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Oracle Application Server 管理者ガイド
10gリリース2(10.1.2)
B15814-06
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テスト環境から本番環境への変更

この章では、テスト環境から本番環境への変更の使用例について説明します。テスト環境でアプリケーションを開発およびテストし、最終的にテスト・アプリケーションや任意のテスト・データを本番環境へ展開することができます。また、このアプローチによってアップグレード版をテストおよび展開できます。

この章の項目は次のとおりです。

表12-1に、使用するアプリケーションおよび構成環境に該当する使用例を見つける方法について、指針を示します。

表12-1    テストから本番への変更の使用例 
アプリケーションのタイプ  想定される構成  この使用例の参照先 

J2EE 

 

 

ケース1 

テスト環境: 中間層インスタンスがすでに存在している。

本番環境: 中間層インスタンスがすでに存在している。 

関連項目: 第12.2.1項「ケース1: 中間層インスタンスのある既存の本番環境にJ2EEアプリケーションを移行」 

ケース2 

テスト環境: 中間層インスタンスがすでに存在している。

本番環境: 本番環境が存在していない。中間層インスタンスを作成したい。  

関連項目: 第12.2.2項「ケース2: Identity Managementのないテスト用中間層から新しい本番環境にJ2EEアプリケーションを移行」 

ケース3 

テスト環境: 中間層インスタンスとIdentity Managementがすでに存在している。

本番環境: 本番環境が存在していない。中間層インスタンスとIdentity Managementを作成したい。  

関連項目: 第12.2.3項「ケース3: Identity Managementのあるテスト用中間層から新しい本番環境にJ2EEアプリケーションを移行」 

J2EE以外 

 

 

ケース1 

テスト環境: テスト環境が存在していない。中間層インスタンスとIdentity Managementを作成したい。

本番環境: Identity Managementがすでに存在している。中間層インスタンスを作成したい。 

関連項目: 第12.3.1項「ケース1: Identity Managementのあるテスト用中間層からIdentity Managementのある本番環境にアプリケーションを移行」 

ケース2 

テスト環境: テスト環境が存在していない。中間層インスタンス、Identity Management、および製品メタデータのMetadata Repositoryを作成したい。

本番環境: Identity Managementがすでに存在している。中間層インスタンス、および製品メタデータのMetadata Repositoryを作成したい。 

関連項目: 第12.3.2項「ケース2: Identity Managementと製品Metadata Repositoryのあるテスト用中間層からIdentity Managementのある既存の本番環境にアプリケーションを移行」 

ケース3 

テスト環境: テスト環境が存在していない。複数の中間層インスタンスを作成し、それぞれのインスタンスを、Identity Management、および製品メタデータのMetadata Repositoryを備えたものにしたい。

本番環境: Identity Managementがすでに存在している。複数の中間層インスタンスを作成し、それぞれのインスタンスを、製品メタデータのMetadata Repositoryを備えたものにしたい。 

関連項目: 第12.3.3項「ケース3: 専用のIdentity Management Metadata Repositoryのある複数のテスト用中間層からアプリケーションを移行」 

J2EEおよびJ2EE以外の使用例に加え、この章では、テスト環境から本番環境に、製品固有のデータを徐々に移行する場合の指針も示します。

関連項目

 

12.1 本番用中間層を作成するためのオプションの概要

この章に示すケースの多くでは、アプリケーション開発を目的としてテスト用中間層インスタンスがすでに存在している構成の中に、本番用中間層インスタンスを作成する作業について説明します。これらのケースには、3つのオプションがあります。次のことが可能になります。

12.2 ケース1: J2EEアプリケーションの本番環境への移行

この項では、テスト環境から本番環境にJ2EEアプリケーションを移行する方法を示します。次の項目では、代表的なケースを示します。

12.2.1 ケース1: 中間層インスタンスのある既存の本番環境にJ2EEアプリケーションを移行

このケースでは、テスト用中間層インスタンスにJ2EEアプリケーションがあり、このアプリケーションを既存の本番用中間層に再デプロイします。図12-1に、このケースを示します。

図12-1    既存の本番用中間層へのJ2EEアプリケーションの再デプロイ


画像の説明

12.2.1.1 あらかじめ想定される構成

この使用例で想定している構成は次のとおりです。

12.2.1.2 手順

新しい中間層に、J2EEアプリケーションのEARファイルを再デプロイします。次のメカニズムのどれか1つを使用できます。

12.2.2 ケース2: Identity Managementのないテスト用中間層から新しい本番環境にJ2EEアプリケーションを移行

このケースでは、Identity Managementのないテスト用中間層インスタンスに、J2EEアプリケーションがあります。中間層インスタンスがある新しい本番環境を作成し、そこにJ2EEアプリケーションを移行します。図12-2に、このケースを示します。

図12-2    Identity Managementのない新しい本番用中間層へのJ2EEアプリケーションの移行


画像の説明

12.2.2.1 あらかじめ想定される構成

この使用例で想定している構成は次のとおりです。

12.2.2.2 手順

このケースでは、本番用中間層インスタンスを作成する必要があります。2つの構成オプションから選択できます。次のいずれかが可能です。

12.2.3 ケース3: Identity Managementのあるテスト用中間層から新しい本番環境にJ2EEアプリケーションを移行

このケースでは、Identity Managementのあるテスト用中間層インスタンスに、J2EEアプリケーションがあります。J2EEアプリケーションのある中間層インスタンスとMetadata RepositoryのあるIdentity Managementを含む新しい本番用環境を作成します。図12-3に、このケースを示します。

図12-3    Identity Managementのあるテスト用中間層からのJ2EEアプリケーションの移行


画像の説明

12.2.3.1 あらかじめ想定される構成

このケースで想定している構成は次のとおりです。

12.2.3.2 手順

このケースでは、本番環境を作成するには、次の作業を実行します。

  1. 本番用のIdentity ManagementとMetadata Repositoryが存在しない場合は、インストールと構成を行います。

    1. Oracle Universal Installerを使用してOracle Application Serverをインストールします。

    2. 「インストールする製品の選択」画面で、「OracleAS Infrastructure」を選択します。

    3. 「インストール・タイプの選択」で、「Identity Management」と「OracleAS Metadata Repository」を選択します。

    4. 「構成オプションの選択」画面で、「Oracle Internet Directory」を選択します。

  2. 本番用中間層インスタンスをインストールします。

    1. Oracle Universal Installerを使用してOracle Application Serverをインストールします。

    2. 「インストールする製品の選択」画面で、使用環境に該当する中間層タイプを選択します。

  3. 第12.2.1項「ケース1: 中間層インスタンスのある既存の本番環境にJ2EEアプリケーションを移行」の説明にあるように、J2EEアプリケーションを再デプロイします。

12.3 ケース2: J2EE以外のアプリケーションの本番環境への移行

この使用例では、テスト環境は既存の本番環境から作成されます。テストが済んだデータは、本番環境に戻されます。この使用例が役立つのは、パッチのテストや展開など、本番環境のシミュレーションを行うテスト環境を作成するような場合です。次の項目では、代表的なケースを示します。

12.3.1 ケース1: Identity Managementのあるテスト用中間層からIdentity Managementのある本番環境にアプリケーションを移行

このケースでは、既存の本番環境に、Metadata RepositoryのあるIdentity Managementインストールが含まれています。アプリケーションの開発およびテスト用のテスト環境を作成したいと考えています。その後、テストしたアプリケーションを本番環境に展開することも予定しています。

このケースでは、本番用Identity Managementのレプリカをインストールおよび設定することにより、テスト環境を作成します。このIdentity Managementには固有のMetadata Repositoryがあります。テスト用Identity ManagementのOracle Internet Directoryは、本番用Oracle Internet DirectoryのLDAPベースのレプリカです。本番用Oracle Internet Directoryからテスト用Oracle Internet Directoryへのレプリケーションは常時行われます。このレプリカには固有のMetadata Repositoryがあります。次に、テスト用の中間層インスタンスをインストールして、テスト用Identity Managementを使用できるようにします。

アプリケーションの開発とテストの後、テスト用中間層インスタンスをクローニングするか、中間層を本番環境にインストールすることによって、本番用中間層インスタンスを作成し、アプリケーションを再デプロイします。

図12-4に、このケースの例を示します。

図12-4    Identity Managementのあるテスト用中間層から新しい本番環境へのアプリケーションの移行


画像の説明

12.3.1.1 あらかじめ想定される構成

このケースで想定している構成は次のとおりです。

12.3.1.2 手順

この手順では、次の作業を行います。

作業1: テスト用のIdentity ManagementとMetadata Repositoryの構成

テスト用のIdentity ManagementとMetadata Repositoryを構成するには、テスト環境にIdentity Managementを設定します。この構成を実行するには、次の下位作業を行います。

  1. 「テスト用Identity ManagementおよびMetadata Repositoryのインストールと設定」手順を実行します。

  2. 「テスト用Oracle Internet Directoryのパイロットとしての指定」手順を実行します。

作業2: テスト用中間層インスタンスの設定

テスト用の中間層インスタンスを構成するには、中間層インスタンスをインストールして、アプリケーションの開発とテストを行います。この構成を実行するには、次の下位作業を行います。

  1. 「テスト用の中間層インスタンスのインストール」手順を実行します。

  2. 「アプリケーションの開発とテスト」手順を実行します。

作業3: 本番用中間層インスタンスの設定

本番用中間層インスタンスを作成するには、テスト用中間層インスタンスをクローニングするか、中間層のインストールを実行します。本番用中間層インスタンスを別に作成しない場合は、テスト用中間層インスタンスが本番用Identity Managementをポイントするように選択できます。

テスト用中間層インスタンスをクローニングするときには、テスト用Identity Managementから本番用Identity Managementにデータを移行し、本番用中間層インスタンスと本番用Identity Managementを関連付けることも必要です。テスト用中間層インスタンスをクローニングするには、次の手順を実行します。

  1. 「テスト用Oracle Internet Directoryのクリーンアップ」手順を実行します。

  2. 「分散ディレクトリ環境の停止」手順を実行します。

  3. 「テスト用Oracle Internet Directoryのパイロット・モードの終了」手順を実行します。

  4. 「Oracle Internet Directoryデータを本番環境に移行」手順を実行します。

  5. 第10.4項「Oracle Application Serverインスタンスのクローニング」に記載された作業を実行します。

  6. 「中間層インスタンスが本番用Identity Managementを使用するように変更」手順を実行します。

テスト用中間層インスタンスが本番用Identity Managementをポイントするようにするには、作業5を除いて、クローニングと同じ作業を実行します。

本番用中間層インスタンスをインストールする手順は次のとおりです。

  1. 本番用中間層インスタンスをインストールします。

    1. Oracle Universal Installerを使用してOracle Application Serverをインストールします。

    2. 「インストールする製品の選択」画面で、使用環境に該当する中間層タイプを選択します。

  2. 第12.2.1項「ケース1: 中間層インスタンスのある既存の本番環境にJ2EEアプリケーションを移行」の説明にあるように、アプリケーションを再デプロイします。

    インストール時には、テスト用Identity Managementのデータは本番環境から移行されていません。

12.3.1.3 本番環境の2つ目の中間層インスタンスの作成

同じ本番環境の別の中間層インスタンスにテスト用アプリケーションをデプロイする場合、次の作業を実行して2つ目の中間層インスタンスを作成します。

  1. 「作業1: テスト用のIdentity ManagementとMetadata Repositoryの構成」に記載された下位作業2を実行します。

  2. 「作業2: テスト用中間層インスタンスの設定」手順を実行します。

  3. 「作業3: 本番用中間層インスタンスの設定」手順を実行します。

12.3.2 ケース2: Identity Managementと製品Metadata Repositoryのあるテスト用中間層からIdentity Managementのある既存の本番環境にアプリケーションを移行

このケースは第12.3.1項「ケース1: Identity Managementのあるテスト用中間層からIdentity Managementのある本番環境にアプリケーションを移行」に類似していますが、テスト用中間層インスタンスに本番用メタデータのMetadata Repositoryが追加されている点が異なります。このケースでは、アプリケーションまたは同じIdentity Managementに対する関連アプリケーションを開発およびテストします。その後、これらのアプリケーションを同時に本番環境に展開します。最初のアプリケーションのセットをデプロイしたら、2つ目のアプリケーションのセットの開発、テストおよびデプロイができます。このようにして、このケースは製造ラインのように機能します。

アプリケーションを別々のタイミングでデプロイする場合は、第12.3.3項「ケース3: 専用のIdentity Management Metadata Repositoryのある複数のテスト用中間層からアプリケーションを移行」を検討してください。

ケース1と同様に、まず本番用Identity Managementのレプリカを使用してテスト環境を作成します。次にテスト用中間層インスタンスをインストールして、テスト用Identity Managementおよび、製品メタデータ向けの別個のMetadata Repositoryを使用します。

その後で本番環境を構成します。テスト用の製品Metadata Repositoryを本番環境に移行します。その後、テスト用中間層インスタンスをクローニングするか、中間層を本番環境にインストールすることによって、本番用中間層インスタンスを作成し、アプリケーションを再デプロイします。

図12-5に、このケースの例を示します。

図12-5    Identity Managementと製品Metadata Repositoryのあるテスト用中間層からIdentity Managementのある既存の本番環境へのアプリケーションの移行


画像の説明

12.3.2.1 あらかじめ想定される構成

このケースで想定している構成は次のとおりです。

12.3.2.2 手順

この手順では、次の作業を行います。

作業1: テスト用のIdentity ManagementとMetadata Repositoryの構成

テスト用のIdentity ManagementとMetadata Repositoryを構成するには、テスト環境にIdentity Managementを設定します。この構成を実行するには、次の手順を実行します。

  1. 「テスト用Identity ManagementおよびMetadata Repositoryのインストールと設定」手順を実行します。

  2. 「テスト用Oracle Internet Directoryのパイロットとしての指定」手順を実行します。

作業2: テスト用の製品Metadata Repositoryを作成

テスト用の製品Metadata Repositoryを構成するには、「テスト用の製品Metadata Repositoryのインストールと移入」手順を実行します。

作業3: テスト用中間層インスタンスの設定

テスト用の中間層インスタンスを構成するには、中間層インスタンスをインストールして、アプリケーションの開発とテストを行います。この構成を実行するには、次の手順を実行します。

  1. 「テスト用の中間層インスタンスのインストール」手順を実行します。

  2. 「アプリケーションの開発とテスト」手順を実行します。

作業4: テスト用の製品Metadata Repositoryを本番環境に移動

本番用の製品Metadata Repositoryを構成するには、「テスト用の製品Metadata Repositoryを本番環境に移動」手順を実行します。

作業5: 本番用中間層インスタンスの設定

本番用中間層インスタンスを作成するには、テスト用中間層インスタンスをクローニングするか、中間層のインストールを実行します。本番用中間層インスタンスを別に作成しない場合は、テスト用中間層インスタンスが本番用Identity Managementをポイントするように選択できます。

テスト用中間層インスタンスをクローニングするときには、テスト用Identity Managementから本番用Identity Managementにデータを移行し、本番用中間層インスタンスと本番用Identity Managementを関連付けることも必要です。テスト用中間層インスタンスをクローニングするには、次の手順を実行します。

  1. 「テスト用Oracle Internet Directoryのクリーンアップ」手順を実行します。

  2. 「分散ディレクトリ環境の停止」手順を実行します。

  3. 「テスト用Oracle Internet Directoryのパイロット・モードの終了」手順を実行します。

  4. 「Oracle Internet Directoryデータを本番環境に移行」手順を実行します。

  5. 第10.4項「Oracle Application Serverインスタンスのクローニング」に記載された作業を実行します。

  6. 「中間層インスタンスが本番用Identity Managementを使用するように変更」手順を実行します。

テスト用中間層インスタンスが本番用Identity Managementをポイントするようにするには、作業5を除いて、クローニングと同じ作業を実行します。

本番用中間層インスタンスをインストールする手順は次のとおりです。

  1. 本番用中間層インスタンスをインストールします。

  2. 第12.2.1項「ケース1: 中間層インスタンスのある既存の本番環境にJ2EEアプリケーションを移行」の説明にあるように、アプリケーションを再デプロイします。

    インストール時には、テスト用Identity Managementのテスト・データは本番環境から移行されていません。

    関連項目

    詳細は、第12.3.1.3項「本番環境の2つ目の中間層インスタンスの作成」を参照してください。 

12.3.3 ケース3: 専用のIdentity Management Metadata Repositoryのある複数のテスト用中間層からアプリケーションを移行

このケースでは、複数のテスト用中間層インスタンスから本番環境にアプリケーションのデータを移行する方法を示します。このケースでは、アプリケーションのセットまたは関連アプリケーションの2つのセットを別々のテスト環境で開発およびテストします。それぞれのテスト環境には、専用のIdentity Managementがあります。その後、これらのアプリケーションを別々のデプロイ時に本番環境に展開します。

アプリケーションのセットの開発、テストおよびデプロイを一度に行う場合は、第12.3.2項「ケース2: Identity Managementと製品Metadata Repositoryのあるテスト用中間層からIdentity Managementのある既存の本番環境にアプリケーションを移行」を検討してください。

このケースでは、既存の本番環境に、Metadata RepositoryのあるIdentity Managementインストールが含まれています。アプリケーションの開発およびテスト用のテスト環境を作成したいと考えています。このテスト環境に、部門1と部門2という2つの中間層インスタンスを含めようと考えています。このとき、それぞれのインスタンスには、専用のIdentity Managementおよび本番用のMetadata Repositoryがあります。テストの済んだアプリケーションは、同じく部門1および部門2の中間層を含む本番環境に展開します。それぞれの中間層には、専用の製品Metadata Repositoryがあります。

Identity Managementにデータ競合を発生させずにこの移行を行うには、データを部門ごとにシリアルに移行します。

図12-6に、このケースの例を示します。

図12-6    別々のテスト用中間層からのアプリケーションの移行


画像の説明

12.3.3.1 あらかじめ想定される構成

このケースで想定している構成は次のとおりです。

12.3.3.2 手順

この手順では、次の作業を行います。

作業1: 部門1と部門2に、テスト用のIdentity ManagementとMetadata Repositoryを構成

テスト用のIdentity ManagementとMetadata Repositoryを構成するには、両方の部門のテスト環境にIdentity Managementを設定します。この構成を実行するには、次の手順を実行します。

  1. 「テスト用Identity ManagementおよびMetadata Repositoryのインストールと設定」手順を実行します。

  2. 「テスト用Oracle Internet Directoryのパイロットとしての指定」手順を実行します。

個々のIdentity ManagementとMetadata Repositoryに、別々のデータのユーザー・セットがあることを確認してください。

作業2: テスト用の製品Metadata Repositoryを作成

テスト用の製品Metadata Repositoryを構成するには、「テスト用の製品Metadata Repositoryのインストールと移入」手順を実行します。

各部門の製品Metadata Repositoryごとに、一意のホスト名、インスタンス名、グローバル・データベース名およびOracle System Identifier(SID)を構成します。

作業3: テスト用中間層インスタンスの設定

テスト用の中間層インスタンスを構成するには、中間層インスタンスをインストールして、アプリケーションの開発とテストを行います。この構成を実行するには、次の手順を実行します。

  1. テスト用の中間層インスタンスのインストール

  2. アプリケーションの開発とテスト

作業4: テスト用の製品Metadata Repositoryを本番環境に移動

本番用の製品Metadata Repositoryを構成するには、「テスト用の製品Metadata Repositoryを本番環境に移動」手順を、まず部門1に対して、次に部門2に対して実行します。部門2のデータと、すでに部門1に存在している情報をマージするときには、ユーザー・グループをマージして、ユーザー・データに競合が生じないようにする必要があります。

作業5: 本番用中間層インスタンスの設定

部門ごとに本番用中間層インスタンスを作成するには、テスト用中間層インスタンスをクローニングするか、中間層のインストールを実行します。本番用中間層インスタンスを別に作成しない場合は、テスト用中間層インスタンスが本番用Identity Managementをポイントするように選択できます。

テスト用中間層インスタンスをクローニングするときには、テスト用Identity Managementから本番用Identity Managementにデータを移行し、本番用中間層インスタンスと本番用Identity Managementを関連付けることも必要です。テスト用中間層インスタンスをクローニングするには、次の手順を実行します。

  1. 「テスト用Oracle Internet Directoryのクリーンアップ」手順を実行します。

  2. 「分散ディレクトリ環境の停止」手順を実行します。

  3. 「テスト用Oracle Internet Directoryのパイロット・モードの終了」手順を実行します。

  4. 「Oracle Internet Directoryデータを本番環境に移行」手順を実行します。

  5. 第10.4項「Oracle Application Serverインスタンスのクローニング」に記載された作業を実行します。

  6. 「中間層インスタンスが本番用Identity Managementを使用するように変更」手順を実行します。

テスト用中間層インスタンスが本番用Identity Managementをポイントするようにするには、作業5を除いて、クローニングと同じ作業を実行します。

本番用中間層インスタンスをインストールする手順は次のとおりです。

  1. 本番用中間層インスタンスをインストールします。

    1. Oracle Universal Installerを使用してOracle Application Serverをインストールします。

    2. 「インストールする製品の選択」画面で、使用環境に該当する中間層タイプを選択します。

  2. 第12.2.1項「ケース1: 中間層インスタンスのある既存の本番環境にJ2EEアプリケーションを移行」の説明にあるように、アプリケーションを再デプロイします。

    インストール時には、テスト用Identity Managementのテスト・データは本番環境から移行されていません。

    関連項目

    詳細は、第12.3.1.3項「本番環境の2つ目の中間層インスタンスの作成」を参照してください。 

12.3.4 使用例2の各ケースで共通の手順

第12.3項「ケース2: J2EE以外のアプリケーションの本番環境への移行」の一般的な手順は次のとおりです。

テスト用Identity ManagementおよびMetadata Repositoryのインストールと設定

この手順では、テスト用のIdentity Managementと、それに関連付けられたMetadata Repositoryをインストールおよび設定します。テスト用のIdentity Managementは、元のIdentity ManagementのLDAPベースのレプリカです。

  1. LDAPベースのレプリカおよびこの手順での使用方法は、第H.1項「LDAPベースのレプリカについて」を参照してください。

  2. 第H.2項「LDAPベースのレプリカのインストールと設定」の手順に従って、テスト用Identity ManagementとMetadata Repositoryをインストールおよび設定します。

テスト用Oracle Internet Directoryのパイロットとしての指定

テスト用Oracle Internet DirectoryのOracleホームで、次のコマンドを実行します。

remtool -pilotreplica begin -bind test_oid_host:test_oid_port/test_replication_dn_
passwd

この構文では、次のようになります。

test_oid_hostは、テスト用ディレクトリ・サーバーのホスト名を表します。

test_oid_portは、テスト用ディレクトリ・サーバーのLDAPポートを表します。

test_replication_dn_passwdは、テスト用ディレクトリ・サーバーのレプリケーションDNのパスワードを表します。デフォルトでは、これはスーパーユーザーDN(cn=orcladmin)のパスワードと同じです。

関連項目

  • LDAPレプリケーションの詳細は、付録Hを参照してください。

  • remtoolおよびディレクトリ・レプリケーションの詳細は、『Oracle Identity Managementユーザー・リファレンス』を参照してください。

 

テスト用の製品Metadata Repositoryのインストールと移入

新しいデータベースを作成し、そこにOracleAS Metadata Repositoryを移入します。

  1. Oracle Universal Installerを使用してOracle Application Serverをインストールします。

  2. 「インストールする製品の選択」画面で、「OracleAS Infrastructure」を選択します。

  3. 「インストール・タイプの選択」で、「メタデータ・リポジトリ」を選択します。

テスト用の中間層インスタンスのインストール

テスト用の中間層インスタンスをインストールし、それらのインスタンスがテスト内容に応じてテスト用のIdentity Managementを使用するように設定します。

  1. Oracle Universal Installerを使用してOracle Application Serverをインストールします。

  2. 「インストールする製品の選択」画面で、使用環境に該当する中間層タイプを選択します。

アプリケーションの開発とテスト

テスト環境で、アプリケーションを開発およびテストします。

テスト用Oracle Internet Directoryのクリーンアップ

テスト用のOracle Internet Directoryで変更または追加したデータが本番用のOracle Internet Directoryに移行しないように、これらのデータをクリーンアップ(削除)することができます。この作業の対象には、中間層コンポーネントが考えられます。または、本番Oracle Internet DirectoryでOracle Internet Directoryの一貫性を保つ管理者に適しています。

データをクリーンアップするには、ldapdeleteコマンドライン・ユーティリティを使用して、移行しないエントリを削除します。

関連項目

ldapdeleteコマンドの詳細は、『Oracle Identity Managementユーザー・リファレンス』を参照してください。 

分散ディレクトリ環境の停止

テストから本番へのデータ移行中は、分散ディレクトリ環境を停止する必要があります。これにより更新の競合が回避されるため、データの損失や破損を防止できます。

分散ディレクトリ環境を停止する手順は次のとおりです。

  1. テスト用と本番用のOracle Internet Directoryが、両方とも稼動していることを確認します。

  2. テスト用ノードのディレクトリ・サーバーを読取り専用モードに変更します。

    テスト用ホストで、次の行を含むreadonly.ldifというLDIFファイルを作成します。

    dn:
    changetype:modify
    replace:orclservermode
    orclservermode:r
    
    

    次のコマンドを実行します。

    TEST_HOME/bin/ldapmodify -p test_oid_port -D cn=orcladmin
     -w test_orcladmin_passwd -v -f readonly.ldif
    
    

    この構文では、次のようになります。

    test_oid_portは、テスト用ディレクトリ・サーバーのLDAPポートを表します。

    test_orcladmin_passwordは、スーパーユーザーDN(cn=orcladmin)のパスワードを表します。

  3. 保留中のすべての変更が両方のノードに適用され、両方のノードが完全に同期するまで待機します。この完了を自動的に検出するツールはありません。ただし、レプリケーションのログ・ファイルを監視して、ディレクトリ・レプリケーション・グループのノードで処理される新しい変更がないことを確かめることにより、ディレクトリ・レプリケーション・グループの停止状態を確認できます。

テスト用Oracle Internet Directoryのパイロット・モードの終了

テスト用Oracle Internet DirectoryのOracleホームで、次のコマンドを実行します。

remtool -pilotreplica end -bind test_oid_host:test_oid_port/test_replication_dn_passwd 
[-bkup fname]

この構文では、次のようになります。

test_oid_hostは、テスト用ディレクトリ・サーバーのホスト名を表します。

test_oid_portは、テスト用ディレクトリ・サーバーのLDAPポートを表します。

test_replication_dn_passwdは、テスト用ディレクトリ・サーバーのレプリケーションDNのパスワードを表します。デフォルトでは、これはスーパーユーザーDN(cn=orcladmin)のパスワードと同じです。

fnameは、パイロット・モード開始後に変更されたエントリの格納先バックアップ・ファイルを指定します。このエントリはLDIF形式です。「Oracle Internet Directoryデータを本番環境に移行」手順でこのファイルを使用します。

関連項目

  • LDAPレプリケーションの詳細は、付録Hを参照してください。

  • remtoolおよびディレクトリ・レプリケーションの詳細は、『Oracle Identity Managementユーザー・リファレンス』を参照してください。

 

テスト用の製品Metadata Repositoryを本番環境に移動

テスト用の製品Metadata Repositoryを本番環境に移動するには、いくつかの方法があります。

Oracle Internet Directoryデータを本番環境に移行

この手順では、テスト用のIdentity Managementから本番用のIdentity ManagementにOracle Internet Directoryのデータを移行する方法について説明します。


注意

開始する前に、環境変数のORACLE_HOMEおよびORACLE_SIDが設定されていることを確認します。これはすべてのオペレーティング・システムに適用されます。 


  1. 次のコマンドを実行して、Oracle Internet Directoryのテスト・データを本番環境に移行します。

    PRODUCTION_HOME/bin/ldapaddmt -h production_oid_host
    -p production_oid_port -D "cn=orcladmin" 
    -w production_orcladmin_passwd -r -f fname
    
    

    データの移行と競合の解決を行うために、引数-rを必ず指定してください。また、-f引数には「テスト用Oracle Internet Directoryのパイロット・モードの終了」手順で取得したLDIFファイルを必ず指定してください。

    この構文では、次のようになります。

    production_oid_hostは、本番用ディレクトリ・サーバーのホストを表します。

    production_oid_portは、本番用ディレクトリ・サーバーのLDAPポートを表します。

    production_orcladmin_passwordは、スーパーユーザーDN(cn=orcladmin)のパスワードを表します。

    fnameでは、「テスト用Oracle Internet Directoryのパイロット・モードの終了」手順で指定したLDIFファイルを指定します。

  2. 検証手順:Oracle Internet Directoryのデータが正常に移行されたことを確認します。

    ldapaddmtによって成功がレポートされていることを確認します。add.logファイルでエラーをチェックできます。このファイルは、ldapaddmtコマンドを実行したディレクトリに作成されます。

    必要な場合は、ステップ1を繰り返します。

  3. テスト用Metadata Repositoryから本番用Metadata Repositoryに、OracleAS Single Sign-OnおよびDirectory Integration and Provisioningのデータを移行します。

    OracleAS Single Sign-Onデータを移行する手順は次のとおりです。

    1. テスト用Metadata RepositoryのORASSOスキーマ・パスワードを取得します。

      TEST_HOME/bin/ldapsearch -h test_oid_host -p test_oid_port 
      -D "cn=orcladmin" -w test_orcladmin_passwd 
      -b "orclresourcename=orasso, orclreferencename=test_oid_global_db_name,
       cn=ias infrastructure databases, cn=ias, cn=products, cn=oraclecontext" -s
       base "objectclass=*" orclpasswordattribute
      
      

      この構文では、次のようになります。

      test_oid_hostは、テスト用ディレクトリ・サーバーのホストを表します。

      test_oid_portは、テスト用ディレクトリ・サーバーのLDAPポートを表します。

      test_orcladmin_passwordは、スーパーユーザーDN(cn=orcladmin)のパスワードを表します。

      test_oid_global_dbnameは、テスト用Metadata Repositoryのグローバル・データベース名を表します。

      このコマンドを実行すると、ORASSOパスワードが次のように行に出力されます。

      orclpasswordattribute=LAetjdQ5
      
      
    2. テスト環境からOracleAS Single Sign-Onデータをエクスポートします(このコマンドを実行する前に、環境変数ORACLE_HOMEが設定されていることを確認してください)。

      TEST_HOME/sso/bin/ssomig -export -s orasso -p test_orasso_passwd 
      -c test_net_service_name -log_d $TEST_HOME/sso/log
      
      

      この構文では、次のようになります。

      test_orasso_passwdは、前の手順で取得したORASSOパスワードです。

      test_net_service_nameは、テスト用Metadata Repositoryのデータベース名を表します。

    3. ssomig.dmpおよびssoconf.logファイルをテスト用から本番用のディレクトリ・サーバーにコピーします(各ファイルの正確なフルパスを保持)。

      cp TEST_HOME/sso/log/ssomig.dmp PRODUCTION_HOME/sso/log/ssomig.dmp
      cp TEST_HOME/sso/log/ssoconf.log PRODUCTION_HOME/sso/log/ssoconf.log
      
      
    4. 本番用Metadata RepositoryのORASSOスキーマ・パスワードを取得します。

      PRODUCTION_HOME/bin/ldapsearch -h production_oid_host -D "cn=orcladmin" 
      -p production_oid_port -w production_orcladmin_password -b "orclresourcename=orasso, orclreferencename=production_global_db_name, cn=ias infrastructure databases, cn=ias, cn=products, cn=oraclecontext" -s base "objectclass=*" orclpasswordattribute

      この構文では、次のようになります。

      production_oid_hostは、本番用ディレクトリ・サーバーのホストを表します。

      production_oid_portは、本番用ディレクトリ・サーバーのLDAPポートを表します。

      production_orcladmin_passwordは、スーパーユーザーDN(cn=orcladmin)のパスワードを表します。

      production_oid_global_dbnameは、本番用Metadata Repositoryのグローバル・データベース名を表します。

    5. OracleAS Single Sign-Onデータを本番用Metadata Repositoryにインポートします。

      PRODUCTION_HOME/sso/bin/ssomig -import -overwrite -s orasso 
      -p production_orasso_passwd -c production_net_service_name 
      -log_d $PRODUCTION_HOME/sso/log -discoforce
      
      

      この構文では、次のようになります。

      production_orasso_passwdは、前の手順で取得したORASSOパスワードです。

      production_net_service_nameは、本番用Metadata Repositoryのデータベース名を表します。

    6. 検証手順: OracleAS Single Sign-Onのエクスポートとインポートが正常に完了したことを確認します。

      OracleAS Single Sign-On移行ツールによって成功がレポートされていることを確認します。次のログ・ファイルでエラーをチェックすることもできます。

      TEST_HOME/sso/log/ssomig.log
      PRODUCTION_HOME/sso/log/ssomig.log
      

      関連項目

      ログ・ファイルのメッセージ解析の詳細は、『Oracle Application Server Single Sign-On管理者ガイド』を参照してください。 

    Directory Integration and Provisioningデータを移行する手順は次のとおりです。

    関連項目

    Oracle Internet Directory HTTPポートが無効になっている環境では、『Oracle Internet Directory管理者ガイド』のDirectory Integration and Provisioningデータに関するドキュメントを参照し、HTTPSポートを使用して次のコマンドを実行する方法を確認してください。 

    1. テスト用ディレクトリ・サーバーのDirectory Integration and Provisioningデータ・サーバーを停止します。

      TEST_HOME/bin/oidctl server=odisrv instance=1 stop
      
      
    2. Directory Integration and Provisioningデータを、本番用Metadata Repositoryに移行します。

      TEST_HOME/bin/dipassistant reassociate -src_ldap_host
       test_oid_host -src_ldap_port test_oid_port 
      -dst_ldap_host production_oid_host -dst_ldap_port
       production_oid_port -src_ldap_passwd
       test_orcladmin_passwd -dst_ldap_passwd production_orcladmin_passwd
      
      

      ログ・メッセージが次のファイルに出力されます。

      TEST_HOME/ldap/odi/log/reassociate.log
      
      

      この構文では、次のようになります。

      test_oid_hostは、テスト用ディレクトリ・サーバーのホストを表します。

      test_oid_portは、テスト用ディレクトリ・サーバーのLDAPポートを表します。

      production_oid_hostは、本番用ディレクトリ・サーバーのホストを表します。

      production_oid_portは、本番用ディレクトリ・サーバーのLDAPポートを表します。

      test_orcladmin_passwordは、テスト用ディレクトリ・サーバーのスーパーユーザーDN(cn=orcladmin)のパスワードを表します。

      production_orcladmin_passwordは、本番用ディレクトリ・サーバーのスーパーユーザーDN(cn=orcladmin)のパスワードを表します。

    3. 本番用ディレクトリ・サーバーのDirectory Integration and Provisioningデータ・サーバーを停止します。

      PRODUCTION_HOME/bin/oidctl server=odisrv instance=1 stop
      
      
    4. 本番用ディレクトリ・サーバーにDirectory Integration and Provisioningデータ・サーバーを登録します。

      PRODUCTION_HOME/bin/odisrvreg -D "cn=orcladmin"
       -w production_orcladmin_passwd -p production_oid_port 
      -h production_oid_host

      この構文では、次のようになります。

      production_orcladmin_passwordは、スーパーユーザーDN(cn=orcladmin)のパスワードを表します。

      production_oid_portは、本番用ディレクトリ・サーバーのLDAPポートを表します。

      production_oid_hostは、本番用ディレクトリ・サーバーのホストを表します。

    5. 本番用ディレクトリ・サーバーのDirectory Integration and Provisioningデータ・サーバーを起動します。

      PRODUCTION_HOME/bin/oidctl server=odisrv instance=1 
      flags="port=production_oid_port" start
      
      

      この構文で、production_oid_portは、本番用ディレクトリ・サーバーのLDAPポートを表します。

  4. (オプション)移行後のクリーンアップ作業

    一部の中間層コンポーネントは、本番環境への移行後の特別なクリーンアップ要件を備えていることがあります。これらのクリーンアップ作業は、中間層インスタンスを本番ノードに移行した後にテスト環境で行うことができます。

中間層インスタンスが本番用Identity Managementを使用するように変更

各本番用中間層インスタンスで、ID管理の変更ウィザードを起動し、インスタンスを再起動します。

  1. Application Server Controlコンソールを使用して、中間層インスタンスのインスタンス・ホーム・ページにナビゲートします。

  2. Infrastructure」をクリックします。

  3. 「Infrastructure」ページの「ID管理」セクションで、「変更」をクリックします。

  4. ウィザードの作業に従って、本番用Identity Managementの情報を指定します。

  5. ウィザードを終了すると、インスタンスのホーム・ページにナビゲートし、「すべてを起動」をクリックしてインスタンスを起動します。

12.4 ケース3: テスト用Metadata Repositoryから本番用Metadata Repositoryに製品固有のメタデータを移行

この使用例では、既存のテスト環境および本番環境でアプリケーションのテストに使用された増分データのみを移行します。データの移行方法は、アプリケーションによって異なります。この項では、次のコンポーネントで移行プロセスがどのように行われるかについて説明します。

12.4.1 OracleAS Portal

このケースでは、既存のテスト環境と本番環境にOracleAS Portal Metadata Repositoryがあります。テスト用Metadata Repositoryから本番環境にメタデータを移行します。OracleAS Portalメタデータを移行するには、エクスポート/インポート・ユーティリティを使用して内容を移行します。図12-7に、このケースを示します。

図12-7    本番環境へのテスト用OracleAS Portalメタデータの移行


画像の説明

12.4.1.1 あらかじめ想定される構成

テスト環境と本番環境があり、それぞれに中間層インスタンス、Metadata Repositoryを持つIdentity Managementインストール、およびOracleAS Portalメタデータ用の追加Metadata Repositoryがあります。テスト環境には、OracleAS Portalメタデータがすでに存在しています。

12.4.1.2 手順

エクスポートとインポートを使用してOracleAS Portalメタデータを移行する手順は次のとおりです。

  1. トランスポート・セットを作成し、内容をトランスポート表に抽出します。トランスポート・セットには、ターゲットのポータル環境にエクスポートするポータル・オブジェクトが含まれています。この情報はマニフェストに表示されます。マニフェストは、トランスポート・セット内のオブジェクトのリストにすぎず、エクスポートをきめ細かく制御するために使用されます。

  2. Portalのエクスポート/インポートを行うコマンドライン・スクリプトを使用して、トランスポート・セットのダンプ・ファイルを作成し、あるシステム(ソース)から別のシステム(ターゲット)にトランスポート・セットを移行します。

  3. FTPなどのファイル転送ユーティリティを使用して、スクリプトとダンプ・ファイルをターゲット・システムに転送します。

  4. コマンドライン・スクリプトを起動して、ターゲット・システムのトランスポート表にダンプ・ファイルをインポートします。

  5. Transport Set Managerポートレットを使用して、トランスポート表からターゲットのポータル・リポジトリにオブジェクトをインポートします。

    関連項目

    詳細は、『Oracle Application Server Portal構成ガイド』を参照してください。 

12.4.2 OracleBI Discoverer

このケースでは、テスト環境と本番環境がすでに存在しています。OracleBI Discovererのテスト・データは、中間層、Metadata Repositoryおよびデータベースにすでに存在しています。本番システムのパフォーマンスに影響を与えずにビジネス領域の開発を行うため、最初にテスト環境を使用してEnd User Layer(EUL)を作成します。

移行プロセスには、次の3つの主要な作業が含まれます。まず、中間層から構成ファイルを移行し、次にテスト用Metadata Repositoryから本番環境にOracleBI Discovererメタデータを移行します。最後に、テスト用データベースから本番用データベースに、OracleBI Discoverer情報(EULを含む)を移行します。

図12-8に、このケースを示します。

図12-8    本番環境へのテスト用OracleBI Discovererメタデータの移行


画像の説明

12.4.2.1 あらかじめ想定される構成

テスト環境と本番環境があり、それぞれに中間層インスタンス、Metadata Repositoryを持つIdentity Managementインストール、OracleBI Discovererメタデータ用の追加Metadata Repository、およびデータベースがあります。テスト環境には、OracleAS Portalメタデータがすでに存在しています。

12.4.2.2 手順

OracleBI Discovererの構成、メタデータおよびデータベース・データを移行する手順は次のとおりです。

作業1: テスト用構成ファイルのコピー
  1. ユーザー・プリファレンスを変更した場合は、pref.txtファイルを本番環境にコピーします。

  2. OracleBI Discovererの設定を変更した場合は、configuration.xmlファイルを本番環境にコピーします。

  3. サーバーの構成設定を変更した場合は、opmn.xmlファイルを本番環境にコピーします。

  4. 本番領域で同じデータベース・サービスのエントリを使用する場合は、tnsnames.oraファイルを本番環境にコピーします。

作業2: テスト用DISCOVERER5スキーマの移行

「テスト用の製品Metadata Repositoryを本番環境に移動」を実行します。この際、OracleBI Discovererメタデータを格納するDISCOVERER5スキーマも移動します。

作業3: テスト用EULおよびカタログ・データの移行
  1. Discoverer Administratorを使用して、テスト用データベースからEULスキーマをエクスポートし、本番用データベースにインポートします。

  2. eul5_id.sqlスクリプトを実行して、新しいEULに一意の参照番号を指定します。eul5_id.sqlスクリプトを実行したら、Discovererおよびユーザー・コミュニティ全体に対するアクセス権をEULに許可できます。

  3. Application Server Controlコンソールを使用して、テスト用データベースからDiscovererカタログをエクスポートし、本番用データベースにインポートします。

  4. OLAPカタログを移行します。

    関連項目

    • OracleBI Discovererの構成の詳細は、このドキュメント・ライブラリ内の『Oracle Business Intelligence Discoverer構成ガイド』を参照してください。

    • EULデータの移行の詳細は、Business Intelligence Toolsの製品CDに収録されている『Oracle Business Intelligence Discoverer管理ガイド』を参照してください。

    • OLAPカタログの移行の詳細は、Oracle Databaseドキュメント・ライブラリ内の『Oracle OLAPリファレンス』を参照してください。

     


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