo 6.5 および 8.1 で実行される ATMI サーバ
WebLogic Enterprise 5.1 で実行される ATMI サーバ
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Oracle Tuxedo 8.1 ATMI クライアント
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WebLogic Enterprise 5.1 で実行される Tuxedo 6.5 ATMI サーバで実行される ATMI サーバ
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Oracle Tuxedo 9.1 .NET クライアント
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Tuxedo 6.5、8.1、および 9.0 で実行される ATMI サーバ
WebLogic Enterprise 5.1 で実行される ATMI サーバ
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Oracle Tuxedo 10 g リリース 3 (10.3) CORBA クライアント
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Tuxedo 8.1、9.0、9.1、10.0、および 10g リリース 3 (10.3) で実行される CORBA サーバ
WebLogic Enterprise 5.1 で実行される CORBA サーバ
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Oracle Tuxedo 10.0 CORBA クライアント
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Tuxedo 8.1、9.0、9.1、および 10.0 で実行される CORBA サーバ
WebLogic Enterprise 5.1 で実行される CORBA サーバ
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Oracle Tuxedo 9.1 CORBA クライアント
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Tuxedo 8.1 および 9.0 で実行される CORBA サーバ
WebLogic Enterprise 5.1 で実行される CORBA サーバ
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Oracle Tuxedo 9.0 CORBA クライアント
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Tuxedo 8.1 で実行される CORBA サーバ
WebLogic Enterprise 5.1 で実行される CORBA サーバ
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Oracle Tuxedo 8.1 CORBA クライアント
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WebLogic Enterprise 5.1 で実行される CORBA サーバ
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Oracle Jolt 10 g リリース 3 (10.3) クライアント
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Tuxedo 6.5 で (Jolt サーバ 1.2 を介して) 実行される ATMI サーバ
Tuxedo 8.1 で (Jolt サーバ 8.1 を介して) 実行される ATMI サーバ
Tuxedo 9.0 で (Jolt サーバ 9.0 を介して) 実行される ATMI サーバ
Tuxedo 9.1 で (Jolt サーバ 9.1 を介して) 実行される ATMI サーバ
Tuxedo 10.0 で (Jolt サーバ 10.0 を介して) 実行される ATMI サーバ
WebLogic Enterprise 5.1 で (Jolt サーバ 1.2 を介して) 実行される ATMI サーバ
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Tuxedo 6.5 で (Jolt サーバ 1.2 を介して) 実行される ATMI サーバ
Tuxedo 8.1 で (Jolt サーバ 8.1 を介して) 実行される ATMI サーバ
Tuxedo 9.0 で (Jolt サーバ 9.0 を介して) 実行される ATMI サーバ
Tuxedo 9.1 で (Jolt サーバ 9.1 を介して) 実行される ATMI サーバ
WebLogic Enterprise 5.1 で (Jolt サーバ 1.2 を介して) 実行される ATMI サーバ
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Tuxedo 6.5 で (Jolt サーバ 1.2 を介して) 実行される ATMI サーバ
Tuxedo 8.1 で (Jolt サーバ 8.1 を介して) 実行される ATMI サーバ
Tuxedo 9.0 で (Jolt サーバ 9.0 を介して) 実行される ATMI サーバ
WebLogic Enterprise 5.1 で (Jolt サーバ 1.2 を介して) 実行される ATMI サーバ
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Tuxedo 6.5 で (Jolt サーバ 1.2 を介して) 実行される ATMI サーバ
Tuxedo 8.1 で (Jolt サーバ 8.1 を介して) 実行される ATMI サーバ
WebLogic Enterprise 5.1 で (Jolt サーバ 1.2 を介して) 実行される ATMI サーバ
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Tuxedo 6.5 で (Jolt サーバ 1.2 を介して) 実行される ATMI サーバ
WebLogic Enterprise 5.1 で (Jolt サーバ 1.2 を介して) 実行される ATMI サーバ
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特定のクライアント サーバのペアのクライアントで利用できる機能は、アプリケーション クライアントとサーバ アプリケーションのリリースによって異なります。たとえば、Oracle Tuxedo 10g リリース 3 (10.3) ATMI クライアントと Oracle Tuxedo 6.5 サーバ アプリケーションとの相互運用の場合、クライアントで利用できるのは Oracle Tuxedo 6.5 機能だけです。
サード パーティ ORB との相互運用性
CORBA アプリケーション クライアントと Oracle Tuxedo CORBA ドメインの通信は、そのドメインをブートストラップ処理することで確立されます。ブートストラップ処理のメカニズムには、Bootstrap オブジェクトを使用する Oracle 社のメカニズムと、OMG が規定した CORBA Interoperable Naming Service (INS) のメカニズムがあります。
INS のサポートは、Oracle Tuxedo リリース 8.0 から追加されました。INS の追加により、INS を利用するサード パーティ ORB を Oracle Tuxedo CORBA サーバ ORB と相互運用できます。
注意 : |
Oracle Tuxedo CORBA クライアントの環境オブジェクトは、Oracle Tuxedo 8.1、9.0、9.1、10.0 および WebLogic Enterprise 5.1 の場合と同じように Oracle Tuxedo 10g リリース 3 (10.3) でもサポートされます。 |
CORBA アプリケーション クライアントでは、Oracle Tuxedo Bootstrap オブジェクトまたは INS ブートストラップ処理メカニズムを使用して Oracle Tuxedo CORBA ドメインにあるオブジェクトのリファレンスを取得します。Oracle クライアント ORB は Oracle 社のメカニズムを使用し、サード パーティ クライアント ORB は CORBA INS メカニズムを使用します。Oracle Tuxedo ドメインのブートストラップの詳細については、『Tuxedo CORBA プログラミング リファレンス』を参照してください。
製品のアップグレード
次の図に、Oracle Tuxedo 10g リリース 3 (10.3) にアップグレードできる従来の Oracle Tuxedo 製品と Oracle WebLogic Enterprise 製品を示します。
アップグレードするためにドメイン (アプリケーション) を停止できる場合は、停止してから簡易アップグレードを実行します。アップグレードするためにドメインを停止できない場合は、ホット アップグレードを実行します。つまり、ドメインを停止せずに Oracle Tuxedo 10g リリース 3 (10.3) を既存の Oracle Tuxedo または Oracle WebLogic Enterprise ドメインに追加します。
簡易アップグレードまたはホット アップグレードの実行手順については、『Oracle Tuxedo システムのインストール』の「Oracle Tuxedo システムのリリース 10g リリース 3 (10.3) へのアップグレード」を参照してください。
上位アプリケーション互換性
Oracle Tuxedo 8.1、9.0、9.1、および 10.0 で開発したアプリケーションは、Oracle Tuxedo 10g リリース 3 (10.3) と上位互換です。ただし、再リンクが必要な場合があります。
Tuxedo 6.x アプリケーションを Tuxedo 10g リリース 3 (10.3) で実行するには、再コンパイルする必要があります。WLE 5.1 以前で開発した既存のアプリケーションを Tuxedo 10g リリース 3 (10.3) で実行するには、再生成、再コンパイル、および再リンクする必要があります。
Tuxedo 10gR3 は Tuxedo 10.0 とバイナリ互換です。アプリケーション バイナリは Tuxedo 10.0 でコンパイルされています。クライアントもサーバも、再リンクする必要なく Tuxedo 10gR3 で直接使用できます。ただし唯一の例外として、buildtms
を使用して生成された TMS サーバについては再リンクする必要があります。
注意 : |
XML 関連のアプリケーションの場合は、Xerces C++ 2.5 のインタフェース要件に従う必要があります。 |
注意 : |
Windows プラットフォームでは、FML 関連の機能を使用する場合、バイナリを再リンクする必要があります。 |