WebLogic のアプリケーション環境のアップグレード

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セキュリティ プロバイダのアップグレード

WebLogic Server 7.0 または 8.1 環境でカスタム セキュリティ プロバイダを使用している場合、WebLogic アップグレード ウィザードを使用して、セキュリティ プロバイダを WebLogic Server 10.0 のアプリケーション環境で使用できるようアップグレードすることができます。

注意 : WebLogic Server 9.1 には、XACML 認可プロバイダおよび XACML ロール マッピング プロバイダという 2 つの新しいセキュリティ プロバイダが含まれています。既存の WebLogic ドメインを 10.0 にアップグレードして、現在指定されている認可プロバイダおよびロール マッピング プロバイダ (サード パーティ パートナーのプロバイダ、オリジナルの WebLogic 認可プロバイダおよびロール マッピング プロバイダなど) を引き続き使用できます。WebLogic Server 独自のプロバイダを使用している既存ドメインを、必要に応じて XACML プロバイダに移行することもできます (既存ポリシーのバルク インポートも含む)。詳細については、「BEA WebLogic Server 10.0 セキュリティ」(http://edocs.beasys.co.jp/e-docs/wls/docs100/security.html) を参照してください。

次の節では、WebLogic アップグレード ウィザードを使用してセキュリティ プロバイダをアップグレードする方法について説明します。

カスタム セキュリティ プロバイダの開発については、『WebLogic セキュリティ プロバイダの開発』(http://edocs.beasys.co.jp/e-docs/wls/docs100/dvspisec/index.html) を参照してください。

 


セキュリティ プロバイダのアップグレードの仕組み

セキュリティ プロバイダをアップグレードする場合、アップグレード元のディレクトリとアップグレード先のディレクトリを指定すると、WebLogic アップグレード ウィザードが既存の JAR をアップグレードします。これにより、セキュリティ プロバイダは WebLogic Server 10.0 のアプリケーション環境で実行可能となります。

注意 : セキュリティ プロバイダ JAR には、MBean を定義する MBean 定義ファイル (MDF) が含まれていなければなりません。MDF は、特定の MBean タイプの .java ファイルを生成するために使用されます。MDF の作成については、『WebLogic セキュリティ プロバイダの開発』(http://edocs.beasys.co.jp/e-docs/wls/docs100/dvspisec/index.html) を参照してください。MDF が JAR ファイルに含まれていない場合、当該セキュリティ プロバイダのアップグレード プロセスは正常に実行されません。
注意 : MDF に未登録のタグがある場合は、アップグレード プロセス中に警告が表示されます。この警告はアップグレードに影響しないので無視してかまいません。ただし、MDF から未登録のタグを削除して、この警告が表示されないようにすることをお勧めします。
注意 : 9.2 より前のコンフィグレーションで定義されているセキュリティ レルムでは、ロックアウト マネージャ (UserLockoutManagerMBean) が定義されていなければなりません。また、これらのセキュリティ レルムは、JMX オブジェクトの命名規約 (Security:Name=name) に準拠していなければなりません。これらの条件が満たされていない場合、当該セキュリティ プロバイダのアップグレード プロセスは正常に実行されません。

アップグレード中、アップグレード ウィザードは次のタスクを実行します。

 


セキュリティ プロバイダのアップグレード

WebLogic Server 10.0 環境で実行するすべてのカスタム セキュリティ プロバイダをアップグレードする必要があります。

注意 : WebLogic Server 10.0 を WebLogic Server 7.0 または 8.1 を含む既存の BEA ホーム ディレクトリにインストールする場合、デフォルトの場所 WL_HOME\server\lib\mbeantypes (WL_HOME は WebLogic Server 10.0 より前のバージョンのインストール先のルート ディレクトリ) にあるすべてのカスタム セキュリティ プロバイダは自動的にアップグレードされます。すべてのカスタム セキュリティ プロバイダがデフォルトの場所に格納されている場合は、ここで説明するセキュリティ プロバイダのアップグレード手順を実行する必要はありません。

カスタム セキュリティ プロバイダがアップグレードされたかどうかを確認するには、WL_HOME\server\lib\mbeantypes ディレクトリ (WL_HOME は WebLogic Server 10.0 のインストール先のルート ディレクトリ) の、アップグレードされたセキュリティ プロバイダ security_provider_name_Upgraded (security_provider_name はセキュリティ プロバイダの名前) を確認します。

WebLogic アップグレード ウィザードでは、次のどちらかのモードでセキュリティ プロバイダをアップグレードすることができます。

ドメイン内のすべてのマシンのセキュリティ プロバイダをアップグレードする必要があります。

以下の節では、セキュリティ プロバイダをアップグレードする方法について説明します。

セキュリティ プロバイダのグラフィカル モードでのアップグレード

次の節では、グラフィカル モードで WebLogic アップグレード ウィザードを使用してセキュリティ プロバイダをアップグレードする方法について説明します。

注意 : グラフィカル モードでアップグレード ウィザードを実行するために使用するコンソールでは、Java ベースの GUI がサポートされていなければなりません。グラフィカル表示をサポートしていないシステム上でアップグレード ウィザードをグラフィカル モードで起動しようとすると、エラー メッセージが表示されます。

セキュリティ プロバイダをアップグレードするためグラフィカル モードで WebLogic アップグレード ウィザードを起動する方法

注意 : WebLogic アップグレード ウィザードを起動する前に、「アップグレードの準備」の手順がすでに実行されていなければなりません。

グラフィカル モードで WebLogic アップグレード ウィザードを起動してセキュリティ プロバイダをアップグレードするには、次の手順に従います。

  1. WebLogic ドメインが稼動していないことを確認します。
  2. MS-DOS コマンド プロンプト ウィンドウ (Windows) またはコマンド シェル (UNIX) を開き、「手順 6 : 環境の設定」の説明に従って環境を設定します。
  3. コマンド プロンプトで、次のコマンドを入力します。
  4. java weblogic.Upgrade -type securityproviders [-out file]

    -out 引数は省略可能です。これにより、すべての標準出力 (stdout) とエラー メッセージが書き込まれるファイルを指定することができます。デフォルトでは、これらのメッセージはコマンド ウィンドウに書き込まれ、アップグレード プロセスの終了時にそのサマリが表示されます。

    このコマンドを実行すると、次の図のように WebLogic アップグレード ウィザードが起動されます。

    図 3-1 セキュリティ プロバイダの WebLogic アップグレード ウィザード


    セキュリティ プロバイダの WebLogic アップグレード ウィザード

  5. [次へ] をクリックして、[アップグレード元のディレクトリの選択] ウィンドウに進みます。

セキュリティ プロバイダをアップグレードする手順

次の表に、WebLogic アップグレード ウィザードを使用してセキュリティ プロバイダをアップグレードする手順の概要を示します。

表 3-1 セキュリティ プロバイダをアップグレードする手順
手順
実行する操作
アップグレード元のディレクトリの選択
アップグレードする必要のあるセキュリティ プロバイダ JAR が格納されているディレクトリを選択する。デフォルトでは、選択したディレクトリがカレント ディレクトリである。
次の例に示すように、セキュリティ プロバイダはデフォルトでは WL_HOME\server\lib\mbeantypes (WL_HOME は WebLogic Server 9.0 より前のバージョンのインストール先のルート ディレクトリ) に格納されている。
図 3-2 このウィンドウからのディレクトリ ソースの選択

注意 : セキュリティ プロバイダ JAR には、関連づけられている MBean の MBean 定義ファイル (MDF) が含まれている必要がある。MDF の作成については、『WebLogic セキュリティ プロバイダの開発』(http://edocs.beasys.co.jp/e-docs/wls/docs100/dvspisec/index.html) を参照してください。JAR ファイルに MDF がない場合、関連付けられているセキュリティ プロバイダのアップグレード プロセスは正常に実行されない。

[次へ] をクリックして、[アップグレード先のディレクトリの選択] ウィンドウに進む。
アップグレード先のディレクトリの選択
新しいセキュリティ プロバイダ JAR ファイルの保存先のディレクトリを選択する。デフォルトのディレクトリは WL_HOME\server\lib\mbeantypes (WL_HOME は WebLogic Server 10.0 のインストール先のルート ディレクトリ) である。

注意 : ドメインのアップグレードが確実に実行されるようにするには、アップグレードされたセキュリティ プロバイダがデフォルトの保存先ディレクトリ (WL_HOME\server\lib\mbeantypes) に保存されるよう指定する必要がある。セキュリティ プロバイダを別のディレクトリに保存する必要がある場合は、まずデフォルトの保存先ディレクトリに保存し、ドメインのアップグレード プロセスが完了してから、別のディレクトリに移動する。

[次へ] をクリックして、次のウィンドウに進みます。
セキュリティ プロバイダのアップグレード進行中
ウィザードの進行状況 (アップグレードされた JAR の保存やアップグレード プロセス中に作成された一時ファイルの削除) を確認する。進行状況を通知するメッセージがウィンドウに表示される。
セキュリティ プロバイダ JAR には、関連づけられている MBean の MBean 定義ファイル (MDF) が含まれていなければならない。MDF の作成については、『WebLogic セキュリティ プロバイダの開発』(http://edocs.beasys.co.jp/e-docs/wls/docs100/dvspisec/index.html) を参照してください。JAR ファイルに MDF がない場合、関連付けられているセキュリティ プロバイダのアップグレード プロセスは正常に実行されない。以下に例を示します。
[現在 mySecurityProviderToo.jar を処理しています...]
[名前 mySecurityProviderToo.jar の古いセキュリティ プロバイダ jar では MDF (.xml) が見つかりませんでした。]
MDF に未登録のタグがある場合は、アップグレード プロセス中に警告が表示される。この警告はアップグレードに影響しないので無視してかまわない。ただし、MDF から未登録のタグを削除して、このメッセージが表示されないようにすることを勧める。
ウィザードが製品と共にインストールされたセキュリティ プロバイダ JAR、すでにアップグレードされているセキュリティ プロバイダ JAR、または無効なセキュリティ プロバイダ JAR を検出した場合、その JAR はアップグレードされない。以下に例を示します。
[foo.txt は、初期状態の BEA セキュリティ プロバイダ jar であるか、すでにアップグレードされているか、または有効なアーカイブではない (.jar ではない) ため、アップグレードされません。]
[次へ] をクリックして、次のウィンドウに進みます。
アップグレード完了
アップグレードが完了したら表示されるアップグレード結果を確認する (さらなる検討を要する重要なメッセージなど)。
[完了] をクリックしてウィザードを閉じる。

セキュリティ プロバイダのサイレント モードでのアップグレード

たとえば、セキュリティ プロバイダがリモート マシンにある場合などに、WebLogic アップグレード ウィザードをグラフィカル モードで使用するのは合理的ではありません。このような場合、ウィザードをサイレント モードで使用して、セキュリティ プロバイダをアップグレードすることができます。

注意 : WebLogic アップグレード ウィザードを起動する前に、「アップグレードの準備」の手順がすでに実行されていなければなりません。

サイレント モードで WebLogic アップグレード ウィザードを起動してセキュリティ プロバイダをアップグレードするには、次の手順に従います。

  1. WebLogic ドメインが稼動していないことを確認します。
  2. MS-DOS コマンド プロンプト ウィンドウ (Windows) またはコマンド シェル (UNIX) を開き、「手順 6 : 環境の設定」の説明に従って環境を設定します。
  3. (省略可能) アップグレード要件を定義する XML スクリプトを作成します。詳細については、「サイレント アップグレード用 XML スクリプト リファレンス」を参照してください。
  4. アップグレードするセキュリティ プロバイダが格納されているディレクトリに移動します。
  5. コマンド プロンプトで、次のコマンドを入力します。
  6. java weblogic.Upgrade -mode silent -type securityproviders [-responses xmlfile] [-out file]

    -responses 引数と -out 引数は省略可能です。この 2 つの引数は、次の設定のデフォルト値をオーバーライドする場合に含めます。

    • アップグレード要件を定義する XML ファイルの場所。-responses 引数でファイルを指定しない場合、ウィザードはデフォルト値をアップグレード プロセスで使用します。XML ファイルの形式とデフォルト値の詳細については、「サイレント アップグレード用 XML スクリプト リファレンス」を参照してください。
    • すべての標準出力 (stdout) とエラー メッセージが書き込まれる出力ファイル。-out 引数でファイルを指定しない場合、これらのメッセージはコマンド ウィンドウに書き込まれます。

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