JRockit Memory Leak Detector ユーザーズ ガイド

Memory Leak Detector の使い方

メモリ リーク検出のためのイベントのフローとユーザ インタフェースの基本的な機能がわかったら、次は Memory Leak Detector の実際の働きを確認する番です。この節では、インタフェースの各タブについて詳しく説明しながら、実際にメモリ リークのある Java アプリケーションのモニタで Memory Leak Detector がどのように働くのかを見ていくことにします。

この節の内容は以下のとおりです。

• アプリケーションの分析
• 疑わしいオブジェクト タイプの調査
• オブジェクト インスタンスの調査
• 割り当てスタック トレースの表示

 

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アプリケーションの分析

[Trend] タブ (図 3-1) でアプリケーションの分析を開始します。最も増大速度 (バイト数/秒) の大きいオブジェクト タイプが赤でマークされて [Trend Analysis - Which types are leaking?] テーブルの上部に表示されます。更新のたびに、このリストが変化して、最も増大速度の大きかったタイプがリストの下方に移動することがあります。図 3-1 にリストされているオブジェクト タイプは、サンプル アプリケーションから取得されたものです。赤でマークされたオブジェクトにメモリ リークがあると推測できます。

図 3-1 メモリ リーク分析

 

表 3-1 で [Trend] タブのテーブルの各列に何が表示されるかを説明します。

表 3-1 [Trend Analysis - Which types are leaking?] テーブルの各列

列見出し	表示されるもの
Type	オブジェクトのタイプ (クラス)。
Growth (bytes/sec)	このタイプのオブジェクトのメモリが 1 秒あたり何バイトずつ増加しているか。
% of Heap	このタイプのオブジェクトが Java ヒープ全体の何パーセントを占めているか。
Size (KB)	その割合に相当する KB 単位のサイズ。
# Instances	現在生存しているこのタイプのオブジェクトの数。

アプリケーションの分析を開始するには

-Xmanagement オプションを指定して JRockit アプリケーションを起動すると共に、Memory Leak Detector を JRockit に接続した状態にしておきます。
[Start] ボタンをクリックして、傾向分析を開始します。アプリケーションにメモリ リークがあると、傾向分析は 図 3-1 のような感じになるでしょう。

アプリケーションの分析を休止するには

• [Pause] ボタンをクリックします。

これにより、[Trend] タブでの傾向分析の更新が一時停止するので、アプリケーションの分析を始めることができます。同じサンプルからさらにデータを収集したければ、再び [Play] ボタンをクリックします。そうすれば、アプリケーションからの最新のサンプルが表示されます。

アプリケーションの分析を停止するには

• [Stop] ボタンをクリックします。

これにより、データの連続的な更新が停止します。再び傾向分析を開始すると、現在表示されているデータがリセットされます。

注意 : 分析を停止してもアプリケーション自体は停止しません。

調査を開始するには

メモリ リークがあると思われるオブジェクトを右クリックします。
[Show Referring Types] を選択します。

[Types] タブが表示されます (図 3-2)。さらに詳しい調査の方法については、「メモリ リークのあるオブジェクトを詳しく見るには」を参照してください。

 

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疑わしいオブジェクト タイプの調査

メモリ リークと疑われるもの (増大速度が大きくて、赤でマークされているタイプ) を見つけたら、それをさらに [Types] タブで調査します (図 3-2)。そのためには、[Trend] タブでタイプを選択することによって調査を開始する必要があります (「調査を開始するには」を参照してください)。

[Types] タブには、調査対象のタイプを指しているすべてのタイプの間の関係が表示されます。タイプごとに数字も表示されます。これはそのタイプを指しているインスタンスの数です。

図 3-2 [Types] タブ

 

暗い赤は増大速度の大きいタイプを表しています (ただし、実際にメモリ リークに関係しているとは限りません)。

メモリ リークのあるオブジェクトを詳しく見るには

最も暗い色のタイプをダブルクリックします。

そのタイプがさらに展開されます (図 3-3)。

図 3-3 展開されたタイプ グラフ




 

メモリ リークをピンポイントできると思うレベルに到達するまで、最も暗い色のタイプをクリックし続けます。
リークが疑われるタイプを右クリックします (図 3-4)。

図 3-4 メモリ リークをピンポイントしたタイプ グラフ




 
[List Instances] を選択します。

[Types] タブの [Instances] 部分が開きます。

選択したタイプのインスタンスがここにリストされます。表示されるインスタンスは、上のタイプ グラフで選択されたタイプからの矢印で示されているタイプへの参照を持っているものだけです。

図 3-5 [Types] タブの [Instances] リスト




 

リストがそれほど大きくなければ、タイプ B を指しているタイプ A のすべてのインスタンスがタブの下部に表示されます (図 3-5)。リストが大きすぎると、リストを表示しようとしたときに Memory Leak Detector がタイムアウトすることもあります。タイムアウトの設定は [File｜Preferences] で変更することができます。

[Data kept alive (bytes)] 列には、それぞれのインスタンスが保持しているデータ量が表示されます。そのデータはガベージ コレクションできないものです。

ウィンドウの [Overview] 部分を開くと、グラフ内での位置を確認することができます (この操作については、「グラフを鳥瞰するには」を参照してください)。表示内容を拡大/縮小したり中央に配置したりすることもできます (これらのツールの説明は、表 2-2 を参照してください)。

グラフを鳥瞰するには

• [View｜Birds-eye Overview] をクリックします。

タブ上に小さな [Overview] ウィンドウが開きます。この [Overview] は大きなグラフの中で移動するのに便利です。網掛けされた領域を移動することで、その部分を現在のタブに表示することができます。

タイプのインスタンスを調査するには

[Types] タブでインスタンス (おそらく保持しているデータ量が最も多いもの) を右クリックします。
[Show Referring Instances] を選択します。

[Instances] タブが表示されます (図 3-6)。

 

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オブジェクト インスタンスの調査

[Instances] タブ (図 3-6) には、メモリ リークが疑われるタイプのインスタンスが表示されます。矢印を見れば、具体的なフィールドの名前もわかります。インスタンスを右クリックすると、[Inspect Instance] オプションのあるポップアップ メニューが表示されます。このオプションを選択すると、そのオブジェクトに含まれているすべてのインスタンス変数が表示されます。この情報はリークのあるオブジェクトがアプリケーション内のどこにあるのか特定するのに役立ちます。

図 3-6 [Instances] タブの参照

 

表 3-2 で [Instances] タブに表示できるものを説明します。

表 3-2 メモリ リークの疑いがあるインスタンス

タブの部分	表示されるもの
Instances Graph	このグラフにはインスタンスがお互いにどのように接続しているかが示されます。
Inspector	この部分では、そのオブジェクトに含まれているすべてのフィールドとそれらの値を見ることができます。表示される情報は、モニタするアプリケーションによって違ってきます。

 

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割り当てスタック トレースの表示

[Allocation Stack Traces] タブ (図 3-7) では、特定のタイプの割り当てがコード内のどこで行われたかをチェックできます。割り当てスタック トレースを有効にすると、JRockit のパフォーマンスが低下することもあります。すべての割り当てポイントについての情報を収集するのには、ある程度の時間がかかります。

図 3-7 [Allocation Stack Traces] タブ

 

 

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設定のカスタマイズ

Memory Leak Detector は、いろいろな点でカスタマイズすることができます。図 3-8 から図 3-13 までで、カスタマイズできる種々の設定について説明します。

[Preferences] ウィンドウを開くには

• [File｜Preferences] をクリックします。

[Preferences] ウィンドウが開きます (図 3-8)。

プリファレンスを設定したら、[OK] をクリックして、それらの設定を有効にします。

プリファレンスをデフォルト値にリセットするには

[File｜Preferences] をクリックします。
[Defaults] をクリックします。
[OK] をクリックします。

図 3-8 [Confirm Exit] 設定




 

Memory Leak Detector を閉じるときに確認メッセージが表示されるようにしたい場合は、[Confirm Exit] オプションを選択します。

図 3-9 ヒープ使用率の表示

 

表示したい Java ヒープの使用率をここで設定します。設定した使用率に満たないタイプは表示されません。すべてのタイプを表示したい場合は、この値を 0 (ゼロ) に設定します。

図 3-10 グラフに関する設定

 

• タイプのノードを展開したときに [Types] タブと [Instances] タブでタイプ グラフがアニメーション表示されるようにしたい場合は、[Animate Layout] を選択します。
• タイプまたはインスタンスのノードを展開したときに [Types] タブと [Instances] タブでグラフが表示領域の中央に配置されるようにしたい場合は、[Center at Expand] を選択します。
• [Types] タブと [Instances] タブに表示されるノードの数を制御するには、[Number of Nodes to Expand] の値を指定します。非常に大きな値を指定すると、表示が見にくくなる可能性があります。
• 完全なクラス名が表示されるようにしたい場合は、[Show Package Names] を選択します。

図 3-11 取得されるインスタンスの数




 

タイプの [List Instances] でリストしたいインスタンスの数をここで設定します。このリストは [Types] タブの [Instances] 部分に表示されます。

図 3-12 取得される配列要素の数

 

[Number of Array Elements to fetch] では、取得される配列要素の数を指定します。[List Largest Arrays] を選択してある場合に、これらの要素が [Types] タブに表示されます。

図 3-13 タイムアウトの設定

 

• [Timeout for fetching instance relations] の値を指定します。この値の単位は秒です。インスタンスの関係は [Instances] タブに表示されます。取得する必要のあるインスタンスが多すぎると、タイムアウト エラーが発生することがあります。
• [Maximum keep alive size to trace] の値 (バイト数) を指定します。Memory Leak Detector は、この値に達するまでオブジェクトを調べます。