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Distributed Configuration Management 管理者ガイド
10gリリース2(10.1.2)
B15732-03
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2
dcmctlユーティリティの使用方法

この章では、Oracle Application Server File-Based Farm、DCM-Managed Oracle Application Server Cluster、Oracle Application Serverインスタンス、コンポーネント・インスタンスなどの管理対象構成要素を、dcmctlユーティリティを使用して作成および管理する方法について説明します。データベースベース・リポジトリの作成タスクとメンテナンス・タスクは、dcmctlユーティリティ以外のツール、すなわちOracle Universal InstallerとRepository Creation Assistantを使用して行うため、ここでは説明しません。これらの使用方法は、『Oracle Application Server管理者ガイド』を参照してください。

この章は次の項で構成されています。

2.1 管理する構成の概要

管理対象の構成要素間には、図2-1に示すような関係があります。管理するとは、リポジトリ(ファイルベースまたはデータベース)を管理に関連付けることを意味します。DCM-Managed OracleAS Cluster構成の作成と同期は、個別に手動ベースで実行できますが、その方法についてはここでは説明しません。

DCMで管理する構成の最も広範な管理スコープはOracle Application Server Farmで、この中に、Oracle Application ServerインスタンスのDCM-Managed OracleAS Cluster、およびクラスタリングされていない、つまりスタンドアロンのOracle Application Serverインスタンスが配置されます。OracleAS Farmはインストール時に作成するか、dcmctlユーティリティを使用して作成できます。図2-1に、OracleAS Farm内の各要素、要素間の関係およびそれらのカーディナリティを示します。

図2-1    Oracle Application Server Farm、インスタンスおよびクラスタ構成


画像の説明

2.2 Oracle Application Server Farmの作成およびメンテナンス・タスク

OracleAS Farmは、同一のDCMメタデータ・リポジトリを共有するOracleAS ClusterとOracle Application Serverインスタンスの集合として定義されます。Oracle Application Server Farmは、リポジトリを共有するOracleAS ClusterとOracle Application Serverインスタンスに対して適用される管理スコープです。

この項では、OracleAS File-Based FarmをセットアップしてOracle Application Serverインスタンスをそれに追加する方法、Oracle Application ServerインスタンスのDCM-Managed OracleAS Clusterを作成およびメンテナンスする方法および他のシステム管理タスクを実行する方法について説明します。この項では次のトピックについて説明します。

2.2.1 OracleAS File-Based Farmリポジトリ・ホストの指定

OracleAS File-Based Farmのリポジトリ・ホストとなるOracle Application Serverインスタンスを指定する必要があります。指定するOracle Application Serverインスタンスは、スタンドアロンのOracle Application Serverインスタンス(つまり、どのOracleAS Farmにも関連付けられていないインスタンス)である必要があります。OracleAS File-Based Farmのリポジトリ・ホストを指定するには、次の手順を実行します。

  1. リポジトリ・ホストのOracle Application ServerインスタンスにするOracle Application Serverインスタンスにナビゲートします。

  2. 次のコマンドを発行して、Oracle Application Serverインスタンスがスタンドアロンであるかどうかを調べます。

    dcmctl whichFarm
    
    

    dcmctlによってOracleAS File-Based Farmの名前が返された場合は、そのOracle Application ServerインスタンスはOracleAS File-Based Farmの構成要素で、既存のリポジトリに関連付けられています。Oracle Application Serverインスタンスをスタンドアロン状態にする手順は次のとおりです。

    1. 次のコマンドを発行します。

      dcmctl leaveFarm
      
      

      Oracle Application Serverインスタンスがスタンドアロン状態になり、それに属するすべてのコンポーネントが停止されます。

  3. 次のコマンドを発行します。

    dcmctl getRepositoryID
    
    

    dcmctlによって、リポジトリIDがhostname:portの形式で返されます。

  4. 次のコマンドを発行します。

    dcmctl joinFarm -r repository ID
    
    

    このコマンドで、repository IDは、getRepositoryIDコマンドによって返されたhostname:portの値です。

    現行のOracle Application Serverインスタンスが、OracleAS File-Based Farmのリポジトリ・ホスト・インスタンスとして構築されます。OracleAS File-Based Farmの構成情報は、リポジトリ・ホストになったOracle Application Serverインスタンスのファイルベース・リポジトリに格納されます。

2.2.2 OracleAS Farmへのインスタンスの追加

図2-1に示されているように、Oracle Application ServerインスタンスはスタンドアロンのOracle Application Serverインスタンスとして(DCM-Managed OracleAS Clusterのメンバーになることなく)、OracleAS Farmの構成要素になれます。これによって、UNIX、WindowsおよびLinux上のOracle Application Serverインスタンスの各集合を、1つの単位として管理できます(同種のオペレーティング・システム上のインスタンスはクラスタ化されますが、Oracle Application ServerインスタンスをDCM-Managed OracleAS Clusterに結合する前に、OracleAS Farmに配置する必要があります)。OracleAS File-Based FarmにOracle Application Serverインスタンスを追加するには、次の手順を実行します。

  1. Oracle Application Serverインスタンスを結合するOracleAS File-Based Farmのリポジトリ・ホストとなるOracle Application ServerインスタンスのリポジトリIDを取得します(必要な場合は、次のコマンドを発行します)。

    dcmctl getRepositoryID
    
    

    dcmctlによって、リポジトリIDがhostname:portの形式で返されます。

  2. OracleAS File-Based Farmに結合するOracle Application Serverインスタンスで、次のコマンドを発行します。

    dcmctl joinFarm -r repository ID
    
    

    このコマンドで、repository IDは、手順1のコマンドによって返されたリポジトリIDです。

  3. (オプション)次のコマンドを発行して、インスタンスがOracleAS File-Based Farmに正しく結合されたことを確認します。

    dcmctl whichfarm -v
    
    

    dcmctlによって、ファーム名、ホスト・インスタンス名、ホスト名およびリポジトリ・タイプが返されます。

2.2.3 DCM-Managed OracleAS Clusterの作成

図2-1に示されているように、DCM-Managed OracleAS ClusterはOracle Application Server Farmのメンバーとして作成されます。DCM-Managed OracleAS Clusterを作成するには、次の手順を実行します。

  1. DCM-Managed OracleAS Clusterを作成するOracleAS Farmに配置されているOracle Application ServerインスタンスのOracleホームにナビゲートします。

  2. 次のコマンドを発行します。

    dcmctl createCluster -cl nameOfCluster
    
    

    このコマンドで、nameOfClusterはDCM-Managed OracleAS Clusterの識別子です。

    ヒント

    構文と規則の説明は「createCluster」を参照するか、コマンドdcmctl help createclusterを発行してヘルプ・テキストを表示します。 

    dcmctlによって、次のようなDCM-Managed OracleAS Clusterの一覧が表示されます。

    1  cluster2
    2  cluster1
    
    

    DCM-Managed OracleAS Clusterの作成時には、Oracle Application Serverのメンバー・インスタンスはいっさい配置されていません。Oracle Application ServerインスタンスをDCM-Managed OracleAS Clusterに追加するには、joinClusterコマンドを使用します。

2.2.4 DCM-Managed OracleAS Clusterのメンバーシップの理解

DCM-Managed OracleAS Clusterを作成したら、それにOracle Application Serverインスタンスを追加できます。Oracle Application ServerインスタンスをDCM-Managed OracleAS Clusterに追加する前に、DCM-Managed OracleAS Cluster構成とクラスタリング可能なOracle Application Serverインスタンスの特性に関する次のガイドラインを参照し、理解してください。

2.2.4.1 共通構成の構築方法

Oracle Application ServerインスタンスをDCM-Managed OracleAS Clusterに追加する順序は重要な意味を持ちます。DCM-Managed OracleAS Cluster間でレプリケートされる共通構成は、最初にクラスタに追加するOracle Application Serverインスタンスによって構築されます。最初に追加するOracle Application Serverインスタンスの構成が、それ以降にDCM-Managed OracleAS Clusterに加わるすべてのOracle Application Serverインスタンスによって継承されます。

共通構成には、クラスタ全体のすべての構成情報、すなわち構成済のコンポーネントなどの、DCM-Managed OracleAS ClusterとOracle Application Serverインスタンスの属性情報が保持されます。たとえば、最初にクラスタに結合したOracle Application Serverインスタンスに4つのOC4Jインスタンスがあれば、共通構成には、それら4つのOC4JインスタンスとOC4Jインスタンスにデプロイされているアプリケーションが含まれます。それ以降にDCM-Managed OracleAS Clusterに加わるインスタンスには、それらのOC4Jインスタンスとデプロイされているアプリケーションがレプリケートされます(また、Oracle Application ServerインスタンスをDCM-Managed OracleAS Clusterに結合するときには、DCMでは共通構成と一致しないOC4Jコンポーネントがすべて削除されます)。さらには、新しいOC4Jインスタンスを追加したり、既存のOC4Jインスタンスを削除するなど、DCM-Managed OracleAS Cluster内の1つのOracle Application Serverインスタンスを変更すると、その変更内容がDCM-Managed OracleAS Cluster間でレプリケートされ、構成されたコンポーネントが、レプリケートされたクラスタ全体の共通構成の一部となります。

最後のOracle Application ServerインスタンスをDCM-Managed OracleAS Clusterから結合解除すると、DCM-Managed OracleAS Clusterが空のDCM-Managed OracleAS Clusterになり、次にDCM-Managed OracleAS Clusterに加えるOracle Application ServerインスタンスによってDCM-Managed OracleAS Clusterの新しい共通構成が構築されます。

2.2.4.2 共通構成から除外されるパラメータ: インスタンス固有のパラメータ

一部のパラメータは特定のOracle Application Serverインスタンスまたはコンピュータにのみ適用されるため、DCM-Managed OracleAS Cluster内のすべてのOracleASインスタンスには自動的に伝播されません。そのため、これらのパラメータを変更するときは、適切なOracle Application Serverインスタンスに変更を適用する必要があります。

表2-1    OC4Jインスタンス固有のパラメータ 
パラメータ  説明 

Oracle Application Server Cluster(OC4J)の定義 

Oracle Application Serverインスタンス固有。ステートフルなOC4Jアプリケーションでは、DCM-Managed OracleAS Cluster全体の各OC4Jインスタンス内の各OracleAS Cluster(OC4J)が同じ名前を持つ必要があります。 

プロセス数 

コンピュータ固有。このパラメータは、コンピュータの性能に応じて調整できます。 

コマンドライン・オプション 

コンピュータ固有。 

RMI、JMSおよびAJP通信用のポート番号 

コンピュータ固有。 

表2-2    Oracle HTTP Serverインスタンス固有のパラメータ 
パラメータ  説明 

ApacheVirtualHost 

コンピュータ固有。 

Listen 

コンピュータ固有。このディレクティブは、サーバーを特定のアドレスまたはポートにバインドします。 

OpmnHostPort 

コンピュータ固有。 

Port 

コンピュータ固有。このディレクティブは、スタンドアロン・サーバーがリスニングするポートを指定します。 

User 

コンピュータ固有。 

Group 

コンピュータ固有。 

NameVirtualHost 

コンピュータ固有。このディレクティブは、サーバーが名前ベースの仮想ホストに対するリクエストを受け取るIPアドレスを指定します。このディレクティブはポートも指定できます。 

ServerName 

コンピュータ固有。このディレクティブは、リダイレクションURLの作成時にサーバーが返すホスト名を指定します。このディレクティブは、gethostbynameがローカル・ホストで動作しない場合に使用されます。また、サーバーがホスト名としてDNSエイリアス(たとえば、www.abccompany.com)を返すように設定する場合もこれを使用できます。 

PerlBlob 

コンピュータ固有。 

表2-3    Oracle Process Manager and Notification Serverインスタンス固有のパラメータ 
opmn.xmlファイルのパラメータ  説明 

通知サーバーのすべての構成:

opmn/notification-server 

コンピュータ固有。 

process-manager要素:

log-file

process-module 

Oracle Application Serverインスタンス固有。 

ias_instance属性:

id

ORACLE_HOME

ORACLE_CONFIG_HOME 

Oracle Application Serverインスタンス固有。 

opmn/process-manager/ias-instance/ias-component/process-typeの次の要素と属性:

port.range

start

stop

ping

restart

process-set 

Oracle Application Serverインスタンス固有。これらの要素と属性はインスタンス固有ですが、デフォルト構成を持ちます(構成は伝播されませんが、リポジトリから取得されます)。MissingLocalValuePolicyフラグは、要素または属性がデフォルト値を持つことを示します。

MissingLocalValuePolicy="UseRepositoryValue" 

opmn/process-manager/ias-instanceの次の属性と要素:

module-data/category/data[id='config-file']

ias-component/module-data/category/
data[id='config-file']

ias-component/process-type/
module-data/category/data[id='config-file']

ias-component/process-type/
process-set/module-data/category/data[id='config-file']

environment

ias-component/environment

ias-component/process-type/
environment

ias-component/process-type/
process-set/environment

opmn/process-manager/ias-instance/ias-componentのidがHTTP_ServerまたはOC4Jではない他のすべてのコンポーネント:

[id='dcm-daemon']

[id='WebCache']

[id='OID']

[id='IASPT']

[id='wireless']

[id='ProcessConnect']

[id='ReportsServer1']

[id='Discoverer']

[id='LogLoader']

[id='Custom'] 

HTTP_ServerおよびOC4Jパラメータの大半はクラスタ全体に適用されます。ここに示したもののみがインスタンス固有です。

一般的には次のことが該当します。

  • idがconfig-fileであるすべてのdata要素はインスタンス固有

  • すべてのenvironment要素はインスタンス固有

    注意: 付録B「DCMのトラブルシューティング」例B-1に、これらの要素と属性の階層構造を持つ完全なopmn.xmlファイルを示します。

 

2.2.4.3 DCM-Managed OracleAS Clusterへのインスタンス追加時のルールとガイドライン

DCM-Managed OracleAS Clusterに追加するインスタンスには、次の制約が適用されます。

2.2.4.4 インスタンスとアプリケーションに対するネーミングの制約

アプリケーション、OC4Jインスタンス、Oracle Application ServerインスタンスまたはJ2EEアプリケーションにネーミングするときは、Oracle Application Serverインストールがあるコンピュータのホスト名を使用しないでください。特に、クラスタ化された環境では、DCM-Managed OracleAS Cluster内のどのOracle Application Serverインストールのホスト名、OracleホームおよびIPアドレスも使用しないでください。

たとえば、コンピュータのホスト名がabc.comである場合、文字列abc.comからなる、つまり文字列abc.comを含む新しいOC4JインスタンスやJ2EEアプリケーションは作成できません。このルールは、そのコンピュータのOracleホーム・ディレクトリ・パスまたはIPアドレスにも適用されます。

この制約が適用される理由は、DCMのクラスタリング、アーカイブおよびクローニング機能と関係しています。構成パラメータをアーカイブまたは取得するとき、DCMはホスト名、OracleホームおよびIPアドレスの文字列を検出するために、すべての構成ファイルをスキャンします。これらの値に一致する文字列が検出された場合、これらの値はシンボリック・マクロに置き換えられ、DCMリポジトリに格納されます。

DCMによってこれらの構成が他のインストールに適用されるときは、ホスト名、OracleホームおよびIPアドレスに一致する文字列は、その構成が適用されるインストールの値に置換されます。したがって、OC4Jインスタンス名またはJ2EEアプリケーション名にホスト名、Oracleホーム名またはIPアドレスが含まれている場合、構成が他のインストールに適用されたときに不適切に置き換えられてしまいます。

2.2.5 DCM-Managed OracleAS Clusterへのインスタンスの追加

DCM-Managed OracleAS ClusterにOracle Application Serverインスタンスを追加するには、次の手順を実行します。

  1. (オプション)次のコマンドを発行して、ローカルのOracleAS Farm内のDCM-Managed OracleAS Clusterの名前を調べます。

    dcmctl listClusters
    
    

    dcmctlによって、ローカルのOracle Application Serverインスタンスが関連付けられているOracleAS Farmに属するDCM-Managed OracleAS Cluster名の一覧が返されます。

  2. DCM-Managed OracleAS Clusterに結合するOracle Application Serverインスタンスにナビゲートします。

  3. (オプション)次のコマンドを発行して、Oracle Application ServerインスタンスがDCM-Managed OracleAS Clusterに追加可能であるかどうかを確認します。

    dcmctl isClusterable
    
    

    dcmctlによってtrueが返された場合は、手順4に進みます。

  4. 次のコマンドを発行します。

    dcmctl joinCluster -cl nameOfCluster
    
    

    このコマンドで、nameOfClusterは、Oracle Application Serverインスタンスを結合するDCM-Managed OracleAS Clusterの識別子です。

    ヒント

    非ローカルなOracle Application ServerインスタンスをDCM-Managed OracleAS Clusterに結合する方法の説明は「joinCluster」を参照するか、コマンドdcmctl help joinclusterを発行してヘルプ・テキストを表示します。 

    Oracle Application ServerインスタンスがDCM-Managed OracleAS Clusterに結合され、停止されます。dcmctl joinclusterコマンドによって、DCM-Managed OracleAS Cluster内のOracle Application Serverインスタンスの一覧が次の形式で表示されます。

    1  10g01.my.pc.mycompany.com
    2  10g02.my.pc.mycompany.com
    
    
  5. (オプション)次のコマンドを発行して、Oracle Application Serverインスタンスを起動します。

    opmnctl startall
    
    

2.2.6 DCM-Managed OracleAS ClusterからのOracle Application Serverインスタンスの削除

DCM-Managed OracleAS ClusterからOracle Application Serverインスタンスを削除するには、次の手順を実行します。

  1. (オプション)次のコマンドを発行して、DCM-Managed OracleAS Cluster内のOracle Application Serverインスタンスの名前を調べます。

    dcmctl listInstances -cl nameOfCluster
    
    

    dcmctlによって、DCM-Managed OracleAS Cluster内のOracle Application Serverインスタンス名の一覧が返されます。

  2. DCM-Managed OracleAS Clusterから削除するOracle Application Serverインスタンスにナビゲートします。

  3. 次のコマンドを発行します。

    dcmctl leaveCluster
    

    ヒント

    非ローカルなOracle Application ServerインスタンスをDCM-Managed OracleAS Clusterから削除する方法の説明は「leaveCluster」を参照するか、コマンドdcmctl help leaveclusterを発行してヘルプ・テキストを表示します。 

2.2.7 ファイルベース・リポジトリからの構成情報のエクスポートとインポート

DCMで構成を管理することの1つの利点は、構成情報がOracle Application Serverインスタンス間で移植可能になるということです。この項では、リポジトリを保存およびリストアする方法について説明します。

Oracle Application Serverにはファイルベース・リポジトリを保存するコマンドが用意されているため、リポジトリ・ホストのOracle Application Serverインスタンスが動作を停止したり、そのファイル・システムが破損した場合でも、リポジトリをリストアできます。exportRepositoryコマンドによって、ファイルベース・リポジトリを保存します。次に、importRepositoryコマンドを使用して、保存した構成情報をリポジトリ・ホストのOracle Application ServerインスタンスまたはOracleAS File-Based Farm内の別のOracle Application Serverインスタンスにリストアできます。

リポジトリ・ホストのOracle Application Serverインスタンスからリポジトリをエクスポートするには、次のコマンドを発行します。

dcmctl exportRepository -file file name

このコマンドで、file nameは構成情報の保存先となるファイルの名前です。

保存したファイルベース・リポジトリをインポートするには、次の手順を実行します。

  1. 現行のOracle Application Serverインスタンス(dcmctlを使用するインスタンス)を除いて、OracleAS File-Based Farmの各Oracle Application ServerインスタンスのDCMデーモンを停止します。OracleAS File-Based Farmの各Oracle Application Serverインスタンスで次のコマンドを発行します。

    ORACLE HOME/opmn/bin/opmnctl stopproc ias-component=dcm-daemon
    
    
  2. OracleAS File-Based Farmのリポジトリ・ホストであるOracle Application Serverインスタンスにするシステム上で、次のコマンドを発行します。

    dcmctl importRepository -file file name
    
    

    このコマンドで、file nameは、exportRepositoryコマンドで指定したファイルの名前です。

  3. 元のリポジトリ・ホストのシステムで、次のコマンドを発行して、そのOracle Application ServerインスタンスがホストOracle Application Serverインスタンスでなくなったことを通知します。

    dcmctl repositoryRelocated
    
    

2.2.8 OracleAS File-Based Farm間でのインスタンスの移動

特定のOracleAS File-Based Farmに属するOracle Application Serverインスタンスを別のOracleAS File-Based Farmに移動できます。別のリポジトリに移動するには、leaveFarmコマンドとjoinFarmコマンドを使用します。

OracleAS File-Based FarmからOracle Application Serverインスタンスを結合解除すると、そのOracle Application Serverインスタンスはスタンドアロンになります。これは次のことを意味します。

あるリポジトリから別のリポジトリにOracle Application Serverインスタンスを移動するには、次の手順を実行します。

  1. 別のOracleAS File-Based Farmに移動するOracle Application Serverインスタンスで、次のコマンドを発行します。

    dcmctl whichFarm
    
    

    dcmctlによってOracleAS File-Based Farmの名前が返された場合は、そのOracle Application ServerインスタンスはOracleAS File-Based Farmの構成要素で、既存のリポジトリに関連付けられています。

  2. 次のコマンドを発行します。

    dcmctl leaveFarm
    
    

    Oracle Application Serverインスタンスがスタンドアロン状態になります。

  3. createArchiveコマンドを使用して、Oracle Application Serverインスタンスの基本アーカイブを作成します。たとえば、次のように入力します。

    dcmctl createArchive -arch myArchive
    

  4. Oracle Application Serverインスタンスの移動先のリポジトリがあるOracleAS File-Based Farmに属するOracle Application Serverインスタンスの1つで、次のコマンドを発行します。

    dcmctl getRepositoryId
    
    

    dcmctlによって、リポジトリIDがhostname:portの形式で返されます。

  5. 次のコマンドを発行して、手順4で取得したリポジトリIDを持つOracleAS File-Based FarmにOracle Application Serverインスタンスを結合します。

    dcmctl joinFarm -r repository ID
    
    


    注意

    この変更をApplication Server Controlコンソールに反映するには、Application Server Controlコンソールを再起動する必要があります。ORACLE_HOME/binディレクトリで、次のコマンドを発行します。

    ORACLE_HOME/bin> emctl stop iasconsole
    ORACLE_HOME/bin> emctl start iasconsole
     

2.2.9 OracleAS Database-Based Farmへのインスタンスの移動

dcmctlユーティリティを使用して、OracleAS File-Based Farmに属しているOracle Application ServerインスタンスをOracleAS Database-Based Farmに移動できます。

インスタンスをOracleAS File-Based FarmからOracleAS Database-Based Farmに移動するには、最初にそのインスタンスをOracleAS File-Based Farmから結合解除することで、現行リポジトリとの関連付けを解除します。これによってインスタンスがスタンドアロン状態になり、OracleAS Database-Based Farmに結合可能になります。

インスタンスを移動するには、次の手順を実行します。

  1. 次のコマンドを使用して、インスタンスがOracleAS File-Based Farmの構成要素であるかどうかを調べます。

    dcmctl whichFarm
    
    
  2. インスタンスがOracleAS Database-Based Farmの構成要素であることを示す結果が出力された場合は、次のコマンドを発行してインスタンスをスタンドアロン状態にします。

     dcmctl leaveFarm 
    
    
  3. インスタンスをOracleAS Database-Based Farmに結合するときに、そのインスタンスが以前にそのOracleAS Database-Based Farmのメンバーであった場合は、次のコマンドを使用してOracleAS Farmに再結合します。

    dcmctl joinFarm
    
    

    この手順に失敗した場合、そのインスタンスは以前にOracleAS Database-Based Farmのメンバーでなかったことになります。したがって、その構成メタデータはDCMリポジトリになく、このことはOracleAS Database-Based Farmへの結合にはApplication Server Controlコンソールを使用する必要があることを意味します。


    注意

    OracleAS FarmからOracle Application Serverインスタンスを結合解除すると、インスタンスはスタンドアロンになります。スタンドアロン・インスタンスは、スタンドアロン・インスタンスのファイル・システム上に保存された独自のDCM管理構成メタデータを持ちます。インスタンスのアーカイブは、元のリポジトリ・ホストから削除されます。ただし、Oracle Application Server Single Sign-On、JAAS、Oracle Internet Directoryなどの他のコンポーネントが使用するInfrastructureデータベースへの接続は削除されません。 


    関連項目

    Application Server Controlコンソールを使用してインスタンスをOracleAS Database-based Farmに結合する方法は、『Oracle Application Server管理者ガイド』を参照してください。 

2.2.10 OracleAS File-Based Farmのインスタンス間でのSSL通信の有効化

インスタンス間での構成情報の送受信にSecure Sockets Layer(SSL)プロトコルを使用するように、DCMを構成できます。この機能によって、OracleAS File-Based Farm内の全インスタンス間で送受信されるメッセージのセキュリティが保証され、許可されてないインスタンスがOracleAS File-Based Farmに結合されるのを防止できます。

この項では、OracleAS File-Based Farm内のインスタンスにSSLと証明書ベースのセキュリティをセットアップする手順について説明します。この手順の全体は、次のタスクからなります。

  1. キーストアの生成

  2. 各インスタンスのOracle Application Serverプロセスの停止

  3. OracleAS File-based Farm内の各インスタンスでのキーストア情報ファイルのセットアップ

  4. dcmCache.xmlファイルでのSSLの有効化

  5. 構成変更の適用の確認

  6. OracleAS File-based Farm内のインスタンスの起動

  7. SSL対応のOracleAS File-based Farmへの新規インスタンスの追加

2.2.10.1 キーストアの生成

次のドキュメントの説明に従って、JDK keytoolコマンドを使用して、証明書を生成しキーストアを作成します。

http://java.sun.com/j2se/1.4.1/docs/tooldocs/solaris/keytool.html

鍵のペアが生成済でOC4J用の証明書を取得済の場合は、以前に取得したキーストアを使用できます。

SSL証明書ベースのセキュリティを使用するには、OracleAS File-Based Farm内の各インスタンスにJavaキーストアを作成する必要があります。このキーストアは他のJavaアプリケーションで使用するものと同じであっても、OracleAS File-Based Farm構成に固有のものであってもかまいません。OracleAS File-Based Farm内の各インスタンスに対するそれぞれのキーストアの場所へのパスを書き留めます。

2.2.10.2 各インスタンスのOracle Application Serverプロセスの停止

OracleAS File-Based Farmの各インスタンスで、次のコマンドを発行して、Oracle Application Serverプロセスを停止します。

ORACLE_HOME/bin/emctl stop iasconsole
ORACLE_HOME/dcm/bin/opmnctl stopall

2.2.10.3 OracleAS File-based Farm内の各インスタンスでのキーストア情報ファイルのセットアップ

キーストアと証明書情報を取得したら、OracleAS File-Based Farm内の各Oracle Application Serverインスタンスにキーストア情報を保持するファイルを作成する必要があります。


重要

キーストア情報ファイルは、最初にOracleAS File-Based Farmのリポジトリ・ホスト・インスタンスにセットアップした後で、他のすべてのインスタンスにセットアップする必要があります。リポジトリ・ホストおよびホスト・インスタンスを確認するには、次のコマンドを実行します。

dcmctl whichfarm -v
 

キーストア情報ファイルをセットアップするには、まずOracleAS File-Based Farmのリポジトリ・ホスト・インスタンスに次の手順を実行します。残りのインスタンスについては、任意の順番で実行できます。

  1. 最初の手順「キーストアの生成」で生成したキーストア・ファイルを、ローカル・ホストの任意の場所にコピーします。

  2. configRepositorySSLコマンドを次のように使用します。

    dcmctl configRepositorySSL -keystore path_to_keystore -storepass password
    
    

    生成されたファイル.ssl.confORACLE_HOME/dcm/configディレクトリに格納されます。

2.2.10.4 dcmCache.xmlファイルでのSSLの有効化

SSLの使用を有効化または無効化するには、ORACLE_HOME/dcm/config/dcmCache.xmlファイルの<useSSL>属性を変更します。表2-4に、SSLの有効化に使用する構成パラメータを示します。

オプションとして、<sslConfigFile>要素の値を変更することで、configRepositorySSLを使用して生成したファイルの場所を指定できます。この値を変更する場合は、configRepositorySSLで生成した.ssl.confファイルを、<sslConfigFile>要素で指定する新規ファイルにコピーする必要があります。

表2-4     ファイルベース・リポジトリのファームでのSSLの有効化に使用する要素 
要素  説明 
<useSSL>
  true | false
</useSSL>

 

DCM通信でSSLを使用する場合はtrue、SSLの使用を無効化する場合はfalseに設定します。

デフォルト値はfalseです。

有効値: truefalse 

<sslConfigFile>
  sslfile
</sslConfigFile>

 

SSL構成ファイルsslfileの名前を指定します。

デフォルト値は.ssl.confです。

ほとんどのインストールで、この要素のデフォルト値の変更は必要ありません。 

2.2.10.5 構成変更の適用の確認

OracleAS File-Based Farmの各インスタンスで次のコマンドを実行して、構成変更が適用されていることを確認します。この手順もリポジトリ・ホスト・インスタンスから開始します。

dcmctl getstate

これによって、OracleAS File-Based Farm内のローカル・インスタンスの同期状態が示されます。

2.2.10.6 OracleAS File-based Farm内のインスタンスの起動

OracleAS File-Based Farm内のすべてのインスタンスでセキュリティ構成が同一になったら、リポジトリ・ホスト・インスタンスを先頭に次のコマンドを使用して、各インスタンスを再起動します。

ORACLE_HOME/opmn/bin/opmnctl startall
ORACLE_HOME/bin/emctl start iasconsole

2.2.10.7 SSL対応のOracleAS File-based Farmへの新規インスタンスの追加

SSLを使用するOracleAS File-Based Farmにスタンドアロン・インスタンスを追加できます。スタンドアロン・マシンで次の手順を実行します。

  1. 最初の手順「キーストアの生成」で生成したキーストア・ファイルを、ローカル・コンピュータの任意の場所にコピーします。

  2. 各インスタンスでconfigRepositorySSLを次のように使用して、キーストア情報ファイルを作成します。

    dcmctl configRepositorySSL -keystore path_to_keystore -storepass password
    
    

    生成されたファイル.ssl.confORACLE_HOME/dcm/configに格納されます。

  3. 第2.2.2項「OracleAS Farmへのインスタンスの追加」の手順に従って、インスタンスをファームに結合します。

2.2.11 大規模なOracleAS File-Based Farmでのパフォーマンスの向上

ORACLE_HOME/dcm/config/dcmCache.xmlファイルのパラメータをチューニングすることによって、大規模なOracleAS File-Based Farmのパフォーマンスを向上することができます。表2-5に、12のOracle Application Serverインスタンスを持つOracleAS File-Based Farmで、パフォーマンスの強化に使用したパラメータとそのサンプル値を示します。

表2-5    12のインスタンスを持つOracleAS File-Based Farmをチューニングするサンプル値 
パラメータ  デフォルト値  調整後の値  説明 

<clean-interval> 

180 

540 

ファームのサイズが大きくなると、キャッシュされるオブジェクトが増えます。キャッシュのクリーンアップ・プロセスには、特定の間隔で、無効化されたオブジェクトへの参照を削除する処理が伴います。キャッシュされる(および無効化される)オブジェクトが増えるにつれて、キャッシュのクリーンアップにかかる時間がより長くなります。オブジェクトの数が増えるにつれて、クリーンアップ間隔の設定値をより大きくして、CPUに負荷のかかるキャッシュのクリーンアップ頻度を少なくする必要があります。 

<max-objects> 

2000 

6000 

ログ・ファイルにCacheFullExceptionまたはRegionFullExceptionエラーが記録されている場合は、max-objectsの値を大きくします。 

<disksize> 

256 

768 

disksizeパラメータは、J2EEデプロイのEARファイルのサイズよりも大きな値に設定する必要があります。 

ORACLE_HOME/dcm/config/dcmCache.xmlを変更した後は、次を再起動する必要があります。

2.2.12 Oracle Application Server File-Based Farmでのポートの割当てに関する注意: ファイアウォールを経由したインスタンス通信

ファイアウォールを経由したインスタンス間の通信が必要な環境では、Distributed Configuration Managementの通信に使用されるポートのデフォルトの割当てについて理解しておく必要があります。

インスタンスがインストールされると、表2-6の説明にあるように、Oracle Universal Installerによってポートがデフォルトで割り当てられます。

表2-6    Oracle Universal Installerによるポートのデフォルトの割当て 
数量  用途/説明 

DCM Discoveryポート。コンピュータに最初にインストールされるインスタンスにはポート7100、2番目にインストールされるインスタンスにはポート7101、というように番号が割り当てられていきます。これは、ORACLE_HOME/dcm/config/dcmCache.xmlファイルのdiscoverer要素に定義されています(例、<discoverer discovery-port ="7100" original-"true" xmlns=""/>)。 

50 

インスタンス間の通信に使用するポートの範囲(7120〜7179)。これは、ORACLE_HOME/dcm/config/dcmCache.xmlファイルのport要素に定義されています(例、<port lower="7120" upper="7179">)。

インストールの終了後、ファイアウォール上で開いておくポートの数を制限できます。インスタンス間の通信で実際に必要なポートは次のとおりです。

  • 各インスタンスでOracle Enterprise Manager 10g Application Server Controlコンソールに対して1つ

  • 各インスタンスでDCMデーモンに対して1つ

  • 各インスタンスでdcmctlクライアント操作に対して1つ

 

インストールする前に、7100〜7179の範囲のポートがファイアウォール上ですでに開いていた場合、ファーム内のインスタンスはインストール後ただちに通信可能になります。次の点に注意してください。

2.2.13 leaveFarmコマンド実行後のInfrastructureからのインスタンスの削除

leaveFarmコマンドを使用するとOracle Application Server FarmからOracle Application Serverインスタンスが削除されますが、OracleAS Database-based Farmの場合、Oracle Application ServerインスタンスはIdentity Management構成に残ったままになります。Identity Management構成からのOracle Application Serverインスタンスの削除が必要になる場合があります。

変更が必要な構成ファイルとエントリは、OracleAS Database-based Farmから削除されたOracle Application Serverインスタンスのインストール・タイプによって異なります。該当するインストール・タイプの項に説明されている手順に従ってください。各手順の完了後は、Oracle Application ServerインスタンスがスタンドアロンのOracle Application Serverインスタンスになります。

2.2.13.1 Identity Management(Oracle Internet Directory)を使用するJ2EE and Web Cacheインスタンス

Identity Management構成からOracle Application Serverインスタンスを削除するには、次の手順を実行します。

  1. インストール時に作成しOracle Internet Directoryに登録したOracle Application Serverインスタンスのエントリを、oidadminツールを使用して削除します。

    削除するエントリの1つを、次にイタリックの太字で示します。

    "orclApplciationCommonName=instance name,cn=IAS Instances, cn=IAS, cn=Products, 
    cn=OracleContext
    
    

    削除するもう1つのエントリは、次のエントリのuniquemember属性です。

    "cn=Associated Mid-tiers, OrclReferenceName=repository name, cm=IAS Infrastructure 
    Databases,cn=Products,cn=OracleContext
    
    
  2. ORACLE_HOME/config/ias.propertiesファイルを編集して、Oracle Internet Directoryのホスト、ポート、データベース名およびインスタンスのパスワードを削除します。InfrastructureUseフラグをfalseに変更します。

  3. ORACLE_HOME/j2ee/home/config/jazn.xmlファイルの次のエントリを編集します。

    orclApplicationCommonName=jaznadmin1,cn=JAZNContext,cn=products,cn=OracleContext
    

    次のエントリで置き換えます。

    <?xml version="1.0" encoding="UTF-8" standalone='yes'?>
    <!DOCTYPE jazn PUBLIC "JAZN Config" "http://xmlns.oracle.com/ias/dtds/jazn-9_
    04.dtd">
    <jazn provider="XML" location="./jazn-data.xml">
    </jazn>
    
    

    対応するOracle Internet Directoryのエントリも削除します。

  4. LDAP構成を次のように変更します。

    1. ORACLE_HOME/network/admin/ldap.oraファイルを削除します。

    2. ORACLE_HOME/network/admin/sqlnet.oraファイルを編集し、ネーミング・リストからLDAPネーミングを削除します。

2.2.13.2 データベースベース・リポジトリを持つJ2EE and Web Cacheインストール

J2EE and Web CacheインストールのIdentity Management構成からOracle Application Serverインスタンスを削除する手順は次のとおりです。

ORACLE_HOME/config/iasschema.xmlファイルを編集して、DCMリポジトリ関連のエントリを次のように変更します。

変更するエントリ:

<SchemaConfigData>
  <ComponentName>DCM</ComponentName>
  <BaseName>DCM</BaseName>
  <Override>true</Override>
  <SchemaName>DCM</SchemaName>
  <DBConnect>iasdb.us.oracle.com</DBConnect>
  <Password></Password>
  <SvcPassword></SvcPassword>
</SchemaConfigData>

変更後のエントリ:

<SchemaConfigData>
  <ComponentName>DCM</ComponentName>
  <BaseName>DCM</BaseName>
  <Override>false</Override>
  <SchemaName/>
  <DBConnect/DBConnect>
  <Password/>
  <SvcPassword/>
</SchemaConfigData>

2.2.13.3 データベースベース・リポジトリを持ちIdentity Management(Oracle Internet Directory)を使用するJ2EE and Web Cacheインストール

Identity Management構成からOracle Application Serverインスタンスを削除するには、次の手順を実行します。

  1. インストール時に作成しOracle Internet Directoryに登録したOracle Application Serverのエントリを、oidadminツールを使用して削除します。

    削除するエントリの1つを、次にイタリックの太字で示します。

    "orclApplciationCommonName=instance name,cn=IAS Instances, cn=IAS, cn=Products, 
    cn=OracleContext
    
    

    別のエントリをイタリックの太字で示します(このエントリのuniquename属性)。

    "cn=Associated Mid-tiers, OrclReferenceName=repository name, cm=IAS Infrastructure 
    Databases,cn=Products,cn=OracleContext
    
    
  2. ORACLE_HOME/config/ias.propertiesファイルを編集して、Oracle Internet Directoryのホスト、ポート、データベース名およびインスタンスのパスワードを削除します。InfrastructureUseフラグをfalseに変更します。

  3. ORACLE_HOME/config/iasschema.xmlファイルを編集して、DCMリポジトリ関連のエントリを次のように変更します。

    変更するエントリ:

    <SchemaConfigData>
      <ComponentName>DCM</ComponentName>
      <BaseName>DCM</BaseName>
      <Override>true</Override>
      <SchemaName>DCM</SchemaName>
      <DBConnect>iasdb.us.oracle.com</DBConnect>
      <Password></Password>
      <SvcPassword></SvcPassword>
    </SchemaConfigData>
    
    

    変更後のエントリ:

    <SchemaConfigData>
      <ComponentName>DCM</ComponentName>
      <BaseName>DCM</BaseName>
      <Override>false</Override>
      <SchemaName/>
      <DBConnect/DBConnect>
      <Password/>
      <SvcPassword/>
    </SchemaConfigData>
    
    
  4. OracleAS JAAS Providerのエントリを変更します。これには、ORACLE_HOME/j2ee/home/config/jazn.xmlファイルの次のエントリを編集します。

    orclApplicationCommonName=jaznadmin1,cn=JAZNContext,cn=products,cn=OracleContext
    
    

    次のエントリで置き換えます。

    <?xml version="1.0" encoding="UTF-8" standalone='yes'?>
    <!DOCTYPE jazn PUBLIC "JAZN Config" "http://xmlns.oracle.com/ias/dtds/
    jazn-9_04.dtd">
    <jazn provider="XML" location="./jazn-data.xml">
    </jazn>
    
    

    対応するOracle Internet Directoryのエントリも削除します。

  5. LDAP構成を次のように変更します。

    1. ORACLE_HOME/network/admin/ldap.oraファイルを削除します。

    2. ORACLE_HOME/network/admin/sqlnet.oraファイルを編集し、ネーミング・リストからLDAPネーミングを削除します。

2.3 DCM-Managed OracleAS ClusterでのOC4Jインスタンスの作成とメンテナンス

dcmctlユーティリティには、OracleAS ClusterでのOC4Jインスタンスの作成または削除に使用するコマンドが用意されています。さらには、OC4Jアプリケーションのデプロイに使用するコマンド(validateEarFiledeployApplicationおよびredeployApplication)も用意されていますが、本番環境でのアプリケーションのデプロイには、一般的にOracle Enterprise Manager 10g Application Server Controlコンソールのユーザー・インタフェースを使用することをお薦めします。Application Server Controlコンソールには、デプロイ・プロセスの一環として、構成変更、監視およびステータスの各機能が組み込まれています。たとえば、Application Server Controlコンソールでは、一部の構成変更はOC4Jインスタンスの再起動後にのみ適用されることを知らせるメッセージが表示されます。

2.3.1 OC4Jインスタンスの作成

OC4Jインスタンスを作成するには、次の手順を実行します。

  1. 新しいOC4Jインスタンスを配置するOracle Application Serverインスタンスにナビゲートします。

  2. 次のコマンドを発行します。

    dcmctl createComponent -ct oc4j -co nameOfOC4JInstance
    
    

    このコマンドで、nameOfOC4JInstanceは新しいOC4Jインスタンスの識別子です。OC4Jインスタンスの名前には、Oracle Application Serverインストールがあるコンピュータのホスト名、OracleホームまたはIPアドレスを使用しないでください。

    ヒント

    構文と規則の説明は「createComponent」を参照するか、コマンドdcmctl help createcomponentを発行してヘルプ・テキストを表示します。 

2.3.2 OC4Jインスタンスの削除

OC4Jインスタンスがインストール後に作成されている場合は、dcmctlユーティリティを使用して、ローカルなアプリケーション・サーバー・インスタンスからOC4Jインスタンスを削除できます。Oracle Application Serverのインストール・プロセスで作成されたOC4Jインスタンス(OC4J_SECURITYなど)は削除できません。OC4Jインスタンスを削除するには、次の手順を実行します。

  1. 削除するOC4Jインスタンスを持つOracle Application Serverインスタンスにナビゲートします。

  2. 次のコマンドを発行します。

    dcmctl removeComponent -co nameOfOC4JInstance
    
    

    このコマンドで、nameOfOC4JInstanceは削除するOC4Jインスタンスの識別子です。

    ヒント

    構文と規則の説明は「removeComponent」を参照するか、コマンドdcmctl help removecomponentを発行してヘルプ・テキストを表示します。 

2.4 DCMログ・ファイルの管理

DCMは、dcmctlユーティリティ、DCMデーモン、Enterprise Managerデーモンおよびビジネス・ルール機能の操作で生じたアクティビティとエラーを、ログ・ファイルを作成して追跡します。maxFileSizeおよびmaxLogSizeパラメータを設定することで、個々のログ・ファイルのサイズとログ全体のサイズを指定できます。

2.4.1 ログ・ファイルの場所とネーミング

ログ・ファイルはORACLE_HOME/dcm/logsディレクトリのサブディレクトリに作成されます。サブディレクトリには、DCMコンポーネントや機能に応じて、dcmctl_logsdaemon_logsbusrule_logsemd_logsなどの名前が付けられます。各ディレクトリ内のログ・ファイル名は次のようになります。

log.xmllog1.xmllog2.xml ... logN.xml

log.xmlファイルが最も新しいログ・ファイルで、log1.xmlが最も古いログ・ファイルです。log.xmlファイルのサイズがmaxFileSizeパラメータで指定されたバイト数とほぼ同じになると、log.xmlファイルの名前がlog1+N.xmlに変更され、新しいlog.xmlファイルが作成されます。


注意

ログ・ファイルの実際のバイト数が、常にmaxFileSizeの値とまったく同じになるとは限りません。ログ・ファイルのサイズは、ローテーションの発生時に、少しだけ大きくなったり小さくなったりすることがあります。個々のログ・エントリがファイル間で分割されないためです。 


maxLogSizeパラメータはすべてのファイル(log.xmlからlogN.xmlまで)の最大バイト数を指定し、最も古いログ・ファイルを削除するときを決定します。実際のログ・サイズは、ローテーションの発生時に、maxLogSizeの値よりも少しだけ大きくなったり小さくなったりすることがあります。

Oracle Diagnostic Loggingのネーミング規則の詳細は、『Oracle Application Server管理者ガイド』の第5.6.2.2項「ODLログ・ファイルのネーミング」を参照してください。

2.4.2 ログ・サイズ・パラメータの変更

maxFileSizeまたはmaxLogSizeパラメータを変更するには、次の手順を実行します。

  1. dcmctlなどのDCMデーモン・プロセスとDCMクライアント・プロセスおよびOracle Enterprise Manager 10g Application Server Controlコンソールが停止されていることを確認します。

  2. ORACLE_HOME/dcm/config/sysmgmtProperties.xmlファイルを編集して、maxFileSizeおよびmaxLogSizeパラメータ値を適切なサイズに変更します。例2-1に、このファイルに記載されているこれらのパラメータを示します。


    注意

    maxFileSizeの値がmaxLogSizeの値よりも大きい場合は、エラーが発生します。 


    例2-1    sysmgtProperties.xmlファイルの内容

     <Section>
      <Component name="DMSLogging">
         <Property name="maxFileSize" value="200000"/>
         <Property name="maxLogSize" value="1000000"/>
      </Component>
    </Section>
    
    
  3. 次のコマンドを使用して、それぞれを再起動します。

    • dcmデーモン。ORACLE_HOME/opmn/binで次のコマンドを発行します。

      opmnctl stopproc ias-component=dcm-daemon
      opmnctl startproc ias-component=dcm-daemon
      
      
    • dcmctlシェル。ORACLE_HOME/dcm/binで次のコマンドを発行します。

      dcmctl shell
      exit
      
      
    • Enterprise Managerデーモン。ORACLE_HOME/binで次のコマンドを発行します。

      emctl stop iasconsole
      emctl start iasconsole
      
      

2.5 DCM-Managed OracleAS Cluster管理のベスト・プラクティス

ここで推奨するベスト・プラクティスを理解して順守することは、DCMの機能を最大限に活用し、システム構成を保護することの助けとなります。次のOracleAS Cluster管理プラクティスを十分に理解してください。


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