このセクションでは、Oracle Application Expressとそのアーキテクチャ、およびこの製品を使用する環境について説明します。 また、Application Expressの説明に使用される概念や用語についても説明します。
内容は次のとおりです。
Oracle Application Expressは、Oracleデータベースのための高速Webアプリケーション開発ツールです。プログラミングの経験が少なくても、Webブラウザを使用するだけで、高速でセキュアなプロフェッショナル・レベルのアプリケーションを開発できます。 Oracle Application Expressを使用すると、ユーザー・インタフェースのテーマ、ナビゲーション・コントロール、フォーム・ハンドラ、自由度が高いレポートなどの組込み機能を使用して、アプリケーション開発プロセスを短縮できます。
エンド・ユーザーにとっては、デプロイされたアプリケーションで必要となるのは、Application Expressを実行するOracleデータベースへのアクセス権とブラウザのみです。
注意: このマニュアルでは、Application Expressの一部の機能についてのみ説明します。すべての機能については、『Oracle Database Application Expressユーザーズ・ガイド』を参照してください。 |
Oracle Application Expressは、Oracle Databaseを使用してインストールされ、表内のデータとPL/SQLコードで構成されます。
Oracle Application Express開発環境を実行する場合でも、Oracle Application Expressを使用して作成したアプリケーションを実行する場合でも、その処理は変わりません。ブラウザからURLリクエストを送信すると、そのリクエストは適切なOracle Application Express PL/SQLコールに変換されます。PL/SQLがデータベースで処理された後、その結果はブラウザにHTML形式で戻されます。 このサイクルは、ユーザーがページをリクエストまたは送信するたびに発生します。
アプリケーションのセッション・ステートは、Application Expressのデータベース表で管理されます。専用のデータベース接続は使用されません。かわりに、新しいデータベース・セッションで各リクエストが作成され、消費するCPUリソースが最小限に抑えられます。
Oracle HTTP Server(Apache)と埋込みPL/SQLゲートウェイ
使用するOracle Databaseのバージョンによって、URLの変換方法は異なります。
Oracle Database 11.1より前のバージョンでは、Oracle HTTP Server(Apache)とmod_plsql
が必要です。 次の図は、そのアーキテクチャを示しています。
Oracle Database 11.1以上またはOracle Database 10g Express Editionの場合は、アーキテクチャからOracle HTTP Server(Apache)を削除して、埋込みPL/SQLゲートウェイで置き換えることができます。 次の図は、埋込みPL/SQLゲートウェイを使用したアーキテクチャを示しています。
埋込みPL/SQLゲートウェイでは、Oracle Databaseに対し、Webサーバーおよび動的アプリケーションの作成に必要なインフラストラクチャが提供されます。 Oracle Databaseでは、埋込みPL/SQLゲートウェイはXML DB HTTPサーバーで実行されます。このゲートウェイには、mod_plsql
のコア機能が含まれていますが、Apacheを装備したOracle HTTP Serverは必要ありません。 埋込みPL/SQLゲートウェイが含まれているため、アーキテクチャが簡略化され、中間層は不要となります。
Application Expressエンジンは、ページのレンダリングと処理を実行します。また、次のタスクも実行します。
セッション・ステート管理
認証サービス
認可サービス
ページ・フロー制御
検証処理
Oracle Application Expressでは、単一のOracle Databaseを共有ワークグループのデータベース・サービスに変更できます。このデータベース・サービスには、複数のユーザーがWebブラウザを使用してアクセスでき、追加のソフトウェアをインストールする必要もありません。
アプリケーションを開発する領域を作業領域といいます。 作業領域は、同じOracle Application Expressインストレーション内で複数のユーザーが作業できる仮想プライベート・データベースで、各ユーザーのオブジェクト、データおよびアプリケーションの機密性を保持します。
通常の開発環境で、開発者全員で共有する単一の作業領域を作成できます。ただし、特定の開発者またはプロジェクトに専用の作業領域を作成することもできます。 専用の作業領域を作成した場合、作業領域オブジェクトへのアクセスは、その作業領域に関連付けられているユーザーのみに制限されます。
次の図は、ユーザーと開発者、作業領域およびデータベース・スキーマ間の関係を示します。
作業領域を作成するときは、作業領域を新規または既存のスキーマに関連付けます。スキーマは、表、ビュー、ストアド・プロシージャなどのデータベース・オブジェクトの論理コンテナです。単一のスキーマは、1つ以上の作業領域と関連付けることができます。
大規模な組織でApplication Expressユーザーを設定するときは、特定のユーザーにロールと権限を付与します。Application Expressには、次のロールが含まれています。
作業領域管理者は、作業領域に固有の管理タスク(ユーザー・アカウントの管理、作業領域アクティビティの監視、ログ・ファイルの表示など)を実行するユーザーです。 このマニュアルでは、作業領域管理者として開発環境を設定します。
開発者は、アプリケーションを作成および編集するユーザーです。開発者は、専用の作業領域を使用したり、作業領域を共有することもできます。
エンド・ユーザーは、開発権限が付与されません。外部認証スキームを使用しないアプリケーションにアクセスできるように定義されます。
Oracle Application Express管理者は、Application Express管理サービス・アプリケーションを使用して、ホスティングされたインスタンス全体を管理するスーパーユーザーです。
次の図は、様々なロールが付与されている複数のユーザーがApplication Express開発環境、Application Express管理サービスおよび公開されたアプリケーションにアクセスする様子を示しています。
このマニュアルでは、通常、Application Express管理者、作業領域管理者および開発者という3つのロールに関連付けられた権限が必要になります。 次の図は、単一ユーザーがアクセスしているApplication Expressインスタンスを示します。
「アプリケーションの構築」では、架空の会社AnyCo Corpの単純な人事管理(HR)アプリケーションを作成します。このアプリケーションでは、作成した部門および従業員の表に格納されている部門および従業員の情報を管理します。 チュートリアルでは、アプリケーションの構築、変更およびプレビューの方法について説明します。