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Oracle Identity Manager Generic Technology Connector管理者ガイド
リリース9.0.3.1
E05491-01
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1 汎用テクノロジ・コネクタについて

この章では、汎用テクノロジ・コネクタの概念と、汎用テクノロジ・コネクタを使用するためにOracle Identity Managerで提供される機能について説明します。

この章の内容は次のとおりです。

汎用テクノロジ・コネクタの必要性

アプリケーション固有のOracle Identity Managerコネクタは、Microsoft Active DirectoryやPeopleSoft User Managementなどのターゲット・システムに合せて設計されています。このようなコネクタのアーキテクチャは、ターゲット・システムがサポートしているAPI、またはターゲット・システムがIDデータを格納するデータ・リポジトリのタイプとスキーマに基づきます。つまり、コネクタとターゲット・システムが密接に統合されています。ターゲット・システム対応のアプリケーション固有コネクタがある場合は、統合の方法としてアプリケーション固有コネクタの使用をお薦めします。

使用するプロビジョニング・システムに対応するアプリケーション固有コネクタがないシナリオについて考えます。次に例を示します。

Acme Inc.のすべての従業員は、バックアップ・サーバーにディスク領域を割り当てられています。従業員は、バックアップ・システム上の従業員アカウントを管理するようにシステム管理者にリクエストを送信します。システム管理者は、従業員からのリクエストの取得、確認および処理を行うWebベース・アプリケーションを開発しています。このアプリケーションのフロント・エンドは、CSV形式のデータを受け取って格納するWebサービスです。バック・エンドに格納される従業員アカウント・データは、XMLファイルとして指定の場所にエクスポートすることができます。近頃、この会社ではOracle Identity Managerをインストールし、このWebベース・アプリケーションをターゲット・システムとして設定しようとしています。

アプリケーション固有コネクタの機能は、このようなシナリオに対応できません。

このようなシナリオでは、ターゲット・システムとOracle Identity Managerをリンクするためのカスタム・コネクタを作成できます。ターゲット・システムで使用されるデータ形式とデータ・トランスポート・メカニズムをOracle Identity Managerでサポートされる形式とメカニズムに変換できる場合は、Oracle Identity Managerを使用してカスタム・コネクタを作成できます。

Oracle Identity Managerを使用して作成されるカスタム・コネクタは汎用テクノロジ・コネクタと呼ばれます。ターゲット・システムがサポートするAPIや、ターゲット・システムがIDデータを格納するデータ・リポジトリ・タイプおよびスキーマに依存しないためです。


注意:

1つの汎用テクノロジ・コネクタは、同じ入出力データ形式とデータ・トランスポート・メカニズムを使用する複数のターゲット・システムとOracle Identity Managerとのリンクとして使用できます。

汎用テクノロジ・コネクタの概要

汎用テクノロジ・コネクタはコンポーネントのコレクションです。1つのコンポーネントが提供するサービスが、別のコンポーネント、ターゲット・システムまたはOracle Identity Managerによって使用されます。このようなコンポーネントを組み合せることで、様々なデータ形式やデータ・トランスポート・メカニズムをサポートできます。

プロバイダ

このガイドでは、汎用テクノロジ・コネクタを構成するコンポーネントをプロバイダと呼びます。

次の図に、汎用テクノロジ・コネクタのプロバイダレベル・アーキテクチャを示します。

汎用テクノロジ・コネクタのプロバイダレベル・アーキテクチャ

Oracle Identity Managerでは、次のタイプのプロバイダがサポートされます。

  • リコンシリエーション・トランスポート・プロバイダ

    このプロバイダは、ターゲット・システムのリコンシリエーション・データをOracle Identity Managerに伝えます。リコンシリエーション・トランスポート・プロバイダがリコンシリエーション・データを伝える方法は、プロバイダの実装によって異なります。たとえば、プロバイダは、ファイルからのデータの読取り、Webサービスからのデータの受取りまたはデータベースの問合せを行うことができます。

  • リコンシリエーション・フォーマット・プロバイダ

    このプロバイダは、ターゲット・システム・メッセージ(リコンシリエーション・トランスポート・プロバイダによってフェッチされたリコンシリエーション・データを含む)を解析して、Oracle Identity Managerに格納できるデータ構造に変換します。

  • 検証プロバイダ

    このプロバイダは、リコンシリエーション・フォーマット・プロバイダから受け取ったデータを検証してから、Oracle Identity Managerのリコンシリエーション・エンジンに渡します。検証プロバイダがリコンシリエーション・データの検証に使用するルールを定義できます。

  • プロビジョニング・フォーマット・プロバイダ

    このプロバイダは、Oracle Identity Managerプロビジョニング・データをターゲット・システムでサポートされる形式に変換します。

  • プロビジョニング・トランスポート・プロバイダ

    このプロバイダは、プロビジョニング・フォーマット・プロバイダからプロビジョニング・データをターゲット・システムに伝えます。

データセット

データセットは、ターゲット・システムとOracle Identity Managerの間で伝達される特定の段階にあるデータを表します。データセットは、レイヤー形式のデータ構造として図式化できます。プロビジョニングとリコンシリエーションの際にはデータがレイヤーからレイヤーへ移動します。Oracle Identity Managerの機能を使用して、このようなデータセットを構成するフィールドを指定できます。

次のデータセット定義がサポートされています。

  • ソース・データセット

    ターゲット・システムからリコンシリエーション・トランスポート・プロバイダによって抽出され、リコンシリエーション・フォーマット・プロバイダによって処理されたデータです。

  • リコンシリエーション・ステージング・データセット

    検証プロバイダによって処理されたソース・データです。これから、リコンシリエーション・フィールドへの移入に使用され、リコンシリエーション・エンジンに渡されます。

  • アカウント・データセット

    Oracle Identity Managerのプロセス・フォーム・フィールドに格納されているユーザー・アカウント情報です。

  • ユーザー・データセット

    OIMユーザー・アカウントを定義するメタデータ(IDデータ属性)です。このデータセットは子データセットを持つことができません。

  • プロビジョニング・ステージング・データセット

    ターゲット・システムで受け取れる構造に変換するためにプロビジョニング・フォーマット・プロバイダに送信されるデータです。

データセットを定義するときに、次の情報も定義できます。

  • 様々なデータセットのフィールド間のマッピング

    マッピングは次のいずれかの目的で使用されます。

    • プロビジョニングまたはリコンシリエーションのために、2つのデータセットのフィールド間にデータ・フロー・パスを確立します。

    • 2つのデータセットのフィールド値を比較(照合)するための基礎を形成します。

  • ターゲット・システムからフェッチしたデータに対して実行する検証

汎用テクノロジ・コネクタ・フレームワークの機能

このガイドでは、汎用テクノロジ・コネクタ・フレームワークという言葉はOracle Identity Managerのモジュールを指します。これを使用して、汎用テクノロジ・コネクタを作成および使用します。

次に、汎用テクノロジ・コネクタ・フレームワークで提供される機能の概要を示します。


注意:

このリリースの汎用テクノロジ・コネクタでは、信頼できるソース・リコンシリエーションはサポートされていません。

このガイドの使用方法

次に、このガイドのその他の章と付録の概要を示します。

コネクタの関連ドキュメント

次に示すガイドでは、コネクタの追加情報や、コネクタを使用するためにOracle Identity Managerで提供される機能について説明しています。