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Oracle Application Server クイック管理者ガイド
10g リリース2(10.1.2)
B15815-02
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8
Application Serverインスタンスのクローニング

この章では、Oracle Application Serverインストールのクローニングについて説明します。この章は、次の項で構成されています。

8.1 クローニングの概要

クローニングとは、既存のインストールを元の構成のまま別の場所へコピーするプロセスです。クローニングを実行すると、すべてのパッチが適用された新しいインストールを1回のステップで作成できます。これは、Oracle Application Serverへのパッチのインストール、構成、適用を個別に行うこととはまったく異なる方法です。クローニングは、次のような場合に役立ちます。

クローン・インストールは、ソース・インストールと同様に動作します。たとえば、クローン・インスタンスは、Oracle Universal Installerを使用して削除またはパッチを適用できます。また、クローン・インストールから別のクローンを作成することもできます。

クローニング・プロセスでは、ソースOracleホームにあるすべてのファイルをクローニング先Oracleホームにコピーします。したがって、ソース・インスタンスによって使用されているファイルの中に、ソースOracleホームのディレクトリ構造の外部に置かれているものがある場合、それはクローニング先にコピーされません。

ファイルをコピーした後は、一連のスクリプトを使用して、主要な構成ファイルの情報を更新します。たとえば、httpd.confファイルとwebcache.xmlファイル内のホスト名とOracleホームへの参照はすべて、新しい値に更新されます。

ソース・インスタンスにデプロイされたアプリケーションのうち、ソースOracleホームのディレクトリ構造内にあるものは、クローン・インスタンスにコピーされ、自動的にデプロイされます。

8.1.1 サポートされているインストール・タイプ

このリリースでは、次のタイプの中間層インストールをクローニングできます。

次の事項に注意してください。

8.1.2 クローニングに関する一般的な検討事項と制限

このリリースでは、次のものはクローニングできません。

クローニングについては、これ以外にも次の点に注意してください。

個々のコンポーネントのクローニングに関する重要な検討事項については、『Oracle Application Server管理者ガイド』の第10章「Application Serverインスタンスのクローニング」を参照してください。

8.2 クローニングの手順

Oracle Application Serverインスタンスをクローニングするには、最初にソースOracleホームを準備します。次に、相手先をクローニングします。

8.2.1 クローニングを実行する際の前提条件

クローニングを実行するには、Perl 5.6.1以降をシステムにインストールしておく必要があります。クローニングを行うPerlスクリプトを実行する前に、PERL5LIB環境変数に、OracleホームのPerlディレクトリへのパスを設定する必要があります。このパスは、変数定義の最初に示されているパスと一致する必要があります。たとえば、次のように指定します。

setenv PERL5LIB $Oracle_Home/perl/lib/5.6.1:$Oracle_Home/perl/lib/site_perl/5.6.1:$PERL5LIB

Windowsの場合

set PERL5LIB=%Oracle_Home%¥perl¥5.6.1¥lib;%OH%¥perl¥
5.6.1¥lib¥MsWin32-x86;%Oracle_Home%¥perl¥site¥5.6.1¥lib;%PERL5LIB%

8.2.2 ソースの準備

ソースOracleホームのクローニングを準備するには、ソース・インスタンスで次の手順に従います。

  1. 次のディレクトリに移動します。

    • UNIXの場合

      Oracle_Home/clone/bin

    • Windowsの場合

      Oracle_Home¥clone¥bin

  2. スクリプトprepare_clone.plを実行します。このスクリプトによって、ソースをクローニングする準備ができます。

    このスクリプトのコマンドラインは、次のような形式になります。

    perl prepare_clone.pl [ORACLE_HOME=OH_dir]
                          [-oid_password OIDPassword]
                          [-oid_admin OIDadmin]
                          [-silent]
                          [-debug]
                          [-help]
    
    

    表8-1に、prepare_clone.plスクリプトのパラメータとオプションを示します。

    表8-1     prepare_clone.plスクリプトのパラメータとオプション 
    パラメータまたはオプション  説明 

    ORACLE_HOME 

    ソースOracleホームの完全なディレクトリ指定。このパラメータを指定せずにスクリプトを実行すると、ORACLE_HOME環境変数が存在する場合はそれが使用されます。この環境変数が存在しない場合、このスクリプトでは、スクリプトの実行場所であるディレクトリがORACLE_HOMEと想定されます。

    シンボリック・リンクではなく、インストール時に提供された値を使用します。

    ORACLE_HOMEが無効の場合、スクリプトは終了し、errortimestamp.logファイルにエラーが記録されます。 

    -oid_password 

    Oracle Internet Directoryのパスワード。元のインストールで、(Oracle Identity Managementに接続されたインスタンスなどで)ユーザーがOracle Internet Directoryのパスワードを指定するように要求していた場合、このオプションが必要です。このオプションが必要であるにもかかわらず指定されていない場合は、スクリプトから、パスワードを入力するように求められます。 

    -oid_admin 

    Oracle Internet Directoryの管理値。このオプションを指定しない場合、スクリプトではデフォルト値のcn=orcladminが使用されます。 

    -silent 

    スクリプトがサイレント・モードで実行されます。パスワードに関連する必須オプションがコマンドラインに含まれていない場合、スクリプトは終了します。 

    -debug 

    スクリプトがデバッグ・モードで実行されます。 

    -help 

    スクリプトの使用方法が出力されます。 

  3. アーカイブの優先ツールを使用して、ソースOracleホームをアーカイブおよび圧縮します。たとえば、WindowsではWinZip、UNIXではtarとgzipを使用できます。使用しているツールが、ファイルの権限とタイムスタンプを保存することを確認してください。UNIXでソースをアーカイブおよび圧縮する方法を、次の例で示します。

    cd Source_Oracle_Home
    tar cf - * | gzip > oracleas.tar.gz
    
    

    Oracleホームのアーカイブおよび圧縮には、jarユーティリティを使用しないようにしてください。

8.2.3 インスタンスのクローニング

相手先でソース・インスタンスをクローニングするには、次の手順に従います。

  1. 圧縮したOracleホームを、ソース・マシンからクローニング先マシンにコピーします。

  2. 圧縮したOracleホームを、クローニング先の新しいOracleホームとなるディレクトリに解凍します。優先ツールを使用して、圧縮ファイルを解凍します。たとえば、WindowsではWinZip、UNIXではtarとgunzipを使用できます。使用しているツールが、ファイルの権限とタイムスタンプを保存することを確認してください。UNIXでファイルを解凍する方法を、次の例で示します。

    mkdir -p Destination_Oracle_Home
    gunzip  <  Dir_Containing_Tar/oracleas.tar.gz | tar xf -
    


    注意

    ソース・マシンとクローニング先マシンで、tarおよびgzip(またはgunzip)のバージョンが同じである必要があります。バージョンが異なると、アーカイブを解凍するときに問題が発生する場合があります。 


  3. 次のディレクトリに移動します。

    • UNIXの場合

      Oracle_Home/clone/bin

    • Windowsの場合

      Oracle_Home¥clone¥bin

  4. clone.plスクリプトを実行します。Oracleインベントリ・ファイルが含まれたディレクトリには、書込み権限が必要です(Oracleインベントリ・ディレクトリの場所の詳細は、第8.2.4項を参照してください)。

    このスクリプトのコマンドラインは、次のような形式になります。

    perl clone.pl ORACLE_HOME=OH_dir
                  ORACLE_HOME_NAME=OH_Name
                  -instance Instance_Name
                  [-ias_admin_old_pwd Old_Ias_Admin_Password]
                  [-ias_admin_new_pwd New_Ias_Admin_Password]
                  [-oid_password OIDPassword]
                  [-dcm_schema_pwd DCMPassword]
                  [-lbr {true|false}]
                  [-O string]
                  [-silent]
                  [-debug]
                  [-help]
    
    

    表8-2に、clone.plスクリプトのパラメータとオプションを示します。

    表8-2      clone.plスクリプトのパラメータとオプション 
    パラメータまたはオプション  説明 

    ORACLE_HOME 

    必須。クローニング先Oracleホームの完全なディレクトリ指定。このパラメータは必須です。このパラメータを指定しない場合、またはその値が無効の場合は、スクリプトは終了します。 

    ORACLE_HOME_NAME 

    必須。クローニング先Oracleホーム(クローンのOracleホーム)の名前。 

    -instance 

    必須。クローンのインスタンス名。このインスタンスには、ソース・インスタンス、またそれ以外に、同じOracleAS Infrastructureを使用するインスタンスや同じOracleAS Clusterまたはファームの一部であるインスタンスとは、異なる名前を付ける必要があります。 

    -ias_admin_old_pwd 

    必須。ソース・インスタンスに対するOracle Application Serverの管理者用パスワード。このオプションを指定せず、スクリプトがサイレント・モードで実行されていない場合は、スクリプトから、パスワードを入力するように求められます。 

    -ias_admin_new_pwd 

    必須。クローン・インスタンスに対するOracle Application Serverの管理者の新規パスワード。このオプションを指定せず、スクリプトがサイレント・モードで実行されていない場合は、スクリプトから、パスワードを入力するように求められます。 

    -oid_password 

    Oracle Internet Directoryのパスワード。元のインストールで、(Oracle Identity Managementに接続されたインスタンスなどで)ユーザーがOracle Internet Directoryのパスワードを指定するように要求していた場合、このオプションが必要です。このオプションが必要であるにもかかわらず指定されていない場合は、スクリプトから、パスワードを入力するように求められます。 

    -dcm_schema_pwd 

    Distributed Configuration Management(DCM)スキーマのパスワード。元のインストールで、(Oracle Identity ManagementではなくOracleAS Metadata Repositoryに接続されたJ2EEインスタンスなどで)ユーザーがDCMスキーマ・パスワードを指定するように要求していた場合、このオプションが必要です。このオプションが必要であるにもかかわらず指定されていない場合は、スクリプトから、パスワードを入力するように求められます。 

    -lbr 

    ロード・バランサが使用されているかどうか。デフォルトはtrueです。Portal and Wirelessインスタンスをクローニングしていて、falseと指定した場合は、OracleAS Metadata Repositoryに格納されているソース・インスタンスの構成エントリが、クローニング・プロセスによって上書きされます。 

    -O 

    このオプションに続くテキストが、Oracle Universal Installerコマンドラインに渡されるように指定されます。たとえば、このオプションを使用して、oraparam.iniファイルの場所を渡し、Oracle Universal Installerで使用されるようにすることができます。その場合は、次のようなコードを使用します。

    '-O-paramFile C:¥OraHome_1¥oui¥oraparam.ini'

    渡すテキストに空白などの区切り文字が含まれている場合は、そのオプションを二重引用符(")で囲む必要があります。 

    -silent 

    スクリプトがサイレント・モードで実行されます。パスワードに関連する必須オプションがコマンドラインに含まれていない場合、スクリプトは終了します。 

    -debug 

    スクリプトがデバッグ・モードで実行されます。 

    -help 

    スクリプトの使用方法が出力されます。 

    次に例を示します。

    perl clone.pl ORACLE_HOME=/opt/oracle/Ora_1012_B
                   ORACLE_HOME_NAME=OH_1012_B
                   -instance Portal_B
                   -ias_admin_old_pwd my_old_ias_pass
                   -ias_admin_new_pwd my_new_ias_pass
                   -oid_password my_oidpwd
                   -dcm_schema_pwd my_DCM_pass]
                   -lbr true
                   '-O-paramFile /var/opt/oracle/oui/oraparam.ini'
                   -silent
    
    
  5. UNIXでは、クローン・インスタンスが正しく機能するように、クローンOracleホームでroot.shスクリプトを実行します。このスクリプトは、クローン・インスタンスのOracleホーム・ディレクトリにあります。

    たとえば、次のように指定します。

    $ORACLE_HOME/root.sh
    
    

これで、クローン・インスタンスは、ソース・インスタンスと同じ構成になります。OC4Jカスタム・インスタンスなど、クローン・インスタンスのプロセスはすべて、Application Server ControlコンソールとOPMNで起動および停止できます。デプロイされたアプリケーションはすべて表示され、正しく実行できます。

8.2.4 ログ・ファイルの検索と表示

クローニング・スクリプトは複数のツールを呼び出しますが、これらのツールは個別にログ・ファイルを生成します。ただし、次に示すログ・ファイルは、Oracle Universal Installerおよびクローニングを行うスクリプトによって生成されるもので、診断を目的とした主要なログ・ファイルです。

ここでのパスの形式は、UNIX形式で示されています。Windowsでは、スラッシュが円記号になります。


注意

Oracleインベントリ・ディレクトリの場所を検索するには、次の手順に従います。

  • UNIXの場合は、/var/opt/oracle/oraInst.locまたは/etc/oraInst.locを調べてください。

  • Windowsの場合は、レジストリから場所HKEY_LOCAL_MACHINE¥SOFTWARE¥ORACLE¥INST_LOCを取得できます。

 

clone.plスクリプトの実行後にこれらのログ・ファイルを開いて、クローニング・プロセスの詳細を調べてください。Application Server Controlコンソールでログ・ファイルを表示する手順は次のとおりです。

  1. ホーム・ページで「ログ」を選択します。

  2. 「ログの表示」ページの「使用可能なコンポーネント」ボックスで、「ASClone」を選択します。「移動」をクリックして、選択したものを「選択したコンポーネント」ボックスに移動します。

  3. 検索」をクリックします。

    結果」表にログ・ファイルが表示されます。

  4. このログを表示するには、「ログ・ファイル」列でログ名をクリックします。


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