Oracle Application Server インストレーション・ガイド 10gリリース2(10.1.2)for Solaris Operating System(SPARC) B15826-04 |
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この章の内容は次のとおりです。
Oracle Application Serverは次のものから構成されています。
アプリケーションはOracle Application Serverの中間層に配置して実行します。インフラストラクチャは、中間層が使用するサービスを提供します。1つ以上の中間層でインフラストラクチャ・サービスを共用できます。
インストーラを実行するとき、中間層またはインフラストラクチャのどちらをインストールするかを選択します。通常は両方必要なので、インストーラを2回実行することになります。
図5-1に、簡単なOracle Application Serverのインストールを示します。コンピュータ1で実行されているJ2EE and Web Cache中間層は、コンピュータ2で実行されているOracleAS Infrastructureを使用します。この図は、OracleAS Metadata Repositoryと2つのID管理サービス(OracleAS Single Sign-OnおよびOracle Internet Directory)を示しています。
中間層がOracleAS Infrastructureのサービスを必要とするため、ほとんどの場合、最初にOracleAS Infrastructureをインストールします。インフラストラクチャがオプションとなるのは、J2EE and Web Cache中間層タイプのみです(第7.4項「J2EE and Web Cache中間層用の構成オプション」を参照)。
中間層とインフラストラクチャは、同じコンピュータ上にインストールすることも、別のコンピュータにインストールすることもできます。インフラストラクチャを独自のコンピュータにインストールし、中間層を他のコンピュータにインストールすると、パフォーマンスが向上します。
たとえば、図5-2に、4台のコンピュータからなるトポロジを示します。
各種トポロジ例については、第15章「推奨されるトポロジ」を参照してください。
Oracle Application ServerをインストールするディレクトリをOracleホームと呼びます。インストール中に、このディレクトリのフルパスとOracleホームの名前を指定します。
たとえば、OracleAS Infrastructureを/opt/oracle/OraHome_Infra
にインストールして、「Infra」という名前を付けることができます。
Oracleホームの名前は最大128文字で、英数字およびアンダースコアのみを使用できます。
中間層とインフラストラクチャを同じコンピュータにインストールする場合、それらを異なるOracleホーム・ディレクトリにインストールする必要があります。インストーラでは、中間層とインフラストラクチャを同じOracleホームにインストールすることはできません。中間層とインフラストラクチャを同じコンピュータにインストールする場合の構成については、第15.2項「Portal and Wireless開発者トポロジ」で説明します。
通常、既存のOracleホームにOracle Application Serverをインストールすることはできません。インストールができない組合せは、「Oracleホーム・ディレクトリ」のリストを参照してください。次の2つの例外があります。
ORACLE_HOME/j2ee/home/config/default-web-site.xml
ファイルで、プロトコルがhttp
ではなくajp13
に設定されていることと、ポートが0
(ゼロ)に設定されていることを確認してください。
Oracle Application Serverは、いくつかのファイルがすでに含まれているディレクトリにはインストールできません。ただし、第5.4.1項「既存のOracleホームへのインストール」に説明した場合は例外です。たとえば、インストールを取り消した場合やインストールに失敗した場合は、ディレクトリをクリーンアップしてから、そのディレクトリにOracle Application Serverを再インストールする必要があります。また、インストーラはインストールを修復することもできません。ディレクトリのクリーンアップ方法の手順は、第G.3.4項「空でないディレクトリへのインストールに関するメッセージ」を参照してください。
Oracle Application Serverをインストールする前にシンボリック・リンクを作成し、これをインストール時に使用できます。たとえば、次のコマンドを実行したとします。
mkdir /home/basedir ln -s /home/linkdir /home/basedir
ここで、インストーラを実行するときに、/home/linkdir
をOracleホームとして指定できます。
インストール後に、Oracleホームへのシンボリック・リンクを作成することはできません。また、Oracleホームを別の場所へ移動したり、元のOracleホームへのシンボリック・リンクを作成することはできません。
Oracle Application Serverが、コンピュータにインストールする最初のOracle製品である場合、インストーラにより、インベントリ・ディレクトリ(oraInventoryディレクトリとも呼ばれる)を指定するための画面が表示されます。インベントリ・ディレクトリは、インストーラがコンピュータ上にインストールされている全Oracle製品を把握するために使用します。
インベントリ・ディレクトリは、Oracle Application ServerのOracleホーム・ディレクトリとは別のものです。
oinstall
グループの他のユーザーがインベントリ・ディレクトリにアクセスできるように(Oracle製品をインストールできるように)、oracle
ユーザーのホーム・ディレクトリをインベントリ・ディレクトリとして使用しないでください。ホーム・ディレクトリには、oinstall
グループのための適切な権限が設定されていないことがあるためです。そのかわり、インベントリ・ディレクトリを/opt/oracle
ディレクトリ(/opt/oracle/oraInventory
など)に置くことはできます。
コンピュータにすでにOracle製品をインストールしている場合、インストーラは既存のインベントリ・ディレクトリを使用します。このディレクトリに対する書込み権限を持っていることを確認してください。最も確実な方法は、既存のOracle製品をインストールしたオペレーティング・システム・ユーザーとしてインストーラを実行することです。
Oracle製品のインストールに関連するすべてのタスクを実行するためのオペレーティング・システム・ユーザーを作成することをお薦めします。詳細は、第4.8項「オペレーティング・システム・ユーザー」を参照してください。
デフォルトでは、インストーラによって、英語およびオペレーティング・システムの言語のテキストでOracle Application Serverがインストールされます。追加の言語が必要な場合は、「インストールする製品の選択」画面の「製品の言語」をクリックします。
インストールする追加の言語を選択すると、選択した言語でテキストがインストールされます。また、その言語の表示に必要なフォントもインストールされます。
一部のコンポーネントでは、インストール時に選択した場合にのみ、その言語がインストールされます。この場合、使用できない言語でアプリケーションにアクセスすると、サーバーのロケール言語に戻されます。
その他のコンポーネントでは、インストール時に選択した言語に関係なく使用可能な言語がインストールされます。ただし、この場合、フォントは明示的に選択した言語用のみがインストールされます。アプリケーションにアクセスすると、言語はインストールされているため、ご使用の言語でテキストが使用されます。ただし、テキストをレンダリングするための適切なフォントがない場合は、テキストは四角いボックスで表示されます。通常、これは中国語、日本語および韓国語に適用されます。
フォントはインストール後にインストールできます。詳細は、第G.3.10項「ユーザー・インタフェースが希望の言語で表示されない、または正しく表示されない」を参照してください。
インストール後に追加の言語をインストールできないことに注意してください。すべての必要な言語はイントール中にインストールする必要があります。インストールしていない言語を使用する環境でOracle Application Serverを実行すると、ユーザー・インタフェースはその言語または英語で表示されます。または、(フォントがないために)テキストのかわりに四角いボックスが表示される場合もあります。
インフラストラクチャまたは中間層をインストールすると、Oracle Application Serverインスタンスができます。インストーラにより、インストールするOracle Application Serverインスタンスの名前を入力するように求められます。たとえば、「infra」や「J2EE」のような名前を付けることができます。この名前は、Oracleホームの名前と同じでなくてもかまいません。
インストール後に、この名前を変更することはできません。
Oracle Application Serverでは、指定されたインスタンス名にホスト名とドメイン名を追加し、完全なインスタンス名にします。たとえば、c1
という名前のコンピュータにインスタンスをインストールする場合、インスタンスの名前をinfra1
にすると、ドメイン名がmydomain.com
であれば、インスタンスのフルネームはinfra1.c1.mydomain.com
になります。
インスタンス名には、英数字(A
-Z
、a
-z
、0
-9
)および_
(アンダースコア)文字のみを使用できます。
インスタンス名の最大長は64文字です。
Oracle Application Serverインスタンスの名前には、コンピュータのホスト名を使用しないでください。
Oracle Application ServerインスタンスをOracleAS Clusterに配置する計画がある場合は、インスタンス名には次のものを含めないでください。
インスタンス名が重要なのは、Oracle Application Serverでインスタンスを一意に識別するのに使用されるためです。つまり、同じコンピュータ上に複数のOracle Application Serverインスタンスをインストールした場合(OracleAS InfrastructureインスタンスとJ2EE and Web Cacheインスタンスなど)、それぞれに異なる名前を付ける必要があります。
Oracle Enterprise Manager 10g Application Server Control(または略してApplication Server Control)を使用してOracle Application Serverを管理する場合、画面にインスタンス名が表示されます。インスタンス名をクリックして、そのインスタンスにインストールされているコンポーネント、コンポーネントの稼働/停止状態、コンポーネントのログ・ファイルなどのインスタンスの詳細を表示できます。Application Server Controlは、Oracle Application Serverのためのブラウザベースの管理ツールです。管理ツールの詳細は、『Oracle Application Server管理者ガイド』を参照してください。
また、一部のdcmctl
コマンドには、パラメータとしてインスタンス名が必要なものもあります。dcmctl
は、Oracle Application Serverインスタンスを管理するためのコマンドライン・ツールです。dcmctl
の詳細は、『Distributed Configuration Management管理者ガイド』を参照してください。
インストーラにより、ias_admin
ユーザーのパスワードを指定するように求められます。ias_admin
ユーザーは、Oracle Application Serverインスタンスの管理ユーザーです。Application Server Controlを使用してOracle Application Serverインスタンスを管理するには、ias_admin
としてログインします。
コンピュータ上に、それぞれが一意のインスタンス名を持つ複数のOracle Application Serverインスタンスをインストールできますが、管理ユーザーの名前はどのインスタンスでもias_admin
です。ias_admin
ユーザーのパスワードは、インスタンスごとに別にすることができます。
ias_admin
ユーザーのパスワードは、Oracle Internet Directoryのパスワード・ポリシーに準拠している必要があります。
ias_admin
ユーザーのパスワードは、既存のOracle Internet Directoryのパスワード・ポリシーに準拠している必要があります。
Oracle Internet Directoryに定義されたパスワード・ポリシーに加え、ias_admin
ユーザーのパスワードには次の制限もあります。
_
)、ドル記号($
)およびシャープ記号(#
)のみを使用できます。
_
)、ドル記号($
)またはシャープ記号(#
)から始めることはできません。
パスワードは、次の作業を実行するときに入力する必要があるため、覚えておく必要があります。
ias_admin
ユーザーとしてログインします。
パスワードを忘れた場合は、リセットできます。詳細は、『Oracle Application Server管理者ガイド』を参照してください。
「構成オプションの選択」画面でコンポーネントを選択すると、インストーラにより、選択したコンポーネントがインストールされ、構成されます。選択していないコンポーネントもインストールされますが、構成されません。
ほとんどの場合、「構成オプションの選択」画面で選択しなかったコンポーネントは、インストール後にApplication Server Controlを使用して構成できます。詳細は、『Oracle Application Server管理者ガイド』を参照してください。
同じコンピュータにOracle Application Serverの最新のリリースとOracle9i Application Server リリース2(9.0.2)をインストールする場合は、最初にリリース2(9.0.2)をインストールします。
Oracle Application Server Infrastructureの最新リリースをインストールした後にOracle9i Application Server リリース2(9.0.2) Infrastructureをインストールした場合、9.0.2 InfrastructureでインストールされたNetリスナーを無効にする必要があります。Netリスナーの最新バージョンは、現在および以前のリリースのデータベースをリスニングできます。Netリスナーの起動と停止については、『Oracle Application Server管理者ガイド』を参照してください。
以前のリリースとの互換性に関する詳細は、Oracle Application Serverのアップグレードおよび互換性ガイドを参照してください。
インストーラは、次のディレクトリにファイルを書き込みます。
ディレクトリ | 説明 |
---|---|
Oracleホーム・ディレクトリ |
このディレクトリにはOracle Application Serverのファイルが入っています。このディレクトリは、Oracle Application Serverのインストール時に指定します。 |
インベントリ・ディレクトリ |
コンピュータに最初にOracle製品をインストールするときにこのディレクトリを指定します。このディレクトリは、インストーラがコンピュータ上にインストールされているOracle製品を把握するのに使用します。それ以降のインストールでも、インストーラは同じインベントリ・ディレクトリを使用します。 |
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このディレクトリには、コンピュータ上のOracleホームの場所に関する情報が含まれます。 コンピュータにOracle9iASリリース2(9.0.2)をインストールした場合は、Oracle Enterprise Manager 10gに関する情報の入ったファイルも含まれます。 |
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インストーラは、インストール時のみに必要なファイルを一時ディレクトリに書き込みます。デフォルトでは、一時ディレクトリは |
インストール中に1回以上は、インストーラにより、rootユーザーとしてログインしてスクリプトを実行するように求められます。rootである必要があるのは、スクリプトが/var/opt/oracle
ディレクトリ内のファイルを編集するためです。
インストーラにより、root.sh
スクリプトを別のウィンドウで実行するように求められます。このスクリプトにより、ローカルのbinディレクトリ(デフォルトでは/usr/local/bin
)にファイルが作成されます。
同じ名前のファイルが検出された場合、スクリプトにより既存のファイルを上書きするかどうかを尋ねられます。これらのファイルのバックアップを作成してから(別のウィンドウでできます)、上書きする必要があります。
次の行に、root.sh
スクリプトにより表示されるプロンプトを示します。デフォルト値は大カッコに囲まれて表示されます。
Enter the full pathname of the local bin directory: [/usr/local/bin]: The file "dbhome" already exists in /usr/local/bin. Overwrite it? (y/n)[n]: y Copying dbhome to /usr/local/bin ... The file "oraenv" already exists in /usr/local/bin. Overwrite it? (y/n)[n]: y Copying oraenv to /usr/local/bin ... The file "coraenv" already exists in /usr/local/bin. Overwrite it? (y/n)[n]: y Copying coraenv to /usr/local/bin ...
root.sh
を実行すると、chmod: WARNING: Corresponding set-ID also disabled...で始まる警告が表示される場合があります。この警告は無視してかまいません。
Oracle Application Serverインスタンスのインストール時に、使用している環境の他のインストールの構成やパスワードを変更しないでください。たとえば、使用している環境にOracleAS Infrastructureがインストールされている場合、中間層のインストール時にこれを修正しないでください。
OracleAS Infrastructureまたは中間層をインストールするとき、Oracle Application ServerコンポーネントがSSL接続のみを介してOracle Internet Directoryに接続するように指定できます。Oracle Internet Directoryのホスト名とポートを指定する画面で、「このOracle Internet DirectoryにはSSL接続のみ使用」チェック・ボックスを選択できます。
インストール中はOracle HTTP ServerはSSL接続を行うように設定されないことに注意してください。Oracle HTTP ServerでSSLを使用する必要がある場合は、インストール後に設定を行います。詳細は、『Oracle HTTP Server管理者ガイド』を参照してください。
Oracle Application ServerのCD-ROMは、RockRidgeフォーマットです。DVD-ROMは、DVD-ROMフォーマットです。
Solaris Volume Managementソフトウェア(Solaris Operating Environmentとともにデフォルトでインストールされる)を使用している場合、CD-ROMまたはDVD-ROMを挿入すると、CD-ROMまたはDVD-ROM は自動的に/cdrom
にマウントされます。たとえば、Oracle Application Server Disk 1をCD-ROMドライブに挿入した場合は、/cdrom/10.1.2disk1
でCD-ROMの内容にアクセスできます。
Solaris Volume Managementソフトウェアを使用していない場合は、CD-ROMまたはDVD-ROMを手動でマウントする必要があります。CD-ROMまたはDVD-ROMを手動でマウントまたはアンマウントするには、root権限が必要です。CD-ROMまたはDVD-ROMをドライブから取り出す前に、必ずアンマウントしてください。
CD-ROMまたはDVD-ROMを手動でマウントするには、次の手順を実行します。
prompt> su Password:
# mkdir mount_point
# mount options device_name mount_point
次の例では、Solaris Volume Managementソフトウェアを使用しないで手動でCD-ROMを/cdrom
にマウントします。rootユーザーとして次のコマンドを実行します。
# mkdir /cdrom # mount -r -F hsfs device_name /cdrom
DVD-ROMのマウントにも、同じコマンドおよびオプションを使用できます。
# exit
oracle
ユーザーとしてログインします。
ORACLE_HOSTNAME
を作成します。Oracle Application Serverをインストールするコンピュータのホスト名を指すようにこの変数を設定します。CD-ROMユーザーの場合: Oracle Application Server Disk 1をCD-ROMドライブに挿入します。
DVD-ROMユーザーの場合: Oracle Application Server DVD-ROMをDVD-ROMドライブに挿入します。
CD-ROMの場合:
prompt> cd prompt> mount_point/10.1.2disk1/runInstaller
DVD-ROMの場合:
prompt> cd prompt> mount_point/application_server/runInstaller
ハード・ドライブの場合:
prompt> cd disk1_directory prompt> runInstaller
ここで、disk1_directoryは、Disk 1のファイルを解凍するディレクトリです。
Oracle Universal Installerが起動します。これを使用してOracle Application Serverをインストールします。
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