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Oracle Application Serverインストレーション・ガイド
10g (10.1.4.0.1) for Linux x86

B31484-02
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8 高可用性環境へのインストール: OracleAS Cold Failover Cluster

この章では、Oracle Application ServerをOracleAS Cold Failover Cluster構成にインストールする方法について説明します。

8.1 OracleAS Cold Failover Cluster: 概要

OracleAS Cold Failover Cluster構成では、アクティブおよびパッシブ・ノードがあり、いずれのノードでもアクセスできる共有記憶域があります。

正常動作時は、アクティブ・ノードでOracle Application Serverプロセスが実行され、クライアントからのリクエストが処理されます。アクティブ・ノードに障害が発生すると、フェイルオーバー・イベントが発生します。パッシブ・ノードが引き継ぎ、アクティブ・ノードになります。これによって、共有記憶域がマウントされ、プロセスが実行されます。

構成

OracleAS Cold Failover Clusterは、次の構成でインストールできます。

8.2 OracleAS Cold Failover Clusterのインストール前の手順

Oracle Application ServerをOracleAS Cold Failover Clusterにインストールする前に、次の手順を実行します。

8.2.1 仮想ホスト名と仮想IPアドレスのマップ

OracleAS Cold Failover Cluster構成内の各ノードは、独自の物理IPアドレスに関連付けられます。また、クラスタ内のアクティブ・ノードは、仮想ホスト名と仮想IPアドレスに関連付けられています。これによって、クライアントは仮想ホスト名を使用してOracleAS Cold Failover Clusterにアクセスできます。

仮想ホスト名と仮想IPアドレスは、ハードウェア・クラスタを含むサブネットのコンテキスト内で有効な任意のホスト名およびIPアドレスです。


注意:

仮想ホスト名と仮想IPアドレスは、アクティブ・ノードのみにマップします。仮想ホスト名とIPアドレスを同時にアクティブ・ノードとセカンダリ・ノードの両方にマップしないでください。フェイルオーバーしたときにのみ、アクティブ・ノードになったセカンダリ・ノードに仮想ホスト名とIPアドレスをマップします。 



注意:

この手順の実行を試みる前に、システム管理者またはネットワーク管理者に、すべての必要な手順の確認を依頼してください。この手順は、クラスタ・ノードのネットワーク設定を再構成するものであり、ネットワーク・インプリメンテーションによって異なる可能性があります。 


次の例では、vhost.mydomain.comという仮想ホスト名を138.1.12.191の仮想IPを使用して構成します。

  1. 仮想ホスト名と仮想IPアドレスを、ネットワークのDNSに登録します。

    たとえば、vhost.mydomain.com/138.1.12.191の組合せをDNSに登録します。

  2. プライマリ・パブリック・ネットワーク・インタフェースを確認します。

    通常、Ethernetカプセル化のプライマリ・パブリック・ネットワーク・インタフェースはeth0です。次のコマンドを使用して、そのノードで物理IPアドレスのinet addrの値を持つネットワーク・インターフェースを検索します。

    /sbin/ifconfig
    
    
  3. プライマリ・パブリック・ネットワーク・インタフェースに使用できる索引番号を見つけます。

    たとえば、/sbin/ifconfigコマンドの出力が次のようになり、手順2でeth0がプライマリ・パブリック・インタフェースだと確認された場合、追加のIPアドレスにはeth0:1が使用できます。

    eth0     Link encap:Ethernet  HWaddr 00:B0:D0:68:B4:3D
             inet addr:130.35.137.46  Bcast:130.35.139.255 Mask:255.255.252.0
             UP BROADCAST RUNNING MULTICAST  MTU:1500  Metric:1
             RX packets:608598569 errors:8 dropped:0 overruns:0 frame:8
             TX packets:578257570 errors:111 dropped:0 overruns:0 carrier:111 
             collisions:0 txqueuelen:100
             RX bytes:2407934851 (2296.3 Mb)  TX bytes:3386476912 (3229.5 Mb)
             Interrupt:26 Base address:0xe0c0 Memory:fbefc000-fbefc038
    
    eth1      Link encap:Ethernet  HWaddr 00:02:B3:28:80:8C 
              inet addr:10.0.0.1  Bcast:10.255.255.255  Mask:255.0.0.0
              UP BROADCAST RUNNING MULTICAST  MTU:1500  Metric:1
              RX packets:781415 errors:0 dropped:0 overruns:0 frame:0
              TX packets:725511 errors:0 dropped:0 overruns:0 carrier:0
              collisions:0 txqueuelen:100
              RX bytes:280473135 (267.4 Mb)  TX bytes:254651952 (242.8 Mb)
              Interrupt:23 Base address:0xccc0 Memory:fabff000-fabff038
    
    lo       Link encap:Local Loopback
             inet addr:127.0.0.1 Mask:255.0.0.0
             UP LOOPBACK RUNNING  MTU:16436  Metric:1
             RX packets:114185902 errors:0 dropped:0 overruns:0 frame:0
             TX packets:114185902 errors:0 dropped:0 overruns:0 carrier:0
             collisions:0 txqueuelen:0
             RX bytes:2307872746 (2200.9 Mb)  TX bytes:2307872746 (2200.9 Mb)
    
    
  4. 手順3の使用可能な索引番号を使用してrootユーザーとして次のコマンドを実行し、仮想IPアドレスをプライマリ・パブリック・ネットワーク・インタフェースに追加します。

    /sbin/ifconfig <primary_public_interface>:<available_index> <virtual_ip_address> 
    netmask <netmask_value> up
    
    

    たとえば、eth0:1が使用可能な場合は次のコマンドを入力します。

    /sbin/ifconfig eth0:1 138.1.12.191 up
    
    
  5. 仮想IPアドレスが正しく構成されたことを確認します。

    1. 手順2に示した手順を使用して、手順4で新しく作成されたprimary_public_interface:available_indexエントリを確認します。

    2. 別のノードから仮想ホスト名と仮想IPアドレスを使用して、ノードへの接続を試みます。たとえば、別のノードから次の両方のコマンドを入力すると、この手順で構成したノードにログイン画面が表示されます。

      telnet hostname.domain
      telnet ip_address
      
      

      たとえば、次のように入力します。

      telnet vhost.mydomain.com
      telnet 138.1.12.191
      
      
フェイルオーバー

アクティブ・ノードに障害が発生すると、セカンダリ・ノードが引き継ぎます。障害が発生したノードからセカンダリ・ノードへ仮想IPをマップするクラスタウェア・エージェントがない場合は、手動で行う必要がります。次の手順を実行して、障害が発生したノードから仮想IPマッピングを削除し、セカンダリ・ノードにマップする必要があります。

  1. 障害が発生したノードで、rootユーザーとして、次のコマンドを実行して仮想IPアドレスを削除します。

    /sbin/ifconfig configured_interface down
    
    

    たとえば、eth0:1に仮想IPアドレスが構成されている場合は次のコマンドを入力します。

    /sbin/ifconfig eth0:1 down
    
    


    注意:

    前の手順の手順2のコマンドを使用して、仮想IPアドレスが削除されたことを確認します。 


  2. パッシブ・ノードで、仮想IPアドレスを追加します。

    パッシブ・ノード上で、前の手順の手順2から5に従って、パッシブ・ノードで仮想IPアドレスを追加および確認します。

8.2.2 両方のノードからマウント可能なファイル・システムの設定

ハードウェア・クラスタには共有記憶域がありますが、OracleAS Cold Failover Clusterの両方のノードがこのファイル・システムをマウントできるようにこの共有記憶域にファイル・システムを作成する必要があります。次のディレクトリでは、このファイル・システムを使用します。

ディスク領域の要件については、2.2項「システム要件」を参照してください。

クラスタ上でボリューム・マネージャを実行して共有記憶域を管理する場合のボリュームを作成する手順については、ボリューム・マネージャのドキュメントを参照してください。ボリュームを作成すると、そのボリューム上にファイル・システムを作成できます。

ボリューム・マネージャがない場合は、共有ディスク上に直接ファイル・システムを作成できます。ハードウェアのベンダーがこの機能をサポートしていること、OracleAS Cold Failover Clusterのいずれかのノードからファイル・システムがマウントできること、およびノードに障害が発生した場合にいずれかのノードからファイル・システムが修復できることを確認します。

ファイル・システムをいずれかのノードからマウントできることを確認するには、次の手順を行います。

  1. ノード1からファイル・システムを設定して、マウントします。

  2. ノード1からファイル・システムをアンマウントします。

  3. 手順1で使用したマウント・ポイントと同じものを使用してノード2からファイル・システムをマウントします。

  4. ノード1からインストーラを実行するため、ノード2からアンマウントし、ノード1にマウントします。


    注意:

    どの時点でも、OracleAS Cold Failover Clusterのノードのうち1つのみでファイル・システムをマウントする必要があります。クラスタのすべてのノードのファイル・システム構成ファイルには、ノードの再起動時またはグローバル・マウント・コマンドの実行時にファイル・システムの自動マウントを行うエントリを含めないでください。たとえば、UNIXプラットフォームでは、/etc/fstabファイルにこのファイル・システムのエントリを含めないでください。 


8.2.3 自動ストレージ管理(ASM)の推奨事項

OracleAS Metadata RepositoryデータベースにASMインスタンスを使用する場合は、次の推奨事項を考慮します。

8.2.4 クラスタウェアの実行の確認(自動化されたフェイルオーバーのみ)

OracleAS Cold Failover Clusterでフェイルオーバーを自動化することを予定している場合は、クラスタ内の各ノードがハードウェア・ベンダのクラスタウェアを実行している必要があります。

クラスタウェアが実行されているかどうかを確認するには、ご使用のクラスタウェアに応じたコマンドを使用します。

8.2.5 既存のデータベースのlistener.oraファイルの変更

OracleAS Metadata Repositoryが含まれるインストールをインストールおよび実行中のシステムに既存のデータベースが存在する場合は、インストールを続行する前に既存のデータベースのlistener.oraファイルを変更する必要があります。listener.oraファイルを変更するには、次の手順を実行します。

  1. 既存のデータベースにORACLE_HOMEおよびORACLE_SID環境変数が設定されていることを確認します。

  2. データベースのリスナーを停止します。

    prompt> lsnrctl stop
    
    
  3. 次の場所にあるlistener.oraファイルを開きます。

    ORACLE_HOME/network/admin/listener.ora
    
    

    ORACLE_HOMEは、既存のデータベースのホームです。

  4. ファイルでLISTENERエントリを検索します。

    LISTENER =
      (DESCRIPTION_LIST =
        (DESCRIPTION =
          (ADDRESS_LIST =
            (ADDRESS = (PROTOCOL = TCP)(HOST = db_hostname)(PORT = db_port))
          )
    ...
    
    

    この例では、db_hostnameは既存のデータベースの完全修飾されたホスト名で、db_portは既存のデータベースのポートです。

  5. ADDRESSエントリを、新しいOracle Application ServerインスタンスのADDRESS_LISTエントリに追加します。

    LISTENER =
      (DESCRIPTION_LIST =
        (DESCRIPTION =
          (ADDRESS_LIST =
            (ADDRESS = (PROTOCOL = TCP)(HOST = db_hostname)(PORT = db_port))
            (ADDRESS = (PROTOCOL = TCP)(HOST = new_hostname)(PORT = new_port))
          )
    ...
    
    

    この例では、new_hostnameは新しいOracle Application Serverインスタンスの完全修飾されたホスト名で、new_portは新しいOracle Application Serverインスタンスのポートです。データベース・リスナーが競合していないことを確認する方法については、2.6.4.1項「ポート1521が既存のOracleデータベースで使用されている場合」を参照してください。

  6. 既存のデータベースのリスナーを起動します。

    prompt> lsnrctl start
    
    

8.3 OracleAS Cold Failover Cluster(Infrastructure)構成のインストール

図8-1に、OracleAS Cold Failover Cluster(Infrastructure)構成を示します。

図8-1    OracleAS Cold Failover Cluster(Infrastructure)構成


画像の説明

この図では、次のことが示されています。

正常動作時には、1つのノード(ノード1)がアクティブ・ノードとして機能します。このノードは、共有記憶域をマウントしてOracleAS Infrastructureファイルにアクセスし、OracleAS Infrastructureプロセスを実行して、すべてのリクエストを処理します。

なんらかの理由でアクティブ・ノードが停止すると、クラスタウェアはOracleAS Infrastructureプロセスを他のノード(ノード2)にフェイルオーバーし、このノードがアクティブ・ノードになります。このノードは、共有記憶域をマウントしてプロセスを実行し、すべてのリクエストを処理します。

これらのノードは、仮想アドレスを使用することによって、クライアントからは1つのコンピュータとして認識されます。中間層コンポーネント、アプリケーションなどのクライアントは、OracleAS Infrastructureにアクセスするために、クラスタに関連付けられた仮想アドレスを使用します。仮想アドレスは、アクティブ・ノード(正常動作時にはノード1、ノード1が停止した場合はノード2)に関連付けられます。どちらのノード(ノード1またはノード2)がリクエストを処理しているかをクライアントが認識する必要はありません。

インフラストラクチャにアクセスするURLに仮想ホスト名を使用します。たとえば、vhost.mydomain.comが仮想ホスト名である場合は、Oracle HTTP ServerおよびApplication Server ControlのURLは次のようになります。

次のもののURL  URLの例 

Oracle HTTP Server、「ようこそ」ページ 

http://vhost.mydomain.com:7777 

Oracle HTTP Server、セキュア・モード 

https://vhost.mydomain.com:4443 

Application Server Control 

http://vhost.mydomain.com:1156 

Oracle Application Server 中間層

他のノード(OracleAS Infrastructureを実行していないノード)に中間層をインストールして実行できます。インストール時に、共有記憶デバイスにインストールしたOracleAS Infrastructureからのサービスを使用するように中間層を設定します。

また、中間層のOracleAS Cold Failover Cluster構成を使用せずに、クラスタ・ノードに中間層をインストールして実行することもできます。この場合、通常のインストール手順を使用して中間層をインストールします。これを行う場合、フェイルオーバーの発生時に中間層のポートがOracleAS Infrastructureのポートと競合しないことを確認します。

8.3.1 OracleAS Cold Failover Cluster(Infrastructure): インストール手順の概要

OracleAS Cold Failover Cluster(Infrastructure)構成を設定するには、次の手順を実行します。

表8-1    OracleAS Cold Failover Cluster(Infrastructure)のインストール手順の概要 
  手順  説明 

1. 

インストール前の手順の実行 

インストール前の作業の詳細は、8.2項を参照してください。内容は次のとおりです。

 

2. 

OracleAS Infrastructureのインストール 

共有記憶域にOracleAS Infrastructureをインストールします。 

3. 

インストール後の手順の実行 

このインストール後の手順ではCSSデーモンを構成します。この手順は、OracleデータベースのASM(自動ストレージ管理)機能を使用していて、既存のOracleデータベースがない場合にのみ必要です。 

8.3.2 OracleAS Cold Failover Cluster(Infrastructure): インストール手順の詳細

この項では、OracleAS InfrastructureをOracleAS Cold Failover Cluster(Infrastructure)構成でインストールするための手順を示します。

手順1    インストール前の手順の実行

8.2項「OracleAS Cold Failover Clusterのインストール前の手順」に示すインストール前の手順を実行します。

手順2    OracleAS Infrastructureのインストール

OracleAS Cold Failover Cluster(Infrastructure)では、「インストール・タイプの選択」画面で「Identity Management and Metadata Repository」を選択して、OracleAS Metadata RepositoryとOracle Identity Managementの両方を同じOracleホームにインストールします。このオプションにより、OracleAS Metadata Repository用の新規のデータベースと新規のOracle Internet Directoryが作成されます。

OracleAS Infrastructureのインストールを計画しているシステムに既存のOracle Application Server 10g データベースが存在する場合は、インストール前に8.2.5項「既存のデータベースのlistener.oraファイルの変更」の手順を実行する必要があることに注意してください。

注意:

インストーラの画面

インストーラを実行し、表8-2に示す一連の画面に従います。

表8-2    OracleAS Cold Failover Cluster(Infrastructure)へのOracleAS Infrastructureのインストール 
  画面  操作 

1. 

-- 

インストーラを起動して、最初のいくつかの画面で情報を入力します。詳細は、4.27項「インストールの一部: インストールの最初のいくつかの画面」を参照してください。

注意:

  • 「インストール・タイプの選択」画面で、「Identity Management and Metadata Repository」を選択します。

 

2. 

構成オプションの選択 

Oracle Internet Directory」を選択します。

Oracle Application Server Single Sign-On」を選択します。

「OracleAS Delegated Administration Service」を選択します。

Oracle Directory Integration Platform」を選択します。

認証局が必要な場合は、「Oracle Application Server Certificate Authority (OCA)」を選択します。

高可用性およびレプリケーション」を選択します。

次へ」をクリックします。 

3. 

ポート構成オプションの指定 

コンポーネントにデフォルトのポートを使用する場合は、「自動」を選択します。

staticports.iniファイルをすでに作成していて、デフォルトのポートを使用しない場合は、「手動」を選択し、指定されたフィールドでstaticports.iniファイルへのフルパスを入力します。

次へ」をクリックします。 

4. 

高可用性またはレプリケーション・オプションの選択 

仮想ホスト」を選択し、「次へ」をクリックします。 

5. 

Internet Directoryのネームスペースの指定 

推奨されるネームスペースを選択するか、またはデフォルトのOracle Identity Managementレルムの場所のカスタム・ネームスペースを入力します。

推奨されるネームスペース:」に表示された値が配置要件を満たしていることを確認します。要件を満たさない場合は、「カスタム・ネームスペース:」に必要な値を入力します。詳細は、4.16項「「Internet Directoryのネームスペースの指定」画面での入力」を参照してください。

次へ」をクリックします。 

6. 

仮想ホストの指定 

注意: これは、インフラストラクチャをOracleAS Cold Failover Clusterにインストールするときに重要な画面です。この画面が表示されない場合は、次の項目を確認してください。

  • 「高可用性またはレプリケーション・オプションの選択」画面に戻り、「仮想ホスト」を選択していることを確認します。

  • 「構成オプションの選択」画面に戻り、「高可用性およびレプリケーション」を選択していることを確認します。

仮想ホスト名: OracleAS Cold Failover Cluster構成の仮想ホスト名を入力します。

例: vhost.mydomain.com

次へ」をクリックします。 

7. 

OCAの画面 

「構成オプションの選択」画面で「Oracle Application Server Certificate Authority (OCA)」を選択した場合は、OCAを構成するための画面が表示されます。詳細は、4.30項「インストールの一部: OCAの画面」を参照してください。 

8. 

データベース構成オプションの指定 

グローバル・データベース名: OracleAS Metadata Repositoryデータベースの名前を入力します。ドメイン名をデータベース名に追加します。グローバル・データベース名でのこのドメイン名は、ご使用のネットワーク・ドメイン名とは異なる名前にすることができます。

グローバル・データベース名のドメイン名の部分には、次のネーミング制限があります。

  • 英数字、アンダースコア(_)、マイナス(-)およびシャープ(#)文字のみを使用できます。

  • 最大128文字です。

グローバル・データベース名のデータベース名の部分には、次のネーミング制限があります。

  • 英数字のみを使用できます。

  • 最大8文字です。

  • PORTまたはHOSTを大文字で使用することはできません。「host」または「port」を含む名前にする場合は、小文字を使用します。

例: orcl.mydomain.com

注意: 2つ以上のピリオドを一緒に入力しないでください(例: orcl.mydomain.com)。これに関してインストーラはチェックを行わないので、後で、これがインストール・プロセス中のエラーの原因になります。

SID: OracleAS Metadata Repositoryデータベースのシステム識別子を入力します。通常、これはグローバル・データベース名と同じですが、ドメイン名は含まれません。SIDは、すべてのデータベースで一意である必要があります。

SIDには、次のネーミング制限があります。

  • 英数字のみを使用できます。

  • 最大8文字です。

  • PORTまたはHOSTを大文字で使用することはできません。「host」または「port」を含む名前にする場合は、小文字を使用します。

例: orcl

データベース・キャラクタ・セット: 使用するキャラクタ・セットを選択します。4.15項「NE8ISO8859P10およびCEL8ISO8859P14キャラクタ・セットのサポート」も参照してください。

データベース・ファイルの場所: データ・ファイル・ディレクトリの親ディレクトリへのフルパスを入力します。この親ディレクトリはすでに存在している必要があり、このディレクトリへの書込み権限を所有している必要があります。

インストーラによって、この親ディレクトリにサブディレクトリが作成されます。サブディレクトリはSIDと同じ名前になります。データ・ファイルは、このサブディレクトリに配置されます。

たとえば、/u02/oradataと入力し、SIDがorclである場合、データ・ファイルは/u02/oradata/orclに配置されます。

次へ」をクリックします。 

9. 

データベース・スキーマのパスワードの指定 

権限付きデータベース・スキーマ(SYS、SYSTEM、SYSMANおよびDBSNMP)のパスワードを設定します。各スキーマに対して異なるパスワードを設定することも、すべてのスキーマに同じパスワードを設定することもできます。

これらのアカウントのパスワードの設定規則については、4.14項「SYS、SYSTEM、SYSMANおよびDBSNMPユーザー用のパスワードの制限」を参照してください。

次へ」をクリックします。 

10. 

インスタンス名とias_adminパスワードの指定 

インスタンス名: このインフラストラクチャ・インスタンスの名前を入力します。インスタンス名には、英数字および_(アンダースコア)文字を使用できます。1つのコンピュータに複数のOracle Application Serverインスタンスがある場合は、インスタンス名は一意である必要があります。インスタンス名の詳細は、3.5項「Oracle Application Server インスタンスとインスタンス名」を参照してください。

例: infra

ias_adminパスワード」および「パスワードの確認」: ias_adminユーザーのパスワードを入力して、確認します。これはこのインフラストラクチャ・インスタンスの管理ユーザーです。

パスワードの要件については、3.6項「ias_adminユーザーとそのパスワードの制限」を参照してください。

例: welcome99

次へ」をクリックします。 

11. 

-- 

インストールを終了します。詳細は、4.28項「インストールの一部: インストールの最後のいくつかの画面」を参照してください。 

手順3    インストール後の手順の実行

この手順は、次の両方の要件を満たしている場合にのみ必要です。

これらの要件を満たしている場合は、他のノードでCluster Synchronization Services(CSS)デーモンを構成する必要があります。CSSデーモンによって、ASMインスタンスと、データベース・ファイル記憶域にASMインスタンスを使用するデータベース・インスタンスが同期化されます。

CSSデーモンを構成するには、次の手順を実行します。

  1. OracleAS Cold Failover Cluster(Infrastructure)ホームのすべてのプロセスを停止します。

  2. CSSデーモンを停止します。これを行うには、rootとして次のコマンドを実行します。

    # /etc/init.d/init.cssd stop
    
    
  3. IPおよびディスクを他のノードにフェイルオーバーします。

  4. 他のノードで、rootとして次のコマンドを実行します。

    # $ORACLE_HOME/root.sh
    
    

    ORACLE_HOMEは、OracleAS Cold Failover Cluster(Infrastructure)をインストールした場所です。

8.4 分散OracleAS Cold Failover Cluster(Infrastructure)構成のインストール

図8-2に、分散OracleAS Cold Failover Cluster(Infrastructure)構成を示します。

この構成は、OracleAS Single Sign-OnおよびOracle Delegated Administration Servicesコンポーネントをアクティブ-アクティブ構成で別のノードに個別にインストールすること以外、8.3項「OracleAS Cold Failover Cluster(Infrastructure)構成のインストール」に示す構成と同様です。

図8-2    分散OracleAS Cold Failover Cluster(Infrastructure)構成


画像の説明

分散OracleAS Cold Failover Cluster(Infrastructure)構成では、OracleAS Metadata Repository、Oracle Internet DirectoryおよびOracle Directory Integration Platformをアクティブ-パッシブ構成で実行します。

ただし、OracleAS Single Sign-OnおよびOracle Delegated Administration Servicesコンポーネントは、アクティブ-アクティブ構成で実行します。これらのコンポーネントを実行しているノードにリクエストを送るためのロード・バランサがあります。

8.4.1 分散OracleAS Cold Failover Cluster(Infrastructure): インストール手順の概要

分散OracleAS Cold Failover Cluster(Infrastructure)構成を設定するには、次の手順を実行します。

表8-3    分散OracleAS Cold Failover Cluster(Infrastructure)のインストール手順の概要 
  手順  説明 

1. 

インストール前の手順の実行 

インストール前の作業の詳細は、8.2項を参照してください。内容は次のとおりです。

 

2. 

OracleAS Infrastructureのインストール 

この手順では、共有記憶域にOracleAS Infrastructureをインストールします。OracleAS Single Sign-On、Oracle Delegated Administration ServicesおよびOCA以外のすべてのコンポーネントをインストールします。 

3. 

インストール後の手順の実行 

このインストール後の手順ではCSSデーモンを構成します。この手順は、OracleデータベースのASM(自動ストレージ管理)機能を使用していて、既存のOracleデータベースがない場合にのみ必要です。 

4. 

OracleAS Single Sign-OnおよびOracle Delegated Administration Servicesのインストール 

この手順では、OracleAS Single Sign-OnおよびOracle Delegated Administration Servicesをインストールします。 

8.4.2 分散OracleAS Cold Failover Cluster(Infrastructure): インストール手順の詳細

手順1    インストール前の手順の実行

8.2項「OracleAS Cold Failover Clusterのインストール前の手順」に示すインストール前の手順を実行します。

手順2    OracleAS Infrastructureのインストール

分散OracleAS Cold Failover Cluster(Infrastructure)構成では、「インストール・タイプの選択」画面で「Identity Management and OracleAS Metadata Repository」を選択して、OracleAS Metadata RepositoryとOracle Identity Managementコンポーネントの両方(OracleAS Single Sign-On、Oracle Delegated Administration ServicesおよびOCAを除く)を同じOracleホームにインストールします。このオプションにより、OracleAS Metadata Repository用の新規のデータベースと新規のOracle Internet Directoryが作成されます。

手順は、「構成オプションの選択」画面で「OracleAS Single Sign-On」、「OracleAS Delegated Administration Service」および「OracleAS Certificate Authority (OCA)」を選択しないこと以外は、手順2「OracleAS Infrastructureのインストール」と同じです。

手順3    インストール後の手順の実行

この手順は、次の両方の要件を満たしている場合にのみ必要です。

これらの要件を満たしている場合は、他のノードでCSSデーモンを構成する必要があります。CSSデーモンによって、ASMインスタンスと、データベース・ファイル記憶域にASMインスタンスを使用するデータベース・インスタンスが同期化されます。

CSSデーモンを構成するには、次の手順を実行します。

  1. OracleAS Cold Failover Cluster(Infrastructure)ホームのすべてのプロセスを停止します。

  2. CSSデーモンを停止します。これを行うには、rootとして次のコマンドを実行します。

    # /etc/init.d/init.cssd stop
    
    
  3. IPおよびディスクを他のノードにフェイルオーバーします。

  4. 他のノードで、rootとして次のコマンドを実行します。

    # $ORACLE_HOME/root.sh
    
    

    ORACLE_HOMEは、OracleAS Cold Failover Cluster(Infrastructure)をインストールした場所です。

手順4    OracleAS Single Sign-OnおよびOracle Delegated Administration Servicesのインストール

OracleAS Single Sign-OnおよびOracle Delegated Administration Servicesを各ノードのローカル・ディスクにインストールします。これらのインストールは、個別に行います。

インストール前の手順

このインストールは、実際にはOracleAS Cluster(Identity Management)インストールです。このため、第9章「高可用性環境へのインストール: OracleAS Cluster(Identity Management)」に示すOracleAS Cluster(Identity Management)の設定手順を実行します。

インストール手順

手順は、9.6.5項「各ノードへのOracleAS Single Sign-OnおよびOracle Delegated Administration Servicesのインストール」に示すものと同じです。

8.5 OracleAS Cold Failover Cluster(Identity Management)構成のインストール

図8-3に、OracleAS Cold Failover Cluster(Identity Management)構成を示します。

この構成は、別の高可用性環境にOracleAS Metadata Repositoryデータベースがあり、Oracle Identity Managementコンポーネント用にアクティブ-パッシブ構成を使用する場合に適しています。OracleAS Metadata Repositoryデータベースが格納されている共有ディスクとは異なる共有ディスクにOracle Identity Managementコンポーネントをインストールします。

構成内容は次のとおりです。

正常動作時には、プライマリ・ノードであるノード1がアクティブ・ノードです。これは、両方の共有ディスクをマウントしてOracle Identity Managementおよびデータベース・ファイルにアクセスし、Oracle Identity Managementおよびデータベース・プロセスを実行して、すべてのリクエストを処理します。

なんらかの理由でノード1が停止すると、クラスタウェアはOracle Identity Managementおよびデータベース・プロセスをノード2にフェイルオーバーします。ノード2がアクティブ・ノードとなり、共有ディスクをマウントしてプロセスを実行し、すべてのリクエストを処理します。

OracleAS Cold Failover Cluster内のアクティブ・ノードにアクセスするには、中間層コンポーネント、アプリケーションなどのクライアントは、OracleAS Cold Failover Clusterに関連付けられた仮想ホスト名を使用します。仮想ホスト名は、アクティブ・ノード(正常動作時にはノード1、ノード1が停止した場合はノード2)に関連付けられます。どちらのノード(プライマリまたはセカンダリ)がリクエストを処理しているかを、クライアントが知る必要はありません。

インフラストラクチャにアクセスするURLに仮想ホスト名を使用することもできます。たとえば、vhost.mydomain.comが仮想ホストの名前である場合は、Oracle HTTP ServerおよびApplication Server ControlのURLは次のようになります。

次のもののURL  URLの例 

Oracle HTTP Server、「ようこそ」ページ 

http://vhost.mydomain.com:7777 

Oracle HTTP Server、セキュア・モード 

https://vhost.mydomain.com:4443 

Application Server Control 

http://vhost.mydomain.com:1156 

図8-3    OracleAS Cold Failover Cluster(Identity Management)構成


画像の説明

8.5.1 OracleAS Cold Failover Cluster(Identity Management): インストール手順の概要

Cold Failover ClusterデータベースにOracleAS Cold Failover Cluster(Identity Management)構成を作成するには、次の手順を実行します。

表8-4    OracleAS Cold Failover Cluster(Identity Management)構成のインストール手順の概要 
  手順  説明 

1. 

インストール前の手順の実行 

インストール前の作業の詳細は、8.2項を参照してください。内容は次のとおりです。

 

2. 

OracleAS Metadata Repositoryのインストール 

既存のCold Failover ClusterデータベースにOracleAS Metadata Repositoryをインストールします。 

3. 

Oracle Identity Managementコンポーネントのインストール 

Oracle Identity Managementコンポーネントをインストールします。 

8.5.2 OracleAS Cold Failover Cluster(Identity Management): インストール手順の詳細

次の手順を実行して、Oracle Application ServerをOracleAS Cold Failover Cluster(Identity Management)構成にインストールします。

手順1    インストール前の手順の実行

8.2項「OracleAS Cold Failover Clusterのインストール前の手順」に示すインストール前の手順を実行します。

手順2    OracleAS Metadata Repositoryのインストール

OracleAS RepCAを使用して、OracleAS Metadata Repositoryを既存のデータベースにインストールします。詳細は、Oracle Application Server Metadata Repository Creation Assistantのユーザーズ・ガイドを参照してください。

既存のデータベースがない場合は、インストーラを使用して作成できます。仮想ホスト名を使用してデータベースを作成する必要があることに注意してください。データベースは、アクティブ-パッシブ構成で(通常はハードウェア・クラスタ上で)実行する必要があります。詳細は、8.8項「OracleAS Cold Failover Cluster環境へのOracleAS Metadata Repositoryのみのインストール」を参照してください。

手順3    Oracle Identity Managementコンポーネントのインストール

Oracle Identity Managementは、他の共有ディスクにインストールします。表8-5に示すインストール手順に従います。

注意:

インストーラの画面

表8-5    Oracle Identity Managementコンポーネントのインストール 
  画面  操作 

1. 

-- 

インストーラを起動して、最初のいくつかの画面で情報を入力します。詳細は、4.27項「インストールの一部: インストールの最初のいくつかの画面」を参照してください。

注意:

「インストール・タイプの選択」画面で、「Oracle Identity Management」を選択します。 

2. 

構成オプションの選択 

Oracle Internet Directory」を選択します。

Oracle Application Server Single Sign-On」を選択します。

「Oracle Application Server Delegated Administration Services」を選択します。

Oracle Directory Integration Platform」を選択します。

認証局が必要な場合は、「Oracle Application Server Certificate Authority (OCA)」を選択します。

高可用性およびレプリケーション」を選択します。

次へ」をクリックします。 

3. 

ポート構成オプションの指定 

コンポーネントにデフォルトのポートを使用する場合は、「自動」を選択します。

staticports.iniファイルをすでに作成していて、デフォルトのポートを使用しない場合は、「手動」を選択し、指定されたフィールドでstaticports.iniファイルへのフルパスを入力します。

次へ」をクリックします。 

4. 

リポジトリの指定 

ユーザー名: OracleAS Metadata Repositoryデータベースにログインするために使用するユーザー名を入力します。ユーザーは、DBA権限を持っている必要があります。

パスワード: ユーザーのパスワードを入力します。

ホスト名とポート: データベースが稼働しているコンピュータの名前を入力し、そのコンピュータによってリスニングが行われているポートのポート番号を入力します。書式には、host:portを使用します。

サービス名: データベースのサービス名を入力します。サービス名には、データベースのドメイン名が含まれている必要があります。

例: orcl.mydomain.com

次へ」をクリックします。 

5. 

高可用性またはレプリケーション・オプションの選択 

仮想ホスト」を選択し、「次へ」をクリックします。 

6. 

Internet Directoryのネームスペースの指定 

推奨されるネームスペースを選択するか、またはデフォルトのOracle Identity Managementレルムの場所のカスタム・ネームスペースを入力します。

推奨されるネームスペース:」に表示された値が配置要件を満たしていることを確認します。要件を満たさない場合は、「カスタム・ネームスペース:」に必要な値を入力します。詳細は、4.16項「「Internet Directoryのネームスペースの指定」画面での入力」を参照してください。

次へ」をクリックします。 

7. 

仮想ホストの指定 

注意: これは、インフラストラクチャをOracleAS Cold Failover Clusterにインストールするときに重要な画面です。この画面が表示されない場合は、次の項目を確認してください。

  • 「高可用性またはレプリケーション・オプションの選択」画面に戻り、「仮想ホスト」を選択していることを確認します。

  • 「構成オプションの選択」画面に戻り、「高可用性およびレプリケーション」を選択していることを確認します。

仮想ホスト名: OracleAS Cold Failover Cluster構成の仮想ホスト名を入力します。

例: vhost.mydomain.com

次へ」をクリックします。 

8. 

OCAの画面 

「構成オプションの選択」画面で「Oracle Application Server Certificate Authority (OCA)」を選択した場合は、OCAを構成するための画面が表示されます。詳細は、4.30項「インストールの一部: OCAの画面」を参照してください。 

9. 

インスタンス名とias_adminパスワードの指定 

インスタンス名: インフラストラクチャ・インスタンスの名前を入力します。インスタンス名には、英数字および_(アンダースコア)文字を使用できます。1つのコンピュータに複数のOracle Application Serverインスタンスがある場合は、インスタンス名は一意である必要があります。インスタンス名の詳細は、3.5項「Oracle Application Server インスタンスとインスタンス名」を参照してください。

例: id_mgmt

ias_adminパスワード」および「パスワードの確認」: ias_adminユーザーのパスワードを設定します。これはインスタンスの管理ユーザーです。パスワードの制限については、3.6項「ias_adminユーザーとそのパスワードの制限」を参照してください。

例: welcome99

次へ」をクリックします。 

10. 

-- 

インストールを終了します。詳細は、4.28項「インストールの一部: インストールの最後のいくつかの画面」を参照してください。 

8.6 分散OracleAS Cold Failover Cluster(Identity Management)構成のインストール

この構成は、次のような場合に適しています。

図8-4に、分散OracleAS Cold Failover Cluster(Identity Management)構成を示します。

この構成内容は次のとおりです。

Oracle Internet Directory、Oracle Directory Integration Platformおよびデータベースが実行されている層

この層では、正常動作時は、アクティブ・ノードが共有ディスクをマウントしてOracle Identity Managementおよびデータベースにアクセスし、Oracle Internet Directory、Oracle Directory Integration Platformおよびデータベース・プロセスを実行して、すべてのリクエストを処理します。

なんらかの理由でアクティブ・ノードが停止すると、クラスタウェアはプロセスをセカンダリ・ノード(ノード2)にフェイルオーバーします。ノード2が新しいアクティブ・ノードになり、共有ディスクをマウントしてプロセスを実行し、すべてのリクエストを処理します。

中間層コンポーネントおよびアプリケーションが格納されているアクティブ・ノードやクライアントにアクセスするには、仮想ホスト名を使用します。仮想ホスト名は、アクティブ・ノード(正常動作時はプライマリ・ノード、フェイルオーバー時はセカンダリ・ノード)に関連付けられています。どちらのノード(プライマリまたはセカンダリ)がリクエストを処理しているかを、クライアントが知る必要はありません。

アクティブ・ノードにアクセスするには、URLに仮想ホスト名を使用する必要があります。たとえば、vhost.mydomain.comが仮想ホスト名である場合、この層でのOracle HTTP ServerおよびApplication Server ControlのURLは次のようになります。

次のもののURL  URLの例 

Oracle HTTP Server、「ようこそ」ページ 

http://vhost.mydomain.com:7777 

Oracle HTTP Server、セキュア・モード 

https://vhost.mydomain.com:4443 

Application Server Control 

http://vhost.mydomain.com:1156 

Oracle Delegated Administration ServicesおよびOracleAS Single Sign-Onが実行されている層

この層のノードはクラスタ化されないことに注意してください。両方のノードは同時にアクティブであり、ファイルは各ノードでローカルにインストールします。これらのノードにアクセスするために、クライアントはロード・バランサを介します。たとえば、ロード・バランサの名前がloadbalance1.mydomain.comである場合、この層でのOracle HTTP ServerおよびApplication Server ControlのURLは次のようになります。

次のもののURL  URLの例 

Oracle HTTP Server、「ようこそ」ページ 

http://vhost.mydomain.com:7777 

Oracle HTTP Server、セキュア・モード 

https://vhost.mydomain.com:4443 

Application Server Control 

http://vhost.mydomain.com:1156 

図8-4    分散OracleAS Cold Failover Cluster(Identity Management)構成


画像の説明

8.6.1 分散OracleAS Cold Failover Cluster(Identity Management): インストール手順の概要

Cold Failover Clusterデータベースに分散OracleAS Cold Failover Cluster(Identity Management)構成を作成するには、次の手順を実行します。

表8-6    分散OracleAS Cold Failover Cluster(Identity Management)構成のインストール手順の概要 
  手順  説明 

1. 

インストール前の手順の実行 

インストール前の作業の詳細は、8.2項を参照してください。内容は次のとおりです。

 

2. 

OracleAS Metadata Repositoryのインストール 

既存のCold Failover ClusterデータベースにOracleAS Metadata Repositoryをインストールします。 

3. 

Oracle Internet DirectoryおよびOracle Directory Integration Platformのインストール 

Oracle Internet DirectoryおよびOracle Directory Integration Platformコンポーネントをインストールします。 

4. 

OracleAS Single Sign-OnおよびOracle Delegated Administration Servicesのインストール 

OracleAS Single Sign-OnおよびOracle Delegated Administration Servicesコンポーネントをインストールします。 

8.6.2 分散OracleAS Cold Failover Cluster(Identity Management): インストール手順の詳細

手順1    インストール前の手順の実行

8.2項「OracleAS Cold Failover Clusterのインストール前の手順」に示すインストール前の手順を実行します。

手順2    OracleAS Metadata Repositoryのインストール

OracleAS RepCAを使用して、OracleAS Metadata Repositoryを既存のデータベースにインストールします。詳細は、Oracle Application Server Metadata Repository Creation Assistantのユーザーズ・ガイドを参照してください。

既存のデータベースがない場合は、インストーラを使用して作成できます。仮想ホスト名を使用してデータベースを作成する必要があることに注意してください。詳細は、8.8項「OracleAS Cold Failover Cluster環境へのOracleAS Metadata Repositoryのみのインストール」を参照してください。

手順3    Oracle Internet DirectoryおよびOracle Directory Integration Platformのインストール

Oracle Internet DirectoryおよびOracle Directory Integration Platformコンポーネントは、共有ディスクにインストールします。表8-7に示すインストール手順に従います。

注意:

インストーラの画面

表8-7    Oracle Internet DirectoryおよびOracle Directory Integration Platformのインストール 
  画面  操作 

1. 

-- 

インストーラを起動して、最初のいくつかの画面で情報を入力します。詳細は、4.27項「インストールの一部: インストールの最初のいくつかの画面」を参照してください。

注意:

「インストール・タイプの選択」画面で、「Oracle Identity Management」を選択します。 

2. 

構成オプションの選択 

Oracle Internet Directory」を選択します。

Oracle Application Server Single Sign-On」は選択しないでください。

「Oracle Application Server Delegated Administration Services」は選択しないでください。

Oracle Directory Integration Platform」を選択します。

Oracle Application Server Certificate Authority (OCA)」は選択しないでください。

高可用性およびレプリケーション」を選択します。

次へ」をクリックします。 

3. 

ポート構成オプションの指定 

コンポーネントにデフォルトのポートを使用する場合は、「自動」を選択します。

staticports.iniファイルをすでに作成していて、デフォルトのポートを使用しない場合は、「手動」を選択し、指定されたフィールドでstaticports.iniファイルへのフルパスを入力します。

次へ」をクリックします。 

4. 

リポジトリの指定 

ユーザー名: OracleAS Metadata Repositoryデータベースにログインするために使用するユーザー名を入力します。ユーザーは、DBA権限を持っている必要があります。

パスワード: ユーザーのパスワードを入力します。

ホスト名とポート: データベースが稼働しているコンピュータの名前を入力し、そのコンピュータがリスニングしているポートのポート番号を入力します。書式には、host:portを使用します。

サービス名: データベースのサービス名を入力します。サービス名には、データベースのドメイン名が含まれている必要があります。

例: orcl.mydomain.com

次へ」をクリックします。 

5. 

高可用性またはレプリケーション・オプションの選択 

仮想ホスト」を選択し、「次へ」をクリックします。 

6. 

Internet Directoryのネームスペースの指定 

推奨されるネームスペースを選択するか、またはデフォルトのOracle Identity Managementレルムの場所のカスタム・ネームスペースを入力します。

推奨されるネームスペース:」に表示された値が配置要件を満たしていることを確認します。要件を満たさない場合は、「カスタム・ネームスペース:」に必要な値を入力します。詳細は、4.16項「「Internet Directoryのネームスペースの指定」画面での入力」を参照してください。

次へ」をクリックします。 

7. 

仮想ホストの指定 

注意: これは、インフラストラクチャをOracleAS Cold Failover Clusterにインストールするときに重要な画面です。この画面が表示されない場合は、次の項目を確認してください。

  • 「高可用性またはレプリケーション・オプションの選択」画面に戻り、「仮想ホスト」を選択していることを確認します。

  • 「構成オプションの選択」画面に戻り、「高可用性およびレプリケーション」を選択していることを確認します。

仮想ホスト名: OracleAS Cold Failover Cluster構成の仮想ホスト名を入力します。

例: vhost.mydomain.com

次へ」をクリックします。 

8. 

インスタンス名とias_adminパスワードの指定 

インスタンス名: このインフラストラクチャ・インスタンスの名前を入力します。インスタンス名には、英数字および_(アンダースコア)文字を使用できます。1つのコンピュータに複数のOracle Application Serverインスタンスがある場合は、インスタンス名は一意である必要があります。インスタンス名の詳細は、3.5項「Oracle Application Server インスタンスとインスタンス名」を参照してください。

例: oid_dip

ias_adminパスワード」および「パスワードの確認」: ias_adminユーザーのパスワードを設定します。これはインスタンスの管理ユーザーです。パスワードの制限については、3.6項「ias_adminユーザーとそのパスワードの制限」を参照してください。

例: welcome99

次へ」をクリックします。 

9. 

-- 

インストールを終了します。詳細は、4.28項「インストールの一部: インストールの最後のいくつかの画面」を参照してください。 

手順4    OracleAS Single Sign-OnおよびOracle Delegated Administration Servicesのインストール

これらのコンポーネントをOracleAS Cluster(Identity Management)構成でインストールします。この構成では、各ノードのローカル・ディスクにインストールします。これらのインストールは、個別に行います。

インストール前の手順: このインストールは、実際はOracleAS Cluster(Identity Management)のインストールであるため、第9章「高可用性環境へのインストール: OracleAS Cluster(Identity Management)」に示すOracleAS Cluster(Identity Management)の設定手順に従うことができます。

インストール手順: インストール手順は、9.6.5項「各ノードへのOracleAS Single Sign-OnおよびOracle Delegated Administration Servicesのインストール」を参照してください。

8.7 OracleAS Cold Failover ClusterへのOracle Delegated Administration ServicesおよびOracleAS Single Sign-Onのインストール

この項で説明する構成は、8.4項「分散OracleAS Cold Failover Cluster(Infrastructure)構成のインストール」で説明した構成に類似しています。相違点は、この項で説明する構成で、OracleAS Single Sign-OnおよびOracle Delegated Administration ServicesがOracleAS Cold Failover Cluster構成で実行される点です。

2セットのクラスタ・ノードが必要です。詳細は、図8-5を参照してください。1つのセットでOracleAS Metadata RepositoryおよびOracle Internet Directoryを実行し、もう1つのセットでOracle Delegated Administration ServicesおよびOracleAS Single Sign-Onを実行します。

各セットには、共有記憶域および仮想ホスト名が必要です。Oracle Application Serverの様々なコンポーネントのOracleホームを共有記憶域にインストールします。

図8-5    Cold Failover ClusterのOracle Delegated Administration ServicesおよびOracleAS Single Sign-On


画像の説明

8.7.1 OracleAS Cold Failover ClusterのOracle Delegated Administration ServicesおよびOracleAS Single Sign-On: インストール手順の概要

表8-8    OracleAS Cold Failover ClusterへのOracle Delegated Administration ServicesおよびOracleAS Single Sign-Onのインストール手順の概要 
  手順  説明 

1. 

インストール前の手順の実行 

インストール前の作業の詳細は、8.2項を参照してください。内容は次のとおりです。

 

2. 

(オプション)staticports.iniファイルの作成 

必要に応じて、2つのstaticports.iniファイルを作成します。ノードの各セットで1つずつです。 

3. 

OracleAS Metadata RepositoryおよびOracle Internet Directoryのインストール 

ノード1から共有ディスクにOracleAS Metadata RepositoryおよびOracle Internet Directoryをインストールします。

手順は、「構成オプションの選択」画面で「OracleAS Single Sign-On」および「OracleAS Delegated Administration Service」を選択しないこと以外は、手順2「OracleAS Infrastructureのインストール」と同じです。 

4. 

ノード3からのOracle Delegated Administration ServicesおよびOracleAS Single Sign-Onのインストール 

ノード3から共有ディスクにOracle Delegated Administration ServicesおよびOracleAS Single Sign-Onをインストールします。 

5. 

ノード1でのOracleAS Infrastructureのプロセスの停止 

ノード1からOracleAS Infrastructureプロセスを停止します。 

6. 

ノード3でのOracleAS Infrastructureのプロセスの停止 

ノード3からOracleAS Infrastructureプロセスを停止します。 

7. 

インストール後の手順の実行 

このインストール後の手順ではCSSデーモンを構成します。この手順は、OracleデータベースのASM(自動ストレージ管理)機能を使用していて、既存のOracleデータベースがない場合にのみ必要です。 

8.7.2 OracleAS Cold Failover ClusterのOracle Delegated Administration ServicesおよびOracleAS Single Sign-On: インストール手順の詳細

手順1    インストール前の手順の実行

8.2項「OracleAS Cold Failover Clusterのインストール前の手順」に示すインストール前の手順を実行します。

手順2    (オプション)staticports.iniファイルの作成

必要に応じて、2つのstaticports.iniファイルを設定します。ノードの各セットで1つずつです。staticports.iniについては、2.6.3項「カスタムのポート番号の使用(「静的ポート」機能)」を参照してください。

手順3    OracleAS Metadata RepositoryおよびOracle Internet Directoryのインストール

「インストール・タイプの選択」画面で「Identity Management and OracleAS Metadata Repository」を選択して、OracleAS Metadata RepositoryとOracle Internet Directoryを同じOracleホームにインストールします。このオプションにより、OracleAS Metadata Repository用の新規のデータベースと新規のOracle Internet Directoryが作成されます。

この手順は、次に示す相違点以外は、手順2「OracleAS Infrastructureのインストール」と同じです。

手順4    ノード3からのOracle Delegated Administration ServicesおよびOracleAS Single Sign-Onのインストール

表8-9の手順に従い、ノード3から共有ディスクにOracle Delegated Administration ServicesおよびOracleAS Single Sign-Onをインストールします。

注意:

手順5    ノード1でのOracleAS Infrastructureのプロセスの停止

OracleAS Metadata RepositoryおよびOracle Internet DirectoryをインストールしたOracleホームで実行しているプロセスを停止します。

  1. Application Server Controlを停止します。

    prompt> ORACLE_HOME/bin/emctl stop iasconsole
    
    
  2. コンポーネントを停止します。

    prompt> ORACLE_HOME/opmn/bin/opmnctl stopall
    
    
  3. OracleAS Metadata Repositoryを停止します。

    1. 環境変数ORACLE_HOMEにOracleAS Infrastructureのホームを設定します。

    2. 環境変数ORACLE_SIDにOracleAS Metadata RepositoryのSIDを設定します(orclなど)。

    3. OracleAS Metadata Repositoryインスタンスを停止します。

      prompt> ORACLE_HOME/bin/sqlplus /nolog
      SQL> connect SYS as SYSDBA
      SQL> shutdown
      SQL> quit
      
      
    4. リスナーを停止します。

      prompt> ORACLE_HOME/bin/lsnrctl stop
      
      
    5. Oracle Enterprise Manager 10g Database Controlを停止します。

      prompt> ORACLE_HOME/bin/emctl stop dbconsole
      
      

手順6    ノード3でのOracleAS Infrastructureのプロセスの停止

Oracle Delegated Administration ServicesおよびOracleAS Single Sign-OnをインストールしたOracleホームで実行しているプロセスを停止します。

  1. Application Server Controlを停止します。

    prompt> ORACLE_HOME/bin/emctl stop iasconsole
    
    
  2. コンポーネントを停止します。

    prompt> ORACLE_HOME/opmn/bin/opmnctl stopall
    
    

手順7    インストール後の手順の実行

この手順は、次の両方の要件を満たしている場合にのみ必要です。

これらの要件を満たしている場合は、他のノードでCSSデーモンを構成する必要があります。CSSデーモンによって、ASMインスタンスと、データベース・ファイル記憶域にASMインスタンスを使用するデータベース・インスタンスが同期化されます。

CSSデーモンを構成するには、次の手順を実行します。

  1. OracleAS Cold Failover Cluster(Infrastructure)ホームのすべてのプロセスを停止します。

  2. CSSデーモンを停止します。これを行うには、rootとして次のコマンドを実行します。

    # /etc/init.d/init.cssd stop
    
    
  3. IPおよびディスクを他のノードにフェイルオーバーします。

  4. 他のノードで、rootとして次のコマンドを実行します。

    # $ORACLE_HOME/root.sh
    
    

    ORACLE_HOMEは、OracleAS Cold Failover Cluster(Infrastructure)をインストールした場所です。

8.8 OracleAS Cold Failover Cluster環境へのOracleAS Metadata Repositoryのみのインストール

この項では、OracleAS Metadata Repositoryを新しいデータベースをインストールする(インストーラによって、新しいデータベースが作成され、OracleAS Metadata Repositoryが移入される)方法について説明します。このデータベースは、OracleAS Cold Failover Cluster環境で使用できます。

前提条件:

8.9 OracleAS Cold Failover Clusterのインストール後の手順

8.9.1 ORACLE_HOME/Apache/Apache/htdocs/index.htmlファイルの編集

ORACLE_HOME/Apache/Apache/htdocs/index.htmlファイルで、すべての物理ホスト名(node1など)を仮想ホスト名(vhost)に変更します。ここで、node1はホスト名を示します。

node1がOracle Application Serverインスタンス名の一部として使用されている場合は、変更しないでください。

8.9.2 他のノードへの/var/opt/oracleディレクトリのコピー

OracleAS Infrastructureのインストールが完了した後に、インストールを実行したノードからOracleAS Cold Failover Cluster内の他のノードに/var/opt/oracleディレクトリをコピーします。これによって、クラスタ内の各ノードからインストーラを実行して、Oracleホームを更新できるようになります。

2つの/var/opt/oracleディレクトリを同期された状態にします。インストーラを実行してインフラストラクチャを更新するときは、常に、oracleディレクトリを他のノードにコピーする必要があります。

/var/opt/oracleディレクトリは、Oracle Application Serverによって実行時には使用されません。このファイルはインストーラのみが使用します。

8.9.3 Cold Failover Clusterデータベースに対するデータベース・コンソールの実行

Cold Failover Clusterデータベースに対してデータベース・コンソールの起動、停止またはステータスの確認を行う前に、ORACLE_HOSTNAME環境変数を仮想ホスト名に設定する必要があります。たとえば、図8-1では、仮想ホスト名はvhost.mydomain.comです。ORACLE_HOSTNAMEを次のように設定します。

Cシェル:

$ setenv ORACLE_HOSTNAME vhost.mydomain.com

Bourne/Kornシェル:

% ORACLE_HOSTNAME=vhost.mydomain.com
% export ORACLE_HOSTNAME

変数を設定した後に、emctl action dbconsoleコマンドを実行できます。actionは、startstopまたはstatusです(emctl start dbconsoleなど)。

8.9.4 セカンダリ・ノード上のoraInst.locおよびoratabファイルの編集

OracleAS Infrastructureのインストールの完了後、セカンダリ・ノード上の/etc/oraInst.locおよび/etc/oratabファイルを編集します。

セカンダリ・ノード上でoratabファイルを次のように編集します。

  1. /etc/oratabファイルを作成または編集します。

  2. OracleAS Cold Failover Clusterのインストール時に作成されたメタデータ・リポジトリのプライマリ・ノードから、oratabエントリをコピーします。

たとえば、プライマリ・ノードのoratabファイルからセカンダリ・ノードのoratabファイルに、次のエントリをコピーします。/mnt/app/oracle/OraInfra_10_1_4はOracleホーム・ディレクトリです。

*:/mnt/app/oracle/OraInfra_10_1_4:N
asdb:/mnt/app/oracle/OraInfra_10_1_4:N

oraInst.locファイルをプライマリ・ノードからセカンダリ・ノードへコピーして、セカンダリ・ノード上にoraInst.locファイルを作成します。oraInst.locファイルは、Oracle Application Serverの実行時には使用されません。このファイルはインストーラのみが使用します。

8.9.5 自動フェイルオーバー用のクラスタウェア・エージェントの作成

OracleAS Cold Failover Cluster環境では、OracleAS Infrastructureの手動フェイルオーバーのフレームワークが提供されます。自動フェイルオーバーを行うには、クラスタウェアを使用するエージェントを設定する必要があります。自動フェイルオーバーの例には、プライマリ・ノードのハートビートを監視するようにセカンダリ・ノードを設定し、プライマリ・ノードの停止を検出したら、仮想IPアドレス、共有記憶域およびすべてのOracleAS Infrastructureプロセスがセカンダリ・ノードにフェイルオーバーするなどがあります。

8.10 OracleAS Cold Failover Cluster Infrastructureへの中間層のインストール

この項では、OracleAS Cold Failover Cluster InfrastructureにCold Failover Cluster構成ではない中間層をインストールする方法について説明します。

OracleAS Cold Failover Clusterで非Cold Failover Clusterの中間層がOracleAS Infrastructureとともに動作するためには、クラスタ外のコンピュータまたはクラスタ内のノードに中間層をインストールできます。


注意:

非Cold Failover Clusterの中間層をOracleAS Cold Failover Cluster外のノードにインストールして実行することをお薦めします。 


8.10.1 中間層をOracleAS Cold Failover Clusterのノードにインストールする場合

非Cold Failover Clusterの中間層をOracleAS Cold Failover Clusterのノード(プライマリまたはセカンダリ)にインストールする場合は、中間層をインストールする前に次のタスクを実行します。

8.10.1.1 中間層用のstaticports.iniファイルの作成

中間層で使用されるポートが、インフラストラクチャで使用されるポートと同じでないようにします。これは、インフラストラクチャがプライマリ・ノードからセカンダリ・ノード(またはこの逆)にフェイルオーバーすることがあり、いずれのノードでもポートの競合が発生しないようにするためです。両方のノード上のインフラストラクチャに同じポートを確保する必要があります。

中間層をインストールするノードでインフラストラクチャが実行中の場合は、インストーラはどのポートが使用されているかを検出して、中間層に別のポートを選択します。たとえば、インフラストラクチャがプライマリ・ノードで実行されており、中間層をインストールするためにインストーラをプライマリ・ノードで実行する場合は、インストーラによって別のポートが中間層に割り当てられます。

ただし、中間層をインストールするのとは異なるノードでインフラストラクチャが実行されている場合は、インストーラはインフラストラクチャがどのポートを使用しているかを検出できません。たとえば、インフラストラクチャがプライマリ・ノード上で実行されていて、中間層をセカンダリ・ノードにインストールする場合は、インストーラはインフラストラクチャがどのポートを使用しているかを検出できません。この場合、中間層用のポート番号を指定するためにstaticports.iniファイルを設定する必要があります。詳細は、2.6.3項「カスタムのポート番号の使用(「静的ポート」機能)」を参照してください。

インフラストラクチャが使用しているポートは、ORACLE_HOME/install/portlist.iniファイルで確認できます。ここで、ORACLE_HOMEは、インフラストラクチャをインストールしたディレクトリです。

8.10.1.2 インフラストラクチャで使用される/etc/oraInst.locファイルの名前の変更

インフラストラクチャで使用されているものと同じインベントリ・ディレクトリを使用するかわりに、中間層が独自のインベントリ・ディレクトリを持つように環境を設定します。これを行うには、/etc/oraInst.locファイルの名前を他の名前に変更して、インストーラによって新しいインベントリ・ディレクトリの入力が要求されるようにする必要があります。次の例では、その名前をoracle.infraに変更します。

prompt> su
Password: root_password
# cd /etc
# mv oraInst.loc oraInst.loc.infra

インストーラによりインベントリ・ディレクトリの入力が要求されたら、ローカル記憶域のディレクトリ、またはOracleAS Infrastructureがインストールされたディスク以外のディスクのディレクトリを指定します。

中間層のインストールが完了したら、次のようにして名前を変更します。

prompt> su
Password: root_password
# cd /etc
# mv oraInst.loc oraInst.loc.mt see (1)
# mv oraInst.loc.infra oraInst.loc see (2)

(1)このコマンドは、インストーラを使用して中間層をインストールした際に作成されたoracleディレクトリの名前を変更します。

(2)このコマンドは、oracle.infraディレクトリの名前をoracleに戻します。

/etc/oraInst.locファイルは、Oracle Application Serverの実行時には使用されません。これが必要となるのは、インストーラを実行するときのみです(たとえば、インスタンスを削除したり拡張する場合など)。

インストーラを実行する前に、正しいoracleディレクトリが配置されていることを確認します。

8.10.2 OracleAS Cold Failover Clusterのインフラストラクチャへの中間層のインストール手順

OracleAS Cold Failover Cluster内のOracleAS Infrastructureに中間層をインストールするには、中間層のリリース用のOracle Application Serverのインストレーション・ガイドに記載された中間層のインストール手順に従います。ただし、次の点を除きます。

8.11 OracleAS Cold Failover Clusterノードへの通常の中間層のインストール

コールド・フェイルオーバー・クラスタ構成でない中間層をOracleAS Cold Failover Cluster Infrastructureと同じノードにインストールする場合、中間層で使用するポートは、同じクラスタにインストールされているOracleAS Infrastructureで使用するポートとは異なる必要があります。また、ポートは、同じノードの他のOralceホームで使用するポートと異なる必要があります。Oracleホームのコンポーネントに割り当てられたポートを確認するには、Application Server Controlコンソールの「ポート」ページを確認します。

中間層をインストールする場合は、staticports.iniファイルを使用する必要があります。詳細は、2.6.3項「カスタムのポート番号の使用(「静的ポート」機能)」を参照してください。


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