パッチおよびメンテナンス パックのインストール

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はじめに

この節では、以下のトピックを取り上げます。

Smart Update バージョン 3.1 の新機能

Smart Update 3.1 での変更点は、以下のとおりです。

Smart Update に関する制限事項については、「Smart Update に関する確認済みの制限事項」を参照してください。

Smart Update バージョン 3.1 でサポートされている製品

Smart Update を使用して、次の製品に対するパッチおよびメンテナンス パックを取得できます。

注意 : Service Pack は WebLogic Platform 9.2 メンテナンス パック 1 よりメンテナンス パックで置き換えられた。

クイック リファレンスの情報

Smart Update をすぐに使用するには、表 1-1 の説明を参照してください。これらの節では、Smart Update タスクの主要な機能についての概要を示します。

表 1-1 Smart Update クイック リファレンスの情報
クイック リファレンスの情報
内容
BEA カスタマ サポートによって作成されるプライベート パッチをダウンロードおよび適用するための手順。
製品のインストールのメンテナンス レベルに関する詳細情報が記載された単純なテキスト ファイルであるメンテナンス スナップショットを作成する手順。問題を解決するために BEA カスタマ サポートに連絡すると、必ずこのファイルの提供を求められる。
カスタム パッチ プロファイルを作成するための手順。カスタム パッチ プロファイルは、製品インストール上で動作するすべてのサーバに対して有効にすることが適切でないパッチを、個別のドメインまたは 1 つ以上のサーバから参照する場合に使用する。
Smart Update グラフィカル インタフェースで使用されているアイコンおよびラベルについての定義。
Smart Update のコマンドライン インタフェースで使用される bsu コマンドの参照。

Smart Update によるパッチおよびメンテナンス パック管理の簡略化

Smart Update は任意のソフトウェアとは別に実行可能なスタンドアロンの Java アプリケーションです。Smart Update を使用すると、メンテナンス パッチおよびメンテナンス パックによって、ソフトウェア インストールをすばやく、簡単にアップグレードできます。Smart Update がサポートされている製品の詳細については、「Smart Update バージョン 3.1 でサポートされている製品」を参照してください。製品を初めてインストールする際には、Smart Update が自動的に BEA ホーム ディレクトリにインストールされます。

Smart Update は随時新しい機能で強化され、BEA ダウンロード サーバで入手できます。

新バージョンの Smart Update は BEA ダウンロード サーバに配置されます。旧バージョンの Smart Update を使用してログインすると、最新バージョンがマシンに配布され、自動的にインストールされます。

インストールが完了すると、処理を終了して Smart Update を再び起動するように求めるプロンプトが表示されます。[はい] をクリックして Smart Update を起動し、パッチのダウンロードに進むか、または後でダウンロードする場合、[取り消し] をクリックします。

後で Smart Update を起動すると、更新されたバージョンが呼び出されます。

以下の節では、Smart Update プログラムの主要な機能についての概要を示します。

パッチのダウンロードおよび適用に関する機能

Smart Update には、製品のインストールにメンテナンス パッチをインストール (適用) する作業が簡略化される、次のような一連の堅牢な機能が用意されています。

BEA カスタマ サポートへの直接接続

Smart Update の起動時には、BEA サポート ID およびパスワードを使用して BEA カスタマ サポートに接続するかどうかの選択を求められます (BEA サポート ID の取得については、「BEA アカウントの取得と契約資格へのアクセス」を参照)。ログインが完了すると、公開パッチに加え、プライベート パッチにもアクセスできます。

複数のパッチを 1 つにまとめたパッチ セットを提供する場合があります。これを使用すると、関連する一連のパッチをダウンロードして簡単に適用できます。また、それぞれのパッチ セット内のパッチを正しい順序で適用して管理できるようになります。

パッチ検証および衝突チェック

製品の特定のメンテナンス レベル用に作成した個々のパッチすべてが、該当するメンテナンス レベル用の既存のパッチすべてに対して検証されます。パッチを表示およびダウンロードするために Smart Update を実行すると、BEA カスタマ サポートから提供される検証データが自動的に使用されるため、製品のインストールにすでに正しく適用されているパッチとの間に衝突が発生するようなパッチの適用を防止できます。

たとえば、未適用のパッチに依存するパッチを適用しようとすると、Smart Update によって依存関係についての問題が報告されます。その場合は、続行する前に、前提となるパッチをダウンロードおよび適用できます。パッチ検証は、パッチを適用する際には必ず自動的に実行されます。また、必要に応じてパッチのダウンロード前にも検証を実行するよう指示できます。

場合によっては、ダウンロードおよび適用した既存のパッチが、BEA カスタマ サポートから後で提供された代替パッチによって置き換えられることや、BEA カスタマ サポートによって無効パッチの指定を受けることがあります。そのような場合、代替パッチが入手可能になった後またはパッチが無効になった後の初回ログイン時に、そのことを示す通知が Smart Update に表示されます。次に、Smart Update グラフィカル インタフェースのパッチの一覧に、以前にダウンロード済みまたは適用済みのパッチが無効のマーク付きで表示されます。また、代替パッチがある場合はその入手方法に関する情報も提供されます。

コマンドライン インタフェース

Smart Update のコマンドライン インタフェースでは、パッチの適用と、ダウンロード済みまたは適用済みのパッチに関する情報の取得ができます。これらの機能は、コマンドラインから直接に実行することも、Smart Update コマンドを記述したスクリプトによって実行することもできます。

注意 : コマンドライン インタフェースには、BEA カスタマ サポートに接続する機能は用意されていません。したがって、パッチをダウンロードするためには使用できません。

分散環境におけるパッチ適用のサポート

Smart Update では、組織内の一元的な場所にまとめてダウンロードしてあるパッチを、各種の製品がインストールされているプロダクション環境内の複数のマシンへとスクリプトによって配布するためのモデルがサポートされています。これにより、各マシンに対するメンテナンス更新の配布および適用方法を、実際の運用における規定に適合させることができます。特に、BEA カスタマ サポートに直接接続してパッチをダウンロードすることが不可能または望ましくない環境にあるマシンに対しても、この機能によってパッチを適用できます。

BEA カスタマ サポートに接続できないマシンに対するパッチ適用のサポート

Smart Update では、更新する対象のすべてのマシンが BEA カスタマ サポート、つまりインターネットに直接接続されている必要はありません。GUI またはコマンドライン モードで Smart Update を使用して、パッチおよびパッチ情報を適用、削除、および表示できます。

パッチをダウンロードできるようにインターネットに接続されているマシンが少なくとも 1 台あれば、ダウンロードしたパッチを企業内のオフライン マシンで使用できます。

Smart Update クライアント

新バージョンの Smart Update が入手可能になると、接続マシンでは Smart Update に新バージョンが適用されます。

オフライン マシンについては、新バージョンを適用するための、更新された Smart Update インストーラを無料で入手できます。

パッチおよびパッチ カタログ

接続マシンでは、BEA ダウンロード サーバへの接続時に常に Smart Update がカタログを更新します。

オフライン マシンでは、パッチをコピーする際に、更新済みのカタログを接続マシンから手動で取り込む必要があります。

パッチを取得および適用するには、次の手順に従います。

メンテナンス パック

接続マシンの場合は、メンテナンス パックをダウンロードおよびインストールできます。

オフライン マシンの場合は、BEA カスタマ サポートからアップグレード インストーラを入手する必要があります。

オフライン マシンのサポートについては、「BEA カスタマ サポートに直接接続できないマシンのメンテナンス」を参照してください。

メンテナンス ロールバック作業の簡略化

Smart Update では、適用済みのパッチまたはパッチ セットを簡単に削除し、以前のメンテナンス レベルを正確で安全に復元できます。

特定のアプリケーション、ドメイン、またはサーバに対するパッチの適用

複雑なプロダクション環境をサポートするために、Smart Update では、インストール全体に対して自動的に有効とならないパッチを、個別のドメインまたはサーバの範囲に限定して適用できます。たとえば、WebLogic システム クラスパス用のパッチを単一のテスト ドメインだけで使用してみることができます。1 つの BEA ホーム ディレクトリに複数の製品がインストールされており、そのうち特定の製品だけに基づいてドメインが動作する場合は、この機能を使用することをお勧めします。

たとえば、AquaLogic Service Bus に基づいて動作するドメインがある場合、AquaLogic Service Bus クラスパスのパッチはすべて当該ドメインに限定して適用します。そうすれば、AquaLogic Service Bus を使用しない他のドメインに属するサーバに対するクラスパスの中に AquaLogic Service Bus のクラスが混入するのを防止できます。

また、1 つのドメインのすべてのアプリケーションではなく、選択したアプリケーションのみにパッチを適用することもできます。

メンテナンス パック更新のインストールに関する機能

Smart Update には、メンテナンス パック更新を参照およびインストールするための便利なツールが用意されています。

使いやすいグラフィカル インタフェース

[メンテナンス パック更新] コンポーネントを表示するには、[Smart Update] メイン ウィンドウから [メンテナンス パック更新] を選択します。メンテナンス パック更新ウィンドウの詳細については、「使用可能なメンテナンス パックの表示」を参照してください。

使用可能なメンテナンス パックの一覧表示

インターネットに接続できるマシンで Smart Update の [メンテナンス パック更新] コンポーネントを使用すると、現在使用できるメンテナンス パックの一覧が自動的に表示されます。

注意 : この一覧は、BEA カスタマ サポートにログインしていなくても表示できますが、メンテナンス パックをインストールするにはログインする必要があります。

ダウングレード機能

以前のメンテナンス パックへ製品インストールをダウングレードまたは戻すことができます。Smart Update は、現在の製品バージョンに対するすでに発行したメンテナンス パックの名前を表示します。

BEA カスタマ サポートから提供されるリソース

BEA カスタマ サポートでは、次のポリシーに従って、公開パッチ、プライベート パッチ、メンテナンス パック更新を提供します。

BEA アカウントの作成、BEA ログイン ID およびパスワードの取得、および BEA ログイン ID とサポート契約とのリンクの詳細については、「BEA アカウントの取得と契約資格へのアクセス」を参照してください。

メンテナンス パッチの適用の概要

Smart Update では、対象となる製品インストール用のメンテナンス パッチを簡単に参照およびインストールできます。また、BEA カスタマ サポートから入手できるパッチと、すでにダウンロードおよび適用されているパッチの両方が一覧表示されるため、Smart Update はパッチの整理にも役立ちます。

Smart Update のメイン ウィンドウでは、[パッチの取得] および [パッチの管理] の 2 つのタブにパッチの一覧が表示されます。

図 1-1 に、対象インストール用のパッチをダウンロードして適用するために必要な手順を示します。

図 1-1 メンテナンス パッチの適用

メンテナンス パッチの適用

Smart Update を使用してメンテナンス パッチを適用する方法の詳細については、「パッチのダウンロードおよび適用」を参照してください。

分散したマシンに対するメンテナンス

分散配置した多数のマシンに対するメンテナンスを、厳格な管理のもとで、信頼性と再現性を確保しつつ実施する必要がある場合には、Smart Update のコマンドライン インタフェースが非常に役立ちます。たとえば、次のようなビジネス環境での運用が考えられます。

Smart Update のコマンドライン インタフェースを使用して特定のパッチを複数のマシンに適用する手順の例を次に示します。

  1. 1 台のマシンで Smart Update のグラフィカル インタフェースを使用して BEA カスタマ サポートにログインし、必要なパッチをダウンロードします。
  2. パッチ適用先となるすべてのマシンからアクセス可能な場所にパッチおよび更新されたパッチ カタログをコピーします。
  3. 目的のパッチを適用するための Smart Update コマンドを記述したシェル スクリプトを作成します。
  4. 製品がインストールされている各マシン上で、スクリプトを実行します。
注意 : BEA カスタマ サポートからメンテナンス更新をダウンロードするマシンは、更新先の分散した対象インストールと同じ対象インストールを選択しておく必要があります。

1 つのプロダクション環境内にある複数の製品のインストールにメンテナンスを配布する場合の例については、「メンテナンス更新の配布に関するベスト プラクティス」を参照してください。

BEA カスタマ サポートに直接接続できないマシンのメンテナンス

状況によっては、特定のマシンから BEA カスタマ サポートに直接の接続を確立することが不可能または望ましくないことがあります。たとえば、次のような場合が考えられます。

Smart Update では、このようなマシンにメンテナンス更新を提供するさまざまな方法をサポートできます。パッチを入手する 1 つの手段として、Smart Update では BEA カスタマ サポートに簡単に接続できるようになっていますが、別の手段でパッチを入手しても問題はありません。リモート マウントしたディスクやリムーバブル メディアなどの代替ソースからパッチを取得することもできます。この柔軟性を利用すれば、実際の組織内における IT の運用方法に Smart Update を適合させることができ、製品インストールのメンテナンス作業を、管理された方法で、信頼性と再現性を確保しつつ実施するプロセスを確立できます。

BEA カスタマ サポートにログインできるマシンが使用環境内に 1 台でもある場合は、Smart Update でサポートされているすべての製品のインストールに対してパッチを取得および配布できます。ただし、パッチのダウンロードに使用するマシンには要求される前提条件が 1 つあります。すなわち、ダウンロードに使用するマシン上では、更新ファイルの配布先となるマシン上の対象インストールと同等の対象インストールを選択できる必要があります。

このマシン上の製品は、ダウンロード時にパッチの予備的な衝突検証を実行するために、ダウンロード場所で、定義されるメンテナンス状態を最新の状態に維持する場合などを除き、デプロイ、コンフィグレーション、または実行されている必要もありません。

このマシン上の Smart Update は、任意のネットワーク ドライブやディレクトリにパッチをダウンロードするようにコンフィグレーションできます。デフォルト ディレクトリのダウンロード場所は、BEA_HOME\utils\bsu\cache_dir\ です。

パッチのダウンロードの詳細については、以下を参照してください。

オフライン マシンでのパッチの適用について

オフライン マシンで GUI を使用するには、ログイン ダイアログで [オフライン] をクリックします。

新バージョンの Smart Update に対する手動によるパッチの適用

接続マシンでは、接続時に新しいバージョンが使用可能な場合、Smart Update 自体にパッチが適用され、再起動します。「Smart Update によるパッチおよびメンテナンス パック管理の簡略化」を参照してください。

Smart Update インストールのバージョン番号を表示するには、GUI から [Help|About] を選択するか、コマンドラインの [-version] オプションを使用します。Smart Update v3.x 以降を使用している場合は、接続マシンのバージョンとオフライン マシンのバージョンを比較して、オフライン マシンを手動で更新し、Smart Update の最新バージョンを一致させることができます。

互換性のないバージョンの Smart Update を使用してパッチを適用すると、エラーが発生します。これらのエラーでは、通常、エラーの原因が Smart Update のバージョンの不一致であることは明示されません。このような場合は、BEA カスタマ サポートでは、バージョンの不一致を確認し、スタンドアロンの Smart Update インストーラを提供できます。バージョンの不一致は、ログ ファイルで確認できます。-log オプションについては、「bsu コマンドについて」を参照してください。

BEA サポートから提供されるスタンドアロン インストーラは、Smart Update の自動パッチ イベントから 24 時間以内に更新されます。このインストーラは、空の BEA_HOME、またはインストール済みの製品を格納している既存の BEA_HOME のいずれにもインストールできます。既存の BEA_HOME にインストールした場合、インストーラは必要なディレクトリを作成し、既存バージョンの Smart Update に取って代わります。

スタンドアロン インストーラは、既存の cache_dir ディレクトリの内容には作用しないため、以前にダウンロードまたは適用したパッチには一切影響を及ぼしません。また、既存の patch-catalog.xml も更新しません。

接続マシンで使用されている最新バージョンと Smart Update を一致させる

必要なすべてのファイルの最新バージョンを確保するには、patch-catalog.xml を含め、ダウンロード ディレクトリにあるすべてのパッチと patch-*.xml ファイルを接続マシンからオフライン マシンにコピーします。

デフォルトのパッチ ダウンロード ディレクトリは、BEA_HOME\utils\bsu\cache_dir です。これは [環境設定] メニューから、またはコマンドライン モードで -patch_download_dir パラメータを使用して変更できます。

エンコーディングされたパッチ カタログ patch-catalog.xml には、パッチとパッチ依存関係およびパッチの衝突に関するメタデータが含まれます。patch-ja.xml などのローカライズされたパッチ カタログ ファイルには、情報が特定の言語 (ここでは日本語) で含まれます。

完全なオフライン環境では、BEA テクニカル サポートにご連絡の上、パッチおよびパッチ カタログの最新コピーを入手してください。

図 1-2 に、BEA カスタマ サポートに直接接続できないマシンにメンテナンス更新を提供する場合の例を示します。

図 1-2 BEA カスタマ サポートに接続できないマシンへのパッチ適用の例

BEA カスタマ サポートに接続できないマシンへのパッチ適用の例

詳細については、「BEA カスタマ サポートに接続できないシステムへのメンテナンス パッチの提供」を参照してください。

メンテナンス パック更新のインストールの概要

Smart Update には、インストールされている製品のメンテナンス パックが提供された場合にメンテナンス パックをダウンロードおよびインストールするための [メンテナンス パック更新] というコンポーネントがあります。[メンテナンス パック更新] コンポーネントを使用してメンテナンス パックをインストールすると、現在インストールされているコンポーネントに必要なコードおよびメディア アーカイブだけが BEA カスタマ サポートから取得されます。カスタマイズされた取得処理によってアーカイブのサイズが最適化されるため、ダウンロード プロセスの効率が向上します。

オフライン マシンの場合は、BEA カスタマ サポートからアップグレード インストーラを入手する必要があります。

メンテナンス パックのインストール時には、現在のインストールのバックアップが Smart Update によって作成されます。メンテナンス パック更新をロールバックする必要が生じた場合は、このバックアップを使用してシステムの状態を復元できます。

図 1-3 に、メンテナンス パック更新をインストールするために必要な手順の概要を示します。

図 1-3 メンテナンス パックのインストール

メンテナンス パックのインストール

Smart Update を使用してメンテナンス パックをダウンロードおよびインストールする方法の詳細については、「メンテナンス パックのダウンロードとインストール」を参照してください。


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